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【発明の名称】 化粧用パフ
【発明者】 【氏名】笹尾 卓弘
【氏名】清水 美紀
【課題】化粧水を用いて化粧する際に予め冷蔵庫等で冷却しなくても、肌を冷やして化粧乗りを良好にすることができる化粧用パフの提供を目的とする。

【解決手段】含水性を有する第1層13と第2層15の間に、水分との接触で吸熱反応を生じるキシリトールからなる吸熱性物質21と、吸水性ポリマーからなる吸水性物質31を分散させて化粧用パフを構成し、化粧をする際に化粧用パフの表面に付着した化粧水の水分が化粧用パフ内の吸熱性物質21と接触することにより生じる吸熱性物質21の吸熱反応で、化粧用パフの温度を低下させ、化粧用パフと接触する肌を冷却して化粧乗りを良好にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水性を有するパフ本体内に、水分との接触で吸熱反応を生じる吸熱性物質を有することを特徴とする化粧用パフ。
【請求項2】
前記パフ本体が2以上の層からなり、前記パフ本体の層間に前記吸熱性物質を有することを特徴とする請求項1に記載の化粧用パフ。
【請求項3】
前記パフ本体内に前記吸熱性物質と共に吸水性物質を有することを特徴とする請求項1または2に記載の化粧用パフ。
【請求項4】
前記吸熱性物質がキシリトールからなることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の化粧用パフ。
【請求項5】
前記吸水性物質が吸水性ポリマーからなることを特徴とする請求項3または4に記載の化粧用パフ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧用パフに関し、特には化粧水を含ませて使用する際に肌を冷やしながら化粧をすることができる化粧用パフに関する。
【背景技術】
【0002】
化粧用パフに化粧水を含ませて化粧をする際、肌を冷やして化粧を行うと肌への化粧乗りが良好となることが知られている。また、化粧水を含ませて使用される化粧用パフは、コットン等の繊維材等からなる含水性の材質で構成され、冷却機能を有しないことから、化粧乗りを良好にするには、顔面形状に形成された袋内に保冷剤が収容された冷却用マスクや水を含ませたタオルを冷蔵庫に収容して予め冷却し、化粧時に冷蔵庫から冷却用マスクやタオルを取り出して顔面に所定時間被せて顔を冷やし、その後に化粧用パフで化粧することが行われている。
【0003】
しかし、肌への化粧乗りを良好にするには冷却用マスクや水を含ませたタオルを冷蔵庫で予め冷却する準備が必要となるため、準備に手間がかかり、迅速に化粧をすることができない問題や、化粧用パフの他に余分な冷却用マスクやタオルが必要となる問題がある。また、美容用具に化粧水等を含ませて冷凍庫等で美容用具を冷凍し、その後冷凍庫から美容用具を取り出して数分間常温に放置し、その後に美容用具を使用することも提案されている(特許文献2参照)が、この美容用具においても、予め所定時間冷凍しなければならない煩わしさがある。
【0004】
【特許文献1】特開平11−206449号公報
【特許文献2】特開2005−7018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、化粧水を用いて化粧する際に予め冷蔵庫等で冷却しなくても、肌を冷やして化粧乗りを良好にすることができる化粧用パフの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、含水性を有するパフ本体内に、水分との接触で吸熱反応を生じる吸熱性物質を有することを特徴とする化粧用パフに係る。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記パフ本体が2以上の層からなり、前記パフ本体の層間に前記吸熱性物質を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記パフ本体内に前記吸熱性物質と共に吸水性物質を有することを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記吸熱性物質がキシリトールからなることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3または4において、前記吸水性物質が吸水性ポリマーからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、化粧用パフは、含水性を有するパフ本体内に、水分との接触で吸熱反応を生じる吸熱性物質を有するため、化粧をする際に化粧水を化粧用パフに含ませると、化粧用パフ内の吸熱性物質が化粧水の水分と反応して吸熱反応を起こし、化粧用パフの温度を低下させ、化粧用パフと接触する肌を冷却することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、パフ本体が2以上の層からなり、パフ本体の層間に吸熱性物質を有する構成からなるため、吸熱性物質をパフ本体内に設けるのが容易になり、化粧用パフの製造が容易なる。
