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【発明の名称】 二層型粉末化粧料
【発明者】 【氏名】神谷 有喜子
【氏名】河野 佐代子
【氏名】日根野 照彦
【課題】粉末の再分散効果に優れた二層型粉末化粧料を提供すること。表面をシリコーン処理した粉末を、分子量3500を超えるポリエーテル変性シリコーンを分散剤として使用して、好ましい再分散効果を発揮する二層型粉末化粧料を提供すること。

【解決手段】下記(a)〜(d)の成分を含有することを特徴とする二層型粉末化粧料である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)〜(d)の成分を含有することを特徴とする二層型粉末化粧料。
(a)シリコーンで表面を疎水化処理した粉末
(b)HLBが5以下のポリエーテル変性シリコーン
(c)エタノール
(d)グリセリン、1,3−ブチレングリコール、水からなる群から選択される1種又は2種以上の成分
【請求項2】
(e)パラフェノールスルホン酸亜鉛塩を含有することを特徴とする請求項1記載の二層型粉末化粧料。
【請求項3】
前記成分(a)の粉末が抗菌性ゼオライトであることを特徴とする請求項1または2記載の二層型粉末化粧料。
【請求項4】
前記成分(a)の粉末に用いるシリコーンが下記平均式(1)で表されるMQレジンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の二層型粉末化粧料。
【化1】


(1)
式中、Rは一価炭化水素基であり、nは1〜5の数である。
【請求項5】
前記成分(c)の含有量が二層型粉末化粧料全量に対して50〜95質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の二層型粉末化粧料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は二層型粉末化粧料に関する。さらに詳しくは、粉末の再分散性に優れ、特にアルコール基剤の二層型粉末化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧水に粉末を添加した化粧水として、例えばカーマインローションが知られている。これは化粧水の中に粉末を分散させた二層型粉末化粧料であり、使用時に粉末を分散させ、使用後には粉末が沈降するように設計されたものである。一般に、粉末が系の中で凝集する場合、アグリゲーションを起こせば再分散が困難となる。このように、二層型粉末化粧料の設計において、沈降したり凝集したりする粉末を再び分散させる再分散性(以下、再分散効果ともいう)は、極めて重要な技術的事項である。
【0003】
特許文献1には、
(a) シリコーン表面処理粉体0.01〜40重量%
(b) 分子量3500以下のポリエーテル変性シリコーン0.01〜60重量%
(c) 水10〜99.8重量%を含有する粉体層・水層二層型化粧料
を含有する粉体層・水層二層型化粧料が開示されている。
しかしながら、(エタノールを高配合し)分子量3500を超えるポリエーテル変性シリコーンを使用すると、その再分散効果は十分ではなく期待出来ない。
【0004】
特許文献2には、
(a)粒径1.0μm以下の微粒子状抗菌性ゼオライト
(b)2価以上の多価アルコールもしくは糖類または両者併用した混合物1〜50重量%
(c)クエン酸、乳酸、グリコール酸、酒石酸およびリンゴ酸から選ばれる有機酸もしくはその塩類または両者併用した混合物0.01〜50重量%
(d)水
を必須成分として含有する抗菌性皮膚化粧料が開示されている。
そして、有機系防腐剤の代替として抗菌性ゼオライトを化粧料に配合すると、経時的に再凝集や沈殿を生じ、これに伴って抗菌作用の低下が見られることが記載されている。しかしながら、表面をシリコーン処理したゼオライト粉末を使用すると、その再分散効果は十分ではなく期待出来ない。
【0005】
一方、特許文献3には、抗菌性ゼオライトの表面を特定のMQレジンで被覆すると、変色・汚着が少なく、使用感、防臭効果にも優れた皮膚外用剤が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特許第3288765号公報
【特許文献2】特許第3836980号公報
【特許文献3】特開2007−210931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者等は上述の観点に鑑み、二層型粉末化粧料における粉末の再分散効果について鋭意研究した結果、多くの化粧料原料成分の中から限定した特定成分を含有する二層型粉末化粧料が極めて優れた粉末の再分散効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の目的は、粉末特にシリコーンで表面処理した抗菌性ゼオライトの粉末を配合した二層型の粉末化粧水において、使用時の粉末の再分散性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、下記(a)〜(d)の成分を含有することを特徴とする二層型粉末化粧料を提供するものである。
(a)シリコーンで表面を疎水化処理した粉末
(b)HLBが5以下のポリエーテル変性シリコーン
(c)エタノール
(d)グリセリン、1,3−ブチレングリコール、水からなる群から選択される1種又は2種以上の成分
【0010】
また、本発明は、さらに(e)パラフェノールスルホン酸亜鉛塩を含有することを特徴とする上記の二層型粉末化粧料を提供するものである。
【0011】
さらに、本発明は、前記成分(a)の粉末が抗菌性ゼオライトであることを特徴とする上記の二層型粉末化粧料を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、前記成分(a)の粉末に用いるシリコーンが下記平均式(1)で表されるMQレジンであることを特徴とする上記の二層型粉末化粧料を提供するものである。
【化1】


