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【発明の名称】 土壌消毒装置
【発明者】 【氏名】安藝 知恵子
【課題】消毒作業中に圃場で旋回すべく土壌消毒装置が持上げられた際、ノズルから連続噴射中の消毒液が作業者の足に吹付けられるのを防ぐことができ、押込体とともに土壌中へ押込まれる際にノズルが目詰まりするのを防ぐことができる土壌消毒装置を提供する。

【解決手段】柱形をなし、下端部が土壌中に押込まれる押込体5の側部に管体10が取付けられ、該管体10の下端に、消毒液タンク内の消毒液を土壌中に噴射すべきノズル6を設けてあり、該ノズル6を、管体10の軸中心と非直角の端面6aとなり、尖鋭部6cを押込体5側に配してある構成とすることにより、消毒液が作業者の足に吹付けられるのを防ぐことができ、ノズル6が目詰まりするのを防ぐことができるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱形をなし、下端部が土壌中に押込まれる押込体の側部に管体が取付けられ、該管体の下端に、消毒液タンク内の消毒液を土壌中に噴射すべきノズルを設けてある土壌消毒装置において、前記ノズルは、前記管体の軸中心と非直角の端面となり、尖鋭部を前記押込体側に配してあることを特徴とする土壌消毒装置。
【請求項2】
前記管体は前記押込体の側部に沿って上下方向に配してある丸パイプであり、該丸パイプの下端に前記ノズルが一体に設けられている請求項1記載の土壌消毒装置。
【請求項3】
前記押込体及びノズルは横方向に離隔して複数配してあり、前記消毒液タンク内の消毒液を送出するポンプと、該ポンプが送出する消毒液を前記ノズル夫々に供給する複数の供給管とを備え、該供給管夫々に、前記ノズルに供給する消毒液の流量を調整する調整部材を設けてある請求項1又は2記載の土壌消毒装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は消毒液を土壌中に噴射することにより、土壌を消毒する土壌消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圃場等の土壌を消毒し、土壌中の病原菌、害虫を駆除する土壌消毒液はガス化した臭化メチル剤が使用されていた。しかし、この臭化メチル剤はオゾン層を破壊する物質であるとしてオゾン層保護法により規制対象に指定されたため、近年は代替剤として、薬効が比較的高く、土壌中からのガス抜けも比較的早いクロルピクリン剤が使用されている。
【0003】
クロルピクリン剤は刺激臭が比較的強く、原液も比較的高価であるため、ダイヤフラムポンプ、及び該ダイヤフラムポンプが送出するクロルピクリン剤を土壌中に注入する液注入爪を備える土壌消毒装置が使用され、クロルピクリン剤を土壌中に間歇的に注入することにより土壌を消毒している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところが、刺激臭が比較的強いクロルピクリン剤を使用することは作業者が刺激臭の環境にさらされることになり、健康上好ましくないし、また、クロルピクリン剤の原液も比較的高価であるため、近年では、刺激臭が比較的弱く、原液も比較的安価で、安全性のある(人畜毒性は普通物、魚毒性はA類)カーバムナトリウム塩液剤の土壌消毒液を土壌中に連続的に注入することにより土壌を消毒する土壌消毒装置が開発されている。
【0005】
この土壌消毒装置は、歩行型トラクタにより牽引される機体に搭載の消毒液タンクと、該使用毒液タンク内の消毒液を送出するポンプと、下端部が土壌中に押込まれる押込体と、該押込体の一側に溶接により固定され、有底筒形をなすノズル保持管と、該ノズル保持管の下端一側に横方向へ開設され、前記ポンプからノズル保持管に供給された消毒液を土壌中で横方向に噴射するノズルと、該ノズルへ供給する消毒液の流量を調整する調整部材とを備える。
【0006】
このように構成された土壌消毒装置は、押込体及びノズル部分が土壌中へ押込まれた状態で歩行型トラクタにより牽引進行し、ノズルから土壌中へ連続噴射されることにより、土壌消毒が行われる。尚、歩行型トラクタは、作業者に把持されるハンドル側にヒッチがあり、該ヒッチに土壌消毒装置が連結されるため、ハンドルを把持する作業者の前側に土壌消毒装置が配される。また、押込体はノズル保持管の前側に配され、ノズル保持管に供給された消毒液はノズルから後方へ噴射される。また、押込体は、土壌中へ押込まれる際、及び押込状態で牽引進行する際にノズルが破損するのを防ぐものである。
