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【発明の名称】 捕虫用粘着シート
【発明者】 【氏名】佐久間 敏彦
【課題】基材シートの一方の面に捕虫用の粘着剤層を有し、飛翔性害虫を効率よく捕殺することができると共に、加工性や保存性が良好な捕虫用粘着シート、特に紫外線誘引型の捕虫器に好適に使用し得る紫外線透過性及び耐紫外線劣化性に優れる捕虫用粘着シートを提供する。

【解決手段】基材シートの一方の面に、(A)数平均分子量が8,000〜15万であるポリオレフィン系高分子エラストマーと、その100質量部に対し、(B)非重合型可塑剤5質量部以上150質量部未満を含む粘着剤層を有する粘着シートであって、当該粘着シートの粘着剤層面同士を重ね合わせた場合のせん断力が、5〜70N/35mm×35mmであることを特徴とする捕虫用粘着シートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの一方の面に、(A)数平均分子量が8,000〜15万であるポリオレフィン系高分子エラストマーと、その100質量部に対し、(B)非重合型可塑剤5質量部以上150質量部未満を含む粘着剤層を有する粘着シートであって、当該粘着シートの粘着剤層面同士を重ね合わせた場合のせん断力が、5〜70N/35mm×35mmであることを特徴とする捕虫用粘着シート。
【請求項2】
波長340〜440nmにおける紫外線透過率の最小値が70%以上であって、背面(基材シート)側から、340〜440nmの波長領域に発光ピークを有する紫外光を透過させ、粘着剤層面に走光性害虫を誘引・捕獲する請求項1に記載の捕虫用粘着シート。
【請求項3】
(A)ポリオレフィン系高分子エラストマーが、数平均分子量1万〜5万のものである請求項1又は2に記載の捕虫用粘着シート。
【請求項4】
(B)非重合型可塑剤が、23℃において液状である請求項1〜3のいずれかに記載の捕虫用粘着シート。
【請求項5】
粘着剤層の厚さが、10〜200μmである請求項1〜4のいずれかに記載の捕虫用粘着シート。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、捕虫用粘着シートに関する。さらに詳しくは、本発明は、基材シートの一方の面に捕虫用の粘着剤層を有し、飛翔性害虫を効率よく捕殺することができると共に、加工性や保存性が良好な捕虫用粘着シート、特に紫外線誘引型の捕虫器に好適に使用し得る紫外線透過性及び耐紫外線劣化性に優れる捕虫用粘着シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハエなどの飛翔性害虫を駆除するためにはハエトリ紙が用いられていた。このハエトリ紙は表面に粘着剤を塗設して形成したもので、ハエが発生しやすい場所に設置し、表面の粘着性によりハエを捕獲するものであったが、捕獲能力や捕獲できる害虫の種類が少ないといった問題から、その使用頻度が年々低下しつつあり、近年、殺虫剤を散布する駆除方法が主流となってきた。しかし、このように殺虫剤を散布する方法では、飛翔性害虫に対する効果は充分であるというものの、反面、散布された土壌や植物に対して、好ましくない生物活性や化学的特性を与えてしまい、自然環境や人体に悪影響を及ぼしてしまうなどの問題がある。そこで、最近、自然環境や人体に悪影響を与えることなく、害虫を捕獲できるハエトリ紙などの粘着性捕獲体が見直されるようになってきており、例えば分子量が1万〜50万、且つ不飽和度が5モル%以下の高分子エラストマーと、分子量100〜1万の軟化剤とからなる粘着剤組成物であって、荷重10g/cm2の時のズレ速度が1mm/min以下、且つ荷重50g/cm2の時のズレ速度が1mm/min以上であることを特徴とする飛翔害虫捕殺用粘着剤組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、様々な産業における工場において、製品中への害虫類の混入は重大な問題であるため、各種の対策が行われている。その中で、虫の走光性という習性を利用した紫外線誘引型の捕虫器が知られている(例えば、特許文献2参照)。
この紫外線誘引型の捕虫器は、高い捕虫性や電撃殺虫器でみられるような死骸の飛散がない、メンテナンスが容易であるなどの観点から多く使用されてきている。この捕虫器に使用される粘着シートは、紫外線による誘虫性を考慮して、紫外線透過性及び耐紫外線劣化性が要求性能として挙げられる。また比較的体重が軽い飛翔性の害虫が対象となるため、凝集力が非常に低い粘着剤を用いるのが一般的である。しかし、凝集力が非常に低いため、加工性、保存性という点で劣り、ロール端面からの粘着剤のしみ出しや剥離シートから剥がす際の粘着剤層の凝集破壊が問題であった。
