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【発明の名称】 Plk−1阻害剤
【発明者】 【氏名】山崎 竜太
【氏名】松崎 健
【氏名】清水 英明
【氏名】八重樫 隆
【氏名】沢田 誠吾
【氏名】小松 克一郎
【氏名】渕上 欣司
【氏名】梅山 秀明
【氏名】志鷹 真由子
【氏名】加納 和彦
【課題】ポロ様キナーゼ−1阻害効果を有する化合物またはその薬学的に許容し得る塩の提供。

【解決手段】下記式
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】


[式中、Aで示される複素環は、ピリジン、ピリミジン、ジヒドロピリミジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ジヒドロチアゾール又はチアゾリジンを示し;
Bで示される環は、ベンゼン又はフランを示し;
1はニトロ基、オキソ基、低級アルコキシ基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルカノイル基、アミノ基、チオキソ基又はシアノ基を示し;
2はハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルカノイル基又はシアノ基を示し;
Xは−S−、−O−又は−NH−を示し;
lは0〜3の整数を示し(ただし、lが2以上を示す場合、それぞれのR2は同じでも異なっていてもよい);
mは0又は1の整数を示し;
nは0〜3の整数を示し(ただし、nが2以上を示す場合、それぞれのR1は同じでも異なっていてもよい)。;
pは0〜3の整数を示す。]
で表される複素環化合物又はその塩を有効成分とするポロ様キナーゼ−1阻害剤。
【請求項2】
一般式(2)
【化2】


4は、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよい1−ピラゾリル基又は置換基を有してもよい4−モルホリニル基を示す。]
で表される複素環化合物又はその塩を有効成分とするポロ様キナーゼ−1阻害剤。
【請求項3】
一般式(3)
【化3】


[式中、R5は、置換基を有してもよいフェネチル基又は置換基を有してもよいフェニル基を示し;
6は水素原子を示し、R7は水素原子若しくはシアノ基を示し、又は
6とR7は一緒になって、アルキル基が置換してもよい6員環の環状エーテルを形成し;
8は、水素原子、アミノ基又は4−モルホリニル基を示す。]
で表される複素環化合物又はその塩を有効成分とするポロ様キナーゼ−1阻害剤。
【請求項4】
下記から選ばれる複素環化合物又はその塩を有効成分とするポロ様キナーゼ−1阻害剤。
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
2-(ピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(2,3,4-トリメトキシフェニル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-[(6-メトキシ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロベンゾチアゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸メチルエステル、
2-(5-アミノ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド塩酸塩、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルオキシ)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリジン-2-イルオキシ)アセトアミド、
2-(4,5-ジヒドロチアゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルアミノ)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)アセトアミド、
N-(4-アセチルフェニル)-2-(6-アミノ-3,5-ジシアノ-2-ピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
2-(6-アミノ-3,5-ジシアノピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド、
2-(6-アミノ-3,5-ジシアノピリジン-2-イルスルファニル)-N-フラン-2-イルメチルアセトアミド、
2-(6-アミノ-3,5-ジシアノピリジン-2-イルスルファニル)-N-(4-シアノフェニル)アセトアミド、
2-アミノ-6-(2-オキソ-2-フェニルエチルスルファニル)ピリジン-3,5-ジカルボニトリル、
1-[[(6-アミノ-3,5-ジシアノ-2-ピリジニル)チオ]アセチル]-3,5-ジメチル-1H-ピラゾール
2-アミノ-6-(2-モルホリン-4-イルエチルスルファニル)ピリジン-3,5-ジカルボニトリル、
3,6-ジアミノ-5-シアノチエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボン酸[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アミド、
N-(4-アセチルフェニル)-1-アミノ-8,9-ジヒドロ-8,8-ジメチル-5-(4-モルホリニル)-6H-ピラノ[4,3-d]チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項記載の複素環化合物又はその塩を有効成分とするポロ様キナーゼ−1亢進性疾患の予防・治療剤。
【請求項6】
請求項1〜4の何れか1項記載の複素環化合物又はその塩を有効成分とするがん転移抑制剤。
【請求項7】
請求項1〜4の何れか1項記載の複素環化合物又はその塩を有効成分とする抗がん剤。
【請求項8】
請求項1〜4の何れか1項記載の複素環化合物又はその塩を有効成分とする関節リウマチ治療薬。
【請求項9】
請求項1〜4の何れか1項記載の複素環化合物又はその塩を有効成分とするアルツハイマー治療薬。
【請求項10】
下記から選ばれる複素環化合物又はその塩。
2-(ピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(2,3,4-トリメトキシフェニル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-[(6-メトキシ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロベンゾチアゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸メチルエステル、
2-(5-アミノ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド塩酸塩、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルオキシ)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリジン-2-イルオキシ)アセトアミド、
2-(4,5-ジヒドロチアゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルアミノ)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)アセトアミド
【請求項11】
請求項10記載の複素環化合物又はその塩を有効成分とする医薬組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ポロ様キナーゼ−1(以下、Plk−1ということもある)を阻害する化合物、その薬学的に許容し得る塩及びこれらを含有する医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞は分裂を繰り返すことにより増殖するが、無秩序に分裂を繰り返すのではなく、細胞周期の中で分裂が正常に行われることを自己で診断し、制御しながら増殖している。一方、この制御が何らかの原因により崩れると、細胞は無秩序に増殖するようになり、がんや関節リウマチなどの細胞の異常増殖を特徴とする疾患に陥るものと考えられる。
細胞周期におけるM期(細胞分裂期)は、細胞の染色体を分配し、娘細胞への正確な遺伝情報を伝えるための重要な時期である。そのため、G2期(細胞が分裂に入る準備のための時期)からM期への進行は種々の細胞周期調節因子によって厳密に制御されている。ポロ様キナーゼ-1(Polo-like kinase-1;Plk−1)はG2/M期の制御に関与するセリン・スレオニンキナーゼである。G2期からM期への移行にはCdc2-サイクリンB複合体が鍵のような役割をしており、Cdc2がリン酸化されている状態では、細胞はG2期からM期に進むことが出来ない。このCdc2のリン酸化にはWee1が関わるが、Plk−1はWee1をリン酸化することによって阻害する。また、リン酸化されたCdc2の脱リン酸化にはホスファターゼのCdc25が関わるが、Plk−1はCdc25をリン酸化することによって活性化する。このPlk−1によるWee1阻害とCdc25活性化によってCdc2からリン酸がはずれると、Cdc2-サイクリンB複合体は核内に移行し、G2期からM期への進行が開始する。Plk−1は、サイクリンBをリン酸化することでCdc2-サイクリンB複合体の核内移行にも直接関与している。
【0003】
以上のように、Plk−1は、G2期からM期への進行の鍵であるCdc2-サイクリンB複合体活性化の様々な段階に関与することから、Plk−1に対する阻害剤はがん細胞の増殖をG2/M期に停止させると考えられる。実際に、Plk−1に対するsiRNAが、がん細胞にG2/M期停止を引き起こし、アポトーシスを誘導することが実験的に証明されている(非特許文献1)。また、多くのがんでは正常組織に比べてPlk−1が高発現していることや(非特許文献2)、転移したがんにおいてはPlk−1が高発現していることが報告されており(非特許文献3)、Plk−1はがん治療において魅力的な標的分子と考えられ、それを阻害する化合物は新規な抗がん剤として期待される。
【0004】
また、Plk−1の関与はがん以外の領域にも及んでいる。例えば、Plk−1は、関節リウマチ患者由来の滑膜細胞や(非特許文献4)、アルツハイマー患者の脳において高発現しているなど(非特許文献5)、これらの疾患の進展においても重要な役割をしていることが明らかにされつつある。これらの情報から、Plk−1はがん治療領域のみではなく、関節リウマチやアルツハイマーなどの細胞制御の異常が関与する疾患の治療を目的とした標的分子にもなり得ると考えられる。
【0005】
これまでにG2/M期に作用する薬剤として、タキサン類やビンカアルカロイド類などの微小管作用薬が既にがんの治療薬として臨床応用されているが、重篤な副作用を誘導することが問題となっており、G2/M期を標的としたさらに新しい治療方法が求められている。
また、現在知られているPlk−1阻害剤としては、シアノバクテリアより単離されたscytonemin、広範囲なプロテインキナーゼ阻害剤であるstaurosporine、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤であるpuravalanol A、フォスファチジルイノシトール-3-キナーゼ阻害剤のLY294002、フラボノイド類のmorinやquercetin等が報告されているが(非特許文献6)、いずれも阻害剤としての十分な効果や特異性が得られていないことから、さらに新しいPlk−1阻害剤の開発が望まれる。
【非特許文献1】Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 2003, 100: 5789-5794
【非特許文献2】Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 1994, 91: 1736-1740
【非特許文献3】J. Cutan. Pathol., 2002, 29: 354-358
【非特許文献4】Biochem. Biophys. Res. Commun. 2007, 357: 353-359
【非特許文献5】Neurobiol. Aging, 2000, 21: 837-841
【非特許文献6】Curr. Top. Med. Chem., 2005, 5: 181-197
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、優れたPlk−1阻害効果を有する化合物またはその薬学的に許容し得る塩、及び当該化合物を含有する医薬を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく、Polo-like kinase 1 Assay/Inhibitor Screening KitおよびヒトPlk-1組換え酵素を用いて広範囲な化合物についてスクリーニングを行い、更に化合物を合成し、Plk−1キナーゼ阻害作用を検討した結果、下記式(1)、(2)及び(3)で表される複素環化合物に優れたPlk−1阻害作用があることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、一般式(1)
【0009】
【化1】