【特許文献1】特開2003−75462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、土壌消毒液を土壌中に連続的に注入することにより土壌を消毒する土壌消毒装置のノズルは、ノズル保持管の下端一側に横方向へ開設され、ノズル保持管内に供給された消毒液をノズルから後方(作業者側)へ噴射させるように構成されているため、消毒作業中に圃場で旋回すべく土壌消毒装置が持上げられた際、ノズルから連続噴射されている消毒液が作業者の足に吹付けられることになり、健康上好ましくないという問題がある。また、ノズルに供給される消毒液の流量を調整する調整部材はノズル保持管に設けられているため、土壌中への押込の繰返しにより押込体及びノズルが摩耗し、押込体及びノズルが交換される場合、調整部材も交換されることになり、交換コストが高くなる。また、調整部材がノズル保持管に設けられているため、押込体が広幅となり、注入状態で進行する際の押込体による進行抵抗が増加するという問題もある。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は押込体の側部に取付けられる管体の下端に設けられているノズルを、前記管体の軸中心と非直角の端面となり、尖鋭部を前記押込体側に配してある構成とすることにより、消毒作業中に圃場で旋回すべく土壌消毒装置が持上げられた際、ノズルから連続噴射中の消毒液が作業者の足に吹付けられるのを防ぐことができるとともに、押込体とともに土壌中へ押込まれるノズルが目詰まりするのを防ぐことができる土壌消毒装置を提供することにある。
【0009】
また、他の目的は押込体の側部に取付けてある管体を丸パイプとし、該丸パイプの下端にノズルを一体に設けることにより、ノズルを含む押込体のコストを低減することができる土壌注入装置を提供することにある。
【0010】
また、他の目的は押込体及びノズルが横方向に離隔して複数配してある構成において、ポンプが送出する消毒液を前記ノズル夫々に供給する複数の供給管夫々に、ノズルに供給する消毒液の流量を調整する調整部材を設けることにより、押込体及びノズルの交換コストを低減できるとともに、押込状態で進行する際の押込体による進行抵抗を低減できる土壌消毒装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明に係る土壌消毒装置は、柱形をなし、下端部が土壌中に押込まれる押込体の側部に管体が取付けられ、該管体の下端に、消毒液タンク内の消毒液を土壌中に噴射すべきノズルを設けてある土壌消毒装置において、前記ノズルは、前記管体の軸中心と非直角の端面となり、尖鋭部を前記押込体側に配してあることを特徴とする。
【0012】
第1発明にあっては、消毒液をノズルから下向きに噴射するため、消毒作業中に圃場で旋回すべく土壌消毒装置が持上げられた際、ノズルから連続噴射中の消毒液が作業者の足に吹き付けられるのを防ぐことができ、しかも、ノズルは管体の軸中心と非直角の端面となり、尖鋭部を押込体側に配してあるため、押込体とともに土壌中へ押込まれる際、ノズルの押込抵抗を低減でき、ノズルの端面に当接する土壌を端面に沿って押し除け易く、土壌がノズル内に侵入し難くできる。因って、ノズルの目詰まりを防ぐことができ、土壌中への液注入作業能率を高めることができる。
【0013】
また、第2発明に係る土壌消毒装置は、前記管体は前記押込体の側部に沿って上下方向に配してある丸パイプであり、該丸パイプの下端に前記ノズルが一体に設けられていることを特徴とする。
【0014】
第2発明にあっては、ノズルは丸パイプの下端に一体に設けられているため、ノズルを含む押込体のコスト、ひいては土壌消毒装置のコストを低減でき、また、土壌中への押込の繰返しにより押込体及びノズルが交換される場合のコストを低減できる。
【0015】
また、第3発明に係る土壌消毒装置は、前記押込体及びノズルは横方向に離隔して複数配してあり、前記消毒液タンク内の消毒液を送出するポンプと、該ポンプが送出する消毒液を前記ノズル夫々に供給する複数の供給管とを備え、該供給管夫々に、前記ノズルに供給する消毒液の流量を調整する調整部材を設けてあることを特徴とする。
【0016】
第3発明にあっては、ノズルに供給する消毒液の流量を調整する調整部材が、供給管夫々に設けられているため、押込体とともにノズルが交換される場合、調整部材が残っている状態で押込体及びノズルを交換することができ、交換コストを低減できる。しかも、ノズル部分を狭い幅にでき、これに対応して押込体を狭い幅にでき、押込状態で進行する際の押込体による進行抵抗を低減できる。
【発明の効果】
【0017】
