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【発明の名称】 移動体用整流装置
【発明者】 【氏名】西村 智男
【氏名】西村 隆滋
【課題】小型且つ軽量であり、移動体の周囲に沿って流れる流体によって移動体の後部に発生する渦量を抑制することにより後部の負圧を軽減する整流装置を提供する。

【解決手段】ヘルメット1の後部の外面から後方に向かうに従って、突出方向と直交する方向の幅が狭くなるように形成された天井面3と、該天井面3から下方に向かうに従って、下端部が前記移動体の後部外面の幅方向中央部に近接するように形成される側面4と、前記移動体の後部の外面に沿うように形成された取付面5とを備える整流装置2。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体中を移動する移動体の移動方向後部に設けられる移動体用整流装置において、
前記移動体の後部の外面から後方に向かって突出して突条部が設けられ、
該突条部は、前記移動体の上面に沿って流れる流体を整流する天井面と、
前記移動体の左右両側面に沿って流れる流体を整流する左右一対の側面と、
前記移動体の後部の外面に取付けるための取付面と、を備えることを特徴とする移動体用整流装置。
【請求項2】
前記天井面は、前記移動体の後部の外面から水平面に対して上下60度の範囲内で傾斜角を有して後方に向かって突出し、後方へ向かうに従って突出方向に直交する方向の幅が狭くなるように形成され、
前記側面は、前記天井面から下方に向かうに従って、下端部が前記移動体の後部外面の幅方向中央部に近接するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の移動体用整流装置。
【請求項3】
前記突条部は、前記移動体の後部の外面に沿うように三角形状に形成された前記取付面を備えると共に、該取付面を1つの面とする三角錐形状を有しており、
前記天井面は、前記取付面の一辺を底辺とする二等辺三角形状に形成され、
前記側面は、前記天井面の前記底辺以外の二辺をそれぞれ一辺に含む2つの三角形状に形成されることを特徴とする請求項2に記載の移動体用整流装置。
【請求項4】
前記移動体は、頭部を覆うように構成されたフード又は頭部に装着可能なバンドであって、前記突条部は、弾性を有する材質で形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の移動体用整流装置。
【請求項5】
前記移動体は、運転室と荷台を備えたトラックであって、前記突条部は、前記運転室の後部の外面から突出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の移動体用整流装置。
【請求項6】
前記移動体は、乗用車であって、前記突条部は、前記乗用車の後部の外面及び/又はリアガラスから突出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の移動体用整流装置。
【請求項7】
前記突条部は、折畳み可能に形成されることを特徴とする請求項5又は6に記載の移動体用整流装置。
【請求項8】
流体中を移動する移動体の移動方向後部に設けられる移動体用整流装置において、
前記移動体の後部の外面から後方に向かって突出して突条部が設けられ、
該突条部は、前記移動体の下面に沿って流れる流体を整流する底面と、
前記移動体の左右両側面に沿って流れる流体を整流する左右一対の側面と、
前記移動体の後部の外面に取付けるための取付面と、を備えることを特徴とする移動体用整流装置。
【請求項9】
前記移動体は、船舶の船底に設けられたベース板に取付けられる被取付部材を収容するための収納部であって、
前記底面は、前記収納部の後部の外面から水平面に対して上下60度の範囲内で傾斜角を有して後方に向かって突出し、後方へ向かうに従って突出方向に直交する方向の幅が狭くなるように形成され、
前記側面は、前記底面から上方に向かうに従って、上端部が前記収納部の後部外面の幅方向中央部に近接するように形成されることを特徴とする請求項8に記載の移動体用整流装置。
【請求項10】
前記突条部は、前記収納部の後部の外面に沿うように三角形状に形成された前記取付面を備えると共に、該取付面を1つの面とする三角錐形状を有しており、
前記天井面は、前記収納部の後部の外面に接する前記取付面の一辺を底辺とする二等辺三角形状に形成され、
前記側面は、前記天井面の前記底辺以外の二辺をそれぞれ一辺に含む2つの三角形状に形成されることを特徴とする請求項9に記載の移動体用整流装置。
【請求項11】
前記収納部は、前記ベース板に対して回転可能に取付けられ、前記突条部は、前記収納部の後部の外面に取付けられ、前記収納部の回転に伴って、前記突条部は、回転することを特徴とする請求項9又は10に記載の移動体用整流装置。
【請求項12】
