トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学

【発明の名称】 日焼け止め水中油型乳化化粧料
【発明者】 【氏名】水野 寛子
【氏名】三浦 由将
【課題】紫外線防御効果を飛躍的に高めると同時に使用感にも優れた日焼け止め水中油型乳化化粧料を提供すること。

【解決手段】下記式(I)のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤と、油溶性紫外線吸収剤とを含有する日焼け止め水中油型乳化化粧料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤と、油溶性紫外線吸収剤とを含有する日焼け止め水中油型乳化化粧料において、
(1)油分の含有量が20〜40質量%であり、
(2)下記式(I)のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤の含有量が1〜10質量%であり、
(3)二種又は三種以上の油溶性紫外線吸収剤を含有し、
(4)二種又は三種以上の油溶性紫外線吸収剤の含有量が10〜20質量%であること
を特徴とする日焼け止め水中油型乳化化粧料。
【化1】


〔式中、R1及びR2は、同一でも異なってもよく、炭素原子数が1〜4のアルキル基、同5〜12のシクロアルキル基、及び、アリール基から選ばれる1又は2以上の基で置換されていることがある、炭素原子数が1〜18のアルキル基である〕
【請求項2】
前記ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤である式(I)において、R1及びR2が、1,1,3,3−テトラメチルブチル基であることを特徴とする請求項1記載の日焼け止め水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
前記油溶性紫外線吸収剤が、オクチルメトキシシンナメート、オクトクリレン、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ポリシリコン−15、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンからなる群から選ばれる二種または三種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の日焼け止め水中油型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は日焼け止め化粧料に関するものである。さらに詳しくは、紫外線防御効果と使用感に優れた日焼け止め水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、下記式(I)のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤と油溶性紫外線吸収剤とを含有する水中油型乳化組成物が記載されており、紫外線防御効果に優れた日焼け止め化粧料は公知である。
【化1】


〔式中、R1及びR2は、同一でも異なってもよく、炭素原子数が1〜4のアルキル基、同5〜12のシクロアルキル基、及び、アリール基から選ばれる1又は2以上の基で置換されていることがある、炭素原子数が1〜18のアルキル基である〕
【0003】
一方、特許文献2には、上記のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤と油溶性の紫外線吸収剤を組み合わせると、UV−A領域での紫外線防御効果が相乗的に増大するというようなことが示唆されている(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−107255号公報
【特許文献2】特開2003−192557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、水中油型乳化化粧料においては、そもそも乳化物という系の安定性から、内相となる油分を多量には配合できない。
また、使用感を重視するという化粧料の特異性に鑑み、油分を多量に配合するとべたつきが生じるため、通常、油分を多量に配合することはしない。水中油型乳化化粧料の製品設計では、油相に起因するべたつきを抑えて、水相に起因するさっぱりとした使用感を特に重視するからである。
したがって、水中油型乳化化粧料においては、油溶性紫外線吸収剤を多量に配合するという考えは基本的に存在し得ない。また、油分の含有量が少ないので、油溶性紫外線吸収剤を安定して配合することも極めて困難である。
【0006】
このような観点から、特許文献1記載の発明においても、油溶性紫外線吸収剤を10質量%以上配合することはしていないし、そうすることも予定していない。
すなわち、上記式(I)のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤を水相に含有させて紫外線防御効果を確保し、付加的に油溶性紫外線吸収剤を配合可能とするのが、特許文献1記載の発明である。
特許文献1には、式(I)のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤と二種又は三種以上の油溶性紫外線吸収剤による相乗的な紫外線防御効果は記載も示唆もされていない。
【0007】
一方、特許文献2記載の発明においても、ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤と油溶性紫外線吸収剤とを、相乗活性を生じる割合で配合すると、相乗的に紫外線防御効果が増大することが示唆されているものの、その具体的効果を示す実施例の記載はない。
【0008】
本発明者らは、水中油型乳化組成物からなる日焼け止め化粧料の開発において、
(1)基本的に紫外線防御効果を上げることが困難である、
(2)紫外線防御効果を上げるため、油溶性の紫外線吸収剤を多量に配合すると、水中油型乳化組成物としての系の安定性が悪化する、
(3)さらに多量の油分により水中油型乳化化粧料に要求される使用感が低下する、
(4)しかし、少ない油分量(即ち内相の油相)の中に油溶性の紫外線吸収剤を配合すると、経時で紫外線吸収剤が分離するので、多くを配合できない、
などの技術的観点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、使用感を悪化させる油分を特定の量まで増大させ、そして複数の油溶性紫外線吸収剤を組み合わせて油相に配合し、さらに特定量のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤を水相に配合すると、驚くべきことに、紫外線防御効果が相乗的に飛躍すると同時に使用感にも優れた水中油型乳化化粧料を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明の目的は、紫外線防御効果を飛躍的に高めると同時に使用感にも優れた日焼け止め水中油型乳化化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は、下記式(I)のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤と、油溶性紫外線吸収剤とを含有する日焼け止め水中油型乳化化粧料において、
(1)油分の含有量が20〜40質量%であり、
(2)下記式(I)のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤の含有量が1〜10質量%であり、
(3)二種又は三種以上の油溶性紫外線吸収剤を含有し、
(4)二種又は三種以上の油溶性紫外線吸収剤の含有量が10〜20質量%であること
を特徴とする日焼け止め水中油型乳化化粧料を提供するものである。
【化1】