なお、前記特許文献1における技術は、紫外線誘引型の捕虫器に適用し得る技術ではない。
【特許文献1】特許第3183976号公報
【特許文献2】実用新案登録第3023917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような事情のもとで、基材シートの一方の面に捕虫用の粘着剤層を有し、飛翔性害虫を効率よく捕殺することができると共に、加工性や保存性が良好な捕虫用粘着シート、特に紫外線誘引型の捕虫器に好適に使用し得る紫外線透過性及び耐紫外線劣化性に優れる捕虫用粘着シートを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、前記の好ましい性質を有する捕虫用粘着シートを開発すべく鋭意研究を重ねた結果、基材シートの一方の面に、粘着剤層として、特定の分子量を有するポリオレフィン系高分子エラストマーと、非重合型可塑剤とを特定の割合で含むものを設け、かつ当該粘着シートの粘着剤層面同士を重ね合わせた場合の粘着剤層のせん断力が、ある範囲にある粘着シートが、その目的に適合し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]基材シートの一方の面に、(A)数平均分子量が8,000〜15万であるポリオレフィン系高分子エラストマーと、その100質量部に対し、(B)非重合型可塑剤5質量部以上150質量部未満を含む粘着剤層を有する粘着シートであって、当該粘着シートの粘着剤層面同士を重ね合わせた場合のせん断力が、5〜70N/35mm×35mmであることを特徴とする捕虫用粘着シート、
[2]波長340〜440nmにおける紫外線透過率の最小値が70%以上であって、背面(基材シート)側から、340〜440nmの波長領域に発光ピークを有する紫外光を透過させ、粘着剤層面に走光性害虫を誘引・捕獲する上記[1]項に記載の捕虫用粘着シート、
[3](A)ポリオレフィン系高分子エラストマーが、数平均分子量1万〜5万のものである上記[1]又は[2]項に記載の捕虫用粘着シート、
[4](B)非重合型可塑剤が、23℃において液状である上記[1]〜[3]項のいずれかに記載の捕虫用粘着シート、及び
[5]粘着剤層の厚さが、10〜200μmである上記[1]〜[4]項のいずれかに記載の捕虫用粘着シート、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、基材シートの一方の面に捕虫用の粘着剤層を有し、飛翔性害虫を効率よく捕殺することができると共に、加工性や保存性が良好な捕虫用粘着シート、特に紫外線誘引型の捕虫器に好適に使用し得る紫外線透過性及び耐紫外線劣化性に優れる捕虫用粘着シートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の捕虫用粘着シートは、基材シートの一方の面に、(A)数平均分子量が8,000〜15万であるポリオレフィン系高分子エラストマーと、その100質量部に対し、(B)非重合型可塑剤5質量部以上150質量部未満を含む粘着剤層を有する粘着シートである。
[基材シート]
本発明の捕虫用粘着シートにおける基材シートの種類に特に制限はないが、紫外線誘引型の捕虫器への適用を考慮して、340〜440nmの波長領域に発光ピークをもつ紫外光に対する透過性の良好なものが好ましい。例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂などのプラスチックのフィルム、シート及びこれらの樹脂の混合物又は積層物からなるプラスチックフィルム、シート等が挙げられる。これらの基材シートは、未延伸でもよいし、縦又は横の一軸方向、あるいは二軸方向に延伸処理されたものであってもよい。さらに、上述した波長領域以外の紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤などが含有されていてもよい。
【0007】
また、当該基材シートは、性能を損なわない範囲内で、その上に設けられる粘着剤層との密着性を向上させるために、所望により酸化法や凹凸化法などの表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、特には限定されないが例えばコロナ放電処理法、クロム酸酸化(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・プラズマ照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、特には限定されないが、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理法は基材シートの種類に応じて適宜選定されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。また、プライマー処理を施すこともできる。
