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【発明の名称】 水性懸濁状農薬組成物及びマイクロカプセル内農薬活性成分の溶出制御方法
【発明者】 【氏名】津田 尚己
【課題】マイクロカプセル自体の設計を変更することなく、施用場面に応じた溶出性能を有するマイクロカプセル含有水性懸濁状農薬組成物を提供する。

【解決手段】本発明の水性懸濁状農薬組成物は、農薬活性成分及び有機溶剤を含有する油状物質が、熱硬化性樹脂からなる膜物質で被覆されたマイクロカプセルと、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びアルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、増粘剤とを含有する。熱硬化性樹脂としてはポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂が好ましい。また、農薬活性成分としては、4−フェノキシフェニル 2−(2−ピリジルオキシ)プロピルエーテルなどの昆虫成長調節活性成分が挙げられる。この水性懸濁状農薬組成物は固相面散布用として好ましく用いられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農薬活性成分及び有機溶剤を含有する油状物質が、熱硬化性樹脂からなる膜物質で被覆されたマイクロカプセルと、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びアルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、増粘剤とを含有する水性懸濁状農薬組成物。
【請求項2】
熱硬化性樹脂が、ポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂である請求項1記載の水性懸濁状農薬組成物。
【請求項3】
農薬活性成分が、昆虫成長調節活性成分である請求項1又は2記載の水性懸濁状農薬組成物。
【請求項4】
昆虫成長調節活性成分が、4−フェノキシフェニル 2−(2−ピリジルオキシ)プロピルエーテルである請求項3記載の水性懸濁状農薬組成物。
【請求項5】
固相面散布用として用いられる請求項1〜4の何れかの項に記載の水性懸濁状農薬組成物。
【請求項6】
農薬活性成分及び有機溶剤を含有する油状物質が、熱硬化性樹脂からなる被膜で被覆されたマイクロカプセルを含有するマイクロカプセルスラリーに、増粘剤、及びポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びアルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有させることにより、該マイクロカプセルに内包される農薬活性成分の溶出を制御することを特徴とするマイクロカプセル内農薬活性成分の溶出制御方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬活性成分を含有するマイクロカプセルが水に分散した水性懸濁状農薬組成物と、マイクロカプセルに内包される農薬活性成分の溶出制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
農薬活性成分の有する効力をコントロールし、各種の性能を付与するための農薬製剤技術として、マイクロカプセル(MC)製剤が研究開発され、実用化されている。これらの製剤は、農薬活性成分の安定性向上、施用時の薬害軽減、毒性軽減及び残効性向上等の求められる性能や、内包される農薬活性成分に応じて、膜物質の材質や膜厚などが設計される。
【0003】
例えば、特開平8−53306号公報には、農薬活性成分がマイクロカプセル化された農薬組成物であって、該マイクロカプセルの被膜がイソシアヌレート構造を含むポリウレタン又はポリウレア樹脂であるマイクロカプセル化された農薬組成物が開示されている。特開2005−247696号公報には、特定の平均粒径、膜厚及び膜厚/平均粒径の比の数値範囲で規定されたポリウレタン被膜又はポリウレア被膜中に、昆虫成長調節活性成分を内包するマイクロカプセル化された昆虫成長調節剤が開示されている。特開2007−63181号公報には、農薬活性成分を含有する疎水性液体を包含し、特定の体積粒子径を有するマイクロカプセルが水に分散した水性懸濁状組成物が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平8−53306号公報
【特許文献2】特開2005−247696号公報
【特許文献3】特開2007−63181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱硬化性樹脂(ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂等)からなる被膜を有するマイクロカプセル製剤においては、施用場面に応じて求められる溶出性能が異なることから、膜物質の選定や膜厚の調整等のマイクロカプセル自体の設計変更が必要とされる。しかし、マイクロカプセル自体の設計変更は煩雑で手間がかかる。
【0006】
したがって、本発明の目的は、マイクロカプセル自体の設計を変更することなく、施用場面に応じた溶出性能を有するマイクロカプセル含有水性懸濁状農薬組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、マイクロカプセル自体の設計を変更することなく、施用場面に応じて溶出性能を調節できるマイクロカプセル内の農薬活性成分の溶出制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、農薬活性成分と有機溶剤を含む油状物質が熱硬化性樹脂からなる膜物質で被覆されたマイクロカプセルのスラリーに増粘剤と特定成分とを添加して調製される水性懸濁状農薬組成物では、散布後のマイクロカプセルからの農薬活性成分の溶出が抑制され、徐放性が向上することを見いだし、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、農薬活性成分及び有機溶剤を含有する油状物質が、熱硬化性樹脂からなる膜物質で被覆されたマイクロカプセルと、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びアルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、増粘剤とを含有する水性懸濁状農薬組成物を提供する。
