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【発明の名称】 使い捨てのパンツ型おむつ
【発明者】 【氏名】大坪 俊文
【課題】排泄物によって外性器周辺や肛門周辺の肌を汚すことのない使い捨てパンツ型おむつの提供。

【解決手段】使い捨てのパンツ型おむつ1の股下域6が透液性内面シート2と不透液性外面シート3との間に体液吸収性の芯材4が介在する体液吸収部45を有する。パンツ型おむつ1はまた、内面シート2と、内面シート2と着用者の肌との間に介在する最内側シート部材120とによって形成された排泄物収容部31を有する。排泄物収容部31は、前部開口33と後部開口34とを有し、最内側シート部材120は、前部開口33の周縁部33bを形成している部分33cと、後部開口34の周縁部34bとを形成している部分34cとが前後方向Aにおいて互いに対向した状態にあるとともに、横方向Bにおいて離間する一対のスペーサ71を介して互いに接合することによって間隙50を形成している。最内側シート部材120はさらに、部分33cと部分34cとの間に延びる部分36が股下域6の最下部6aに向かって垂下してセパレータ20aを形成している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する前後方向と横方向と上下方向を有し、股下域の前方に前胴周り域が形成され、前記股下域の後方に後胴周り域が形成されており、前記股下域が透液性内面シートと不透液性外面シートとの間に体液吸収性の芯材が介在している体液吸収部を含んでいて下方向へ凸となるように前記前後方向において湾曲しており、前記股下域にはまた尿と便とを分離可能なセパレータが形成されている使い捨てのパンツ型おむつであって、
前記パンツ型おむつの着用者の肌と前記内面シートとの間に介在するように前記内面シートに接合している最内側シート部材と前記内面シートとが前記上下方向で離間可能な部位において排泄物収容部を形成し、前記排泄物収容部が前記排泄物収容部への尿の進入を可能にする前部開口と便の進入を可能にする後部開口とを有しており、
前記最内側シート部材は、前記前部開口と前記後部開口それぞれの周縁部の少なくとも一部分を形成していて前記前後方向で互いに対向する部位が、前記横方向において離間する一対のスペーサを介して接合することにより前記前後方向において所要の寸法を有する間隙を形成しており、
前記最内側シート部材はまた、互いに対向する前記部位どうしの間において前記前後方向へ延びる部分が前記股下域の最下部へ向かって垂下することにより、前記セパレータを形成していることを特徴とする前記パンツ型おむつ。
【請求項2】
前記一対のスペーサが柔軟弾性材料で形成されている請求項1記載のパンツ型おむつ。
【請求項3】
前記一対のスペーサが前記前後方向に1〜30mmの寸法を有し、前記横方向において5〜70mm離間している請求項1または2に記載のパンツ型おむつ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、尿や便によって肌を汚すことのない使い捨てのパンツ型おむつに関する。
【背景技術】
【0002】
着用したおむつの内側で尿と便とが混合されることを防ぐための構造を有するおむつは、従来周知である。
【0003】
例えば、特開2002−11044号公報(特許文献1)に記載されたおむつは、吸収体を覆う液透過性トップシートの上にスキンコンタクトシートを有し、スキンコンタクトシートの股下域には開口部が形成され、スキンコンタクトシートにはその開口部を囲むように弾性部材が伸長状態で接合されている。このおむつでは、尿と便とが混合されることを防ぐために、股下領域における吸収体に尿や便の流動を止めることができる堰部が形成されている。
【0004】
特開2007−296314号公報(特許文献2)に記載された使い捨てのパンツ型おむつでは、尿と便とが混合されることを防ぐためのセパレータを形成するシート片がおむつの股下域にあり、そのシート片の両側縁部分がおむつ内面に固定されている。シート片はまた、おむつの幅方向へ延びる前端縁部と後端縁部とを有し、これら両端縁部がおむつの幅を二等分する中心線上において一体化している。