当該基材シートの厚さに特に制限はないが、前記波長領域の紫外線透過性及び適度の剛性などの観点から、通常10〜250μm程度、好ましくは20〜150μmである。
【0008】
[粘着剤層]
本発明の捕虫用粘着シートにおいて、前記基材シートの一方の面に設けられる粘着剤層は、必須成分として、ポリオレフィン系高分子エラストマーと非重合型可塑剤を含有する。
(ポリオレフィン系高分子エラストマー)
当該粘着剤層に、必須成分の一つとして用いられるポリオレフィン系高分子エラストマーは、数平均分子量が8,000〜15万のものである。この数平均分子量が上記の範囲にあれば、粘着剤自体が柔かすぎたり、硬すぎることがなく、飛翔性害虫の捕獲性が良好となる。好ましい数平均分子量は1万〜5万である。なお、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定されるポリスチレン換算の値である。
このようなポリオレフィン系高分子エラストマーとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン、ポリイソブチレンなどが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、飛翔性害虫に対して優れた捕獲能力を示す観点から、特にポリブテン及びポリイソブチレンが好適である。
【0009】
(非重合型可塑剤)
当該粘着剤層において、もう一つの必須成分として用いられる非重合型可塑剤は、従来、硬くて剛性をもつポリマーに配合して、柔軟性、弾性、加工性などを付与するために用いられる化合物、いわゆる可塑剤として知られている化合物の中で、ポリエステル、ポリエーテル、アルキド樹脂、トルエンスルホンアミド−ホルムアルデヒド樹脂、ポリ−α−メチルスチレン、液状ポリクロロプレン、液状α−オレフィン重合体などの重合型の可塑剤ではなく、重合形態を有しない可塑剤を指す。一般に、分子量100〜1000程度のものが用いられる。
本発明においては、この非重合型可塑剤は、捕虫性などの観点から、23℃で液状であるものが好ましく、耐紫外線劣化性の観点から、分子内にエチレン性不飽和結合を有しないものが好ましい。
本発明において用いる非重合型可塑剤としては、フタル酸誘導体、イソフタル酸・テレフタル酸誘導体、テトラヒドロフタル酸誘導体、リン酸誘導体、アジピン酸誘導体、セバシン酸誘導体、アゼライン酸誘導体、クエン酸誘導体、トリメリット酸誘導体、グリコール酸誘導体、グリセリン誘導体、鉱物油系可塑剤、その他可塑剤などを挙げることができる。
【0010】
ここで、フタル酸誘導体としては、例えば、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジn−オクチルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジブトキシエチルエチルフタレート、ジメチルシクロヘキシルフタレート、オクチルデシルフタレート、オクチルベンジルフタレート、n−ヘキシルn−デシルフタレート、n−オクチルn−デシルフタレートなどが挙げられ、イソフタル酸・テレフタル誘導体としては、ジ−(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)テレフタレートなどが挙げられ、テトラヒドロフタル酸誘導体としては、例えば、ジ(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタレート、ジ−n−オクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシルテトラヒドロフタレートなどが挙げられ、リン酸誘導体としては、例えばトリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクロロエチルホスフェート、ビスフェノールAジフェニルホスフェート、ビスフェノールAジキシレニルホスフェートなどが挙げられる。
【0011】