【0009】
熱硬化性樹脂としてはポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂が好ましい。また、農薬活性成分としては、4−フェノキシフェニル 2−(2−ピリジルオキシ)プロピルエーテルなどの昆虫成長調節活性成分が挙げられる。
【0010】
上記水性懸濁状農薬組成物は固相面散布用として好ましく用いられる。
【0011】
本発明は、また、農薬活性成分及び有機溶剤を含有する油状物質が、熱硬化性樹脂からなる被膜で被覆されたマイクロカプセルを含有するマイクロカプセルスラリーに、増粘剤、及びポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びアルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有させることにより、該マイクロカプセルに内包される農薬活性成分の溶出を制御することを特徴とするマイクロカプセル内農薬活性成分の溶出制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の水性懸濁状農薬組成物は、農薬活性成分を内包するマイクロカプセルと増粘剤とを含む水性懸濁液中に、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びアルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含んでいるので、固相面等に散布された後の農薬活性成分のマイクロカプセル外への溶出が顕著に抑制され、高い徐放性が発揮される。そのため、薬効が長期間維持され、施用量や施用回数を低減できるとともに、薬害を軽減できる。また、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル又はアルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩の使用量等を調整することにより、農薬活性成分のマイクロカプセルからの溶出を制御できるので、マイクロカプセル自体の設計を変更することなく、施用場面に応じた溶出性能を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の水性懸濁状農薬組成物は、農薬活性成分及び有機溶剤を含有する油状物質が熱硬化性樹脂からなる膜物質で被覆されたマイクロカプセルと、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びアルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分と、増粘剤とを含有するものである。
【0014】
本発明で用いられる農薬活性成分としては、有機溶剤、特に疎水性有機溶剤に溶解又は分散して安定な液体状態を形成するものであれば特に限定されない。該農薬活性成分としては、昆虫成長調節剤、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、植物生育制御剤等の有効成分である化合物が挙げられ、代表的な例として以下のものが挙げられる。農薬活性成分は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0015】
フェニトロチオン、フェンチオン、ダイアジノン、クロルピリホス、アセフェート、メチダチオン、ジスルホトン、DDVP、スルプロホス、シアノホス、ジオキサベンゾホス、ジメトエート、フェントエート、マラチオン、トリクロルホン、アジンホスメチル、モノクロトス、エチオン。
【0016】
BPMC、ベンフラカルブ、プロポキスル、カルボスルファン、メソミル、エチオフェンカルブ、アルジカルブ、オキサミル、フェノチオカルブ。
【0017】
エトフェンプロックス、フェンバレレート、エスフェンバレレート、フェンプロパトロン、シペルメトリン、ペルメトリン、シハロトリン、デルタメトリン、シクロプロトリン、フルバリネート、ビフェンスリン、ハルフェンプロックス、トラロメトリン、シラフルオフェン、d−フェノトリン、シフェノトリン、d−レスメトリン、アクリナスリン、シフルトリン、テフルトリン、トランスフルスリン、テトラメトリン、アレトリン、プラレトリン、エンペントリン、イミプロスリン、d−フラメトリン。
【0018】
ブプロフェジン、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ。
【0019】
エンドスルファン、γ−BHC、ジコホル、クロルフルアズロン、テフルベンズロン、フルフェノクスロン。
【0020】
アミトラズ、クロルジメホルム、ジアフェンチウロン、メトキサジアゾン、ブロモプロピレート、テトラジホン、キノメチオネート、プロパルギット、フェンブタティンオキシド、ヘキシチアゾクス、クロフェンテジン、ピリダベン、フェンピロキシメート、デブフェンピラド、テトラナクチン、ジナクチン、トリナクチン、ピリミジフェン、ミルベメクチン、アバメクチン、イバーメクチン、アザジラクチン。
【0021】
メトプレン、ハイドロプレン、ピリプロキシフェン、キノプレン、エトプレン、ジフルベンズロン、トリフルムロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン。
【0022】
シロマジン、テブフェノジド、クロマフェノジド、メトキシフェノジド、ハロフェノジド。
【0023】
