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【発明の名称】 系統連系インバータ装置
【発明者】 【氏名】田嶌 大介
【氏名】西尾 直樹
【課題】複数台の単相インバータを直列に接続した系統連系インバータ装置において、系統に連系した状態のまま系統連系インバータ装置を停止した場合であっても、コンデンサに与えるストレスの低減を可能とすること。

【解決手段】インバータユニット5と系統12とは接続状態にあり、かつ、インバータユニット5の動作が停止している場合に、系統12から流れ込む電流によって各抵抗26−1〜26−3の両端に生ずる電位差が各単相インバータ20−1〜20−3を構成する部品の耐圧を超えないように、各抵抗26−1〜26−3の抵抗値が設定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を交流電力に変換して出力する単相インバータの交流側端子を複数台直列に接続し、当該複数台の単相インバータの各発生電圧の総和による出力電圧を系統に供給するインバータユニットを具備し、このインバータユニットの出力電圧を制御して前記系統と連系する系統連系インバータ装置において、
前記インバータユニットの出力を系統に供給するか否かを切り替える開閉器と、
前記各単相インバータの直流側端子に繋がる直流母線間にそれぞれ接続され、当該各単相インバータの直流電源として機能するコンデンサと、
前記各コンデンサの両端にそれぞれ接続される抵抗と、
を備え、
前記インバータユニットと前記系統とは接続状態にあり、かつ、前記インバータユニットの動作が停止している場合に、前記系統から流れ込む電流によって前記各抵抗の両端に生ずる電位差が前記各単相インバータを構成する部品の耐圧を超えないように、前記各抵抗の抵抗値が設定されていることを特徴とする系統連系インバータ装置。
【請求項2】
前記インバータユニットを動作させるときの前記各単相インバータの母線電圧が当該各単相インバータ毎に設定されているとき、
前記各抵抗の抵抗比は、前記各母線電圧の電圧比に等しく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の系統連系インバータ装置。
【請求項3】
前記各抵抗の抵抗値は、前記各単相インバータ毎に、当該各単相インバータの電力変換効率に関する評価値に基づいて設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の系統連系インバータ装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のインバータを直列に接続した系統連系インバータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
系統に連系する系統連系インバータ装置として、例えば、下記特許文献1に示されたものがある。この特許文献1に示された系統連系インバータ装置(同文献では「電力変換装置」として開示)では、太陽光エネルギーによって発電された直流電力を交流電力に変換して負荷あるいは系統に供給する構成において、第1〜第3のコンデンサによって供給される各直流電力を入力とする複数の単相インバータの交流側端子を直列接続し、各単相インバータの発生電圧の総和が出力電圧となるように構成されている。
【0003】
なお、上記の構成において、第1のコンデンサの電圧は、太陽電池モジュールの出力電圧を降圧コンバータおよび昇圧チョッパを介して所望電圧に調整され、第2、第3のコンデンサの電圧は、第1のコンデンサに接続されるDC/DCコンバータによって、第1のコンデンサの電圧よりも小さい所望電圧となるように調整される。
【0004】
【特許文献1】特開2007−166783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、太陽光発電システムに用いられる系統連系インバータ装置は、複数の太陽電池モジュールによって発電された直流電力を交流電力に変換するとともに、電力会社から供給される一般の商用電源と連系することで、余剰電力は系統側へ回生し、不足電力は系統側から供給されるように動作する。したがって、例えば日射量が少なく、太陽電池モジュールからの発電電力が小さい場合には、系統連系インバータ装置の動作を止めて待機状態にする必要がある。この場合、系統と系統連系インバータ装置とは、例えば開閉器を介して切り離されることが通常である。