〔式中、R1及びR2は、同一でも異なってもよく、炭素原子数が1〜4のアルキル基、同5〜12のシクロアルキル基、及び、アリール基から選ばれる1又は2以上の基で置換されていることがある、炭素原子数が1〜18のアルキル基である〕
【0011】
また、本発明は、前記ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤である式(I)において、R1及びR2が、1,1,3,3−テトラメチルブチル基であることを特徴とする請求項1記載の日焼け止め水中油型乳化化粧料を提供するものである。
【0012】
さらに、本発明は、前記油溶性紫外線吸収剤が、オクチルメトキシシンナメート、オクトクリレン、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ポリシリコン−15、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンからなる群から選ばれる二種または三種以上であることを特徴とする上記の日焼け止め水中油型乳化化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の水中油型乳化組成物からなる日焼け止め化粧料においては、水相に配合するベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤と、油相に配合する油溶性紫外線吸収剤とが相俟って紫外線防御効果が飛躍的に増大する。
また、水中油型乳化組成物としての使用感にも優れ、さらに紫外線吸収剤の組成物中での安定性にも優れている。
さらに、紫外線防御効果が飛躍的に増大するので、本発明に規定する量的範囲の限度で、使用する紫外線吸収剤の配合量を少なくすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<水中油型乳化組成物の油相を構成する油分>
本発明の日焼け止め化粧料は水中油型乳化組成物である。油相を構成する油分は特に限定されない。但し、コハク酸ジエチルヘキシル、シクロメチコン、ジメチコン、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、ベヘニルアルコール、バチルアルコール、カプリリルメチコン、トリエチルヘキサノイン、セバシン酸ジイソプロピル、エチルヘキサン酸セチルの一種又は二種以上を混合した油分が好ましい。
【0015】
油分の含有量は、日焼け止め水中油型乳化化粧料全量に対して、20〜40質量%である。20質量%未満では油溶性紫外線吸収剤を十分にかつ安定して配合することができない。40質量%を超えると使用感と系の安定性が悪化する。
油分の含有量には、紫外線吸収剤と液体ではない油溶性薬剤の含有量は含まれる。
【0016】
本発明において、水相を構成する水及び水溶性原料の含有量は、日焼け止め水中油型乳化化粧料全量に対して、80質量%未満である。
そして、油相と水相には、以下に説明する必須成分を配合し、任意の種類と量の界面活性剤により乳化して、水中油型乳化組成物からなる日焼け止め化粧料を製造する。界面活性剤は、ラウリルベタインとイソステアリン酸の組み合わせが好ましい。乳化方法は特に制限されず、常法により乳化する。
【0017】
<式(I)のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤>
下記式(I)のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤は特許文献1に記載されている公知の化合物であり、紫外線吸収剤として日焼け止め化粧料に利用されている。







【化1】


〔式中、R1及びR2は、同一でも異なってもよく、炭素原子数が1〜4のアルキル基、同5〜12のシクロアルキル基、及び、アリール基から選ばれる1又は2以上の基で置換されていることがある、炭素原子数が1〜18のアルキル基である〕
【0018】
式(I)において、R1及びR2が、1,1,3,3−テトラメチルブチル基である化合物が好ましい。この化合物は、2,2'−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールであり、チノソーブM(Ciba社)の商品名にて50質量%濃度の水分散スラリーが市販されている。
【0019】
日焼け止め水中油型乳化化粧料全量に対して、(I)のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤の含有量は1〜10質量%である。1質量%未満では紫外線防御効果の増大が不十分となる。また、10質量%を超えると系の安定性が悪化する。好ましい含有量は2〜5質量%である。
【0020】
<二種又は三種以上の油溶性紫外線吸収剤>
油溶性紫外線吸収剤であれば限定されない。但し、オクチルメトキシシンナメート、オクトクリレン、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジメチコジエチルベンザルマロネート、ビスエチルへキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、トリメトキシケイヒ酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ジメトキシケイヒ酸エチルヘキサン酸グリセリル、ポリシリコン−15の二種又は三種以上が好ましい。
さらには好ましくは、オクチルメトキシシンナメート、オクトクリレン、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ポリシリコン−15、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンからなる群から選ばれる二種または三種以上であり、特に任意の三種である。
【0021】
二種又は三種以上の油溶性紫外線吸収剤の含有量は、日焼け止め水中油型乳化化粧料全量に対して10〜20質量%である。
10質量%未満では、式(1)との化合物との組み合わせにより、紫外線防御効果を十分に増大することが出来ない。また、20質量%を超えて配合しても、紫外線防御効果のさらなる増大は期待できないし、系の安定性も悪化する。
【0022】
本発明の日焼け止め水中油型乳化化粧料は、上述した必須成分の他に、アルコール、保湿剤、増粘剤、中和剤、キレート剤、防腐剤、その他の化粧料原料を必要に応じて適宜配合し、常法により製造することが出来る。
【実施例】
【0023】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。配合量は特に断りのない限り全量に対する質量%である。
【0024】
表1及び2の日焼け止め水中油型乳化化粧料(乳液状のサンスクリーン)を常法により製造した。280〜400nmの吸光度を分光光度計(U4100型、HITACHI社)測定した。
【0025】
【表1】