【0010】
[式中、Aで示される複素環は、ピリジン、ピリミジン、ジヒドロピリミジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ジヒドロチアゾール又はチアゾリジンを示し;
Bで示される環は、ベンゼン又はフランを示し;
1はニトロ基、オキソ基、低級アルコキシ基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルカノイル基、アミノ基、チオキソ基又はシアノ基を示し;
2はハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルカノイル基又はシアノ基を示し;
Xは−S−、−O−又は−NH−を示し;
lは0〜3の整数を示し(ただし、lが2以上を示す場合、それぞれのR2は同じでも異なっていてもよい);
mは0又は1の整数を示し;
nは0〜3の整数を示し(ただし、nが2以上を示す場合、それぞれのR1は同じでも異なっていてもよい)。;
pは0〜3の整数を示す。]
で表される複素環化合物又はその塩を有効成分とするポロ様キナーゼ−1阻害剤を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、一般式(2)
【0012】
【化2】


【0013】
4は、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよい1−ピラゾリル基又は置換基を有してもよい4−モルホリニル基を示す。]
で表される複素環化合物又はその塩を有効成分とするポロ様キナーゼ−1阻害剤を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、一般式(3)
【0015】
【化3】


【0016】
[式中、R5は、置換基を有してもよいフェネチル基又は置換基を有してもよいフェニル基を示し;
6は水素原子を示し、R7は水素原子若しくはシアノ基を示し、又は
6とR7は一緒になって、アルキル基が置換してもよい6員環の環状エーテルを形成し;
8は、水素原子、アミノ基又は4−モルホリニル基を示す。]
で表される複素環化合物又はその塩を有効成分とするポロ様キナーゼ−1阻害剤を提供するものである。
【0017】
また、本発明は、上記式(1)〜(3)の複素環化合物又はその塩を有効成分とするポロ様キナーゼ−1亢進性疾患の予防・治療剤を提供するものである。
【0018】
また、本発明は、上記式(1)〜(3)の複素環化合物又はその塩を有効成分とするがん転移抑制剤を提供するものである。
また、本発明は、上記式(1)〜(3)の複素環化合物又はその塩を有効成分とする抗がん剤を提供するものである。
【0019】
また、本発明は、上記式(1)〜(3)の複素環化合物又はその塩を有効成分とする関節リウマチ治療薬を提供するものである。
【0020】
また、本発明は、上記式(1)〜(3)の複素環化合物又はその塩を有効成分とするアルツハイマー治療薬を提供するものである。
【0021】
また、本発明は、上記式(1)〜(3)の複素環化合物又はその塩を有効成分とする医薬組成物を提供するものである。
【0022】
また、本発明は下記から選ばれる複素環化合物又はその塩を有効成分とするポロ様キナーゼ−1阻害剤を提供するものである。
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
2-(ピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(2,3,4-トリメトキシフェニル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-[(6-メトキシ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロベンゾチアゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸メチルエステル、
2-(5-アミノ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド塩酸塩、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルオキシ)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリジン-2-イルオキシ)アセトアミド、
2-(4,5-ジヒドロチアゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルアミノ)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)アセトアミド、
N-(4-アセチルフェニル)-2-(6-アミノ-3,5-ジシアノ-2-ピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
2-(6-アミノ-3,5-ジシアノピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド、
2-(6-アミノ-3,5-ジシアノピリジン-2-イルスルファニル)-N-フラン-2-イルメチルアセトアミド、
2-(6-アミノ-3,5-ジシアノピリジン-2-イルスルファニル)-N-(4-シアノフェニル)アセトアミド、
2-アミノ-6-(2-オキソ-2-フェニルエチルスルファニル)ピリジン-3,5-ジカルボニトリル、
1-[[(6-アミノ-3,5-ジシアノ-2-ピリジニル)チオ]アセチル]-3,5-ジメチル-1H-ピラゾール
2-アミノ-6-(2-モルホリン-4-イルエチルスルファニル)ピリジン-3,5-ジカルボニトリル、
3,6-ジアミノ-5-シアノチエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボン酸[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アミド、
N-(4-アセチルフェニル)-1-アミノ-8,9-ジヒドロ-8,8-ジメチル-5-(4-モルホリニル)-6H-ピラノ[4,3-d]チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド
【0023】
また、本発明は下記から選ばれる複素環化合物又はその塩を提供するものである。
2-(ピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(2,3,4-トリメトキシフェニル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-[(6-メトキシ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロベンゾチアゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸メチルエステル、
2-(5-アミノ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド塩酸塩、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルオキシ)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリジン-2-イルオキシ)アセトアミド、
2-(4,5-ジヒドロチアゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルアミノ)アセトアミド、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)アセトアミド
【発明の効果】
【0024】
本発明の化合物及びその薬学的に許容し得る塩は、がんの転移及び増殖、関節リウマチ並びにアルツハイマーをはじめとするPlk−1の亢進に起因する疾患の予防・治療に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
まず、上記一般式(1)で表される化合物について説明する。
式(1)において、Aで示される複素環(複素環Aともいう。)としては、ピリジン、ピリミジン、ジヒドロピリミジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ジヒドロチアゾール及びチアゾリジンが挙げられる。
当該複素環Aは、一若しくは複数の置換基R1を有してもよい環であり、当該置換基が複数の場合それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよい。
前記置換基R1を有してもよい複素環Aのうち、置換基R1を有してもよい2−ピリジル基、置換基R1を有してもよい2−ピリミジル基、置換基R1を有してもよい1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル基、置換基R1を有してもよい1H−ベンゾイミダゾール−2−イル基、置換基R1を有してもよいベンゾチアゾール−2−イル基、置換基R1を有してもよい4,5−ジヒドロチアゾール−2−イル基、又は置換基R1を有してもよい4−チアゾリジン−3−イル基が好ましい。
【0026】
前記置換基R1としては、ニトロ基、オキソ基、低級アルコキシ基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルカノイル基、アミノ基、チオキソ基及びシアノ基が挙げられる。
当該低級アルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられるが、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、特にメトキシ基が好ましい。
また、当該低級アルコキシカルボニル基としては、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基が挙げられ、具体的にはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
また、低級アルカノイル基としては、炭素数1〜6のアルカノイル基が挙げられ、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基等が挙げられ、特にアセチル基が好ましい。
【0027】
前記複素環Aのうち、特に、2−ピリミジン基、2−ピリジン基、5−ニトロピリジン−2−イル基、6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル基、6−メトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル基、5−ニトロベンゾチアゾール−2−イル、3−カルボキシ−2−ピリジン基、3−メトキシカルボニル−2−ピリジン基、5−アミノ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル基、4,5−ジヒドロチアゾール−2−イル、2−チオキソチアゾリジン−3−イル基、6−アミノ−3,5−ジシアノ−2−ピリジン−2−イル基が好ましい。
【0028】
式(1)において、Bで示される環(環Bともいう。)としては、ベンゼン及びフランが挙げられる。
当該環Bは、一若しくは複数の置換基R2を有してもよい環であり、当該置換基が複数の場合それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよい。
前記置換基R2を有してもよい環Bのうち、置換基R2を有してもよいフェニル基又は置換基R2を有してもよい2−フリル基が好ましい。
【0029】
式(1)において、前記置換基R2としては、ハロゲン原子、低級アルコキシカルボニル基、低級アルコキシ基、低級アルカノイル基及びシアノ基が挙げられ、具体的にはフッ素原子、メトキシ基、アセチル基、シアノ基がより好ましい。
当該ハロゲン原子としては、前記フッ素の他、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素等が挙げられる。
また、当該低級アルコキシカルボニル基、低級アルコキシ基、低級アルカノイル基は、上記R1の定義と同じである。
【0030】
前記環Bがフェニル基の場合、フェニル基の少なくとも4位に前記置換基R2を有していることが好ましく、特に、4−フルオロフェニル基、2,3,4−トリメトキシフェニル基、4−アセチルフェニル基、4−シアノフェニル基が好ましい。
【0031】
式(1)において、Xとしては、硫黄原子(−S−)、酸素原子(−O−)及び−NH−が挙げられる。
【0032】
式(1)において、lは、0又は1乃至3の整数を示す(ただし、lが2以上を示す場合、それぞれのR2は同じでも異なっていてもよい)。
【0033】
式(1)において、mは、0又は1の整数を示す。
【0034】
式(1)において、nは0又は1乃至3の整数を示す(ただし、nが2以上を示す場合、それぞれのR1は同じでも異なっていてもよい)。
【0035】
式(1)において、pは0又は1乃至3の整数を示す。pは0〜2が好ましい。
【0036】
また、上記一般式(1)中、下記一般式(4)で表される化合物が好ましい。
【0037】
【化4】


【0038】
〔式中、A、R1、R2、X、l、m、nは上記の定義と同じ。〕
【0039】
一般式(4)中、m=1である場合が特に好ましい。
【0040】
また、一般式(1)中、pが0又は1の場合には、次式(1a)で表される化合物が好ましい。
【0041】
【化5】


