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【発明の名称】 圧電モータ
【発明者】 【氏名】高橋 博
【氏名】西村 修
【氏名】秋葉 敏克
【課題】無効トルクの最小化、可動範囲の向上及び装置全体の小型化を図ることができる圧電モータを提供する。

【解決手段】被駆動体105にそれぞれ接し互いに離間して設置され、被駆動体105を駆動させる複数の圧電ユニット102,103,104と、被駆動体105を非接触状態で磁気吸引することにより、複数の圧電ユニット102,103,104のそれぞれに予圧力を付与する磁石109とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
球状の被駆動体にそれぞれ接し互いに離間して設置され、前記被駆動体を安定に保持すると共に回転2自由度方向に駆動させる複数の圧電ユニットと、
前記被駆動体を非接触状態で磁気吸引することにより、前記複数の圧電ユニットのそれぞれに予圧力を付与する磁石とを備え、
前記複数の圧電ユニットのそれぞれは、
振動方向が前記基台と略水平方向となり且つ前記被駆動体の駆動方向と斜交するように設置された第1の圧電素子と、
前記第1の圧電素子の振動方向と略直角に交差するように前記基台に対して略垂直方向に配設された第2の圧電素子と、
前記被駆動体と接し、前記第1及び第2の圧電素子を連結し、前記第1及び第2の圧電素子の合成振動により前記被駆動体の駆動平面を動作平面として前記被駆動体を駆動させる駆動部とを備え、
前記磁石の予圧力が前記第1及び第2の圧電素子に付与されることを特徴とする圧電モータ。
【請求項2】
基台と、
球状の被駆動体にそれぞれ接し互いに離間して設置され、前記被駆動体を安定に保持すると共に回転3自由度方向に駆動させる複数の圧電ユニットと、
前記被駆動体を非接触状態で磁気吸引することにより、前記複数の圧電ユニットのそれぞれに予圧力を付与する磁石とを備え、
前記複数の圧電ユニットのそれぞれは、
それぞれの中立軸線が交点を有し、振動方向が前記基台と略水平方向となり且つ前記被駆動体の駆動方向とそれぞれ斜交するように設置された第1及び第2の圧電素子と、
前記第1及び第2の圧電素子の振動方向と略直角に交差するように前記基台に対して略垂直方向に配設された第3の圧電素子と、
前記被駆動体と接し、前記第1〜第3の圧電素子を連結し、前記第1〜第3の圧電素子の合成振動により前記被駆動体の駆動平面を動作平面として前記被駆動体を駆動させる駆動部とを備え、
前記磁石の予圧力が前記第1〜第3の圧電素子に付与されることを特徴とする圧電モータ。
【請求項3】
前記磁石が、前記複数の圧電ユニットのそれぞれの位置を直線で結んで形成される多角形状の領域内に配設されることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電モータ。
【請求項4】
前記磁石を複数有し、該複数の磁石が前記圧電ユニットのそれぞれの設置位置近傍にそれぞれ配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧電モータ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電ユニットを用いて被駆動体を駆動させる圧電モータ及び圧電モータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視カメラ等の指向方向制御やロボットの関節部などに代表される多自由度回転駆動制御系の分野では、単一軸駆動モータを直列多段に積み上げた構成の駆動機構或いはモータシステムが広く用いられている。また、小型高精度化の観点では、ジンバル機構やジョイント機構による支持系と、別途配設された電磁モータ等による駆動系から構成された多自由度型駆動機構或いは多自由度型モータシステムが採用される場合がある。しかしながら、ジンバル機構やジョイント機構を基本構造とした従来の駆動機構或いはモータシステムでは、構造が複雑化するため小型化に限界があり、必ずしも満足したものではなかった。状況を鑑み、近年では圧電素子を用いた球面モータの研究開発が注目されている。特に、圧電ユニットを用いて被駆動体である球体を摩擦力により駆動する圧電モータは、次世代の小型高精度球面モータとして期待されている。
【0003】
