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【発明の名称】 油中水型乳化化粧料
【発明者】 【氏名】藤山 希
【氏名】鹿子木 宏之
【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)(B)(C)(D)を含有する油中水型乳化化粧料において、さらに成分(E)を含有することを特徴とする油中水型乳化化粧料。
(A)式(I)で示されるベンゾトリアゾール誘導体
(B)高極性油分
(C)シリコーン油
(D)水
(E)アルキルPEG/PPGポリジメチルシロキサンエチルジメチコン
【化1】


(I)
(式中、R’=C1〜C6の直鎖のアルキル基、R”=C1〜C3の直鎖のアルキル基である)
【請求項2】
前記成分(A)ベンゾトリアゾール誘導体が、2−[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−イソブトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
油中水型乳化化粧料全量に対して、前記成分(A)を0.1〜10質量%、前記成分(B)を0.005〜5質量%含有する請求項1又は2記載の油中水型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は油中水型乳化化粧料に関する。さらに詳しくは、水難溶性の紫外線吸収剤と高極性油分とを配合した油中水型乳化化粧料において、その乳化安定性を特に大きく改善した発明に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線から皮膚や毛髪を保護する化粧料として、紫外線吸収剤を配合した油中水型(W/O型)乳化化粧料が使用されている。この油中水型乳化化粧料の乳化剤としては、一般に、グリセリン脂肪酸エステルやソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル系活性剤;ポリエーテル変性シリコーンやポリグリセリン変性シリコーン等の変性オルガノポリシロキサン系活性剤が使用されている。
【0003】
特に乳化安定性の観点からは、ポリエーテル変性シリコーンが汎用されている(例えば特許文献1〜5を参照されたい)。
【0004】
一方、式(I)のベンゾトリアゾール誘導体は公知の化合物であり、有用な紫外線吸収剤として日焼け止め化粧料に配合されている(例えば特許文献6〜8を参照されたい)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−194248
【特許文献2】特開2004−307371
【特許文献3】特開2004−210649
【特許文献4】特開2004−018415
【特許文献5】特開2002−275028
【特許文献6】特開2007−320916
【特許文献7】特開2007−182389
【特許文献8】特開2007−182388
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
油中水型乳化化粧料の乳化安定性を上げるためにポリエーテル変性シリコーンを使用すると、以下の問題点を有する。
(1)高極性油分を高配合した場合には、十分な乳化安定性を確保することが困難であった。
(2)若干べたつきがある。したがって、べたつきを少なくするため、より少ない配合量でも安定に乳化出来る乳化力が必要とされていた。
【0007】
ところで、油中水型乳化化粧料に、水難溶性の紫外線吸収剤を安定に高配合する場合には、これを溶解する高極性油分を多量に配合する必要がある。したがって、水難溶性の紫外線吸収剤を高配合する場合は、ポリエーテル変性シリコーンによって、十分な乳化安定性を確保することは極めて困難であった。
また、べたつきを少なくするため、より少ない配合量でも安定に乳化出来る乳化力が必要とされていた。
【0008】
本発明者等は上述の観点に鑑み、水難溶性の紫外線吸収剤を十分な量だけ高配合出来て、優れた乳化安定性を有しかつ使用感にも優れた油中水型乳化化粧料を得るべく鋭意研究した結果、驚くべきことに、ポリオキシエチレン・ポリジメチルシロキシエチル・ジメチコン共重合体を使用すると、目的とする油中水型乳化化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明の目的は、水難溶性の紫外線吸収剤を十分に高配合可能で、優れた乳化安定性を有し、かつ使用感にも優れた油中水型乳化化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は、下記成分(A)(B)(C)(D)を含有する油中水型乳化化粧料において、さらに成分(E)を含有することを特徴とする油中水型乳化化粧料を提供するものである。
(A)式(I)で示されるベンゾトリアゾール誘導体
(B)高極性油分
(C)シリコーン油
(D)水
(E)アルキルPEG/PPGポリジメチルシロキサンエチルジメチコン
【化1】