前記収納部の外周より大径の内周を有し、前記ベース板に対して回転可能に取付けられる取付板と、前記取付板に一端が固定され、他端が前記底面の前記収納部の後部外面と接する基端側に固定される支持体と、を具備し、前記突条部の上方側先端部は、前記取付板に固定され、前記取付板の回転に伴って、前記突条部は前記収納カバーの外周面に沿って回転することを特徴とする請求項9又は10に記載の移動体用整流装置。
【請求項13】
前記突条部は、金属又は硬質樹脂で形成されることを特徴とする請求項1乃至3、5、6又は請求項8乃至12のいずれかに記載の移動体用整流装置。
【請求項14】
前記取付面は、前記移動体の後部の外面に着脱可能であることを特徴とする請求項2乃至13のいずれかに記載の移動体用整流装置。
【請求項15】
前記突条部の外面に発光体を備えたことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の移動体用整流装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の移動手段、該移動手段の外周面に取付可能な収納部、又はヘルメット等の頭部に装着可能な頭部装着具等の移動体の後部に設けられ、該移動体の後部に生じる渦流を抑制するための移動体用整流装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等が走行する際、前方から風圧が作用し、車体の周囲に沿って後方に流れた空気の流れにより車体の後部に渦流が発生する。この渦流により後方に吸引する負圧が生じるため、車体が後方へ引っ張られ、大きな抵抗となる。そのため、車体の後部に発生する渦流は、燃費の低下等に影響を与えることになる。
【0003】
また、バイク等で走行する際やスピードスケート等のように高速で移動するような競技を行う際には、安全性等への配慮からヘルメットや空気抵抗を軽減するためのフード等を着用した状態で走行する。例えば、バイクで走行する場合、着用しているヘルメットの周囲に沿って後方に流れる空気流によりヘルメットの後部に渦流が発生する。そして、この渦流により後方に吸引する負圧が生じるため、頭部が後方へ引っ張られる力を受けることになる。そのため、走行時の安定性が損なわれる。また、長時間バイクを運転する場合は、首等に掛かる負担が大きくなり疲労を引き起こす原因となる。このようなヘルメットの後部に渦流が発生する現象は、スピードスケート等の高速で移動する競技においても生じ、特にスピードを争うような競技においては、記録に影響を与えることになる。
【0004】
これらの移動体の後部に発生する渦流を抑制するため、従来から自動車では、後部にリアスポイラーが設けられている(例えば、特許文献1参照)。このリアスポイラーは、車体の後部上端部の外面に沿って車体の幅方向に延びて形成され、車体の後方側へ突出している。そのため、このリアスポイラーは、車体の上面に沿って流れる空気が、車体の後方に回り込んで渦を生じさせないように、車体の後方へ空気を逃がすことにより整流する。
【0005】
また、従来から自転車競技等では、空気の流れが前方から後方へ流れる際にヘルメットの後方に生じる渦流を抑制するために、後方に長く延長されたヘルメット等が使用されている。また、後方に長く延長されたヘルメットよりも小型軽量化するために、ヘルメットの後部の外面から後方側へ突出した平面板が設けられたヘルメットも開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−46658号公報
【特許文献2】実開昭62−60228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、自動車の後部に備えられる従来のリアスポイラーは、車体の後部上端部から幅方向に延びて形成され、車体の後方側へ突出して設けられているので、車体の上面に沿って流れる空気は整流されるが、車体の両側面から後方へ流れる空気に対しては、あまり整流効果が望めないという問題がある。
【0007】
また、後方に長く延長されたタイプのヘルメットにおいても、前方から後方への流れる空気に対しては、整流できるが、走行時に横から受ける風はほとんど整流できず、逆に後方に長く延長されている分、横風を受ける面積が増えるため、横風による影響により走行の安定性を低下させる場合がある。また、これらのヘルメットでは、後方へ延長される部分がヘルメットの下端部後方から延長されているため、頭部の可動域も制限されてしまう。
【0008】
また、後方に長く延長されたタイプのヘルメットでは、頭部を収容するために必要なサイズよりも大きくなるため、重量がその分重くなる。更に、後方へ延長した分、体積も大きくなるので、ヘルメットを収容する際は広いスペースが必要となり、通常のメットイン式のバイクの収納部には収納できない場合がある。
【0009】
