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【発明の名称】 光電変換装置及びその製造方法
【発明者】 【氏名】鶴我 薫典
【氏名】山口 賢剛
【氏名】呉屋 真之
【氏名】坂井 智嗣
【課題】開放電圧を増加させることで発電効率を向上させた光電変換装置を提供する。

【解決手段】p層41と、i層42と、n層43とが積層された光電変換層3を備える光電変換装置100であって、前記p層41と前記i層42との界面に界面層が形成され、該界面層が窒素原子を1%以上30%以下の原子濃度で含有する窒素含有層とされる。及び、基板1上に、p層41と、i層42と、n層43とが積層された光電変換層3を形成する工程を含む光電変換装置100の製造方法であって、前記p層41と前記i層42との界面に界面層が形成され、該界面層として、窒素原子を1%以上30%以下の原子濃度で含有する窒素含有層を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
p層と、i層と、n層とが積層された光電変換層を備える光電変換装置であって、前記p層と前記i層との界面に界面層が形成され、該界面層が窒素原子を1%以上30%以下の原子濃度で含有する窒素含有層とされる光電変換装置。
【請求項2】
前記界面層が、窒素を含有する真性半導体である請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記界面層の厚さが、2nm以上10nm以下である請求項1または請求項2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記i層が、結晶質シリコンである請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項5】
基板上に、p層と、i層と、n層とが積層された光電変換層を形成する工程を含む光電変換装置の製造方法であって、
前記p層と前記i層との界面に界面層が形成され、該界面層として、窒素原子を1%以上30%以下の原子濃度で含有する窒素含有層を形成する光電変換装置の製造方法。
【請求項6】
前記界面層を、窒素を含有する真性半導体で形成する請求項5に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項7】
前記界面層を、膜厚が2nm以上10nm以下となるように形成する請求項5または請求項6に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項8】
前記窒素含有層を、30MHz以上100MHz以下の高周波周波数で、高周波プラズマCVD法によって形成する請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置に関し、特に発電層を製膜で作製する光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池に用いられる光電変換装置としては、p型シリコン系半導体(p層)、i型シリコン系半導体(i層)及びn型シリコン系半導体(n層)の薄膜をプラズマCVD法等で製膜して形成した光電変換層を備えた薄膜シリコン系光電変換装置が知られている。
【0003】
薄膜シリコン系太陽電池の長所としては、大面積化が容易であること、膜厚が結晶系太陽電池の1/100程度と薄く、材料が少なくて済むことなどが挙げられる。このため、薄膜シリコン系太陽電池は、結晶系太陽電池と比較して低コストでの製造が可能となる。しかしながら、薄膜シリコン系太陽電池の短所としては、変換効率が結晶系に比べて低いことが挙げられる。本技術分野においては、変換効率の向上が重要な課題となっている。
【0004】
例えば、特許文献1、特許文献2においては、p層及びn層に対し窒素を添加することにより、p層及びn層をワイドバンドギャップ化し、開放電圧を向上させることで変換効率の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−277021号公報
【特許文献2】特開2006−120930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2に記載されているように、窒素などの不純物濃度が低いほど、p層及びn層は結晶化しやすい傾向がある。p層及びn層の結晶化率が低い場合は、導電性が低下し、また、i層上に製膜するとi層との結合が悪化するため、光電変換効率が低下する。従って、従来は、p層及びn層の結晶化率を高く設定することが必須であるとされていた。
【0007】
また、p層及びn層に不純物を添加した場合、キャリア濃度の低下や、欠陥密度の増加によって導電率が低下することが知られている。窒素を不純物として添加するために窒素ガスを原料ガスとして用いる場合、窒素ガスはプラズマ中で分解されにくいため、膜中に多量の窒素を含有させることは困難である。このため、特許文献1及び特許文献2では、p層及びn層に対し窒素を0.001原子%から10原子%と低い濃度で添加していた。
【0008】
p層及びn層の結晶化率を高くするためには、水素希釈率(H/SiH)を高くする必要があるが、シリコン層の原料となるSiH量が少なくなり、p層及びn層の製膜速度が低下するという問題があった。量産工程においては、p層及びn層の製膜速度が遅くなると、生産性が大幅に低下するので好ましくない。p層及びn層を高速で製膜して高い生産性としながら、太陽電池の変換効率を向上させることが課題となっていた。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、開放電圧を増加させることで発電効率を向上させた光電変換装置、及び、光電変換層を高速で製膜して高い開放電圧を有する光電変換装置を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らが鋭意検討した結果、高濃度で窒素を含有するp層またはn層を製膜することにより、p層またはn層の結晶化率が低下しても、バンドギャップが広がり開放電圧が向上することを見出した。この結果、高い変換効率を有する光電変換装置を実現できた。また、p/i界面またはn/i界面に高濃度で窒素を含有する層を挿入することによっても、開放電圧を向上させ、高変換効率の光電変換装置を得ることができることを見出した。このようなp層、n層、及び界面層は、高結晶化率とするために水素希釈率を高くする必要が無いため、高い製膜速度で形成することができる。そのため、開放電圧が高く変換効率の高い光電変換装置を、高生産性で製造することが可能となる。