【0042】
〔式中、pは0又は1の整数を示し、X、B、R2及びlは上記の定義と同じ。〕
【0043】
次に一般式(2)で表される化合物について説明する。
式(2)において、R3としては、酸素原子(=O)及び水素原子(−H)が挙げられる。
式(2)において、R4としては、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよい1−ピラゾリル基及び置換基を有してもよい4−モルホリニル基が挙げられる。これら環は、一若しくは複数の置換基を有してもよい環であり、当該置換基が複数の場合それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよい。
4における置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、低級アルカノイル基が挙げられる。
当該ハロゲン原子及び低級アルカノイル基は、前記置換基R1の定義と同じである。
当該低級アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
当該置換基のうち、アセチル基、フッ素原子、シアノ基、メチル基が好ましい。
前記R4のうち、特に、フェニル基、3,5−ジメチルピラゾリル基又は4−モルホリニル基が好ましい。
【0044】
次に一般式(3)で表される化合物について説明する。
式(3)において、R5としては、置換基を有してもよいフェネチル基及び置換基を有してもよいフェニル基が挙げられる。これら環は、一若しくは複数の置換基を有してもよい環であり、当該置換基が複数の場合それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよい。
5における置換基としては、ハロゲン原子、低級アルコキシカルボニル基が挙げられる。当該ハロゲン原子は、前記置換基R2の定義と同じである。当該低級アルコキシカルボニル基は、前記置換基R1の定義と同じである。
当該置換基のうち、フッ素原子、アセチル基が好ましい。
前記R5のうち、特に、4−フルオロフェネチル基又は4−アセチルフェニル基が好ましい。
【0045】
式(3)において、R6が水素原子の場合、R7としては水素原子及びシアノ基が挙げられ、又はR6とR7が一緒になってアルキル基が置換してもよい6員環の環状エーテルを形成する。R6とR7が一緒になって形成するアルキル基が置換してもよい6員環の環状エーテルとしては、2,2-ジメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン等が挙げられる。
【0046】
式(3)において、R8としては、水素原子、アミノ基及び4−モルホリニル基が挙げられる。
【0047】
本発明において、Plk−1を強く阻害する点で、上記式(2)〜(4)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩がより好ましい。
【0048】
また、本発明において、Plk−1を強く阻害する点で、下記の化合物又はその薬学的に許容し得る塩がさらに好ましい。
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド(以下、化合物1ということもある)、
2-(ピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(2,3,4-トリメトキシフェニル)エチル]アセトアミド(以下、化合物2ということもある)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド(以下、化合物4ということもある)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド(以下、化合物5ということもある)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-[(6-メトキシ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド(以下、化合物6ということもある)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロベンゾチアゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド(以下、化合物7ということもある)、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸(以下、化合物8ということもある)、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸メチルエステル(以下、化合物9ということもある)、
2-(5-アミノ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド塩酸塩(以下、化合物10ということもある)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルオキシ)アセトアミド(以下、化合物11ということもある)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリジン-2-イルオキシ)アセトアミド(以下、化合物12ということもある)、
2-(4,5-ジヒドロチアゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド(以下、化合物13ということもある)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルアミノ)アセトアミド(以下、化合物17ということもある)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)アセトアミド(以下、化合物14ということもある)、
N-(4-アセチルフェニル)-2-(6-アミノ-3,5-ジシアノ-2-ピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド(以下、化合物18ということもある)、
2-(6-アミノ-3,5-ジシアノピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド(以下、化合物19ということもある)、
2-(6-アミノ-3,5-ジシアノピリジン-2-イルスルファニル)-N-フラン-2-イルメチルアセトアミド(以下、化合物20ということもある)、
2-(6-アミノ-3,5-ジシアノピリジン-2-イルスルファニル)-N-(4-シアノフェニル)アセトアミド(以下、化合物21ということもある)、
2-アミノ-6-(2-オキソ-2-フェニルエチルスルファニル)ピリジン-3,5-ジカルボニトリル(以下、化合物22ということもある)、
1-[[(6-アミノ-3,5-ジシアノ-2-ピリジニル)チオ]アセチル]-3,5-ジメチル-1H-ピラゾール(以下、化合物23ということもある)、
2-アミノ-6-(2-モルホリン-4-イルエチルスルファニル)ピリジン-3,5-ジカルボニトリル(以下、化合物24ということもある)、
3,6-ジアミノ-5-シアノチエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボン酸[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アミド(以下、化合物25ということもある)、
N-(4-アセチルフェニル)-1-アミノ-8,9-ジヒドロ-8,8-ジメチル-5-(4-モルホリニル)-6H-ピラノ[4,3-d]チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド(以下、化合物26ということもある)
【0049】
【化6】


【0050】
【化7】


【0051】
また、本発明において、Plk−1を強く阻害する点で、下記の化合物又はその薬学的に許容し得る塩が、特に好ましい。
2-(ピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(2,3,4-トリメトキシフェニル)エチル]アセトアミド(化合物2)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド(化合物4)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド(化合物5)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-[(6-メトキシ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド(化合物6)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロベンゾチアゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド(化合物7)、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸(化合物8)、
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸メチルエステル(化合物9)、
2-(5-アミノ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド塩酸塩(化合物10)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルオキシ)アセトアミド(化合物11)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリジン-2-イルオキシ)アセトアミド(化合物12)、
2-(4,5-ジヒドロチアゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド(化合物13)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルアミノ)アセトアミド(化合物17)、
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)アセトアミド(化合物14)
【0052】
本発明において、薬学的に許容し得る塩としては、塩酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、臭素酸塩、沃素酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩等の酸付加塩、及びリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等の金属塩が挙げられる。
【0053】
本発明において、「ポロ様キナーゼ−1阻害剤」とは、ポロ様キナーゼ−1に対する阻害作用を有するものであれば特に限定されるものではないが、後述の方法(実施例17)により求められるポロ様キナーゼ−1に対する阻害作用(IC50)(酵素活性50%阻害する本発明の化合物の濃度)が100μM以下であるものが好ましく、50μM以下のものがさらに好ましく、20μM以下であるものが特に好ましく、10μM以下のものが最も好ましい。
【0054】
また、当該「ポロ様キナーゼ−1阻害剤」としては、種々のセリン・スレオニンキナーゼのうち、ポロ様キナーゼ−1に対する阻害作用を有し且つ他のセリン・スレオニンキナーゼ(例えば、Aurora A、AKT等)に対しては阻害作用を有さない化合物が、副作用及び毒性を軽減する点で好ましく、より具体的には、後述の方法(実施例18、19)により求められるAurora A及びAKTに対する阻害作用(IC50)(酵素活性50%阻害する本発明の化合物の濃度)が70μM以上であるものがさらに好ましく、100μM以上であるものが特に好ましい。
さらに、本発明の化合物を抗がん剤として用いる場合には、がん細胞の増殖に対して強力な抑制作用を示す化合物が好ましく、より具体的には、後述の方法(実施例20)により求められる非小細胞肺がんA549細胞の増殖に対する阻害作用(IC50)(細胞増殖を50%阻害する本発明の化合物の濃度)が20μM以下であるものがさらに好ましく、10μM以下であるものが特に好ましい。
【0055】
本発明の化合物は、例えば次の反応式に従って製造できる。
【0056】
【化8】