【特許文献1】特開2002−11044号公報
【特許文献2】特開2007−296314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のおむつでは、便がスキンコンタクトシートに形成された開口部を通過してトップシートに向かう。そのスキンコンタクトシートは、おむつの股下域を前後方向へ延びるものであるから、その開口部に入り得なかった便は、スキンコンタクトシートの上を前方に向かって流れておむつ着用者の外性器を汚すという可能性がある。また、尿がスキンコンタクトシートの上を後方に向かって流れて肛門周辺を汚すということもある。
【0006】
特許文献2に記載のおむつは、セパレータを形成しているシート片の前端縁部と後端縁部とがおむつの中心線上で接合されることによって尿と便との分離が可能になる。このおむつでは、便がセパレータを伝って前方へ流れるということはないが、肛門と外性器との間を仕切るものは一体化した前端縁部と後端縁部とであって、例えば軟便が肌を伝って肛門から外性器に向かって流れたときには、このセパレータでその軟便の流れを止めることが難しいという場合がある。
【0007】
そこで、この発明は、肛門から外性器へ向かう方向、またはその逆方向へ排泄物が流れて、その排泄物によって外性器や肛門周辺の肌を汚すという問題を解消することができるように、従来の使い捨てパンツ型おむつに改良を施すことを課題にしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、この発明が対象とするのは、互いに直交する前後方向と横方向と上下方向を有し、股下域の前方に前胴周り域が形成され、前記股下域の後方に後胴周り域が形成されており、前記股下域が透液性内面シートと不透液性外面シートとの間に体液吸収性の芯材が介在している体液吸収部を含んでいて下方向へ凸となるように前記前後方向において湾曲しており、前記股下域にはまた尿と便とを分離可能なセパレータが形成されている使い捨てのパンツ型おむつである。
【0009】
かかるパンツ型おむつにおいて、この発明が特徴とするところは、以下のとおりである。前記パンツ型おむつの着用者の肌と前記内面シートとの間に介在するように前記内面シートに接合している最内側シート部材と前記内面シートとが前記上下方向で互いに離間可能な部位において排泄物収容部を形成している。前記排泄物収容部は前記排泄物収容部への尿の進入を可能にする前部開口と便の進入を可能にする後部開口とを有している。前記最内側シート部材は、前記前部開口と前記後部開口それぞれの周縁部の少なくとも一部分を形成していて前記前後方向で互いに対向する部位が、前記横方向において離間する一対のスペーサを介して接合することにより前記前後方向において所要の寸法を有する間隙を形成している。前記最内側シート部材はまた、互いに対向する前記部位どうしの間において前記前後方向へ延びる部分が前記股下域の最下部へ向かって垂下することにより、前記セパレータを形成している。
【0010】
この発明の実施形態の一つにおいて、前記一対のスペーサは、柔軟弾性材料で形成されている。
【0011】
この発明の好ましい実施形態の他の一つにおいて、前記一対のスペーサが前記前後方向に1〜30mmの寸法を有し、前記横方向において5〜70mm離間している。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る使い捨てのパンツ型おむつは、尿と便とを分離してこれらの混合を防ぐセパレータを形成している最内側シート部材が、排泄物収容部の前部開口における周縁部の一部分と後部開口における周縁部の一部分とにおいてスペーサ71を介して接合してこれら一部分どうしの間に所要寸法の間隙を形成している。また、最内側シート部材は、これら一部分どうしの間において前後方向へ延びる部分が股下域の最下部に向かって垂下している。最内側シート部材のその垂下する部分は、股下域の前方に排泄された尿と股下域の後方に排泄された便との混合を防ぐ障壁となる。パンツ型おむつを着用したときに、周縁部の一部分それぞれが股部の肌に接触することで、パンツ型おむつの着用者の肌を伝って後方へ流れる尿と前方へ流れる軟便とは、間隙を形成しているこれら周縁部の一部分それぞれによって流れを止められるので、尿によって肛門の周辺の肌を汚したり、便によって外性器の周辺の肌を汚したりすることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