アジピン酸誘導体としては、例えばジメチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジn−オクチルアジペート、ジデシルアジペート、n−オクチルn−デシルアジペート、n−ヘプチルn−ノニルアジペート、ベンジルオクチルアジペート、ジブチルジグリコールアジペートなどが挙げられ、セバシン酸誘導体としては、例えばジn−ブチルセバケート、ジn−オクチルセバケート、ジイソオクチルセバケート、ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ブチルベンジルセバケートなどが挙げられ、アゼライン酸誘導体としては、例えば、ジ(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジn−ヘキシルアゼレート、ジメチルアゼレート、ジベンジルアゼレート、ジブトキシエチルアゼレート、ジイソオクチルアゼレートなどが挙げられる。
クエン酸誘導体としては、例えばトリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリオクチルシトレートなどが挙げられ、トリメリット酸誘導体としては、例えばトリ(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリn−オクチルn−デシルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテートなどが挙げられ、グリコール酸誘導体としては、例えばメチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなどが挙げられ、グリセリン誘導体としては、例えばグリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレート、グリセロールエーテルアセテートなどが挙げられ、鉱物油系可塑剤としては、例えばプロセス油、流動パラフィンなどが挙げられる。その他可塑剤としては、例えばテトラ(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラn−オクチルピロメリテート、ジイソデシルサクシネート、塩素化パラフィン、部分水添ターフェニル、ジベンジルエーテルなどが挙げられる。
【0012】
本発明においては、(B)成分の非重合型可塑剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、当該粘着剤層における(B)成分の非重合型可塑剤の含有量は、前記(A)成分のポリオレフィン系高分子エラストマー100質量部に対して、5質量部以上150質量部未満である。非重合型可塑剤の含有量が5質量部未満であると、捕虫性が低下し、一方150質量部以上であると、剥離シートから粘着シートを剥がす際の粘着剤層中の凝集破壊の発生や、保存安定性の低下などが生じる。この非重合型可塑剤の好ましい含有量は、8〜100質量部である。
本発明の捕虫用粘着シートにおける粘着剤層には、本発明の効果が損なわれない範囲で、必要に応じ340〜440nmの波長領域以外の紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、防腐剤、防錆剤、無機粉末や金属粉末などの充填剤、着色剤等の公知の各種添加剤あるいはフェロモンなどの誘引物質などを含有させることができる。
【0013】
(粘着剤層の形成)
次に、基材シートの一方の面に粘着剤層を形成する方法について説明する。
まず、前記の(A)ポリオレフィン系高分子エラストマーと、前記の(B)非重合型可塑剤とを所定の割合で含み、必要に応じて前記の各種添加剤を含む粘着剤組成物を調製する。なお、この粘着剤組成物の調製においては、無溶媒で行ってもよいし、必要に応じ適当な溶媒を適宜含有させることができる。
次に、このようにして調製された粘着剤組成物を、無溶媒の場合はホットメルト化し基材シートの一方の面に塗布、冷却固化して粘着剤層を形成させる。また、粘着剤組成物を溶媒希釈した場合は、基材シートの一方の面に塗布、乾燥して粘着剤層を形成させる。粘着剤組成物を基材シートの一方の面に塗布する方法としては、特に制限はなく、従来公知の塗布装置が使用可能であり、例えば、ナイフコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、エアナイフコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター、グラビアコーター等の塗布装置による方法が挙げられる。
また、別の方法として、後述する剥離シートの剥離処理面に、前記の塗布装置を使用し、粘着剤組成物を塗布して、前記厚さの粘着剤層を形成したのち、この粘着剤層上に基材シートを貼り合わせる方法を用いることもできる。
粘着剤層の厚さは、特に制限はないが、通常10〜200μmであり、好ましくは15〜150μmであり、より好ましくは20〜100μmである。
【0014】
[剥離シート]