5−メチル−1,2,4−トリアゾロ[3,4−b]ベンゾチアゾール、メチル 1−(ブチルカルバモイル)ベンズイミダゾール−2−カーバメート、6−(3,5−ジクロロ−4−メチルフェニル)−3(2H)−ピリダジノン、1−(4−クロロフェノキシ)−3,3−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタノン、(E)−4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)−N−[1−(イミダゾール−1−イル)−2−プロポキシエチリデン]アニリン、1−[N−プロピル−N−[2−(2,4,6−トリクロロフェノキシ)エチル]カルバモイル]イミダゾール、(E)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オール、1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オール、(E)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オール、1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オール、4−[3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロピル]−2,6−ジメチルモルホリン、2−(2,4−ジクロロフェニル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ヘキサン−2−オール、O,O−ジエチル O−2−キノキサリル ホスホロチオエート、O−(6−エトキシ−2−エチル−4−ピリミジニル) O,O−ジメチル ホスホロチオエート、2−ジエチルアミノ−5,6−ジメチルピリミジン−4−イル ジメチルカーバメート、4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル p−トルエンスルホナート、4−アミノ−6−(1,1−ジメチルエチル)−3−メチルチオ−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン、2−クロロ−N−[(4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノカルボニル]ベンゼンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル]ベンゼンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−[(4,6−ジメチルピリミジン−2−イル)アミノカルボニル]ベンゼンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−[(4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノカルボニル]ベンゼンスルホンアミド、2−エトキシカルボニル−N−[(4−クロロ−6−メトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル]ベンゼンスルホンアミド、2−(2−クロロエトキシ)−N−[(4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノカルボニル]ベンゼンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル]フェニルメタンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−[(4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノカルボニル]チオフェン−3−スルホンアミド、4−エトキシかるボイル−N−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル]−1−メチルピラゾール−5−スルホンアミド、2−[4,5−ジヒドロ−4−メチル−4−(1−メチルエチル)−5−オキソ−1H−イミダゾール−2−イル]−3−キノリンカルボン酸、2−[4,5−ジヒドロ−4−メチル−4−(1−メチルエチル)−5−オキソ−1H−イミダゾール−2−イル]−5−エチル−3−ピリジンカルボン酸、メチル 6−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソイミダゾリン−2−イル)−m−トルエート、メチル 2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソイミダゾリン−2−イル)−p−トルエート、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソイミダゾリン−2−イル)ニコチン酸、N−(4−クロロフェニル)メチル−N−シクロペンチル−N′−フェニルウレア。
【0024】
プロピオンアルデヒドオキシム O−2−(4−フェノキシフェノキシ)エチルエーテル、プロピオンアルデヒドオキシム O−2−(4−フェノキシフェノキシ)プロピルエーテル、1−(4−エチルフェノキシ)−6,7−エポキシ−3,7−ジメチル−2−オクテン、N−[[[5−(4−ブロモフェニル)−6−メチル−2−ピラジニル]アミノ]カルボニル]−2,6−ジクロロベンズアルデヒド、N−[[[3,5−ジクロロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]アミノ]カルボニル]−2,6−ジフルオロベンズアルデヒド、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]ウレア、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル)ウレア。
【0025】
5−(2−プロピニル)フルフリル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、N−シアノ−N′−メチル−N′−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)アセトアミジン。
【0026】
