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【発明の名称】 ホスホン酸系過カルボン酸組成物
【発明者】 【氏名】君塚 健一
【氏名】近藤 至徳
【氏名】伊藤 真樹
【氏名】早川 祥一
【課題】経済性に優れ、易水溶性の低臭気過カルボン酸組成物を提供する。

【解決手段】ホスホノブタントリカルボン酸2〜40重量%、ホスホノブタントリカルボン酸から得られる過カルボン酸2.8〜22重量%、過酸化水素2.5〜52重量%、および酸触媒0〜10重量%を含有する過カルボン酸組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスホノブタントリカルボン酸2〜40重量%、ホスホノブタントリカルボン酸から得られる過カルボン酸2.8〜22重量%、過酸化水素2.5〜52重量%、および酸触媒0〜10重量%を含有する過カルボン酸組成物。
【請求項2】
請求項1記載の過カルボン酸組成物の製造方法であって、ホスホノブタントリカルボン酸4.5〜45重量部(ホスホノブタントリカルボン酸の100換算重量部)、過酸化水素3〜54重量部(過酸化水素の100換算重量部)、および酸触媒0〜10重量部を混合する請求項1記載の過カルボン酸組成物の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の過カルボン酸組成物に酢酸等の有機酸を加えるか、又は有機酸と過酸化水素水溶液とを加えて、複合過カルボン酸組成物を製造する方法。
【請求項4】
アルコール類、界面活性剤類、エーテル類、エステル類またはこれらの混合物を添加した請求項1記載の過カルボン酸組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、消毒、漂白、洗浄、エポキシ化剤、合成原料、除草剤等の用途に使用されるホスホノブタントリカルボン酸(以下、PBTC)の過カルボン酸組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
過カルボン酸組成物は過酸化水素よりも強力な酸化力を有することから、産業上有用な物質として用いられている。また、殺菌力も強く消毒薬や除草剤としても有効に使用可能であることが知られている。特に過酢酸が最も広く利用されているが、強い刺激臭を有することから、用途によって使用が制限されている。この問題を解決するために、低臭気の有機過酸組成物が提案されており、例えば過グルタル酸濃厚液(特許文献1)、過グルタル酸(特許文献2)、過コハク酸及び過アジピン酸を含む過ジカルボン酸組成物(特許文献2)が開示されている。しかしながら、過グルタル酸は易水溶性であるが高価であり、過コハク酸、過アジピン酸は溶解度が小さいという欠点を有している。さらにアミノ過カルボン酸組成物(特許文献3)が提案されているが、原料となるアミノ酸から過酸を生成させるためには、材質適合性や皮膚刺激性の観点から好ましくない酸触媒を多量に添加しなければならないという欠点を有している。
【特許文献1】特開昭53−81619号公報
【特許文献2】特開平08−67667号公報
【特許文献3】特開平10−101642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、経済性に優れ、易水溶性の低臭気過カルボン酸組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明者らは本目的を解決するため鋭意検討を重ねた結果、広く工業的に使われているPBTCと過酸化水素、必要に応じて酸触媒を接触させることにより易水溶性の過カルボン酸組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、ホスホノブタントリカルボン酸2〜40重量%、ホスホノブタントリカルボン酸から得られる過カルボン酸2.8〜22重量%、過酸化水素2.5〜52重量%、および酸触媒0〜10重量%を含有する過カルボン酸組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば低臭気、安価、有用な過カルボン酸組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の組成物は種々の方法で製造できるが、ホスホノブタントリカルボン酸4.5〜45重量部(ホスホノブタントリカルボン酸の100換算重量部)、過酸化水素3〜54重量部(過酸化水素の100換算重量部)、および酸触媒0〜10重量部を混合する方法(なお、ホスホノブタントリカルボン酸水溶液及び過酸化水素水溶液の濃度に応じた水も混合する。)が適用される。
【0007】
ここで本発明におけるPBTCから得られる過カルボン酸の式量について述べる。PBTCは下記式により表される3つのカルボキシル基を持つ化合物である。
【0008】
【化1】