【0006】
一方、開閉器を有する構成では、開閉器のリレーの寿命が問題となることがある。例えば、太陽電池モジュールの発電電力が不足した場合、系統連系インバータ装置を動作させても系統側に電力を供給することができないので、系統連系インバータ装置を待機状態とし、かつ、系統と系統連系インバータ装置との接続を切り離すために開閉器をオフに制御することが通常行われる。すなわち、従来の系統連系インバータ装置では、起動状態と待機状態とを繰り返す度に開閉器のオン/オフの切り替え制御が実行され、リレーの開閉回数が多くなって、リレーの接点寿命が短くなるという問題点があった。
【0007】
他方、系統連系インバータ装置の状態に関わらず、系統との接続を維持することができれば、開閉器のオン/オフの回数を削減することができ、リレーの寿命を延ばすことが可能となる。また、例えば太陽電池モジュールの発電電力が一時的に低下した場合でも、開閉器をオフさせることなく、系統連系インバータ装置が待機状態になることが許容されるのであれば、系統連系インバータ装置を起動するための閾値を下げることも可能となる。すなわち、系統連系インバータ装置が待機状態のときに、系統との接続を切り離す必要のない構成を実現することができれば、運転効率を高めつつ、リレーの寿命の延伸化が可能となる。
【0008】
なお、従来の系統連系インバータ装置において、装置が待機状態のときに、系統との接続を切り離さずに接続したままの状態に制御することは、比較的容易である。しかしながら、上記特許文献1に示されるような複数のインバータを直列に接続した系統連系インバータ装置では、単相インバータの入力側にそれぞれ並列に接続される第1〜第3のコンデンサが、系統に対して直列に接続される構成となるので、装置が待機状態のときに系統に連系していると、第1〜3のコンデンサ容量比に応じて各コンデンサの両端電圧が決まり、部品の耐圧を越えて故障してしまう可能性があるという課題があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数台の単相インバータを直列に接続した系統連系インバータ装置において、系統に連系した状態のまま、装置を停止することが可能となる系統連系インバータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる系統連系インバータ装置は、直流電力を交流電力に変換して出力する単相インバータの交流側端子を複数台直列に接続し、当該複数台の単相インバータの各発生電圧の総和による出力電圧を系統に供給するインバータユニットを具備し、このインバータユニットの出力電圧を制御して前記系統と連系する系統連系インバータ装置において、前記インバータユニットの出力を系統に供給するか否かを切り替える開閉器と、前記各単相インバータの直流側端子に繋がる直流母線間にそれぞれ接続され、当該各単相インバータの直流電源として機能するコンデンサと、前記各コンデンサの両端にそれぞれ接続される抵抗と、を備え、前記インバータユニットと前記系統とは接続状態にあり、かつ、前記インバータユニットの動作が停止している場合に、前記系統から流れ込む電流によって前記各抵抗の両端に生ずる電位差が前記各単相インバータを構成する部品の耐圧を超えないように、前記各抵抗の抵抗値が設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる系統連系インバータ装置によれば、インバータユニットと系統とは接続状態にあり、かつ、インバータユニットの動作が停止している場合に、系統から流れ込む電流によって各抵抗の両端に生ずる電位差が各単相インバータを構成する部品の耐圧を超えないように各抵抗の抵抗値を設定するようにしているので、系統に連系した状態のまま系統連系インバータ装置を停止することができ、リレーの寿命の延伸化が可能となるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる系統連系インバータ装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
(太陽光発電システムの構成)