【0057】
〔式中、A、B、R1、R2、X、l、m、n、pは前記と同じ。〕
【0058】
すなわち、一般式(5)のアミン化合物と一般式(6)のカルボン酸とを縮合させることにより一般式(1)の複素環化合物又はその塩が得られる。
また、一般式(7)の化合物と一般式(8)の化合物とを縮合させることにより一般式(1)の複素環化合物又はその塩が得られる。
また、一般式(9)の化合物と一般式(10)の化合物とを縮合させることにより一般式(1)の複素環化合物又はその塩が得られる。
ここで、縮合反応は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエチリアミン等の塩基の存在下で行うのが好ましい。
【0059】
本発明の化合物は、Plk−1の亢進に起因する疾患に対し、有効量を医薬上許容される担体に入れて若しくは単独で患者に投与して、Plk−1を阻害しそれにより、それらの疾患の予防、治療、及び症状の改善のため用いられる。本発明の化合物には、該化合物の腫瘍組織、滑膜組織または脳組織への輸送効率を高める適切な製剤化を施してよい。ここで、Plk−1の亢進に起因する疾患としては、がんの転移及び増殖、関節リウマチ並びにアルツハイマー等が挙げられる。
【0060】
本発明の化合物は、そのうち1種を単独で使用しても、あるいは複数を組み合わせて使用してもよい。更には、治療上有利となる他の化合物と併用してもよく、当該他の化合物の作用機作は本発明の化合物と同一であっても、また異なっていてもよい。本発明の化合物を含んでなる医薬品組成物の全身投与の好ましい形態は、注射、経口であり、注射の場合はとりわけ静脈注射である。皮下、筋肉内または腹腔内のような他の注射経路を用いることもできる。全身投与のための別の手段は、胆汁酸塩またはフクジン酸または他の界面活性剤のような浸透剤を用いる経粘膜または経皮投与である。さらに、腸溶処方またはカプセル処方等により、経口投与も可能である。これらの医薬品組成物の投与は局所的なものであってもよく、膏薬、パスタ、ゲル等の形態であってもよい。
【0061】
本発明のPlk−1阻害剤の有効成分である複素環化合物又はその塩を使用する際の投与量に厳格な制限はない。対象者や適用疾患等の様々な使用態様によって得られる効果が異なるため、適宜投与量を設定することが望ましいが、その好適な投与量は1日当たり1 mg〜10g、より好ましくは10 mg〜1gである。
【0062】
このような製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等の固体剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤、凍結乾燥剤等が挙げられる。これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。上記の医薬用無毒性担体としては、例えば、澱粉、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水等が挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤、賦形剤等の慣用の添加剤を適宜添加することもできる。
【0063】
また、本発明のPlk−1阻害剤は、上記のような医薬品製剤として用いるだけでなく、飲食品等として用いることもできる。この場合には、本発明複素環化合物又はその塩をそのまま、または種々の栄養成分を加えて、飲食品中に含有せしめればよい。この飲食品は、がんの転移及び増殖、関節リウマチ並びにアルツハイマー等の改善、予防等に有用な保健用食品又は食品素材として利用でき、これらの飲食品又はその容器には、前記の効果を有する旨の表示を付してもよい。具体的に本発明のPlk−1阻害剤を飲食品に配合する場合は、飲食品として使用可能な添加剤を適宜使用し、慣用の手段を用いて食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペースト等に成形してもよく、また種々の食品、例えば、ハム、ソーセージ等の食肉加工品、かまぼこ、ちくわ等の水産加工品、パン、菓子、バター、粉乳、発酵飲食品に添加して使用したり、水、果汁、牛乳、清涼飲料、茶飲料等の飲料に添加して使用してもよい。なお、飲食品には動物の飼料も含まれる。
【0064】
さらに飲食品としては、有効成分である複素環化合物又はその塩を含有する発酵乳、乳酸菌飲料、発酵豆乳、発酵果汁、発酵植物液等の発酵乳製品が好適に用いられる。これら発酵乳飲食品の製造は定法に従って製造することができる。例えば発酵乳は、殺菌した乳培地に乳酸菌やビフィズス菌を接種培養し、これを均質化処理して発酵乳ベースを得る。次いで別途調製したシロップ溶液及び本発明の複素環化合物又はその塩を添加混合し、ホモゲナイザー等で均質化し、更にフレーバーを添加して最終製品とすることができる。このようにして得られる発酵乳は、プレーンタイプ、ソフトタイプ、フルーツフレーバータイプ、固形状、液状等のいずれの形態の製品とすることもできる。
【0065】
また、本発明のPlk−1阻害剤は、ヒトを含むあらゆる哺乳動物に適用できる。
【実施例】
【0066】
以下、実施例を挙げて本発明の内容をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制約されるものではない。
【0067】
実施例1
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド(化合物1)
ブロモ酢酸(290 mg, 2.08 mmol)のジメチルホルムアミド(10 mL)溶液に2-メルカプトピリミジン(234 mg, 2.08 mmol)及びトリエチルアミン(0.6 mL, 4.17 mmol)を加え、95℃で3時間攪拌した。その後、室温に戻し、4-フルオロフェネチルアミン(290 mg, 2.08 mmol)を加えた。次いで1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(400 mg, 2.08 mmol)、トリエチルアミン(0.3 mL, 2.08 mmol)及びジメチルアミノピリジン(25 mg, 0.2 mmol)を加え、室温で17時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフ法(3%メタノール含有クロロホルム)により精製し、標記化合物(140 mg, 23%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.73(2H, t, J=7Hz), 3.49(2H, q like), 3.73(2H, s), 6.78-6.83(2H, m), 6.98-7.03(4H, m), 8.41(2H, d, J=5Hz).
MS m/z: 291 (M+).
【0068】
実施例2
2-(ピリジン-2-イルスルファニル)-N-[2-(2,3,4-トリメトキシフェニル)エチル]アセトアミド(化合物2)
ブロモ酢酸(290 mg, 2.08 mmol)のジメチルホルムアミド(10 mL)溶液に2-メルカプトピリジン(232 mg, 2.08 mmol)及びトリエチルアミン(0.6 mL, 4.17 mmol)を加え、95℃で3時間攪拌した。次いで室温に戻し、2,3,4-トリメトキシフェネチルアミン(440 mg, 2.08 mmol)を加えた。次いで1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(400 mg, 2.08 mmol)、トリエチルアミン(0.3 mL, 2.08 mmol)及びジメチルアミノピリジン(25 mg, 0.2 mmol)を加え、室温で17時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフ法(クロロホルム)により精製し、標記化合物(639 mg, 90%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.69(2H, t, J=7Hz), 3.45(2H, q like), 3.79(2H, s), 3.80(3H, s), 3.82(3H, s), 3.83(3H, s), 6.43(1H, d, J=9Hz), 6.70(1H, d, J=9Hz), 6.98-7.02(1H, m), 7.19(1H, d, J=8Hz), 7.42-7.53(2H, m), 8.23-8.25(2H, m).
MS m/z: 362 (M+).
【0069】
実施例3
2-ブロモ-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド(化合物3)
ブロモ酢酸(2.78 g, 20 mmol)のジメチルホルムアミド溶液(70 mL)に4-フルオロフェネチルアミン(2.64 mL, 20 mmol)を加え、次いで1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(3.84 g, 20 mmol)及びジメチルアミノピリジン(250 mg, 2 mmol)を加え、0〜10℃で5日間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフ法(クロロホルム)により精製し、標記化合物(2.94 g, 57%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.82(2H, t, J=7Hz), 3.54(2H, q like), 4.03(2H, s), 6.58(1H, br-s), 7.01(2H, t, J=9Hz), 7.14-7.26(2H, m).
【0070】
実施例4
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロピリジン-2-イルスルファニル)アセトアミド(化合物4)
