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【発明の名称】 超音波モータの製造方法
【発明者】 【氏名】植谷 政之
【氏名】伊藤 陽彦
【課題】対象物を摺動運動させる摺動体の位置のずれを抑制することができる圧電/電歪セラミックス積層体の製造方法を提供する。

【解決手段】超音波モータ102の製造に必要な複数のグリーンシートの準備が完了した後に、当該複数のグリーンシートのうちの導電材料膜が形成されたグリーンシートを含まない第1群162を圧着治具132へ装着する。これにより、突起台146に対する第1群162の広がり方向の移動が規制される。続いて、上板138の上面から圧力を印加し、第1群162を突起台146の上面(突起形成面)に向かって押圧する。これにより、第1群162は圧着されるとともに、第1群162の圧着体の下面に突起150の形状を転写した溝164が形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電極膜を含む圧電/電歪セラミックス積層体と前記圧電/電歪セラミックス積層体の表面に設けられ対象物を摺動運動させる摺動体とを備える超音波モータの製造方法であって、
(a) 突起が形成された積層治具の突起物に対して広がり方向の移動が規制された複数のグリーンシートを前記積層治具の突起形成面に向かって押圧する工程と、
(b) 前記工程(a)により得られた前記複数のグリーンシートの圧着体を焼成し前記圧電/電歪セラミックス積層体を得る工程と、
(c) 前記突起形成面への押圧により前記圧電/電歪セラミックス積層体の表面に形成された溝に前記摺動体を嵌合する工程と、
を備える超音波モータの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波モータの製造方法において、
前記工程(a)は、
(a-1) 前記複数のグリーンシートのうちの前記工程(b)により前記電極膜となる導電材料膜が形成されたグリーンシートを含まない第1群を前記突起形成面に向かって押圧する工程と、
(a-2) 前記工程(a-1)の後に前記複数のグリーンシートのうちの導電材料膜が形成されたグリーンシートを含む第2群を前記第1の群の上に重ねて前記積層治具の突起形成面に向かって押圧する工程と、
を備える超音波モータの製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の超音波モータの製造方法において、
前記工程(a-1)は、
前記第1群の前記突起形成面に押圧される面とは反対側の面に樹脂フィルムを貼り付けた状態で前記第1群を前記突起形成面に向かって押圧する、
超音波モータの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に電極膜を含む圧電/電歪セラミックス積層体と当該圧電/電歪セラミックス積層体の表面に設けられ対象物を摺動運動させる摺動体とを備える超音波モータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、縦1次モード及び屈曲2次モードが縮退する矩形形状を有し内部に電極膜を含む圧電/電歪セラミックス積層体に対象物を摺動回転させる摺動片を貼り付けた超音波モータが知られている。当該超音波モータは、圧電/電歪セラミックス積層体に縦1次モード及び屈曲2次モードの振動を同時に励振することにより、摺動片を楕円運動させる。
【0003】
【特許文献1】特開2007−259700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の超音波モータでは、圧電/電歪セラミックス積層体に摺動片を貼り付ける位置のずれ、特に、外部から視認することができない内部の電極膜に対する位置のずれが起こりやすい。このような位置のずれは、縦1次モード及び屈曲2次モード以外の不要な固有振動モードの発生の原因となり摺動片の楕円運動を乱す原因となるので、好ましくない。
【0005】
本発明は、この問題を解決するためになされたもので、対象物を摺動運動させる摺動体の位置のずれを抑制することができる超音波モータの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、内部に電極膜を含む圧電/電歪セラミックス積層体と前記圧電/電歪セラミックス積層体の表面に設けられ対象物を摺動運動させる摺動体とを備える超音波モータの製造方法であって、(a) 突起が形成された積層治具の突起物に対して広がり方向の移動が規制された複数のグリーンシートを前記積層治具の突起形成面に向かって押圧する工程と、(b) 前記工程(a)により得られた前記複数のグリーンシートの圧着体を焼成し前記圧電/電歪セラミックス積層体を得る工程と、(c) 前記突起形成面への押圧により前記圧電/電歪セラミックス積層体の表面に形成された溝に前記摺動体を嵌合する工程と、を備える。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の超音波モータの製造方法において、前記工程(a)は、(a-1) 前記複数のグリーンシートのうちの前記工程(b)により前記電極膜となる導電材料膜が形成されたグリーンシートを含まない第1群を前記突起形成面に向かって押圧する工程と、(a-2) 前記工程(a-1)の後に前記複数のグリーンシートのうちの導電材料膜が形成されたグリーンシートを含む第2群を前記第1の群の上に重ねて前記積層治具の突起形成面に向かって押圧する工程と、を備える。