図1は、本発明にかかる系統連系インバータ装置を太陽光発電システムに適用した場合の一例を示す図である。同図において、系統連系インバータ装置3の直流入力端である入力端14には、太陽電池モジュール2が接続され、交流出力端である出力端16には、50Hzあるいは60Hzの電力を供給する系統12が接続されている。このように構成された太陽光発電システム1では、太陽電池モジュール2によって発電された直流電力は、系統連系インバータ装置3によって交流電力に変換され、系統12との連系により、余剰電力は系統12側に回生され、不足電力は系統12側から供給される。なお、同図の構成では、系統12は、単相2線式の配電系統を接続する実施態様を示しているが、単相3線式の配電系統であっても構わない。この場合、系統の中性線は系統側で対地GNDに接地され、残り2線の電源ラインは系統連系インバータ装置3の出力端16に接続される。
【0014】
(系統連系インバータ装置の構成)
つぎに、系統連系インバータ装置3の構成について説明する。図1において、系統連系インバータ装置3は、コンバータ4、インバータユニット5、制御部6、出力フィルタ回路7、開閉器8、およびDC/DCコンバータ11を備えている。
【0015】
(系統連系インバータ装置の接続構成および機能)
つぎに、系統連系インバータ装置3の接続構成および機能について説明する。コンバータ4は、入力端が系統連系インバータ装置3の入力端14に接続され、入力端14を通じて供給される太陽電池モジュール2の直流電圧を昇圧または降圧してインバータユニット5およびDC/DCコンバータ11に出力する。インバータユニット5は、後述するような複数台の単相インバータを備えており、これらの複数台の単相インバータのうちの1個の単相インバータについては、コンバータ4から供給される直流電圧を入力により動作し、当該1個の単相インバータを除く残りの単相インバータについては、DC/DCコンバータ11から供給される直流入力により動作する。すなわち、インバータユニット5は、対応する供給源から印加される直流電圧を交流電圧に変換して出力する。開閉器8は、インバータユニット5の出力端と系統連系インバータ装置3の出力端である出力端16との間に挿入され、インバータユニット5の出力を系統12に伝達するか否かの切り換え動作を実行する。制御部6は、コンバータ4およびインバータユニット5を制御し、コンバータ4およびインバータユニット5から出力される電圧を好適な値に調整するとともに、インバータユニット5の出力電圧の状態に応じて開閉器8を開閉制御し、インバータユニット5と系統12との間の連系動作を制御する。
【0016】
(系統連系インバータ装置の詳細構成)
つぎに、本実施の形態にかかる系統連系インバータ装置の詳細構成について、図2を参照して説明する。図2は、本実施の形態にかかる系統連系インバータ装置3の主要構成部であるインバータユニット5のより詳細な構成を示す図であり、図1に示した構成において、インバータユニット5から系統12までの回路構成を示した図である。
【0017】
図2において、インバータユニット5は、複数(同図の例では3個)の単相インバータ20−1〜20−3の交流側端子間が直列に接続されたインバータユニットを構成する。各単相インバータ20−1〜20−3は、ダイオードを逆並列に接続した複数個の、例えばIGBTである自己消弧型半導体スイッチング素子で構成されている。
【0018】
第1の単相インバータである単相インバータ20−1(同図の中段部にあるインバータ)の直流端子側では、第1のコンデンサであるコンデンサ24−1および第1のバランス抵抗である抵抗26−1が単相インバータ20−1の直流側端子に繋がる直流母線間にそれぞれ接続されている。なお、コンデンサ24−1は第1の直流電源として機能し、抵抗26−1は直流母線の電圧変動を抑え、他の直流母線との間で所定の電圧比を維持するための第1のバランス抵抗として機能する。一方、単相インバータ20−1の交流側端子では、交流側端子の一方に第2の単相インバータである単相インバータ20−2が接続され、交流側端子の他方に第3の単相インバータである単相インバータ20−3が接続される。また、単相インバータ20−1の交流側端子間を短絡させる短絡用スイッチとして、ダイオードを逆並列に接続した2個の、例えばIGBTである自己消弧型半導体スイッチング素子が互いに逆極性に直列接続されたスイッチ回路22が設けられ、このスイッチ回路22は、単相インバータ20−1に並列に接続される。