化合物3(107 mg, 0.41 mmol)のジメチルホルムアミド(2 mL)溶液に5-ニトロピリジン-2-チオール(64 mg, 0.41 mmol)及びトリエチルアミン(114 μL, 0.82 mmol)を加えて、90℃で1時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを減圧下に留去し、残留物をクロロホルムに溶解して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで水で洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮乾固して茶褐色油状の残留物を得た。残留物をn-へキサン−クロロホルムから結晶化し、結晶をろ取し、標記化合物(130 mg, 95%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.73(2H, t, J=7Hz), 3.50(2H, q like), 3.79(2H, s), 6.70-6.87(3H, m), 6.94-7.05(2H, m), 7.30(1H, d, J=9Hz), 8.25(1H, dd, J=3, 9Hz), 8.93(1H, d, J=3Hz).
MS m/z: 335 (M+).
【0071】
実施例5
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-2-イルスルファニル)アセトアミド(化合物5)
化合物3(100 mg, 0.38 mmol)のジメチルホルムアミド(2 mL)溶液に2メルカプト-3H-ピリミジン-4-オン(49 mg, 0.38 mmol)及びトリエチルアミン(110 μL, 0.79 mmol)を加えて、90℃で3時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを減圧下に留去し、残留物をクロロホルムに溶解して水で洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮乾固して白色固体を得た。このものをn-へキサン−クロロホルム混液中で超音波照射して粉末化し、結晶をろ取し、標記化合物(88 mg, 75%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.69(2H, t, J=7Hz), 3.28(2H, q like), 3.82(2H, s), 6.12(1H, br-s), 7.02-7.15(2H, m), 7.17-7.27(2H, m), 7.82(1H, br-s), 8.19(1H, br-t, J=5Hz), 12.75(1H, br).
MS m/z: 307 (M+).
【0072】
実施例6
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-[(6-メトキシ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド(化合物6)
化合物3(100 mg, 0.38 mmol)のジメチルホルムアミド(2 mL)溶液に6-メトキシ-1H-ベンゾイミダゾール-2-チオール(69 mg, 0.38 mmol)及びトリエチルアミン(110 μL, 0.79 mmol)を加えて、90℃で3時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを減圧下に留去し、残留物をクロロホルムに溶解して水で洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮乾固して淡橙色粘性油状物を得た。この粘性油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフ法(n-へキサン含有酢酸エチル ;n-ヘキサン含有量50%⇒33%)により精製し、標記化合物(121 mg, 88%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.76(2H, t, J=7Hz), 3.52(2H, q like), 3.72(2H, s), 3.83(3H, s), 6.73-6.87(3H, m), 6.93(1H, br-s), 6.98-.706(2H, m), 7.32(1H, br-d, J=8Hz), 7.85(1H, br-t like).
MS m/z: 359 (M+).
【0073】
実施例7
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(5-ニトロベンゾチアゾール-2-イルスルファニル)アセトアミド(化合物7)
化合物3(100 mg, 0.38 mmol)のジメチルホルムアミド(2 mL)溶液に6-ニトロ-2-メルカプトベンゾチアゾール(82 mg, 0.38 mmol)及びトリエチルアミン(110 μL, 0.769 mmol)を加え、90℃で2時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを減圧下に留去し、残留物をクロロホルムに溶解し、0.1mol/L水酸化ナトリウム及び水で洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下に濃縮乾固し、油状の残留物を得た。このものをn-へキサン−クロロホルムから結晶化し、結晶をろ取し、標記化合物(129 mg, 86%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.75(2H, t, J=7Hz), 3.55(2H, q like), 3.69(2H, s), 6.64-6.70(2H, m), 6.94-6.99(2H, m), 7.02(1H,br-s), 7.67(1H, d, J=9Hz), 8.30(1H, dd, J=9, 2Hz,), 8.70(1H, d, J=2Hz).
MS m/z: 391 (M+).
【0074】
実施例8
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸(化合物8)
化合物3(130 mg, 0.50 mmol)のジメチルホルムアミド(2 mL)溶液に2-メルカプトニコチン酸(60 mg, 0.38 mmol)及びトリエチルアミン(176 μL, 1.27 mmol)を加えて、90℃で2時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを減圧下に留去し、残留物を得た。このものをシリカゲルカラムクロマトグラフ法(メタノール含有クロロホルム ;メタノール含有量2%⇒5%)により精製し、標記化合物(73 mg, 57%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.67(2H, t, J=7Hz), 3.27(2H, q like), 3.77(2H, s), 7.00-7.10(2H, m), 7.14-7.30(3H, m), 8.04(1H, br-t, J=5Hz), 8.23(1H, m), 8.55(1H, m), 13.50(1H, br-s).
MS m/z: 334 (M+).
【0075】
実施例9
2-[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]メチルスルファニル]ニコチン酸メチルエステル(化合物9)
化合物8(35 mg, 0.11 mmol)をクロロホルム(0.8 mL)-メタノール(0.2 mL)混液に溶解し、室温で攪拌しながらトリメチルシリルジアゾメタン(0.5 mL [ca.10% ヘキサン溶液、ca.0.60 mol/L])を加え、30分間攪拌した。溶媒を減圧下に留去し、粘性油状物を得た。このものをn-へキサン−クロロホルム混液から結晶化し、結晶をろ取し、標記化合物(25 mg, 70%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.66(2H, t, J=7Hz), 3.44(2H, q like), 3.77(2H, s), 3.94(3H, s), 6.69-6.80(2H, m), 6.83-6.99(3H, m), 7.09(1H, dd, J=5, 8Hz), 8.24(1H, dd, J=2, 8Hz), 8.33(1H, dd, J=2, 5Hz).
MS m/z: 348 (M+).
【0076】
実施例10
2-(5-アミノ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド塩酸塩(化合物10)
化合物3(200 mg, 0.77 mmol)のジメチルホルムアミド(4 mL)溶液に5-アミノ-2-メルカプトベンゾイミダゾール(128 mg, 0.77 mmol)及びトリエチルアミン(220 μL, 1.53 mmol)を加え、80℃で4時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを減圧下に留去し、残留物をクロロホルムに溶解し、0.1mol/L水酸化ナトリウム及び水で洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下に濃縮乾固し、油状の残留物を得た。このものをシリカゲルカラムクロマトグラフ法(3%メタノール含有クロロホルム)により精製した。次いで、このもののジオキサン(1 mL)溶液に4mol/L塩酸-ジオキサン溶液(0.057 mL)を室温で加えた。この混合物にヘキサン(40 mL)を加え、上澄み液のみを取り除いた。この操作を5回繰り返した後、結晶をろ取し、標記化合物(63 mg, 23%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.65(2H, t, J=7Hz), 3.27-3.33(2H, m), 3.98(2H, s), 6.97-7.04(4H, m), 7.15-7.21(3H, m), 7.42(1H, d, J=9Hz), 8.33-8.40(1H, m).