圧電素子を用いた圧電モータとしては、特許文献1に記載された「ボールジョイントの角度変更装置」が知られている。このボールジョイントの角度変更装置は、ボールジョイントの球体を収納している球体収納部材内に所定配列により配設された3個の振動子(圧電ユニット)の各先端部が、球体に当接されている。また、この当接状態を維持するため、この球体は、同じく球体収納部材内に所定配列により配設された複数個のバネ部材により、振動子方向に付勢された構成とされている。この状態でこれらの振動子の各結合部が所望の所定方向に回転されるので、ボールジョイントの球体が所望の方向に回転される。それにより、ボールジョイントの角度が所定方向に変更される。この振動子(圧電ユニット)は先端部が結合されて一体化されている3個の振動素子(圧電素子)から構成されており、正三角錐の頂点を中心とする3本の稜の位置に振動素子(圧電素子)が配置されている。
【0004】
また、圧電ユニットを用いた圧電モータの他の従来例としては、特許文献2に記載された「撮像装置」が知られている。この撮像装置において、撮像ユニットは略球体であり、撮像光学系の部分を除き、その外周面は凸球面で構成されている。また、撮像ユニットの内部には、撮像光学系、CCD等の撮像素子が設けられている。撮像ユニットの筐体(球体)は、例えば磁性材料で形成されており、その凸球面部分は環状磁石からなる保持部材に吸着されている。保持部材は、撮像装置本体に固定されている。結果的に、撮像ユニットは保持部材の磁力により撮像装置本体に旋回可能に保持される。環状の保持部材の中央の開口部分の中央には、駆動機構が設けられている。駆動機構は、2次元圧電アクチュエータとそのほぼ中央部に設けられた摩擦部材等で構成されている。摩擦部材は、撮像ユニットの凸球面に当接し、2次元圧電アクチュエータの各腕の伸縮に伴って移動し、撮像ユニットを旋回させるように構成されている。
【0005】
特許文献1に記載された「ボールジョイントの角度変更装置」や特許文献2に記載された「撮像装置」によれば、ジンバル機構やジョイント機構の複雑さを解消し、小型で多自由度の駆動機構が実現できる。
【0006】
この種の圧電モータは摩擦駆動のため、被駆動体に圧電ユニットを押し付けて使用する必要がある。ところが、特許文献1においては、複数個のバネ部材を用いて予圧力を付与する構成となっており、バネ部材からなる予圧部及びその周辺部には球体を回転自在に支持するためのガイド部も実際には必要となる。これら予圧部及びガイド部はモータの大型化と共に、可動範囲の縮小、摩擦による駆動負荷の増大(無効トルクの増大)を招いていた。また、球体と振動子及び複数個のバネ部材が全て球体収納部材内に配設されているため、装置全体として更に大型化する課題があった。
【0007】
また、特許文献2においては、撮像ユニットの凸球面部分を環状磁石からなる保持部材で吸着することで撮像ユニットを回転自在に支持するためのガイド部を構成していることから、ガイド部の摩擦による駆動負荷が大幅に増加(無効トルクの大幅な増加)するため、この摩擦による駆動負荷に打ち勝つだけの駆動力を駆動機構が発生しなければならず、結果的に装置全体として大型化する課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3065427号公報(図8)
【特許文献2】特開2000−165738号公報(図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、無効トルクの最小化、可動範囲の向上及び装置全体の小型化を図ることができる圧電モータ及び圧電モータシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明の一態様によれば、(イ)基台と、(ロ)球状の被駆動体にそれぞれ接し互いに離間して設置され、被駆動体を安定に保持すると共に回転2自由度方向に駆動させる複数の圧電ユニットと、(ハ)被駆動体を非接触状態で磁気吸引することにより、複数の圧電ユニットのそれぞれに予圧力を付与する磁石とを備え、複数の圧電ユニットのそれぞれは、振動方向が基台と略水平方向となり且つ被駆動体の駆動方向と斜交するように設置された第1の圧電素子と、第1の圧電素子の振動方向と略直角に交差するように基台に対して略垂直方向に配設された第2の圧電素子と、被駆動体と接し、第1及び第2の圧電素子を連結し、第1及び第2の圧電素子の合成振動により被駆動体の駆動平面を動作平面として被駆動体を駆動させる駆動部とを備え、磁石の予圧力が第1及び第2の圧電素子に付与される圧電モータが提供される。