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【発明の名称】 座あるいは背凭れ等の椅子の構造物
【発明者】 【氏名】伊東 作二
【氏名】伊藤 和幸
【氏名】木下 洋二郎
【氏名】住谷 諭史
【氏名】上田 伸行
【課題】膜状部材からなる支持面の垂れ部等の曲面または屈曲面部分のへたりを無くして、硬い枠材に身体が圧迫されたり外観を損なうことを無くす。

【解決手段】着座者の身体を支える支持面を構成するメッシュあるいはフィルム若しくは布地等の膜状部材3と膜状部材3の周縁を保持する枠状の支持部材(支持枠)4とを備える座あるいは背凭れ等の椅子1の構造物2において、支持部材4の一部の辺である横辺8を挟んで対向する2つの保持辺である縦辺7の間で形状が整えられた横辺8と支持面6とを繋ぐ膜状部材3の曲面または屈曲面部分即ち前垂れ部10を2つの縦辺7の間で支える例えば舌形状の支持部9を横辺8に備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者の身体を支える支持面を構成するメッシュあるいはフィルム若しくは布地等の膜状部材と前記膜状部材の周縁を保持する枠状の支持部材とを備える座あるいは背凭れ等の椅子の構造物において、前記枠状支持部材の一部の辺を挟む2つの保持辺の間で形状が整えられた前記一部の辺と前記支持面とを繋ぐ前記膜状部材の曲面または屈曲面部分を前記2つの保持辺の間で支える支持部を前記一部の辺に備えることを特徴とする座あるいは背凭れ等の椅子の構造物。
【請求項2】
前記一部の辺は前記枠状支持部材の着座者の身体が交わる位置にある辺であると共に、前記支持面から離れて前記身体と直接接触しない位置に形成したものであることを特徴とする請求項1記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物。
【請求項3】
前記支持部の前記膜状部材を支持する膜支持面と前記保持辺の表側面の前記膜状部材の前記曲面または屈曲面部分を形成する部位とは面一であることを特徴とする請求項1または2記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物。
【請求項4】
前記支持部は舌片であると共に、自由端側に向かって漸次肉薄に形成されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物。
【請求項5】
前記支持部は前記枠状支持部材よりも薄いと共に可撓性を有することを特徴とする請求項1から4までのいずれか記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物。
【請求項6】
前記支持部の基端部の裏側にリブが設けられていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物。
【請求項7】
前記枠状支持部材と前記支持部とは合成樹脂で一体成形されていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物。
【請求項8】
前記膜状部材は前記枠状支持部材の形成時に一体成形されることを特徴とする請求項1から7までのいずれか記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物。
【請求項9】
前記支持部は湾曲した前記一部の辺から成ることを特徴とする請求項1から8までのいずれか記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物。
【請求項10】
前記構造物の表側面は前記膜状部材の縁部が取り付けられる取付部と該取付部の周囲に位置する周囲部とを有すると共に、前記取付部と前記周囲部とは面一であることを特徴とする請求項1から9までのいずれか記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物。
【請求項11】
前記支持部は複数設けられていることを特徴とする請求項1から10までのいずれか記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物。
【請求項12】
前記構造物は座であり、前記一部の辺は前記枠状支持部材の前端の横辺であると共に当該横辺の中央に前記支持部が形成され、前垂れ部で前記膜状部材を支持することを特徴とする請求項1から10までのいずれか記載の椅子の構造物。
【請求項13】
前記構造物は座であり、前記一部の辺は前記枠状支持部材の前端の横辺であると共に当該横辺に複数の前記支持部が形成され、前垂れ部で前記膜状部材を支持することを特徴とする請求項1から10までのいずれか記載の椅子の構造物。
【請求項14】
前記構造物は背凭れであり、前記一部の辺は前記枠状支持部材の上端あるいは下端のいずれか一方若しくは双方の横辺であると共に当該横辺に前記支持部が中央から左右に離して形成され、前記横辺から前記背凭れの支持面にかけて形成される前記膜状部材の曲面または屈曲面部分を前記支持部で支持することを特徴とする請求項1から10までのいずれか記載の椅子の構造物。
【請求項15】
前記構造物は背凭れであり、前記一部の辺は前記枠状支持部材の上端あるいは下端のいずれか一方若しくは双方の横辺であると共に当該横辺の中央に前記支持部が形成され、前記横辺から前記背凭れの支持面にかけて形成される前記膜状部材の曲面または屈曲面部分を前記支持部で支持することを特徴とする請求項1から10までのいずれか記載の椅子の構造物。
【請求項16】
前記支持部は前記枠状支持部材の上下の前記横辺同士を連結するものであることを特徴とする請求項15記載の椅子の構造物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、メッシュあるいはフィルム若しくは布地等の膜状部材と、膜状部材の周縁を保持する枠状の支持部材とから成る座あるいは背凭れ等の椅子の構造物に関する。更に詳述すると、本発明は、例えば着座者の大腿部の裏が当たる座の前垂れ部や背中の上部ないし腰部が当たる背凭れの上端部ないし下端部における膜状部材の支持構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、膜状部材100とその周縁を保持する枠状の支持部材101とから成る図16に示すような座102を有する椅子が提案されている。膜状部材100は、枠状支持部材101によって周囲から引っ張られることにより座102として必要な弾力性を発揮して着座者の身体を支える支持面103を構成するようにしている。この種の座102では、着座時に座102の前端で大腿部を圧迫しないようにするため、座102の前端部に曲面から成る前垂れ部104を形成することが望まれる。