【0011】
具体的に、本発明の参考例の光電変換装置は、p層と、i層と、n層とが積層された光電変換層を備える光電変換装置であって、前記p層が、窒素原子を1%以上25%以下の原子濃度で含有し、かつ、前記p層の結晶化率が0以上3未満である窒素含有層とされる。
【0012】
また、本発明の参考例の光電変換装置は、p層と、i層と、n層とが積層された光電変換層を備える光電変換装置であって、前記n層が、窒素原子を1%以上20%以下の原子濃度で含有し、かつ、前記n層の結晶化率が0以上3未満である窒素含有層とされる。
【0013】
p層またはn層を、上述の原子濃度で窒素原子を含有し、かつ、結晶化率が0以上3未満である窒素含有層とすることで、バンドギャップが広がり開放電圧が上昇する。そのため高い変換効率を有する光電変換装置となる。
【0014】
本発明の光電変換装置は、p層と、i層と、n層とが積層された光電変換層を備える光電変換装置であって、前記p層と前記i層との界面に界面層が形成され、該界面層が窒素原子を1%以上30%以下の原子濃度で含有する窒素含有層とされる。
【0015】
このように、p層とi層との界面に、上述の原子濃度で窒素原子を含有する窒素含有層である界面層を形成すると、界面層によりワイドバンドギャップ化し、開放電圧が上昇する。これにより、変換効率が高い光電変換装置とすることができる。
【0016】
また、本発明の参考例の光電変換装置は、p層と、i層と、n層とが積層された光電変換層を備える光電変換装置であって、前記n層と前記i層との界面に界面層が形成され、該界面層が窒素原子を1%以上20%以下の原子濃度で含有する窒素含有層とされる。
【0017】
このように、n層とi層との界面に、上述の原子濃度で窒素原子を含有する窒素含有層である界面層を形成すると、界面層によりワイドバンドギャップ化させて、開放電圧を上昇させることができる。これにより、高変換効率の光電変換装置を得ることができる。
【0018】
上記発明において、前記界面層が、窒素を含有する真性半導体であることが好ましい。
窒素を含有するn型半導体層またはp型半導体層を界面層として用いた場合には、発電層として機能しないため、効率が低下する。このため、界面層の分だけi層を厚くする必要がある。本発明では、界面層として窒素を含有する真性半導体層を用いるため、界面層が発電に寄与することが出来るという利点がある。
【0019】
上記発明において、前記界面層の厚さが、2nm以上10nm以下であることが好ましい。2nm未満では、界面層によるワイドバンドギャップ化による効果が得られず、開放電圧を向上させることができない。10nmを超えると、光電変換性能が低下する。
【0020】
上記発明において、前記i層が、結晶質シリコンであることが好ましい。
【0021】
本発明の参考例として、基板上に、p層と、i層と、n層とが積層された光電変換層を形成する工程を含む光電変換装置の製造方法であって、前記p層として、窒素原子を1%以上25%以下の原子濃度で含有し、かつ、結晶化率が0以上3未満である窒素含有層を形成する光電変換装置の製造方法を提供する。
【0022】
また、本発明の参考例として、基板上に、p層と、i層と、n層とが積層された光電変換層を形成する工程を含む光電変換装置の製造方法であって、前記n層として、窒素原子を1%以上20%以下の原子濃度で含有し、かつ、結晶化率が0以上3未満である窒素含有層を形成する光電変換装置の製造方法を提供する。
【0023】
本発明の参考例によれば、窒素含有層の結晶化率が低いため、水素希釈率を高くして製膜する必要が無い。従って、高い開放電圧を有するため高い変換効率となる光電変換装置を、高速で製造することができる。
【0024】
本発明は、基板上に、p層と、i層と、n層とが積層された光電変換層を形成する工程を含む光電変換装置の製造方法であって、前記p層と前記i層との界面に界面層が形成され、該界面層として、窒素原子を1%以上30%以下の原子濃度で含有する窒素含有層を形成する光電変換装置の製造方法を提供する。
【0025】
また、本発明の参考例として、基板上に、p層と、i層と、n層とが積層された光電変換層を形成する工程を含む光電変換装置の製造方法であって、前記n層と前記i層との界面に界面層が形成され、該界面層として、窒素原子を1%以上20%以下の原子濃度で含有する窒素含有層を形成する光電変換装置の製造方法を提供する。
【0026】
本発明によれば、p層とi層との界面、または、n層とi層との界面に、上記の原子濃度で窒素原子を含有する窒素含有層である界面層を形成することで、光電変換装置の開放電圧を増大させることができる。p層中またはn層中に窒素を添加する場合は、窒素を添加することによるキャリア濃度への影響を考慮しなくてはならないが、界面層を形成する場合は、p層及びn層の製膜条件を変更する必要がなくなり、製膜パラメータの調整が容易である。
【0027】
上記発明において、前記界面層を、窒素を含有する真性半導体で形成することが好ましい。界面層を、窒素を含有する真性半導体で形成すれば、製膜パラメータの調整がさらに容易となり有利である。
【0028】
上記発明において、前記界面層を、膜厚が2nm以上10nm以下となるように形成すれば、光電変換装置の開放電圧を増大させ、変換効率を向上させることができるので好ましい。
【0029】