【0019】
第2の単相インバータである単相インバータ20−2(同図の上段部にあるインバータ)、および第3の単相インバータである単相インバータ20−3(同図の下段部にあるインバータ)についても、直流端子側では同様な構成がとられる。より詳細には、単相インバータ20−2の直流端子側では、第2のコンデンサであるコンデンサ24−2および第2のバランス抵抗である抵抗26−2が単相インバータ20−2の直流側端子に繋がる直流母線間にそれぞれ接続され。なお、コンデンサ24−2は第2の直流電源として機能し、抵抗26−2は直流母線の電圧変動を抑え、他の直流母線との間で所定の電圧比を維持するための第2のバランス抵抗として機能する。同様に、単相インバータ20−3の直流端子側では、第3のコンデンサであるコンデンサ24−3および第3のバランス抵抗である抵抗26−3が単相インバータ20−3の直流側端子に繋がる直流母線間にそれぞれ接続される。なお、コンデンサ24−3は第3の直流電源として機能し、抵抗26−3は直流母線の電圧変動を抑え、他の直流母線との間で所定の電圧比を維持するための第3のバランス抵抗として機能する。
【0020】
一方、単相インバータ20−2および単相インバータ20−3の各交流側端子では、つぎのような構成がとられる。まず、単相インバータ20−2の交流側端子では、交流側端子の一方に単相インバータ20−1が接続され、交流側端子の他方に出力フィルタ回路7の入力側端子の一方が接続される。また、単相インバータ20−3の交流側端子では、交流側端子の一方に単相インバータ20−1が接続され、交流側端子の他方に出力フィルタ回路7の入力側端子の他方が接続される。
【0021】
なお、図1にも示すように、単相インバータ20−1の直流電源となるコンデンサ24−1に対する直流電力は、コンバータ4によって供給され、単相インバータ20−2の直流電源となるコンデンサ24−2、および単相インバータ20−3の直流電源となるコンデンサ24−3に対する各直流電力は、コンバータ4から直流電力の供給を受けたDC/DCコンバータ11によって供給される。
【0022】
ここで、単相インバータ20−1の入力となるコンデンサ24−1の電圧は、他の単相インバータである単相インバータ20−2,20−3の各入力となるコンデンサ24−2およびコンデンサ24−3の電圧よりも大きい。一方、コンデンサ24−2の電圧と、コンデンサ24−3の電圧とについては、何れが大きくてもよいし、両者の電圧が等しくてもよい。なお、ここでは、便宜上、コンデンサ24−2の電圧と、コンデンサ24−3の電圧とは、概略等しいと仮定する。つまり、インバータユニット5が起動しているときのコンデンサ24−1〜24−3の各電圧(各単相インバータの母線電圧に等しい)をV1,V2,V3とすると、これらの電圧間には、V1>V2=V3の関係がある。
【0023】
これらの単相インバータ20−1〜20−3は、出力として正負およびゼロの電圧を発生することができ、単相インバータ20−1〜20−3は、これらの発生電圧を組み合わせた総和としての電圧を出力する。この出力電圧は、例えばリアクトルおよびコンデンサを組み合わせた平滑フィルタ回路としての出力フィルタ回路7によって平滑され、所望の交流電圧が系統12に供給される。なお、これより詳細な動作については、上記した特許文献1の公報に適切に開示されているため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0024】
(系統連系インバータ装置の要部動作)
つぎに、本実施の形態にかかる系統連系インバータ装置の要部動作について、まず、図3の図面を参照して説明する。ここで、図3は、系統連系を行っている状態でインバータユニット5を停止したときの系統12からインバータユニット5の内部に流れ込む電流経路を示す図である。
【0025】
(連系状態−バランス抵抗が存在しないときの動作)