【0003】
また、膜状部材とその周縁を保持する支持枠とを備える背凭れを有する椅子も提案されている。この場合にも、背中や腰部が当たる背もたれの上端あるいは下端に着座者の身体を圧迫しないようにするため曲面部分(以下、垂れ部とも呼ぶ)を形成することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平8−507935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した構造の座102では、成形後の枠状支持部材101の収縮等で膜状部材100の張りが低下したり、前垂れ部104付近では膜状部材100が枠状支持部材101の左右の保持辺101aで支持されているだけなので、両側の保持辺101aから離れるに従って張りを失って弛み易く形を保ち難くなる。特に、前垂れ部104の中央部分の膜状部材100は、両側の保持辺101aの支えの影響を強く受けて形を保っている部分に比べて張りが無く弛んでしまうことから、前垂れ部104としての形を保てなくなって図17に示すようにほぼ直線状となっている。
【0006】
したがって、着座者の大腿が硬い枠状支持部材101の横辺(着座者の身体と交わる位置にある)101bに当たって圧迫されるため、座り心地が悪くなる。また、椅子の不使用時でも前垂れ部104の膜状部材100が弛んで凹んだままに成り易く、椅子の外観も悪くなってしまう。
【0007】
これを解決するために、前垂れ部104の裏側全域にウレタンを詰め込んだり、ラバーバンドを当てて膜状部材100を補強した座102が開発されている。しかし、これでは補強部材を別に用意しなければならず、部品点数が多くなると共に組立工程が増え好ましくない。また、前垂れ部104の形を保つため、ウレタンやラバーバンドを膜状部材100の裏に設けると、通気性を損ねる等、膜状部材100と枠状支持部材101とで座102を構成する利点を部分的に損ねてしまう。
【0008】
同様に、背凭れに膜状部材と枠状支持部材とから成る構造物を採用する場合においても、凭れたときに背凭れの上端の膜状部材の垂れ部が潰れて枠状支持部材の上端の横辺部分に首や首筋が当たってしまうので、凭れ心地が良くない。これを避けるために枠状支持部材の上端即ち上横辺部分が着座者の頭よりも上に位置するような背の高い背凭れとすれば良いが、これでは椅子が非常に大型化したりデザインも制限されてしまう。
【0009】
そこで、本発明は、座り心地や凭れ心地を向上できると共に曲面または屈曲面部分の形を保ち外観を良くし、更にデザインの自由度を上げる座あるいは背凭れ等の椅子の構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の発明は、着座者の身体を支える支持面を構成するメッシュあるいはフィルム若しくは布地等の膜状部材と膜状部材の周縁を保持する枠状の支持部材とを備える座あるいは背凭れ等の椅子の構造物において、枠状支持部材の一部の辺を挟む2つの保持辺の間で形状が整えられた一部の辺と支持面とを繋ぐ膜状部材の曲面または屈曲面部分を2つの保持辺の間で支える支持部を一部の辺に備えるようにしている。
【0011】
したがって、枠状支持部材の一部の辺の近くの膜状部材の曲面または屈曲面部分は両側の保持辺と支持部とにより短いスパンで支持されるため、膜状部材の張りの弾力性を失わずに着座者の身体を支持することができる。このため、着座者が構造物に体重を掛けたときには、その体重が膜状部材の曲面または屈曲面部分で弾力的に支持されると共に、場合によっては支持部によって直接支持されるようになる。これにより、着座者の身体が支持部材の端部付近で良好なクッション性で支持されながら枠状支持部材の一部の辺に当たって圧迫されることが防止されると共に膜状部材の曲面または屈曲面部分の形を保つことができる。
【0012】
しかも、支持部の形状や厚さ、若しくは位置等を変更することにより膜状部材の張力を変化させることができるので、張力の異なる複数種類の構造物を容易に提供することができる。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物において、一部の辺は枠状支持部材の着座者の身体が交わる位置にある辺であると共に、支持面から離れて身体と直接接触しない位置に形成したものであるようにしている。
【0014】
したがって、枠状支持部材の着座者の身体と交わる位置にある一部の辺の近くの膜状部材の曲面または屈曲面部分所謂垂れ部は両側の保持辺と支持部とにより短いスパンで支持されるため、膜状部材の張りの弾力性を失わずに着座者の身体を一部の辺から離れた位置で支持することができる。これにより、着座者の身体が枠状支持部材の一部の辺に当たって圧迫されることが防止されると共に枠状支持部材の垂れ部・端部付近の膜状部材の形を保つことができる。
【0015】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物において、支持部の膜状部材を支持する膜支持面と保持辺の表側面の膜状部材の曲面または屈曲面部分を形成する部位とは面一であるようにしている。したがって、膜状部材の曲面または屈曲面部分が支持部により保持辺と同じ高さに支持されるので、曲面または屈曲面部分のクッション性を維持しながら下がり感を防止することができる。
【0016】
さらに、請求項4記載の発明は、請求項1から3までのいずれか記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物において、支持部は舌片であると共に、自由端側に向かって漸次肉薄に形成されているようにしている。この場合、支持部は着座者の体重により弾性変形するように成る。このため、着座者の体重により支持面の端部である例えば垂れ部及びその付近の膜状部材が凹む際に、支持部が撓んで膜状部材を支えたり、あるいは支持部が体重を直接支えるようになる。これにより、着座者に良好なクッション感を与えて、尚かつ支持部の周囲で膜状部材に段差を形成せずに緩やかに変形するので、構造物の全体で均一なクッション性を有するようになって身体を局部的に圧迫せずに支持できるようになる。
【0017】
また、請求項5記載の発明は、請求項1から4までのいずれか記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物において、支持部は枠状支持部材よりも薄いと共に可撓性を有するようにしている。したがって、支持部は着座者の体重により弾性変形するように成るので、着座者が着座したときに体重により支持部が撓んで膜状部材を支えたり、あるいは支持部が体重を直接支えることにより、構造物の全体で均一なクッション性を有するようになって身体を局部的に圧迫せずに支持できるようになる。