上記発明において、前記窒素含有層が、30MHz以上100MHz以下の高周波周波数で、高周波プラズマCVD法によって形成することが好ましい。高周波プラズマCVD法で一般的に用いられる高周波周波数(13.56MHz)では、窒素が分解されにくく、窒素供給量に対し窒素含有層中に含有される窒素原子濃度は非常に低い。13.56MHzの2倍である27.12MHz以上の周波数で、分解効率の向上が見られるようになる。しかし、周波数が高すぎると、定在波の問題によりプラズマの不均一化が顕著になり、大面積基板に対し均一に製膜することが困難となる。そのため、周波数は、30MHz以上100MHz以下、好ましくは40MHz以上100MHz以下と、高い周波数を用いることによって、プラズマによる窒素の分解率が向上し、窒素供給量に対する窒素含有層中の窒素原子濃度が高くなる。これにより、高い原子濃度で窒素含有層中に窒素原子を含有させ開放電圧を増大させることができる。また、窒素の添加効率を向上させ、生産効率を向上させる効果を奏する。
【発明の効果】
【0030】
本発明の参考例によれば、高濃度で窒素原子を含有し、かつ、結晶化率が0以上3未満のp層またはn層とすることにより、開放電圧が高く変換効率の高い光電変換装置とすることができる。このような光電変換装置は、結晶化率が高いp層またはn層を形成するために水素希釈率を高くする必要が無いため、p層またはn層を高速で製膜でき、高い生産性で製造することが可能となる。
【0031】
また、本発明によれば、p層とi層との界面、または、n層とi層との界面に、高濃度で窒素を含有する界面層を形成することで、開放電圧を上昇させ変換効率を向上させた光電変換装置とすることができる。このような光電変換装置は、窒素添加によるキャリア濃度への影響を考慮する必要が無いため、製膜パラメータの調整が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1参考例に係る光電変換装置の構成を模式的に示した断面図である。
【図2】本発明の第1参考例に係る光電変換装置として、太陽電池パネルを製造する一態様を説明する概略図である。
【図3】本発明の第1参考例に係る光電変換装置として、太陽電池パネルを製造する一態様を説明する概略図である。
【図4】本発明の第1参考例に係る光電変換装置として、太陽電池パネルを製造する一態様を説明する概略図である。
【図5】本発明の第1参考例に係る光電変換装置として、太陽電池パネルを製造する一態様を説明する概略図である。
【図6】第1参考例の光電変換装置におけるNガス濃度とp層中の窒素原子濃度との関係を表すグラフである。
【図7】第1参考例の光電変換装置におけるp層中の窒素原子濃度とp層の結晶化率との関係を表すグラフである。
【図8】第1参考例の光電変換装置におけるp層中の窒素原子濃度と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフである。
【図9】第1参考例の光電変換装置のp層の結晶化率と製膜速度との関係を表すグラフである。
【図10】第2参考例の光電変換装置におけるNガス濃度とn層中の窒素原子濃度との関係を表すグラフである。
【図11】第2参考例の光電変換装置におけるn層中の窒素原子濃度とn層の結晶化率との関係を表すグラフである。
【図12】第2参考例の光電変換装置におけるn層中の窒素原子濃度と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフである。
【図13】第1実施形態の光電変換装置におけるNガス濃度とp/i界面層中の窒素原子濃度との関係を表すグラフである。
【図14】第1実施形態の光電変換装置におけるp/i界面層中の窒素原子濃度とp/i界面層の結晶化率との関係を表すグラフである。
【図15】第1実施形態の光電変換装置におけるp/i界面層中の窒素原子濃度と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフである。
【図16】第1実施形態の光電変換装置におけるp/i界面層の膜厚と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフである。
【図17】第3参考例の実施形態の光電変換装置におけるNガス濃度とn/i界面層中の窒素原子濃度との関係を表すグラフである。
【図18】第3参考例の光電変換装置におけるn/i界面層中の窒素原子濃度とn/i界面層の結晶化率との関係を表すグラフである。
【図19】第3参考例の光電変換装置におけるn/i界面層中の窒素原子濃度と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフである。
【図20】第3参考例の光電変換装置におけるn/i界面層の膜厚と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフである。
【図21】本発明の第4参考例に係る光電変換装置のセル構造を示した図である。
【図22】本発明の第4参考例の光電変換装置における第2電池層p層中の窒素原子濃度と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフである。
【図23】本発明の第5参考例の光電変換装置における第2電池層n層中の窒素原子濃度と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフである。
【図24】本発明の第2実施形態の光電変換装置における第2電池層p/i界面層中の窒素原子濃度と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフである。
【図25】本発明の第6参考例の光電変換装置における第2電池層n/i界面層中の窒素原子濃度と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<第1参考例>
本発明の第1参考例に係る光電変換装置の構成について説明する。
図1は、本参考例の光電変換装置の構成を示す概略図である。光電変換装置100は、シリコン系太陽電池であり、基板1、透明電極層2、光電変換層3、及び裏面電極層4を備える。光電変換層3は、太陽光の入射する側から順に、結晶質シリコン薄膜からなるp層41、i層42、n層43を積層して構成される。第1参考例において、p層41は、窒素原子を1%以上25%以下の原子濃度で含有し、結晶化率が0以上3未満である窒素含有層である。なお、ここで、シリコン系とはシリコン(Si)やシリコンカーバイト(SiC)やシリコンゲルマニウム(SiGe)を含む総称である。また、結晶質シリコン系とは、アモルファスシリコン系すなわち非晶質シリコン系以外のシリコン系を意味するものであり、微結晶シリコンや多結晶シリコン系も含まれる。
