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【発明の名称】 車両の走行音発生装置
【発明者】 【氏名】荒川 道生

【氏名】山内 章裕

【氏名】塚田 宏志

【要約】 【課題】車両が低速走行している時に走行音を発生する走行音発生機構を備える車両を提供する。

【解決手段】車両の走行音発生装置30は、車輪10と共に回転し、回転時に遠心力により回転径外側方向に移動する可動部材32,34と、可動部材を回転径内側方向に付勢する弾性部材36と、可動部材の回転軌跡よりも回転径内側方向に設けられ、車輪10の回転速度が所定閾値より大きい場合に可動部材と接触せず、車輪10の回転速度が所定閾値より小さい場合に可動部材と接触して接触音を発生する接触部材24aと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と共に回転し、回転時に遠心力により回転径外側方向に移動する可動部材と、
車輪と共に回転し、前記可動部材を前記回転径内側方向に付勢する弾性部材と、
前記可動部材の回転軌跡よりも前記回転径内側方向に設けられ、車輪と共に回転しない接触部材と、
を備え、
前記可動部材は、前記車輪の回転速度が所定閾値より大きい場合に前記接触部材と接触せず、前記車輪の回転速度が所定閾値より小さい場合に前記接触部材と接触して接触音を発生することを特徴とする車両の走行音発生装置。
【請求項2】
前記接触部材の表面には凹部または凸部が一定間隔で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両の走行音発生装置。
【請求項3】
前記可動部材は、遠心力が作用する錘部材と、一端が車輪と共に回転する回転部材に軸支されると共に他端が前記錘部材に固定された棒部材と、を有し、
前記弾性部材は、一端が前記回転部材に固定されると共に他端が前記棒部材に固定されたコイルバネであることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の走行音発生装置。
【請求項4】
前記可動部材は、遠心力が作用する錘部材であり、
前記弾性部材は、一端が車輪と共に回転する回転部材に固定されると共に、他端が前記錘部材に固定された板バネであることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の走行音発生装置。
【請求項5】
前記可動部材および前記弾性部材は、前記車輪に固定されたホイールに取り付けられており、
前記接触部材は、車体側のサスペンションに固定されたドラムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両の走行音発生装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行時に音を発生する走行音発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来文献(特許文献1)には、ハイブリッド型車両が電動機の駆動力のみによって走行する場合、歩行者等が車両の接近に気付きにくくならないようにするための装置が示されている。この従来技術に係る装置では、エンジンが駆動されない時間帯にスピーカからエンジンの擬音が出力される。
【特許文献1】特開2004−153929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年のハイブリッド型自動車、電気自動車、エンジン駆動型自動車は低騒音化されているため、その車両が低速走行している時に車両の周囲にいる人は車両の存在に気付くことが困難である。
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、車両が低速走行している時に走行音を発生する走行音発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するために、本発明に係る車両の走行音発生装置は、車輪と共に回転し、回転時に遠心力により回転径外側方向に移動する可動部材と、車輪と共に回転し、可動部材を回転径内側方向に付勢する弾性部材と、可動部材の回転軌跡よりも回転径内側方向に設けられ、車輪と共に回転しない接触部材と、を備え、可動部材は、車輪の回転速度が所定閾値より大きい場合に接触部材と接触せず、車輪の回転速度が所定閾値より小さい場合に接触部材と接触して接触音を発生することを特徴とする。
【0006】
本発明の車両の走行音発生装置によれば、車両が高速で走行する時には、車輪の回転速度が所定閾値より大きくなり、可動部材に作用する遠心力が弾性部材の付勢力に対して大きくなるため、可動部材は接触部材と接触することがなく接触音は発生しない。一方、車両が低速で走行する時には、車輪の回転速度が所定閾値より小さくなり、可動部材に作用する遠心力が弾性部材の付勢力に対して小さくなるため、可動部材が接触部材と接触して接触音が発生する。よって、車両が低速で走行する場合にのみ、可動部材が接触部材に接触することによる接触音を発生させ、車両の周囲にいる人に車両の存在を認識させることができる。