これらの中でも、ブプロフェジン、クロルフルアズロン、テフルベンズロン、フルフェノクスロン、メトプレン、ハイドロプレン、ピリプロキシフェン、キノプレン、エトプレン、ジフルベンズロン、トリフルムロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、シロマジン、テブフェノジド、クロマフェノジド、メトキシフェノジド、ハロフェノジド、プロピオンアルデヒドオキシム O−2−(4−フェノキシフェノキシ)エチルエーテル、プロピオンアルデヒドオキシム O−2−(4−フェノキシフェノキシ)プロピルエーテル、1−(4−エチルフェノキシ)−6,7−エポキシ−3,7−ジメチル−2−オクテン、N−[[[5−(4−ブロモフェニル)−6−メチル−2−ピラジニル]アミノ]カルボニル]−2,6−ジクロロベンズアルデヒド、N−[[[3,5−ジクロロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]アミノ]カルボニル]−2,6−ジフルオロベンズアルデヒド、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]ウレア、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル)ウレアなどの昆虫成長調節活性成分(ドデカジエノエート系化合物、オキシムエーテル系化合物、ピリジルエーテル系化合物、カーバメート系化合物等の昆虫幼若ホルモン様化合物、ベンゾイルフェニルウレア系化合物等の昆虫キチン形成阻害化合物など)が好ましく、特に、ピリプロキシフェン[=4−フェノキシフェニル 2−(2−ピリジルオキシ)プロピルエーテル]が好適である。
【0027】
マイクロカプセル内の油状物質中の農薬活性成分の含有量は、農薬活性成分の種類や有機溶媒の種類等によっても異なるが、一般には、油状物質全体の5〜90重量%、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは20〜50重量%程度である。また、市場に流通させる際の水性懸濁状農薬組成物中の農薬活性成分の含有量は、通常0.5〜50重量%、好ましくは3〜30重量%程度である。本発明の水性懸濁状農薬組成物は、植物体や土壌等の固相面への散布時には、これを例えば1〜10000重量倍程度の水などで希釈して使用される。
【0028】
前記有機溶剤としては、疎水性有機溶媒が好ましく、例えば、芳香族系炭化水素、脂肪族炭化水素、芳香族系カルボン酸エステル、脂肪族カルボン酸エステルなどが挙げられる。
【0029】
芳香族系炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどのアルキルベンゼン;メチルナフタレン,ジメチルナフタレンなどのアルキルナフタレン;フェニルキシリルエタンなどのジアリールアルカン類などが挙げられる。芳香族系炭化水素としては、市販の溶剤を用いることもできる。そのような市販の溶剤としては、例えば、商品名「ハイゾールSAS−296」(1−フェニル−1−キシリルエタンと1−フェニル−1−エチルフェニルエタンの混合物、日本石油株式会社製)、商品名「カクタスソルベントHP−MN」(メチルナフタレン80%、日鉱石油化学株式会社製)、商品名「カクタスソルベントHP−DMN」(ジメチルナフタレン80%、日鉱石油化学株式会社製)、商品名「カクタスソルベントP−100」(炭素数9〜10のアルキルベンゼン、日鉱石油化学株式会社製)、商品名「カクタスソルベントP−150」(アルキルベンゼン、日鉱石油化学株式会社製)、商品名「カクタスソルベントP−180」(メチルナフタレンとジメチルナフタレンの混合物、日鉱石油化学株式会社製)、商品名「カクタスソルベントP−200」(メチルナフタレンとジメチルナフタレンの混合物、日鉱石油化学株式会社製)、商品名「カクタスソルベントP−220」(メチルナフタレンとジメチルナフタレンの混合物、日鉱石油化学株式会社製)、商品名「カクタスソルベントPAD−1」(ジメチルモノイソプロピルナフタレン、日鉱石油化学株式会社製)、商品名「ソルベッソ100」(芳香族炭化水素、エクソン化学株式会社製)、商品名「ソルベッソ150」(芳香族炭化水素、エクソン化学株式会社製)、商品名「ソルベッソ200」(芳香族炭化水素、エクソン化学株式会社製)、商品名「スワゾール100」(トルエン、丸善石油株式会社製)、商品名「スワゾール200」(キシレン、丸善石油株式会社製)などが挙げられる。
【0030】
脂肪族炭化水素としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2−エチルヘキサン、ノナン、デカン、ドデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン等の鎖状脂肪族炭化水素、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の環状脂肪族炭化水素、並びにこれらの混合物である流動パラフィンなどが挙げられる。
【0031】
芳香族系カルボン酸エステルとしては、例えば、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピルなどが挙げられる。
【0032】
脂肪族カルボン酸エステルとしては、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチルなどのアジピン酸ジアルキルエステルなどが挙げられる。脂肪族カルボン酸エステルとしては、市販の溶剤を使用できる。そのような市販の溶剤として、例えば、商品名「ビニサイザー40」(アジピン酸ジイソブチル、花王株式会社製)、商品名「ビニサイザー50」(アジピン酸ジイソデシル、花王株式会社製)が挙げられる。
【0033】
有機溶剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。有機溶剤としては、農薬活性成分の溶解性や農薬活性成分のマイクロカプセル外への溶出性等の点から、芳香族系炭化水素と脂肪族カルボン酸エステル(特に、アジピン酸ジアルキルエステル)との組合せが好ましい。この場合、芳香族系炭化水素と脂肪族カルボン酸エステルの割合は、例えば、前者/後者(重量比)=5/95〜95/5、好ましくは前者/後者(重量比)=30/70〜90/10、さらに好ましくは前者/後者(重量比)=50/50〜85/15程度である。
【0034】
本発明において、マイクロカプセルにおける被膜を形成する膜物質として、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、尿素ホルマリン樹脂、メラミン尿素樹脂、フェノールホルマリン樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられる。本発明においては、農薬活性成分を含有する油状物質(疎水性液体)と水の界面において界面重合法により被膜を形成することのできる膜物質が好ましく、ポリウレタン樹脂又はポリウレア樹脂が特に好ましい。