【0034】
以下に、太陽電池パネルを例に挙げ、本参考例の光電変換装置を製造する工程を説明する。
【0035】
(1)図2(a):
基板1としてソーダフロートガラス基板(1.4m×1.1m×板厚:4mm)を使用する。基板端面は、熱応力や衝撃などによる破損防止のため、コーナー面取りやR面取り加工されていることが望ましい。
【0036】
(2)図2(b):
透明電極層2として酸化錫(SnO)を主成分とする膜厚約500nm以上800nm以下の透明電極膜を、熱CVD装置にて約500℃で製膜する。この際、透明電極膜の表面には、適当な凹凸のあるテクスチャーが形成される。透明電極層2として、透明電極膜に加えて、基板1と透明電極膜との間にアルカリバリア膜(図示されず)を形成しても良い。アルカリバリア膜は、膜厚50nm以上150nm以下の酸化シリコン膜(SiO)を熱CVD装置にて約500℃で製膜する。
【0037】
(3)図2(c):
その後、基板1をX−Yテーブルに設置して、YAGレーザーの第1高調波(1064nm)を、図の矢印に示すように、透明電極層の層面側から入射する。加工速度が適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極膜を発電セルの直列接続方向に対して垂直な方向へ、基板1とレーザー光を相対移動して、溝10を形成するように幅約6mmから15mmの所定幅の短冊状にレーザーエッチングする。
【0038】
(4)図2(d):
プラズマCVD装置により、透明電極層2上に太陽光の入射する側からp層41、i層42、n層43の順で積層して、光電変換層3を形成する。
【0039】
p層製膜室にて、基板を約200℃に加熱する。p層製膜室に、原料ガスとしてSiHガス、Hガス、Bガス、及びNガスを導入する。このとき、製膜速度を考慮すると、水素希釈率H/SiHは100倍程度とすることが好ましい。Nガスは、Nガス濃度N/(N+SiH)が3%以上50%以下となる流量で導入する。製膜圧力:3000Pa以下、周波数:30MHz以上100MHz以下にて、膜厚が10nm以上50nm以下の窒素含有Bドープシリコンp層を製膜する。上記条件で製膜することにより、p層は、窒素原子を原子濃度1%以上25%以下、かつ、結晶化率が0以上3未満の窒素含有層となる。
【0040】
次に、i層製膜室に原料ガスとしてSiHガス及びHガスを導入し、製膜圧力:3000Pa以下、基板温度:約200℃、周波数:40MHz以上100MHz以下にて、膜厚が1.2μm以上3.0μm以下の結晶質シリコンi層を製膜する。
【0041】
次いで、n層製膜室に原料ガスとしてSiHガス、Hガス及びPHガスを導入し、製膜圧力:3000Pa以下、基板温度:約200℃、周波数:40MHz以上100MHz以下にて、膜厚が20nm以上50nm以下のPドープ結晶質シリコンn層を製膜する。
【0042】
(5)図2(e):
基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、図の矢印に示すように、光電変換層3の膜面側から入射する。パルス発振:10kHz以上20kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極層2のレーザーエッチングラインの約100μmから150μmの横側を、溝11を形成するようにレーザーエッチングする。またこのレーザーは基板1側から入射しても良い。この場合は光電変換層3で吸収されたエネルギーで発生する高い蒸気圧を利用できるので、更に安定したレーザーエッチング加工を行うことが可能となる。レーザーエッチングラインの位置は前工程でのエッチングラインと交差しないように位置決め交差を考慮して選定する。
【0043】
(6)図3(a):
裏面電極層4としてAg膜/Ti膜をスパッタリング装置により減圧雰囲気、約150℃にて順次製膜する。本参考例では、裏面電極層4はAg膜:200nm以上500nm以下、これを保護するものとして防食効果の高いTi膜:10nm以上20nm以下をこの順に積層させたものとされる。n層43と裏面電極層4との接触抵抗低減と光反射向上を目的に、光電変換層3と裏面電極層4との間にGZO(GaドープZnO)膜を膜厚:50nm以上100nm以下、スパッタリング装置により製膜して設けても良い。また、Ti膜に変えてAl膜:250nm以上350nm以下としてもよい。TiをAlとすることで、防食効果を保持しつつ、材料コストを低減することが可能となる。
【0044】
(7)図3(b):
基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、図の矢印に示すように、基板1側から入射する。レーザー光が光電変換層3で吸収され、このとき発生する高いガス蒸気圧を利用して裏面電極層4が爆裂して除去される。パルス発振:1kHz以上10kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極層2のレーザーエッチングラインの約250μmから400μmの横側を、溝12を形成するようにレーザーエッチングする。
【0045】
(8)図3(c):
発電領域を区分して、基板端周辺の膜端部においてレーザーエッチングによる直列接続部分が短絡し易い影響を除去する。基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、基板1側から入射する。レーザー光が透明電極層2と光電変換層3とで吸収され、このとき発生する高いガス蒸気圧を利用して裏面電極層4が爆裂して、裏面電極層4/光電変換層3/透明電極層2が除去される。パルス発振:1kHz以上10kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、基板1の端部から5mmから20mmの位置を、図3(c)に示すように、X方向絶縁溝15を形成するようにレーザーエッチングする。このとき、Y方向絶縁溝は後工程で基板1周囲領域の膜面研磨除去処理を行うので、設ける必要がない。