MS m/z: 344 (M+).
【0077】
実施例11
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルオキシ)アセトアミド(化合物11)
化合物3(100 mg, 0.38 mmol)のジメチルホルムアミド(5 mL)溶液に2-ヒドロキシピリジン塩酸塩(51 mg, 0.38 mmol)及び炭酸カリウム(210 mg, 1.52 mmol)を加えて、室温で17時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを減圧下に留去し、残留物にクロロホルム及び水を加え、よく振り混ぜた。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下に濃縮乾固し、油状の残留物を得た。このものをシリカゲルカラムクロマトグラフ法(メタノール含有クロロホルム ;メタノール含有量1.5%⇒3%)により精製し、標記化合物(67 mg, 64%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.71(2H, t, J=7Hz), 3.27-3.35(2H, m), 4.46(2H, s), 6.42(1H, dd, J=4, 6Hz), 7.07-7.12(2H, m), 7.23-7.27(2H, m), 8.06(1H, dd, J=3, 7Hz), 8.29-8.32(1H, m), 8.54(1H, dd, J=3, 4Hz).
MS m/z: 275 (M+).
【0078】
実施例12
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(ピリジン-2-イルオキシ)アセトアミド(化合物12)
化合物3(100 mg, 0.38 mmol)及び2-ヒドロキシピリミジン(37 mg, 0.38 mmol)を用い、実施例11と同様に反応、後処理して、標記化合物(103 mg, 97%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.75(2H, t, J=7Hz), 3.45(2H, q like), 4.49(2H, s), 6.26(1H, dd, J=2, 7Hz), 6.60(1H, d, J=9Hz), 6.89-6.94(2H, m), 6.96-7.09(3H, m), 7.36(1H, dd, J=2, 7Hz), 7.39-7.43(1H, m).
MS m/z: 274 (M+).
【0079】
実施例13
2-(4,5-ジヒドロチアゾール-2-イルスルファニル)-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド(化合物13)及びN-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)アセトアミド(化合物14)
化合物3(100 mg, 0.38 mmol)のジメチルホルムアミド(4 mL)溶液に2-メルカプトチアゾリン(46 mg, 0.38 mmol)及び炭酸カリウム(210 mg, 1.52 mmol)を加えて、室温で17時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを減圧下に留去し、残留物にクロロホルム及び水を加え、よく振り混ぜた。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下に濃縮乾固し、油状の残留物を得た。このものをシリカゲルカラムクロマトグラフ法(クロロホルム)により2つの成分をそれぞれ精製し、化合物13(70 mg, 62%)及び化合物14(4 mg, 5%)を得た。
化合物13
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.77(2H, t, J=7Hz), 3.37(2H, t, J=8Hz), 3.48(2H, q like), 3.61(2H, s), 3.92(2H, t, J=8Hz), 6.97-7.04(2H, m), 7.12-7.18(2H, m), 7.38(1H, br-s).
MS m/z: 298 (M+).
化合物14
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.79(2H, t, J=7Hz), 3.27(2H, t, J=8Hz), 3.52(2H, q like), 4.05(2H, t, J=8Hz), 4.36(2H, s), 6.97-7.03(2H, m), 7.14-7.18(2H, m).
MS m/z: 298 (M+).
【0080】
実施例14
[[2-(4-フルオロフェニル)エチルカルバモイル]-メチル]-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(化合物15)
N-Boc-グリシン(1.75 g, 10 mmol)のジメチルホルムアミド溶液(40 mL)に4-フルオロフェネチルアミン(1.31 mL, 10 mmol)を加え、次いで1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.91 g, 10 mmol)及びジメチルアミノピリジン(122 mg, 1 mmol)を加え、室温で20時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフ法(メタノール含有クロロホルム ;メタノール含有量1%⇒2%)により精製し、標記化合物(2.35 g, 80%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 1.43(9H, s), 2.79(2H, t, J=7Hz), 3.50(2H, q like), 3.74(2H, d, J=6Hz), 5.09(1H, br-s), 6.17(1H, br-s), 6.99(2H, t, J=9Hz), 7.15(2H, dd, J=6, 9Hz).
【0081】
実施例15
2-アミノ-N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]アセトアミド(化合物16)
化合物15(400 mg, 1.35 mmol)のジクロロメタン溶液(3 mL)にトリフルオロ酢酸(2 mL, 26 mmol)を加え、0℃で1時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液にゆっくり注ぎ、アルカリ性とする。この混合物にクロロホルムを加え、よく振り混ぜた。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下に濃縮乾固し、標記化合物(120 mg, 45%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 1.46(2H, br-s), 2.81(2H, t, J=7Hz), 3.32(2H, s), 3.52(2H, q like), 6.97-7.01(2H, m), 7.17(2H, dd, J=5, 9Hz), 7.31(1H, br-s).
【0082】
実施例16
N-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]-2-(2-ピリミジン-2-イルアミノ)アセトアミド(化合物17)
化合物16(75 mg, 0.38 mmol)のジメチルホルムアミド(2 mL)溶液に2-ブロモピリミジン(61 mg, 0.38 mmol)及び炭酸カリウム(80 mg, 0.57 mmol)を加えて、150℃で2時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを減圧下に留去し、残留物にクロロホルム及び水を加え、よく振り混ぜた。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下に濃縮乾固し、残留物を得た。このものをシリカゲルカラムクロマトグラフ法(1%メタノール含有クロロホルム)により精製し、標記化合物(87 mg, 84%)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.76(2H, t, J=7Hz), 3.51(2H, q like), 4.03(2H, d, J=6Hz), 5.56(1H, br-s), 6.36(1H, br-s), 6.65(1H, t, J=5Hz), 6.89(2H, t, J=9Hz), 7.05(1H, dd, J=6, 9Hz), 8.29(2H, d, J=5Hz).
MS m/z: 274 (M+).
【0083】
実施例17
Plk−1活性に対する阻害作用
表1に示す化合物を用いて、本発明の複素環化合物のin vitroにおけるPlk-1阻害作用を検討した。化合物1、4、13はそれぞれ前述の実施例に示した方法により調製し、化合物18、19はAkos Consulting & Solutions社より、化合物20はVitas-M Laboratory社より、化合物21〜24はART-CHEM社より、化合物25、26はPharmeks社よりそれぞれ入手した。Plk-1活性は、Polo-like kinase 1 Assay/Inhibitor Screening KitおよびヒトPlk-1組換え酵素(CycLex Co., Ltd.)を使用して、添付の操作手順に改良を加えて測定した。酵素反応時の酵素量は0.2 mU/100μl、ATP濃度は1μM、酵素反応時間は20分間とした。被験化合物はDMSO溶液に溶解して使用し、酵素反応液中のDMSOの最終濃度は1%とした。本発明化合物のPlk-1阻害作用は表1にIC50値(酵素活性50%阻害する複素環化合物の濃度)で示した。その結果、本発明の複素環化合物はPlk-1活性に対して強力な阻害作用を示した。
【0084】
【表1】


