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【発明の名称】 アクチュエータとその電極
【発明者】 【氏名】奥野 壮敏
【氏名】須郷 望
【氏名】加藤 利典
【氏名】大竹 富明
【氏名】渡邉 正義
【課題】空気中で安定に動作し、安価で変位量および発生応力が大きいアクチュエータを提供する。

【解決手段】イオン液体及び高分子成分を含有する高分子固体電解質を変形物質として、相互に接触していない電極12,13が接触して挟み、該電極間に電位差を与えて駆動するアクチュエータ10であって、少なくとも一方の電極は、(孔径1nm以上50nm以下のメソ孔の総容積)/(細孔径1nm未満のミクロ孔の総容積)が0.2〜0.5であるガス賦活された活性炭を活物質とした該電極を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン液体及び高分子成分からなる高分子固体電解質を変形物質とするアクチュエータの、該変形物質を挟んで接し、相互に絶縁された電極であって、少なくとも一方は、(孔径1nm以上50nm以下のメソ孔の総容積)/(細孔径1nm未満のミクロ孔の総容積)が0.2〜0.5であるガス賦活炭を活物質とする電極。
【請求項2】
イオン液体及び高分子成分からなる高分子固体電解質を変形物質とするアクチュエータの、該変形物質を挟んで接する電極であって、該電極は、高分子固体電解質と、(孔径1nm以上50nm以下のメソ孔の総容積)/(細孔径1nm未満のミクロ孔の総容積)が0.2〜0.5であるガス賦活炭との混合物を活物質とする電極。
【請求項3】
該活性炭が賦活された後に1000℃〜1500℃の温度範囲で熱処理されている請求項1または2に記載の電極。
【請求項4】
該活性炭のBET比表面積が、1000m/g〜1500m/gの範囲である請求項1または2に記載の電極。
【請求項5】
イオン液体及び高分子成分を含有する高分子固体電解質である変形物質を、相互に接触していない電極が接触して挟み、該電極間に電位差を与えて駆動するアクチュエータであって、少なくとも一方の電極は、(孔径1nm以上50nm以下のメソ孔の総容積)/(細孔径1nm未満のミクロ孔の総容積)が0.2〜0.5であるガス賦活炭を活物質とした該電極を備えたアクチュエータ。
【請求項6】
イオン液体及び高分子成分を含有する高分子固体電解質である変形物質を、相互に接触していない電極が接触して挟み、該電極間に電位差を与えて駆動するアクチュエータであって、高分子固体電解質と、(孔径1nm以上50nm以下のメソ孔の総容積)/(細孔径1nm未満のミクロ孔の総容積)が0.2〜0.5であるガス賦活炭との、混合物を活物質とした該電極を備えたアクチュエータ。
【請求項7】
イオン液体が、置換イミダゾリウム塩である請求項5または6に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
該高分子固体電解質が、イオン液体と、該イオン液体と相溶である重合体ブロック(Pa)及び該イオン液体と非相溶である重合体ブロック(Pb)を有する共重合体(P)、または/および該イオン液体と相溶である重合体(Q)を構成成分として含み、該共重合体又は該重合体が該イオン液体によって含浸された状態にある請求項5または6に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
該高分子固体電解質が、イオン液体と共重合体(P)を構成成分として含むものである請求項8に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
高分子固体電解質からなる変形物質と、活性炭を活物質とする電極からなり、電気刺激により変形し空気中で動作可能なアクチュエータ、及びそれに用いる電極に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療機器やマイクロマシンなどの分野において、小型かつ軽量なアクチュエータの必要性が高まっている。また産業用ロボットやパーソナルロボットなどの分野においても軽量で柔軟なアクチュエータの必要性が高まっている。
【0003】
アクチュエータを小型化すると慣性力よりも摩擦力や粘性力が支配的となるため、モータやエンジンのような慣性力を利用してエネルギーを運動に変換する機構は、超小型機械用のアクチュエータとして用いることが困難であると言われている。これまでに提案されている超小型アクチュエータの作動原理としては、静電引力型、圧電型、超音波式、形状記憶合金等が知られている。
【0004】
しかし、これらのアクチュエータは金属、セラミック等の無機物質を材料としているため柔軟化、軽量化に限度があり、また構造が複雑であるため小型化が容易ではないといった問題点を有している。
【0005】
上記問題点を克服できるアクチュエータとして、高分子アクチュエータが近年注目されている。例えば、含水高分子ゲルの温度変化、pH変化、電場印加等の刺激による形態変化を利用した高分子アクチュエータが考案されている(特許文献1参照)。しかしながら、含水高分子ゲルの種々の刺激による形態変化は一般に非常に遅く、また含水高分子ゲルの不均一な架橋構造に由来して力学強度も低いため、実際にアクチュエータとして利用するには更なる改良が必要である。
【0006】
上記の課題を克服すべく、イオン交換樹脂膜とその両面に接合した電極とからなり、前記イオン交換樹脂膜の含水状態において、前記イオン交換樹脂膜に電位差をかけて湾曲等の変形を生じさせることを特徴とする高分子アクチュエータが考案されている(特許文献2参照)。しかしながら、上記高分子アクチュエータはその動作に水が必須であるため、空気中で使用する場合には水の蒸発に伴う寿命が生ずる。
【0007】
この課題を克服すべく、イオン液体とフッ素系結晶性高分子からなる高分子固体電解質の両面に、イオン液体と結晶性高分子及び単層カーボンナノチューブとからなる電極を貼り合わせた高分子アクチュエータが報告されている(非特許文献1)。また、イオン液体とモノマー、架橋剤を混合し硬化させることで作製した固体電解質に駆動電極として金箔を貼り合わせた高分子アクチュエータが報告されている(特許文献3参照)。しかしながら、これらのアクチュエータでは、駆動電極として使用されるカーボンナノチューブや金箔がコスト高である。
【0008】
上記課題を克服できる、安価な電極材料を用いたアクチュエータとして、活性炭粉末、イオン液体及びフッ素系結晶性高分子とからなる電極を、イオン液体とフッ素系結晶性高分子からなる高分子固体電解質の両面に貼り合わせた高分子アクチュエータが報告されている(非特許文献2)。しかしながらこのアクチュエータでは、変位量が小さく、更なる変位量の向上が望まれていた。
【0009】
【特許文献1】特開昭63−309252号公報
【特許文献2】特許1966645号公報
【特許文献3】特開2005−51949号公報
【非特許文献1】未来材料、第5号、第10巻、14頁、2005年
【非特許文献2】文部科学省科学研究費補助金 特定領域研究 「ブレイクスルーを生み出す次世代アクチュエータ研究」 第2回公開シンポジウム資料、151頁、2005年12月1−2日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、イオン液体及び高分子成分を構成成分とする高分子固体電解質と、安価な活性炭を活物質とする一方の電極と他方の電極からなるアクチュエータにおいて、変位量が大きいアクチュエータ、及びそれに用いる電極を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、この目的を達成するため鋭意検討した結果、イオン液体及び高分子成分を構成成分とする高分子固体電解質の変形物質と、ガス賦活された活性炭を活物質とする一方の駆動電極と他方の駆動電極からなるアクチュエータにおいて、特定の要件を満たす活性炭を使用した場合に、アクチュエータの変位量に加えて発生応力が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち前記の目的を達成するためになされた、本発明の請求項1に係る発明は、イオン液体及び高分子成分からなる高分子固体電解質を変形物質とするアクチュエータの、該変形物質を挟んで接し、相互に絶縁された電極であって、少なくとも一方は、(孔径1nm以上50nm以下のメソ孔の総容積)/(細孔径1nm未満のミクロ孔の総容積)が0.2〜0.5であるガス賦活炭を活物質とする電極である。