【0046】
絶縁溝15は基板1の端より5〜10mmの位置にてエッチングを終了させることにより、太陽電池パネル端部からの太陽電池モジュール6内部への外部湿分浸入の抑制に、有効な効果を呈するので好ましい。
【0047】
尚、以上までの工程におけるレーザー光はYAGレーザーとしているが、YVO4レーザーやファイバーレーザーなどが同様に使用できるものがある。
【0048】
(9)図4(a):
後工程のEVA等を介したバックシート24との健在な接着・シール面を確保するために、基板1周辺(周囲領域14)の積層膜は、段差があるとともに剥離し易いため、積層膜を除去する。基板1の端から5mmから20mmで基板1の全周囲にわたり、X方向は前述の図3(c)工程で設けた絶縁溝15よりも基板端側において、Y方向は基板端側部付近の溝10よりも基板端側において、裏面電極層4/光電変換層3/透明電極層2を、砥石研磨やブラスト研磨などを用いて除去を行う。研磨屑や砥粒は基板1を洗浄処理して除去する。
【0049】
(10)図4(b):
端子箱取付け部分はバックシート24に開口貫通窓を設けて集電板を取出す。この開口貫通窓部分には絶縁材を複数層を設置して外部からの湿分などの浸入を抑制する。
【0050】
直列に並んだ一方端の太陽電池発電セルと、他方端部の太陽電池発電セルとから銅箔を用いて集電して太陽電池パネル裏側の端子箱部分から電力が取出せるように処理する。銅箔は各部との短絡を防止するために銅箔幅より広い絶縁シートを配置する。
【0051】
集電用銅箔などが所定位置に配置された後に、太陽電池モジュール6の全体を覆い、基板1からはみ出さないようにEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)等による接着充填材シートを配置する。
【0052】
EVAの上に、防水効果の高いバックシート24を設置する。バックシート24は本参考例では防水防湿効果が高いようにPETシート/AL箔/PETシートの3層構造よりなる。
【0053】
バックシート24までを所定位置に配置したものを、ラミネータにより減圧雰囲気で内部の脱気を行い約150℃から160℃でプレスしながら、EVAを架橋させて密着させる。
【0054】
(11)図5(a):
太陽電池モジュール6の裏側に端子箱23を接着剤で取付ける。
【0055】
(12)図5(b):
銅箔と端子箱23の出力ケーブルとをハンダ等で接続し、端子箱内部を封止剤(ポッティング剤)で充填して密閉する。これで太陽電池パネル50が完成する。
【0056】
(13)図5(c):
図5(b)までの工程で形成された太陽電池パネル50について発電検査ならびに、所定の性能試験を行う。発電検査は、AM1.5、全天日射基準太陽光(1000W/m)のソーラシミュレータを用いて行う。
【0057】
(14)図5(d):
発電検査(図5(c))に前後して、外観検査をはじめ所定の性能検査を行う。
【0058】
図6に、Nガス濃度とp層中の窒素原子濃度との関係を表すグラフを示す。同図において、横軸はNガス濃度、縦軸は窒素原子濃度である。p層製膜条件は、水素希釈率100倍、製膜圧力67Pa、製膜温度200℃、高周波周波数100MHz、印加電力75W、膜厚30nmとした。窒素原子濃度は、X線光電子分光分析(XPS)にて測定した。Nガスの濃度が増加するにつれてp層中の窒素原子濃度が増加した。Nガス濃度3%以上50%以下で、p層の窒素原子濃度が1%以上25%以下となり、多量の窒素原子をp層に含有させることができた。
【0059】
図7に、p層中の窒素原子濃度とp層の結晶化率との関係を表すグラフを示す。同図において、横軸は窒素原子濃度、縦軸は結晶化率である。p層に窒素を添加しないと高い結晶化率であったが、窒素原子濃度が1%以上の場合は、結晶化率は3未満となった。窒素原子濃度が10%を超えると、結晶化率は0、すなわち、アモルファスとなった。
【0060】
図8に、p層中の窒素原子濃度と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフを示す。同図において、横軸は窒素原子濃度、縦軸は開放電圧である。なお、i層製膜条件は、水素希釈率21.4倍、製膜圧力400Pa、製膜温度200℃、高周波周波数100MHz、印加電力30W、膜厚2μmとし、n層製膜条件は、水素希釈率100倍、製膜圧力93Pa、製膜温度170℃、高周波周波数60MHz、印加電力15W、膜厚30nmとした。p層中の窒素原子濃度が1%以上25%以下の太陽電池モジュールでは、窒素を添加しない太陽電池モジュールに比べて、開放電圧が高くなった。窒素原子濃度が25%を超えると、逆に開放電圧は低下した。なお、図8の太陽電池モジュールでは、n層製膜時の基板温度を170℃としたが、基板温度200℃でも同様の効果が得られた。
【0061】
図9は、p層の結晶化率と製膜速度との関係を表すグラフである。同図において、横軸は結晶化率、縦軸は結晶化率が0の場合の製膜速度を1として規格化した製膜速度である。結晶化率が高いほど製膜速度は低下した。p層の結晶化率が3未満のとき、製膜速度は0.6以上となった。これにより、高い製膜速度で窒素を含有するp層を製膜することができた。
【0062】
<第2参考例>
本発明の第2参考例に係る光電変換装置は、図1において、n層43として、窒素原子を1%以上20%以下の原子濃度で含有し、結晶化率が0以上3未満である窒素含有層を形成した光電変換装置である。
【0063】
以下に、太陽電池パネルを例に挙げて、本参考例の光電変換装置の光電変換層の形成工程を説明する。他の太陽電池パネルの製造工程は第1参考例と略同一であるので説明を省略する。
【0064】
プラズマCVD装置にて、p層製膜室に原料ガスとしてSiHガス、Hガス及びBガスを導入し、製膜圧力:3000Pa以下、基板温度:約200℃、周波数:40MHz以上100MHz以下にて、膜厚が10nm以上50nm以下のBドープ結晶質シリコンp層を製膜する。