まず、系統連系インバータ装置3が系統12と連系状態にあり(つまり開閉器8は閉じられ)、かつ、インバータユニット5が停止したときを考えるが、ここでは、さらに、コンデンサ24−1〜24−3にそれぞれ並列に接続されている抵抗26−1〜26−3が存在しない場合について考える。インバータユニット5が停止した場合、インバータユニット5の各半導体スイッチング素子はオフに制御されるが、各半導体スイッチング素子に並列に接続されたダイオードを通過する電流経路が存在するので、系統12の電圧は、各単相インバータには並列に接続され、コンデンサ全体としては直列に接続されるコンデンサ24−1〜24−3に印加される。
【0026】
ここで、図3にも示すように、コンデンサ24−1〜24−3の各容量値をC1,C2,C3とし、系統12の電圧をVkとする。また、系統12の電圧が印加された後のコンデンサ24−1〜24−3の各電圧をV1’,V2’,V3’とする。
【0027】
まず、インバータユニット5の起動中は、次式が成り立つ。
V1>V2=V3 …(1)
なお、V1,V2,V3の典型的な値として、V1=210[V]、V2=V3=70[V]を想定する。
【0028】
一方、インバータユニット5が停止すると、系統12の電圧Vkは、直列に接続されたコンデンサ24−1〜24−3の両端に印加されるので、次式が成り立つ。
V1’+V2’+V3’=Vk …(2)
C1*V1'=C2*V2'=C3*V3'=Ct*Vk=Q …(3)
ただし、Ct=(C1*C2*C3)/(C1*C2+C2*C3+C3*C1) …(4)
であり、Qは、系統12の電圧Vkが印加されたときの、各コンデンサに蓄積される電荷量である。
【0029】
上記(3)式より、
V1':V2':V3'=(1/C1):(1/C2):(1/C3) …(5)
が成り立つ。
【0030】
ここで、C1*C2+C2*C3+C3*C1=Cpとおけば、上記(3)式、(4)式、および(5)式の関係より、
V1’=(Ct/C1)*Vk=(C2*C3)/Cp*Vk …(6)
V2’=(Ct/C2)*Vk=(C3*C1)/Cp*Vk …(7)
V3’=(Ct/C3)*Vk=(C1*C2)/Cp*Vk …(8)
となる。
【0031】
また、C1,C2,C3のうち、端子電圧の最も大きなコンデンサ24−1の容量値(C1)が最も大きく、コンデンサ24−2,24−3の各容量値(C2,C3)は、容量値が概略等しく、かつ、C1より小さいものと仮定すれば、上記(6)〜(8)式により、
V1'<V2'=V3' …(9)
という関係が得られる。
【0032】
また、C1,C2,C3の各容量値が、概略等しいものと仮定すれば、上記(6)〜(8)式により、
V1'=V2'=V3' …(10)
という関係が得られる。
【0033】
いま、系統12の電圧を約280[V](交流200[V]のピーク電圧)とすれば、上記(10)式の場合でも、V1’=V2’=V3’≒93[V]となる。すなわち、コンデンサ24−2,24−3の電圧は、70[V]から93[V]まで上昇することになる。このとき、インバータユニット20−2,20−3の部品の耐圧が70[V]だと部品の耐圧を越えて故障してしまうおそれがある。なお、このコンデンサを電解コンデンサで構成していると、経年で容量が変化し、その影響が増大する。
【0034】
したがって、装置が待機状態の時に系統に連系していると、第1〜3のコンデンサ容量比に応じて各コンデンサの両端電圧が決まり、部品の耐圧を越えて故障してしまう可能性がある。
【0035】
(連系状態−バランス抵抗が存在するときの動作)
つぎに、図3に示すように、抵抗26−1〜26−3が存在する場合について考える。この場合、上記と同様に、系統12の電圧がインバータユニット5の各単相インバータに印加されるので、系統12からの電流はコンデンサ24−1〜24−3および抵抗26−1〜26−3を有する各並列回路部に流れ込むことになる。
【0036】
ここで、抵抗26−1〜26−3に系統12からの電流が流れることにより生ずる各抵抗の両端に現れる電位差をそれぞれV4,V5,V6とすると、次式の関係が成り立つ。
V4+V5+V6=Vk …(11)
【0037】
このとき、V4,V5,V6の大きさが各単相インバータ毎に設定された回路部品の耐圧を超えないように、各抵抗値R1,R2,R3を決定することができる。例えば、抵抗26−1〜26−3の各抵抗値R1,R2,R3の比率を各単相インバータの母線電圧V1,V2,V3の比率と同一に設定するものとする。
【0038】
上記と同様な数値を用いるものとすると、