【0013】
同じく請求項2に係る発明は、イオン液体及び高分子成分からなる高分子固体電解質を変形物質とするアクチュエータの、該変形物質を挟んで接する電極であって、該電極は、高分子固体電解質と、(孔径1nm以上50nm以下のメソ孔の総容積)/(細孔径1nm未満のミクロ孔の総容積)が0.2〜0.5であるガス賦活炭との混合物を活物質とする電極。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の電極であって、該活性炭が賦活された後に1000℃〜1500℃の温度範囲で熱処理されている。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項1または2に記載の電極であって、該活性炭のBET比表面積が、1000m/g〜1500m/gの範囲である。
【0016】
また、前記の目的を達成するためになされた、本発明の請求項5に係る発明は、イオン液体及び高分子成分を含有する高分子固体電解質である変形物質を、相互に接触していない電極が接触して挟み、該電極間に電位差を与えて駆動するアクチュエータであって、少なくとも一方の電極は、(孔径1nm以上50nm以下のメソ孔の総容積)/(細孔径1nm未満のミクロ孔の総容積)が0.2〜0.5であるガス賦活炭を活物質とした該電極を備えたアクチュエータである。
【0017】
同じく本発明の請求項6に係る発明は、イオン液体及び高分子成分を含有する高分子固体電解質である変形物質を、相互に接触していない電極が接触して挟み、該電極間に電位差を与えて駆動するアクチュエータであって、高分子固体電解質と、(孔径1nm以上50nm以下のメソ孔の総容積)/(細孔径1nm未満のミクロ孔の総容積)が0.2〜0.5であるガス賦活炭との、混合物を活物質とした該電極を備えたアクチュエータである。
【0018】
請求項7に係る発明は、請求項5または6に記載のアクチュエータであって、イオン液体が、置換イミダゾリウム塩である
【0019】
請求項8に係る発明は、請求項5または6に記載のアクチュエータであって、該高分子固体電解質が、イオン液体と、該イオン液体と相溶である重合体ブロック(Pa)及び該イオン液体と非相溶である重合体ブロック(Pb)を有する共重合体(P)、または/および該イオン液体と相溶である重合体(Q)を構成成分として含み、該共重合体又は該重合体が該イオン液体によって含浸された状態にある。
【0020】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載のアクチュエータであって、該高分子固体電解質が、イオン液体と共重合体(P)を構成成分として含むものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明のアクチュエータは、高分子固体電解質を変形物質とし、安価な活性炭を活物質とする電極を備え、例えば人工筋肉等のアクチュエータの多様な用途に適用できる。このアクチュエータは、変位量、発生応力が大きく、柔軟で軽量であり、かつ空気中において低電圧で安定的に駆動することができる。
【発明を実施するための好ましい形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0023】
本発明のアクチュエータは、イオン液体の有機カチオンもしくはアニオンを、電極である活性炭表面へ吸脱着(充放電)して駆動する。活性炭は、イオン液体の有機カチオンもしくはアニオンの活性炭表面への吸着量を増すために、微小な細孔を多くして大きな比表面積を得ることが有効となる。ただし、細孔が微小となり物理的にイオン液体の有機カチオンもしくはアニオンの吸着が困難になるほどアクチュエータ性能が低下する傾向がある。
【0024】
そのため、ミクロ孔(細孔径1nm未満)の総容積に対するメソ孔(孔径1nm以上50nm以下)の総容積の比(メソ孔総容積/ミクロ孔総容積)が0.2〜0.5であることが必要であり、より好ましくは0.2〜0.4である。メソ孔総容積/ミクロ孔総容積の比率が0.2未満の場合、細孔が微小となり物理的にイオン液体の有機カチオンもしくはアニオンの吸着が困難となりアクチュエータ性能が低下する傾向がある。一方、メソ孔総容積/ミクロ孔総容積の比率が0.5を越えると、比表面積が低下し、イオン液体の有機カチオンもしくはアニオンの活性炭表面への吸着量が減少するため、アクチュエータ性能が低下する。
【0025】
なお、本発明においては、活性炭のメソ孔及びミクロ孔は、日本ベル社製・「BELSORP18」を用いて窒素ガスをプローブガスとして得られた吸着等温線を基に、メソ孔の測定はDH法(Dollimore&Heal Method)(例えば、DD.Dollimore,G.R.Heal, J.Applied Chem., 14, 109-114(1964)参照)、ミクロ孔の測定はMP法(Micro Pore Method)(例えば、R.S.Mikhail,S.Brunauer,E.E.Bodor, J.Colloid Interface Sci., 26, 45(1968)参照)により算出した。
【0026】
本発明で使用する活性炭は、BET比表面積が、1000m/g〜1500m/gの範囲にあることが好ましく、1100m/g〜1500m/gの範囲にあることがより好ましい。BET(Brunauer-Emmett−Teller)比表面積とは、液体窒素温度での窒素ガス吸着等温線によるBET法(例えば、株式会社フジ・テクノシステム発行、「超微粒子ハンドブック」、138−141頁、1990年9月5日参照)により求められる比表面積である。BET比表面積が1000m/g未満の場合、イオン液体の有機カチオンもしくはアニオンの活性炭表面への吸着量が減少するため、アクチュエータ性能が低下する。一方、1500m/gを超えると、細孔が微小となり物理的にイオン液体の有機カチオンもしくはアニオンの吸着が困難となる傾向がありアクチュエータ性能が低下する。
【0027】
このアクチュエータの駆動電極は、ガス賦活された活性炭を活物質として使用する。活性炭の原料となる炭素材料としては、特に制限は無く、例えば石炭、石炭ピッチ、石油ピッチ、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、椰子殻など一般に広く使用されているものを使用することができる。活性炭の形状は、粉状、粒状、面状など各種形状使用することができる。炭素材料を賦活する方法としては、例えば水蒸気による賦活;二酸化炭素などの酸性ガス等による賦活等公知のガス賦活方法を採用することができる。
【0028】
また電極には、賦活された活性炭をさらに熱処理したものを用いることができる。熱処理の温度は、1000℃〜1500℃であるのが好ましく、1000℃〜1400℃であることがより好ましい。熱処理温度が1000℃未満であると、活性炭の細孔の構造変化が不十分でアクチュエータ性能の向上が乏しくなり、一方、1500℃を超えると、活性炭の細孔の収縮が過剰に進行してしまいイオン液体の有機カチオンもしくはアニオンの活性炭素表面への吸着量が減少するためアクチュエータ性能が低下する。また熱処理は、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスの雰囲気下で行う。
【0029】