特許文献2に開示されているヘルメットでは、ヘルメットの後部の外面に平面板が後方側へ突出するように取付けられた構成であるので、ヘルメットと平面板との接着部分の面積が少なく、接着強度が弱い。そのため、後方へ突出する平面板が破損し易い。また、平面板であるので、ヘルメットの両側面に沿って流れる空気に対しては、ほとんど整流効果を得ることができない。
【0010】
本発明は上記のような種々の課題を解決することを目的としてなされたものであって、小型且つ軽量であり、移動体の周囲に沿って流れる流体によって移動体の後部に発生する渦量を抑制することにより後部の負圧を軽減する整流装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1記載の移動体用整流装置では、流体中を移動する移動体の移動方向後部に設けられる移動体用整流装置において、前記移動体の後部の外面から後方に向かって突出して突条部が設けられ、該突条部は、前記移動体の上面に沿って流れる流体を整流する天井面と、前記移動体の左右両側面に沿って流れる流体を整流する左右一対の側面と、前記移動体の後部の外面に取付けるための取付面と、を備えることを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の移動体用整流装置では、前記天井面は、前記移動体の後部の外面から水平面に対して上下60度の範囲内で傾斜角を有して後方に向かって突出し、後方へ向かうに従って突出方向に直交する方向の幅が狭くなるように形成され、前記側面は、前記天井面から下方に向かうに従って、下端部が前記移動体の後部外面の幅方向中央部に近接するように形成されることを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の移動体用整流装置では、前記突条部は、前記移動体の後部の外面に沿うように三角形状に形成された前記取付面を備えると共に、該取付面を1つの面とする三角錐形状を有しており、前記天井面は、前記取付面の一辺を底辺とする二等辺三角形状に形成され、前記側面は、前記天井面の前記底辺以外の二辺をそれぞれ一辺に含む2つの三角形状に形成されることを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の移動体用整流装置では、前記移動体は、頭部を覆うように構成されたフード又は頭部に装着可能なバンドであって、前記突条部は、弾性を有する材質で形成されることを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の移動体用整流装置では、前記移動体は、運転室と荷台を備えたトラックであって、前記突条部は、前記運転室の後部の外面から突出することを特徴としている。
【0016】
請求項6に記載の移動体用整流装置では、前記移動体は、乗用車であって、前記突条部は、前記乗用車の後部の外面及び/又はリアガラスから突出することを特徴としている。
【0017】
請求項7に記載の移動体用整流装置では、請求項5又は請求項6に記載の移動体用整流装置において、前記突条部は、折畳み可能に形成されることを特徴としている。
【0018】
請求項8に記載の移動体用整流装置では、流体中を移動する移動体の移動方向後部に設けられる移動体用整流装置において、前記移動体の後部の外面から後方に向かって突出して突条部が設けられ、該突条部は、前記移動体の下面に沿って流れる流体を整流する底面と、前記移動体の左右両側面に沿って流れる流体を整流する左右一対の側面と、前記移動体の後部の外面に取付けるための取付面と、を備えることを特徴としている。
【0019】
請求項9に記載の移動体用整流装置では、前記移動体は、船舶の船底に設けられたベース板に取付けられる被取付部材を収容するための収納部であって、前記底面は、前記収納部の後部の外面から水平面に対して上下60度の範囲内で傾斜角を有して後方に向かって突出し、後方へ向かうに従って突出方向に直交する方向の幅が狭くなるように形成され、前記側面は、前記底面から上方に向かうに従って、上端部が前記収納部の後部外面の幅方向中央部に近接するように形成されることを特徴としている。
【0020】
請求項10に記載の移動体用整流装置では、請求項9に記載の移動体用整流装置において、前記突条部は、前記収納部の後部の外面に沿うように三角形状に形成された前記取付面を備えると共に、該取付面を1つの面とする三角錐形状を有しており、前記天井面は、前記収納部の後部の外面に接する前記取付面の一辺を底辺とする二等辺三角形状に形成され、前記側面は、前記天井面の前記底辺以外の二辺をそれぞれ一辺に含む2つの三角形状に形成されることを特徴としている。
【0021】
請求項11に記載の移動体用整流装置では、前記収納部は、前記ベース板に対して回転可能に取付けられ、前記突条部は、前記収納部の後部の外面に取付けられ、前記収納部の回転に伴って、前記突条部は、回転することを特徴としている。