(1)
式中、Rは一価炭化水素基であり、nは1〜5の数である。
【0013】
さらに、本発明は、前記成分(c)の含有量が二層型粉末化粧料全量に対して50〜95質量%であることを特徴とする上記の二層型粉末化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の二層型粉末化粧料は極めて優れた粉末の再分散効果を有する。そして、本発明においては、表面をシリコーン処理した粉末を使用し、分散剤として分子量3500を超える(好ましくは分子量5000以上)ポリエーテル変性シリコーンを使用したとしても、好ましい再分散効果を発揮する。
【0015】
特に本発明では、特定のMQレジンによりシリコーン処理された抗菌性ゼオライトの粉末が配合され、化粧料全量に対してエタノールを50〜95質量%含有するアルコール系基剤の二層型粉末化粧料において、再分散効果が優れている。なお、アルコール系基剤の二層型粉末化粧料では粉末の再分散性は困難である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(a)シリコーンで表面を疎水化処理した粉末
本発明において、シリコーン、粉末はそれぞれ限定されない。粉末配合化粧料に通常配合される粉末、粉末の表面をシリコーン処理するために通常使用されるシリコーンを使用することが出来る。シリコーンによる表面処理は常法に従う。
【0017】
本発明において、好ましく、また、本発明の意義を与える粉末は、抗菌性ゼオライトである。化粧料に通常配合される抗菌性ゼオライトであれば、その平均粒子系は問わない。但し、平均粒径が10μm以下であり、粒度分布において粒径が15μmを超えるものが20質量%以上含まれることが好ましい。
【0018】
粉末の表面処理に用いるシリコーンは、下記平均式(1)で表されるMQレジンであることが好ましい。下記のMQレジンは公知のシリコーンであり特許文献3に記載されているものである。本発明では市販品を使用できる。
【化2】