【0085】
実施例18
Aurora A活性に対する作用
表2に示す化合物を用いて、本発明の複素環化合物のPlk-1に対する特異性を調べることを目的に、Plk-1と同じセリン・スレオニンキナーゼに属するAurora Aに対する作用を検討した。Aurora A活性は、Aurora-A kinase Assay/Inhibitor Screening KitおよびヒトAurora A組換え酵素(CycLex Co., Ltd.)を使用して、添付の操作手順に改良を加えて測定した。酵素反応時の酵素量は20 mU/100μl、ATP濃度は10μM、酵素反応時間は20分間とした。被験化合物はDMSO溶液に溶解して使用し、酵素反応液中のDMSOの最終濃度は1%とした。本発明化合物のAurora A阻害作用は表2にIC50値(酵素活性50%阻害する複素環化合物の濃度)で示した。その結果、本発明の複素環化合物は100μMにおいてもAurora A阻害作用を示さず、Plk-1に対して選択性が高いことが示された。
【0086】
【表2】


【0087】
実施例19
AKT活性に対する作用
表3に示す化合物を用いて、本発明の複素環化合物のPlk-1に対する特異性を調べることを目的に、Plk-1と同じセリン・スレオニンキナーゼに属するAKTに対する作用を検討した。AKT活性は、AKT/PKB kinase Assay/Inhibitor Screening KitおよびヒトAKT 1組換え酵素(CycLex Co., Ltd.)を使用して、添付の操作手順に改良を加えて測定した。酵素反応時の酵素量は15 mU/100μl、ATP濃度は50μM、酵素反応時間は90分間とした。被験化合物はDMSO溶液に溶解して使用し、酵素反応液中のDMSOの最終濃度は1%とした。本発明化合物のAKT阻害作用は表3にIC50値(酵素活性50%阻害する複素環化合物の濃度)で示した。その結果、本発明の複素環化合物のAKT阻害作用はPlk-1に対する阻害作用に比べて弱く、Plk-1に対して高い選択性を有することが示された。
【0088】
【表3】


