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【発明の名称】 イメージセンサ
【発明者】 【氏名】川人 祥二
【課題】イメージセンサ内の画素からの信号に含まれるランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズ(RTS)を低減可能なイメージセンサを提供する。

【解決手段】選択回路21は、センサ回路19のセンサ素子19aからの信号VSENを増幅する増幅用トランジスタ21aを含む。制御回路15は、選択回路21に接続されており、読み出し期間中に、増幅用トランジスタ21aのRTSのノイズシェイピングを生じさて画素13のRTSのスペクトル帯域を拡大すると共に画素13に読出状態を設定するための制御信号SCONTを生成する。制御信号SCONTは選択回路21に提供され、画素13の読出状態で増幅用トランジスタ21aの動作状態は制御信号SCONTにより変更される。処理回路17は画素13からの信号SDATAを読み出す。この読出は信号SDATAにハイカットフィルタリング処理を施すように行われ画素13のRTSの影響を低減する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素のランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズの影響を低減可能なイメージセンサであって、
センサ素子を含むセンサ回路と該センサ素子からの信号を増幅するMIS型トランジスタを含む選択回路とを有しており、カラム線に接続された画素と、
前記画素内の前記選択回路に接続されており、前記画素から信号を読み出す期間中に、前記MIS型トランジスタに複数回のスイッチング動作を生じさせることによって前記画素のランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズのスペクトルの帯域を拡大してランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズのスペクトル密度を下げると共に前記画素に読出状態を設定するための制御信号を、前記選択回路に提供する制御回路と、
前記画素からの信号にハイカットフィルタリング処理を行うように、前記読出状態において前記画素からの信号を前記カラム線を介して読み出す処理回路と
を備える、ことを特徴とするイメージセンサ。
【請求項2】
前記制御信号は、前記複数回のスイッチング動作により、前記MIS型トランジスタのチャネルキャリア密度の異なる第1及び第2の状態を設定し、
前記第1及び第2の状態のいずれか一方は前記読出状態のために設けられ、
前記読出状態では、前記選択回路に複数回の読出期間が設定される、ことを特徴とする請求項1に記載されたイメージセンサ。
【請求項3】
前記選択回路は、前記センサ回路に接続された制御入力、前記カラム線に接続された信号出力、及び前記制御回路に接続された電源端子を含み、
前記制御回路は、前記読み出し期間の第1の部分に電位レベルを提供すると共に、前記読み出し期間の第2の部分に該電位レベルより低いレベルとを提供し、
前記第1の部分は前記読出状態に設定される、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載されたイメージセンサ。
【請求項4】
前記選択回路は、前記センサ回路に接続された制御入力、前記カラム線を介して前記制御回路に接続された信号出力、及び電源端子を含み、
前記制御回路は、前記読み出し期間の第1の部分に第1の電流を流すと共に、前記読み出し期間の第2の部分に該第1の電流より大きい第2の電流を流しており、
前記読出状態は、前記第1及び第2の部分のいずれか一方において前記画素に設定される、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載されたイメージセンサ。
【請求項5】
前記処理回路は、前記画素からの信号を受ける積分器を含む信号読み出し回路を有する、ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載されたイメージセンサ。
【請求項6】
前記積分器は、
前記読出状態において前記画素からの信号を受けるサンプリング回路と、前記サンプリング回路によってサンプリングされた信号を積分する積分回路とを含み、
前記積分器の帯域fINTは、前記制御回路からの前記制御信号を受けた前記MIS型トランジスタによって生成されるランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズの帯域fRTより小さい、ことを特徴とする請求項5に記載されたイメージセンサ。
【請求項7】
前記処理回路は、前記画素からの信号を増幅する信号読み出し回路を有しており、
前記信号読み出し回路の帯域fAMPは、前記制御回路からの前記制御信号を受けた前記MIS型トランジスタによって生成されるランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズの帯域fRTNより小さい、ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載されたイメージセンサ。
【請求項8】
前記処理回路に接続された保持キャパシタを更に備え、前記保持キャパシタは、前記信号読み出し回路の出力からの信号を保持する、ことを特徴とする請求項7に記載されたイメージセンサ。
【請求項9】
前記画素は、リセットレベルを示す第1の信号と、信号レベルを示す第2の信号とを提供し、
前記イメージセンサは、
前記リセットレベルに対応しており前記処理回路によって生成された第1の読出信号を保持する第1の保持回路と、
前記信号レベルに対応しており前記処理回路によって生成された第2の読出信号を保持する第2の保持回路と
を更に備える、ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載されたイメージセンサ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、イメージセンサのカラムに集積化されたA/D変換器のアレイが記載されている。個々のA/D変換器は、イメージアレイの画素から信号レベルとリセットレベルを読み出して、これらのレベルのディジタル信号を生成した後に、これらの差分を生成する。
【0003】
特許文献2には、イメージセンサのカラムに集積化されたA/D変換器のアレイが記載されている。第1キャパシタにリセットレベルを格納すると共に、第2キャパシタに信号レベルを格納する。A/D変換器では、第1および第2キャパシタをアンプと共に用いて、リセットレベルと信号レベルとの差分信号を生成する。
【0004】
特許文献3には、イメージセンサのためのA/D変換器が記載されている。イメージセンサのノイズレベルを支配するアンプ回路が発生するランダムノイズを、センサでの蓄積途中の信号を読み出して、ディジタル領域での処理で低減する。