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の超音波モータの製造方法において、前記工程(a-1)は、前記第1群の前記突起形成面に押圧される面とは反対側の面に樹脂フィルムを貼り付けた状態で前記第1群を前記突起形成面に向かって押圧する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、グリーンシートの積層治具に対する広がり方向の移動が規制された状態でグリーンシートを突起形成面に向かって押圧することにより溝が形成されるので、溝が形成される位置のずれを抑制することができ、対象物を摺動運動させる摺動体の位置のずれを抑制することができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、第1群の突起が圧入される面とは反対側の面に第2群が圧着されるので、第2群の変形を抑制することができ、圧電/電歪セラミックス積層体の厚さ方向に隣接する電極膜の間隔の乱れを抑制することができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、第1群の突起が圧入される面とは反対側の面の平坦性を向上することができるので、第2群の変形をさらに抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<1 超音波モータ102の構成>
図1〜図2は、本発明の望ましい実施形態に係る超音波モータ(圧電/電歪モータ)102の概略構成を示す模式図である。図1は、超音波モータ102の斜視図、図2は、図1のA-Aに沿う超音波モータ102の断面図となっている。
【0013】
図1〜図2に示すように、超音波モータ102は、圧電/電歪セラミックス積層体104と摺動体106,108とを備える。超音波モータ102では、圧電/電歪セラミックス積層体104に縦1次モード及び屈曲2次モードの振動を同時に励振することにより摺動体106,108を楕円運動させる。なお、下述する超音波モータ102の製造方法は、他の固有振動モードを利用する超音波モータの製造においても採用することができる。
【0014】
{圧電/電歪セラミックス積層体104}
圧電/電歪セラミックス積層体104は、内部に電極膜110,112,114,116,118,120を含む圧電/電歪セラミックスの焼成体である。
【0015】
圧電/電歪セラミックス積層体104を構成する圧電/電歪セラミックス材料は、PbをPbO換算で65質量%以上70質量%以下含み、TiをTiO2換算で7.0質量%以上16.0質量%以下含み、ZrをZrO2換算で10.5質量%以上24.5質量%以下含み、SbをSb23換算で0.65質量%以上1.05質量%以下含み、NbをNb25換算で0.5質量%以上0.8質量%以下含み、CuをCuO換算で0.3質量%以上0.7質量%以下含み、WをWO3換算で0.6質量%以上1.5質量%以下含み、MnをMnO2換算で0.3質量%以上0.7質量%以下含み、CuとWのモル比が1.5:1以上2.5:1以下である圧電/電歪セラミック組成物である。
【0016】
電極膜110,112,114,116,118,120を構成する導電材料は、特に制限されないが、電気抵抗の低さ及び耐熱性の高さの観点から、白金、パラジウム、ロジウム、金、銀等の金属又はこれらを主成分とする合金であることが望ましい。
【0017】
圧電/電歪セラミックス積層体104は、摺動体106,108が嵌合される溝124,126を矩形板の下面に形成した形状を有している。溝124,126の各々は、屈曲2次モードの振動の腹となる位置P102,P104に形成され、圧電/電歪セラミックス積層体104の短手方向に伸びている。
【0018】
圧電/電歪セラミックス積層体104は、長手方向に伸縮する振動に関する固有振動モードである縦1次モードの固有振動数F1と、厚さ方向に屈曲する振動に関する固有振動モードである屈曲2次モードの固有振動数F2とが縮退するように決定する。ここでいう「縮退」とは、固有振動数F1と固有振動数F2との差|F1−F2|の固有振動数F1に対する比|F1−F2|/F1が0〜8%程度であることが望ましいことを意味している。
【0019】
電極膜110,112,114,116,118,120は、圧電/電歪セラミックス積層体104の上面及び下面と平行に形成されている。電極膜110,112,114は、屈曲2次モードの振動の節となる位置P106で圧電/電歪セラミックス積層体104を長手方向に分割して得られる2個の領域のうちの一方の領域A102の相対的に上面寄りに形成され、電極膜116,118,120は、当該2個の領域のうちの他方の領域A104の相対的に下面寄りに形成されている。電極膜110,112,114,116,118,120のうちの圧電/電歪セラミックス積層体104の厚さ方向に隣接する2個、例えば、電極膜112と電極膜114とは、圧電/電歪体を挟んで対向し、圧電/電歪体に電界を印加する。なお、圧電/電歪セラミックス積層体104が含む電極膜の層数を増減してもよい。位置P102,104は、屈曲2次モードの腹の位置(共振時に変位量が大きくなる位置)に来るようにする。つまり、素子を3等分した時の1/3、2/3の位置にする。この発明によって、内部電極と摺動部品との位置ズレを小さくすることが出来、素子に分割する時は、素子端面と内部電極との距離が積層方向に対して垂直な4面で一定になるように切断するので、結果的に素子外形に対しても位置ズレを小さくすることができる。