*1 シンタレンL 3V SIGMA社
*2 PEMULEN TR-2 BF Goodrich社
*3 アノンBL-SF 日油(株)
*4 Parsol MCX DSM社
*5 ユビナールN539T BASF社
*6 チノソーブM Ciba社








【0026】
【表2】


*1 シンタレンL 3V SIGMA社
*2 PEMULEN TR-2 BF Goodrich社
*3 アノンBL-SF 日油(株)
*4 Parsol MCX DSM社
*5 ユビナールN539T BASF社
*6 チノソーブM Ciba社
【0027】
以下に、本発明の日焼け止め水中油型乳化粧料の実施例を挙げる。
【0028】
<サンスクリーン>
水相部
イオン交換水 残量
エタノール 5 質量%
グリセロール 1
ブチレングリコール 4
ジプロピレングリコール 5
カルボキシビニルポリマー 0.1
キサンタンガム 0.1
水酸化カリウム 0.05
チノソーブM 2
フェノキシエタノール 0.35
緩衝剤 適量
安定化剤 適量
油相部
イソステアリン酸PEG-60グリセリル 1.6
ステアリン酸PEG-5グリセリル 0.4
セタノール 0.3
トリエチルヘキサノイン 2
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 3
オクチルメトキシシンナメート 7.5
オクトクリレン 5
ブチルメトキシベンゾイルメタン 2
香料 適量
製造方法:
水相部と油相部をそれぞれ70℃に加熱溶解させた後、チノソーブMを水相部に添加し混合した水相部に油相部をホモジナイザー処理を行いながら添加して乳化する。その乳化物を熱交換器により冷却し、脱気して、容器に充填する。クリームタイプの日焼け止め水中油型乳化化粧料を得る。
【0029】
<サンスクリーン>
水相部
イオン交換水 残量
グリセロール 8 質量%
ブチレングリコール 1
ジプロピレングリコール 4
ポリアクリル酸 0.05
水酸化カリウム 0.15
チノソーブM 4
フェノキシエタノール 0.35
緩衝剤 適量
安定化剤 適量
油相部
ステアリン酸 2
ステアリン酸グリセリル 2
オレフィンオリゴマー 5
ポリエーテル変性シリコーン 2
ステアリルアルコール 1.5
ベヘニルアルコール 1.5
ワセリン 2
マイクロクリスタリンワックス 3
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 1
オクチルメトキシシンナメート 5
オクトクリレン 5
ブチルメトキシベンゾイルメタン 2
香料 適量
製造方法:
水相部と油相部をそれぞれ70℃に加熱溶解させた後、チノソーブMを水相部に添加し混合した水相部に油相部をホモジナイザー処理を行いながら添加して乳化する。その乳化物は熱交換器を用いて冷却し、脱気して、容器に充填する。クリームタイプの日焼け止め水中油型乳化化粧料を得る。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、紫外線防御効果と使用感に極めて優れた日焼け止め化粧料として、商品価値が高い発明である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】「表1」及び「表2」の水中油型乳化化粧料の吸光度曲線である。
【符号の説明】
【0032】
1 比較例1の吸光度曲線
2 比較例2の吸光度曲線
3 比較例3の吸光度曲線
4 比較例4の吸光度曲線
5 実施例5の吸光度曲線
6 実施例6の吸光度曲線
7 実施例7の吸光度曲線
8 実施例8の吸光度曲線
【出願人】 【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社資生堂
【出願日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【代理人】 【識別番号】100094570
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼野 俊彦
【公開番号】 特開2009−234996(P2009−234996A)
【公開日】 平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願番号】 特願2008−83932(P2008−83932)