【0005】
非特許文献1には、p型MOSトランジスタ及びn型MOSトランジスタを含むテスト・エレメント・グループを用いてソースフォロアのランダム・テレグラフ・信号を解析している。
【特許文献1】特開2006−25189号公報
【特許文献2】特開2007−104655号公報
【特許文献3】特開2003−153085号公報
【非特許文献1】K. Abe, S. Sugawa, R. Kuroda, S. Watabe, N. Miyamoto, A. Teramoto,T. Ohmi, Y. Kamata and K. Shibusawa, INTERNATIONAL IMAGE SENSOR WORKSHOP 2007, Ogunquit, ME, 2007,p.62-65“Analysis of Source Follower RandomTelegraph Signal Using nMOS and pMOS Array TEG”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CMOSイメージセンサでは、画素に埋め込みフォトダイオードを用いることにより、フォトダイオード部の暗電流の低減が達成されている。また、画素のリセットの際に発生するリセットノイズのキャンセルが達成されている。現在においては、CMOSイメージセンサにおける支配的なノイズは、画素の読み出しトランジスタによって発生される。微細加工技術の進歩により、微細化された読み出しトランジスタからのランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズが、画素からの読み出し信号に影響を与えている。ランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズは、イメージセンサの画素の各々によって異なっており、アレイ内の画素のなかには、極端に大きなノイズを発生する画素がある。故に、ランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズの低減が、例えば極低照度におけるCMOSイメージセンサの応用において望まれている。
【0007】
本発明は、イメージセンサ内の画素からの信号に含まれるランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズを低減可能なイメージセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る一側面は、画素のランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズの影響を低減可能なイメージセンサである。このイメージセンサは、(a)センサ素子を含むセンサ回路と該センサ素子からの信号を増幅するMIS型トランジスタを含む選択回路とを有しており、カラム線に接続された画素と、(b)前記画素内の前記選択回路に接続されており、前記画素から信号を読み出す期間中に、前記MIS型トランジスタに複数回のスイッチング動作を生じさせることによって前記画素のランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズのスペクトルの帯域を拡大してランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズのスペクトル密度を下げると共に前記画素に読出状態を設定するための制御信号を、前記選択回路に提供する制御回路と、(c)前記画素からの信号にハイカットフィルタリング処理を行うように、前記読出状態において前記画素からの信号を前記カラム線を介して読み出す処理回路とを備える。
【0009】
画素のMIS型トランジスタによって発生されるランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズのスペクトルは、比較的低い周波数の領域に分布する。本発明のイメージセンサによれば、読み出し期間中に、ノイズシェイピングのための制御信号を選択回路に加えて選択回路内のMIS型トランジスタの状態を変化させる。この制御信号に応じて、画素のランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズのスペクトルの帯域は成形されて拡大され、スペクトル密度が低減される。このため、拡大された帯域のノイズスペクトルは、上記の低い周波数領域よりも広い周波数の範囲にわたって分布する。処理回路は、変更されたスペクトルでランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズを生成する画素からの信号を受け、処理回路は、ハイカットフィルタリング処理を施して読み出し信号を生成する。これ故に、この読み出し信号へのランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズの影響は低減される。
【0010】
本発明に係るイメージセンサでは、前記制御信号は、前記複数回のスイッチング動作により、前記MIS型トランジスタのチャネルキャリア密度の異なる第1及び第2の状態を設定し、前記第1及び第2の状態のいずれか一方は前記読出状態のために設けられ、前記読出状態では、前記選択回路に複数回の読出期間が設定されることができる。
【0011】
このイメージセンサによれば、前記画素は、複数回のスイッチング動作及び複数回の読出状態に置かれる。これ故に、MIS型トランジスタの動作状態は読み出し期間中に複数回の変化を受けてキャリアのトラップ及びデトラップが生じて、そのランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズのスペクトルは変更される。
【0012】
本発明に係るイメージセンサでは、前記選択回路は、前記センサ回路に接続された制御入力、前記カラム線に接続された信号出力、及び前記制御回路に接続された電源端子を含み、前記制御回路は、前記読み出し期間の第1の部分に電位レベルを提供すると共に、前記読み出し期間の第2の部分に該電位レベルより低いレベルとを提供し、前記読出状態は、前記第1の部分において前記画素に設定される。
【0013】
このイメージセンサによれば、制御回路からの制御信号は、選択回路の電源端子に加えられる。印加された制御信号の2つのレベルは、MIS型トランジスタに伝わり、MIS構造のチャネルのキャリア密度が変更される。
【0014】
本発明に係るイメージセンサでは、前記選択回路は、前記センサ回路に接続された制御入力、前記カラム線を介して前記制御回路に接続された信号出力、及び電源端子を含み、前記制御回路は、前記選択回路の前記信号出力に接続されており、前記制御回路は、前記読み出し期間の第1の部分に第1の電流を流すと共に、前記読み出し期間の第2の部分に該第1の電流より大きい第2の電流を流しており、前記読出状態は、前記第1及び第2の部分のいずれか一方において前記画素に設定される。
【0015】