【0020】
{摺動体106,108}
摺動体106,108は、対象物たるステージに接した状態で楕円運動し、ステージを摺動運動させる。
【0021】
摺動体106,108を構成する材料は、特に制限されないが、磨耗の少なさや発塵の少なさの観点から、ジルコニアセラミックスや超硬合金であることが望ましい。
【0022】
摺動体106,108の立体形状も、特に制限されないが、鋭端部が少なく欠けが起こりにくい丸棒形状であることが望ましい。
【0023】
<2 圧着治具132の構成>
図3は、超音波モータ102の製造に使用する圧着治具132の模式図である。図3は、圧着治具132を構成する突起付きピン台134、底板136及び上板138を上下に分離して示すとともに圧着対象の複数の圧電/電歪セラミックスグリーンシート(以下では、「グリーンシート」という)192を示す斜視図となっている。圧着治具132を用いて複数のグリーンシート(以下では、「グリーンシート群」という)192を圧着する場合、突起付きピン台134、底板136、グリーンシート群192及び上板138を記載した順序で重ね合わせ、上板138の上面からグリーンシート群192を突起付きピン台134に向かって押圧することにより、グリーンシート群192を圧着し、グリーンシート群192の圧着体の下面に突起150の立体的形状を転写する。
【0024】
{突起付きピン台134}
突起付きピン台134は、底板136、グリーンシート群192及び上板138の広がり方向の移動を規制するとともに、グリーンシート群192の圧着体の下面に溝を形成する。突起付きピン台134は、支持板142の上面に4個の位置決めピン144及び4個の突起台146を固設した構造を有している。
【0025】
支持板142は、位置決めピン144及び突起台146を支持する。支持板142は、下述する取っ手152を把握しやすくするための2個の切り欠き148を長方形板の対辺の各々の中央に形成した形状を有している。
【0026】
位置決めピン144は、底板136、グリーンシート群192及び上板138の広がり方向の移動を規制する。位置決めピン144は、丸棒形状を有しており、支持板142の四隅の近傍に支持板142の上面に垂直となるように立設されている。もちろん、位置決めピン144の数を増減してもよいし、位置決めピン144を立設する位置を変更してもよい。
【0027】
突起台146は、グリーンシート群192の圧着体の下面に溝を形成する。突起台146は、上方に突出する突起150を長方形板の上面に形成したものである。突起150の高さは、グリーンシート群192の圧着体に形成すべき溝の深さよりも10%程度高くしておくことが望ましい。これは、グリーンシートは弾性を有しているので、グリーンシート群192を突起台146の上面に向かって押圧した後にグリーンシートを突起台146から分離すると、スプリングバックにより溝の深さが突起150の高さよりも浅くなるからである。一方、突起150の間隔はグリーンシート群192の圧着体に形成すべき溝の間隔と同程度で問題はない。突起台146は、支持板142の上面に碁盤の目状に配列されている。もちろん、突起台146の数を増減してもよいし、突起台146の配列方法を変更してもよい。
【0028】
{底板136}
底板136は、グリーンシート群192を支持する。底板136は、長方形板の対辺の中央に2個の取っ手152を形成するとともに位置決め孔154及び窓孔156を形成した構造を有している。
【0029】
位置決め孔154は、位置決めピン144と同様の平面配置をもって底板136の四隅の近傍に形成されている。また、位置決め孔154の平面形状は、位置決めピン144の平面形状と略同一であるが、遊びの分だけ位置決めピン144の平面形状よりも大きくなっている。
【0030】
窓孔156は、突起台146と同様の平面配置をもって形成されている。窓孔156の平面形状は、突起台146の平面形状と略同一であるが、遊びの分だけ突起台146の平面形状よりも大きくなっている。
【0031】
したがって、支持板142と底板136とが平行になっていれば、位置決めピン144を位置決め孔154に挿入し、突起付きピン台134と底板136とを接近及び離遠させることができる。
【0032】
底板136の板厚は、突起台146の板厚と同じになっている。したがって、位置決めピン144を位置決め孔154に挿入した状態で底板136の下面と支持板142の上面とを接触させると、底板136の上面と窓孔156に挿入された突起台146の上面とは同一平面を構成する。これにより、グリーンシート群192を突起付きピン台134に向かって押圧したときに、突起台146の端部の近傍においてグリーンシート群192が湾曲することを抑制することができる。
【0033】
{上板138}
