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【発明の名称】 非水系貼付剤製造用組成物及び非水系貼付剤の製造方法
【発明者】 【氏名】相宮 良一
【氏名】松本 宏恵
【課題】支持体の貼付剤塗布面から支持体の反対面への貼付剤の滲み出しが無く、粘着性、賦形性に優れ、粘着性の経時安定性に優れ、且つ、安全性の高い非水系貼付剤を製造するための組成物の提供。

【解決手段】多価アルコールと、多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物と、アセチルアセトン多価金属塩とを少なくとも有する非水系貼付剤製造用組成物。多価アルコールが、グリセリンであることが好ましい。多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物が、(メタ)アクリル酸系高分子化合物又はその部分中和物であることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多価アルコールと、多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物と、アセチルアセトン多価金属塩とを少なくとも有する非水系貼付剤製造用組成物。
【請求項2】
多価アルコールが、グリセリンである請求項1に記載の非水系貼付剤製造用組成物。
【請求項3】
多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物が、(メタ)アクリル酸系高分子化合物又はその部分中和物である請求項1に記載の非水系貼付剤製造用組成物。
【請求項4】
多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物の0.2質量%水溶液のpH7における粘度が10000Pa・s以上である請求項1に記載の非水系貼付剤製造用組成物。
【請求項5】
多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物が、多価アルコールに可溶性の塩基で中和されている請求項1に記載の非水系貼付剤製造用組成物。
【請求項6】
多価金属が、2価又は3価の金属である請求項1に記載の非水系貼付剤製造用組成物。
【請求項7】
多価金属が、アルミニウム又は亜鉛である請求項1に記載の非水系貼付剤製造用組成物。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の非水系貼付剤製造用組成物と、薬効成分との混合物を70〜180℃で0.5分間以上加熱する非水系貼付剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚刺激性が少なく、保形性に優れた非水系貼付剤の製造用組成物及び非水系貼付剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤等を含有するゲル状の貼付剤、又は前記ゲル状の貼付剤を、不織布や織編物等の支持体に塗布してなる支持体付貼着剤が従来ある。これらの貼着剤はパップ剤、膏薬等とも言われており、身体に貼着されて各種の病気の治療に用いられる。これらの貼付剤のうち、水分を含有する水系貼付剤は、従来よりカルボキシル基を有する高分子化合物(アクリル酸系重合体等)が粘着作用、ゲル化作用を付与するために貼付剤の基材として配合されている。
【0003】
アクリル酸系重合体のうちでも、カルボキシル基の一部を水酸化ナトリウムなどのアルカリで中和したポリアクリル酸部分中和物は、広く用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。このポリアクリル酸の部分中和物を配合する支持体付きの貼着剤は、支持体の貼付剤塗布面から支持体の反対面への貼付剤の滲み出しが無く、更に貼付剤の保水性に優れ、貼付剤の使用時においては、皮膚への密着性が高く、使用後は、皮膚からの剥離性に優れる。
【0004】
上述のように、水系貼付剤は幾多の長所は有するものの、水分を含有するため、薬効成分が加水分解され易い場合には、保存安定性に問題を有している。また、水分は蒸散し易いため、皮膚に対する粘着力が低下することがあり、貼付剤の初期性能を維持し難いなどの問題を有している。
【0005】
上記水系貼付剤が有する問題を解決するため、水分を含まない貼付剤(非水系貼付剤)が提案されている(例えば、特許文献3、4参照)。
【0006】
特許文献3に記載されている非水系貼付剤は、カルボキシル基を有する高分子化合物の架橋剤としてグリシジル基を含有する化合物、又は多価金属塩を使用している。しかし、グリシジル基を含有する化合物を使用する場合、得られる貼付剤は皮膚刺激性の問題がある。架橋剤として多価金属塩を使用する場合、多価金属塩はイオン反応で瞬時にカルボキシル基と反応して架橋してゲル化するので、架橋反応の制御が難しい。そのため、多価金属塩を使用して貼付剤を得る場合、製造工程においては賦形性が悪く、また得られる貼付剤は、脆いものであったり、使用後の剥離性が悪いものであったりし、多価金属塩の使用には問題がある。