このイメージセンサによれば、制御回路からの制御信号は、選択回路の信号出力に加えられる。印加された制御信号の2つの電流値はMIS型トランジスタを流れ、MIS構造のチャネルのキャリア密度が変更される。
【0016】
本発明に係るイメージセンサでは、前記処理回路は、前記画素からの信号を受ける積分器を含む信号読み出し回路を有することができる。このイメージセンサによれば、積分器より、読み出しに際してハイカットフィルタリング処理が可能になる。
【0017】
本発明に係るイメージセンサでは、前記積分器は、前記読出状態において前記画素からの信号を受けるサンプリング回路と、前記サンプリング回路によってサンプリングされた信号を積分する積分回路とを含み、前記積分器の帯域fINTは、前記制御回路からの前記制御信号を受けた前記MIS型トランジスタによって生成されるランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズの帯域fRTNより小さい。
【0018】
このイメージセンサによれば、制御信号の印加により、ランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズのスペクトル密度を下げランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズのスペクトル帯域の上限を大きくできる。積分器の帯域fINTは、積分回数とサンプリング周期とに関係している。サンプリング周期は制御信号によって決定される読出状態と関係づけられており、所望の帯域fINTを得るように積分回数を調整することが好ましい。
【0019】
本発明に係るイメージセンサでは、前記処理回路は、前記画素からの信号を増幅する信号読み出し回路を有しており、前記信号読み出し回路の帯域fAMPは、前記制御回路からの前記制御信号を受けた前記MIS型トランジスタによって生成されるランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズの帯域fRTNより小さい。
【0020】
このイメージセンサによれば、制御信号の印加により、ランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズのスペクトル密度を下げランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズのスペクトル帯域の上限を大きくできる。また、信号読み出し回路の回路定数を調整して、所望の利得帯域fAMPを得ることができる。
【0021】
本発明に係るイメージセンサは、前記処理回路に接続された保持キャパシタを更に備え、前記保持キャパシタは、前記信号読み出し回路の出力からの信号を保持することができる。このイメージセンサによれば、保持キャパシタは処理回路の負荷となり、処理回路の利得帯域を狭めるように作用する。
【0022】
本発明に係るイメージセンサでは、前記画素は、リセットレベルを示す第1の信号と、信号レベルを示す第2の信号とを提供することができる。前記イメージセンサは、前記リセットレベルに対応しており前記処理回路によって生成された第1の読出信号を保持する第1の保持回路と、前記信号レベルに対応しており前記処理回路によって生成された第2の読出信号を保持する第2の保持回路とを更に備えることができる。
【0023】
このイメージセンサによれば、リセットレベル及び信号レベルの各々に対して、ランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズの影響が低減される。
【0024】
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、イメージセンサ内の画素からの信号に含まれるランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズを低減可能なイメージセンサが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明のイメージセンサに係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
【0027】
図1は、本実施の形態に係るイメージセンサの構成を示す図面である。イメージセンサ11は、画素13、制御回路15、及び処理回路17を備える。このイメージセンサ11は、画素13のランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズ(RTS:random telegraph signal)の影響を低減可能である。画素13はセンサ回路19と選択回路21とを有しており、センサ回路19はセンサ素子19aを含んでおり、センサ素子19aは、光Lに応答して光電流を生成する。センサ素子19aは、例えばフォトダイオードであることが好ましい。選択回路21は、センサ素子19aからの信号VSENを増幅するMIS型トランジスタ(以下、「増幅用トランジスタ」と記す)21aを含む。増幅用トランジスタはnチャネル型を有することができる。制御回路15は、画素13内の選択回路21に接続されており、画素13の読み出し期間中に、増幅用トランジスタ21aのRTSノイズのノイズシェイピングを生じさせて画素13のRTSのスペクトルの帯域を拡大してRTSノイズのスペクトル密度を小さくすると共に画素13に読出状態を設定するための制御信号SCONTを生成する。制御信号SCONTは選択回路に提供され、当該画素13の読出状態において増幅用トランジスタ21aの動作状態は制御信号SCONTによって変更される。処理回路17は、画素13からの信号SDATAをカラム線を介して読み出す。画素13からの信号SDATAにハイカットフィルタリング処理を施すように、この読出は行われる。
【0028】
増幅用トランジスタ21aによって発生されるRTSのスペクトルは、比較的低い周波数の領域に分布する。このイメージセンサ11によれば、選択回路21内の増幅用トランジスタ21aは、読み出し期間中にノイズシェイピングのための制御信号SCONTを受ける。この制御信号SCONTに応じて画素13のRTSのスペクトルは成形され、この成形により、RTS帯域は、RTSノイズのスペクトル密度を小さくするように拡大される。拡大された帯域のノイズスペクトルは、上記の低い周波数領域よりも広い周波数の範囲にわたって分布して、そのノイズスペクトル密度は小さくなる。処理回路17は、変更されたスペクトルを有するRTSを生成する画素13からの信号SDATAを受ける。処理回路17は、ハイカットフィルタリング処理を施して読み出し信号SOUTを生成するので、この読み出し信号SOUTへのRTSの影響は低減される。
【0029】
イメージセンサ11では、制御信号SCONTは、ノイズシェイピングのために増幅用トランジスタ21aに複数回のスイッチング動作を行うためのスイッチング動作期間を設定すると共に、読出状態において選択回路21に複数回の読出期間を設定することができる。このイメージセンサ11によれば、画素13は、複数回のスイッチング動作及び複数回の読出状態に置かれる。これ故に、増幅用トランジスタ21aの動作状態は読み出し期間中に複数回の変化を受けてキャリアのトラップ及びデトラップが生じて、そのRTSノイズのスペクトルはそのスペクトル密度下げるように変更される。スイッチング動作期間及び読出期間は交互に配置されることが好ましく、またその配置は周期的であることがより好ましい。
