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【発明の名称】 腎機能の低下抑制または改善剤
【発明者】 【氏名】沼田 史江
【氏名】川口 信久
【氏名】石原 靖之
【氏名】浅野 桃子
【氏名】塩谷 敏明
【課題】キノコの水性溶媒抽出物を有効成分とする腎機能の低下抑制または改善剤、腎機能の低下抑制または改善用食品の提供。

【解決手段】腎機能低下抑制または改善効果を有するキノコの水性溶媒抽出物を有効成分として用いることで、腎機能の低下抑制または改善剤、腎機能の低下抑制または改善用食品を得た。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キノコの水性溶媒抽出物を有効成分として含む腎機能の低下抑制または改善剤。
【請求項2】
水性溶媒抽出の前処理としてキノコの酵素分解を行う請求項1に記載の腎機能の低下抑制または改善剤。
【請求項3】
キノコが担子菌類ヒダナシタケ目に属する請求項1または2に記載の腎機能の低下抑制または改善剤。
【請求項4】
キノコの水性溶媒抽出物が多糖、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質のいずれか1つ以上を含むキノコの水性溶媒抽出物である請求項1〜3のいずれかに記載の腎機能の低下抑制または改善剤。
【請求項5】
有効成分としてさらにビタミンD類を含む請求項1〜4のいずれかに記載の腎機能の低下抑制または改善剤。
【請求項6】
ビタミンD類がキノコ由来である請求項5に記載の腎機能の低下抑制または改善剤。
【請求項7】
尿酸値の低下、クレアチニン値の低下、尿素窒素値の低下のうち少なくとも1つ以上の効果を有する請求項1〜6のいずれかに記載の腎機能の低下抑制または改善剤。
【請求項8】
キノコの水性溶媒抽出物を有効成分として含む腎機能の低下抑制または改善用食品。
【請求項9】
水性溶媒抽出の前処理としてキノコの酵素分解を行う請求項8に記載の腎機能の低下抑制または改善用食品。
【請求項10】
キノコが担子菌類ヒダナシタケ目に属する請求項8または9に記載の腎機能の低下抑制または改善用食品。
【請求項11】
キノコの水性溶媒抽出物が多糖、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質のいずれか1つ以上を含むキノコの水性溶媒抽出物である請求項8〜10のいずれかに記載の腎機能の低下抑制または改善用食品。
【請求項12】
有効成分としてさらにビタミンD類を含む請求項8〜11のいずれかに記載の腎機能の低下抑制または改善用食品。
【請求項13】
ビタミンD類がキノコ由来である請求項12に記載の腎機能の低下抑制または改善用食品。
【請求項14】
尿酸値の低下、クレアチニン値の低下、尿素窒素値の低下のうち少なくとも1つ以上の効果を有する請求項8〜13のいずれかに記載の腎機能の低下抑制または改善用食品。
【請求項15】
飲料、調理食品、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、または病者用食品である、請求項8〜14のいずれかに記載の腎機能の低下抑制または改善用食品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はキノコの水性溶媒抽出物を有効成分とする腎機能の低下抑制または改善剤、腎機能の低下抑制または改善用食品に関する。
【背景技術】
【0002】
腎臓は成人の体重で半分以上を占める体液の出入りや流れを管理している重要な臓器である。主な働きとしては老廃物の排泄、体液のコントロール、ホルモンの分泌などが挙げられる。
【0003】
腎臓には大動脈から枝分かれした腎動脈を通じて血液が流れこみ、糸球体へと至る。糸球体は毛細血管の網が小さな球状になった構造体であり、ここで血液を濾過して不必要な物質と必要な物質が分けられる。糸球体に入った血液は細動脈を通って出ていき、最終的に1本の太い腎静脈を形成して血液を腎臓の外へ運び出している。
【0004】
糸球体はいったんダメージを受けると再生することができないため、様々な要因で糸球体の機能が低下すると、腎臓が血液をろ過して血液中の代謝性老廃物をうまく取り除くことができなくなる。機能低下が進行し60%以上の機能が失われた状態が腎不全である。