【0065】
次に、第1参考例と同一の条件で、結晶質シリコンi層を製膜する。
【0066】
次いで、n層製膜室に原料ガスとしてSiHガス、Hガス、PHガス及びNガスを導入する。このとき、製膜速度を考慮すると、水素希釈率H/SiHは100倍程度とすることが好ましい。Nガスは、Nガス濃度が14%以上63%以下となる流量で導入する。製膜圧力:3000Pa以下、基板温度:約170℃、周波数:30MHz以上100MHz以下にて、膜厚が20nm以上50nm以下の窒素含有Pドープシリコンn層を製膜する。上記条件での製膜により、n層は、窒素原子が原子濃度1%以上20%以下、かつ、結晶化率が0以上3未満の窒素含有層となる。
【0067】
図10に、Nガス濃度とn層中の窒素原子濃度との関係を表すグラフを示す。同図において、横軸はNガス濃度、縦軸は窒素原子濃度である。n層製膜条件は、水素希釈率100倍、製膜圧力93Pa、製膜温度170℃、高周波周波数60MHz、印加電力15W、膜厚30nmとした。Nガスの割合が増加するにつれて膜中の窒素原子濃度が増加した。Nガス濃度14%以上63%以下で窒素原子濃度が1%以上20%以下となり、多量の窒素原子をn層に含有させることができた。なお、本参考例ではn層製膜時の基板温度を170℃としたが、基板温度200℃でも同様の効果が得られた。
【0068】
図11に、n層中の窒素原子濃度とn層の結晶化率との関係を表すグラフを示す。同図において、横軸は窒素原子濃度、縦軸は結晶化率である。n層に窒素を添加しないと高い結晶化率であったが、窒素原子濃度が1%以上の場合は、結晶化率は3未満となった。窒素原子濃度が14%以上で結晶化率が0となり、アモルファス膜となった。
【0069】
図12に、n層中の窒素原子濃度と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフを示す。同図において、横軸は窒素原子濃度、縦軸は開放電圧である。なお、p層製膜条件は、水素希釈率100倍、製膜圧力67Pa、製膜温度200℃、高周波周波数100MHz、印加電力75W、膜厚30nmとし、i層製膜条件は、水素希釈率21.4倍、製膜圧力400Pa、製膜温度200℃、高周波周波数100MHz、印加電力30W、膜厚2μmとした。n層中の窒素原子濃度が1%以上20%以下の太陽電池モジュールでは、窒素を添加しない太陽電池モジュールに比べて、開放電圧が高くなった。窒素原子濃度が20%を超えると、逆に開放電圧は低下した。
【0070】
なお、窒素含有n層の製膜速度は、第1参考例と同様に、結晶化率が高いほど製膜速度が低下した。n層においても、結晶化率を3未満とすることにより、高い製膜速度で製膜することが可能である。
【0071】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る光電変換装置は、図1において、p層41とi層42との間に、窒素原子を1%以上30%以下の原子濃度で含有する真性半導体層であるp/i界面層を形成した光電変換装置である。
【0072】
以下に、太陽電池パネルを例に挙げて、第1実施形態の光電変換装置の光電変換層の形成工程を説明する。他の太陽電池パネルの製造工程は第1参考例と略同一であるので説明を省略する。
【0073】
プラズマCVD装置にて、第2参考例と同一の条件で、結晶質シリコンp層を製膜する。
【0074】
p層製膜後、Bガスの供給を停止し、p層製膜室にNガスを供給する。Nガスは、Nガス濃度が6%以上70%以下となる流量で導入する。p層製膜時と同じ基板温度とし、製膜圧力:3000Pa以下、周波数:30MHz以上100MHz以下にて、膜厚が2nm以上10nm以下の窒素含有シリコンp/i界面層を製膜する。上記条件での製膜で、p/i界面層は、窒素原子を1%以上30%以下の原子濃度で含有する窒素含有層となる。
【0075】
次いで、第1参考例と同一の条件で結晶質シリコンi層及び結晶質シリコンn層を製膜する。
【0076】
図13に、Nガス濃度とp/i界面層中の窒素原子濃度との関係を表すグラフを示す。同図において、横軸はNガス濃度、縦軸は窒素原子濃度である。p/i界面層製膜条件は、水素希釈率100倍、製膜圧力67Pa、製膜温度200℃、高周波周波数100MHz、印加電力75W、膜厚4nmとした。Nガスの割合が増加するにつれて膜中の窒素原子濃度が増加した。Nガス濃度6%以上70%以下で窒素原子濃度が1%以上30%以下となり、多量の窒素原子を含有するp/i界面層を形成することができた。
【0077】
図14に、p/i界面層中の窒素原子濃度とp/i界面層の結晶化率との関係を表すグラフを示す。同図において、横軸は窒素原子濃度、縦軸は結晶化率である。窒素を添加しないとp/i界面層は高い結晶化率であったが、窒素を添加することによりp/i界面層の結晶化率が低くなった。窒素原子濃度が30%以上で結晶化率が0となり、アモルファス膜となった。
【0078】
図15に、p/i界面層中の窒素原子濃度と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフを示す。同図において、横軸は窒素原子濃度、縦軸は開放電圧である。なお、p層製膜条件は、水素希釈率100倍、製膜圧力67Pa、製膜温度200℃、高周波周波数100MHz、印加電力75W、膜厚30nm、i層製膜条件は、水素希釈率21.4倍、製膜圧力400Pa、製膜温度200℃、高周波周波数100MHz、印加電力30W、膜厚2μm、n層製膜条件は、水素希釈率100倍、製膜圧力93Pa、製膜温度170℃、高周波周波数60MHz、印加電力15W、膜厚30nmとした。p/i界面層中の窒素原子濃度が1%以上30%以下の太陽電池モジュールでは、窒素を添加しない太陽電池モジュールに比べて、開放電圧が高くなった。窒素原子濃度が30%を超えると、逆に開放電圧は低下した。なお、本実施形態ではn層製膜時の基板温度を170℃としたが、基板温度200℃でも同様の効果が得られた。
【0079】