【0022】
請求項12に記載の移動体用整流装置では、前記収納部の外周より大径の内周を有し、前記ベース板に対して回転可能に取付けられる取付板と、前記取付板に一端が固定され、他端が前記底面の前記収納カバーの後部外面と接する基端側に固定される支持体と、を具備し、前記突条部の上方側先端部は、前記取付板に固定され、前記取付板の回転に伴って、前記突条部は前記収納カバーの外周面に沿って回転することを特徴としている。
【0023】
請求項13に記載の移動体用整流装置では、前記突条部は、金属又は硬質樹脂で形成されることを特徴としている。
【0024】
請求項14に記載の移動体用整流装置では、前記取付面は、前記移動体の後部の外面に着脱可能であることを特徴としている。
【0025】
請求項15に記載の移動体用整流装置では、前記突状部の外面に発光体を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
請求項1に記載の移動体用整流装置によれば、天井面により移動体の上面に沿って流れる流体を整流し、左右一対の側面により移動体の左右両側面に沿って流れる流体を整流することができるので、移動体の後部に発生する渦流を抑制することができる。
【0027】
請求項2に記載の移動体用整流装置によれば、移動体の後部の外面から後方に向かって突出した天井面を備えているので、前方から移動体の上面に沿って移動体の後部に流れる空気を整流することができる。これにより、移動体の上面に沿って流れる空気により移動体の後部に発生する渦流を抑制することができるので、渦流により移動体の後部に生じる負圧を軽減できる。
【0028】
また、天井面は、後方へ向かうに従って突出方向に直交する方向の幅が狭くなるように形成され、天井面の下方には、下方に向かうに従って下端部が移動体の後部外面の幅方向中央部に近接するように形成される側面を備えているので、前方から移動体の両側面に沿って流れる空気は、天井面の下方に形成される側面により整流される。これにより、移動体の両側面に沿って流れる空気により移動体の後部に発生する渦流も抑制することができるので、渦流により移動体の後部に生じる負圧を軽減できる。
【0029】
また、天井面の下方に形成される側面は、下方に向かうに従って下端部が移動体の後部外面の幅方向中央部に近接するように形成されているので、移動体の走行時に横からの風圧を受ける面積を小さくすることができる。これにより、走行時の横風の影響が軽減され、より安定した走行が可能になる。また、突条部全体の体積も小さくなるので、小型軽量化することができる。
【0030】
例えば、移動体がヘルメットである場合には、バイク等で走行する際に前方からヘルメットの上面に沿ってヘルメットの後部に流れる空気を天井面により整流することができる。また、前方からヘルメットの両側面に沿ってヘルメットの後方に流れる空気は、天井面の下方に形成される側面により整流することができる。これにより、ヘルメットの周囲に沿ってヘルメットの後方に流れる空気は整流され、ヘルメットの後部に発生する渦量を抑制できる。従って、バイクで走行する際等は、ヘルメットの後部に生じる負圧が軽減されるので、安定した走行が可能となり、首等に掛かる負担も軽減される。
【0031】
請求項3に記載の移動体用整流装置によれば、突条部は、三角錐形状を有しているので、整流装置をより小型軽量化することができる。これにより、ヘルメット等の後部の外面に整流装置を設けた場合でも、頭部の可動域がほとんど制限されることなく、首等への負担も軽減できる。
【0032】
請求項4に記載の移動体用整流装置によれば、例えば、スピードスケート等で使用されるフードの後部の外面に整流装置を設けることにより、リンクを走行する際に、フードの周囲に沿ってフードの後方に流れる空気を整流することができる。これにより、走行時にフードの後部に発生する渦流が抑制され、フードの後部に生じる負圧が軽減されるので、安定した走行を補助し、延いては競技力の向上に役立つ。また、突条部は弾性を有する材質により形成されているので、転倒時には緩衝材としての役割を果たすことができ、脳震盪等を起こす危険性を軽減することができる。
【0033】
請求項5又は6に記載の移動体用整流装置によれば、トラックの運転室の後部の外面又は乗用車の後部の外面に整流装置を設けることにより、運転室又は車体の周囲に沿って後方に流れる空気を整流することができる。これにより、走行時に運転室又は車体の後部に発生する渦流が抑制され、後部に生じる負圧が軽減されるので、燃費の向上を図ることができる。また、天井面を水平面に対して上向きに傾斜するように構成すれば、走行時に前方から運転室又は車体の外部上面に沿って流れる空気により天井面に作用する風圧を利用することで、トラック又は乗用車はダウンフォースを受け、走行路面に対する接地力を増加させることができるので、安定した走行が可能になる。