本願発明の他の態様によれば、(イ)基台と、(ロ)球状の被駆動体にそれぞれ接し互いに離間して設置され、被駆動体を安定に保持すると共に回転3自由度方向に駆動させる複数の圧電ユニットと、(ハ)被駆動体を非接触状態で磁気吸引することにより、複数の圧電ユニットのそれぞれに予圧力を付与する磁石とを備え、複数の圧電ユニットのそれぞれは、それぞれの中立軸線が交点を有し、振動方向が基台と略水平方向となり且つ被駆動体の駆動方向とそれぞれ斜交するように設置された第1及び第2の圧電素子と、第1及び第2の圧電素子の振動方向と略直角に交差するように基台に対して略垂直方向に配設された第3の圧電素子と、被駆動体と接し、第1〜第3の圧電素子を連結し、第1〜第3の圧電素子の合成振動により被駆動体の駆動平面を動作平面として被駆動体を駆動させる駆動部とを備え、磁石の予圧力が第1〜第3の圧電素子に付与される圧電モータが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、無効トルクの最小化、可動範囲の向上及び装置全体の小型化を図ることができる圧電モータ及び圧電モータシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る圧電モータシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る圧電モータの上面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る視線変更カメラモジュールの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る視線変更カメラモジュールの視線変更動作を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る視線変更カメラモジュールの構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る視線変更カメラモジュールの視線変更動作を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態の変形例に係る圧電モータの構成を示す上面図である。
【図8】本発明の実施の形態の変形例に係る圧電モータの構成を示す上面図(図7のB−B断面図)である。
【図9】本発明の実施の形態の変形例に係る圧電モータの構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
本発明の実施の形態に係る圧電モータシステムは、図1に示すように、被駆動体105を駆動する圧電モータ100と、圧電モータ100の動作を制御する制御部200を備える。圧電モータ100は、図1及び図2に示すように、略環状の基台101と、基台101に設置され、被駆動体105を直動或いは回転自在に支持する複数(第1〜第3)の圧電ユニット(2自由度圧電ユニット)102,103,104と、基台101に設置され、被駆動体105を非接触状態で磁気吸引することにより第1〜第3の圧電ユニット102,103,104のそれぞれに予圧力を付与する磁石109とを備える。
【0015】
磁石109は、例えば環状であり、Z軸上に被駆動体105と所定の隙間wを持って配設されている。磁石109は、被駆動体105を非接触状態で磁気吸引し、第1〜第3の圧電ユニット102,103,104に予圧力を付与する。磁石109としては、単体の電磁石、或いは永久磁石と電磁石との組み合わせが使用可能である。
【0016】
第1〜第3の圧電ユニット102,103,104は、被駆動体105を安定に保持するに必要な所定の配列を持って設けられており、図2に示す例ではZ軸を中心として周方向に120度で等配されている。
【0017】
第1の圧電ユニット102は、振動方向が基台101と略水平方向となり且つ被駆動体105の駆動方向と斜交するように設置された第1の圧電素子102aと、第1の圧電素子102aの振動方向と略直角に交差するように基台101に対して略垂直方向に配設された第2の圧電素子102bと、第1及び第2の圧電素子102a,102bを連結し、被駆動体105と接触点P1で接触し、それらの合成振動が摩擦を介して被駆動体105に駆動力を伝達するための駆動部106とを備える。