【0035】
ポリウレタン樹脂はポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応により得られる樹脂であり、ポリウレア樹脂はポリイソシアネート化合物とポリアミン化合物との反応により得られる樹脂である。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンとの付加体、ヘキサメチレンジイソシアナート3分子のビウレット縮合物、トリレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンとの付加体、トリレンジイソシアナートのイソシアヌレート縮合物、ヘキサメチレンジイソシアナートのイソシアヌレート縮合物、イソホロンジイソシアナートのイソシアヌレート縮合物、ヘキサメチレンジイソシアナートの一方のイソシアナート部が2分子のトリレンジイソシアナートともにイソシアヌレート体を構成し、他方のイソシアナート部が2分子の他のヘキサメチレンジイソシアナートともにイソシアヌレート体を構成するイソシアナートプレポリマー、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナートなどが挙げられる。これらの中でも、トリレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンとの付加体、ヘキサメチレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンとの付加体、ヘキサメチレンジイソシアナート3分子のビウレット縮合物及びイソシアヌレート構造を有する多価イソシアネート(イソシアヌレート型多価イソシアネート)が好ましい。
【0036】
前記ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどの炭素数2〜6程度のアルキレングリコール;シクロプロピレングリコールなどの炭素数3〜10程度のシクロアルキレングリコールなどが挙げられる。前記ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの炭素数2〜10程度のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの炭素数4〜12程度のポリアルキレンポリアミンなどが挙げられる。
【0037】
マイクロカプセルの平均粒子径は、例えば1〜50μm、好ましくは10〜40μmである。なお、マイクロカプセルの平均粒子径は、レーザー式粒度分布測定機により測定できる。また、マイクロカプセルの被膜の膜厚は、例えば5〜50nm、好ましくは10〜40nmである。
【0038】
本発明の重要な特徴は、水性懸濁状農薬組成物中に、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びアルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分が含まれている点にある。
【0039】
本発明で用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、デカグリセリンラウリン酸エステル、デカグリセリンミリスチン酸エステル、デカグリセリンパルミチン酸エステル、デカグリセリンステアリン酸エステル、デカグリセリンベヘン酸エステル、デカグリセリンオレイン酸エステル、デカグリセリンリノール酸エステル、デカグリセリンリノレン酸エステル、デカグリセリンエルカ酸エステル等のポリグリセリンC12-22飽和又は不飽和脂肪酸エステルなどが挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるポリグリセリンの重合度は2〜20程度である。ポリグリセリン脂肪酸エステルは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0040】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては市販品を使用できる。市販のポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例として、例えば、リョートー(登録商標)ポリグリエステルシリーズ(三菱化学フーズ社、商品名):L−7D(ポリグリセリン(10)ラウリン酸エステル)、L−10D(ポリグリセリン(10)ラウリン酸エステル)、M−7D(ポリグリセリン(10)ミリスチン酸エステル)、M−10D(ポリグリセリン(10)ミリスチン酸エステル)、P−8D(ポリグリセリン(10)パルミチン酸エステル)、SWA−10D(ポリグリセリン(10)ステアリン酸エステル)、SWA−15D(ポリグリセリン(10)ステアリン酸エステル)、SWA−20D(ポリグリセリン(10)ステアリン酸エステル)、S−24D(ポリグリセリン(10)ステアリン酸エステル)、S−28D(ポリグリセリン(10)ステアリン酸エステル)、O−15D(ポリグリセリン(10)オレイン酸エステル)、O−50D(ポリグリセリン(10)オレイン酸エステル)、B−70D(ポリグリセリン(10)ベヘニン酸エステル)、B−100D(ポリグリセリン(10)ベヘニン酸エステル)、ER−60D(ポリグリセリン(10)エルカ酸エステル)、LOP−120DP(ポリグリセリン混合脂肪酸エステル);SYグリスターシリーズ(阪本薬品工業社、商品名):MSW−7S(デカグリセリンモノステアリン酸エステル)、MS−5S(ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル)、PS−3S(テトラグリセリンペンタステアリン酸エステル)、PO−5S(ヘキサグリセリンペンタオレイン酸エステル)、ML−750(デカグリセリンモノラウリン酸エステル)などが挙げられる。
【0041】
ショ糖脂肪酸エステルとしては、例えば、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル等のショ糖C12-22飽和又は不飽和脂肪酸エステルなどが挙げられる。ショ糖脂肪酸エステルは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0042】