【0009】
PBTCと過酸化水素を共存させると、平衡反応により過カルボキシル基が生成するが、構造中のどのカルボキシル基がペルオキシ化するかは容易には突き止められない。そこで、本発明では、下記ヨードメトリー法により求めた過カルボキシル基が全てモノ過カルボン酸に由来するとして濃度を求めている。即ち、過ジカルボン酸や過トリカルボン酸は存在していないと仮定している。
【0010】
本発明に用いられる過酸化水素には、広く使われている工業用過酸化水素や半導体洗浄の分野で使用される高度に精製された超純過酸化水素が適用可能である。
【0011】
反応は室温で行ってもよいが、より短時間で平衡に達するように、40〜60℃程度に加熱してもよい。反応速度や平衡定数を向上させる目的で、酸触媒を添加するのが好ましい。酸触媒には、硫酸、リン酸、縮合リン酸類、ホスホン酸類、メタンスルホン酸等が好適に使用される。
【0012】
本発明の組成物にさらに、過カルボン酸の安定剤として知られているジピコリン酸や1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)等の化合物も添加することも可能である。また、本発明の組成物の安定性を向上させる目的で、高純度原料を用いて調製することやイオン交換樹脂等に接触させることにより精製することも可能である。さらに、アルコール類、界面活性剤類、エーテル類、エステル類あるいはこれらの混合物を添加してもよい。
【0013】
本発明におけるPBTCは過酢酸等の他の過酸の合成用触媒としての作用も有するため、本発明の組成物にさらに酢酸等の有機酸を加えるか、又は有機酸と過酸化水素水溶液とを加えて、PBTCの過酸と添加したカルボン酸に対応する過カルボン酸の混合溶液を得ることも可能である。
【実施例】
【0014】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何らの制限を受けるものではない。
<過酸化水素および過カルボン酸濃度の定量>
過酸化水素濃度は過マンガン酸カリウム法で、過カルボン酸濃度はヨードメトリー法で定量する。
試料を約0.1g精秤した後、滴定中に過酸化水素と過カルボン酸の平衡が変化しないように、氷を加え試料を0℃付近に保つ。4Nの硫酸5mLと適量の水を加え、1/10規定過マンガン酸カリウム溶液で滴定する。過マンガン酸カリウムの赤紫色が消えなくなる点を終点とし、過酸化水素濃度を求める。
次いで、ヨウ化カリウム約2g、モリブデン酸アンモニウムの飽和水溶液を2〜3滴を加え、1/40規定チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。ヨウ素の黄色が薄くなったところで、デンプン指示薬を加え、紫色が消えたところを終点とする。
【0015】
過酸化水素濃度(%)=滴定量(mL)×0.1×f/2/1000×34.02/試料(g)×100
ここに、fは過マンガン酸カリウム溶液のファクターを表す。
【0016】
過カルボン酸濃度(%)=滴定量(mL)×0.025×f’/2/1000×FW/試料(g)×100
ここで、f’はチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター、FWは過カルボン酸の式量を表す。
尚、前述のように本願明細書においては、分子内の3つのカルボキシル基の何れかがペルオキシ化したモノペルオキシカルボン酸または過酢酸(実施例2の混合過酸の場合)として濃度を算出している。
【0017】
<イースト菌を用いた殺菌試験方法>
本発明の過カルボン酸組成物の殺菌力を調べるため、以下の方法で殺菌試験を実施した。使用したイースト菌と培地は以下の通りである。
イースト菌(パン酵母):日清フーズ株式会社製 日清スーパーカメリア
培養用培地:三愛石油株式会社製 サンアイバイオチェッカーM
殺菌方法
(1)イースト菌100mgに超純水10mLを加える[1]。
(2)被検液9mLに[1]1mLを加え1分間放置する[2]。
(3)[2]1mLに不活性化剤9mLを加える[3]。
(4)[3]に超純水を加え全量を100mLとする[4]。
(5)バイオチェッカーMを[4]に浸す。
(6)30℃にて48時間培養する。
(7)対照表により菌数を測定する。
注1)不活性化剤として1%チオ硫酸ナトリウム溶液を用いた。
注2)ブランクでは被検液の替わりに超純水を用いた。
【0018】
実施例1
PBTCはキレスト株式会社製PH−430水溶液を用いた。
PH−430(50.6%溶液)12.5g、35.0%過酸化水素(三菱ガス化学製)11.3g、硫酸(和光純薬製)1.8g、HEDP溶液(和光純薬製)1.4gを30mLネジ口瓶に一括して仕込み、35℃恒温槽中に4日間放置した。
得られた過カルボン酸溶液の組成は、過酸化水素12.7%、過カルボン酸10.6%、PBTC13.4%、硫酸6.4%、HEDP3.1%、水52.5%であった。
こうして得られた過カルボン酸溶液を超純水で約2倍に希釈し、過カルボン酸の5%の溶液を調製した。この溶液を前記イースト菌殺菌試験により評価したところ、1分の作用時間で殺菌可能であった。
【0019】
実施例2
PH−430(50.6%溶液)10.0g、35.0%過酸化水素(三菱ガス化学製)4.1g、酢酸(和光純薬製)3.4gを30mLネジ口瓶に一括して仕込み、35℃高温水槽中に2日間放置した。
得られた過カルボン酸溶液の組成は、過酸化水素5.7%、過カルボン酸4.6%(過酢酸の式量換算)であった。
【0020】
実施例3〜11
表1、表2の左欄に従った仕込み重量にて溶液を調製し、下表右欄の組成物を得た。組成物の分析は前述の滴定法により行った。
【0021】
【表1】


【0022】
【表2】


【出願人】 【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
【出願日】 平成19年9月4日(2007.9.4)
【代理人】 【識別番号】100117891
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 隆
【公開番号】 特開2009−62286(P2009−62286A)
【公開日】 平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願番号】 特願2007−228988(P2007−228988)