添付の図面を参照してこの発明に係る使い捨てのパンツ型おむつの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0014】
図1は、この発明に係る使い捨てのパンツ型おむつ1についての、それが着用状態にあるときの部分破断斜視図であって、おむつ1の前後方向と横方向と上下方向とが互いに直交する双頭矢印A,B,Cで示されている。パンツ型おむつ1は、透液性の内面シート2と、不透液性の外面シート3と、体液吸収性芯材4とを含んでいてパンツ形状に形成されている肌被覆部10を有する。肌被覆部10は、股下域6と、股下域6の前方に形成された前胴周り域7と、股下域6の後方に形成された後胴周り域8とを有し、前後胴周り域7,8の側縁部7a,8aどうしが合掌状に重なり合い、図の上下方向へ間欠的に並ぶ接合域9において互いに溶着して、胴周り開口11と一対の脚周り開口12とが形成されている。胴周り開口11の周縁部11aでは、内外面シート2,3の間にあって胴周り方向へ延びる複数条の胴周り弾性部材14aが内外面シート2,3の少なくとも一方に伸長状態で接合している。また、脚周り開口12の周縁部13では、脚周り方向へ延びる複数条の脚周り弾性部材14bが内外面シート2,3の間にあって、これらシート2,3のうちの少なくとも一方に伸長状態で接合している。脚周り弾性部材14bと内外面シート2,3との三者が脚周りに沿う環状の弾性域41を形成している。パンツ型おむつ1のうちの少なくとも股下域6は、内面シート2と外面シート3との間に芯材4が介在することによって形成される体液吸収部45を含み、前後方向Aにおいて下方に向かって凸となるように湾曲していて、最下部6aを有する。
【0015】
図2は、図1の前後胴周り域7,8を接合域9において剥離し、パンツ型おむつ1の全体を前後方向Aと、横方向Bとに展開した状態にある展開おむつ1aの部分破断平面図であって、図にはその展開おむつ1aの内面側が示されている。展開おむつ1aでは、図1の肌被覆部10が砂時計型のおむつ基体10aとなって現れている。図1における胴周り開口11の周縁部11aは、おむつ基体10aの前端縁部7bと後端縁部8bとなって現れており、脚周り開口12の周縁部13は、おむつ基体10aの股下域側縁部13bとなって現れている。股下域側縁部13bは、おむつ基体10aを横方向Bにおいて二等分する前後方向中心線P−Pに向かって凸となるように湾曲しているが、前後胴周り域7,8の側縁部7a,8aのそれぞれは、前後方向中心線P−Pにほぼ平行して前後方向Aへ延びている。芯材4もまた砂時計型のものであって、粉砕パルプと高吸水性ポリマー粒子との混合物4aがティシュペーパを一例とする体液の吸収性と拡散性とに優れた被覆シート4bによって覆われることにより形成されている。おむつ基体10aにおいて、その内面を形成している内面シート2の股下域6には、セパレータ20a(図3参照)を形成するために、疎水性のシート材料、より好ましくは疎水性かつ不透液性のシート材料からなる最内側シート部材20が取り付けられている。かような展開おむつ1aは、前後方向中心線P−Pに関して対称に作られている。股下域6の最下部6aは、展開おむつ1aにおける前後方向Aの寸法を二等分する横方向中心線Q−Qの上にある。
【0016】