【0007】
特許文献4に記載されている非水系貼付剤は、架橋されてないため、保形性が悪い問題がある。
【特許文献1】特開昭58−21612号公報 (特許請求の範囲、第3頁左上欄第14〜19行)
【特許文献2】特開昭61−260014号公報 (特許請求の範囲、第2頁右下欄第2〜8行)
【特許文献3】特開昭63−203162号公報 (特許請求の範囲、第2頁右上欄第20行〜左下欄第14行)
【特許文献4】特開2003−113077号公報 (特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、上記問題について鋭意検討しているうちに、カルボキシル基を有する高分子化合物を含む非水系貼付剤製造用組成物において、架橋剤としてアセチルアセトン多価金属塩を使用することに想到した。アセチルアセトン多価金属塩は、安定度定数が適度に大きい。そのため、アセチルアセトン多価金属塩の多価金属塩は、無機の多価金属塩とは異なり、常温ではカルボキシル基を有する高分子化合物のカルボキシル基と架橋反応を起こさない。しかし、温度を高くすると、アセチルアセトン多価金属塩中の多価金属塩はアセチルアセトンから遊離してカルボキシル基と塩を形成する。従って、温度を高くすることにより架橋反応を自在に開始させることができると考えた。なお、アセチルアセトンは揮発性なので、架橋反応後の貼付剤中には残らない。
【0009】
以上の考察に基づいて、多価アルコールと、多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物と、アセチルアセトン多価金属塩とを少なくとも有する非水系貼付剤製造用組成物を、薬効成分等と共に混合した後、所定の温度、時間加熱することにより非水系貼付剤を作製した。
【0010】
製造工程においては、架橋を必要な時点で行わせることができるので、操作性が良くなり、更に、得られる非水系貼付剤は均一にゲル化しているため、支持体の貼付剤塗布面から支持体の反対面への貼付剤の滲み出しが無いばかりでなく、粘着性、賦形性に優れ、粘着性の低下が無いなど経時安定性に優れ、且つ、グリシジル基を有しないので、皮膚刺激性等に問題が無いなど安全性の高いものであることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0011】
よって、本発明の目的とするところは、上記問題を解決した非水系貼付剤製造用組成物、及び非水系貼付剤の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する本発明は、以下に記載するものである。
【0013】
〔1〕 多価アルコールと、多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物と、アセチルアセトン多価金属塩とを少なくとも有する非水系貼付剤製造用組成物。
【0014】
〔2〕 多価アルコールが、グリセリンである〔1〕に記載の非水系貼付剤製造用組成物。
【0015】
〔3〕 多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物が、(メタ)アクリル酸系高分子化合物又はその部分中和物である〔1〕に記載の非水系貼付剤製造用組成物。
【0016】
〔4〕 多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物の0.2質量%水溶液のpH7における粘度が10000Pa・s以上である〔1〕に記載の非水系貼付剤製造用組成物。
【0017】
〔5〕 多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物が、多価アルコールに可溶性の塩基で中和されている〔1〕に記載の非水系貼付剤製造用組成物。
【0018】
〔6〕 多価金属が、2価又は3価の金属である〔1〕に記載の非水系貼付剤製造用組成物。
【0019】
〔7〕 多価金属が、アルミニウム又は亜鉛である〔1〕に記載の非水系貼付剤製造用組成物。
【0020】
〔8〕 〔1〕乃至〔7〕の何れかに記載の非水系貼付剤製造用組成物と、薬効成分との混合物を70〜180℃で0.5分間以上加熱する非水系貼付剤の製造方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明の非水系貼付剤製造用組成物は、アセチルアセトン多価金属塩を架橋剤として使用するので、この非水系貼付剤製造用組成物を薬効成分等と共に混合する際には架橋してゲル化することは無い。従って、充分時間を掛けて混合して均一性の高い貼付剤製造用組成物を製造できる。その後、所定の温度及び時間で加熱することにより架橋が迅速に起こりゲル化する。従って、貼付剤の製造に際しては、ゲル化を心配することなく各成分を混合でき、操作性が良い。
【0022】