【0034】
請求項7に記載の移動体用整流装置によれば、突条部は、折畳み可能であるので、トラックの荷台に多くの荷物を載せるような場合は、突条部を折畳んで収納することにより、荷物の載置スペースを確保できる。
【0035】
請求項8に記載の移動体用整流装置によれば、底面により移動体の下面に沿って流れる流体を整流し、左右一対の側面により移動体の左右両側面に沿って流れる流体を整流することができるので、移動体の後部に発生する渦流を抑制することができる。
【0036】
請求項9に記載の移動体用整流装置によれば、船舶の移動に伴って、収納部の下方から収納部の移動方向後部に流れる水流は、収納部の後部の外面から後方に突出する突条部の底面により整流され、収納部の両側面から流れる水流は、突条部の側面により整流される。これにより、収納部の後方に発生する渦流が抑制され、収納部の後部に生じる負圧は軽減されるので、船舶の燃費の向上を図ることができる。
【0037】
請求項10に記載の移動体用整流装置によれば、突条部は三角錐形状を有しているので、整流装置を小型軽量化することができる。
【0038】
請求項11に記載の移動体用整流装置によれば、収納部の後部の外面に突条部が取付けられ、収納部は船底に設けられたベース板に回転可能に取付けられているので、船舶が移動する際、水中では船舶の移動方向の反対方向に水流による作用を受け、収納部が回転し、それに伴って突条部も回転する。これにより、突条部は、船舶が後進する場合やサイドスラスター等により左右に移動する場合でも、船舶の移動方向の反対方向に突出するように回転するので、収納部の周囲から収納部の移動方向の後方に生じる渦流を軽減することができる。
【0039】
請求項12に記載の移動体用整流装置によれば、ベース板に対して回転可能に取付けられる取付板に突条部の上側先端部が固定され、底面の収納部の後部外面と接する基端側は、支持体を介して取付板に固定されるので、請求項11に記載の移動体用整流装置と同様に突出部は、船舶の移動方向の反対方向に突出するように回転する。これにより、船舶が後進する場合やサイドスラスター等により左右に移動する場合にも、突条部は、その移動方向に対して反対方向に回転し、収納部の周囲から収納部の移動方向の後方に生じる渦流を軽減することができる。
【0040】
請求項13に記載の移動体用整流装置によれば、突条部を金属又は硬質樹脂で形成することにより、整流装置の強度を向上させることができる。
【0041】
請求項14に記載の移動体用整流装置によれば、移動体の後部の外面に対して着脱可能であるので、整流装置が必要のない場合は取外すことができる。また、整流装置が破損した場合等は、整流装置のみを交換すれば良いので、経済的である。
【0042】
請求項15に記載の移動体用整流装置によれば、突条部の外面に発光体を備えるので、例えば、ヘルメットの後部の外面に設けられた整流装置の場合、夜間やトンネル等の暗い場所でも周囲に自身の位置を知らせることにより注意を喚起することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下に本発明における最良の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1に示すように、移動体がバイクを走行する際に着用されるフルフェイス型のヘルメット1である場合、ヘルメット1の後部の外面に後方へ突出する突条部2を備える整流装置2が設けられる。整流装置2は、図2に示すように、ヘルメット1の移動方向と直交する幅方向の中央部に設けられ、ヘルメット1の後部の外面から後方に向かうに従って、突出方向と直交する方向の幅が狭くなるように形成された二等辺三角形状の天井面3を有している。また、天井面3はヘルメット1の後部の外面から水平面に対して、下向きの傾斜角を有して後方に突出している。
【0044】
天井面3の下方には、二等辺三角形状の天井面3の対角を構成する二辺をそれぞれ一辺に含む三角形状の2つの側面4が形成されている。この2つの側面4の下端部は、それぞれヘルメット1の後部外面の幅方向中央部の一点に重なるように位置している。また、図3に示すように、整流装置2は、ヘルメット1の後部の外面に沿うように湾曲して形成された三角形状の取付面5を有しており、整流装置2は全体として図3(a)に示すように略三角錐形状を有している。また、取付面5に着脱可能な両面テープ(不図示)を施すことにより、必要に応じて、ヘルメット1の後部の外面から整流装置2を取外すことが可能な構成にすることも可能である。尚、取付方法は上記に限定されるものでななく、例えば、ヘルメット1の後部の外面及び取付面5にマジックテープ(登録商標)或いは止め具等を設けることにより取外し可能な構成としても良い。
【0045】