【0005】
腎機能は主に血液検査で調べることができる。特に血清クレアチニンと尿素窒素が指標として用いられている。クレアチニンはエネルギー産生に関わるクレアチンの分解物であり、血液を介して腎臓より尿中に排出されている。このため腎機能が低下するとクレアチニンの血中濃度が上昇することになる。一般に腎機能が正常の半分以下に低下すると血清クレアチニン濃度が上昇し始めると言われている。
【0006】
尿素窒素も腎機能の指標として用いられているが、他の要因で増加することもあり、血清クレアチンと併せて評価される。一般的に慢性的な腎疾患の場合、腎機能が3/4程度失われてはじめて、血中尿素窒素の増加が認められるようになると言われている。
【0007】
腎不全と診断された場合、大半の人で病態は進行していくため、人工透析や移植を受ける以外に治療の方法がない。また合併症を防ぐために、食事に細心の注意を払うことが必要となる。特にタンパク質の制限により腎機能の低下を遅らせることができると言われており、腎不全予備軍とされる人々にとっても食事制限が唯一の改善方法となっている。なお現在腎不全そのものを治療する医薬品は存在せず、腎不全によって引き起こされる症状を緩和させる薬を投与されているのが実状である。
【0008】
このような背景から、日常の食生活の中で手軽に摂取することができ、腎機能の低下を抑制する、または改善するような食品や医薬品が求められている。
【0009】
腎機能の低下抑制または改善効果を訴求した特許としては以下の報告がされているが、キノコの水性溶媒抽出物に腎機能改善効果があることはこれまで知られていなかった。
【特許文献1】特開2007−217366号公報
【特許文献2】特表2007−45749号公報
【特許文献3】特開2006−69898号公報
【特許文献4】特開2000−239279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、腎機能の低下抑制または改善剤、腎機能の低下抑制または改善用食品を提供することを課題とする。即ち、日常の食生活を維持しながらも、併用して摂取することで、腎機能の低下抑制または改善ができる食品、医薬品、機能性食品等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、以上の状況を鑑み、腎機能の低下抑制を目的として日常の食生活で手軽に摂取できる素材について検討を重ねた結果、キノコ類から得られる抽出物、特に担子菌類ヒダナシタケ目に属するキノコ、さらに限定するならばマイタケから得られる抽出物に腎機能低下抑制効果があることを見出し、本発明に至った。
【0012】
上記の課題を解決するための本発明のうち、特許請求の範囲・請求項1に記載する発明は、キノコの水性溶媒抽出物を有効成分として含む腎機能の低下抑制または改善剤である。
【0013】
同請求項2に記載する発明は、水性溶媒抽出の前処理としてキノコの酵素分解を行う請求項1に記載の腎機能の低下抑制または改善剤である。
【0014】
同請求項3に記載する発明は、キノコが担子菌類ヒダナシタケ目に属する請求項1または2に記載の腎機能の低下抑制または改善剤である。
【0015】
同請求項4に記載する発明は、キノコの水性溶媒抽出物が多糖、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質のいずれか1つ以上を含むキノコの水性溶媒抽出物である請求項1〜3のいずれかに記載の腎機能の低下抑制または改善剤である。
【0016】
同請求項5に記載する発明は、有効成分としてさらにビタミンD類を含む請求項1〜4のいずれかに記載の腎機能の低下抑制または改善剤である。
【0017】
同請求項6に記載する発明は、ビタミンD類がキノコ由来である請求項5に記載の腎機能の低下抑制または改善剤である。
【0018】
同請求項7に記載する発明は、尿酸値の低下、クレアチニン値の低下、尿素窒素値の低下のうち少なくとも1つ以上の効果を有する請求項1〜6のいずれかに記載の腎機能の低下抑制または改善剤である。
【0019】
同請求項8に記載する発明は、キノコの水性溶媒抽出物を有効成分として含む腎機能の低下抑制または改善用食品である。
【0020】
同請求項9に記載する発明は、水性溶媒抽出の前処理としてキノコの酵素分解を行う請求項8に記載の腎機能の低下抑制または改善用食品である。