ショ糖脂肪酸エステルとしては市販品を使用できる。市販のショ糖脂肪酸エステルの具体例として、例えば、リョートー(登録商標)シュガーエステルシリーズ(三菱化学フーズ社製、商品名):S−270(ショ糖ステアリン酸エステル)、S−570(ショ糖ステアリン酸エステル)、S−1170(ショ糖ステアリン酸エステル)、S−1670(ショ糖ステアリン酸エステル)、P−1670(ショ糖パルミチン酸エステル)、M−1695(ショ糖ミリスチン酸エステル)、O−170(ショ糖オレイン酸エステル)、L−595(ショ糖ラウリン酸エステル)、L−1695(ショ糖ラウリン酸エステル)、B−370(ショ糖ベヘニン酸エステル);DKエステルシリーズ(第一工業製薬社、商品名、ショ糖ステアリン酸エステル):SS、F−160、F−140、F−110、F−90、F−70、F−50、F−20W、F−10、S−L18Aなどが挙げられる。
【0043】
アルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩としては、例えば、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸等のC10-18アルキルベンゼンスルホン酸;デシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ウンデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、トリデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸カルシウム等のC10-18アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムなどのC10-18アルキルベンゼンスルホン酸アルカリ土類金属塩;デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ウンデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のC10-18アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのC10-18アルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩;ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンなどのC10-18アルキルベンゼンスルホン酸のアミン塩(トリエタノールアミン塩等)などが挙げられる。アルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩には、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩が含まれる。アルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0044】
アルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩としては市販品を使用できる。市販のアルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩として、例えば、パイオニンシリーズ(竹本油脂社製、商品名):A−40−S(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、A−40(分岐アルキルベンゼンスルホン酸)、A−41−BN(分岐アルキルベンゼンスルホン酸塩)、A−41−C(分岐アルキルベンゼンスルホン酸塩)、A−41−B(分岐アルキルベンゼンスルホン酸塩);ルノックスシリーズ(東邦化学工業社、商品名):S−40TD(ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン)、S−100(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム):ネオゲンシリーズ(第一工業製薬社、商品名):SC−F(直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、SC−A(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、R−K(分鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、T−60(ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン)などが挙げられる。
【0045】
ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びアルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分の使用量は、所望する農薬活性成分の溶出速度或いは溶出量に応じて選択できる。前記成分の総使用量は、マイクロカプセル内の油状物質100重量部に対して、例えば20〜5000重量部、好ましくは50〜2000重量部、さらに好ましくは100〜1000重量部程度であり、マイクロカプセル内の農薬活性成分100重量部に対しては、例えば50〜10000重量部、好ましくは100〜5000重量部、さらに好ましくは250〜2500重量部程度である。前記成分の種類及び使用量を調整することにより、マイクロカプセル内の農薬活性成分の溶出速度或いは溶出量を制御できる。
【0046】
本発明における増粘剤としては、ザンサンガム、ラムザンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ウェランガム等の天然多糖類、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子、カルボキシメチルセルロース等の半合成多糖類、アルミニウムマグネシウムシリケート、スメクタイト、ベントナイト、ヘクトライト、環式法シリカ等の鉱物質微粉末、アルミナゾル等が挙げられる。増粘剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。増粘剤の使用量は、マイクロカプセル内の油状物質100重量部に対して、例えば0.02〜50重量部、好ましくは0.2〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部程度である。また、市場に流通させる際の水性懸濁状農薬組成物中の増粘剤の含有量は、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜3重量%程度である。増粘剤の添加により、水性懸濁状農薬組成物の分散安定性を高めることができるとともに、組成物の粘度を散布等に適した値に調整することができる。