最内側シート部材20は、パンツ型おむつ1が着用されたときに内面シート2と着用者の肌(図示せず)との間に介在するようにおむつ基体10aに取り付けられるもので、おむつ基体10aにおける股下域側縁部13bのそれぞれにホットメルト接着剤24を介して固定されている側縁部分23と、股下域6の最下部6aよりも前方にあって側縁部分23どうしの間において横方向Bへ延びている前縁部分21と、股下域6の最下部6aよりも後方にあって側縁部分23どうしの間において横方向Bへ延びている後縁部分22とを有する。図示例の最内側シート部材20は、側縁部分23を除くと、内面シート2に対して離間可能な非接合状態にあって、内面シート2との間に前縁部分21から後縁部分22にまで延びるトンネル状またはポケット状の排泄物収容部31を形成している。前縁部分21と後縁部分22とのそれぞれには、最内側シート部材20を折り返すことによって横方向Bへ延びるスリーブ21aと22aとが形成されている。これらスリーブ21aと22aとは、それぞれの内側に前方弾性部材21bと後方弾性部材22bとが伸長状態で取り付けられていて、股下域側縁部13bどうしの間に延びる前方弾性域42と後方弾性域43とを形成している。これらの弾性域42,43は、おむつ基体10aの弾性域41と交差している。前縁部分21と後縁部分22とはまた、横方向中心線Q−Qからの距離HfとHrとがほぼ同じである。
【0017】
最内側シート部材20の前縁部分21には、前後方向中心線P−Pに関して対称で、横方向Bにおいて寸法Mだけ互いに離間している一対のスペーサ71が取り付けられている。スペーサ71は、スポンジ、発泡ポリウレタン、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、フェルト、不織布等からなるブロックによって形成されていて、パンツ型おむつ1を着用したときに作用する体圧で容易に変形するような柔軟性を有し、より好ましくは変形した後に速やかに復元する弾性を兼ね備えている。最内側シート部材20の後縁部分22に前後方向中心線P−Pに関して対称で、横方向Bにおいて寸法Mだけ互いに離間している仮想線で示された一対の部位72は、おむつ基体1aが側縁部7a,8aを接合されてパンツ型おむつ1となるときに、一対のスペーサ71が接合する部位である(図3,4参照)。
【0018】
図3は、図1のIII−III線断面図であって、III−III線は図2の前後方向中心線P−Pに一致している。パンツ形状の肌被覆部10では、前後胴周り域7と後胴周り域8とが互いに側縁部7a,8aにおいて接合している。股下域6は前後方向AにおいてU字形に湾曲しており、最下部6aがそのU字形の底部を形成している。図2の股下域側縁部13bは、脚周り開口12を画成する周縁部13となって現れている。最内側シート部材20は、前縁部分21と後縁部分22とがスペーサ71を介して接合しており、図2において前縁部分21と後縁部分22との間で前後方向Aへ延びていた部分36が最下部6aに向かって垂下していて、股下域6を前方部分と後方部分とに仕切るセパレータ20aを形成している。スペーサ71は、前後方向Aに寸法Nを有するものであって、最内側シート部材20に対して接着または溶着により接合している。スペーサ71の存在によって、前縁部分21と後縁部分22とが前後方向中心線P−P上において寸法Nを有する間隙50(図4参照)を形成している。スペーサ71が後縁部分22と接合する部位は図2に参照符号72で示されている。セパレータ20aは、最内側シート部材20の部分36が、最下部6aまたはその近傍の内面シート2に対して接近しているか、接触しているか、接合しているかのいずれかの態様にあることによって形成されるものであって、図3ではそのうちの接触している態様が例示されている。最内側シート部材20が内面シート2と協働して形成する排泄物収容部31では、前縁部分21と内面シート2とが互いに離間可能であることによって前部開口33を画成しており、後縁部分22と内面シート2とが互いに離間可能であることによって後部開口34を画成している。
【0019】