【0018】
第2の圧電ユニット103は、振動方向が基台101と略水平方向となり且つ被駆動体105の駆動方向と斜交するように設置された第1の圧電素子103aと、第1の圧電素子103aの振動方向と略直角に交差するように基台101に対して略垂直方向に配設された第2の圧電素子103bと、第1及び第2の圧電素子103a,103bを連結し、被駆動体105と接触点P2で接触し、それらの合成振動が摩擦を介して被駆動体105に駆動力を伝達するための駆動部107とを備える。
【0019】
第3の圧電ユニット104は、振動方向が基台101と略水平方向となり且つ被駆動体105の駆動方向と斜交するように設置された第1の圧電素子104aと、第1の圧電素子104aの振動方向と略直角に交差するように基台101に対して略垂直方向に配設された第2の圧電素子104bと、第1及び第2の圧電素子104a,104bを連結し、被駆動体105と接触点P3で接触し、それらの合成振動が摩擦を介して被駆動体105に駆動力を伝達するための駆動部108とを備える。
【0020】
第1及び第2の圧電素子102a,102b,103a,103b,104a,104bのそれぞれは、圧電セラミックス、電歪セラミックス、高分子圧電体、又はそれらの組み合わせやそれらの積層体が使用可能である。
【0021】
被駆動体105は、例えば球状であり、第1〜第3の圧電ユニット102,103,104との接触点P1,P2,P3で支持されて、位置が一意的に定まる。一方、被駆動体105の姿勢については幾何図形的には回転自在に支持されているが、第1〜第3の圧電ユニット102,103,104との接触点P1,P2,P3における摩擦力でその回転運動は拘束されており、第1〜第3の圧電ユニット102,103,104の動作が停止している。第1〜第3の圧電ユニット102,103,104と被駆動体105との間の摩擦力を超える大きな外力が働かない限り、被駆動体105の姿勢はその状態を保持されている。
【0022】
制御部200は、第1〜第3の圧電ユニット102,103,104の被駆動体105に対する予圧力を調整するための電磁石吸引力制御系である。制御部200は、圧電モータ100の取り付け面202に設置された姿勢角センサ201と、操作部203と、操作部203に接続された駆動波形生成部204と、駆動波形生成部204にそれぞれ接続されたアンプ205,206,207と、姿勢角センサ201及び駆動波形生成部204のそれぞれに接続された予圧設定部208と、予圧設定部208に接続された電磁石アンプ209を備える。
【0023】
姿勢角センサ201は、圧電モータ100の姿勢を計測し、姿勢情報S1を予圧設定部208へ伝達する。操作部203は、圧電モータ100の駆動条件等を設定し、操作信号C1を駆動波形生成部204へ伝達する。駆動波形生成部204は、操作部203からの操作信号C1に基づき、第1及び第2の圧電素子102a,102b,103a,103b,104a,104bに印加するための電圧波形(駆動信号)を生成する。アンプ205,206,207は、駆動波形生成部204からの駆動信号E1,E2,E3,E4,E5,E6に基づき、第1及び第2の圧電素子102a,102b,103a,103b,104a,104bに所定の駆動電圧V1,V2,V3,V4,V5,V6を印加する。
【0024】
予圧設定部208は、駆動波形生成部204からの印加電圧E1,E2,E3,E4,E5,E6の最大値(駆動信号)E0と、姿勢角センサ201からの姿勢情報S1を入力し、印加電圧の最大値E0と姿勢情報S1の情報に基づいて、予め定められた予圧値を参照又は所定の算出式を用いて予圧値M1を設定する。ここでは、印加電圧の最大値E0と姿勢情報S1の両方の情報を用いて予圧値M1を設定するように構成しているが、使用環境や使用状況及び要求精度等の観点から、印加電圧の最大値E0と姿勢情報S1の内いずれか一方の情報のみを用いて予圧値M1を設定しても構わない。電磁石アンプ209は、予圧設定部208にて設定された予圧値M1を入力し、予圧値M1に対応した磁気吸引力を発生するため、環状磁石109のコイル109aに印加するための電流A1を励磁する。
【0025】