また、天井面3及び/又は側面4の外面に発光塗料を塗布しておけば、夜間やトンネル等の暗い場所でも周囲の自動車等に自身の位置を知らせることにより注意を喚起することができるので、事故に巻き込まれる危険性を軽減できる。尚、発光の仕方は上記に限定されるものではなく、例えば、天井面3及び/又は側面4の外面にLED等の光源を備えた構成にしても良い。
【0046】
次に、このような整流装置2を後部の外面に設けたヘルメット1を着用して、バイクで走行する場合について説明する。図1(a)は、ヘルメット1を被って正面を向いている時の状態である。停車時や低速で走行する際は、あまり上体を前方に傾けずに運転する場合が多いので、図1(a)に示すような姿勢になる。このような姿勢で低速走行する場合、前方からヘルメット1の上面に沿って流れる空気Xは、ヘルメット1の後部に流れ込もうとするが、ヘルメット1の後部の外面から後方に突出する天井面3により空気Xは、整流される。これにより、空気Xによってヘルメット1の後方に発生する渦流を軽減することができる。また、天井面3は水平面に対して下向きに傾斜しているので、天井面3は、前方からの空気抵抗をほとんど受けない。
【0047】
図1(b)は、スピードを上げた状態又は前傾姿勢で乗車するバイクで走行している際の姿勢を示している。スピードを上げて走行する場合、前方からの空気抵抗を軽減するために、上体を前屈みの状態にすることにより空気抵抗の掛かる面積を小さくして走行する。そのため、頭部も前方に傾くので、ヘルメット1も同様に前方に傾いた状態になる。このように、前傾して走行する場合も、図1(b)に示すように前方からヘルメット1の上面に沿って流れる空気Xは、天井面3により整流される。また、この際にも、前方からの空気抵抗を極力受けないために、整流装置2の天井面3は、水平面よりも下向きの角度に傾斜していることが好ましい。従って、ヘルメットの後部の外面に設けられる整流装置2の天井面3においては、水平面に対して30度くらい下向きに傾斜して形成されることが好ましい。尚、天井面3の傾斜角は、必ずしも下向きに形成される必要はなく、水平面に対して上下60度の範囲内において適宜形成される。
【0048】
また、図2(a)に示すように、整流装置2の天井面3は、後方に向かうに従って突出方向と直交する方向の幅が狭くなるように形成され、天井面3の下方には、図2(b)に示すように下端部がそれぞれヘルメット1の後部外面の幅方向中央部に位置する三角形状の2つの側面4が形成されている。従って、図2(a)に示すように、前方からヘルメット1の両側面に沿って流れる空気Yは整流装置2の側面4により整流される。これにより、ヘルメット1の後部に発生する渦流を抑制することができ、ヘルメット1の後部に生じる負圧を軽減することができる。
【0049】
また、図2(b)に示すように、天井面3から下方に形成された2つの三角形状の側面4は、下方に向かうに従って、それぞれの下端部がヘルメット1の後部外面の幅方向中央部の一点に重なるように形成されているので、図1に示すように、下方に向かうに従って側面4の前後方向における幅は狭くなる。これにより、走行時に横から吹く風に当たる面積は小さくなるので、横風による走行性の低下を軽減することができる。また、整流装置2の全体の体積も小さくなるので、小型軽量化を図ることができ、頭部の可動域もほとんど制限されない。尚、図2(b)の整流装置2では、側面4の下端部がヘルメット1の後部の下端まで到達しないように形成されているが、側面4の下端部とヘルメット1の後部の下端が一致する様に形成しても良い。その場合、ヘルメット1の上下方向のほぼ全体に渡って整流装置2が設けられることになるので、ヘルメット1の両側面に沿って流れてくる空気のほぼ全体に対して整流効果を与えることができる。
【0050】
また、図2(b)の整流装置2では、側面4の下端部がそれぞれヘルメット1の後部の幅方向中央部で一点に重なるように形成されているが、特にこのような形状に限定されるものではなく、図3(b)に示すように、下端の一部をカットしたような形状の整流装置2aを設けても良い。
【0051】
また、整流装置2は、ヘルメット1だけでなく、図4に示すようにスピードスケート等の高速で移動するスポーツを行う際に頭部に着用するフード1a等の後部に設けても良い。スピードスケート等の場合でもスピードを上げて走行するために、前傾した状態で走行する。この際、頭部も図4(b)のように、前方に傾いた状態になる。従って、頭部が前傾した状態でも、前方からの空気抵抗の影響を軽減するために、整流装置2の天井面3は水平面よりも下向きの傾斜角を有して形成されることが好ましい。
【0052】
また、スピードスケート等の高速で移動する競技では、転倒時の怪我の程度を軽減するために、整流装置2の素材としては、緩衝作用を得るために弾性を有する材質を使用して形成されることが好ましい。これにより、転倒時の後頭部への衝撃を緩和することができ、脳震盪等の危険性を軽減できる。
【0053】