活性炭の熱処理の温度は、構造制御の観点から、0.1時間〜15時間に設定することが好ましく、0.5時間〜10時間に設定することがより好ましい。保持温度への昇温時間は50℃/時間〜200℃/時間程度であることが好ましい。熱処理を行う炉としては、バッチ式でも連続炉でもよく、例えばボックス炉、ベルト炉、プッシャー炉、ロータリーキルン炉などを使用することが可能である。
【0030】
活性炭を熱処理前に粉砕処理することで活性炭内部まで均質に熱処理を行うことができる。粉砕処理には、ボールミル、ジェットミル、コーンコラッシャー、ロータリークラッシャー、高速回転ミル(例えばラボカッタミル)等の粉砕機を用いることができる。
【0031】
粉砕後の活性炭の平均粒子径は、0.05μm〜100μmの範囲に設定することが好ましく、0.1μm〜50μmの範囲に設定することがより好ましい。平均粒子径が100μmを超えると粒子の内部まで均質に熱処理を行うことが困難となり、また、平均粒子径は0.05μm未満であると、熱処理の制御が難しくなる傾向となる。なお、粉砕処理は熱処理後に行ってもよい。
【0032】
本発明で使用する駆動電極は、一方の電極と他方の電極、すなわち正極とされる駆動電極と負極とされる駆動電極からなり、イオン液体及び高分子成分を構成成分とする高分子固体電解質を挟んで位置し、互いに接触していない。一方の電極と他方の電極とは相互に同一の構造であっても異なる構造であっても構わない。これら電極間に電位差を与えることにより変形物質である高分子固体電解質に変形を生じさせる。
【0033】
かかる電極は、一方の電極と他方の電極のいずれにおいても、活性炭及び該活性炭に対し1〜30質量%程度添加されるポリ四フッ化エチレン等の公知のバインダーから構成される電極;熱処理された活性炭にイオン液体と高分子成分としての共重合体(P)もしくは重合体(Q)とから構成される電極等であることができる。
【0034】
イオン液体の溶解性の観点から、かかる電極は、活性炭とイオン液体と高分子成分としての共重合体(P)もしくは重合体(Q)とから構成される電極であることが好ましい。
【0035】
この態様の電極における3者の質量分率には大きな制限は無いが、活性炭は、得られるアクチュエータの変位量及び発生応力の観点から5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、電極成形性の観点から90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下がより好ましい。また、イオン伝導率の観点から、イオン液体は5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、高分子成分は80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。また電極強度の観点から、イオン液体は90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、高分子成分は5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。
【0036】
また、電極には、電極内の導電性を確保する観点から必要に応じ、該電極の製造段階で上記成分に加え、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維等の導電性炭素材料及び/又は金属微粒子などの導電性物質を添加してもよい。添加する場合、上記した電極構成成分(例えば、活性炭、イオン液体及び高分子成分)の合計質量に対する導電性物質の添加量は、導電性の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、一方、電極成形性の観点から、60質量%以下が好ましく、50質量%がより好ましい。
【0037】
上記電極において、活性炭は他の電極材料中に分散されていてもよく、不均一な構成であってもよい。後者の例としては、例えば、面状に成形された、熱処理された活性炭に、イオン液体が含浸している膜状、フィルム状、シート状、板状、織物状、ロッド状、立方体状または直方体状等に成形された共重合体(P)もしくは重合体(Q)を少なくとも部分的に含浸させた電極が例示される。本発明で使用する電極の形状については、特に制限はなく、例えば膜状、フィルム状、シート状、板状、織物状、ロッド状、立方体状又は直方体状等であることができる。
【0038】
本発明で使用する、ガス賦活された活性炭を活物質とする電極の製造方法には特に制限はなく、例えば、活性炭にポリ四フッ化エチレン等のバインダーとして知られた物質を必要に応じて1〜30質量%程度加えてよく混合した後金型に入れて加圧成形又は圧延シート化して成形する方法;活性炭、イオン液体、及びイオン液体と相溶である重合体ブロック(Pa)及びイオン液体と非相溶である重合体ブロック(Pb)を有する共重合体(P)又はイオン液体と相溶である重合体(Q)よく混合した後、金型に入れて加圧成形又は圧延シート化してゲル状電極を得る方法;面状(不織布状、織布状、フェルト状等の織物状;紙状;フィルム状;膜状;シート状など)に形成された、活性炭と膜状、フィルム状、シート状、板状、織物状、ロッド状、立方体状又は直方体状等に成形された、イオン液体が含浸している共重合体(P)もしくは重合体(Q)とを熱プレス等により貼り合わせて、該活性炭に少なくとも部分的にイオン液体を含浸させた電極とする方法;活性炭、イオン液体、共重合体(P)もしくは重合体(Q)を与えるモノマー、及び重合開始剤を混合し成形後に、共重合もしくは重合反応させてゲル状電極を得る方法;面状(不織布状、織布状、フェルト状等の織物状;紙状;フィルム状;膜状;シート状など)に成形された、活性炭に、イオン液体、共重合体(P)もしくは重合体(Q)を与えるモノマー、及び重合開始剤の混合液を含浸後に、共重合もしくは重合反応させてゲル状電極を得る方法;活性炭に、イオン液体、と共重合体(P)もしくは重合体(Q)からなるゲル状物を含浸させる方法、などを挙げることができ、これらは目的に応じ適宜選択することができる。また上記したごとき電極の製造過程において、必要に応じて、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維等の導電性炭素材料及び/又は金属微粒子などの導電性物質を添加しても良い。
【0039】
本発明で用いる高分子固体電解質は変形物質となるもので、イオン液体と高分子成分を構成成分とする。イオン液体と高分子成分は、また、上記した如く、本発明で用いる電極の構成成分の一部ともなる。
【0040】
イオン液体は、常温溶融塩または単に溶融塩などとも称されるものであり、Science、302号、792頁、2003年によれば、100℃以下において流動性を有し、完全にイオンからなる液体と定義される。本発明においては、従来より知られた各種のイオン液体を使用することができるが、常温(室温)または可及的に常温に近い状態において液体状態を呈し安定なものが好ましい。常温において液体状態であり、常温におけるイオン伝導率が0.001S/cm以上のものが好ましく用いられる。イオン液体は、蒸気圧がほとんどないため引火性が低く、熱的安定性に優れる。イオン液体を高分子固体電解質の構成成分として用いることで、水や有機溶媒を電解液に用いる場合に懸念される、電解液の蒸発の問題を回避できる。またイオン液体は、水や有機溶媒に比べて一般に電位窓が広いため、アクチュエータの駆動電圧を高く設定することが可能となり、アクチュエータから高い変位量又は発生応力を引き出すことが可能となる。
【0041】
好適なイオン液体を構成する有機カチオンの例としては、下記一般式(I)〜(V)を挙げることができる。
【0042】
【化1】


I式中、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10の直鎖状もしくは分岐状アルケニル基、炭素数6〜15のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又は炭素数2〜30のポリオキシアルキレン基を表す。