このようにして形成された粘着剤層の上に、所望により剥離シートを設けることができる。
前記剥離シートとしては、例えばグラシン紙のような高密度原紙、クレーコート紙、クラフト紙、上質紙などの紙、又はそれらの紙にポリエチレン樹脂などをラミネートしたラミネート紙、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオレフィンなどのプラスチックフィルムに、フッ素樹脂やシリコーン樹脂などの剥離剤を乾燥質量で0.1〜3g/m2程度になるように塗布し、熱硬化や紫外線硬化などによって剥離層を設けたものなどが挙げられる。この剥離シートの厚さについては特に制限はないが、通常25〜200μmの範囲である。
【0015】
[捕虫用粘着シート]
本発明の捕虫用粘着シートにおいては、当該粘着シートの粘着剤層面同士を重ね合わせた場合の粘着剤層のせん断力が5〜70N/35mm×35mmであることを要す。このせん断力が5N/35mm×35mm未満では剥離シート上から粘着シートを剥離する際の粘着剤層の凝集破壊や、粘着剤のしみ出しなどの保存安定性に劣り、一方70N/35mm×35mmを超えると捕虫性が悪くなる。好ましいせん断力は8〜60N/35mm×35mmである。なお、せん断力は捕虫用粘着シートを紫外線に曝露する前に測定した値である。
本発明の捕虫用粘着シートは、適当な場所に設置して、飛翔性害虫を捕獲してもよいが、以下に示すように、紫外線誘引型の捕虫器に適用し、走光性害虫を捕獲することが好ましい。
この場合、本発明の捕虫用粘着シートにおける波長340〜440nmにおける紫外線透過率の最小値が70%以上であって、背面(基材シート)側から340〜440nmの波長領域に発光ピークを有する紫外光を透過させ、粘着剤層面に走光性害虫を誘引・捕獲する方法を用いることができる。
前記紫外線透過率が70%未満では誘虫性が低下し、また紫外線による粘着剤の物性低下が生じやすくなる。該紫外線透過率は80%以上であることが好ましい。
具体的には、340〜440nmの波長領域に発光ピークをもつ紫外光を発するタテ型光源をセットした捕虫器の支柱などに本発明の捕虫用シートを粘着剤層が前面側になるように、両面粘着テープなどを用いて装着することなどにより、走光性害虫を捕獲する。
【実施例】
【0016】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られた粘着シートの性能を以下に示す方法に従って評価した。
(1)紫外線透過率
粘着シートから剥離シートを剥がし、このサンプルについて、紫外可視分光光度計[島津製作所社製、機種名「UV−3101PC」]を用いて、波長340〜440nmの紫外線透過率の最小値を測定した。
(2)剥離性
JIS Z 0237に準拠して、幅50mmの粘着シートを剥離シートから、0.1m/minの剥離速度で180度方向に剥離した際の剥離シート表面を目視し、以下の基準で評価した。
○:剥離シート上に糊残りがなく、粘着シートが良好に剥離できる。
×:粘着剤層が凝集破壊し、剥離シート上に糊残りがある。
(3)せん断力
23℃、50%RHの環境下で、幅35mm、長さ35mmの粘着シートの基材シート側を両面テープを用いてステンレス鋼板に固定した試料を2つ用意し、その後、剥離シートを剥がしたのち、露出した粘着剤層面同士を重ね合わせ、19.6Nローラーを用いて5往復して貼付した。
貼付30分後、引張り試験機[オリエンテック社製、機種名「UTM−4−100」]を用いて、JIS Z 0237に準拠し、速度50mm/minの条件でせん断力を測定した。
(4)捕虫性
波長340〜440nmの波長領域に発光ピークをもつ紫外光を発する蛍光灯をセットしたトーセロパックス(株)製捕虫ポールに、剥離シートを剥がした粘着シートの基材側を、両面粘着テープで貼付し、埼玉県蕨市錦町5−14−42の場所に30日間放置したのち、捕虫数を目視にて観察し、下記の判定基準で評価した。
◎:捕獲された虫の数が300匹以上
○:捕獲された虫の数が100匹以上300匹未満
×:捕獲された虫の数が100匹未満
【0017】
実施例1
ポリオレフィン系高分子エラストマーとしてポリイソブチレン樹脂[BASF社製、製品名「オパノールB15N」、数平均分子量:22000]100質量部(固形分)と、非重合型可塑剤としてビス(2−エチルヘキシル)セバケート[関東化学(株)製]30質量部(固形分)とトルエン150質量部を混合して粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をグラシン紙の片面にシリコーン処理された剥離シート上に乾燥後の厚さが30μmになるようにロールナイフコーターにて塗布形成し、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム[東レ社製、商品名「ルミラー」]に貼り合わせて粘着シートを作製した。この粘着シートについて、せん断力、紫外線透過性、捕虫性について評価した。その結果を第1表に示す。