【0013】
請求項3の発明によれば、パフ本体内に吸熱性物質と共に吸水性物質を有するため、化粧水を化粧用パフに含ませて化粧をしている間、化粧水の水分が化粧用パフ内の吸水性物質に保持されて吸熱性物質に水分が効率よく供給されることになり、吸熱性物質による吸熱反応が良好に持続され、化粧用パフの冷却維持時間を長くする効果が得られる。
【0014】
請求項4の発明によれば、吸熱性物質が、食品添加物として使用されているキシリトールからなるため、化粧用パフの安全性が高くなるのみならず、吸熱性物質の入手が容易である。
【0015】
請求項5の発明によれば、吸水性物質が、従来種々の分野で用いられている吸水性ポリマーからなるため、吸水性物質の入手が容易であり、また吸水性ポリマーの量を調節することにより、化粧用パフにおける冷却持続時間を調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の一実施例に係る化粧用パフの斜視図、図2は図1の化粧用パフの断面図である。図に示す化粧用パフ10は、パフ本体11内に吸熱性物質21を有する。
【0017】
前記パフ本体11は、複数の層で構成され、各層が含水性の材質で構成されている。本実施例のパフ本体11は、第1層13と第2層15の二層で構成されている。前記含水性の材質としては、コットンやコットンとレーヨンの混綿等からなる繊維ウェブなど、水分が表面から内部に浸透して表面および内部に水分を含むことができるものが挙げられる。また、前記パフ本体11は、熱可塑性合成樹脂繊維などからなる熱融着性繊維を混入させて周縁等を熱シールで融着するのが好ましい。符号17は熱シール部である。
【0018】
さらに、前記パフ本体11の第1層13と第2層15を、図3に示すように、芯材13A,15Aと、その外面に積層した表面材13B,15Bで構成してもよい。前記芯材13A,15Aは、コットンやコットンとレーヨンの混綿等、さらにはそれらに熱融着性繊維を混入させた繊維ウェブなどのクッション性がある含水性材質とし、一方、前記表面材13B,15Bは、前記芯材13A,15Aの表面を保護して化粧時に肌触りを良好にするものであり、熱可塑性合成樹脂繊維などからなる熱融着性の不織布などで構成するのが好ましい。なお、前記芯材13A,15Aを熱融着性繊維が含まれていないもので構成すると共に、前記表面材13B,15Bを前記芯材13A,15Bの平面寸法よりも大きい平面寸法で構成して、前記芯材13A,15Aの外周からはみ出している表面材13B,15Bの周縁を熱融着等でシールしてもよい。
【0019】
本実施例では、前記第1層13と第2層15の間に吸熱性物質21と吸水性物質31を有する。前記吸熱性物質21は、水分との接触により吸熱反応を生じるものからなり、特にキシリトールが好ましい。前記キシリトールは、食品添加物として認められており、甘味料や虫歯予防剤等に広く用いられているものであり、粉末状のものを前記第1層13と第2層15間に散布して分散させるのが好ましい。前記キシリトールの量は、少なすぎると化粧水との接触による吸熱量が少なくなって、化粧用パフ10の表面における充分な冷却作用が得られなくなるため、前記第1層13と第2層15の材質やサイズ等によって、最適な量を設定するのが好ましい。前記化粧用パフ10を、従来使用されている化粧用パフと同等のサイズ(厚み2〜10mm、縦50〜100mm、横45〜70mm)とした場合、前記キシリトールの量は1〜10g程度が好ましい。なお、キシリトールの量が多い場合には冷却効果が必要以上に過剰となり、それとは逆にキシリトールが高価なために化粧用パフのコストアップを生じることから、上記範囲が好ましい。また、キシリトールは、常温で粉体のものが用いられる。キシリトールの粒子径は、0.3mm〜2mm程度が好ましい。キシリトールの粒子径が0.3mmより小さくなると、繊維ウェブ上に散布された粉体のキシリトールが繊維ウェブ表面の繊維の隙間から落下しやすくなって第1層13と第2層15間にキシリトール粉体を保持させることが困難となる。一方、キシリトールの粒子径が2mmよりも大きくなると、化粧用パフ10の使用時にざらつき感を生じやすくなる。
【0020】
前記吸水性物質31は、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等の親水性ポリマーを架橋して水に不溶とした吸水性ポリマーを好適なものとして挙げる。前記吸水性物質31を、前記吸熱性物質21と共に前記パフ本体11内に存在させることにより、前記吸熱性物質21による吸熱作用の持続性を高めることができる。前記吸水性物質31の量は、多すぎると化粧用パフ10の表面に付着させた化粧水の大部分が吸水性物質31に取り込まれて前記吸熱性物質21と水分との接触が損なわれ、吸熱性物質21の冷却作用が損なわれたり、化粧用パフ10の表面に存在する化粧水の量が少なくなって化粧効率が悪くなったりする。前記化粧用パフ10を、従来使用されている化粧用パフと同等のサイズ(厚み2〜10mm、縦50〜100mm、横45〜70mm)とし、前記キシリトールの量を1〜10gとした場合、前記吸水性31物質の量は、0.3〜2.5g程度とするのが好ましい。