【0043】
【化2】


II式中、R4は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10の直鎖状もしくは分岐状アルケニル基、炭素数6〜15のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又は炭素数2〜30のポリオキシアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、nは0以上5以下の整数を表す。nが2以上の場合、各Rは同一の基でもよいし、異なる基でもよい。
【0044】
【化3】


III式中、R5、R6、R7、及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10の直鎖状もしくは分岐状アルケニル基、炭素数6〜15のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数2〜30のポリオキシアルキレン基を表すか、又はR5〜R8のうち2つの基が共同して環構造を形成する。
【0045】
【化4】


IV式中、R9、R10、R11、及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10の直鎖状もしくは分岐状アルケニル基、炭素数6〜15のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数2〜30のポリオキシアルキレン基を表すか、又はR9〜R12のうち2つの基が共同して環構造を形成する。
【0046】
【化5】


V式中、R13、R14、及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2〜10の直鎖状もしくは分岐状アルケニル基、炭素数6〜15のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数2〜30のポリオキシアルキレン基を表すか、又はR13〜R15のうち2つの基が共同して環構造を形成する。
【0047】
上記した有機カチオンの例示における、R〜R15の定義において、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状アルキル基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、炭素数1〜4のものがより好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。R〜R15の定義において、炭素数2〜10の直鎖状もしくは分岐状アルケニル基としては、炭素数2〜6のものが好ましく、炭素数2〜4のものがより好ましく、具体的には、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基等が挙げられる。R〜R15の定義において、炭素数6〜15のアリール基としては、フェノル基、ナフチル基等が挙げられる。R〜R15の定義において、炭素数7〜20のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。R〜R15の定義において、炭素数2〜30のポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等が挙げられる。Rの定義において、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。R〜R15の定義において、2つの基が共同して環構造を形成する場合として、例えば、中心原子のNと共同して、ピロリジン環やピペリジン環を形成する場合などが挙げられる。
【0048】
このうちでもイオン液体のイオン伝導性及び入手容易性の観点から一般式(I)で表される非置換もしくは置換イミダゾリウムカチオンが好ましく、置換イミダゾリウムカチオンがより好ましい。このうちでも、イオン液体の融点及び粘度の観点から一般式(I)におけるR1及びR2が、それぞれ独立に、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基であることが好ましく、R1及びR2が、それぞれ独立に、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基であってRが水素原子であることがより好ましい。またこれらの場合においてR1とR2とが異なる基であることが好ましい。もっとも好ましい有機カチオンの例としては、3−エチル−1−メチルイミダゾリウムカチオン(EMI)を挙げることができる。
【0049】
本発明において用いられる好適なイオン液体を構成するアニオンの例としては、含ハロゲンアニオン、鉱酸アニオン、有機酸アニオン等を挙げることができる。含ハロゲンアニオンもしくは鉱酸アニオンの例としては、具体的にはPF6-、ClO4-、CF3SO3-、C4F9SO3-、BF4-、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、(CF3SO2)3C-、AsF6-、SO42-、(CN)2N-、及びNO3-等を挙げることができる。また有機酸アニオンの例としてはRSO3-、RCO2-、等を挙げることができる。ここにおいて、Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数8〜2のアラルケニル基、炭素数2〜8のアルコキシアルキル基、炭素数3〜8のアシルオキシアルキル基、炭素数2〜8のスルホアルキル基、炭素数6〜15のアリール基又は炭素数3〜7の芳香族複素環基を表す。これらの中でもイオン液体のイオン伝導率及び入手容易性の観点からPF6-、ClO4-、CF3SO3-、C4F9SO3-、BF4-、(CN)2N-並びに(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-等のスルホニルイミド系アニオンが好ましく、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-等のスルホニルイミド系アニオンが特に好ましい。
【0050】
好適な例として、上記した有機カチオンとアニオンの組み合わせからなるイオン液体を挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、複数を組み合わせて用いても良い。本発明に用いられる特に好ましいのは置換イミダゾリウム塩であり、具体的例としては、エチルメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMITFSI)、エチルメチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド(EMIPFSI)、ブチルメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(BMITFSI)、ブチルメチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロメタンスルホニル)イミド(BMIPFSI)等を挙げることができる。これらの中でも、イオン液体のイオン伝導率の観点からEMITFSI及びEMIPFSIがより好ましく、さらに入手容易性の観点からはEMITFSIがより一層好ましい。
【0051】
本発明で用いる高分子固体電解質を構成する高分子成分としては、該高分子固体電解質を構成するイオン液体と相溶である重合体ブロック(Pa)及び該イオン液体と非相溶である重合体ブロック(Pb)を有する共重合体(P)、及び該イオン液体と相溶である重合体(Q)が好適なものとして挙げられる。上記で共重合体(P)は重合体ブロック(Pa)及び重合体ブロック(Pb)はそれぞれ1つもしくは2つ以上有することができる。
【0052】