【0021】
同請求項10に記載する発明は、キノコが担子菌類ヒダナシタケ目に属する請求項8または9に記載の腎機能の低下抑制または改善用食品である。
【0022】
同請求項11に記載する発明は、キノコの水性溶媒抽出物が多糖、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質のいずれか1つ以上を含むキノコの水性溶媒抽出物である請求項8〜10のいずれかに記載の腎機能の低下抑制または改善用食品である。
【0023】
同請求項12に記載する発明は、有効成分としてさらにビタミンD類を含む請求項8〜11のいずれかに記載の腎機能の低下抑制または改善用食品である。
【0024】
同請求項13に記載する発明は、ビタミンD類がキノコ由来である請求項12に記載の腎機能の低下抑制または改善用食品である。
【0025】
同請求項14に記載する発明は、尿酸値の低下、クレアチニン値の低下、尿素窒素値の低下のうち少なくとも1つ以上の効果を有する請求項8〜13のいずれかに記載の腎機能の低下抑制または改善用食品である。
【0026】
同請求項15に記載する発明は、飲料、調理食品、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、または病者用食品である、請求項8〜14のいずれかに記載の腎機能の低下抑制または改善用食品である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によって、安全性が高く経口摂取することにより腎機能の低下抑制または改善ができる腎機能の低下抑制または改善用の食品、医薬品を提供することができる。これにより腎不全患者にとっては、透析や腎移植に移行するまでの期間をより遅らせることができ、また腎不全予備軍の人々にとっては日常生活で厳しい食制限を行うことなく腎機能を低下抑制または改善することが期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0029】
本発明の「腎機能の低下抑制または改善剤」には、キノコの水性溶媒抽出物を有効成分として含み、腎機能の低下抑制または改善効果を有する剤であればいずれのものも含まれる。また、本発明の「腎機能の低下抑制または改善用食品」には、キノコの水性溶媒抽出物を有効成分として含み、腎機能の低下抑制または改善効果を有する食品であればいずれのものも含まれる。
【0030】
本発明の「腎機能の低下抑制または改善剤」、「腎機能の低下抑制または改善用食品」における「腎機能の低下抑制または改善」とは、腎不全患者または腎不全予備軍とされる人において症状の悪化や合併症の発症を抑制することや、腎臓が本来の機能を発揮し得る状態に近付けること等をいう。例えば、尿酸値、クレアチニン値または尿素窒素値の上昇を抑制することや、これらの値を低下させることが挙げられる。
【0031】
本発明における「キノコ」とは担子菌類ヒダナシタケ目(マイタケ、シロマイタケ、ハナビラタケ等を含む)の子実体、その菌糸体および胞子の組み合わせから選択されるキノコを指し、その中でも特にマイタケを用いることが好ましい。
【0032】
本発明の「キノコの水性溶媒抽出物」はキノコから温水または熱水により抽出されるキノコの水性溶媒抽出物のことをいう。抽出にあたりキノコは原型のまま用いても良いが、より抽出効率を高めるためには破砕し、フレーク状またはペースト状にして用いることが好ましい。破砕の際、原料が高温になると抽出効率が低下するため、原料温度を30℃以下、好ましくは20℃以下、より好ましくは10℃以下に保持するとよい。得られた破砕原料は、そのまま使用してもよいが、場合によっては冷凍保存してもよい。
【0033】
破砕された原料は、そのまま水を加えて抽出工程に進んでもよいが、前処理として「キノコの酵素分解」を行うと、より抽出効率が上昇するため好ましい。酵素処理には糖質分解酵素を用いることが好ましく、例えば、アミラーゼ、セルラーゼまたはグルコシダーゼ等を用いることができ、これらの酵素を組み合わせて用いることもできる。酵素分解の処理条件は使用する酵素に準じるが、場合によってはさらにカルシウムやナトリウムなどを加えてもよい。酵素液のpHは必ずしも調節する必要はないが、通常pH3.5〜pH7.5、好ましくはpH6.0〜pH7.0であることが好ましい。