【実施例】
【0021】
以下、具体的な実施例について説明する。図3に示す構成からなる化粧用パフ、すなわち、第1層13と第2層15を芯材13A,15Aの外面に表面材13B,15Bを積層したもので構成し、第1層13と第2層15間に吸熱性物質21と吸水性物質31を分散させ、パフ本体11の周縁を熱シールした実施例の化粧用パフ(厚み5mm、縦60mm、横50mm)を、吸熱性物質21と吸水性物質31の量を変化させて作成した。表1に各実施例における吸熱性物質21と吸水性物質31の量を示す。
【0022】
なお、各実施例で使用した芯材13A,15Aはコットンと熱融着性繊維(芯部分がポリプロピレン、鞘部分がポリエチレンの2成分からなる熱融着性繊維)とからなり、表面材13B,15Bは目付量10g/mのコットン製不織布からなり、吸熱性物質21はキシリトール粉末(粒子径0.5mm、共栄社化学製)からなり、吸水性物質31は物質名:ポリビニルアルコール(品番:サンフレッシュST−500D、三洋化成工業株式会社製)からなる。
【0023】
【表1】


【0024】
各実施例の化粧用パフの表面に化粧水の代替として蒸留水を2cc滴下して、化粧用パフの表面温度を所定時間測定した。測定は、熱電対を化粧用パフの表面に貼って行った。測定結果を表1の下部に示す。なお、実施例1〜3は吸熱性物質のみを含み、吸水性物質を含まない例である。また、比較のために吸熱性物質および吸水性物質の両方を含まない比較例1〜3についても、実施例と同様にして化粧用パフの表面温度変化を測定した。
【0025】
測定結果から理解されるように、各実施例の化粧用パフは、表面に滴下した蒸留水によって表面温度が滴下直後の20℃〜最低で8℃台まで低下する。特に吸熱性物質のみを含む実施例1〜3は、滴下直後の20℃台から1分後には8℃台〜11℃台まで急速に温度低下するため、直ちに冷たさを実感することができるが、3分経過頃から徐々に温度が上昇するため、最低温度低下維持時間(すなわち冷却維持時間)にやや劣っている。それに対し、吸熱性物質と吸水性物質の両方を有する実施例4〜9は、吸熱性物質のみの実施例1〜3よりも最低温度は若干高くなるものの、20分後まで、ほぼ最低温度の14℃台〜15℃台を維持し、表面温度の低下維持時間が格段に長くなっており、しかも冷却しすぎることがなかった。具体的には、実施例4〜6は、滴下直後の20℃台から1分後には15℃台以下にまで急速に温度が低下し、その後もその低温度を維持している。それに対して、実施例7〜9は、滴下直後の20℃台から3〜5分後に15〜17℃台となり、その後もその低温度を維持している。したがって、実施例4〜9の化粧用パフは、低温になってからの維持時間が長いため、化粧水の滴下後、落ち着いて長い時間かけて化粧をすることができる利点がある。一方、比較例は、蒸留水の滴下後、20分経過しても滴下直後の20℃からほとんど温度低下がみられず、温度低下効果が得られなかった。
【0026】
このように、本発明の化粧用パフは、化粧水を用いて化粧を行う際に、パフの表面温度を下げることができるため、化粧用パフと触れる肌を冷やして化粧乗りを良好にすることができる。しかも、本発明の化粧用パフは、予め冷蔵庫等で冷却しておかなくても、化粧用パフの表面温度を下げることができるため、化粧を開始するまでに手間取ることがない。また、本発明の化粧用パフは、化粧に使用した後も、顔の一部や首の一部分にしばらく付着させておけば、冷却を維持して発汗を抑えることができるので、化粧ムラを少なくすることができる。さらに、本発明の化粧用パフは、水分との接触で吸熱反応を生じる吸熱性物質を有するため、化粧をする際のみならず、効率良く汗の水分を吸収することができることから、汗拭きとしても効果的なものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る化粧用パフの斜視図である。
【図2】図1の化粧用パフの断面図である。
【図3】パフ本体の他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0028】
10 化粧用パフ
11 パフ本体
13 第1層
13A 第1層の芯材
13B 第1層の表面材
15 第2層
15A 第2層の芯材
15B 第2層の表面材
21 吸熱性物質
31 吸水性物質
【出願人】 【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
【識別番号】508025286
【氏名又は名称】株式会社システックス
【出願日】 平成19年7月30日(2007.7.30)
【代理人】 【識別番号】100098752
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 吏規夫
【公開番号】 特開2009−28392(P2009−28392A)
【公開日】 平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願番号】 特願2007−196967(P2007−196967)