(I)
(式中、R’=C1〜C6の直鎖のアルキル基、R”=C1〜C3の直鎖のアルキル基である)
【0011】
また、本発明は、前記成分の(A)ベンゾトリアゾール誘導体が、2−[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−イソブトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0012】
さらに、本発明は、油中水型乳化化粧料全量に対して、前記成分(A)を0.1〜10質量%、前記成分(E)を0.005〜5質量%含有することを特徴とする上記の油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
(1)本発明の油中水型乳化化粧料は、高極性油分を多量に配合する場合においても、乳化安定性に極めて優れている。したがって、ベンゾトリアゾール誘導体を初めとする水難溶性の紫外線吸収剤を希望する配合量を安定に高配合することが可能となる。
(2)本発明の油中水型乳化化粧料は、従来のポリエーテル変性シリコーンにより乳化する場合に比べて、より少ない配合量にて、(E)アルキルPEG/PPGポリジメチルシロキサンエチルジメチコンにより安定に乳化出来る。したがって、べたつきが少なく、使用感に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
「(A)式(I)で示されるベンゾトリアゾール誘導体」
下記式(I)のベンゾトリアゾール誘導体は公知の化合物であり、前記特許文献6〜8にも記載されている有用な紫外線吸収剤である。しかし、水難溶性の紫外線吸収剤であり、希望する配合量を油中水型乳化化粧料に安定に高配合することは困難であった。

【化2】


(I)
(式中、R’=C1〜C6の直鎖のアルキル基、R”=C1〜C3の直鎖のアルキル基である)
【0015】
(A)ベンゾトリアゾール誘導体は、2−[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−イソブトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールから選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
【0016】
成分(A)の配合量は特に限定されない。油中水型乳化化粧料全量に対して通常0.1〜10質量%程度である。本発明により安定に高配合することが可能なので、油中水型乳化化粧料全量に対して1.0〜10質量%であることが好ましい。
【0017】
「(B)高極性油分」
高極性油分は、例えば合成エステル油が好ましい。成分(A)の溶解が容易だからである。
合成エステルとしては、ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
これらの中でも、ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール、イソノナン酸イソノニル、オクタン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリオクタン酸グリセリン、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジ2−エチルヘキシルが特に好ましく用いられる。
【0018】
成分(B)の配合量は、油中水型乳化化粧料全量に対して0.1〜20質量%であることが好ましい。より好ましくは、10〜20質量%である。
成分(A)を安定に溶解させるために必要な成分であるから、その配合量は、成分(A)の配合量により適宜決定される。
【0019】
「(C)シリコーン油」
(C)シリコーン油は、環状、直鎖状、分岐状のいずれでもあってもよい。例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、エチルメチルポリシロキサン、エチルフェニルポリシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどが好ましい。これらは単独でも2種以上の混合物であってもよい。特に好ましくはデカメチルシクロペンタシロキサンである。
【0020】
成分(C)の配合量は、油中水型乳化化粧料全量に対して0.1〜50質量%であることが好ましい。
【0021】
「(D)水」
(D)水は油中水型乳化化粧料の水相を構成する。水及びこれに溶解する水性成分は油相成分の残余となる。水の配合量は、油中水型乳化化粧料全量に対して15〜99.6質量%であることが好ましい。
【0022】
「(E)アルキルPEG/PPGポリジメチルシロキサンエチルジメチコン」
(E)アルキルPEG/PPGポリジメチルシロキサンエチルジメチコンとしては、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンが好ましく用いられる。市販品としては、例えば、KF6038(信越化学工業社製)が挙げられる。
ところで成分(E)は、従来の直鎖ジメチルシロキサン鎖にポリエーテル基が付いたポリエーテル変性シリコーンとは異なり、ジメチルシロキサン部及びアルキル部を分岐させた構造を有する共重合体である。ジメチルシロキサン部が分岐した構造を有するため、親油基が嵩高くて大きく、HLBが低くなり、そして分子量が大きい。また、アルキル部が分岐した構造を持つため、高極性油分の乳化安定性に優れるのである。成分(E)を配合する点がまさしく本願発明の特徴なのである。
【0023】
成分(E)の配合量は、油中水型乳化化粧料全量に対して0.005〜5.0質量%であることが必要である。0.005質量%未満では極性油が高配合された油相を乳化できず、逆に、5.0質量%を越えて配合すると、のびが悪く、使用感が重くなる。
【0024】
「任意成分」
(1)「油分」
油相には、成分(B)や(C)の油分の他に、通常の化粧料用乳化組成物に使用される各種油分を油相の均一性を損なわない範囲で使用することができる。例えば、流動パラフィン、スクワラン等の液状、ペースト状もしくは固形状の炭化水素;ワックス;高級脂肪酸;高級アルコール;グリセライド等の油分が挙げられる。
これらの油分は、油中水型乳化化粧料全量に対して0.1質量%〜10質量%で配合される。
(2)「その他の成分」
本発明の油中水型乳化化粧料には、通常用いられる水性成分や油性成分、例えば、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤、美容成分、ビタミン類、香料、保香剤、増粘剤、粉末(着色顔料、光輝性顔料、有機粉体、金属酸化物など)、タール色素などを本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
成分(A)以外の紫外線吸収剤を適宜配合しても良い。
粉末は、疎水化処理粉末が好ましい。疎水化処理粉末を配合すると、安定性を損なうことなく、ベたつき感を減らすことが出来る。
【0025】
本発明の油中水型乳化化粧料の具体的製品としては、乳液、スキンクリーム、ヘアクリーム、リキッドファンデーション、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ等の乳液状ないしクリーム状の製品が挙げられる。
本発明の油中水型乳化化粧料は、配合成分を適宜混合して具体的製品に応じて、常法に従って製造される。
【実施例】
【0026】
以下に本発明の実施例及び比較例を示す。配合量は質量%である。
【0027】
下記成分を混合してサンスクリーンを製造した。それをサンプル管に充填し、−5℃の恒温層に1ヶ月放置して目視により観察した。
【表1】