以上のように、窒素原子濃度が1%以上30%以下の結晶化率の低いp/i界面層を形成することにより、太陽電池モジュールの開放電圧を向上させることができた。
【0080】
図16に、p/i界面層の膜厚と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフを示す。同図において、横軸はp/i界面層膜厚、縦軸は開放電圧である。同図におけるp/i界面層の窒素原子密度は6%であった。p/i界面層膜厚が2nm以上10nm以下とした場合、p/i界面層を設けない(すなわち、p/i界面層が0nm)場合よりも開放電圧が高くなった。
このように、p/i界面層の膜厚を2nm以上10nm以下とすることで、ワイドバンドギャップ化による開放電圧上昇の効果が得られた。
【0081】
<第3参考例>
本発明の第3参考例に係る光電変換装置は、図1において、i層42とn層43との間に、窒素原子を1%以上20%以下の原子濃度で含有する真性半導体層であるn/i界面層を形成した光電変換装置である。
【0082】
以下に、太陽電池パネルを例に挙げて、第3参考例の光電変換装置における光電変換層の形成工程を説明する。他の太陽電池パネルの製造工程は第1参考例と略同一であるので説明を省略する。
【0083】
プラズマCVD装置にて、第2参考例と同一の条件で、結晶質シリコンp層及び結晶質シリコンi層を製膜する。
【0084】
次いで、n層製膜室にてn/i界面層を製膜する。原料ガスとしてSiHガス、Hガス及びNガスを導入する。Nガス量は、Nガス濃度が6%以上57%以下となる流量で導入する。製膜圧力:3000Pa以下、基板温度:約170℃、周波数:30MHz以上100MHz以下にて、膜厚が2nm以上10nm以下の窒素含有シリコンn/i界面層を製膜する。上記条件で製膜することにより、n/i界面層は、窒素原子を1%以上20%以下の原子濃度で含有する窒素含有層となる。
【0085】
次いで、Nガスの供給を停止し、n層製膜室にBガスを供給する。第1参考例と同一の条件で結晶質シリコンn層を製膜する。
【0086】
図17に、Nガス濃度とn/i界面層中の窒素原子濃度との関係を表すグラフを示す。同図において、横軸はNガス濃度、縦軸は窒素原子濃度である。n/i界面層製膜条件は、水素希釈率100倍、製膜圧力93Pa、製膜温度170℃、高周波周波数60MHz、印加電力15W、膜厚4nmとした。N2ガス濃度が6%以上57%以下で窒素原子濃度が1%以上20%以下となり、多量の窒素原子をn/i界面層に含有させることができた。なお、本参考例ではn層製膜時の基板温度を170℃としたが、基板温度200℃でも同様の効果が得られた。
【0087】
図18に、n/i界面層中の窒素原子濃度とn/i界面層の結晶化率との関係を表すグラフを示す。同図において、横軸は窒素原子濃度、縦軸は結晶化率である。窒素を添加しないとn/i界面層は高い結晶化率であったが、窒素を添加することによりn/i界面層の結晶化率が低下した。窒素原子濃度が11%以上で結晶化率が0となり、アモルファス膜となった。
【0088】
図19に、n/i界面層中の窒素原子濃度と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフを示す。同図において、横軸は窒素原子濃度、縦軸は開放電圧である。なお、p層、i層、n層の製膜条件は、第1実施形態と同一とした。n/i界面層中の窒素原子濃度が1%以上20%以下の太陽電池モジュールでは、窒素を添加しない太陽電池モジュールに比べて、開放電圧が高くなった。窒素原子濃度が20%を超えると、開放電圧は低下した。
【0089】
以上のように、窒素原子濃度が1%以上20%以下の結晶化率の低いn/i界面層を形成することにより、太陽電池モジュールの開放電圧を向上させることができた。
【0090】
図20に、n/i界面層の膜厚と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフを示す。同図において、横軸はn/i界面層膜厚、縦軸は開放電圧である。同図におけるn/i界面層の窒素原子密度は11%であった。n/i界面層膜厚が2nm以上10nm以下とした場合、n/i界面層を設けない場合よりも開放電圧が高くなった。
【0091】
このように、n/i界面層の膜厚を2nm以上10nm以下とすることで、ワイドバンドギャップ化による開放電圧上昇の効果が得られた。
【0092】
<第4参考例>
本発明の第4参考例に係る光電変換装置の構成について説明する。
図21は、第4参考例の光電変換装置の構成を示す概略図である。光電変換装置100は、タンデム型シリコン系太陽電池である。光電変換層3は、基板1側から順に第1電池層91と第2電池層92とが積層されて構成される。第1電池層91は、太陽光の入射する側から順に、アモルファスシリコン薄膜からなるp層31、i層32、n層33を積層して構成される。第2電池層92は、太陽光の入射する側から順に、p層41、i層42、n層43を積層して構成される。第4参考例において、第2電池層のp層41は、窒素原子を1%以上25%以下の原子濃度で含有し、結晶化率が0以上3未満である窒素含有層である。
【0093】
以下に、太陽電池パネルを例に挙げて、第4参考例の光電変換装置における光電変換層の形成工程を説明する。他の太陽電池パネルの製造工程は第1参考例と略同一であるので説明を省略する。
【0094】
光電変換層3の第1電池層91として、SiHガスとHガスとを主原料にして、減圧雰囲気:30Pa以上1000Pa以下、基板温度:約200℃、周波数:40MHz以上100MHz以下にて、透明電極層2上に太陽光の入射する側からp層31、i層32、n層33の順で製膜する。p層31は、原料ガスとして更にBガスを導入して製膜され、膜厚10nm以上30nm以下のアモルファスのBドープシリコン膜とする。i層32は、アモルファスのシリコン膜であり、膜厚200nm以上350nm以下である。n層33は、原料ガスとして更にPHを導入して製膜され、膜厚30nm以上50nm以下のアモルファスのPドープシリコン膜である。p層31とi層32の間には、界面特性の向上のためにバッファ層を設けても良い。
【0095】