その後、任意の剤形を形成した後、単に加熱することにより、迅速且つ簡単、しかも均一に架橋される。このようにして製造した貼着剤は、支持体の貼付剤塗布面から支持体の反対面への貼付剤の滲み出しが無いばかりでなく、粘着性、賦形性に優れ、粘着性の低下が無いなど経時安定性に優れ、且つ、皮膚刺激性等に問題が無いなど安全性の高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0024】
本発明の非水系貼付剤製造用組成物は、多価アルコールと、多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物と、アセチルアセトン多価金属塩とを少なくとも有する。この組成物は、薬剤等の有効成分を混合して加熱することによりゲル化し、貼付剤に賦形性を付与する基材として作用する。
【0025】
本発明に用いられる多価アルコールは、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、硬化ひまし油類などが挙げられる。このなかでも、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブタンジオール等が好ましく、好ましいもののなかでもグリセリンが最も好ましい。
【0026】
本発明に用いられる多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物は、(メタ)アクリル酸[アクリル酸若しくはメタクリル酸]系高分子化合物又はその部分中和物が好ましい。
【0027】
(メタ)アクリル酸系高分子化合物は、アクリル酸又はメタクリル酸を主成分とした単量体を重合して得られる重合体が好ましく、アクリル酸又はメタクリル酸が、全単量体成分のうち70〜100質量%を占めている重合体がより好ましい。
【0028】
(メタ)アクリル酸系高分子化合物への重合に用いる単量体には、多価アルコールへの溶解性を損なわない限りにおいて、アクリル酸又はメタクリル酸以外のビニル単量体を、全単量体成分のうち30質量%以下の副成分として使用しても差し支えない。
【0029】
使用できるアクリル酸又はメタクリル酸以外のビニル単量体としては、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸などのオレフィン系不飽和カルボン酸類、スチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルニトリル、メタクリロニトリル等がある。
【0030】
(メタ)アクリル酸エステル類の具体例としては、アルキル部位がメチル、エチル、ブチルイソブチル、オクチル、ラウリル、ステアリル等の(メタ)アクリル酸エステル類、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルエクリレート等のエーテル結合を有する(メタ)アクリル酸エステル類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ基含有単量体、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
【0031】
(メタ)アクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。
【0032】
また、末端メタクリレートポリメチルメタクリレート、末端スチリルポリメチルメタクリレート、末端メタクリレートポリスチレン、末端メタクリレートポリエチレングリコール、末端メタクリレートアクリロニトリルスチレン共重合体等のマクロモノマー類なども使用可能である。
【0033】
同様に、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸等のオレフィン系不飽和ジカルボン酸、並びに、それらのエステル類なども使用できる。さらに、必要に応じ、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなども使用できる。
【0034】
上記(メタ)アクリル酸系高分子化合物は、多価アルコールへの溶解性を損なわない限りにおいて架橋性単量体で架橋させても良い。この架橋性単量体としては、ポリアルケニルポリエーテールモノマー、多価ビニルモノマー又はこれらの混合物から選ばれたものを使用することができる。
【0035】
架橋性単量体の具体例としては、テトラアリルオキシエタン、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル及びトリアリルイソシアヌレートなどが挙げられる。
【0036】
(メタ)アクリル酸系高分子化合物の部分中和物は、上記単量体を重合した後、この重合体を塩基又は塩などの中和剤で部分中和して得られるものでも差し支えなく、あるいは、単量体を塩基又は塩などの中和剤で部分中和した後、この中和物を重合して得られるものでも差し支えない。
【0037】
カルボキシル基を有する高分子化合物に対する塩基又は塩などの中和剤での中和度は、カルボキシル基に対して60モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましい。この中和度が60モル%を超える場合は、多価アルコールへの溶解性が劣るので好ましくない。