ABIL EM 90(Degussa社):セチルPEG/PPG−10/1ジメチコン
シリコーンKF6017(信越化学工業株式会社):PEG−10ジメチコン
シリコーンKF6038(信越化学工業株式会社):アルキルPEG/PPGポリジメチルシロキサンエチルジメチコン
【0028】
<結果の考察>
実施例1の成分(E)の代わりに、比較例1は、セチルPEG/PPG−10/1ジメチコンを用いたものであり、比較例2はPEG−10ジメチコンを用いたものである。
実施例1の低温安定性は比較例1及び2に比べて極めて優れている。さらに、実施例1の使用感も優れている。
【0029】
「実施例2 サンスクリーン」
デカメチルシクロペンタシロキサン 20 質量%
トリメチルシロキシケイ酸 1
トリオクタノイン 2.5
ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 1
ジプロピレングリコール 4
セバシン酸ジイソプロピル 5
シリコーン被覆微粒子酸化チタン(20nm) 10
タルク(疎水化処理品) 6
パラベン 適量
フェノキシエタノール 適量
エデト酸三ナトリウム 0.02
4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.1
2−[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル]
−2H−ベンゾトリアゾール 3
オクトクリレン 5
球状ポリエチレン粉末 5
ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 1
精製水 残余
香料 適量
製造方法
混合した油液に、水相を室温で高速撹拌機を使用し、攪拌しながら徐々に油相に添加して目的の油中水型のサンスクリーンを得る。
【0030】
「実施例3 サンスクリーン」
ジメチルポリシロキサン 5 質量%
デカメチルシクロペンタシロキサン 20
トリメチルシロキシケイ酸 3
ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 3
ジプロピレングリコール 3
2−エチルヘキサン酸セチル 1
セバシン酸ジイソプロピル 8
シリコーン被覆微粒子酸化亜鉛(60nm) 10
タルク 1
シリコーン被覆微粒子酸化チタン(40nm) 7
パラベン 適量
フェノキシエタノール 適量
エデト酸3ナトリウム 0.2
ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 1
ポリメチルメタクリル酸共重合体球状粉末 3
2−[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル]
−2H−ベンゾトリアゾール 3
オクトクリレン 4
4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 2
精製水 残余
香料 適量
【0031】
「実施例4 サンスクリーン」
ジメチルポリシロキサン 5 質量%
デカメチルシクロペンタシロキサン 25
トリメチルシロキシケイ酸 5
ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 2
ジプロピレングリコール 5
パルミチン酸デキストリン被覆微粒子酸化亜鉛(60nm) 15
グリチルリチン酸ジカリウム 0.02
グルタチオン 1
チオタウリン 0.05
クララエキス 1
パラベン 適量
フェノキシエタノール 適量
エデト酸三ナトリウム 適量
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 7.5
ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 0.5
球状ポリアクリル酸アルキル粉末 5
ブチルエチルプロパンジオール 0.5
4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 2
2−[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル]
−2H−ベンゾトリアゾール 2
オクトクリレン 5
精製水 残余
香料 適量
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によれば、水難溶性の紫外線吸収剤と高極性油分とを含有し、極めて優れた乳化安定性を有する油中水型乳化化粧料を提供できる。特に紫外線吸収剤を高配合する日焼け止め化粧料として有用である。
【出願人】 【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社資生堂
【出願日】 平成20年3月28日(2008.3.28)
【代理人】 【識別番号】100094570
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼野 俊彦
【公開番号】 特開2009−235046(P2009−235046A)
【公開日】 平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願番号】 特願2008−86443(P2008−86443)