【0018】
そして、請求項6記載の発明は、請求項1から5までのいずれか記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物において、支持部の基端部の裏側にリブが設けられているようにしている。したがって、応力の集中し易い支持部の基端部を補強して支持部の破損を防止することができる。しかも、支持部の先端部にはリブが形成されていないので支持部の先端ほど剛性が小さくなって、支持部の可撓性を維持することができる。
【0019】
一方、請求項7記載の発明は、請求項1から6までのいずれか記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物において、枠状支持部材と支持部とが合成樹脂で一体成形されるようにしている。この場合、枠状支持部材と支持部とが射出成形等により一度に成形されるため、座あるいは背凭れ等の椅子の構造物の製造が容易になる。
【0020】
また、請求項8記載の発明は、請求項1から7までのいずれか記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物において、膜状部材は枠状支持部材の形成時に一体成形されるようにしている。したがって、枠状支持部材と膜状部材とが射出成形等により一度に成形されるため、椅子の構造物の製造が容易になる。
【0021】
そして、請求項9記載の発明は、請求項1から8までのいずれか記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物において、支持部は湾曲した一部の辺から成るようにしている。この場合、支持部と一部の辺を兼用しているので、新規なデザインの椅子の構造物を得ることができる。
【0022】
他方、請求項10記載の発明は、請求項1から9までのいずれか記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物において、構造物の表側面は膜状部材の縁部が取り付けられる取付部と該取付部の周囲に位置する周囲部とを有すると共に、取付部と周囲部とは面一であるようにしている。したがって、膜状部材の縁部と枠状支持部材の周囲部とが面一になって膜状部材の縁で凹凸が生じないので、構造物の表面を平坦にでき座り心地を良好にすることができる。
【0023】
さらに、請求項11記載の発明は、請求項1から10までのいずれか記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物において、支持部は複数設けられているようにしている。この場合、膜状部材の曲面または屈曲面部分をより短いスパンで支持できるようになるので、着座者の体重をより効果的に分散することができると共に、膜状部材の曲面または屈曲面部分の形を保つことができる。
【0024】
また、請求項12記載の発明は、請求項1から10までのいずれか記載の椅子の構造物において、構造物は座であり、一部の辺は枠状支持部材の前端の横辺であると共に当該横辺の中央に支持部が形成され、前垂れ部で膜状部材を支持するようにしている。
【0025】
したがって、前垂れ部付近の膜状部材は、枠状支持部材の両側の保持辺とそれらの間の支持部とにより短いスパンで支持されるため、膜状部材の張りの弾力性を失わずに大腿を支持することができる。これにより、着座者の大腿が枠状支持部材に当たって圧迫されることが防がれると共に前垂れ部の形を保つことができる。
【0026】
しかも、支持部は枠状支持部材の前方の横辺の中央から支持面の前端にかけての前垂れ部に形成されているので、着座者の両大腿の間に位置する。よって、着座者の大腿が支持部に当たって圧迫されることも無い。
【0027】
また、請求項13記載の発明は、請求項1から10までのいずれか記載の椅子の構造物において、構造物は座であり、一部の辺は枠状支持部材の前端の横辺であると共に当該横辺に複数の支持部が形成され、前垂れ部で膜状部材を支持するようにしている。したがって、膜状部材の曲面または屈曲面部分をより短いスパンで支持できると共に着座者の体重を支持部により直接支持することができるようになるので、体重をより効果的に分散することができる。
【0028】
そして、請求項14記載の発明は、請求項1から10までのいずれか記載の構造物において、構造物が背凭れであり、一部の辺は枠状支持部材の上端あるいは下端のいずれか一方若しくは双方の横辺であると共に当該横辺に支持部が中央から左右に離して形成され、横辺から背凭れの支持面にかけて形成される膜状部材の曲面または屈曲面部分を支持部で支持するようにしている。
【0029】
したがって、背凭れの上端あるいは下端の曲面または屈曲面部分を構成する膜状部材は、枠状支持部材の両側の保持辺とそれらの間に配置された左右の支持部とにより短いスパンで支持されるため、膜状部材の張りを失わずに背中を弾力的に支持することができる。これにより、着座者の背中や首筋、腰部が枠状支持部材の横辺に当たって圧迫されることが防止されると共に背凭れの上端あるいは下端の曲面または屈曲面部分の形を保つことができる。
【0030】
しかも、支持部は横辺の中央部を除いた左右に振り分けて形成されているので、着座者の背中を避けた両側に位置する。よって、着座者の背骨が支持部に当たることが少ない。
【0031】
さらに、請求項15記載の発明は、請求項1から10までのいずれか記載の構造物において、構造物が背凭れであり、一部の辺は枠状支持部材の上端あるいは下端のいずれか一方若しくは双方の横辺であると共に当該横辺の中央に支持部が形成され、横辺から背凭れの支持面にかけて形成される膜状部材の曲面または屈曲面部分(所謂垂れ部)を支持部で支持するようにしている。
【0032】
したがって、背凭れの上端あるいは下端の曲面または屈曲面部分が支持部により弾性的に支持されて補強され、背中や腰部をしっかり支えると共に曲面または屈曲面部分の形を維持することができる。
【0033】
そして、請求項16記載の発明は、請求項15記載の椅子の構造物において、支持部は枠状支持部材の上下の横辺同士を連結するものであるようにしている。この場合、背凭れの上下の横端にそれぞれ形成された支持部同士が連結されているので、背凭れの縦方向の全体に亘って背中や腰部がしっかり支えられると共に膜状部材の曲面または屈曲面部分の形が維持される。
【発明の効果】
【0034】
以上の説明から明らかなように、請求項1記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物によれば、膜状部材の曲面または屈曲面部分は両側の保持辺と支持部とにより短いスパンで支持されるため、膜状部材の張りの弾力性を失わずに着座者の身体を一部の辺から離れた位置で支持することができる。これにより、着座者の身体が支持部材の端部付近で枠状支持部材の一部の辺に当たって圧迫されることを防いで膜状部材のみで優しく支えることができ、座り心地を良好にすることができる。