【0047】
本発明の水性懸濁状農薬組成物には、必要に応じて、凍結防止剤、防腐剤、比重調整剤等の添加剤が添加されていてもよい。凍結防止剤としては、例えば、プロピレングリコールなどのアルコールなどが挙げられる。水性懸濁状農薬組成物中の凍結防止剤の含有量は、一般に0〜20重量%程度である。比重調整剤としては、硫酸ナトリウム等の水溶性塩類、尿素等の水溶性肥料などが挙げられる。
【0048】
本発明の水性懸濁状農薬組成物の粘度(B型粘度計;ローターNo.2、6rpm、20℃)としては、取扱性等の点から、一般に50〜2000mPa・s、好ましくは100〜1500mPa・sである。
【0049】
本発明の水性懸濁状農薬組成物は、農薬活性成分及び有機溶剤を含有する油状物質が熱硬化性樹脂からなる被膜で被覆されたマイクロカプセルを含有するマイクロカプセルスラリーに、増粘剤、及びポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びアルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含有させることにより製造できる。
【0050】
農薬活性成分及び有機溶剤を含有する油状物質が熱硬化性樹脂からなる被膜で被覆されたマイクロカプセルを含有するマイクロカプセルスラリーは、例えば界面重合法などを用いることにより調製できる。マイクロカプセルの被膜がポリウレタン樹脂である場合について、以下に説明する。
【0051】
前記の農薬活性成分、有機溶剤及びポリイソシアネート化合物を含有する疎水性液体(以下、油相と称する)と、分散剤及びポリオール化合物を含有する水溶液(以下、水相と称する)とを、分散機により混合、分散させることにより分散液を調製し、この分散液を加熱、撹拌することによりマイクロカプセルスラリーを得ることができる。
【0052】
ポリイソシアネート化合物の使用量は、油相全体に対して、一般には0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%程度である。
【0053】
油相中の農薬活性成分の濃度は、通常5〜90重量%、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは20〜50重量%程度である。
【0054】
水相に用いられる分散剤としては、例えば水溶性高分子が挙げられ、具体的には、例えば、アラビアガム等の天然多糖類、ゼラチン、コラーゲン等の天然水溶性高分子、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性半合成多糖類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性合成高分子などが挙げられる。分散剤は、水相全体に対して、例えば0.05〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%程度である。
【0055】
ポリオール化合物の使用量は、前記油相全体に対して、一般には2〜30重量%、好ましくは5〜25重量%、さらに好ましくは10〜20重量%程度である。また、前記ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物の比率は、例えば、水酸基とイソシアネート基との比率(以下、「OH/NCO」と記す;モル比)として、OH/NCO=1/1〜5/1、好ましくはOH/NCO=1/1〜2/1である。
【0056】
分散機としては、特に限定されず、撹拌型分散機(プロペラ撹拌機、高速回転撹拌機、ホモジナイザー、ホモミックラインフローなど)、静止型分散機[スタティックミキサー、ラインミキサー、商品名「分散君」(フジキン社製)など]等の何れも用いてもよい。また、例えば、油相と水相とを撹拌型分散機を用いて混合、分散させた後、静止型分散機を用いてさらに分散させるなど、2種以上の分散機を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
分散液を加熱する際の温度は、通常40〜90℃、好ましくは60〜80℃である。加熱時間は、例えば1〜96時間、好ましくは24〜72時間である。
【0058】
なお、マイクロカプセルの被膜がポリウレア樹脂である場合には、農薬活性成分、有機溶剤及びポリイソシアネート化合物を含有する疎水性液体と、分散剤及びポリアミン化合物の塩を含有する水溶液とを、分散機により混合、分散させることにより分散液を調製し、この分散液の液性を中性又は弱アルカリ性に調製した後、加熱、撹拌することによりマイクロカプセルスラリーを得ることができる。この場合、ポリアミン化合物の使用量は、油相全体に対して、一般には2〜30重量%、好ましくは5〜25重量%、さらに好ましくは10〜20重量%程度である。また、前記ポリアミン化合物とポリイソシアネート化合物の比率は、例えば、アミノ基とイソシアネート基との比率(以下、「NH2/NCO」と記す;モル比)として、NH2/NCO=1/1〜5/1、好ましくはNH2/NCO=1/1〜2/1である。他の条件等はポリウレタン樹脂の場合と同様である。
【0059】
こうして得られるマイクロカプセルスラリーに、増粘剤、及びポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びアルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含有させる方法としては特に限定されず、例えば、マイクロカプセルスラリーと、増粘剤及び必要に応じて加えられる添加剤を含む増粘剤溶液とを混合し、この混合液に、必要に応じて水で希釈した後、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びアルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を加えてさらに混合することにより本発明の水性懸濁状農薬組成物を得ることができる。