【0007】
また、本発明に係る車両の走行音発生装置において、接触部材の表面には凹部または凸部が一定間隔で形成されていることが好ましい。この構成によれば、接触部材の表面に凹部または凸部が形成されているため、可動部材が接触部材に接触した時に大きな接触音を発生させることができる。また、接触音の発生周期は車速に応じて変化するため、車両の周囲にいる人に車両の加速状態または減速状態を認識させることができる。
【0008】
また、本発明に係る車両の走行音発生装置において、可動部材は、遠心力が作用する錘部材と、一端が車輪と共に回転する回転部材に軸支されると共に他端が錘部材に固定された棒部材と、を有し、弾性部材は、一端が回転部材に固定されると共に他端が棒部材に固定されたコイルバネであることが好ましい。この構成によれば、少ない部品点数で走行音発生装置を好適に構成することができる。
【0009】
また、本発明に係る車両の走行音発生装置において、可動部材は、遠心力が作用する錘部材であり、弾性部材は、一端が車輪と共に回転する回転部材に固定されると共に、他端が錘部材に固定された板バネであることが好ましい。この構成によれば、少ない部品点数で走行音発生装置を好適に構成することができる。
【0010】
また、本発明に係る車両の走行音発生装置において、可動部材および弾性部材は、車輪に固定されたホイールに取り付けられており、接触部材は、車体側のサスペンションに固定されたドラムであることが好ましい。この構成によれば、車体と車輪の間に走行音発生装置を好適に構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両が低速走行している時に走行音を発生する走行音発生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素または同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0013】
[第1実施形態]
図1および図2は、ハイブリッド型自動車、電気自動車、エンジン駆動型自動車に取り付けられる車輪10が示されている。この車輪10には、本発明の第1実施形態に係る走行音発生装置30が取り付けられている。図1は、車輪10を切断して示す断面図である。図2は、図1のII‐II断面を示す断面図である。
【0014】
車輪10は、略円筒状のホイール14にゴム製のタイヤ12を嵌め込んで構成されている。ホイール14は、タイヤ12が嵌め込まれる円筒状のリム部14aと、リム部14aの一端を塞ぐ円盤状のディスク部14bとを有している。ホイール14のディスク部14bには、回転軸18およびブレーキディスク16が固定されている。回転軸18は、車輪10の回転中心に位置し、ホイール14のディスク部14bから内側方向に延びている。ブレーキディスク16は、回転軸18と同心状に配置された円盤状の摩擦部材であり、図示されないブレーキパッドが押し付けられることにより制動力を発生させる。車輪10はタイヤ12、ホイール14、ブレーキディスク16および回転軸18により構成されており、これらの部材の各々は車輪10と共に回転する。なお、本実施形態において、ホイール14は、特許請求の範囲に記載される「回転部材」に相当する。
【0015】
車輪10は、サスペンション20の一部である車輪保持部22に取り付けられている。車輪保持部22は、複数のボールベアリングを含んで構成された軸受部22cを有し、この軸受部22cにより車輪10の回転軸18が軸支されている。また、車輪保持部22は、上方に延びる延設部22aを有し、この延設部22aは車体に直接的に接続されるかまたは他の部材を介して間接的に接続されている。
【0016】
車輪保持部22には、ドラム24が固定されている。ドラム24は、車輪保持部22の中央部22bからホイール14に対向する位置まで延びる略円盤状の部材であり、車輪10の回転軸18と同心状に配置されている。ドラム24の外縁は、ホイール14のリム部14aと対向する対向面24aであり、対向面24aはホイール14のリム部14aの内側面に沿って設けられている。なお、本実施形態において、ドラム24は、特許請求の範囲に記載される「接触部材」に相当する。上述した構成において、車輪10のホイール14には、車両の走行時に走行音を発生するための走行音発生装置30が取り付けられている。
【0017】
図3は、図2の走行音発生装置30を拡大して示す拡大図である。以下、図3を参照して、走行音発生装置30について説明する。
【0018】