【0035】
さらに、曲面または屈曲面部分の膜状部材の形を目的とする形状に保つことができるので、構造物としての外観を良くすることができる。
【0036】
しかも、ウレタンやラバーバンド等の別部材を使用する必要がなくなるので、部品点数や組立工数の削減により製品コストを下げることができると共に、デザイン上の制約を少なくできる。
【0037】
また、支持部の形状や厚さ、若しくは位置等を変更することにより膜状部材の張力を変化させることができるので、張力の異なる複数種類の構造物を容易に提供することができる。
【0038】
そして、請求項2記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物によれば、枠状支持部材の着座者の身体と交わる位置にある一部の辺の近くの垂れ部即ち膜状部材の曲面または屈曲面部分は両側の保持辺と支持部とにより短いスパンで支持されるため、膜状部材の張りの弾力性を失わずに着座者の身体を一部の辺から離れた位置で支持することができる。これにより、着座者の身体が支持部材の端部付近で枠状支持部材の一部の辺に当たって圧迫されることを防止できる。さらに、垂れ部・端部付近の膜状部材の形を目的とする形状に保つことができる。
【0039】
また、請求項3記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物によれば、膜状部材の曲面または屈曲面部分が支持部により保持辺と同じ高さに支持されるので、曲面または屈曲面部分のクッション性を維持しながら下がり感を防止することができる。よって、構造物としての外観を良くできると共に、良好な座り心地を得ることができる。
【0040】
さらに、請求項4記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物によれば、着座者の体重により支持面の端部である例えば垂れ部及びその付近の膜状部材が凹む際に、支持部が撓んで膜状部材を支えることにより、支持部の周囲で膜状部材に段差を形成せずに緩やかに変形するため、着座者に良好なクッション感を与えて身体を圧迫せずに支持できると共に外観も段差のない美しいものとできる。
【0041】
また、請求項5記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物によれば、支持部は着座者の体重により弾性変形するように成るので、着座者が着座したときに体重により支持部が撓んで膜状部材を支えたり、あるいは支持部が体重を直接支えることにより、構造物の全体で均一なクッション性を有するようになって身体を局部的に圧迫せずに支持できるようになる。
【0042】
そして、請求項6記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物によれば、応力の集中し易い支持部の基端部を補強して支持部の破損を防止することができる。しかも、支持部の先端部にはリブが形成されていないので支持部の先端ほど剛性が小さくなって、支持部の可撓性を維持することができる。
【0043】
一方、請求項7記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物によれば、枠状支持部材と支持部とが射出成形等により一度に成形されるため、座あるいは背凭れ等の椅子の構造物の製造を容易にすることができる。
【0044】
また、請求項8記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物によれば、枠状支持部材と膜状部材とが射出成形等により一度に成形されるため、椅子の構造物の製造を容易にすることができる。
【0045】
そして、請求項9記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物によれば、支持部と一部の辺を兼用しているので、新規なデザインの椅子の構造物を得ることができる。
【0046】
他方、請求項10記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物によれば、膜状部材の縁部と枠状支持部材の周囲部とが面一になって膜状部材の縁で凹凸が生じないので、構造物の表面を平坦にでき座り心地を良好にすることができる。
【0047】
さらに、請求項11記載の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物によれば、膜状部材の曲面または屈曲面部分をより短いスパンで支持できるようになるので、着座者の体重をより効果的に分散することができると共に、膜状部材の曲面または屈曲面部分の形を保つことができる。
【0048】
一方、請求項12記載の椅子の構造物によれば、座の前垂れ部付近の膜状部材が支持枠の両側とそれらの間の支持部とにより短いスパンで支持されるため、前垂れ部付近の膜状部材の張りを失わずに大腿をの弾力的に支持することができる。これにより、着座者の大腿が前枠部に当たって圧迫されることを防いで座り心地を良くすることができる。しかも、支持部は前方の横辺の中央から支持面の前端にかけての前垂れ部に形成されているので、着座者の両大腿の間に位置して大腿に支持部が当たって圧迫することも無いので、座り心地を一層良くすることができる。
【0049】
また、請求項13記載の椅子の構造物によれば、膜状部材の曲面または屈曲面部分をより短いスパンで支持できると共に着座者の体重を支持部により直接支持することができるようになるので、体重をより効果的に分散することができる。
【0050】
そして、請求項14記載の椅子の構造物によれば、背凭れの上端あるいは下端の曲面または屈曲面部分を構成する膜状部材は、枠状支持部材の両側の保持辺とそれらの間に配置された左右の支持部とにより短いスパンで支持されるため、膜状部材の張りを失わずに背中を弾力的に支持することができる。これにより、着座者の背中や首筋、腰部が枠状支持部材の横辺に当たって圧迫されることを防いで凭れ心地を良くすると共に背凭れの上端あるいは下端の曲面または屈曲面部分の形を保って外観を良くすることができる。しかも、支持部は上枠部の左右部分に形成されているので、着座者の背中を避けた両側に配置されて着座者の背骨が支持部に当たることも無い。
【0051】
また、請求項15記載の椅子の構造物によれば、背凭れの上端あるいは下端の垂れ部が支持部により弾性的に支持されて補強されるので、背中や腰部をしっかり支えて凭れ心地が良いと共に垂れ部の形を維持することができる。
【0052】