第1電池層91上に、第1参考例と同一の工程によりp層、i層、n層を順次製膜し、第2電池層92を形成する。
【0096】
本参考例において、第1電池層91と第2電池層92との間に、接触性を改善するとともに電流整合性を取るために半反射膜となる、中間コンタクト層5を設けても良い。中間コンタクト層5として、例えば、スパッタリング装置によりGZO(GaドープZnO)膜を膜厚:20nm以上100nm以下で製膜する。
【0097】
図22に、第2電池層p層中の窒素原子濃度と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフを示す。同図において、横軸は窒素原子濃度、縦軸は開放電圧である。上記の製膜条件にて、p層膜厚8nm、i層膜厚300nm、n層膜厚40nmの第1電池層を製膜した。第2電池層の製膜条件は、第1参考例と同一とした。
タンデム型太陽電池モジュールにおいても、p層中の窒素原子濃度が1%以上25%以下で、窒素を添加しない太陽電池モジュールに比べて開放電圧が高くなった。窒素原子濃度が25%を超えると、開放電圧は低下した。
【0098】
<第5参考例>
本発明の第5参考例に係る光電変換装置は、図21において、第2電池層92のn層43を、窒素原子を1%以上20%以下の原子濃度で含有し、結晶化率が0以上3未満である窒素含有層とした光電変換装置である。
【0099】
第5参考例の光電変換装置の製造工程において、第1電池層91の形成は第4参考例と略同一である。第2電池層92の形成は、第2参考例と略同一である。なお、本参考例においても、第1電池層91と第2電池層92との間に中間コンタクト層5を設けても良い。
【0100】
図23に、第2電池層n層中の窒素原子濃度と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフを示す。同図において、横軸は窒素原子濃度、縦軸は開放電圧である。第1電池層として、第4参考例の第1電池層と同一の電池層を形成した。第2電池層の製膜条件は、第2参考例と同一とした。
タンデム型太陽電池モジュールにおいても、n層中の窒素原子濃度が1%以上20%以下で、窒素を添加しない太陽電池モジュールに比べて開放電圧が高くなった。窒素原子濃度が20%を超えると、開放電圧は低下した。
【0101】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る光電変換装置は、図21において、第2電池層92のp層41とi層42との間に、窒素原子を1%以上30%以下の原子濃度で含有する真性半導体層であるp/i界面層を形成した光電変換装置である。
【0102】
第2実施形態の光電変換装置の製造工程において、第1電池層91の形成は第4参考例と略同一である。第2電池層92の形成は、第1実施形態と略同一である。なお、本実施形態においても、第1電池層91と第2電池層92との間に中間コンタクト層5を設けても良い。
【0103】
図24に、p/i界面層中の窒素原子濃度と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフを示す。同図において、横軸は窒素原子濃度、縦軸は開放電圧である。なお、第1電池層として、第4参考例の第1電池層と同一の電池層を形成した。第2電池層の製膜条件は、第1実施形態と同一とした。p/i界面層中の窒素原子濃度が1%以上30%以下の太陽電池モジュールでは、窒素を添加しない太陽電池モジュールに比べて、開放電圧が高くなった。窒素原子濃度が30%を超えると、開放電圧は低下した。
【0104】
<第6参考例>
本発明の第6参考例に係る光電変換装置は、図21において、第2電池層92のi層42とn層43との間に、窒素原子を1%以上20%以下の原子濃度で含有する真性半導体層であるn/i界面層を形成する。
【0105】
第6参考例の光電変換装置の製造工程において、第1電池層91の形成は第4参考例と略同一である。第2電池層92の形成は、第3参考例と略同一である。なお、本参考例においても、第1電池層91と第2電池層92との間に中間コンタクト層5を設けても良い。
【0106】
図25に、n/i界面層中の窒素原子濃度と太陽電池モジュールの開放電圧との関係を表すグラフを示す。同図において、横軸は窒素原子濃度、縦軸は開放電圧である。なお、第1電池層として、第4参考例の第1電池層と同一の電池層を形成した。第2電池層の製膜条件は、第3参考例と同一とした。n/i界面層中の窒素原子濃度が1%以上20%以下の太陽電池モジュールでは、窒素を添加しない太陽電池モジュールに比べて、開放電圧が高くなった。窒素原子濃度が20%を超えると、開放電圧は低下した。
【0107】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で任意に組み合わせ可能である。例えば、上記実施形態では、太陽光が入射する側から順にp層、i層、n層を製膜しpin構造としたが、本発明は、順にn層、i層、p層を製膜しnip構造した光電変換装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0108】
1 基板
2 透明電極層
3 光電変換層
4 裏面電極層
5 中間コンタクト層
6 太陽電池モジュール
31,41 p層
32,42 i層
33,43 n層
91 第1電池層
92 第2電池層
100 光電変換装置
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成21年5月8日(2009.5.8)
【代理人】 【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴

【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
【公開番号】 特開2009−194394(P2009−194394A)
【公開日】 平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願番号】 特願2009−113659(P2009−113659)