イオン液体と重合体ブロック(Pa)が相溶であるか否かの判断、及びイオン液体と重合体ブロック(Pb)が非相溶であるか否かの判断は、以下の判定基準においてなされる。ブロック共重合体(P)の動的粘弾性測定あるいはDSC測定により測定される各成分のTα(α分散温度)、Tg(ガラス転移温度)などの相転移温度について、Pa成分に由来するものをTPa、Pb成分に由来するものをTPbとし、一方ブロック共重合体(P)とイオン液体を必須成分として含む高分子固体電解質の動的粘弾性測定あるいはDSC成分により測定される相(X)(重合体ブロック(Pa)とイオン液体からなる相)に由来するものをT、相(Y)(重合体ブロック(Pb)からなる相)に由来するものをTとして、ΔTPa、ΔTPbをそれぞれ式1、2のように定義する。なお、上記において、TPa、TPb、T、及びTは同じ測定方法で測定されたもの、例えばα分散温度もしくはガラス転移温度であることを要する。
【0053】
ΔTPa = |TPa - TX
【0054】
ΔTPb = |TPb − TY
この二つの指標ΔTPa、ΔTPbについて、ΔTPa > 2ΔTPbであるときにイオン液体は重合体ブロック(Pa)に相溶で、かつ重合体ブロック(Pb)には非相溶であると見なす。
【0055】
共重合体(P)を構成するイオン液体と相溶である重合体ブロック(Pa)の例としては、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等の酢酸ビニル系重合体ブロック;ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のハロゲン含有ビニル系重合体ブロック;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリレート、ポリ(2−アミノエチル)(メタ)アクリレート、ポリベンジル(メタ)アクリレート、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(i−ブチルメタクリレート)、ポリ(t−ブチルメタクリレート)、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリイソボルニルメタクリレート、ポリアダマンチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系重合体ブロック;ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル等のブニルエーテル系重合体ブロック;ポリメチルビニルケトン、ポリメチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン系重合体ブロック;ポリエチレンオキシド等のポリエーテル系重合体ブロック;ポリ(メタ)アクロレイン等のアクロレイン系重合体ブロック;ポリ(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系重合体ブロック;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系重合体ブロック;ポリアミドー6、ポリアミドー6,6、ポリアミドー6,12等のポリアミド系重合体ブロック;ポリジメチルシロキサン等のシロキサン系共重合体ブロック;ポリアクリロニトリル等のアクリロニトリル系重合体ブロックを挙げることができる。またここには列記はしていないが、上述したような重合体ブロックの構成成分が共重合して構成する重合体ブロックも用いることができる。
【0056】
共重合体(P)を構成するイオン液体と非相溶である重合体ブロック(Pb)の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリオクテン、ポリイソブチレン等の炭素数2〜8のアルケンの重合体ブロックなどのオレフィン系重合体ブロック;ポリスチレンブロック、ポリ(4−メチルスチレン)等のベンゼン環やα位に炭素数1〜4のアルキル基が合計で1もしくは2個置換したスチレンの重合体のブロック等のスチレン系重合体ブロック等を挙げることができる。またここには列記していないが、上述したような重合体ブロックの構成成分が他のモノマーと共重合して構成する重合体ブロック、例えばスチレン−ブタジエン重合体ブロック等の、非置換の又はベンゼン環やα位に炭素数1〜4のアルキル基が合計で1もしくは2個置換したスチレンなどのスチレン系モノマーと炭素数4〜8の共役ジエンとの共重合体ブロックも用いることができる。
【0057】
ブロック共重合体(P)がポリウレタンである場合、重合体ブロック(Pa)の例として高分子ポリオール成分を主成分とする重合体ブロックを挙げることができる。高分子ポリオールの例としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール等を挙げることができる。この中で、ポリエステルポリオールブロック及びポリエーテルポリオールブロックがイオン液体との相溶性及びイオン伝導性の観点からより好ましい。
【0058】
ブロック共重合体(P)がポリウレタンである場合、重合体ブロック(Pb)の例として、二官能イソシアネートもしくは二官能イソシアネートを主体するイソシアネートと鎖延長剤との反応生成物成分である重合体ブロックを挙げることができる。
【0059】
このとき用いられる二官能イソシアネートとしては特に制限はなく、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート等を挙げることができる。これらの二官能イソシアネートは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0060】
また用いる鎖延長剤は制限されないが、イソシアナト基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量300以下の低分子化合物を用いるのが好ましく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのジオール類などが挙げられる。これらの低分子化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0061】
上記した中で、ブロック共重合体(P)がポリウレタンである場合の重合体ブロック(Pb)としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと1,4−ブタンジオールとの反応生成物ブロックがイオン液体との非相溶性及び高分子固体電解質の形状保持性の観点からより好ましい。
【0062】
ポリウレタンの製造法についての制限はなく、前記の高分子ポリオール、二官能イソシアネート及び鎖延長剤を使用し、公知のウレタン化反応技術を利用して、プレポリマー法及びワンショット法のいずれで製造してもよい。そのうちでも実質的に溶剤の不存在下に溶融重合することが好ましく、特に多軸スクリュー型押出機を用いる連続溶融重合が好ましい。
【0063】
ブロック共重合体(P)は実質上重合体ブロック(Pa)と(Pb)からなる。ブロック共重合体(P)の重合体ブロック(Pa)及び(Pb)の連鎖構造については特に制限はなく、例えばPa−Pbジブロック共重合体、Pa−Pb−Paトリブロック共重合体、Pb−Pa−Pbトリブロック共重合体、Pa−Pb−Pa−Pbテトラブロック共重合体、Pa−Pb−Pa−Pb−Paペンタブロック共重合体、Pb−Pa−Pb−Pa−Pbペンタブロック共重合体などが挙げられる。これらの内でも得られる高分子固体電解質の機械的強度、製造の容易性の観点からはPb−Pa−Pbトリブロック共重合体がより好ましい。
【0064】
またブロック共重合体(P)がポリウレタン、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーである場合には、(Pb−Pa)型のマルチブロック共重合体であることがより好ましい。ここでnは任意の自然数である。