そして、請求項16記載の椅子の構造物によれば、背凭れの上下の横辺にそれぞれ形成された支持部同士が連結されているので、背凭れの縦方向の全体に亘って背中や腰部がしっかり支えられると共に膜状部材の曲面または屈曲面部分の形を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物を座に適用した実施形態を示す分解組立図である。
【図2】座の支持枠を示す斜視図である。
【図3】図1のIII−III線で切断した状態を示す座の中央縦断面側面図である。
【図4】座の支持枠を示す正面図である。
【図5】支持片を示す側面図である。
【図6】支持片を示す背面図である。
【図7】支持片の他の実施形態を示す座の斜視図である。
【図8】支持片の更に他の実施形態を示す座の斜視図である。
【図9】支持枠の別の実施形態を示す斜視図である。
【図10】図9のX−X線で切断した状態を示す断面図である。
【図11】本発明の座あるいは背凭れ等の椅子の構造物を背凭れに適用した実施形態を示す分解組立図である。
【図12】図11のXII−XII線で切断した状態を示す背凭れの中央縦断面側面図である。
【図13】他の実施形態の背凭れの支持枠を示す斜視図である。
【図14】更に他の実施形態の背凭れの支持枠を示す斜視図である。
【図15】別の実施形態の背凭れの支持枠を示す斜視図である。
【図16】従来の座を示す斜視図である。
【図17】図16中のXVII−XVII線で切断した状態を示す座の中央縦断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0055】
図1〜図4に本発明の椅子の構造物を座に適用した場合の一実施形態を示す。この構造物は、着座者の身体を支える支持面6を構成するメッシュあるいはフィルム若しくは布地等の膜状部材3と、膜状部材3の周縁を保持する枠状の支持部材(以下、支持枠と呼ぶ)4とを備えて成る座2である。そして、この座2は、支持枠4の一部の辺である横辺8を挟む2つの保持辺である縦辺7の間で形状が整えられた横辺8と支持面6とを繋ぐ膜状部材3の曲面または屈曲面部分10を2つの縦辺7の間で支える支持部(以下、支持片と呼ぶ)9を横辺8に備えるようにしている。このため、支持枠4の横辺8の近くの膜状部材3の曲面または屈曲面部分10は支持枠4の両側の縦辺7とそれらの間の支持片9とにより短いスパンで支持されるため、膜状部材3の張りを失わずに着座者の身体を弾力的に支持することができる。そして、着座者が座2に体重を掛けたときには、その体重が膜状部材3の曲面または屈曲面部分10で弾力的に支持されると共に、場合によっては支持片9によって直接支持されるようになる。これにより、着座者の身体が支持枠4の横辺8に当たって圧迫されることが防止されて座り心地が良好になると共に、膜状部材3の曲面または屈曲面部分10の形を保つことができる。
【0056】
本実施形態では、前側の横辺8は支持枠4の着座者の身体が交わる位置にある辺であると共に、支持面6から離れて身体と直接接触しない位置に形成するようにしている。このため、膜状部材3の曲面または屈曲面部分は前垂れ部10を形成している。
【0057】
ここで、支持枠4の「一部の辺」とは、本実施形態では着座者の身体が交わると共に支持面6から離れて身体と直接接触しない位置に形成した辺を主に意味しているが、これだけには限定されず例えば図15に示す上側の横辺28のように身体に接しながらも保持辺である縦辺27と共に膜状部材の曲面または屈曲面部分を形成する辺も含めたものとしている。また、一部の辺は図1〜図15に示すような矩形状の支持枠4,24の横辺8,28であったり、若しくは三角形状や五角形状、あるいは円形状の支持枠(図示せず)での着座者の身体が交わる斜辺や円弧辺であるようにする。一方、支持枠4の「保持辺」とは、「一部の辺」の両端に連続して当該一部の辺を支持し支持部と共に膜状部材の曲面または屈曲面部分を形成する一対の辺を意味している。
【0058】
尚、本実施形態の座2は、スタッキング可能な固定椅子に適用されたものであり、椅子1のフレーム5に対し直接組み付けられる。
【0059】
ここで、支持片9は、支持枠4の前方の横辺8の中央に設けられている。この支持片9は、横辺8の両端から立ち上がる縦辺7の湾曲形状と同一の湾曲形状を以て、横辺8から離れて形成される支持面6に向けて延びる表裏とも平滑な舌形状に形成され、膜状部材3の曲面・前垂れ部10を支持するように設けられている。ここで、図2及び図4に示すように支持片9の膜状部材3を支持する膜支持面9aと縦辺7の表側面の膜状部材3の前垂れ部10を形成する部位7aとは面一であるようにしている。即ち、支持片9は、横辺8の中央から上方に伸びると共にその上部を後方に曲げて、前面が支持枠4の左右の縦辺7の前面と面一に成ると共に上面が支持枠4の左右の縦辺7の上面と同じ高さに成るように形成されている。このため、図4に示すように支持面6の前端部の膜状部材3を水平に維持して見栄えを良くすることができると共に、前垂れ部10が縦辺7より低く支持されたときに感じる下がり感を防止することができる。さらに、支持片9の後方に伸びた部分は支持面6に深く入り込まない程度の長さ、具体的には着座者の股間が支持片9に当たらない程度の長さにしている。これにより、着座者の股間が支持片9に当たることに因る座り心地の低下を防止できる。
【0060】
また、支持片9は、自由端側に向かって漸次肉薄に形成されること、より好ましくは幅方向にも両端部に向かう程漸次肉薄に形成される。この場合、図3において二点鎖線で示すように、先端に向かうに従って変形し易く弾力的になるので、膜状部材3が変形する際にそれに従って撓んで膜状部材3との間に段差を生じさせることがない。したがって、着座時に大腿を支える前垂れ部10付近の膜状部材3は支持片9の周囲で段差を形成せずに緩やかに変形するため、大腿部を圧迫せずに支持できる。よって、大腿は前垂れ部10付近で膜状部材3および支持片9により弾性的に支持され、横辺8に当たらない。
【0061】
支持片9の正面から見た形状は、本実施形態では図4に実線で示すようにほぼ長方形にしている。但し、長方形には限られず同図中二点鎖線で示すようにほぼ台形にしたり、あるいはほぼ三角形にしても良い。このように支持片9の幅や形状や厚さ、更には材質を適宜設定することにより、支持片9の弾性の強さを調整することができる。このため、前垂れ部10付近の膜状部材3として最適な弾力性を得るように支持片9を形成することができる。
【0062】
支持枠4と支持片9とは例えば単一材質から成るポリプロピレン等の熱可塑性合成樹脂で一体成形されるようにしている。そして、支持枠4及び支持片9は、射出成形等により膜状部材3の周縁と一体化した一体成形品とされている。このため、座2の製造が容易なものとなるので、大量生産を容易に可能とすると共に低コスト化を図ることができる。