第1発明によれば、消毒液をノズルから下向きに噴射するため、消毒作業中に圃場で旋回すべく土壌消毒装置が持上げられた際、ノズルから連続噴射中の消毒液が作業者の足に吹付けられるのを防ぐことができ、しかも、ノズルは管体の軸中心と非直角の端面となり、尖鋭部を押込体側に配してあるため、押込体とともに土壌中へ押込まれる際のノズルの押込抵抗を低減でき、ノズルの端面に当接する土壌を端面に沿って押し除け易く、土壌がノズル内に侵入し難くできる。因って、ノズルの目詰まりを防ぐことができ、土壌中への液注入作業能率を高めることができる。
【0018】
第2発明によれば、ノズルは丸パイプの下端に一体に設けられているため、ノズルを含む押込体のコスト、ひいては土壌消毒装置のコストを低減でき、また、土壌中への押込みの繰返しにより押込体及びノズルが交換される場合のコストを低減できる。
【0019】
第3発明によれば、ノズルに供給する消毒液の流量を調整する調整部材が、供給管夫々に設けられているため、押込体とともにノズルが交換される場合、調整部材が残っている状態で押込体及びノズルを交換することができ、交換コストを低減できる。しかも、ノズル部分を狭い幅にでき、これに対応して押込体を狭い幅にでき、押込状態で進行する際の押込体による進行抵抗を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係る土壌消毒装置の構成を示す側面図、図2は土壌消毒装置の構成を示す模式図、図3は押込体及びノズルの構成を示す拡大断面図、図4は調整部材の構成を示す拡大断面図である。
【0021】
この土壌消毒装置は、歩行型トラクタにより牽引される機体1に搭載の消毒液タンク2と、該消毒液タンク2内の消毒液を送出するポンプ3と、該ポンプ3を駆動するバッテリ4と、機体1に横方向へ離隔して配され、下端部が土壌中に注入される複数の押込体5と、該押込体5の一側に溶接により固定されている複数の管体10と、該管体10の下端に設けられているノズル6と、ポンプ3が送出する消毒液を管体10及びノズル6に供給する複数の供給管7と、該供給管7の途中に配され、管体10及びノズル6に供給する消毒液の流量を調整する調整部材8と、押込体5により耕起された土壌を鎮圧する鎮圧ローラ9とを備える。
【0022】
消毒液タンク2は上部の天壁に入出口を有し、該入出口を閉塞する蓋体を備える密閉構造の円筒形をなしており、臭化メチル剤の代替剤として開発されたカーバムナトリウム塩液剤からなる土壌消毒液、詳しくはキルパー(登録商標)剤の原液が収容されている。この土壌消毒液はナトリウム=メチルジチオカルバマ−トを有効成分とし、刺激臭が比較的弱く、原液も比較的安価であり、また、人畜毒性は普通物、魚毒性はA類であり安全性が高い。
【0023】
押込体5は横断面が平行四辺形をなす角柱体からなり、先鋭側の角部が湾曲されており、進行方向の後側となる一辺に管体10が溶接により取付けられている。また、押込体5は平面視で二等辺三角形の頂点となる三箇所に配され、横方向の距離を長くすることなく押込体5間の距離を比較的長くするように構成されている。また、押込体5夫々の上部は、機体1に横軸により枢支され、上方の非押込位置への回動を可能になっており、非押込位置へ回動された押込体5に管体10により取付けられているノズル6への消毒液供給は停止されるようになっており、また、押込位置では機体進行方向と反対方向(後方)への回動が規制され、機体進行時に押込位置での姿勢を維持することができるようになっている。
【0024】
管体10は、押込体5の一辺に沿って上下方向に配されている丸パイプであり、該丸パイプの下端にノズル6が一体に設けられており、また、丸パイプの周方向の一部が押込体5に固定されている。
【0025】
ノズル6は管体10の軸中心と非直角の端面6aとなり、該端面6aの中央に孔6bが配され、尖鋭部6cが押込体5側に配されており、消毒液を孔6bから下方へ噴射するように構成されている。換言すると、丸パイプの下端が軸中心と非直角にカットされている端面6aとなり、該端面6aの尖鋭部6cが押込体5側に配されている。
【0026】
供給管7は、可撓性を有するホースからなり、押込体5の回動時には撓むようになっている。また、供給管7は途中から3本に分岐され、分岐された供給管7の途中に調整部材8と、逆止弁11とが接続されている。また、供給管7のポンプ3側には安全弁12、及びポンプ始動時に供給管7内の空気を自動的に抜くための空気抜弁13とが接続されている。
【0027】
調整部材8は、供給管7の内径よりも小径の貫通孔81aを有するオリフィス板81と、該オリフィス板81を保持する保持管82,83とを有し、該保持管82,83が供給管7の途中に接続され、オリフィス板81により流量を調整するように構成されている。
【0028】