【0065】
共重合体(P)の分子量に特に制限はないが、数平均分子量で1,000〜2,000,000であることが好ましく、5,000〜1,000,000であることがより好ましく、10,000〜500,000であることがより一層好ましい。数平均分子量が1,000未満である場合には、共重合体(P)ひいては得られる高分子固体電解質の機械的強度が劣る傾向となり、数平均分子量が2,000,000を超える場合には、共重合体(P)ひいては得られる高分子固体電解質の粘度が大きくなり取扱い性に劣る傾向となる。
【0066】
共重合体(P)における重合体ブロック(Pa)の質量分率は制限されないが、得られる高分子固体電解質の機械的強度の観点から、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることがより一層好ましい。一方、得られる高分子固体電解質のイオン伝導率の観点から、重合体ブロック(Pa)の質量分率は10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがより一層好ましい。
【0067】
本発明で使用される共重合体(P)の製造方法としては、特に制限はなく、リビング重合法、前駆体として用意したポリマーの末端もしくは側鎖からモノマーを重合する方法、互いに反応し得る官能基を末端に有するポリマー同士を反応させる方法などを挙げることができる。これらは目的とする共重合体(P)の構造に応じて適宜選択することができる。
【0068】
イオン液体と相溶である重合体(Q)の例は、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体;ポリフッ化ビニリデン等のハロゲン含有ビニル系重合体;ポリ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリレート、ポリメチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系重合体;ポリエチレンオキシド等のポリエーテル系重合体;ポリアクリロニトリル等のアクリロニトリル系重合体等を挙げることができる。これらの中で、得られる高分子固体電解質のイオン伝導率の観点から、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体;ポリフッ化ビニリデン等のハロゲン含有ビニル系重合体;及びポリ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリレート、ポリメチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系重合体が好ましい。
【0069】
重合体(Q)の分子量に特に制限はないが、数平均分子量で1,000〜2,000,000であることが好ましく、5,000〜1,000,000であることがより好ましく、10,000〜500,000であることがより一層好ましい。数平均分子量が1,000未満である場合には、重合体(Q)ひいては得られる高分子固体電解質の機械的強度が劣る傾向となり、数平均分子量が2,000,000を超える場合には、重合体(Q)ひいては得られる高分子固体電解質の粘度が大きくなり取扱い性に劣る傾向となる。
【0070】
ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体におけるヘキサフルオロプロピレン単位の質量分率は、得られる高分子固体電解質の機械的強度の観点から、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることがより一層好ましい。一方、得られる高分子固体電解質の柔軟性の観点から、ヘキサフルオロプロピレン単位の質量分率は5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがより一層好ましい。
【0071】
本発明で用いる高分子固体電解質を構成する高分子成分としては、共重合体(P)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリレート及びポリメチル(メタ)アクリレートがより好ましく、得られる高分子固体電解質の機械的強度の観点から、イオン液体と相溶である重合体ブロック(Pa)を1つ以上有し、イオン液体と非相溶である重合体ブロック(Pb)を2つ以上有する共重合体(P)がより一層好ましい。
【0072】
高分子固体電解質はイオン液体と高分子成分とからなり、高分子成分からなる骨格にイオン液体が含浸した形態となっている。該高分子固体電解質におけるイオン液体と高分子成分との質量分率は特に制限されないが、高分子固体電解質のイオン伝導率及び機械的強度の観点から、0.1:1〜10:1程度であることが好ましい。また、該高分子固体電解質の形状についても特に制限はなく、例えば膜状、フィルム状、シート状、板状、織物状、ロッド状、立方体状、直方体状等であることができる。
【0073】
高分子固体電解質の製造方法は特に制限がなく、例えば加熱下においてイオン液体と高分子成分を機械的に混練し、ついで成形する方法;イオン液体及び高分子成分を適当な溶媒に溶解させた後に溶媒を除去し、ついで成形する方法;高分子成分にイオン液体を含浸させ、ついで成形する方法;イオン液体中で高分子成分の製造に用いるモノマーと重合開始剤の存在下に反応させ、ついで成形する方法等が挙げられる。これらは目的に応じ、適宜選択することができる。上記で、イオン液体及び高分子成分を適当な溶媒に溶解させた後に溶媒を除去する方法における溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、N−メチルー2−ピロリドン等を用いることができる。
【0074】
本発明のアクチュエータはイオン液体及び高分子成分を構成成分とする高分子固体電解質といずれもガス賦活された活性炭を活物質とする一方の電極と他方の電極(正極と負極)から構成される。これら2種の電極は、該高分子固体電解質を挟んでこれに密着し、互いに接触しないように設置される。2種の電極は、それぞれ独立に、一体化されていてもよいし、一体化されず、すなわち複数の、固体として別個の電極からなっていてもよい。一体化されていない形態として、例えば特開昭63−309252号公報の第8図等に示された形態等が挙げられる。該高分子固体電解質と電極とが重なり合った方向における該高分子固体電解質の厚さといずれか一方の電極の厚さとの比率については特に制限はないが、本発明の特徴を効果的に発揮する観点から、0.01:1〜10:1程度であることが好ましい。
【0075】
アクチュエータの形状については特に制限はなく、例えば、膜状、フィルム状、シート状、板状、織物状、ロッド状、立方体状又は直方体状などが挙げられ、これらは使用目的に応じ適宜選択すればよい。またアクチュエータの厚さについても特に制限はないが、例えば形状が膜状である場合には、膜の両面に電極が形成されていることが好ましく、膜自身の抵抗の観点から、厚みが10−6〜10−1mの範囲にあるのが好ましい。
【0076】
本発明のアクチュエータの製造に際し、高分子固体電解質に、これを挟んで位置し、互いに接触しないように2種の電極を形成させる方法に特に制限はないが、例えば、高分子固体電解質の両面に電極、例えば電極シートを圧着及び/又は溶着により貼り合せる方法;高分子固体電解質の両面に、ポリ四フッ化エチレン等のバインダーに活性炭又は活性炭と他の導電性電極材料を分散させたインキを塗布する方法等を挙げることができる。
【0077】
本発明のアクチュエータは、本質的には圧電素子であるため、アクチュエータを含む種々の素子として利用することができる。アクチュエータ以外の例としては、圧力、変位等を検知するセンサー素子として使用することができる。センサーとして使用する場合には、互いに絶縁された電極と電圧計を接続することにより、素子に変形が与えられた際に発生する電圧をセンシングすることができる。