【0030】
画素13の一例として、CMOSイメージセンサセルがある。CMOSイメージセンサセルでは、例えば図1に示されるように、センサ素子19aとして、例えば埋込型フォトダイオードが用いられる。センサ回路19は、センサ素子19aと増幅用トランジスタ21aと間に接続された伝達トランジスタ19bと、蓄積ノード19cをリセットするためのリセットトランジスタ19dとを含む。伝達トランジスタ19bのゲートはX伝達制御信号TXを受けており、リセットトランジスタ19dのゲートはリセット信号Rを受けている。蓄積ノード19cは、増幅用トランジスタ21aのゲートに接続されている。選択回路21は、増幅用トランジスタ21aと直列に接続された選択トランジスタ21bを含んでおり、増幅用トランジスタ21aに流れる電流は、選択トランジスタ21bに流れる。選択トランジスタ21bのゲートは選択信号Sを受けている。選択回路21は、電源端子22a、カラム線に接続された信号出力22b、及びセンサ回路19に接続された制御入力22cを有している。このCMOSイメージセンサによれば、CMOSイメージセンサセルのランダム・テレグラフ・シグナル・ノイズをイメージセンサのカラムにおける信号処理により低減し、低ノイズを実現できる。
【0031】
増幅用トランジスタ21aでは、ゲートが制御入力22cからの信号を受け、ソース及びドレインの一方は信号出力22bに接続され、ソース及びドレインの他方が電源端子22aに接続されている。ソース及びドレインの少なくともいずれか一方が制御信号SCONTを受けることが好ましい。ソース及びドレインの少なくともいずれか一方に制御信号SCONTを加えれば、増幅用トランジスタ21aのMIS構造における印加電界を変えて、チャネルキャリア密度を変更できる。
【0032】
図1を参照すると、処理回路17からの読み出し信号SOUTは、保持回路23によって保持される。イメージセンサ11における画素13が、リセットレベルを示す第1の信号S1と、信号レベルを示す第2の信号S2とを生成するとき、処理回路17は第1及び第2の信号S1、S2をそれぞれ処理して読み出し信号SOUT1、SOUT2を生成する。保持回路23は、読み出し信号SOUT1、SOUT2を保持する。このイメージセンサ11によれば、リセットレベル及び信号レベルの各々に対して、RTSノイズが低減される。A/D変換回路25は、保持回路23からの信号のディジタル化処理を行っており、必要な場合には、リセットノイズキャンセル処理を行うことができる。また、イメージセンサ11は、画素13のアレイ7を含み、アレイ7のカラムには、信号処理回路9がアレイ状に配置されている。タイミング回路28は、画素13及びその他の回路等を制御するための信号を提供する。
【0033】
引き続き、ノイズシェイピングによるRTSスペクトルの帯域拡大を説明する。n型MOS電界効果トランジスタを強反転状態にすると、そのチャネルには十分高い濃度の電子が生成される。このため、シリコンとシリコン酸化膜との界面のトラップ(界面準位)の大部分が長い時間にわたって電子で満たされた状態にある。トラップにある電子がトラップから放出されることもあり、チャネル電子が、空いたトラップに捕獲されることもある。この電子の捕獲及び放出がMOS電界効果トランジスタにおけるランダムノイズの発生原因となる。ランダムノイズは、1/fノイズや、RTSノイズと呼ばれる。例えば。1/fノイズは、いろいろな時定数をもったRTSノイズが重なり合って観測されるものであると言われている。
【0034】
ランダムノイズの挙動を理解するために、まず1つのトラップによるRTSノイズの振る舞いを考える。トランジスタのシリコン酸化膜内のトラップに電子が捕獲されると、そのトランジスタのしきい値電圧が高くなる。これ故に、そのトランジスタの電流端子に定電流の負荷が接続されたソースフォロワ回路の出力電圧を観測したとき、そのしきい値電圧変動に対応してチャンネル電流が変化する。このため、ソース電圧にRTSの波形が観測される。また、トランジスタのゲート・ソース間に一定の電圧VGS0を加えてトランジスタのドレイン電流を直接観測したとき、しきい値電圧変動に対応してチャンネルの電子密度が変化する。このため、ドレイン電流にRTS波形が観測される。これらのRTS波形から、n型MOS電界効果トランジスタの閾値の変動が見積もられる。
【0035】
図2は、RTSノイズによりn型MOS電界効果トランジスタの閾値の変動及び閾値変動の波形のスペクトルを示す。n型MOS電界効果トランジスタを飽和領域で動作させると共に、該トランジスタにあまり大きな電流を印加しないとき、界面トラップが電子を捕獲するまでの平均時間が比較的長くなる。閾値変動の波形として、図2(a)に示すような波形が観測される。図2(a)において、「τc1」はトラップが電子を捕獲する平均時間を示し、n型MOS電界効果トランジスタのトラップにおける捕獲Cと放出Eによる信号波形は、ローレンツ型のスペクトルを有する。図3は、電子の捕獲と放出による信号波形のスペクトルSp1を示す。τc1が大きいほど、スペクトルの成分が低い周波数で大きくなる。トラップが電子を放出するまでの平均時間「τe1」が電子を捕獲する平均時間τc1に等しいとき、図2(b)に示される式(1)で表される。
【0036】
このようなスペクトルをもつ信号の実効値は、図2(c)に示される式(2)で表される。式(2)を参照すると、信号の実効値はτc1に無関係にある。図3は、また、スペクトルSp2を示す。スペクトルSp2では、トラップが電子を捕獲する平均時間は「τc2」である。スペクトルSp2は、図2(d)に示すような閾値変動によって生成される。「τc2」が「τc1」より十分に小さく、且つ「τe2」が「τe1」より十分に小さいとき、スペクトルSp2は、全体に低いスペクトル密度であり、広い高い周波数まで成分をもつ。図3において、スペクトルSp1の面積A1はスペクトルSp2の面積A2に等しく、スペクトルSp1からスペクトルSp2に変化しても、ノイズの実効値は変化しない。
【0037】
MOS電界効果トランジスタのチャネルの電子密度を繰り返し変化させることによって、電子の捕獲Cと放出Eによる閾値変動の信号波形を、スペクトルSp1からスペクトルSp2に変化させることができる。トランジスタのチャネル電子密度の変化は、例えばトランジスタを動作させて飽和領域における動作と線形領域における動作とに繰り返し行うことにより得られる。このような繰り返しにより、トラップにおける電子の平均捕獲時間を短くすることができる。したがって、ノイズシェイピングによるRTSスペクトルの帯域の拡大とRTSスペクトル密度の低減とが達成される。この画素からの信号を読み出すとき、その信号のRTSノイズのスペクトルは、スペクトルSp1よりはSp2のスペクトルに近い。これ故に、画素からの信号を、利得帯域が制限された回路を用いて読み出すことによって、RTSノイズを部分的に除くことができる。例えば、画素からの信号にハイカットフィルタリング処理(或いは、ローパスフィルタリング処理、またはこれらの処理の少なくともいずれか一方の処理)を施すように読み出せば、RTSノイズが低減される。