走行音発生装置30は、ホイール14のリム部14aの内側とドラム24の対向面24aとの間に設けられている。走行音発生装置30は、錘部材32、棒部材34およびコイルバネ36を含んで構成されている。走行音発生装置30を構成するこれらの部材は、ホイール14のリム部14aの内側に取り付けられており、車輪10と共に矢印A1方向に回転する。一方、ドラム24は車体側に固定されているため、ドラム24の対向面24aは車輪10と共に回転しない。
【0019】
錘部材32は、金属などの比重の大きな球状の部材であり、車輪10が回転した時には回転速度に応じた遠心力を受ける。棒部材34は、直線状に延びる高剛性の部材である。棒部材34の一端34cには錘部材32が固定して結合されており、錘部材32と棒部材34とは一体化された結合体となっている。一方、棒部材34の他端34aは、ホイール14のリム部14aの内側に取り付けられており、ホイール14に対して相対的に移動自在に構成されている。すなわち、棒部材34の他端は、ホイール14のリム部14aの内側の一部に軸支されているため、錘部材32および棒部材34の結合体はホイール14に対して回動自在に構成されている。錘部材32および棒部材34の結合体は、車輪10が回転した時には回転速度に応じた遠心力を受けて、回転径外側方向に回動する。なお、錘部材32および棒部材34の結合体は、特許請求の範囲における「可動部材」に相当する。
【0020】
コイルバネ36は、ホイール14と棒部材34との間に配置された弾性部材である。コイルバネ36の一端はホイール14に固定されており、コイルバネ36の他端は棒部材34の中央部34bの錘部材32寄りの位置に固定されている。コイルバネ36は、コイルバネ36の有するバネ力により錘部材32および棒部材34を回転径内側方向に付勢する。コイルバネ36のバネ力は、錘部材32および棒部材34に作用する遠心力との兼ね合いから決定されている。具体的には、コイルバネ36のバネ力は、車輪10の回転速度が所定閾値より大きい場合に錘部材32がドラム24と接触せず、車輪10の回転速度が所定閾値より小さい場合に錘部材32がドラム24と接触するように設定されている。
【0021】
ドラム24の対向面24aは、錘部材32および棒部材34の結合体の回転軌跡に沿って設けられており、錘部材32および棒部材34の結合体の回転軌跡に対して回転径内側方向に設けられている。ドラム24の対向面24aには、一定間隔ごとに凹部24adおよび凸部24apが形成されている。車輪10が所定閾値より小さい回転速度で回転した時には、錘部材32が各凸部24apに衝突し、継続して大きな接触音を発生させることができる。本実施形態では、上述したように比較的に少ない部品点数で走行音発生装置30が構成されている。
【0022】
本実施形態の走行音発生装置30によれば、車両が高速で走行する時には、車輪10の回転速度が所定閾値より大きくなり、錘部材32に作用する遠心力がコイルバネ36の付勢力に対して大きくなるため、錘部材32はドラム24と接触することがなく接触音は発生しない。一方、車両が低速で走行する時には、車輪10の回転速度が所定閾値より小さくなり、錘部材32に作用する遠心力がコイルバネ36の付勢力に対して小さくなるため、錘部材32がドラム24と接触して接触音が発生する。よって、車両が低速で走行する場合にのみ、錘部材32がドラム24に接触することによる接触音を発生させ、車両の周囲にいる人に車両の存在を認識させることができる。
【0023】
また、錘部材32がドラム24と接触して接触音が発生する際には、その接触音の発生周期は車速に応じたものとなる。すなわち、車両が加速状態である場合には、錘部材32とドラム24との接触音の発生周期は短くなる。一方、車両が減速状態である場合には、錘部材32とドラム24との接触音の発生周期は長くなる。このように錘部材32とドラム24との接触音の発生周期は車速に応じて変化するため、車両の周囲にいる人に車両の加速状態または減速状態を認識させることができる。
【0024】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態に係る走行音発生装置40を拡大して示す拡大図である。以下、図4を参照して、第2実施形態に係る走行音発生装置40について説明する。
【0025】
第2実施形態においても、走行音発生装置40は、ホイール14のリム部14aの内側とドラム24の対向面24aとの間に設けられている。走行音発生装置40は、錘部材42、板バネ44を含んで構成されている。走行音発生装置40を構成するこれらの部材は、ホイール14のリム部14aの内側に取り付けられており、車輪10と共に矢印A2方向に回転する。一方、ドラム24は車体側に固定されているため、ドラム24の対向面24aは車輪10と共に回転しない。
【0026】