【0063】
また、膜状部材3としてはメッシュ布(例えば、デュポン社製 商品名ダイメトロール)を使用することが好ましい。本実施形態では膜状部材3をメッシュ布にしているが、これには限られず弾性を有すると共に着座者の体重を支持できるポリエステル等の合成樹脂製のネット材やフィルムやビニルや皮や布や金網等の他の材質のものでも良い。
【0064】
この座2では、膜状部材3は支持枠4の上面の全域に貼り付けられるように一体成形されている。このため、着座者の大腿が前垂れ部10付近の膜状部材3を押し下げたときに支持片9を上側から押さえ付けるので、膜状部材3と支持片9とが万一剥離していても膜状部材3は支持片9により支持される。ここで、座2をフレーム5に取り付けるときは、支持枠4と膜状部材3との一体化部分を覆い隠すカバー部材を設けることが好ましい。この場合、カバー部材により一体化部分を覆い隠すことができるので、見栄えを更に良くすることができる。
【0065】
この座2は、そのままで椅子1の座として使用されているが、場合によっては膜状部材3と支持枠4の上面及び外側面との全体を覆うように表皮部材を取り付けても良い。この場合、支持枠4の上面に露出される膜状部材3の周縁部分を隠すことができると共に、表皮部材の選択により座2の外観を任意の色や模様にすることができる。また、表皮部材と膜状部材3との間に薄いウレタンフォームを詰めることも可能である。
【0066】
椅子1のフレーム5は、パイプを溶接して組み立てられている。このフレーム5は、例えば座2を支持する座受部11と、背凭れ12を上方から差し込んで支持する背凭れ支持部13とを有している。フレーム5の脚やその他の部分の形状は特に限定されるものではなく、例えば図1に示すように左右1本ずつのパイプを矩形状に折り曲げて成るいわゆるサークル脚を用いたり、あるいは各脚を別個の鉛直なパイプから成るようにしたいわゆる4本脚としても良い。さらに、1本のパイプを折り曲げ加工して脚部と座受部と背支桿部とを形成した所謂カンチレバータイプの脚としても良い。また、本実施形態では背凭れ12を有する椅子1にしているが、これには限られず背凭れ12を有しない椅子1にしても良い。
【0067】
ここで、座2の支持枠4を座受部11に固定する手段としては特に限定されず、例えば図10に示すように支持枠4の裏側に形成した取付溝18を座受部11に嵌合して位置決めしたままねじ止めしたり、あるいは支持枠4に一体形成または後付けした係止爪を支持枠4にワンタッチで引っ掛けるようにしても良い。いずれの場合も、支持枠4とフレーム5とを固定することができるので、着座者の体重により膜状部材3が引っ張られても支持枠4がフレーム5に対してずれることを防止できる。
【0068】
一方、背凭れ12は、背中を支持するメッシュ製の膜状部材14と、膜状部材14の周縁に縫い付けられた縁布15と、膜状部材14の左右の縁布15に縫い付けられた上部が閉塞された布製の固定袋16とを備えている。そして、左右の固定袋16をフレーム5の背凭れ支持部13に差し込むことにより、背凭れ12が椅子1に固定されている。本実施形態では背凭れ12をメッシュ製でフレーム5に差し込んで固定するものにしているが、これには限られず背凭れ12自体は本発明の構成を限定するものでは無いので既知のまたは新規の様々な構造の背凭れ12を使用することができる。
【0069】
以上のように構成された座2は、例えばインサート成形等によって形成される。例えば、射出成形の金型の内部に形成された膜状部材3を保持する突起に膜状部材3を引っ掛けて金型に設置する。あるいは、膜状部材3を金型の外部で保持する。このとき、膜状部材3には座2として要求される予張力を与えておく。
【0070】
そして、膜状部材3を金型のキャビティ内に収容したまま支持枠4の射出成形を行い、膜状部材3と一体化された状態で支持枠4を成形する。これにより、支持枠4および支持片9と膜状部材3とが強固に一体化された一体成形品としての座2を容易に得ることができる。また、支持枠4を膜状部材3と一体形成する方法としては射出成形法に限られず、圧縮成形法や注型法等の他の方法であっても良い。
【0071】
この座2を組み付けた椅子1では、着座者の大腿は支持枠4の左右の縦辺7とその間に配置された支持片9に支えられて張り詰められた膜状部材3により弾性的に支持される。このため、大腿が横辺8に圧迫されることを防いで座り心地を良くすることができる。しかも、支持片9は横辺8の中央から支持面6の前端にかけての前垂れ部10に形成されて着座者の両大腿の間に位置しているので、着座者の大腿が支持片9に当たって圧迫することも無い。
【0072】
さらに、前垂れ部10付近で膜状部材3を支持枠4の左右の縦辺7のみにより支持する場合に比べて支持間隔を半分以下にすることができるので、前垂れ部10の形を保つことができる。このため、前垂れ部10の中央部分のへたりに因って外観を損なうこともない。
【0073】
しかも、ウレタンやラバーバンド等の別部材を使用することなく座り心地および外観の向上を図ることができるので、部品点数を増大せずに製品コストを安価に抑えることができる。
【0074】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では、支持片9の肉厚を先端に向かうに従って漸次肉薄に形成しているがこれには特に限られず、全体を均一な厚さにするようにしても良い。この場合、支持片9は図5に示すように支持枠4よりも薄くして可撓性を有するようにすることが好ましい。この場合も、膜状部材3は支持枠4の左右の縦辺7と支持片9とに張られて大腿を弾性的に支持することができることには変わりない。ここで、上述のように支持片9を支持枠4よりも薄く均一にした場合は、図5及び図6に示すように支持片9の基端部の裏側にリブ17を設けて補強することが好ましい。これによれば、応力の集中し易い支持片9の基端部を補強して支持反9の破損を防止することができる。しかも、支持片9の先端部にはリブ17が形成されていないので支持片9の先端ほど剛性が小さくなって支持片9の可撓性を維持することができる。また、図1〜図4に示す先端側が漸次肉薄になる支持片9の基端部の裏側にリブ17を形成するようにしても良いのは勿論である。
【0075】
さらに、上述した実施形態では支持片9を1つのみ設けるようにしているが、これには限られず図7に示すように支持片9を複数、間欠的に設けるようにしても良い。この場合、膜状部材3の前垂れ部10をより短いスパンで支持できると共に、少なくとも一部の支持片9を利用して着座者の体重を直接支持することができるので、着座者の体重を効果的に分散することができると共に、膜状部材3の前垂れ部10の形を保つことができる。