【0038】
MOS電界効果トランジスタのトラップに電子が捕獲される確率は、MOS界面の電子濃度に比例すると考えられる。また、MOS電界効果トランジスタで発生するRTSノイズに関する実験結果によれば、大きなドレイン電流がトランジスタに流れるとき、トラップに電子が捕獲された状態の時間は、トラップから電子が放出されている状態の時間よりも長くなる。大きなドレイン電流ではチャネルの電子濃度が大きくなると共に、ゲート電極には大きな電圧が印加されてゲート酸化膜中の電界も強くなる。これ故に、電子がトラップに引きつけられやすい。
【0039】
上記の2つの理由により、以下の事項がトラップへの電子捕獲を促進するために有効である:(1)チャネルの電子濃度を高くすること、(2)ゲート電極と基板の間に大きな電圧を加えること。
【0040】
ノイズシェイピングを実現するための具体例を示す。
その一:MOS電界効果トランジスタを線形領域で動作させると共に、ゲート絶縁膜には大きな電圧を印加する。
その二:ソースとドレインとの間に0ボルトまたは0ボルトに近い値の電圧を印加すると共に、ゲート絶縁膜には大きな電圧を印加する。
長い時間にわたって飽和領域で動作するMOS電界効果トランジスタでは、電子がMOS界面のトラップから放出されてしまうので、トラップに電子を供給するためにMOS電界効果トランジスタに電圧を加える期間を設ける。
【0041】
図4(b)に示されるように、画素の選択回路といったアナログ回路内のMOS電界効果トランジスタが飽和領域で動作するとき、ドレイン近傍のチャネルは空乏状態にある或いは低い電子濃度の状態にある。その結果、ドレイン近傍のMOS界面に存在するトラップでは、電子捕獲の確率が低くなる。そこで、図4(c)に示されるように、例えばソースとドレインとの間に0ボルトまたは0ボルトに近い値の電圧を印加する期間をMOS電界効果トランジスタに設けて、十分に大きな濃度の電子をチャネル領域の全体に供給する。この電子供給期間では、トラップの電子捕獲が容易に生じる。故に、電子供給期間と飽和領域での動作期間とを交互に(好ましくは周期的に)配置して、電子の捕獲と放出の繰り返しを促進する。
【0042】
飽和領域の動作で電子が放出されたトラップが、図4(a)に示される波形B(VDS)の電圧印加によって、次の電子供給期間中に電子を捕獲するものとすると、RTSノイズの波形は、波形C(With Switching)のようになり、波形A(Without Switching)に比べて電子の平均捕獲時間を短くできる。
【0043】
MOS電界効果トランジスタにおいて、ホールのアキュムレーションと電子反転層を繰り返して形成することによって1/fノイズを低減できる。しかしながら、ホールのアキュムレーションは、集積回路、例えばイメージセンサ等の実際の回路では使いにくい。なぜなら、MOS電界効果トランジスタをカットオフ状態にして、高濃度のホールをMOS界面に蓄積する電圧印加が難しいからである。
【0044】
本実施の形態では、MOS電界効果トランジスタを強反転状態に置いたままで、より強い強反転状態と相対的に弱い強反転状態との間でスイッチング動作を行わせる。このスイッチング動作によって1/fノイズやRTSノイズを低減できる。なお、相対的に弱い強反転状態は、そのMOS電界効果トランジスタを実際に信号の読み出しに使う状態であり、MOS電界効果トランジスタは飽和領域で動作している。より強い強反転状態の具体例としては以下のものがある。(1)MOS電界効果トランジスタを線形領域で動作させる。(2)MOS電界効果トランジスタを飽和領域のままで、ドレイン電流を大きくする。
【0045】
このノイズシェイピング処理と帯域制限を利用した信号読み出し回路とにより、画素内の増幅用トランジスタのRTSノイズを低減できる。帯域制限を利用した読み出しのために、例えば増幅器および積分器を用いる。
【0046】
図5は、本実施の形態に係るイメージセンサの回路を示す図面である。図6は、図5に示されたイメージセンサの回路のためのタイミングチャートを示す図面である。タイミング回路28aは、画素13及びその他の回路等を制御するための信号を提供する。イメージセンサ11aは、制御回路15aを含んでおり、制御回路15aは、画素13の選択回路21の電源端子22aに接続されている。選択回路21の信号出力22bは、カラム線27を介してバイアス回路29に接続されており、バイアス回路29は、画素13の読み出しの際に、増幅用トランジスタ21aのためのバイアス電流I1を提供する。本実施例では、バイアス電流I1は、トランジスタ30aによって生成される。トランジスタ30aは、例えばMOS型電界効果トランジスタであり、電圧源30bによって生成されゲートに受けるバイアス信号Vbiasに応じたバイアス電流I1を流す。カラム線27には、代表的な画素13が接続されており、さらに複数の画素が画素13と同様に接続されている。イメージセンサ11aは、更に処理回路17aを含んでおり、処理回路17aは、カラム線27を介して画素13からの信号を受ける。処理回路17aからの読み出し信号SOUTは保持回路23aに提供され、保持回路23aは、受けた信号SOUTを保持する。保持回路23aは、例えば相関二重サンプリング(CDS)回路である。
【0047】
図6を参照すると、読み出し期間は、リセットレベルVの読出のための期間Tと信号レベルVの読出のための期間Tとを含む。リセットレベル期間Tでは、画素13のリセットトランジスタ19dがリセット信号R(R(i))に応答して拡散ノード19cをリセットする。拡散ノード19cの信号は、増幅用トランジスタ21aのゲートに提供される。選択回路21の選択トランジスタ21bは、信号S(S(i))に応答して電源端子22aと信号出力22bとの間の電流経路を導通させる。カラム線27には、リセットレベルVが生成される。同様に、信号レベル期間Tでは、画素13の伝達トランジスタ19bが伝達信号TX(TX(i))に応答して導通して、フォトダイオード19aからの電荷が拡散ノードに転送される。この信号は、増幅用トランジスタ21aのゲートに提供される。選択回路21の選択トランジスタ21bは、信号S(S(i))に応答して電源端子22aと信号出力22bとの間の電流経路を導通させる。カラム線27には、信号レベルVが生成される。
【0048】