【0089】
実施例20
がん細胞の増殖に対する抑制作用
非小細胞肺がんA549細胞の増殖に及ぼす本発明の複素環化合物の作用を検討した。A549細胞を10% FBS、100 U/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンを含有したRPMI1640培地(10% FBS/RPMI1640)に浮遊させ、96ウェルマイクロプレートに播種して5% CO2、37℃にて培養した(200 cells/50μl/well)。一晩培養後、本発明化合物を溶解した培地を50μl加えてさらに4日間培養した。培養後、TetraColor ONE(生化学工業)を使用して、添付の操作手順に従って生細胞数を測定した。なお、被験化合物はDMSO溶液に溶解して使用し、培地中のDMSOの最終濃度は0.1%とした。結果は、細胞増殖を50%抑制する被験化合物の濃度(IC50)で表した。その結果、表4に示すように、本発明の複素環化合物はA549細胞の増殖に対して強力な抑制作用を示した。
【0090】
【表4】


【0091】
実施例21
リン酸化Cdc2の脱リン酸化に対する抑制作用
がん細胞の増殖に対して抑制作用を示した本発明の複素環化合物が、細胞内のPlk-1を標的としていることを確認する目的で、A549細胞におけるリン酸化Cdc2の脱リン酸化に及ぼす作用をウェスタンブロッティング法により検討した。細胞を10% FBS/RPMI1640に浮遊させ、10 cm デッシュに播種して5% CO2、37℃にて培養した。細胞が50% コンフルエントに増殖後、本発明化合物を加えて24時間培養した。その後、細胞をPBSで2回洗浄し、可溶化溶液(10 mM Tris-HCl, pH 7.4, 0.1% NP-40, 0.1%デオキシコール酸ナトリウム, 0.1% SDS, 0.15M NaCl, 1 mM EDTA, 10μg/ml アプロチニン)を加えて細胞を溶解した。この溶解液にトリクロロ酢酸(最終濃度3.3%)を添加後、12,500 x gで1分間遠心し、得られた沈殿物をエーテルで洗浄後、Laemmliの方法(Nature, 1970, 227: 680-685)に従って電気泳動を実施した。電気泳動終了後、アクリルアミドゲル内の蛋白質を、セミドライ型転写装置を用いてイモビロンPVDFメンブランに転写した。転写後、メンブランをブロッキングし、一次抗体(抗Cdc2 ウサギポリクローナル抗体:Cell Signaling、抗Phospho-cdk1ウサギポリクローナル抗体:Sigma-Aldrich)溶液に4℃で一晩浸した。さらにニ次抗体(アルカリホスファターゼ標識抗ウサギIgG抗体:Sigma-Aldrich)溶液に室温で2時間浸した後、基質としてニトロブルーテトラゾリウムおよび5-ブロモ-4-クロロ-インドリルリン酸を用いてメンブラン上のCdc2またはリン酸化Cdc2(P-Cdc2)を検出した。その結果、本発明化合物は、細胞増殖抑制作用を示す濃度において、P-Cdc2の脱リン酸化阻害(P-Cdc2の増加)を示した(図1)。この結果から、本発明の複素環化合物が細胞内のPlk-1を阻害して細胞増殖抑制作用を発揮することが示唆された。
【0092】
実施例21
錠剤の製造
以下に示す成分を混和して、その混和物を打錠した。
【0093】
【表5】


【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明化合物のA549細胞におけるP-Cdc2の脱リン酸化阻害作用を示す図である。
【出願人】 【識別番号】000006884
【氏名又は名称】株式会社ヤクルト本社
【識別番号】502433955
【氏名又は名称】株式会社インシリコサイエンス
【出願日】 平成20年3月26日(2008.3.26)
【代理人】 【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所

【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸

【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄

【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫

【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹

【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
【公開番号】 特開2009−234949(P2009−234949A)
【公開日】 平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願番号】 特願2008−80329(P2008−80329)