【0038】
カルボキシル基を中和する塩基又は塩などの中和剤としては、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属の塩基、並びに炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム等のアルカリ金属の塩を使用することができるが、アミン類を使用することも可能である。このアミン類の具体例としては、モノエチレンアミン、ジエチレンアミン、トリエチレンアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールなどが挙げられる。
【0039】
なお、単量体をアミン類で中和した後、この中和物を重合して得られる高分子化合物は、一般にそのガラス転移点が低くなり、粉体の状態で取扱うことが難しくなる。そのため、中和剤としてアミン類を使用する場合は、多価アルコールと、多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物とを混合溶解させた後に、アミン類を添加して中和することが好ましく、このアミン類は、多価アルコールに可溶性であることが特に好ましい。
【0040】
(メタ)アクリル酸系高分子化合物又はその部分中和物は、非水系貼付剤を製造するに際し、多価アルコール中に分散し易いことが好ましいことから、多価アルコールに添加時の形態は、粉体のものあるいは多価アルコールに溶解したものが好ましい。
【0041】
(メタ)アクリル酸系高分子化合物への重合は、上記単量体群から選ばれる1種又は複数種の単量体を重合原料として使用し、これを水溶液中で重合する方法(水溶液重合)、単量体及び重合体のいずれにも不溶性の有機溶剤を分散媒とし、この分散媒中で重合する方法(逆相懸濁重合)、単量体には可溶で重合体には不溶性の有機溶剤を分散媒として使用し、この分散媒中で重合する方法(析出重合)などによって可能である。
【0042】
また、多価アルコール中で重合する方法でも可能である。この重合方法による場合は、重合終了後の溶液状態のままで重合体を使用することができる。但し、一般に粘度が高いので、残存単量体が多くなることが多い。そのため、残存単量体を少なくすることを必要とする場合は、多価アルコール中での重合方法は好ましくない。
【0043】
さらに、多価アルコール水溶液中で重合する方法(水溶液重合)でも可能である。但し、水分の除去が難しいので、水分の除去を必要とする場合は水溶液重合は好ましくない。
【0044】
水溶液重合によって(メタ)アクリル酸系高分子化合物を製造する場合であって、水分の除去を必要とする場合は、スプレー乾燥機、ドラム乾燥機などによって、製造物から水分を除去することが好ましい。
【0045】
分散媒として有機溶剤を使用する逆相懸濁重合や析出重合によって(メタ)アクリル酸系高分子化合物を製造する場合は、重合後は十分に有機溶剤を除去することが好ましい。除去処理後に残存する有機溶剤は0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。
【0046】
(メタ)アクリル酸系高分子化合物を含有する貼付剤は皮膚に貼り付けることから、(メタ)アクリル酸系高分子化合物中の残存単量体は出来る限り少ないことが好ましい。この残存単量体は、(メタ)アクリル酸系高分子化合物に対して0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。
【0047】
本発明の非水系貼付剤製造用組成物中の、上記多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物の含有量は、多価アルコール100質量部に対して、好ましくは0.5〜40質量部、より好ましくは2〜30質量部である。多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物の含有量が0.5質量部未満の場合は、得られる非水系貼付剤の賦形性が悪い。30質量部を超える場合は、アセチルアセトン多価金属塩による硬化前の粘度が著しく高くなり、貼付剤の基材である不織布への塗工性が劣る結果となるため好ましくない。
【0048】
非水系貼付剤製造用組成物の賦形性をより向上させるためには、多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物の0.2質量%水溶液のpH7における粘度は10000mPa・s以上であることが好ましく、15000〜50000mPa・sであることがより好ましい。この粘度が10000mPa・s未満の場合、非水系貼付剤製造用組成物は、たとえアセチルアセトン多価金属塩による硬化処理を施しても、貼付剤としての賦形性が劣るので好ましくない。
【0049】
上記粘度が10000mPa・s以上である多価アルコールに可溶性なカルボキシル基を有する高分子化合物であって、上述の析出重合によって得られる高分子化合物の場合は、重合製造物から水分及び有機溶剤が除去された粉体であることが好ましい。