圧電モータ100を作動し、被駆動体105の姿勢を変更する場合は、第1〜第3の圧電ユニット102,103,104のそれぞれの第1及び第2の圧電素子102a,102b,103a,103b,104a,104bにアンプ205,206,207を用いて所定の駆動電圧V1,V2,V3,V4,V5,V6を印加し、第1〜第3の圧電ユニット102,103,104の駆動部106,107,108は、公知の駆動方法に従う運動、例えば、楕円運動や急速変形運動を付与することによって、被駆動体105の姿勢を任意の2自由度方向に回転駆動する。
【0026】
このように、本発明の実施の形態に係る圧電モータ100を備える圧電モータシステムによれば、第1〜第3の圧電ユニット102,103,104によって被駆動体105を回転自在に支持すると共に、第1〜第3の圧電ユニット102,103,104の合成振動の組み合せによって被駆動体105を任意の2自由度方向に回転駆動させ、且つ環状磁石109が被駆動体105を非接触状態で磁気吸引して第1〜第3の圧電ユニット102,103,104に予圧力を付与する構成としているので、第1〜第3の圧電ユニット102,103,104との接触点P1,P2,P3以外の摩擦接触部を排除でき、他の構成部位での摩擦による駆動負荷が原理的に発生しない。その結果、無効トルクを最小化できるので、第1〜第3の圧電ユニット102,103,104の大幅な小型化が期待できる。
【0027】
また、第1〜第3の圧電ユニット102,103,104と磁石109が被駆動体105の下方(片側半球部近傍)に集中配置され、且つ磁石109が第1〜第3の圧電ユニット102,103,104のそれぞれの位置を直線で結んで形成される多角形状(三角形状)の領域内に配設された構成としているので、装置全体の小型化と共に、可動範囲の大幅な向上を実現可能となる。このような小型化と多自由度駆動が可能な特長を生かして監視カメラ等の指向方向制御やロボットの関節部としての利用が期待できる。
【0028】
また、第1〜第3の圧電ユニット102,103,104は、リング状に圧電素子を貼り付けてあるリング型振動子に比較して、振動変位(厚さ)は大きいが、発生力(面積)は小さい。発生力が小さいと、予圧力を大きくできず、初期予圧力に対して圧電モータ100の姿勢変化等に起因して生じる変動分の割合が大きくなる。圧電モータ100は摩擦駆動のため、この予圧力変動の割合が大きいと、駆動特性の安定性が損なわれる場合がある。本発明の実施の形態においては、圧電モータ100の姿勢や圧電ユニット印加電圧の最大値に応じて電磁石109の吸引力を制御し、圧電モータ100の姿勢や第1〜第3の圧電ユニット102,103,104の駆動状態の変化に応じて予圧力(電磁石109の磁気吸引力)を能動的に調整するように構成しているので、圧電モータ100の姿勢や第1〜第3の圧電ユニット102,103,104の駆動状態が変動した状況にあっても、駆動特性の安定性向上を実現可能となる。
【0029】
(第1の変形例)
本発明の実施の形態の第1の変形例として、圧電モータ100にカメラモジュールを搭載してなる視線変更カメラモジュールの構成を説明する。図3及び図4に示すように、視線変更カメラモジュール150は、圧電モータ100と、被駆動体151と、被駆動体151の内側中央部近傍に埋め込まれたカメラモジュール120を備える。
【0030】
カメラモジュール120は、被駆動体151内部に固定して配置される。被駆動体151は、第1〜第3の圧電ユニット102,103,104から駆動力が伝達される外周面が球面形状に加工されている。なお、視線変更カメラモジュール150は、撮影した画像を回転処理するための画像処理手段を必要に応じて備えている。
【0031】
圧電モータ100を作動させ被駆動体151を回転駆動すると、カメラモジュール120の視線方向を任意の2自由度方向に変更することができる。例えば、図4では垂直方向(上方)を向いていたカメラモジュール120の視線方向D1を、図5及び図6に示すような水平方向(横方向)の視線方向D2に変更することができる。
【0032】
また、図1及び図2に示した圧電モータ100と異なる部分についてのみ説明し、共通する部分については重複した説明を省略する。
【0033】
本発明の実施の形態の第1の変形例に係る視線変更カメラモジュール150によれば、第1〜第3の圧電ユニット102,103,104と環状磁石109が、カメラモジュール120を搭載した被駆動体151の下方(片側半球部近傍)に集中配置された構成としているので、装置全体の小型化を実現しつつ、周囲360度(全方位と呼ぶ)の画像が撮影できる。