図4は、図3のIV−IV線矢視図であって、図1のパンツ型おむつ1を胴周り開口11の上方から見た図でもある。パンツ型おむつ1の横方向Bにおいて、最内側シート部材20の前縁部分21と後縁部分22とは、一対のスペーサ71の間にある中央部分21c,22cと、おむつ着用者(図示せず)の右脚に接触可能な右方部分21,22と、左脚に接触可能な左方部分21,22とを有する。中央部分21cと22cとは、平行して横方向Bへ延びて前後方向Aに寸法Nを有し横方向に寸法Mを有する間隙50を形成することが可能であり、パンツ型おむつ1が着用されたときには、着用者の外性器と肛門との間において肌に接触可能である。右方部分21と22とは横向きのV字形を画いていて、着用者の右脚がこれら両部分21と22との間に挿入される。左方部分21と22もまた横向きのV字形を画いていて、着用者の左脚がこれら両部分21と22との間に挿入される。肌被覆部10における脚周り開口12の周縁部13には、図示の如く右脚用周縁部13と左脚用周縁部13とがあって、それぞれの周縁部13,13が、最内側シート部材20における側縁部分23に対して重なり合うことのない上方部分15aと、側縁部分23に対して重なりあって接合している下方部分15bとに分かれている(図3を合わせて参照)。図では、それら上方部分15aと下方部分15bとの範囲が双頭矢印GとHとによって示されている。
【0020】
このように形成されているパンツ型おむつ1を着用するときの手順とパンツ型おむつ1の挙動とは、次のようになる。まず、肌被覆部10の前後胴周り域7,8を前後方向Aへ離間させて、胴周り開口11を図1,4のように大きく広げると、最内側シート部材20で形成されたセパレータ20aの前縁部分21は右方部分21と左方部分21とが一対のスペーサ71を中央にして前後方向AにおいてV字形を画くように変形し、同じように後縁部分22も右方部分22と左方部分22とが前後方向AにおいてV字形を画くように変形する(図4参照)。これらの変形によって、排泄物収容部31における前部開口33と後部開口34とが自動的に大きく口を開ける(図3参照)。また、右方部分21と22とが前後方向Aで離間すると同時に、左方部分21と22とが前後方向Aで離間する。前縁部分21と後縁部分22とにおける中央部分21cと22cとは、間隙50を形成している。次に、おむつ着用者(図示せず)は、一対の脚周り開口12のうちの右脚用周縁部13における上方部分15aとセパレータ20aの前縁部分21における右方部分21と後縁部分22における右方部分22とが画成する右脚用開口部41へ右脚を進入させる。続けて、その右脚を右脚用周縁部13の上方部分15aと下方部分15bとが画成する右脚用の脚周り開口12へ進入させる。さらに続けて、左脚を左脚用周縁部13のうちの上方部分15aとセパレータ20aの前縁部分21における左方部分21と後縁部分22における左方部分22とが画成する左脚用開口部41へ進入させる。その左脚をさらに左脚用周縁部13の上方部分15aと下方部分15bとが画成する脚周り開口12へ進入させる。
【0021】
着用後のパンツ型おむつ1において、それぞれの脚周り開口12の周縁部13、即ち右脚用周縁部13と左脚用周縁部13とは、脚周り開口12それぞれの周り方向へ弾性的に伸長・収縮可能であり、セパレータ20aの前縁部分21と後縁部分22とは横方向Bへ弾性的に伸長・収縮可能であるから、右脚のつけ根近傍では、右脚用周縁部13の上方部分15aとセパレータ20aにおける右方部分21と22とが脚周りに弾性的に密着して、体液の漏れを防ぐ第1次シール51を形成する(図4参照)。第1次シール51の下方では、右脚用周縁部13の下方部分15bと上方部分15aとが一体になって体液の漏れを防ぐ第2次シール52(図4参照)を形成して、この第2次シール52が、従来のパンツ型おむつにおける脚周りのシールと同様に作用する。左脚についても同様であって、左脚のつけ根近傍では、左脚用周縁部13の上方部分15aとセパレータ20aにおける左方部分21と22とが脚周りに弾性的に密着して、第1次シール51を形成する。第1次シール51の下方では、左脚用周縁部13の下方部分15bと上方部分15aとが一体になっている第2次シール52を形成する。着用したパンツ型おむつ1を身体に対して十分に引上げることによって、セパレータ20aにおける中央部分21cと22cとが着用者の外性器と肛門との間において肌に接触する。
【0022】