各単相インバータの母線電圧の比は、
V1:V2:V3=210:70:70=3:1:1 …(12)
となり、抵抗値R1,R2,R3の比率を、
R1:R2:R3=3:1:1 …(13)
と設定する。
【0039】
上記(13)式のように抵抗値R1,R2,R3の比率が設定された場合、系統12(Vk=280[V])に連系した状態でインバータを停止すると、系統12の電圧が抵抗26−1〜26−3の直列回路に印加され、そのときに流れる電流をIkとすれば、次式の関係が得られる。
V4=Ik*R1,V5=Ik*R2,V6=Ik*R3 …(14)
【0040】
上記(13)式および(14)式より、
V4:V5:V6=3:1:1 …(15)
となる。
【0041】
また、上記(11)式および(15)式により、V4,V5,V6はそれぞれ、
V4≒170[V]<V1
V5≒ 57[V]<V2
V6≒ 57[V]<V3
となるので、抵抗値R1,R2,R3の両端電圧が各単相インバータを構成する回路部品の耐圧を超えることはない。
【0042】
(非連系状態−バランス抵抗が存在するときの動作)
つぎに、インバータユニット5が系統12から切り離され、かつ、インバータユニット5が停止しているときの動作について図4の図面を参照して説明する。なお、図4は、系統12から切り離した状態でインバータユニット5を停止したときの各コンデンサに蓄積された電荷の放電経路を示す図である。
【0043】
インバータユニット5が系統12から切り離され、インバータユニット5が停止している状態の場合、抵抗26−1〜26−3がなければ、コンデンサ24−1〜24−3に蓄積された電荷は各コンデンサに残留したままとなる。したがって、例えば、系統連系インバータ装置3のメンテナンスを行う場合には、各コンデンサに蓄積された電荷が小さくなるまで待たなければならない。
【0044】
一方、本実施の形態にかかる系統連系インバータ装置3では、バランス抵抗として設けた抵抗26−1〜26−3が存在するため、これらの抵抗を放電抵抗としても利用することが可能となる。インバータユニット5が系統12から切り離され状態では、コンデンサ24−1〜24−3に蓄積された電荷の流れる経路は抵抗26−1〜26−3を通る経路しか存在しないので、コンデンサ24−1〜24−3に蓄積された電荷を速やかに、かつ、自動的に放電することが可能となる。その結果、系統連系インバータ装置3を系統12から切り離した直後に、系統連系インバータ装置3のメンテナンスを行う場合であっても、あまり時間をかけず、かつ、特別な処置を行うことなく、メンテナンス作業を開始することが可能となる。
【0045】
(抵抗値の選定に関する他の手法)
上記では、抵抗値の選定手法の一例として、各単相インバータの母線電圧比(分圧比)に設定する手法について示したが、ここでは、各抵抗で消費される電力(消費電力)が、系統連系インバータ装置3の電力変換効率に与える影響が小さくなるように決定する手法について説明する。
【0046】
まず、系統12から流れる電流Ikにあわせて、R1,R2,R3の比率を選定し、V4,V5,V6が各単相インバータを構成する部品の耐圧を超えないようにする。
【0047】
このとき、各放電用抵抗R1,R2,R3で消費する電力P1,P2,P3は、次式で表せる。
P1=(V1^2)/R1 …(16)
P2=(V2^2)/R2 …(17)
P3=(V3^2)/R3 …(18)
【0048】
上記(16)式〜(18)式から明らかなように、抵抗値が小さくなると、運転時の損失も大きくなる。つまり、抵抗値が小さい場合には、コンデンサに蓄積された電荷を早く放電することができるが、運転時の損失も大きくなる。
【0049】
そこで、抵抗R1,R2,R3での損失が、インバータユニットの電力変換効率に影響を与えないように抵抗値を決めることの意義が生まれる。例えば、定格出力4.0[kW]の単相インバータにおいて、V1=210[V],R1=150[kΩ]とすると、R1での損失P1は、上記(16)式より、P1=0.3[W]となる。いま、損失と定格出力との比を「電力変換効率影響度(η)」として定義すると、R1における電力変換効率影響度η1は、
η1=0.3/4000=0.0075[%]
となり、インバータユニットの電力変換効率に影響しないレベルとなる。
【0050】