【0078】
このアクチュエータは、空気中、水中、真空中、有機物液体中において、2種の電極間に電位差を与えることにより作動/駆動させることができる。また使用環境に応じ、適宜封止を施してもよい。封止材料の例としては、特に制限はなく、各種樹脂や金属等を用いることができる。
【実施例】
【0079】
以下、参考例、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。また以下の参考例、実施例及び比較例において用いられた測定機器、測定方法及び使用材料を以下に示す。
【0080】
(1)核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)による共重合体(P)及びイオン液体の分子構造の解析
機器 : 日本電子社製核磁気共鳴装置 (JNM−LA 400)
溶媒 : 重クロロホルム(共重合体)、又は重ジメチルスルホキシド(イオン性液体)
【0081】
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)の測定
機器 : 東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)
カラム : いずれも東ソー社製TSKgelであるGMHXL、G4000HXL及びG5000HXLを直列に連結
溶離液 : テトラヒドロフラン、流量1.0ml/分
検量線 : 標準ポリスチレンを用いて作成
検出方法 : 示唆屈折率(RI)
【0082】
(3)活性炭のBET比表面積の測定
日本ベル社製「BELSORP 18」を用い、窒素ガスをプローブガスとして得られた吸着等温線を基に、BET法で測定した。
【0083】
(4)活性炭のメソ孔(孔径1nm以上50nm以下)、及びミクロ孔(細孔径1nm未満)の総容積の算出
日本ベル社製「BELSORP 18」を用い、窒素ガスをプローブガスとして得られた吸着等温線を基に、メソ孔の測定はDH法(Dollimore&Heal Method)、ミクロ孔の測定はMP法(Micro Pore Method)により算出した。
【0084】
(5)アクチュエータの変位量の測定
図1に示すように、15mm×5mmの大きさにカットしたアクチュエータ10について、長さ方向に10mmを銅製電極12および13で挟み、アクチュエータ10の長で5mm分を空気中に出して測定検体とした。ファンクションジェネレータ(北斗電工製「HB−211」)16を接続したポテンショスタット(北斗電工製「HAB−151」)15の電位制御端子および電流制御端子に銅製電極12を接続し、ポテンショスタット15の対向電極端子および参照電極端子にもう一方の銅製電極13を接続した。この状態で検体を固定し、アクチュエータ10の両側電極間12および13に1.0Vの電位を印加して5分間保持し、アクチュエータの電極固定端から4mmの場所Pの動作を、レーザー変位計(キーエンス製「LK−G155」)18で計測することで測定を行った。
【0085】
(6)アクチュエータの発生応力の測定
(5)と同様に15mm×5mmの大きさにカットしたアクチュエータ10について、長さ方向に10mmを銅製電極12および13で挟み、アクチュエータ10の長で5mm分を空気中に出して測定検体とした。ファンクションジェネレータ16を接続したポテンショスタット15の電位制御端子および電流制御端子に銅製電極12を接続し、ポテンショスタット15の対向電極端子および参照電極端子にもう一方の銅製電極13を接続した。この状態でセルを固定し、アクチュエータの両側電極間に1.0Vの電位を印加して5分間保持し、アクチュエータの先端部の動作を、ロードセル(ミネベア製「UL-2GR」)で計測することで測定を行った。
【0086】
参考例1: ポリスチレン−b−ポリメチルアクリレート−b−ポリスチレン(共重合体P−1)の製造
【0087】
使用した材料について、臭化銅(I)、塩化銅(I)、塩化銅(II)は和光純薬工業社から購入しそのまま用いた。1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(HMTETA)はアルドリッチ社から購入しそのまま用いた。トリス(2-ジメチルアミノエチル)アミン(Me6-TREN)は、トリス(2-アミノエチル)アミンとギ酸、ホルムアルデヒドの混合水溶液を還流して得られた生成物を減圧蒸留して用いた。ジエチル-meso-2,5-ジブロモアジペートはアルドリッチ社から購入してそのまま用いた。スチレン、メチルアクリレートはキシダ化学社より購入し、使用前にゼオラムとアルミナと接触させて重合禁止剤を除去し、続いて乾燥窒素で十分にバブリングして溶存酸素を除去したものを用いた。アセトニトリルはキシダ化学社より購入し、ゼオラムと接触させて水分を除去し、続いて乾燥窒素で十分にバブリングして溶存酸素を除去したものを用いた。その他の材料については、目的に応じて精製を行い使用した。
【0088】
(1)2Lの3つ口フラスコに磁気撹拌子、臭化銅(I) 7.17g(50mmol)、ジエチル-meso-2,5-ジブロモアジペート 3.6g(10mmol)を仕込んだ後、フラスコ内を十分に乾燥窒素で置換した。ここにアセトニトリル955ml、メチルアクリレート785mlを加え、室温で30分撹拌した。その後50℃に昇温し、別途調製した、HMTETAのアセトニトリル溶液(濃度 0.3mol/L) 8.33ml(HMTETAとして16.7mmol)を加えて重合を開始した。重合開始2時間後にHMTETAのアセトニトリル溶液(濃度 0.3mol/L) 2.08ml(HMTETAとして0.62mmol)を添加し、さらに6時間重合を行った。
【0089】
(2)6時間後、フラスコを氷水につけて重合溶液を冷却し重合を停止した。重合停止時の重合率は38%、数平均分子量Mnは28700、分子量分布Mw/Mn=1.04であった。
【0090】
(3)得られた重合溶液をエバポレータで濃縮したのちにトルエンで希釈し、続いて水で洗浄を繰り返して残存触媒を除いた。洗浄後、再度エバポレータで濃縮したのちに大過剰のメタノールで再沈して得られる粘ちょうな液状物を70℃で一晩真空乾燥させて、両末端ブロモ化ポリメチルアクリレートを得た。
【0091】
(4)2Lの3つ口フラスコに、両末端ブロモ化ポリメチルアクリレート170g、磁気撹拌子を仕込み十分に乾燥窒素で置換した。続いてスチレン152mlを加えて両末端ブロモ化ポリメチルアクリレートを溶解させた。この溶液を40℃に昇温し、別途調製した、塩化銅(I) 0.586mg(5.92mmol)、塩化銅(II) 0.239mg(1.78mmol)、Me6-TRENのアセトニトリル溶液(濃度 0.3mol/L) 29.6ml(Me6-TRENとして8.89mmol)の混合物を加えて重合を開始した。
【0092】
(5)8時間重合を行った後に、フラスコを氷水につけて重合溶液を冷却し重合を停止した。重合停止時の重合率は10%、数平均分子量Mnは72000、分子量分布Mwn/Mn=1.31であった。
【0093】
(6)得られた重合溶液を大過剰のメタノールに再沈し、室温で乾燥した後にトルエンに再溶解、水洗を繰り返して残存触媒を除いた後に、大過剰のメタノールで再沈して得られる固体を70℃で一晩乾燥させた。
【0094】
(7)以上のようにして、重合体ブロック(Pa)がポリメチルアクリレート(PMA)、重合体ブロック(Pb)がポリスチレン(PSt)である共重合体(P−1)を得た。1H−NMR測定を行ったところ、共重合体(P−1)中のPSt含量は46%、PMA含量は54%であった。
【0095】
参考例2: エチルメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(イオン液体)の製造
【0096】
使用した材料について、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドは東京化成工業社より購入しそのまま用いた。シクロヘキサンはキシダ化学社より購入しそのまま用いた。その他の材料については、目的に応じて精製を行い使用した。