【0076】
また、上述した実施形態では支持部は舌形状の支持片9から成るようにしているが、これには限られず図8に示すように支持部9が支持面6に沿ってU字形状に湾曲した例えば前側の横辺8から成るようにしても良い。この場合、支持部9と横辺8とを兼用しているので、新規なデザインの椅子の座2を得ることができる。
【0077】
そして、上述した実施形態では膜状部材3を支持枠4の上面の全域に取り付けているが、これには限られず膜状部材3を支持枠4の上面の一部に取り付けるようにしても良い。この場合、例えば図7〜図10に示す座2のように、膜状部材3の縁部19が取り付けられる取付部20と、該取付部20の周囲に位置して膜状部材3が取り付けられない周囲部21とを有するようにして、取付部20と周囲部21とは面一であるようにする。これによれば、膜状部材3の縁が座2の座面6で凹凸を生じないので、座面6を平坦にでき座り心地を良好にすることができる。しかも、周囲部21では膜状部材3が一体化されずに合成樹脂の平滑な面が露出するので、座面6が縁取りされたような外観になり座2の見栄えを良好にすることができる。
【0078】
この場合に、前側の横辺8に形成された取付部20は、他の辺7に形成された取付部20よりも幅広にすることが好ましい。これによれば、前側の横辺8と膜状部材3との固定力が大きくなるので、最も荷重の掛かりやすい横辺8付近の膜状部材3が剥離することを防止できる。
【0079】
また、本実施形態では膜状部材3を支持枠4及び支持片9の上面に接着したかのように一体成形しているが、これには限られず膜状部材3を支持枠4の中に埋め込むように一体成形するようにしても良い。また、膜状部材3と支持枠4との一体化あるいは接合する箇所は本実施形態のように支持枠4の上面や内部に限られず、支持枠4の下面あるいは裏面にしても良い。この場合、膜状部材3の支持枠4への一体化部分を着座者側から見えないようにできるので、外観を向上することができる。
【0080】
また、膜状部材3と支持枠4及び支持片9とを一体化する手法としては、上述したような射出成形による一体成形に限られるものではなく、支持枠4と膜状部材3とを一体化できる様々な手法を適用することができる。例えば、膜状部材3と支持枠4とを別個に形成しておき、支持枠4の表面に膜状部材3の周縁を接着剤による接着あるいはボルト等によるねじ止めやホチキス止めで一体化するようにしても良い。または、表面に突起を有する支持枠4を形成して、この突起に膜状部材3の周縁を引っ掛けて一体化するようにしても良い。これらの場合は膜状部材3は支持片9の表側を覆うようにするか、支持片9の裏側に接着等により取り付けて大腿の体重が膜状部材3を介して支持片9により支持されるようにする。さらに、支持枠4を長手方向に沿って半割に形成しておき、その間に膜状部材3の周縁を挟み込んで接着やねじ止めや嵌合により一体化するようにしても良い。支持枠4を半割に形成する場合は、支持枠4の半割の向き合った各挟み込み面に互いに嵌合する凸部と凹部とを形成しておいて、これら凸部と凹部との間に膜状部材3を挟み込むようにしても良い。これによれば、膜状部材3の保持力を更に強くすることができる。
【0081】
さらに、支持枠4に椅子フレーム5への組付用の溝あるいは爪を設けておき、この溝あるいは爪に膜状部材3を挟み込んだ状態で支持枠4をフレーム5に組み付けるようにしても良い。このときは、例えば膜状部材3の周縁を予めフレーム5に巻き付けておき、その上から支持枠4を填め付けるようにしたり、または膜状部材3の周縁を予め支持枠4の溝に入れておいた状態で支持枠4をフレーム5に填め付けるようにしても良い。この場合は膜状部材3は支持片9の表側を覆うようにするか、支持片9の裏側に接着等により取り付けて大腿の体重が膜状部材3を介して支持片9により支持されるようにする。また、この場合に、支持枠4とフレーム5とは嵌合の締付力で固定されるようにしたり、あるいは支持枠4とフレーム5とをねじ止め等によって固定するようにしても良い。支持枠4とフレーム5とをねじ止め等によって固定するときは、ねじ止め用のボルトを膜状部材3に貫通させることにより膜状部材3の保持力を更に強くすることができる。さらに、支持枠4の溝とフレーム5との間に互いに嵌合する凸部と凹部とを形成することにより、これら凸部と凹部との間に膜状部材3を挟むようにできるので、膜状部材3の保持力を更に強くすることができる。
【0082】
そして、本実施形態では支持枠4及び支持片9を熱可塑性合成樹脂から成るようにしているが、これには限られず熱硬化性合成樹脂から成るようにしても良い。また、本実施形態の支持枠4及び支持片9は、全体が単一材質の合成樹脂で形成されているが、これには限られず部分的に強度が必要な箇所にグラスファイバーや炭素繊維などの補強材を充填するようにしても良い。この場合、支持枠4の強度が向上するので、フレーム5の構成のうちで支持枠4そのものを受け支えて補強する部分を簡略化することができる。
【0083】
さらに、本実施形態では支持枠4及び支持片9を合成樹脂製にしているが、これには限られず金属製や木製にしても良い。この場合も、支持片9の存在により膜状部材3が大腿を弾力的に支持することができるので、着座者の大腿が横辺8に強く押し付けられることを防止して座り心地を向上することができる。
【0084】
また、本実施形態では支持枠4と支持片9とを一体形成しているが、これには限られずこれらを別部材として形成してから接着等により一体化するようにしても良い。
【0085】
また、上述した実施形態では座2をパイプフレーム5を有する固定椅子に取り付けているが、これには限られず例えば事務用の回転椅子やその他の固定椅子等の様々な種類の椅子のフレームに取り付けることができる。いずれの場合も、支持片9の存在により膜状部材3が大腿を弾力的に支持することができるので、座り心地を向上することができる。
【0086】
更に、上述した実施形態では、本発明の構造物を座2に適用した例について主に説明しているがこれには特に限られず、背凭れに適用することも可能である。この実施形態の一例を図11および図12に示す。背凭れ22は、前述の座2と同様に、着座者の身体を支える支持面26を構成する膜状部材23とこの膜状部材23の周縁を保持する枠状支持部材(支持枠)24とを備えて成る。そして、この背凭れ22は、支持枠24の着座者の身体と交わる位置にある一部の辺である上端あるいは下端の横辺28を支持面26から離れ身体と直接接触しない位置に形成すると共に、横辺28の近傍で該横辺28を挟んで対向する2つの保持辺である縦辺27の間で形状が整えられ横辺28と支持面26とを繋ぐ膜状部材23の曲面または屈曲面部分(本実施形態では垂れ部と呼ぶ)30を2つの縦辺27の間で支える支持片29を横辺28に備えるようにしている。このため、垂れ部30の膜状部材23は、支持枠24の両側の縦辺27とそれらの間の支持片29とにより短いスパンで支持されるため、張りを失わずに着座者の背中あるいは腰部を弾力的に支持することができ、背中や腰部が支持枠24の上端あるいは下端の横辺28に当たって圧迫されることを防止できると共に垂れ部30の形を保つことができる。また、この背凭れ22はフレーム5に対してねじ止め等により取り付けられるようにしている。