【0034】
(第2の変形例)
本発明の実施の形態の第2の変形例に係る圧電モータ300は、図7及び図8に示すように、被駆動体105と、略環状の基台301と、この基台301に設置され、Z’軸を中心として周方向に120度で等配された第1〜第3の圧電ユニット(3自由度圧電ユニット)302,303,304と、Z’軸上に被駆動体105と所定の隙間wを持って配設された環状磁石109を備える。
【0035】
環状磁石109は、被駆動体105を非接触状態で磁気吸引することにより、第1〜第3の圧電ユニット302,303,304に予圧力を付与する。
【0036】
第1の圧電ユニット302において、第1〜第3の圧電素子302a,302b,302cの中立軸線が互いに略直角に交差し交点を有するように配設されている。第1及び第2の圧電素子302a,302bはそれらの振動方向が基台301に略水平方向となるように設けられている。第3の圧電素子302cはその振動方向が基台301に略垂直方向となるように設けられている。駆動部306は、第1〜第3の圧電素子302a,302b,302cを連結し、それらの合成振動が接触点P4での摩擦を介して被駆動体105に駆動力を伝達する。
【0037】
第2の圧電ユニット303において、第1の圧電素子303a、第2の圧電素子303b及び第3の圧電素子(図示せず)の中立軸線が互いに略直角に交差するように配設されている。第1及び第2の圧電素子303a,303bはそれらの振動方向が基台301に略水平方向となるように設けられている。第3の圧電素子(図示せず)はその振動方向が基台301に略垂直方向となるように設けられている。駆動部307は、第1の圧電素子303a、第2の圧電素子303b及び第3の圧電素子(図示せず)を連結し、それらの合成振動が摩擦を接触点P5での介して被駆動体105に駆動力を伝達する。
【0038】
第3の圧電ユニット304において、第1〜第3の圧電素子304a,304b,304cの中立軸線が互いに略直角に交差するように配設されている。第1及び第2の圧電素子304a,304bはそれらの振動方向が基台301に略水平方向となるように設けられている。第3の圧電素子304cはその振動方向が基台301に略垂直方向となるように設けられている。駆動部308は、第1〜第3の圧電素子304a,304b,304cを連結し、それらの合成振動が接触点P6での摩擦を介して被駆動体105に駆動力を伝達する。
【0039】
被駆動体105は、第1〜第3の圧電ユニット302,303,304との接触点P4,P5,P6で支持されて位置が一意的に定まる。一方、被駆動体105の姿勢については幾何図形的には回転自在に支持されているが、第1〜第3の圧電ユニット302,303,304との接触点P4,P5,P6における摩擦力でその回転運動は拘束されており、第1〜第3の圧電ユニット302,303,304の動作が停止していると共に、被駆動体105との間の摩擦力を超える大きな外力が働かない限り、被駆動体105の姿勢はその状態を保持されている。
【0040】
圧電モータ300を作動し、被駆動体105の姿勢を変更する場合は、第1〜第3の圧電ユニット302,303,304の第1〜第3の圧電素子302a,302b,302c,303a,303b,303c,304a,304b,304cに図示を省略したアンプを用いて所定の電圧を印加し、第1〜第3の圧電ユニット302,303,304の駆動部306,307,308に公知の駆動方法に従う運動、例えば、楕円運動や急速変形運動を付与することによって、被駆動体105の姿勢を任意の3自由度方向に回転駆動するものである。
【0041】
なお、図1及び図2に示した圧電モータ100と異なる部分についてのみ説明し、共通する部分については重複した説明を省略する。
【0042】
このように、本発明の実施の形態の第2の変形例に係る圧電モータ300によれば、3組(第1〜第3)の圧電ユニット302,303,304によって被駆動体105を回転自在に支持すると共に、第1〜第3の圧電ユニット302,303,304の合成振動の組み合せによって被駆動体105を任意の3自由度方向に回転駆動させ、且つ環状磁石109が被駆動体105を非接触状態で磁気吸引して第1〜第3の圧電ユニット302,303,304に予圧力を付与する構成としているので、第1〜第3の圧電ユニット302,303,304との接触点P4,P5,P6以外の摩擦接触部を排除でき、他の構成部位での摩擦による駆動負荷が原理的に発生しない。その結果、無効トルクを最小化できるので、第1〜第3の圧電ユニット302,303,304の大幅な小型化が期待できる。