錘部材42は、金属などの比重の大きな球状の部材であり、車輪10が回転した時には回転速度に応じた遠心力を受ける。板バネ44は、図4の紙面垂直方向に板面が拡がり、無負荷状態において図示されるように中央部44bの板面が大きく屈曲した弾性部材である。板バネ44の一端44cには錘部材42が固定して結合されており、錘部材42と板バネ44とは一体化された結合体となっている。一方、板バネ44の他端44aは、ホイール14のリム部14aの内側に接合して固定されている。錘部材42は、車輪10が回転した時に回転速度に応じた遠心力を受けるため、回転径外側方向に移動する。なお、錘部材42は、特許請求の範囲における「可動部材」に相当する。
【0027】
板バネ44は、錘部材42が回転径外側方向に移動した時には、板バネ44の有するバネ力により錘部材42を回転径内側方向に付勢する。板バネ44のバネ力は、錘部材42に作用する遠心力との兼ね合いから決定されている。具体的には、板バネ44のバネ力は、車輪10の回転速度が所定閾値より大きい場合に錘部材42がドラム24と接触せず、車輪10の回転速度が所定閾値より小さい場合に錘部材42がドラム24と接触するように設定されている。
【0028】
ドラム24の対向面24aは、錘部材42の回転軌跡に沿って回転径内側方向に設けられている。ドラム24の対向面24aには、一定間隔ごとに凹部24adおよび凸部24apが形成されている。車輪10が所定閾値より小さい回転速度で回転した時には、錘部材42が各凸部24apに衝突し、継続して大きな接触音を発生させることができる。本実施形態では、上述したように比較的に少ない部品点数で走行音発生装置40が構成されている。
【0029】
本実施形態の走行音発生装置40によれば、車両が高速で走行する時には、車輪10の回転速度が所定閾値より大きくなり、錘部材42に作用する遠心力が板バネ44の付勢力に対して大きくなるため、錘部材42はドラム24と接触することがなく接触音は発生しない。一方、車両が低速で走行する時には、車輪10の回転速度が所定閾値より小さくなり、錘部材42に作用する遠心力が板バネ44の付勢力に対して小さくなるため、錘部材42がドラム24と接触して接触音が発生する。よって、車両が低速で走行する場合にのみ、錘部材42がドラム24に接触することによる接触音を発生させ、車両の周囲にいる人に車両の存在を認識させることができる。
【0030】
また、錘部材42がドラム24と接触して接触音が発生する際には、その接触音の発生周期は車速に応じたものとなる。すなわち、車両が加速状態である場合には、錘部材42とドラム24との接触音の発生周期は短くなる。一方、車両が減速状態である場合には、錘部材42とドラム24との接触音の発生周期は長くなる。このように錘部材42とドラム24との接触音の発生周期は車速に応じて変化するため、車両の周囲にいる人に車両の加速状態または減速状態を認識させることができる。
【0031】
なお、以上に説明した実施形態では、走行音発生装置30,40は、ホイール14のリム部14aの内側面とドラム24の対向面24aとの間に設けられたが、走行音発生装置は他の位置に設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態に係る走行音発生装置を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る走行音発生装置を示す側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る走行音発生装置を示す拡大図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る走行音発生装置を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0033】
10…車輪、12…タイヤ、14…ホイール、16…ブレーキディスク、18…回転軸、20…サスペンション、22…車輪保持部、24…ドラム、24a…対向面、24ap…凸部、24ad…凹部、30…走行音発生装置、32…錘部材、34…棒部材、36…コイルバネ、40…走行音発生装置、42…錘部材、44…板バネ。

特許の図
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成19年8月29日(2007.8.29)
【代理人】 【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹

【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹

【識別番号】100116920
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 光


【公開番号】 特開2009−56815(P2009−56815A)
【公開日】 平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願番号】 特願2007−223027(P2007−223027)