このような着用状態にあるパンツ型おむつ1では、セパレータ20aにおける部分36がおむつ着用者の股部を前方部分と後方部分とに仕切る位置にあって、前方部分では着用者の外性器が前縁部分21から前部開口33へとのぞき、後方部分では着用者の肛門が後縁部分22から後部開口34へとのぞくことによって、尿は前部開口33からポケット状の排泄物収容部31へ確実に進入する。便は後部開口34から排泄物収容部31へ確実に進入する。それゆえ、パンツ型おむつ1では、尿と肌との接触および便と肌との接触をセパレータ20aによって防ぐことができる。また、セパレータ20aの中央部分21cと22cとは、前後方向Aにおいて離間した状態にあり、それらが肌に接触している場合には、尿が肌を伝って肛門に向かって流れることを阻止する二重の障壁となると同時に、軟便が肌を伝って外性器に向かって流れることを阻止する二重の障壁となる。中央部分21cと22cとはさらにまた、それらが肌に接触していない場合であっても、例えば着用者が床に座ることによって排泄物収容部31の後部開口34から流出した軟便は間隙50を越えなければ外性器に届くことができないように作用する。したがって、このパンツ型おむつ1では、尿によって肛門周辺の肌を汚したり、軟便によって外性器周辺の肌を汚したりすることがない。排泄部収容部31に進入した尿と便とは、セパレータ20aと内面シート2とが股下域6の最下部6aで接近、接触、接合のいずれかの態様にあることによって、内面シート2の上における前後方向Aの流れが止められて、混合状態になることがない。したがってまた、パンツ型おむつ1では、尿と便との混合によって便の流動性が高まり、便によって肌が汚れ易くなるという事態が生じることもない。さらに、両脚のそれぞれには第1次シール51,51と第2次シール52,52とが形成されているので、尿や便が排泄物収容部31へ進入せずに脚に沿って流れるということがあっても、簡単にはパンツ型おむつ1から漏れることがない。
【0023】
パンツ型おむつ1において、セパレータ20aを形成している最内側シート部材20の前縁部分21は前部開口33における周縁部の一部分を成している。また、前後方向Aにおいて、その前縁部分21は、着用者の外性器よりも後方にあって、外性器が前部開口33にのぞくことを可能にするようにその位置が決められる。かような前縁部分21の形状は、図示例の如く横方向Bへ直状に延びているものに限らず、横方向中心線Q−Qに向かって凸となるように湾曲しているものであってもよい。最内側シート部材20の後縁部分22は、後部開口34における周縁部の一部分を成している。また、前後方向Aにおいて、その後縁部分22は着用者の肛門よりも前方にあって、肛門が後部開口34にのぞくことを可能にするようにその位置が決められる。かような後縁部分22もまた、図示例の如く幅方向Bへ直状に延びているものに限らず、横方向中心線Q−Qに向かって凸となるように湾曲しているものであってもよい。
【0024】
この発明において、間隙50を形成するスペーサ71の形状に格別の規定はない。また、スペーサ71の寸法Nは、パンツ型おむつ1が乳幼児用のものであるか大人用のものであるかによって決められる値であるが、これらの用途を包括していえば、寸法Nは1〜30mmの範囲にあることが好ましく、1〜5mmの範囲にあることがより好ましい。寸法Nが30mmを越えるようになると、外性器を前部開口33にのぞかせたり、肛門を後部開口34にのぞかせたりすることが次第に難しくなる。一対のスペーサ71の離間寸法Mは5〜70mmの範囲にあることが好ましく、25〜30mmの範囲にあることがより好ましい。寸法Mが5mmよりも小さいときには排泄物が間隙50に入りにくくなることがあり、寸法Mが70mmよりも大きいと股下域6の幅が広すぎることがある。
【0025】