図5を参照すると、制御回路15aは、信号φ1d(信号φ1と実質的に同等の信号)に応答するスイッチ31と信号φsに応答するスイッチ33とを含む。スイッチ31の一端31aは、電源線VDDといった第1のレベルを提供する供給回路32aに接続されており、他端31bは制御回路15aの出力16aに接続されている。スイッチ33の一端33aは、接地線といった第2のレベルを供給する供給回路32bに接続されており、他端33bは制御回路15aの出力16aに接続されている。図6を参照すると、タイミング回路28aによって提供された信号φ1d及び信号φsに応答して、スイッチ31、33は交互に導通する。制御信号SCONTには、第1及び第2のレベルが交互に現れる。第1のレベルの電位は第2のレベルの電位と異なっており、この違いにより、画素13の読み出し期間中に、選択回路21の増幅用トランジスタ21aには、少なくとも2種類のバイアス条件の下に置かれる。この結果、RTSノイズのノイズシェイピングによるRTSスペクトルの帯域が拡大されて、RTSノイズスペクトル密度が小さくされる。本実施例では、第1のレベルの電位は第2のレベルより高い。
【0049】
リセットレベル及び信号レベルの読出は、制御信号SCONTを用いて、以下のように行われる。スイッチ31の非導通及びスイッチ33の導通の期間TL1では、選択回路21の電源端子には接地電位が提供され、増幅用トランジスタ21aは非飽和領域にある。増幅用トランジスタ21aのチャネルの電子密度は高い。より具体的には、増幅用トランジスタ21aのソース及びドレインには接地電位が印加され、ゲートには、センサ回路19からの信号が印加されている。また、スイッチ31の導通及びスイッチ33の非導通の期間TL2では、選択回路21の電源端子には読み出しのための電位(例えばVDD)が提供される。増幅用トランジスタ21aへの電源電圧の印加に応答して、増幅用トランジスタ21aのチャネルの電子密度は、ドレイン近傍において低くなる。より具体的には、バイアス回路29からの電流が、制御回路15aから供給され、また選択回路21の増幅用トランジスタ21aに流れる。カラム線27の電位は、拡散ノード19cに電位に応じた値なる。
【0050】
上記の説明によれば、制御回路15aからの信号SCONTにより、読み出し期間中に、増幅用トランジスタ21aのチャネルの電子密度が変更されており、また、ゲート絶縁膜に印加される電界も変更されている。期間TL1及び期間TL2は、期間Tより十分に短いので、増幅用トランジスタ21aは、読み出し期間中に複数回の電位の変更を受ける。この変更によりトラップにおいて電子の放出及び捕獲が強制的に引き起こされる。故に、トラップの放出状態及び捕獲状態の緩和時間は平均値として短くできる。
【0051】
画素13からの信号SDATAは、カラム線27を介して処理回路17aに提供される。処理回路17aは、増幅回路を用いた帯域制限を利用してハイカットフィルタリング処理を行うように、読出状態の画素からの信号SDATAを読み出す。処理回路17aの信号読み出し回路35aでは、制御信号SCONTの印加によりRTSノイズのスペクトル帯域の上限を大きくできる。また、信号読み出し回路35aの回路定数を調整して、所望の利得帯域fAMPを得ることができる。故に、信号読み出し回路35aの帯域fAMPは、制御回路15aからの制御信号SCONTを増幅用トランジスタ21aに加えるとき増幅用トランジスタ21aによって生成されるRTSノイズの帯域fRTNより小さい。
【0052】
帯域制限は、処理回路17a(或いは信号読み出し回路35a)の出力にキャパシタ(例えば、CDS回路内のキャパシタ)を接続することによって提供される。このキャパシタは、処理回路17aの負荷となり、処理回路17aの利得帯域を狭めるように作用する。このキャパシタのキャパシタンスは比較的大きな値なので、出力信号を保持するための利用できる。
【0053】
この帯域制限を具体的に説明する。既に説明したように、画素19からの信号の読み出しでは、RTSノイズの周波数成分の帯域に比べて増幅器の帯域を十分低くすることによってノイズ低減が可能となる。RTSノイズの帯域fcは、以下の式(1)で表される:
fc=1/(2π×τc2) (1)
τc2は制御信号VCONTの印加された増幅用トランジスタの平均放出時間である。
キャパシタンス比で増幅率を規定する増幅回路に演算増幅回路として伝達コンダクタンス型アンプを用いるとき、この増幅回路の帯域fcaは、近似的に式(2)で規定される。
fca〜gma/(2π×G×C) (2)
である。記号Gは、増幅回路のゲイン(C1/C2)であり、記号gmaは演算増幅回路の伝達コンダクタンスであり、記号Cは演算増幅回路の出力に接続される負荷容量である。したがって、ゲインを十分大きくとるとともに、オペアンプの伝達コンダクタンスを小さくし、負荷容量を大きくすることによって、アンプの帯域を低くすることができる。これにより、
fca<<fc
となるように、制御信号VCONTを発生すると共に処理回路17aを設計する。ただし、増幅回路の応答時間tのセットリング誤差を1%以下に収めるためには、
〜4.6×G×C/gma (3)
となる。故に、帯域を低くしすぎると増幅回路の応答ができなくなるので、応答時間tを、画素13のリセットレベル及び信号レベルそれぞれの読み出し時間より短く設定する。
【0054】
再び図5を参照すると、信号読み出し回路35aは、信号SDATAを受けて、その増幅を行う増幅回路39を含む。増幅回路39は、第1及び第2のキャパシタ45、47と、キャパシタ45、47と共に増幅を行う演算増幅回路49とを含むことができる。第1及び第2のキャパシタ45、47のキャパシタンス比(C1/C2)は、増幅回路39の増幅率を規定する。増幅回路39では、キャパシタ41の一端とカラム線27との間にスイッチ43が接続されている。キャパシタ45がスイッチ43と演算増幅回路49の入力(例えば、反転入力)との間に接続されており、キャパシタ47及びリセットスイッチ51が、演算増幅回路49の入力(例えば、反転入力49a)と出力(例えば、非反転出力49b)との間に接続されている。演算増幅回路49の別の入力49cには参照信号線が接続されており、参照信号VCOMが与えられる。制御信号SCONTに応答して、信号読み出し回路35a出力は、例えば図6に示されたVAMPのように変化する。
【0055】
保持回路23は、第1及び第2の保持回路23a、23bを含む。第1の保持回路23aは、リセットレベルに対応しており処理回路17aによって生成された読出信号を保持する。また、第2の保持回路23bは、信号レベルに対応しており処理回路17aによって生成された別の読出信号を保持する。このイメージセンサ11aによれば、リセットレベル及び信号レベルの各々に対して、RTSノイズの影響が低減される。
【0056】
第1の保持回路23aは、保持キャパシタ53aと、保持キャパシタ53aの一端と保持回路23の入力との間に接続されたスイッチ55aとを含むことができる。スイッチ55aは信号φSH1に応答して動作し、リセットレベルの読み出し期間Tに閉じられている。第2の保持回路23bは、保持キャパシタ53bと、保持キャパシタ53bの一端と保持回路23の入力との間に接続されたスイッチ55bとを含むことができる。スイッチ55bは信号φSH2に応答して動作し、信号レベルの読み出し期間Tに閉じられている。第1及び第2の保持回路23a、23bにおいて、保持キャパシタ53a、53bの一端は、それぞれ、スイッチ57a、57bを介してリセットレベルライン59a、信号レベルライン59bも接続されている。スイッチ57a、57bは、信号HS(i)に応答する。