【0060】
本発明の水性懸濁状農薬組成物は、マイクロカプセル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びアルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分、及び増粘剤のすべてを含む1液タイプの水性懸濁状農薬組成物として市場に流通させてもよいが、マイクロカプセルと増粘剤とを含む水性懸濁液と、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びアルキルベンゼンスルホン酸若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分又はこれを含む液とを、それぞれ別の容器に入れて2液タイプの水性懸濁状農薬組成物として市場に流通させ、施用現場で2つの液を混合して使用に供することもできる。施用時には、水により適宜希釈して使用される。
【0061】
本発明の水性懸濁状農薬組成物は、例えば農薬活性成分により保護すべき植物体、土壌等に対して、薬液噴霧機を用いて散布される。薬液噴霧機は、水性懸濁状農薬組成物を加圧して霧状に噴射し、散布するもので、背負形、可搬形、定置形、走行形、さらには無人ヘリコプターにて使用する形がある。本発明の水性懸濁状農薬組成物は、特に植物体(葉、茎等)や土壌等の固相面への散布に好適である。
【実施例】
【0062】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0063】
実施例1
ピリプロキシフェン90g、商品名「ハイゾールSAS−296」(1−フェニル−1−キシリルエタンと1−フェニル−1−エチルフェニルエタンとの混合物、日本石油株式会社製)100g及び商品名「ビニサイザー40」(アジピン酸ジイソブチルエステル、花王株式会社製)50gを混合し、ここに商品名「スミジュールN−3300」(イソシナヌレート型多価イソシアネート、住化バイエルウレタン株式会社製)2.4gを加えて油相を調製した。
一方、アラビアガム17.5g、エチレングリコール40g及びイオン交換水344.4gを混合して水相を調製した。
上記の油相と水相とを混合し、この混合物を25℃で、ホモジナイザー(商品名「T.K.オートホモミクサー」、特殊機化工業株式会社製)を用いて約6100rpmで5分間分散させた。次いで、分散液を75℃で緩やかに48時間撹拌して、マイクロカプセルスラリーを得た。
次に、ザンサンガム1.5g、アルミニウムマグネシウムシリケート3g、プロピレングリコール50g及びイオン交換水295.1gを混合した増粘剤溶液と、上記マイクロカプセルスラリーとを混合して、ピリプロキシフェン9.0重量%を含有する水性懸濁液を得た。
上記水性懸濁液1gをイオン交換水999gで希釈し、希釈液(以下、希釈液(A)と称する)を調製した。希釈液(A)に、商品名「リョートー(登録商標)ポリグリエステル L−7D」(デカグリセリンラウリン酸エステル、三菱化学フーズ社製)1gを加え、本発明の水性懸濁状農薬組成物(以下、「本発明組成物(1)」と称する)を得た。
【0064】
実施例2
上記希釈液(A)に、商品名「リョートー(登録商標)ポリグリエステル M−10D」(デカグリセリンミリスチン酸エステル、三菱化学フーズ社製)1gを加え、本発明の水性懸濁状農薬組成物(以下、「本発明組成物(2)」と称する)を得た。
【0065】
実施例3
上記希釈液(A)に、商品名「リョートー(登録商標)ポリグリエステル SWA−10D」(デカグリセリンステアリン酸エステル、三菱化学フーズ社製)1gを加え、本発明の水性懸濁状農薬組成物(以下、「本発明組成物(3)」と称する)を得た。
【0066】
実施例4
上記希釈液(A)に、商品名「リョートー(登録商標)シュガーエステル P−1670」(ショ糖パルミチン酸エステル、三菱化学フーズ社製)1gを加え、本発明の水性懸濁状農薬組成物(以下、「本発明組成物(4)」と称する)を得た。
【0067】
実施例5
上記希釈液(A)に、商品名「リョートー(登録商標)シュガーエステル S−1170」(ショ糖ステアリン酸エステル、三菱化学フーズ社製)1gを加え、本発明の水性懸濁状農薬組成物(以下、「本発明組成物(5)」と称する)を得た。
【0068】
実施例6
上記希釈液(A)に、商品名「Rhodacal(登録商標)70B」(分鎖ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩、ローディア社製)1gを加え、本発明の水性懸濁状農薬組成物(以下、「本発明組成物(6)」と称する)を得た。
【0069】
比較例1
上記希釈液(A)にドデシル硫酸ナトリウム1gを加え、水性懸濁状農薬組成物(以下、「比較組成物(1)」と称する)を得た。
【0070】
試験例
供試組成物として、本発明組成物(1)〜(6)、比較組成物(1)及び希釈液(A)5mlをそれぞれ、シャーレ上に載せ、室温で水分がなくなるまで乾燥した。シャーレ上のマイクロカプセル外部に存在するピリプロキシフェンをデカンにより回収し、ピリプロキシフェン溶出量をガスクロマトグラフィー(内部標準法)により定量した。
希釈液(A)を供試した場合の溶出量との比較から、下記式により溶出制御指数を求めた。その結果を表1に示す。
溶出制御指数=(各供試組成物におけるピリプロキシフェン溶出量)/(希釈液(A) におけるピリプロキシフェン溶出量)×100
【0071】
【表1】


【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
【出願日】 平成19年9月5日(2007.9.5)
【代理人】 【識別番号】100101362
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 幸久
【公開番号】 特開2009−62291(P2009−62291A)
【公開日】 平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願番号】 特願2007−229644(P2007−229644)