上板138は、グリーンシート群192を均一に突起付きピン台134に向かって押圧する。上板138は、長方形板に位置決め孔160を形成した形状を有している。位置決め孔160は、位置決めピン144と同様の平面配置をもって上板138の四隅の近傍に形成されている。また、位置決め孔160の平面形状は、位置決めピン144の平面形状と略同一であるが、遊びの分だけ位置決めピン144の平面形状よりも大きくなっている。したがって、支持板142と上板138とが平行になっていれば、位置決めピン144を位置決め孔160に挿入し、突起付きピン台134と上板138とを接近及び離遠させることができる。
【0034】
{グリーンシート群192}
圧着治具132を用いてグリーンシート群192を圧着する場合、グリーンシート群192の四隅の近傍には、位置決めピン144と同様の平面配置をもって位置決め孔158が形成される。したがって、支持板142と底板136とが平行になっており、底板136の上面にグリーンシート群192が載置されていれば、位置決めピン144を位置決め孔154,158に挿入し、突起付きピン台134と上面にグリーンシート群192が載置された底板136とを接近及び離遠させることができる。もちろん、位置決めピン144を位置決め孔158に挿入したときの位置決めピン144の外面と位置決め孔158の内面との間の遊びの大きさは、溝124,126を形成する位置の交差よりも小さくなっている必要がある。
【0035】
<3 超音波モータ102の製造方法>
図4は、超音波モータ102の製造方法を説明するフローチャートである。また、図5〜図6は、超音波モータ102の製造方法を説明する模式図である。図5〜図6は、製造の途上の超音波モータ102の断面図となっている。
【0036】
{グリーンシートの作製}
図4に示すように、超音波モータ102の製造にあたっては、まず、グリーンシートを作製する(ステップS101)。グリーンシートは、圧電/電歪セラミックスの粉末等を分散媒に分散させたスラリーを引き上げ法・ドクターブレード法等によりPET(ポリエチレンテレフタラート)フィルム(より一般的には、樹脂フィルム)の表面に塗布した後に、得られたシート状の成形体を圧着治具132に装着することができる形状に加工することにより作製する。シート状の成形体の加工は、パンチ加工・レーザ加工等により行う。
【0037】
{導電材料膜の形成}
続いて、超音波モータ102の製造に必要な複数のグリーンシートのうちの一部の表面に焼成により電極膜110,112,114,116,118,120となる導電材料膜を形成する(ステップS102)。導電材料膜は、導電材料の粉末等を分散媒に分散させたペーストをグリーンシートの表面にスクリーン印刷することにより行う。なお、スクリーン印刷以外の方法により導電材料膜を形成してもよい。
【0038】
{第1群の圧着治具132への装着}
超音波モータ102の製造に必要な複数のグリーンシートの準備が完了した後に、図5に示すように、当該複数のグリーンシートのうちの導電材料膜が形成されたグリーンシートを含まない第1群162を圧着治具132へ装着する(ステップS103)。すなわち、第1群162が底板136と上板138との間に挟まれた状態となるように位置決め孔154,158,160に位置決めピン144を挿入する。これにより、突起台146に対する第1群162の広がり方向の移動が規制される。このとき、第1群162の最上部のグリーンシート1621の上面に、成形のときに使用したPETフィルム166を貼り付けたままにしておくことが望ましい。
【0039】
{第1群166の圧着}
続いて、図5に示すように、上板138の上面から圧力を印加し、第1群162を突起台146の上面(突起形成面)に向かって押圧する(ステップS104)。これにより、第1群162は圧着されるとともに、第1群162の圧着体の下面に突起150の形状を転写した溝164が形成される。ここで、図5に示すように、第1群162の突起が圧入される下面とは反対側の上面にPETフィルム166を貼り付けたままの状態で第1群162の圧着を行えば、PETフィルム166が緩衝材となって第1群162の圧着体の上面の平坦性を向上することができる、すなわち、突起150が圧入される位置における第1群162の圧着体の上面の盛り上がりを抑制することができるので、後述する第2群168の変形を抑制することができる。 ただし、このことは、PETフィルム166を貼り付けたままの状態で第1群162の圧着を行うことが必須であることを意味しない。
【0040】
{第2群168の圧着治具132への装着}
第1群162の圧着が終了した後に、超音波モータ102の製造に必要な複数のグリーンシートのうちの導電材料膜170が形成されたグリーンシートを含む第2群168を圧着治具132へ装着する(ステップS105)。すなわち、第1群162の圧着体の上に第2群168を重ね合わせたものが底板136と上板138との間に挟まれた状態となるように位置決め孔154,158,160に位置決めピン144を挿入する。これにより、突起台146に対する第2群168の広がり方向の移動が規制される。もちろん、PETフィルム166を貼り付けたままの状態で第1群162の圧着を行った場合、第1群162の圧着体と第2群168とを重ね合わせる前にPETフィルム166を取り除いておく。なお、第2群168は、導電材料膜170が形成されたグリーンシートだけでなく、導電材料膜170が形成されていないグリーンシートを含んでいてもよい。