【0034】
前処理として酵素分解を行った場合、酵素分解の後、酵素の失活処理を行い、失活処理を行った後、熱水抽出を行うことが好ましい。熱水抽出は従来知られているいずれの方法も用いることができ、場合によって加圧熱水を用いてもよい。熱水抽出後、抽出液を圧搾、遠心分離、ろ過等の方法によって固液分離することが好ましい。抽出液は液体のまま用いることもできるが、フリーズドライ、スプレードライ、ドラムドライ等によって粉末化してもよい。このようにして得られたキノコの水性溶媒抽出物は、多糖、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質のいずれか1つ以上を含むものであってもよい。
【0035】
本発明の「キノコの水性溶媒抽出物」は、「腎機能の低下抑制または改善剤」や「腎機能の低下抑制または改善用食品」の有効性成分として、これらの剤や食品に配合することができる。それ以外にも抽出液または抽出粉末として、さまざまな食品、医薬品、機能性食品等に配合することができる。配合する食品としては、例えば、健康補助食品等の機能性食品としてだけでなく、飲料、調味料、野菜加工食品、果実加工食品、魚加工食品、肉製品、酪農製品、加工卵製品、香辛料、パン類、菓子類、調理食品、半調理食品、チルド食品、ペットフード等が挙げられる。特に腎不全患者向け調理食品に用いた場合には、患者の腎機能の低下抑制または改善における効果が期待できる。また、本発明の「キノコの水性溶媒抽出物」を配合した食品、医薬品、機能性食品等の製造にあたり、通常の食品等の製造に用いられる、賦形剤、乳化剤、増粘剤、着色料、香料、調味料、香辛料などを適宜配合することもできる。
【0036】
本発明の「腎機能の低下抑制または改善剤」、「腎機能の低下抑制または改善用食品」には、キノコの水性溶媒抽出物をそのまま、または他の有効成分とともに含むことができる。
他の有効成分としては、「腎機能の低下抑制または改善」に有効ないずれの成分も含まれるが、例えばビタミンDが挙げられる。本発明の「腎機能の低下抑制または改善剤」、「腎機能の低下抑制または改善用食品」にキノコの水性溶媒抽出物とビタミンDとを併せて配合することで、腎機能の低下抑制または改善効果がさらに増強される。また、キノコの水性溶媒抽出物のみを有効成分として含む「腎機能の低下抑制または改善剤」、「腎機能の低下抑制または改善用食品」とビタミンDとを組み合わせて摂取する場合にも腎機能の低下抑制または改善効果が増強される。
【0037】
本発明の「腎機能の低下抑制または改善剤」、「腎機能の低下抑制または改善用食品」に含まれる有効成分の量は、本発明の効果が達成される限り、特に限定はされない。
有効成分としてキノコの水性溶媒抽出物を含む場合には、0.01重量%〜100重量%、より好ましくは0.1重量%〜95重量%含有されるのが好ましい。また、1日の摂取量としては、キノコの水性溶媒抽出物が10mg〜5000mg、より好ましくは100mg〜3000mgとなるように本発明の「腎機能の低下抑制または改善剤」、「腎機能の低下抑制または改善用食品」を摂取するのが好ましい。
本発明の「腎機能の低下抑制または改善剤」、「腎機能の低下抑制または改善用食品」における、キノコの水性溶媒抽出物の含有量が0.01重量%を下回ると、本発明の腎機能の低下抑制または改善効果を発揮するためには多量の摂取が必要となるため好ましくない。
【0038】
本発明の「腎機能の低下抑制または改善剤」、「腎機能の低下抑制または改善用食品」には有効成分以外に他の成分を組み合わせて含むことができる。例えば、ビタミン類、ミネラル類、食物繊維、糖類、多糖類、酵素類、乳酸菌類、γアミノ酪酸、スピルリナ、キチン、キチンキトサン、車前草エキス、タンポポエキス、クニュウル、クミスクチン、海馬、クランベリー、サンボン、シャンピニオンエキス、クレアチン、グルコサミン、コンドロイチン硫酸等を併用できる。
【0039】
本発明の「腎機能の低下抑制または改善剤」、「腎機能の低下抑制または改善用食品」は、その効果を損なわない限り、種々の剤形に製剤化することができる。剤形としては、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、丸剤等の経口用固形製剤のほか、溶液剤、懸濁剤、乳剤などの経口液体製剤が挙げられる。またその際、添加剤、例えば賦形剤、安定剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、滑沢剤、甘味料、着色料、香料、張度調製剤、緩衝剤、酸化防止剤、pH調整剤等を併用して製剤化することができる。