以上のように構成された土壌消毒装置は、例えば歩行型トラクタのヒッチに連結される。歩行型トラクタは、左右二つの走行輪により支持された機体と、該機体に搭載されたエンジンと、機体から後方へ延出され、作業者に両手で把持されるハンドルと、機体の後部に配されたヒッチとを有し、該ヒッチに機体1の連結部が連結される。
【0029】
圃場での土壌消毒作業は、作業者が把持する前記ハンドルを下方へ押下げることにより、土壌消毒装置の機体1に下方向への押圧力が加わり、押込体5及びノズル6を図1に示すように土壌中へ押込むことができる。この際、管体10の下端に設けられているノズル6は、管体10の軸中心と非直角の端面6aとなり、尖鋭部6cが押込体5側に配されているため、ノズル6の押込抵抗を低減でき、ノズル6の端面6aに当接する土壌を端面6aに沿って押し除け易く、土壌がノズル6内に侵入し難くでき、ノズル6の目詰まりを防ぐことができる。
【0030】
押込体5及びノズル6が押込まれた土壌消毒装置は、歩行型トラクタにより牽引進行し、ポンプ3から送出された消毒液タンク2内の消毒液は、調整部材8により流量が調整され、土壌中のノズル6の孔6bから下方へ噴射され、土壌中を消毒することができる。この際、土壌は押込体5によりすじ状に耕起され、耕起された土壌中の押込体5の直後に発生する空間にノズル6が配されるため、消毒液をノズル6から下方へ噴射することができる。
【0031】
図5は押込体5及びノズル6が土壌表面よりも上方へ引き出された状態を示す説明図である。圃場で旋回する際は、作業者が歩行型トラクタのハンドルを上げ操作することにより、土壌消毒装置の機体1に上方向への引上げ力が加わり、押込体5及びノズル6を土壌表面よりも上方へ引出すことができ、この引出状態で歩行型トラクタにより旋回される。この際、管体10の下端に設けられているノズル6は、管体10の軸中心と非直角の端面6aとなり、尖鋭部6cが押込体5側に配され、孔6bから下方へ噴射するように構成されているため、連続噴射中の消毒液が作業者の足に吹付けられるのを防ぐことができる。
【0032】
旋回後は、作業者が把持する前記ハンドルを下方へ押下げることにより、押込体5及びノズル6を図1に示すように土壌中へ押込むことができる。この際、管体10の下端に設けられているノズル6は、管体10の軸中心と非直角の端面6aとなり、尖鋭部6cが押込体5側に配されているため、前述したように土壌がノズル6内に侵入し難くでき、ノズル6の目詰まりを防ぐことができる。
【0033】
圃場での土壌消毒作業において、前作の作物の根張りが強くて三つの押込体5では進行抵抗が大きいような場合、例えば真中に配されている押込体5がノズル6とともに上方へ回動され、真中のノズル6には消毒液が供給されなくなるが、残り二つのノズル6は調整部材8により流量が調整されているため、一定流量の消毒液を噴射することができる。
【0034】
尚、以上説明した実施の形態では、管体10を溶接により押込体5に固定したが、その他、管体10は略Ω形をなすバンド部材などにより固定してもよく、管体10の固定手段は特に制限されない。
【0035】
また、以上説明した実施の形態では、土壌消毒装置が歩行型トラクタにより牽引されることについて説明したが、その他、本発明にかかる土壌消毒装置は、乗用型トラクタに搭載されてもよいし、また、自走形作業機に組込まれた構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る土壌消毒装置の構成を示す側面図である。
【図2】本発明に係る土壌消毒装置の構成を示す模式図である。
【図3】本発明に係る土壌消毒装置の押込体及びノズルの構成を示す拡大断面図である。
【図4】本発明に係る土壌消毒装置の調整部材の構成を示す拡大断面図である。
【図5】本発明に係る土壌消毒装置の押込体及びノズルが土壌表面よりも上方へ引出された状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0037】
2 消毒液タンク
3 ポンプ
5 押込体
6 ノズル
6a 端面
6c 尖鋭部
7 供給管
8 調整部材
【出願人】 【識別番号】000250007
【氏名又は名称】有光工業株式会社
【出願日】 平成20年6月6日(2008.6.6)
【代理人】 【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
【公開番号】 特開2009−291144(P2009−291144A)
【公開日】 平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願番号】 特願2008−149493(P2008−149493)