なお、上記のようにしてR1を決定することができれば、例えば上記(13)式の関係を用いて、R2,R3を決定することができる。具体的に、この(13)式の関係を利用すると、
R2=R3=50[kΩ]
が得られる。
【0051】
また、抵抗R2,R3で消費される電力P2,P3、および電力変換効率影響度η2,η3をそれぞれ計算すると、
P2=P3=0.1[W]
η2=η3=0.1/4000=0.0025[%]
となり、R2,R3で消費される電力についても、インバータユニットの電力変換効率に影響しないレベルとなる。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態にかかる系統連系インバータ装置によれば、インバータユニットと系統とは接続状態にあり、かつ、インバータユニットの動作が停止している場合に、系統から流れ込む電流によって各抵抗の両端に生ずる電位差が各単相インバータを構成する部品の耐圧を超えないように各抵抗の抵抗値が設定されているので、系統に連系した状態でインバータユニットを停止することができ、また、各インバータユニットにおいて、系統電圧よりも低い耐圧の部品の使用が可能となる。
【0053】
また、本実施の形態にかかる系統連系インバータ装置によれば、系統に連系した状態のままで、系統連系インバータ装置の停止が可能となるので、開閉器のリレー接点の劣化を抑制することができ、開閉器の寿命を長くすることが可能となる。
【0054】
さらに、本実施の形態にかかる系統連系インバータ装置によれば、各抵抗の抵抗値を電力変換効率の影響度に対する影響度を評価した評価値に基づいて設定することができるので、インバータユニットの電力変換効率に与える影響を小さくすることが可能となる。
【0055】
なお、本実施の形態では、電圧比と抵抗比とを一致させる実施形態を例示したが、電圧比と抵抗比とを厳密な意味で一致させる必要はなく、ある程度の誤差は許容されるものである。
【0056】
また、本実施の形態では、太陽電池モジュールの発電電力を用いて系統と連系する場合を一例として示したが、発電電力を供給するエネルギー源として、燃料電池等を用いてもよい。
【0057】
また、本実施の形態では、3台の単相インバータを備える構成について例示したが、この態様に限定されるものではなく、2台もしくは4台以上の単相インバータを備える構成であっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明にかかる系統連系インバータ装置は、リレーの寿命の延伸化が可能となる発明として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明にかかる系統連系インバータ装置を太陽光発電システムに適用した場合の一例を示す図である。
【図2】本実施の形態にかかる系統連系インバータ装置3の主要構成部であるインバータユニット5のより詳細な構成を示す図である。
【図3】系統連系を行っている状態でインバータユニット5を停止したときの系統12からインバータユニット5の内部に流れ込む電流経路を示す図である。
【図4】系統12から切り離した状態でインバータユニット5を停止したときの各コンデンサに蓄積された電荷の放電経路を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1 太陽光発電システム
2 太陽電池モジュール
3 系統連系インバータ装置
4 コンバータ
5 インバータユニット
6 制御部
7 出力フィルタ回路
8 開閉器
11 DC/DCコンバータ
12 系統
14 入力端
16 出力端
20−1〜20−3 単相インバータ
22 スイッチ回路
24−1〜24−3 コンデンサ
26−1〜26−3 抵抗

特許の図
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成20年3月31日(2008.3.31)
【代理人】 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【公開番号】 特開2009−247186(P2009−247186A)
【公開日】 平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願番号】 特願2008−93628(P2008−93628)