【0097】
(1)500mLのセパラブルフラスコに、攪拌翼を取り付けたメカニカルスターラー、三方コック、冷却管を取り付けた。ここにシクロヘキサン250mL、1−メチルイミダゾール50mL(0.58mol)を仕込んだ。1−メチルイミダゾールはシクロヘキサンには完全に溶解せず、二相に分離した状態であった。この液を攪拌しながら、室温でブロモエタン130mL(1.74mol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し24時間還流を行った。反応の進行とともに、白色固体が析出した。
【0098】
(2)得られた懸濁液について、過剰のブロモエタン、シクロヘキサンを減圧留去して得られる白色固体を酢酸エチル/イソプロパノール混合溶媒(1/1 v/v)から再結晶させて精製した。得られた結晶をろ別、n−ヘキサンで洗浄し、50℃で一晩真空乾燥させた。収量91g、収率83%であった。得られた白色固体の1H−NMR測定から、目的の3−エチル−1−メチルイミダゾリウムブロマイド(EMIBr)が生成したことを確認した。
【0099】
(3)上記で得られたEMIBr45g(236mmol)を攪拌翼、メカニカルスターラー、三方コックを取り付けた500mLのセパラブルフラスコに仕込んだ。ここに蒸留水120mLを仕込み、EMIBrを完全に溶解させた。
【0100】
(4)リチウム(ビストリフルオロメタンスルホニル)イミド68g(236mmol)を蒸留水240mLに溶解させた水溶液を作製した。この水溶液を上記のEMIBr水溶液に攪拌しながら滴下した。滴下終了後、70℃で1時間反応を継続した。反応液は二相に分離していた。
【0101】
(5)得られた二相の下相を抜き出し、塩化メチレンで希釈し、蒸留水で3回洗浄した。洗浄後、80℃で3時間減圧留去を行い、塩化メチレン、及び一部の水分を除去した。得られた無色透明の液体を120℃で3日間真空乾燥することで、系内の水を完全に除去した。収量61g、収率67%であった。得られた無色透明液体の1H−NMR測定から、目的の3−エチルー1−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMITFSI)が生成していることを確認した。
【0102】
参考例3: ポリスチレン−b−ポリメチルアクリレート−b−ポリスチレン共重合体(P−1)を用いた高分子固体電解質(E−1)の製造
【0103】
共重合体(P−1)10gをテトラヒドロフラン500mLに完全に溶解させた。この溶液にEMITFSI16.1gを加え均一な溶液を得た。この溶液をガラス上に広げ乾燥させた。得られた透明、柔軟な固体を50℃で真空乾燥して高分子固体電解質(E−1)を得た。
【0104】
参考例4: ポリフッ化ビニリデン−ヘキサプルオロプロピレンランダム共重合体を用いた高分子固体電解質(E−2)の製造
【0105】
(1)ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンランダム共重合体(P(VDF/HFP),アルケマ社製,「カイナー#2801」)10gをはかりとり、ここにEMITFSI50gを加え、よく混ぜ合わせてスラリー状の混合物を得た。得られた混合物を130℃/1時間加熱することにより、混合物は均一な液状となった。得られた液状物を室温で冷却することにより無色透明なゲル状の高分子固体電解質(E−2)を得た。
【0106】
(2)得られた高分子固体電解質を、100℃で所定のサイズに熱プレス成形を行い、高分子固体電解質シートを得た。
【0107】
表1に示してある実施例および比較例は、参考例に従い作製した高分子固体電解質の組成である。
【0108】
【表1】


【0109】
実施例1: 電極の製造、及びアクチュエータの製造及び性能試験
【0110】
(1)乳鉢に、活性炭(クラレケミカル社製 ガス賦活炭「YP17D」 比表面積=1760m/g ミクロ孔の総容積=0.77cm/g メソ孔総容積/ミクロ孔総容積=0.16 平均粒径=6μm)を1200℃、1時間熱処理したもの(比表面積=1425m/g ミクロ孔の総容積=0.64cm/g メソ孔総容積/ミクロ孔総容積=0.22)を0.5g、アセチレンブラック(電気化学工業社製 「デンカブラック」)0.3g、PVDF−HFP(アルケマ社製 「カイナー#2801」)0.3g、EMITFSI 1.5gをとり、乳鉢によりすりつぶし、塊状の電極材料とした。
【0111】
(2)得られた塊状の電極材料を、PETフィルムに挟み、130℃で熱プレスすることで炭素電極フィルムを得た。
【0112】
(3)続いて高分子固体電解質(E−1)の膜(膜厚 約100μm)を(2)で得られた炭素電極フィルムで挟み、105℃で熱プレスすることで炭素電極フィルム−高分子固体電解質−炭素電極フィルムの構成で積層されたアクチュエータを得た。
【0113】
(4)このアクチュエータから、幅5mm、長さ15mmに切り出し、両側の電極間が絶縁されていることをテスターで確認した。
【0114】
(5)このアクチュエータについて、動作試験を行った。
【0115】
比較例1: 電極の製造、及びアクチュエータの製造及び性能試験
活性炭を未熱処理のクラレケミカル社製 ガス賦活炭 YP17Dとした以外は、実施例1と同様に電極及びアクチュエータを作製し、動作試験を行った。
【0116】
比較例2: 電極の製造、及びアクチュエータの製造及び性能試験
活性炭をガス賦活炭A(比表面積=1944m/g ミクロ孔の総容積=1.08cm/g メソ孔総容積/ミクロ孔総容積=0.3 平均粒径=9μm)とした以外は、実施例1と同様に電極及びアクチュエータを作製し、動作試験を行った。
【0117】
実施例2: アクチュエータの製造及び性能試験
高分子固体電解質を(E−2)とした以外は、実施例1と同様に電極及びアクチュエータを作製し、動作試験を行った。
【0118】
比較例3: アクチュエータの製造及び性能試験
高分子固体電解質を(E−2)とした以外は、比較例1と同様に電極及びアクチュエータを作製し、動作試験を行った。
【0119】
比較例4: アクチュエータの製造及び性能試験
高分子固体電解質を(E−2)とした以外は、比較例2と同様に電極及びアクチュエータを作製し、動作試験を行った。
【0120】
実施例1、2並びに比較例1〜4のアクチュエータについて、動作試験を行った結果を表2に示す。
【0121】
【表2】


【0122】
以上の結果から本発明のアクチュエータは、特定の要件を満たすガス賦活された活性炭を電極の活物質として使用した場合に、変位量に加えて発生応力が向上し、アクチュエータとして有用に利用できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明を適用するアクチュエータの動作試験で用いた装置の概略図である。
【符号の説明】
【0124】
10はアクチュエータ、12・13は銅製電極、15はポテンショスタット、16はファンクションジェネレータ。

特許の図
【出願人】 【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
【識別番号】504182255
【氏名又は名称】国立大学法人横浜国立大学
【出願日】 平成20年3月31日(2008.3.31)
【代理人】 【識別番号】100088306
【弁理士】
【氏名又は名称】小宮 良雄

【識別番号】100126343
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 浩之
【公開番号】 特開2009−247175(P2009−247175A)
【公開日】 平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願番号】 特願2008−92951(P2008−92951)