【0043】
なお、第1の変形例に係る視線変更カメラモジュール150では2自由度圧電ユニットの圧電モータ100を用いて構成したが、第2の変形例に係る3自由度圧電ユニットの圧電モータ300を用いて構成しても良い。視線変更カメラモジュール150では、画像の回転処理を行う画像処理手段を必要に応じて使用することとしていたが、圧電モータ300を用いて視線変更カメラモジュールを構成することにより、3自由度の回転駆動の特長を生かし、圧電モータ100では実現できなかった画像の傾き補正を実現できるので、画像処理手段が不要となる。更に、画像処理を不要としたため、搭載したカメラモジュール120で撮影された画像は、周囲360度(全方位と呼ぶ)のリアルタイム性の高い安定した画像が撮影できる。
【0044】
(その他の実施の形態)
本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0045】
例えば、3組の2自由度(交差型)圧電ユニット又は3自由度(トラス型)圧電ユニットを組み合わせた場合を説明したが、組み合わせる圧電ユニットの数は特に限定されない。例えば図9に示すように、4組の2自由度圧電ユニット402,403,404,405を組み合わせているように、4組以上の圧電素子を組み合わせても良い。
【0046】
また、被駆動体105としては図1に示すように球体を回転させる一例を説明したが、特に限定されない。例えば、被駆動体105として平板を用いて、直動させても良い。
【0047】
また、図1に示した磁石109の代わりに、複数の磁石が圧電ユニット102,103、104のそれぞれの設置位置近傍にそれぞれ配設されていても良い。
【0048】
また、図1に示した磁石109及び圧電ユニット102,103,104は、被駆動体105の下方に配置したが、取り付ける環境に応じて、被駆動体の上方に配置しても良い。
【0049】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲はの説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0050】
100,300…圧電モータ
101,301…基台
102,103,104,302,303,304…圧電ユニット
102a,102b,103a,103b,104a,104b,302a,302b,302c,303a,303b,303c,304a,304b…圧電素子
105,151…被駆動体(球体)
106,107,108,306,307,308…駆動部
109…環状電磁石
109a…コイル
120…カメラモジュール
150…視線変更カメラモジュール
200…圧電モータシステム
201…姿勢角センサ
202…取り付け面
203…操作部
204…駆動波形生成部
205,206,207…アンプ
208…予圧設定部
209…電磁石アンプ

特許の図
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成21年7月28日(2009.7.28)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和

【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦

【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和

【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一

【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
【公開番号】 特開2009−247211(P2009−247211A)
【公開日】 平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願番号】 特願2009−175269(P2009−175269)