【0087】
この実施形態における支持片29は、支持枠24の上端の横辺28の中央に形成され、背中に当ったときに硬過ぎず軟らか過ぎず適度に弾性変形できる程度の弾力性を持たせるように幅広でかつ先端に向かうに従って肉薄となるように形成されている。したがって、広い範囲で背中を弾性的に支持すると共に垂れ部30の膜状部材23にかかる力を支持枠24の両側の縦辺27と支持片29とによって支えるため、垂れ部30が潰れて背中が上枠部8に当たって圧迫されることを防ぎ得る。これにより、着座者の上半身よりも大きな背凭れを使用せずに頭部あるいは肩部よりも低い背凭れ22を使用しても、凭れ心地を良くすることができる。
【0088】
また、図6において二点鎖線で示すように、背中の上部を支える膜状部材23は支持片29の先端部付近で段差を形成せずに緩やかに変形するため、背中の上部を圧迫せずに支持することができる。このため、凭れ心地を向上することができる。
【0089】
さらに、垂れ部30の膜状部材23が支持枠24の両側の縦辺27とその間の支持片29により支持されるので、膜状部材23を左右の支持枠24のみにより支持する場合に比べて支持間隔を半分以下にすることができ、垂れ部30の形状を保って直接支持枠24に着座者の身体が当たることもなければ張りを無くしてへたることによって外観を損なうこともない。
【0090】
しかも、ウレタンやラバーバンド等の別部材を使用しなくとも背凭れの垂れ部の形状を保ちかつ背中や腰部を受け支えることができるので、部品点数を少なくして製品コストを安価に抑えることができると共に組み立て工数も減らすことができる。
【0091】
さらに、上述した図11および図12に示す実施形態では背凭れ22の上部に垂れ部30を形成しているが、これには限られず図13に示すように垂れ部30を形成せずに例えば全体が後方に緩やかに反った形状にしても良い。この場合も支持片29により着座者の背中や腰部を弾力的に支持することができると共に、膜状部材23の曲面部分の形を保つことができる。また、ここでは膜状部材23の曲面部分を支える支持片29を上側の横辺28の中央に形成すると共に、これを下側の横辺28の近くにまで達する形状にしている。しかも、支持片29の下方が幅狭に成るように形成している。これにより、支持片29が着座者の背中あるいは腰部を広い範囲で弾力的に支持することができる。
【0092】
さらに、上述した図11〜図13に示す実施形態では支持片29により着座者の背中を直接支持しているが、これには限られず図14に示すように支持片29を支持枠24の上方の横辺28の左右に振り分けて形成するようにしても良い。ここでの支持片29の硬さは支持すべき体重の大きさや必要な弾力性に応じて設定する。この背凭れでは、着座者の背中は支持片29により直接支持されることは無く、各支持片29,29の間に張られる膜状部材23により支持されることになる。このため、背凭れ上端の垂れ部10付近の膜状部材23は、支持枠24の両側の縦辺27とそれらの間の左右の支持片29,29とにより短いスパンで支持されるため、膜状部材23の張り・弾力性を失わずに背中を支持することができる。これにより、着座者の背中が横辺28に当たって圧迫されることが防いで凭れ心地を良くできるし、凭れ上端の垂れ部10の形を保って外観も良くできる。しかも、支持片29は左右に振り分けて形成されるので、着座者の背骨が直接支持片29に当たる虞が少なく、凭れ心地も一層良くなる。
【0093】
さらに、上述した背凭れ22の各実施形態では支持部を舌形状などの自由端を有する支持片29としているが、これには限られず図15に示すように支持部29を支持枠24の上下の横辺28同士を連結する例えば帯状のものにしても良い。この場合、背凭れ22の縦方向の全体に亘って背中や腰部がしっかり支えられると共に膜状部材23の曲面または屈曲面部分の形を維持することができる。
【0094】
ところで、上述した各実施形態では枠状支持部材である支持枠4,24がほぼ矩形状であるが、これには限られず三角形状や五角形状、あるいは円形状の枠状支持部材としても良い。これらの場合、支持部が形成される一部の辺を着座者の身体が交わる斜辺や円弧辺にするようにする。これによっても、着座者の身体が一部の辺に当たって圧迫されることが防止されると共に膜状部材の曲面または屈曲面部分の形を保つことができる。
【0095】
また、上述した座2や背凭れ22の各実施形態では支持部が形成される一部の辺を着座者の身体が交わる辺にしているが、これには限られず着座者の身体が必ずしも交わらない例えば縦辺7,27にしても良い。この場合、膜状部材の曲面または屈曲面部分の形を保つことができる。しかも、着座者の身体が一部の辺に当たることがあっても、そのクッション性を良好にすることができる。
【0096】
また、本発明の椅子の構造物は、主にそれだけで座2あるいは背凭れ22などを構成する実施形態について説明しているが、これに特に限定されるものではなく、この構造物をコア材としてさらにその上からウレタンフォーム及び上張地若しくは上張地のみを被せて座あるいは背凭れなどを構成する座くるみや背くるみの心材としても使用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0097】
1 椅子
2 座(椅子の構造物)
3、23 膜状部材
4、24 支持枠(枠状支持部材)
6 支持面
7、27 縦辺(保持辺)
8、28 横辺(一部の辺)
9、29 支持片(支持部)
10、30 垂れ部(膜状部材の曲面あるいは屈曲面部分)
17 リブ
20 取付部
21 周囲部
22 背凭れ(椅子の構造物)
【出願人】 【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
【出願日】 平成21年7月21日(2009.7.21)
【代理人】 【識別番号】100087468
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 一美
【公開番号】 特開2009−233403(P2009−233403A)
【公開日】 平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願番号】 特願2009−170128(P2009−170128)