本発明の「腎機能の低下抑制または改善用食品」には、いずれの飲食品も含まれるが、例えば飲料、調理食品、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、または病者用食品等が挙げられる。
以下に本発明の実施例、試験例等を示すが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【実施例1】
【0040】
<キノコの水性溶媒抽出物の製造>
生マイタケIM−BM11号(種苗法に基づく品種出願番号:第17603号)1kgに3倍重量の水を加えアミラーゼを対マイタケ重量比で0.12%、セルラーゼを対マイタケ重量比で0.03%添加し、40℃6時間加温した後、90℃2時間熱水抽出を行った。熱水抽出後、固液分離し、マイタケの水性溶媒抽出物を得た。
【実施例2】
【0041】
<キノコの水性溶媒抽出物の製造>
生マイタケIM−BM11号(種苗法に基づく品種出願番号:第17603号)1kgに3倍重量の水を加えアミラーゼを対マイタケ重量比で0.1%、グルコシダーゼを対マイタケ重量比で0.1%添加し、40℃6時間加温した後、90℃2時間熱水抽出を行った。熱水抽出後、固液分離し、マイタケの水性溶媒抽出物を得た。
【実施例3】
【0042】
<腎機能の低下抑制または改善剤の製造>
実施例1で製造したマイタケの水性溶媒抽出物を用い、水と植物性グリセリンを混合し、マイタケの水性溶媒抽出物の固形分換算として1.5g含むペーストを作製し、殺菌した。これをアルミパウチに充填し、腎機能の低下抑制または改善剤を製造した。
【実施例4】
【0043】
<腎機能の低下抑制または改善剤の製造>
実施例1で製造したマイタケの水性溶媒抽出物を用い、デキストリン、カルシウム(ユニテックフーズ社「ミルクカルシウム28」)、コーンスターチ、菜種硬化油、ステアリン酸カルシウムを適当量配合して1粒380mgのタブレットとすることで、腎機能の低下抑制または改善剤を製造した。この腎機能の低下抑制または改善剤には、マイタケの水性溶媒抽出物が10粒で500mg含まれるように配合した。
【実施例5】
【0044】
<腎機能の低下抑制または改善剤の製造>
実施例1で製造したマイタケの水性溶媒抽出物を用い、ビタミンD、デキストリン、カルシウム(ユニテックフーズ社「ミルクカルシウム28」)、コーンスターチ、菜種硬化油、ステアリン酸カルシウムを適当量配合して1粒380mgのタブレットとすることで、腎機能の低下抑制または改善剤を製造した。この腎機能の低下抑制または改善剤には、マイタケの水性溶媒抽出物が10粒で500mg、ビタミンDが10粒で670IU含まれるようにそれぞれ配合した。
【0045】
[試験例1]
人介入試験(1)
1.試験サンプル
実施例3で製造した腎機能の低下抑制または改善剤を用いた。
【0046】
2.試験方法
成人男性(平均年齢50歳)30人を対象に試験を実施した。上記1.の試験サンプルを1日1包ずつ、35日間摂取させ、試験前後において血液検査を実施した。
【0047】
3.試験結果
・クレアチニン値の変化
クレアチニン値は試験期間後に減少傾向が認められた(図1)。この減少傾向は有意水準0.01%で有意であった。
【0048】
[試験例2]
人介入試験(2)
1.試験サンプル
実施例4で製造した腎機能の低下抑制または改善剤を用いた。
【0049】
2.試験方法
成人女性(平均年齢62歳)21名を対象に試験を実施した。上記1.の試験サンプルを1日10粒ずつ、6ヶ月間摂取させ、試験前、試験開始1ヵ月後、試験終了時のそれぞれにおいて血液検査を実施した。
【0050】
3.試験結果
・クレアチニン値の変化
クレアチニン値は試験期間1ヵ月後では変化が認められなかったが、6ヵ月後においては減少傾向が認められた(表1、図2)。この減少傾向は有意水準0.05%で有意であった。
・尿酸値、尿素窒素値の変化
尿酸値および尿素窒素値は全体では有意差が認められなかったものの値は低下傾向にあった。なお、尿素窒素値17mg/dl以上のやや高値群では6ヵ月後の減少傾向が有意水準0.05%で有意であった(表2)。