【0057】
図7は、本実施の形態に係るイメージセンサの回路を示す図面である。図8は、図7に示されたイメージセンサの回路のためのタイミングチャートを示す図面である。タイミング回路28bは、画素13及びその他の回路等を制御するための信号を提供する。イメージセンサ11bは、制御回路15aを含むと共に、処理回路17aに替えて処理回路17bを含む。イメージセンサ11bでは、制御回路15aが用いられるので、イメージセンサ11bと同様にRTSノイズのスペクトラムのシェイピングが行われる。処理回路17bは、画素13からの信号SDATAを受ける積分器を含む信号読み出し回路35bを有することができる。積分器より、読み出しに際してハイカットフィルタリング処理が可能になる。積分器の帯域fINTは、上記のRTSノイズの帯域fRTNより小さい。
【0058】
信号読み出し回路35bは、読出状態において信号SDATAを受けるサンプリング回路61と、サンプリング回路61によってサンプリングされた信号SSAMPを積分する積分回路63とを含む。積分器の帯域fINTは、積分回数とサンプリング周期とに関係している。このイメージセンサによれば、制御信号VCONTの印加によりRTSノイズのスペクトル帯域の上限を大きくして、ノイズスペクトル密度を下げることができる。サンプリング周期は制御信号VCONTによって決定される読出状態と関係づけられており、所望の帯域fINTを得るように積分回数を調整することができる。
【0059】
この帯域制限を具体的に説明する。既に説明したように、画素からの信号の読み出しでは、積分器を用いた場合の積分器の帯域は、式(4)で表される。
INT〜1/(π×M×T) (4)
記号Mは、積分器のサンプリング回数であり、記号Tは1サンプリングの周期を示す。
INT<<f
となるようにサンプリング回数M及びサンプリング周期Tを設定する。
【0060】
サンプリング回路61は、サンプリング用キャパシタ65を含む。キャパシタ65の一端65aは、信号φ1d(信号φ1と実質的に同等の信号)に応答するスイッチ67aを介してカラム線27に接続されており、また信号φ2d(信号φ2と実質的に同等の信号)に応答するスイッチ67bを介して参照信号線(VCOM)に接続されている。キャパシタ65の他端65bは、信号φ2に応答するスイッチ69aを介して積分回路63の入力に接続されており、また信号φ1に応答するスイッチ69bを介して参照信号線(VOM)に接続されている。積分回路63では、キャパシタ71及びリセットスイッチ75が、演算増幅回路73の入力(例えば、反転入力73a)と出力(例えば、非反転出力73b)との間に接続されている。演算増幅回路49の別の入力(例えば、非反転入力73c)には参照信号線が接続されており、参照信号VCOMが与えられる。制御信号SCONTに応答して、信号読み出し回路35b出力は、例えば図8に示されたVINTのように変化する。保持回路23は、信号読み出し回路35b出力を受ける。
【0061】
図9は、本実施の形態に係るイメージセンサの回路を示す図面である。図6は、また図10に示されたイメージセンサの回路のためのタイミングチャートを示している。タイミング回路28cは、図6に示されたクロック信号等を提供する。イメージセンサ11cは、画素13及び処理回路17aを含む。イメージセンサ11cは、更に、制御回路15aに替えて制御回路15bを含む。この実施例では、制御回路15b内にはバイアス回路29が含まれていてもよい。また、画素13の選択回路21の電源端子は、電源線VDDに接続されている。制御回路15bは、カラム線27を介して画素13の選択回路21の信号出力22bに接続されている。制御回路15bは、制御信号SCONTを生成する電流回路75aと、電流回路75aとカラム線27との間に接続されたスイッチ75bとを含む。電流回路75aは、例えば供給回路34から提供されるバイアス信号(例えばバイアス信号Vbias)をゲートに受けるトランジスタを含む。制御回路15bのために、バイアス回路29とは別のバイアス回路を設けることができる。スイッチ75bは、タイミング回路28cによって提供される信号φsに応答する。電流回路75aは、スイッチ75bが閉じたときに、カラム線27に電流I2を提供する。読み出し期間中の全体にわたって、カラム線27にバイアス回路29から電流I1が提供されている。図6を参照すると、信号φsに応答して、スイッチ75bは周期的に導通して電流I2が提供される一方で、バイアス回路29のトランジスタ30aは連続的に導通して電流I1が提供される。
【0062】
リセットレベル及び信号レベルの読出は、制御信号SCONTを用いて、以下のように行われる。増幅用トランジスタ21aのチャネルの電子密度は高い。より具体的には、ゲートには、センサ回路19からの信号が印加されており、ドレインには電源電圧が印加されている。制御回路15bの導通及びバイアス回路29の導通の期間TL1では、選択回路21の信号出力にはバイアス電流I1+I2が提供され、増幅用トランジスタ21aは非飽和領域にある。増幅用トランジスタ21aには、バイアス電流I1+I2が流れるので、増幅用トランジスタ21aのソースの電位は下がり、ゲート−ソース間の電位差が大きくなり、チャネル界面におけるゲート電界が強まる。また、制御回路15bの非導通及びバイアス回路29の導通の期間TL2では、選択回路21の電源端子には電源電圧(例えばVDD)が印加されている。増幅用トランジスタ21aへの通常のバイアス電流I1(<I1+I2)の印加に応答して、増幅用トランジスタ21aのチャネルの電子密度は低くなる。より具体的には、バイアス回路29とは別のバイアス回路を設けることができる。ソースの電位は上昇し、ソース−ドレイン間の電位差が小さくなり、ゲート−ソース間の電位差が小さくなる。このため、チャネル界面におけるゲート電界が弱まり、増幅用トランジスタのドレイン近傍には、空乏層が生成しやすくなる。増幅用トランジスタ21aには、バイアス電流I1が流れる。
【0063】
制御信号SCONTに応答して、増幅用トランジスタのチャネル電子密度には、第1及び第2のレベルが交互に現れる。第1のレベルのチャネル電子密度は第2のレベルのチャネル電子密度と異なっており、この違いにより、画素13の読み出し期間中に、選択回路21の増幅トランジスタには、少なくとも2種類のバイアス条件の下に置かれる。この結果、RTSノイズのノイズシェイピングによるRTSスペクトルの帯域が拡大される。本実施例では、第1のレベルのチャネル電子密度は第2のレベルより高い。
【0064】
上記の説明によれば、制御回路15bからの信号SCONTにより、読み出し期間中に、増幅用トランジスタ21aのチャネルの電子密度が変更されており、また、ゲート絶縁膜に印加される電界も変更されている。期間TL1及び期間TL2は、期間Tより十分に短いので、増幅用トランジスタ21aは、読み出し期間中に複数回の電位の変更を受ける。この変更によりトラップにおいて電子の放出及び捕獲が強制的に引き起こされる。故に、トラップの放出状態及び捕獲状態の緩和時間は平均値として短くできる。