【0018】
実施例2
実施例1において、非重合型可塑剤の添加量を50質量部(固形分)にした以外は、実施例1と同様に実施して粘着シートを作製し、性能評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例3
実施例1において、非重合型可塑剤としてジイソデシルアジペート[田岡化学工業(株)製]を用い、添加量として50質量部(固形分)とした以外は、実施例1と同様に実施して粘着シートを作製し、性能評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例4
実施例1において、ポリオレフィン系高分子エラストマーとして、ポリイソブチレン樹脂[BASF社製、製品名「オパノールB10N」、数平均分子量:9000]100質量部(固形分)を用い、非重合型可塑剤の添加量を10質量部(固形分)とした以外は、実施例1と同様に実施して粘着シートを作製し、性能評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0019】
実施例5
実施例1において、ポリオレフィン系高分子エラストマーとして、ポリイソブチレン樹脂[BASF社製、製品名「オパノールB30N、数平均分子量:73000」]100質量部(固形分)を用い、非重合型可塑剤の添加量を70質量部(固形分)とした以外は、実施例1と同様に実施して粘着シートを作製し、性能評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例6
実施例1において、ポリオレフィン系高分子エラストマーとして、ポリイソブチレン樹脂[BASF社製、製品名「オパノールB50N、数平均分子量:120000」]100質量部(固形分)を用い、非重合型可塑剤の添加量を140質量部(固形分)とした以外は、実施例1と同様に実施して粘着シートを作製し、性能評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0020】
比較例1
実施例1において、非重合型可塑剤を添加しない以外は実施例1と同様に実施して粘着シートを作製し、性能評価を行った。その結果を第1表に示す。
比較例2
実施例1において、非重合型可塑剤の添加量を3質量部(固形分)とした以外は実施例1と同様に実施して粘着シートを作製し、性能評価を行った。その結果を第1表に示す。
比較例3
実施例1において、非重合型可塑剤の添加量を200質量部(固形分)とした以外は実施例1と同様に実施して粘着シートを作製し、性能評価を行った。その結果を第1表に示す。
比較例4
実施例1においてポリイソブチレン樹脂[BASF社製、製品名「オパノールB80」、数平均分子量:200000]とした以外は実施例1と同様に実施して粘着シートを作製し、性能評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0021】
【表1】


【0022】
本発明の粘着シート(実施例1〜6)は、いずれもせん断力が5〜70N/35mm×35mmの範囲内にあり、紫外線透過率が70%を超え、かつ捕虫性に優れ、総合評価で合格である。
これに対し、比較例1〜4の粘着シートは、いずれもせん断力が5〜70N/35mm×35mmの範囲を逸脱するか、測定不能であり、紫外線透過率は70%を超えているものの、捕虫性が、全くなしか、○又は×であって、総合評価で不合格である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の捕虫用粘着シートは、基材シートの一方の面に捕虫用の粘着剤層を有し、飛翔性害虫を効率よく捕殺し得ると共に、加工性や保存性が良好であり、しかも紫外線透過性及び耐紫外線劣化性に優れ、特に紫外線誘引型の捕虫器に好適に使用することができる。
【出願人】 【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
【出願日】 平成19年9月5日(2007.9.5)
【代理人】 【識別番号】100075351
【弁理士】
【氏名又は名称】内山 充
【公開番号】 特開2009−60822(P2009−60822A)
【公開日】 平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願番号】 特願2007−230380(P2007−230380)