また、頭部全体を覆うようなヘルメット1やフード1a以外にも図5に示すように、頭部に装着するバンド1bのような簡易な構成に整流装置2を設けることも可能である。図5では、前頭部、両側頭部、及び後頭部の上側に渡る周囲に固定されるバンド1bと顎から後頭部の下面に渡る周囲に固定されるバンド1bの2本により頭部に装着される。そして、上側のバンド1bの後部の外面には取付面の上端側が固定され、下側のバンド1bの後部の外面には取付面の下端側が固定される。
【0054】
図6に示す整流装置2bは、運転室6と荷台7を備えたトラック1cの運転室6の後部外面に設けられている。この整流装置2bでは、水平面に対して上向きに傾斜するように天井面3が形成されている。これにより、走行時にトラック1cの前方から運転室6の外部上面に沿って流れる空気により天井面3に作用する風圧を利用することで、トラック1cはダウンフォースを受け、走行路面に対する接地力を増加させることができるので、より安定した走行が可能となる。尚、図6では、天井面3が水平面に対して、上向きに傾斜した例を示しているが、天井面3を水平面に対して下向きに傾斜させた構成でも良い。この場合には、走行時にトラック1cの前方からの空気抵抗を天井面3はほとんど受けずに運転室6の外部上面に沿って流れる空気を整流することができる。
【0055】
また、天井面3は硬質樹脂又はアルミ等の金属で形成され、天井面3の運手室6に接する基端側と取付面5の上面側には折畳み可能なようにヒンジ8が設けられている。また、側面4は、ビニール等の柔軟性を有する素材で形成されている。そして、整流装置2bの内部には、下端が取付面5の内面に固定され、上端が天井面3の内面に固定された伸縮可能なジャッキ9が備えられている。このジャッキ9を伸長した場合には、図6(a)示すように、天井面3は水平面に対して上向きに傾斜して固定され、側面5は天井面3に引っ張られ、整流装置2bは三角錐形状になる。
【0056】
一方、図6(b)に示すように、整流装置2bが必要でない場合等は、ジャッキ9を縮小させることにより、天井面3は下向きに折畳まれ、それに伴って側面5も折畳まれてコンパクトに収納することができる。これにより、荷物を多く積む際に整流装置2bが邪魔になる場合は、折畳んで収納しておけば、その分スペースを確保することができる。尚、図6では、整流装置2bを折畳む際に伸縮可能なジャッキ9を用いているが、折畳みの方法は特にこれに限定されるものではない。
【0057】
図7の整流装置2は、ワンボックスワゴン型の乗用車1dの後部の外面に設けられている。この場合、図8に示すように後部のリアガラス10に接するように整流装置2を取付けても良い。乗用車1dの後部に整流装置2を取付ける場合も、図6のトラックの運転席の後部に取付けられた整流装置2bと同様に、天井面が水平面に対して、上向きに傾斜角を有して形成されているので、走行時に乗用車1dの前方からルーフパネル11に沿って流れる空気により天井面3に作用する風圧を利用することで、乗用車1dはダウンフォースを受け、走行路面に対する接地力を増加させることができる。
【0058】
また、乗用車1dの走行時にルーフパネル11に沿って流れる空気は、天井面3により整流され、車体の両側面に沿って流れる空気は、整流装置2の側面4により整流される。従って、乗用車1dの後部に発生する渦流を抑制することができるので、乗用車1dの後部に生じる負圧を軽減することができ、燃費の向上を図ることができる。尚、図7ではワンボックス型の乗用車1dの後部の外面に整流装置2が設けられた場合を示しているが、ワンボックス型以外の乗用車、例えば、セダン型或いは軽自動車等の後部にも同様に整流装置2を設けることは可能である。尚、自動車等の移動体に備える整流装置2は、強度及び走行性の観点からアルミ等の軽量な金属又は硬質樹脂により形成されることが好ましい。
【0059】
図9に示す整流装置2cは、船舶の船底12に備えられるソナー(不図示)を収容するためのソナー収納部1eの移動方向後部に設けられている。ソナー収納部1eは、略半球状であり、船底12に設けられているベース板13に対して回転可能に取付けられている。
【0060】
整流装置2cは、ソナー収納部1eの後部の外面から水平面に対して上向きに傾斜角を有して、後方に突出する底面14と、該底面14の上方に形成される側面4と、ソナー収納部1eの後部の外面に沿うように形成される取付面5とを備えている。底面14は、図9(b)に示すように、ソナー収納部1eに接する辺を底辺とする二等辺三角形状に形成されている。側面4は、図9(a)に示すように三角形状に形成され、側面4の上端部は、ソナー収納部1eの後部外面の幅方向中央部に位置するように形成されている。従って、船舶が前方に移動した際、ソナー収納部1eの下方からソナー収納部1eの後部に流れる水流Zは、底面14により整流される。また、ソナー収納部1eの両側面に沿ってソナー収納部1eの後部へ流れる水流は、側面4により整流される。これにより、ソナー収納部1eの後方に発生する渦流を抑制することができ、後方に吸引する負圧を軽減することができるので、燃費の向上を図ることができる。