なお、図2のおむつ基体10aの股下域6では、互いに重なり合う内外面シート2,3によって芯材4の外側にサイドフラップ25が形成されている。そのサイドフラップ25は、パンツ型おむつ1が図1の状態にあって股下域6がU字形に湾曲して弾性域41が収縮すると、横方向中心線Q−Qの近傍、すなわち股下域6の最下部6aの近傍において、芯材4の側縁部分4cに沿って上方へ起立する傾向を示す。一方、弾性域41の内面に側縁部分23が接合している最内側シート部材20は、胴周り開口11が大きく開口すると、サイドフラップ25を前後方向中心線P−Pへ接近するようにパンツ型おむつ1の横方向における内側へ引っ張り、その結果として、サイドフラップ25は上方へ起立する傾向が強くなる。また、前縁部分21と後縁部分22とが弾性的に収縮するときには、その傾向が一層強くなる。このような傾向を有するサイドフラップ25は、着用者の脚周りに対してパンツ型おむつ1の下方から密着して、脚周りからの体液の漏れを効果的に防止することができる。
【0026】
この発明において、内面シート2には、不織布や開口プラスチックフィルム等の透液性シート材料を使用することができる。外面シート3には、プラスチックフィルムやプラスチックフィルムと不織布とからなる複合シート等の不透液性シート材料を使用することができる。芯材4には、粉砕パルプや粉砕パルプと高吸水性ポリマー粒子との混合物をティシュペーパ等のシート材料で被覆したものを使用することができる。最内側シート部材20には、不織布やプラスチックフィルム等からなる疎水性のシート材料、より好ましくは疎水性にして不透液性のシート材料を使用することがきる。最内側シート部材20は、その前縁部分21と後縁部分22とが伸長状態にある弾性部材21b,22bを含んでいて横方向Bへ弾性的に伸長、収縮できることが好ましいが、最内側シート部材20が横方向Bへ弾性的に伸長、収縮可能な弾性シート材料で形成されている場合には、弾性部材21b,22bの使用を省くことが可能である。ただし、この発明は、前縁部分21と後縁部分22とが横方向Bへ弾性的に伸長、収縮することのない態様で実施することも可能である。
【0027】
図5は、この発明の実施形態の一例を示すパンツ型おむつ1の部分破断斜視図であって、図1のパンツ型おむつ1と同じ部位には同じ参照符号が使用されている。すなわち、図5のパンツ型おむつ1もまた、股下域6と、前胴周り域7と、後胴周り域8とを有していて、前後胴周り域7,8の側縁部7a,8aが合掌状に重なり合い、上下方向Cに間欠的に形成された接合域9において互いに溶着して胴周り開口11と一対の脚周り開口12とが形成されている。パンツ型おむつ1はまた、着用者(図示せず)の肌と向かい合う最内側シート部材120と、最内側シート部材120の外面120bに取り付けられている体液吸収部材122とを含み、これら最内側シート部材120と体液吸収部材122とが一体になることによってパンツ形状の肌被覆部10を形成している。最内側シート部材120は、好ましくは疎水性、より好ましくは疎水性で不透液性のもので、前胴周り域7と後胴周り域8とに位置する部位の内面には弾性シート片52を伸長状態で接合することにより胴周り方向へ弾性的に伸長、収縮可能に形成されている。最内側シート部材120のうちで股下域6に位置する部位には、前部開口33と後部開口34とが形成されている。前部開口33は、周縁部33bを有するもので、横方向中心線Q−Qよりも前方であって着用者の外性器をのぞかせることができる位置にある。また、後部開口34は、周縁部34bを有するもので、横方向中心線Q−Qよりも後方であって着用者の肛門をのぞかせることができる位置にある。図5にはまた、最内側シート部材120どうしを周縁部33bの下方部分33cと周縁部34bの下方部分34cとにおいて接合するためのスペーサ71が周縁部34bに取り付けられた状態で示されている(図6を併せて参照)。
【0028】
体液吸収部材122は、透液性内面シート2と不透液性外面シート3との間に体液吸収性の芯材4が介在することによって形成される体液吸収部45を有するもので、それら内外面シート2,3は芯材4の周縁から延出する部分で重なり合って互いに接合するとともに、前部開口33と後部開口34とを最内側シート部材120の外側から覆うように両シート2,3の少なくとも一方が最内側シート部材120に接合している。股下域6の両側縁部13では、内面シート2と外面シート3と最内側シート部材120とが重なり合って接合している。その両側縁部13ではまた、内面シート2と外面シート3との間にあって側縁部13に沿って延びる脚周り弾性部材14bが、これら両シート2,3の少なくとも一方に伸長状態で接合している。両側縁部13の間においては、内面シート2と最内側シート部材120とが接合しておらず、芯材4の厚さ方向において最内側シート部材120が内面シート2から離間して、これら両者2,120によって排泄物収容部31が形成され、その排泄物収容部31には前部開口33から尿が進入し、後方開口34からは便が進入する。