【0041】
{第2群168の圧着}
続いて、図6に示すように、上板138の上面から圧力を印加し、第1群162の圧着体の上面に重ねられた第2群168を突起台146の上面に向かって押圧する(ステップS106)。これにより、超音波モータ102の製造に必要な複数のグリーンシートの圧着体が得られる。このように超音波モータ102の製造に必要な複数のグリーンシートを第1群162と第2群168とに分けて圧着すれば、第1群162の突起150が圧入される下面とは反対側の平坦な上面に第2群168が圧着されるので、第2群168の変形を抑制することができ、圧電/電歪セラミックス積層体104の厚さ方向に隣接する電極膜110,112,114,116,118,120の間隔の乱れを抑制することができる。
【0042】
{圧着体の焼成}
第2群168の圧着が終了した後に、得られた複数のグリーンシートの圧着体を焼成する(ステップS107)。焼成は、圧着体をマグネシア製の鞘等に収容した状態で行うことが望ましい。
【0043】
{焼成体の切断}
次に、焼成体をダイシングソー等で個々の圧電/電歪セラミックス積層体104に切断する(ステップS108)。
【0044】
{摺動体106,108の嵌合}
最後に、複数のグリーンシートの突起形成面への押圧により形成された溝124,126に摺動体106,108を嵌合して(ステップS109)、図1〜図2に示す超音波モータ102が完成する。
【0045】
このような溝124,126と同様の溝は、溝のない圧電/電歪セラミックス積層体の焼成体を作製した後に当該圧電/電歪セラミックス積層体を機械加工、例えば、切削加工・研削加工等することによっても製造することができる。ただし、機械加工の場合は、溝を形成する位置のずれが起こりやすく、特に、外部から視認することができない内部の電極膜に対する位置のずれが起こりやすい。加えて、機械加工の場合は、溝の深さのばらつきも起こりやすい。これに対して、突起台146に対する広がり方向の移動が規制されたグリーンシートを突起台146の上面に向かって押圧し、グリーンシートに突起150を圧入することを経て溝124,126を形成すると、溝124,126が形成される位置のずれを抑制することができるので、ステージを摺動運動させる摺動体106,108の位置のずれを抑制することができる。これにより、不要な固有振動モードの発生を抑制することができ、摺動体106,108の楕円運動の乱れを防ぐことができる。また、このような溝124,126の形成方法には、溝124,126の深さのばらつきを抑制することができるという利点もある。
【0046】
実際に実験を行ったところ、ダイシングソーによる切削加工で溝を形成した場合には、溝の平面位置のばらつきが3σ=30μm、溝の深さのばらつきが3σ=15μmであったのに対して、上述の方法で溝を形成した場合には、溝の平面位置のばらつきが3σ=15μm、溝の深さのばらつきが3σ=3μmと著しく改善された。ここで、「σ」は、標準偏差をあらわしている。
【0047】
さらに加えて、上述の溝の形成方法には、砥石の磨耗等によるランニングコストが発生しないという利点もある。
【0048】
なお、上述の説明では、第1群162の圧着及び第2群168の圧着を各々1回で行ったが、第1群162の圧着及び第2群168の圧着を各々2回以上に分けて行ってもよい。
【0049】
この発明は詳細に説明されたが、上述した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】望ましい実施形態に係る超音波モータの概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1のA-Aに沿う超音波モータの断面図である。
【図3】圧着治具の斜視図である。
【図4】超音波モータの製造方法を説明するフローチャートである。
【図5】超音波モータの製造方法を説明する断面図である。
【図6】超音波モータの製造方法を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0051】
102 超音波モータ
104 圧電/電歪セラミックス積層体
110,112,114,116,118,120 電極膜
124,126 溝
106,108 摺動体
132 圧着治具
134 突起付きピン台
136 底板
138 上板
150 突起
162 第1群
168 第2群
192 グリーンシート群

特許の図
【出願人】 【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
【出願日】 平成20年3月31日(2008.3.31)
【代理人】 【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊

【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
【公開番号】 特開2009−247115(P2009−247115A)
【公開日】 平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願番号】 特願2008−90708(P2008−90708)