【0061】
また、整流装置2cは、ソナー収納部1eに固定されている。そして、ソナー収納部1eは、ベース板13に対して回転可能に取付けられているので、船舶が移動する際、水中では船舶の移動方向の反対方向に水流による作用を受け、ソナー収納部1eは回転し、それに伴って整流装置2cも回転する。これにより、整流装置2cは、船舶が後進する場合やサイドスラスター等により左右に移動する場合でも、船舶の移動方向の反対方向に突出するように回転するので、ソナー収納部1eの周囲からソナー収納部1eの移動方向の後方に生じる渦流を軽減することができる。
【0062】
図10に示す整流装置2dは、突条部2と、ソナー収納部1eの外周より若干大きな径の内周を有する取付板15と、該取付板15に一端が固定され、他端が整流装置2dの底面14の基端側に固定される2つの支持体16と、を備えている。整流装置2dの底面14の基端側及び取付面5は、ソナー収納部1eの後部外面に沿うように形成されている。また、取付板15は、船底12に設けられているベース板13に対して回転可能に取付けられ、ソナー収納部1eは、ベース板13に対して固定されている。
【0063】
また、図10に示すように、底面14と、該底面14の上方に形成される左右の側面4と、取付面5を有する突条部2は、ソナー収納部1eの移動方向後部の外面に接して設けられており、突条部2の上方側先端部は、取付板15に固定され、底面14のソナー収納部1eの後部外面と接する基端側は、2つの支持体16を介して取付板15に固定されている。従って、取付板15が回転すれば、それに伴い突条部2もソナー収納部1eの外面に沿って回転する。つまり、図9に示す整流装置2cと同様に船舶が移動する際、水中では船舶の移動方向の反対方向に水流による作用を受け、整流装置2dも回転する。これにより、整流装置2dは、船舶が後進する場合やサイドスラスター等により左右に移動する場合でも、船舶の移動方向の反対方向に突出するように回転するので、ソナー収納部1eの周囲からソナー収納部1eの移動方向の後方に生じる渦流を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】ヘルメットの後部の外面に備えられた移動体用整流装置の一例を示す側面図であり、(a)は、停車時等の姿勢を示す側面図、(b)は、高速走行時等の姿勢を示す側面図である。
【図2】(a)は、図1の平面図、(b)は、図1の背面図である。
【図3】本発明の移動体用整流装置を示す斜視図であり、(a)は、移動体用整流装置の一例を示す斜視図、(b)は、移動体用整流装置の他の一例を示す斜視図である。
【図4】頭部に装着可能なフードの後部外面に備えられた移動体用整流装置の一例を示す側面図であり、(a)は、停止時の姿勢を示す側面図、(b)、は走行時の姿勢を示す側面図である。
【図5】頭部に装着可能なバンドの後部に備えられた移動体用整流装置の一例を示す側面図である。
【図6】トラックの運手室の後部外面に備えられた移動体用整流装置の一例を示す側面図であり、(a)は、移動体整流装置の使用時の状態を示す側面図であり、(b)は、移動体整流装置の折畳み時の状態を示す側面図である。
【図7】乗用車の後部外面に備えられた移動体用整流装置の一例を示す側面図である。
【図8】図7の一部拡大平面図である。
【図9】(a)は、船底に取付けられたソナー収納部の後部の外面に備えられた移動体用整流装置の一例を示す側面図であり、(b)は、その底面図である。
【図10】(a)は、船底に取付けられたソナー収納部の後部外面に備えられた移動体用整流装置の他の一例を示す側面図であり、(b)は、その底面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 ヘルメット
1a フード
1b バンド
1c トラック
1d 乗用車
1e 収納部
2、2a、2b、2c、2d 整流装置(突条部)
3 天井面
4 側面
5 取付面
6 運転室
7 荷台
10 リアガラス
12 船底
13 ベース板
14 底面
15 取付板
16 支持体
【出願人】 【識別番号】508105304
【氏名又は名称】西村 智男
【識別番号】508105315
【氏名又は名称】西村 隆滋
【出願日】 平成20年4月7日(2008.4.7)
【代理人】 【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
【公開番号】 特開2009−249772(P2009−249772A)
【公開日】 平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願番号】 特願2008−99485(P2008−99485)