【0051】
【表1】


【0052】
【表2】


【0053】
[試験例3]
人介入試験(3)
1.試験サンプル
実施例5で製造した腎機能の低下抑制または改善剤を用いた。
【0054】
2.試験方法
成人女性(平均年齢63歳)25名を対象に試験を実施した。上記1.の試験サンプルを1日10粒ずつ、6ヶ月間摂取させ、試験前、試験開始1ヵ月後、試験終了時のそれぞれにおいて血液検査を実施した。
【0055】
3.試験結果
・クレアチニン値の変化
クレアチニン値は試験期間1ヵ月後では変化が認められなかったが、6ヵ月後においては減少傾向が認められた(表3、図3)。この減少傾向は有意水準0.05%で有意であった。
・尿素窒素値の変化
尿素窒素値は試験開始から減少傾向にあり、6ヵ月後においても減少傾向が認められた(表3、図4)。この減少傾向は有意水準0.05%で有意であった。
・尿酸値の変化
尿酸値は試験開始から1ヵ月後はやや上昇傾向にあったが、6ヵ月後では減少傾向が認められた(表3、図5)。この減少傾向は有意水準0.01%で有意であった。
【0056】
【表3】


【0057】
以上の結果より、本発明のキノコの水性溶媒抽出物を有効成分として含む腎機能の低下抑制または改善剤には、腎機能の低下抑制または改善効果があることが確認された。さらに本発明のキノコの水性溶媒抽出物を有効成分として含む腎機能の低下抑制または改善剤にビタミンDを併せて配合することで、その効果がさらに増強されることが示された。
【実施例6】
【0058】
<腎機能の低下抑制または改善用食品(粉末スープ)の製造>
配合組成として、コーンパウダー35%、脱脂粉乳25%、澱粉26%、オニオンパウダー8.39%、実施例2で製造したマイタケ水性溶媒抽出物1%、ビタミンD(0.5%含有品)0.01%、風味補強剤0.3%、乳化剤0.3%、食塩3%および粉末ブイヨン1%の混合物を調整後、造粒機を用いて顆粒状に加工した。これをアルミ三方スティックに20gずつ充填し、腎機能の低下抑制または改善用食品として粉末スープを製造した。このようにして製造した粉末スープ1袋をお湯200gに溶かしたところ、適度な塩味とうま味を有していた。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明により得られる腎機能の低下抑制または改善剤、腎機能の低下抑制または改善用食品は、摂取により腎機能関連の数値が有意に改善されたことから、腎不全患者の腎機能の低下抑制のみならず、腎不全予備軍とされる人々の腎機能の低下抑制または改善に非常に有用であり、その産業的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】キノコの水性溶媒抽出物を有効成分として含む腎機能の低下抑制または改善剤におけるクレアチニン値の変化を示した図である(試験例1)。
【図2】キノコの水性溶媒抽出物を有効成分として含む腎機能の低下抑制または改善剤におけるクレアチニン値の変化を示した図である(試験例2)。
【図3】キノコの水性溶媒抽出物およびビタミンDを有効成分として含む腎機能の低下抑制または改善剤におけるクレアチニン値の変化を示した図である(試験例3)。
【図4】キノコの水性溶媒抽出物およびビタミンDを有効成分として含む腎機能の低下抑制または改善剤における尿素窒素値の変化を示した図である(試験例3)。
【図5】キノコの水性溶媒抽出物およびビタミンDを有効成分として含む腎機能の低下抑制または改善剤における尿酸値の変化を示した図である(試験例3)。
【出願人】 【識別番号】000119520
【氏名又は名称】一正蒲鉾株式会社
【識別番号】306007864
【氏名又は名称】ユニテックフーズ株式会社
【出願日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【代理人】 【識別番号】110000774
【氏名又は名称】特許業務法人 もえぎ特許事務所
【公開番号】 特開2009−234984(P2009−234984A)
【公開日】 平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願番号】 特願2008−83019(P2008−83019)