【0065】
図10は、本実施の形態に係るイメージセンサの回路を示す図面である。図8は、また図10に示されたイメージセンサの回路のためのタイミングチャートを示している。タイミング回路28dは、図8に示されたクロック信号等を提供する。イメージセンサ11dは、画素13及び処理回路17bを含む。イメージセンサ11dは、更に、制御回路15aに替えて制御回路15bを含む。制御回路15bは、イメージセンサ11cの実施の形態で説明したように、制御回路15bからの信号SCONTにより、読み出し期間中に、増幅用トランジスタ21aのチャネルの電子密度が変更されており、また、ゲート絶縁膜に印加される電界も変更されている。期間TL1及び期間TL2は、期間Tより十分に短いので、増幅用トランジスタ21aは、読み出し期間中に複数回の電位の変更を受ける。この変更によりトラップにおいて電子の放出及び捕獲が強制的に引き起こされる。故に、トラップの放出状態及び捕獲状態の緩和時間は平均値として短くできる。
【0066】
以上説明したように、本実施の形態によれば、イメージセンサ内の画素からの信号に含まれるRTSノイズを低減可能なイメージセンサ11、11a〜11dが提供される。回路図に示されたスイッチは、例えばMOS型トランジスタ、MOSアナログスイッチ等のトランジスタによって実現される。スイッチの種類は、これらの例示に限定されるものではない。
【0067】
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。例えば、本実施の形態では、MOS型電界効果トランジスタを参照しながらイメージセンサを説明したが、本実施の形態は、これ以外のMIS型トランジスタを含むイメージセンサにも適用される。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
【産業上の利用可能性】
【0068】
CMOSイメージセンサは、埋め込みフォトダイオードの応用により、フォトダイオード部の暗電流の低減、及びリセットノイズのキャンセルがなされたので、読み出しトランジスタが発生するノイズが支配的になっている。特に、トランジスタが微小になることにより発生するRTSが読み出しに関係するようになってきている。画素によっては、極端に大きなRTSノイズを発生する場合があり、その低減が、例えば極低照度でのCMOSイメージセンサの応用において重要な課題となっている。
【0069】
本発明の実施の形態では、イメージセンサのカラムに設けた回路における信号処理によりRTSノイズを低減し、低ノイズのCMOSイメージセンサを提供している。
【0070】
本発明の実施の形態では、画素内の増幅用トランジスタのRTSノイズを低減するために、増幅用トランジスタのチャネルの電子濃度を周期的に非常に大きくなるようにするスイッチング動作を加えると共に、画素からの信号を読み出す。具体的には、画素からの信号の多数回のサンプリングを行って積分処理を行う。読み出しは、画素のリセットレベル、信号レベルのそれぞれに対して行う。この結果、画素からの信号のRTSノイズが低減される。このスイッチング動作によって、RTSノイズに起因するチャネル界面におけるトラップへの平均捕獲時間が短くなり、そのノイズの周波数成分を高い周波数に分散させる。この結果、RTSノイズの低減が図られる。ノイズ低減の方法として、積分器の代わりに、容量比で増幅するアンプを用いることもできる。また、スイッチング方法として、画素内の増幅用トランジスタに対して、周期的に大きな電流を流すことによって、界面トラップへの平均捕獲時間を短くしても、RTSノイズを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、本実施の形態に係るイメージセンサの構成を示す図面である。
【図2】図2は、RTSノイズによりn型MOS電界効果トランジスタの閾値の変動及び閾値変動の波形のスペクトルを示す図面である。
【図3】図3は、電子の捕獲と放出による信号波形のスペクトルを示す図面である。
【図4】図4は、ノイズシェイピングのための制御信号とトランジスタのチャネル電子の状態を示す図面である。
【図5】図5は、実施の形態に係るイメージセンサの回路を示す図面である。
【図6】図6は、図5に示されたイメージセンサの回路のためのタイミングチャートを示す図面である。
【図7】図7は、別の実施の形態に係るイメージセンサの回路を示す図面である。
【図8】図8は、図7に示されたイメージセンサの回路のためのタイミングチャートを示す図面である。
【図9】図9は、更に別の実施の形態に係るイメージセンサの回路を示す図面である。
【図10】図10は、また更に別の実施の形態に係るイメージセンサの回路を示す図面である。
【符号の説明】
【0072】
7…画素アレイ、9…信号処理回路、11、11a〜11d…イメージセンサ、13…画素、15、15a、15b…制御回路、17、17a、17b…処理回路、19…センサ回路、19a…センサ素子、19b…伝達トランジスタ、19c…蓄積ノード、21…選択回路、21a…増幅用トランジスタ(MIS型トランジスタ)、21b…選択トランジスタ、22a…電源端子、22b…信号出力、22c…制御入力、27…カラム線、29…バイアス回路、35a、35b…信号読み出し回路、39…増幅回路、41…キャパシタ、45、47…第1及び第2のキャパシタ、49…演算増幅回路、61…サンプリング回路、63…積分回路、SCONT…制御信号、SDATA…カラム線上の信号、SOU、SOUT1、SOUT2…読み出し信号、S1…第1の信号、S2…第2の信号、τc1…トラップが電子を捕獲する平均時間、τe1…トラップが電子を放出するまでの平均時間、T…リセットレベルの読出のための期間、T…信号レベルの読出のための期間、V…リセットレベル、V…信号レベル、fAMP…信号読み出し回路の帯域、fRTN…増幅用トランジスタによって生成されるRTSノイズの帯域、
INT…積分器の帯域

特許の図
【出願人】 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
【出願日】 平成19年12月5日(2007.12.5)
【代理人】 【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹

【識別番号】100108257
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 伊知良

【識別番号】100124800
【弁理士】
【氏名又は名称】諏澤 勇司
【公開番号】 特開2009−141612(P2009−141612A)
【公開日】 平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願番号】 特願2007−315048(P2007−315048)