【0029】
図6は、図1のVI−VI線断面図であって、このVI−VI線は前後方向中心線P−Pに一致している。最内側シート部材120は、前部開口33を画成している周縁部33bのうちの下方部分33cと、後部開口34を画成している周縁部34bのうちの下方部分34cとがスペーサ71を介して接合することによって、これら両部分33c,34c間に前後方向Aに寸法Nを有する間隙50を形成している。その間隙50は、横方向Bに寸法Mを有している(図5参照)。最内側シート部材120は、前後方向Aにおいて下方部分33cと34cとの間に位置する部分36が股下域6の最下部6aに向かって垂下した状態にある。部分36は、内面シート2に対して接近しているか、接触しているか、接合しているかのいずれかの態様にあるもので、図では接触している態様が示されている。
【0030】
このように形成されている図5のパンツ型おむつ1を着用して最内側シート部材120における下方部分33c,34cが股部の肌に接触しているときには、下方部分33c,34cがその肌を伝って後方へ流れようとする尿を止める二重の障壁となると同時に、その肌を伝って前方へ流れようとする軟便を止める二重の障壁となる。それゆえ、図5のパンツ型おむつ1でもまた、尿によって肛門周辺の肌を汚したり、軟便によって外性器周辺の肌を汚したりすることがない。最内側シート部材120はまた、それが股下域6の最下部6aにまで垂下することによって、排泄物収容部31を前後に仕切り、内面シート2の上において尿と便とが混合されることを防ぐセパレータ20aを形成している。図5のパンツ型おむつ1における下方部分33cと34cとは、図1のパンツ型おむつ1における最内側シート部材20の前縁部分21と後縁部分22と同等の作用を有している。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】パンツ型おむつの部分破断斜視図。
【図2】パンツ型おむつを分解し、伸展した状態を示す図。
【図3】図1のIII−III線断面図。
【図4】図3のIV−IV線矢視図。
【図5】実施形態の一例を示すパンツ型おむつの部分破断斜視図。
【図6】図5のVI−VI線断面図。
【符号の説明】
【0032】
1 パンツ型おむつ
2 内面シート
3 外面シート
4 芯材
6 股下域
6a 最下部
7 前胴周り域
8 後胴周り域
10 肌被覆部
12 脚周り開口
13 周縁部
20 最内側シート部材
20a セパレータ
21 一部分(前縁部分)
22 一部分(後縁部分)
31 排泄物収容部
33 前部開口
33b 周縁部
33c 一部分(下方部分)
34 後部開口
34b 周縁部
34c 一部分(下方部分)
36 前後方向へ延びる部分
45 体液吸収部
50 間隙
71 スペーサ
120 シート部材(最内側シート部材)
A 前後方向
B 横方向
C 上下方向
【出願人】 【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
【出願日】 平成20年3月26日(2008.3.26)
【代理人】 【識別番号】100066267
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 吉治

【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
【公開番号】 特開2009−233035(P2009−233035A)
【公開日】 平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願番号】 特願2008−81757(P2008−81757)