【0050】
本発明の非水系貼付剤製造用組成物に用いられる架橋剤としてのアセチルアセトン多価金属塩の金属は、アセチルアセトンとキレートを形成するものならば何れの多価金属であっても良いが、カルボキシル基と架橋させることから、2価又は3価の金属であることが好ましい。1価の金属では、カルボキシル基と架橋させることができない。3価を超える多価金属の場合は、架橋が密になりすぎ粘着性の発現が難しくなる。アセチルアセトンとキレートを形成してカルボキシル基との架橋に適する具体的な多価金属としては、市場での入手がし易いアルミニウム又は亜鉛が特に好ましい。特に、アルミニウムは、そのキレート化合物による架橋の程度を管理し易く、架橋後の変色も少ないため最も好ましい。
【0051】
本発明の非水系貼付剤製造用組成物中の上記アセチルアセトン多価金属塩の含有量は、多価アルコール100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜3質量部である。アセチルアセトン多価金属塩の多価アルコールへの溶解性が良くない場合は、アセトン、エタノール、メタノール等の希釈溶剤に、アセチルアセトン多価金属塩を予め溶解して使用しても良い。
【0052】
上記の配合物からなる本発明の非水系貼付剤製造用組成物を、プラネタリーミキサーやニーダーなどによって薬効成分等と均一に混合した後、シート状等の任意の形状に賦形し、又は支持体の一面に塗布後、70〜180℃、好ましくは80〜120℃で加熱する。加熱時間は0.5分間以上、好ましくは0.5〜120分間、より好ましくは1〜30分間である。この加熱により非水系貼付剤は製造される。加熱時間は120分間以上にしても、これにより生ずる障害は無く、単に時間とエネルギーの無駄になるだけである。
【0053】
薬効成分としては、具体的には例えば、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、メントール、カンフル、チモール、ハッカ油、ボルオネール、グリチルリチン酸等の抗ヒスタミン剤、インドメタシン、フルルビプロフェン等の消炎鎮痛剤、塩酸ジブカイン、リドカイン等の局所麻酔薬などが挙げられる。薬効成分は、必要に応じ一種又は二種以上を非水系貼付剤製造用組成物と混合して用いることができる。薬効成分の配合量は、通常、非水系貼付剤全成分質量に対して0.01〜10質量%である。
【0054】
上記非水系貼付剤には、本発明の効果を損なわない限り、任意成分として上記非水系貼付剤製造用組成物の成分(必須成分)以外の成分を適宜配合することもできる。例えば、カオリン、酸化チタン、無水メイ酸等の粉末無機充填剤、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル等の防腐剤などを必要に応じ一種又は二種以上、本発明の効果を損なわない範囲で適宜適量配合することができる。
【0055】
また、外用剤に一般に用いられる添加物を配合しても良い。すなわち、非水系貼付剤の製造時の適性や使用時の品質をより改善するために、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム等の水溶性高分子を増粘剤や粘着付与剤として配合しても良い。
【0056】
上記以外にも、軟化剤、粘着付与剤、老化防止剤、無機粉体などを本発明の効果を損なわない範囲で適宜適量配合することができる。以上の任意成分の好ましい配合量は、非水系貼付剤全成分質量に対して0.1〜50質量%である。
【実施例】
【0057】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明する。また、各実施例及び比較例における処理条件、並びに、多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物及び非水系貼付剤の物性についての評価方法は以下の方法により実施した。
【0058】
<0.2質量%水溶液のpH7における粘度>
1000mlビーカーにイオン交換水200gを量り取り、マグネチックスターラーで攪拌しながら、多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物の粉末0.40gを徐々に添加した。全量添加後、回転数を落として攪拌を継続し、高分子化合物粉末の全量が溶解したのを確認後、10N−NaOH水溶液0.40mlを添加し、均一になるまで十分に手動攪拌した。pHが6.5〜8.5の範囲であることを確認後、温度25±1℃における粘度を、BH型粘度計(ローター番号:No.6、回転数:20rpm、測定時間:30秒後)を用いて測定した。
【0059】
<使用した多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物>