(1)
式中、Rは一価炭化水素基であり、nは1〜5の数である。
【0019】
MQレジンは、従来より撥水剤等としてファンデーション、アイクリーム、乳液、クリーム、サンスクリーン等の化粧品原料として単独で使用される他、化粧料用粉体の表面処理剤としても使用されている(特許第3378590号等)。
【0020】
本発明に用いるMQレジンは、一般的には、(CH33SiCl、(CH33SiOSi(CH33、(CH33SiOH等のM単位を有するオルガノシロキサンと、水ガラス、オルソアルキルシリケート、アルキルポリシリケート等のシリケート類とを、有機溶媒中で、水、酸を添加して加水分解、縮合を行った後、中和、洗浄、溶媒除去等の工程を経て得られる。
【0021】
本発明に用いるMQレジンのM/Qモル比は0.7〜1.0である。これは、M/Qモル比が1.0を超えるとMQレジンの吸着性が低下し、良好な被覆ができないことから十分な変色防止効果が得られないためであり、また0.7より小さくなると皮膜に好ましくないべたつきを生じるためである。
【0022】
また、本発明に用いられるMQレジンの分子量は特に限定されないが、500〜10000の間にあることが好ましい。これは、分子量が500未満であると処理した粉末が凝集しやすいという欠点があり、10000を超えるとMQレジンの有機溶媒に対する溶解性が低下し粉体表面に均一に被覆できないという欠点があるためである。
【0023】
上記成分(a)の粉末の配合量は、化粧料全量に対して0.1〜50質量%程度であるが、粉末を再分散させる本発明の意義と効果を考えるならば化粧料全量に対して1〜15質量%が好ましく、3〜7質量%がさらに好ましい。
【0024】
(b)HLBが5以下のポリエーテル変性シリコーン
本発明においては化粧料に配合可能な市販品を使用できる。ポリエーテル変性シリコーンの分子量は3500を超える、好ましくは分子量5000以上のものを使用し、好ましい再分散効果を発揮する。
【0025】
(c)エタノール
エタノールの配合量は、化粧料全量に対して50〜95質量%であることが好ましい。アルコール系基剤の二層型粉末化粧料では粉末の再分散性は困難であるので、この点に本発明の意義がある。
【0026】
(d)グリセリン、1,3−ブチレングリコール、水からなる群から選択される1種又は2種以上の成分
本発明においては、これらの3つの成分のうち単独成分を配合しても効果は生じる。グリセリン及び/又は1,3−ブチレングリコールの配合量は、化粧料全量に対して5〜30質量%が好ましい。化粧料全量に対して30質量%を超えると使用性上べたつきを生じる。水の配合量は化粧料全量に対して3〜40質量%が好ましい。化粧料全量に対して40質量%を超えるとシリコーンで表面を疎水化した粉末の馴染みが悪くなる。
【0027】
(e)パラフェノールスルホン酸亜鉛塩
本発明においては、粉末の再分散性の観点から、パラフェノールスルホン酸亜鉛塩を配合することが好ましい。パラフェノールスルホン酸亜鉛塩の配合量は化粧料全量に対して0.1〜1質量%であることが好ましい。
【0028】
本発明の二層型粉末化粧料には上記した必須構成成分の他に通常化粧品に用いられる他の成分、例えば、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、多価アルコール、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料等を必要に応じて適宜配合し、常法により製造することが出来る。
また、本発明では実質的に上記必須成分のみからなる二層型粉末化粧料が好ましい。
なお、二層型粉末化粧料とは、粉末と液体とが二層になり得る粉末配合の液体化粧料において、使用時に容器を振ることにより粉末の再分散を必要とする化粧料を意味する。
【実施例】
【0029】
表1〜表4の二層型粉末化粧水を常法により製造した。そして、その化粧水を約80mlのPET容器に充填し、1日(室温)静置し、粉末を沈降させた。PET容器を手で上下に振って振とうさせ(これを1回と数える)、目視により均一に再分散したと判断されるまでの回数を確認する。
表1〜表4の評価記号は下記基準による。
<評価記号>
○ ;10回以下
○△;30回以下
△ ;50回以下
× ;51回以上
【0030】
【表1】



【表2】


【表3】



【表4】


*1 信越化学工業株式会社製 「KF-6017」
*2 信越化学工業株式会社製 「KF-6028」
*3 信越化学工業株式会社製 「KF-6038」
*4 信越化学工業株式会社製 「KF-6016」
*5 信越化学工業株式会社製 「KF-6012」
*6 信越化学工業株式会社製 「KF-6011」
*7 信越化学工業株式会社製 「KF-6013」
*8 信越化学工業株式会社製 「KF-6043」
【0031】
実施例で用いたMQレジン被覆抗菌性ゼオライトは、抗菌性ゼオライト(シナネンゼオミック株式会社製セラメディクAJ10N)を、MQレジンにて常法により表面処理を行ったシリコーンでその表面を疎水化した処理粉末である。なお、用いたMQレジンはM単位:(CH3)3SiO1/2とQ単位:SiO2とからなるトリメチルシロキシケイ酸である。
【0032】
上記の結果より、本発明の二層型粉末化粧水は優れた再分散効果を発揮することが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は粉末の再分散性に極めて優れた二層型粉末化粧料である。本発明は、抗菌性ゼオライトの粉末が配合された化粧水、アルコール系基剤の化粧水に特に好ましく利用される。
【出願人】 【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社資生堂
【出願日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【代理人】 【識別番号】100094570
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼野 俊彦
【公開番号】 特開2009−234994(P2009−234994A)
【公開日】 平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願番号】 特願2008−83930(P2008−83930)