ジュリマーAC−10LHP(登録商標)[日本純薬(株)製、ポリアクリル酸粉末、10質量%の未中和水溶液粘度850mPa・s、0.2質量%水溶液のpH7における粘度50mPa・s]、ジュンロンPW−150(登録商標)[日本純薬(株)製、架橋型ポリアクリル酸粉末、0.2質量%水溶液のpH7における粘度35000mPa・s]、ジュンロンPW−350(登録商標)[日本純薬(株)製、架橋型ポリアクリル酸粉末で、0.2質量%水溶液のpH7における粘度28000mPa・s]を使用した。
【0060】
<非水系貼付剤の評価>
非水系貼付剤製造用組成物を硬化して得られる非水系貼付剤の固さは、硬化前の非水系貼付剤製造用組成物を、厚みが10mm以上になるように60mmφの容器に充填し、表1に示す硬化条件で加熱処理を施した。固さ測定装置[(株)サン科学製 RHEO METER モデルCR−50DX]を用い、30.0mmφのベークライト円柱を60mm/分の速度で2mmまで押し込み、その際の測定されたmN(ミリニュートン)を固さの評価結果として表示した。
【0061】
皮膚への貼付性は、硬化前の非水系貼付剤製造用組成物を、伸縮性不織布(目付けが105g/m2のポリエステル製不織布)に約2mm(20g/100cm2)の厚みで塗布し、表1に示した硬化条件で加熱処理を施して得られる非水系貼付剤を、腕に貼り合わせて下記の基準
○ : 腕に良好に貼り付き、剥がした後、腕に組成物の残りがなかった。
× : 腕には貼り付くが、剥がした後、腕に殆どの組成物が残った。
にて評価した。
【0062】
滲み出し性は、上記の非水系貼付剤作製から1週間後に、ポリエステル不織布の裏面を目視によって観察して、下記の基準
○ : 全く滲み出しがない。
× : 一部又は全体に滲み出しがある。
にて評価した。
【0063】
実施例1
プラネタリーミキサーのジャケット付2L容器に、500gのグリセリン、25gのジュリマーAC−10LHP(登録商標)及び15gのジュンロンPW−150(登録商標)を加えて、十分に攪拌し分散させた。その後、ジャケット温度70℃で、均一になるまで十分に攪拌してグリセリン溶解液を得た。
【0064】
予め、50gのエタノールに7.5gのアセチルアセトンアルミニウムを溶解してアセチルアセトンアルミニウムのエタノール溶液を作製しておき、前記グリセリン溶解液を30℃に冷却した後に、35gのトリエタノールアミンと前記アセチルアセトンアルミニウムのエタノール溶液57.5gとを前記グリセリン溶解液に加え。均一になるまで十分に攪拌した。
【0065】
次いで、減圧下で脱泡して非水系貼付剤製造用組成物を得た。この硬化前の組成物を、表1に示す硬化条件の温度120℃で10分間加熱した。以上の非水系貼付剤の調製条件により、表1に示す固さ評価が1620mN、皮膚への貼付性評価が○、滲み出し性が○の非水系貼付剤を得た。
【0066】
実施例2〜9、比較例1〜8
表1〜3に示す成分の配合比(質量部)及び硬化条件で操作した以外は、実施例1と同様に操作して表1〜3に示す評価結果の非水系貼付剤を得た。尚、実施例9では、希釈溶剤を使用せずに粉体のままのアセチルアセトンアルミニウムを、30℃に冷却した後のグリセリンとジュンロンPW−350(登録商標)との溶解液に加えた。
【0067】
【表1】


【0068】
【表2】


【0069】
表1〜2に示されるように、実施例1〜9で得られた非水系貼付剤は何れも、固さも、皮膚への貼付性も、滲み出し性も良好なものであった。
【0070】
【表3】


【0071】
表3に示されるように、比較例1〜3では、架橋剤が使用されておらず、固さ、皮膚への貼付性が良好な非水系貼付剤は得られなかった。比較例4では、多価アルコールに可溶性のカルボキシル基を有する高分子化合物が使用されておらず、硬化反応は起こらず組成物は粘性が無い液体のままで、皮膚への貼付性は測定不可であった。比較例5では、架橋剤に塩化アルミニウムが使用されており、非水系貼付剤製造中ゲル化が起こって非水系貼付剤は得られなかった。そのため、非水系貼付剤に対する固さ、皮膚への貼付性評価の測定はできなかった。
【0072】
【表4】


【0073】
表4に示されるように、比較例6では、硬化温度が高く、非水系貼付剤製造中に組成物におけるグリセリン等の成分が揮散して非水系貼付剤が得られなかったため、非水系貼付剤に対する固さ、皮膚への貼付性評価の測定はできなかった。比較例7では、硬化時間が短く、固さ、皮膚への貼付性が良好な非水系貼付剤は得られなかった。比較例8では、硬化温度が低く、硬化反応は起こらず組成物は粘性が無い液体のままで、皮膚への貼付性は測定不可であった。
【出願人】 【識別番号】390039974
【氏名又は名称】日本純薬株式会社
【出願日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【代理人】 【識別番号】100083688
【弁理士】
【氏名又は名称】高畑 靖世
【公開番号】 特開2009−235011(P2009−235011A)
【公開日】 平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願番号】 特願2008−85004(P2008−85004)