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【発明の名称】 釣り竿
【発明者】 【氏名】原田 孝文
【課題】元竿の竿尻端部のネジ部と尻栓のネジ部との少なくとも一方に、合理的な改造を加えることによって、長期使用に亘る場合にも機能低下が抑制される尻栓緩み止め手段を装備してある釣り竿を提供する。

【解決手段】元竿1の竿尻端部1Bに尻栓4を螺着した状態で、元竿1に保持された保持体6のネジ部6aとの接触によって径方向に撓み変形するとともに変形前の姿勢に自己復帰しようとして、その元竿1のネジ部に圧接する膨出部4Bを、尻栓4におけるネジ部4aの周方向の一部に設けてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
元竿の竿尻端部に尻栓を螺着した状態で、相手側のネジ部との接触によって径方向に撓み変形するとともに変形前の姿勢に自己復帰しようとして、その相手側のネジ部に圧接する尻栓緩み止め手段を、互いに螺合するネジ部の少なくとも一方の周方向の一部に設けてある釣り竿。
【請求項2】
前記尻栓緩み止め手段が、前記尻栓のネジ部の周方向の一部に形成され前記ネジ部のネジ山先端より径方向外方に突出して、前記相手側ネジ部に圧接可能な膨出部である請求項1記載の釣り竿。
【請求項3】
前記尻栓緩み止め手段が、前記元竿の竿尻端部におけるネジ部の周方向の一部に形成され前記ネジ部のネジ山先端より径方向外方に突出して、前記相手側ネジ部に圧接可能な膨出部である請求項1記載の釣り竿。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、元竿の竿尻端部に尻栓を螺着した状態で、前記尻栓の緩みを阻止する尻栓緩み止め手段を設けてある釣り竿に関する。
【背景技術】
【0002】
尻栓緩み止め手段としては、尻栓の雄ネジ部と元竿の竿尻端部の雌ネジ部とで螺合部を構成し、螺合部より軟質の材料からなる被膜を選択して、螺合部に摩擦係数の高い軟質性の被膜を施したものがある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−4827号(段落番号〔0006〕〔0010〕、及び、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記被膜を施したものでは、その被膜自体が薄いものでありかつ摩擦係数の高いものでもあるので、尻栓を着脱操作する毎に被膜がネジリ作用を受けて傷みを生じ、緩み止め機能が長期使用によって低下することが考えられる。
【0005】
本発明の目的は、元竿の竿尻端部のネジ部と尻栓のネジ部との少なくとも一方に、合理的な改造を加えることによって、長期使用に亘る場合にも機能低下が抑制される尻栓緩み止め手段を装備してある釣り竿を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、元竿の竿尻端部に尻栓を螺着した状態で、相手側のネジ部との接触によって径方向に撓み変形するとともに変形前の姿勢に自己復帰しようとして、その相手側のネジ部に圧接する尻栓緩み止め手段を、互いに螺合するネジ部の少なくとも一方の周方向の一部に設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0007】
〔作用〕
つまり、尻栓緩み止め手段として、互いに螺合するネジ部の少なくともいずれか一方における周方向の一部を、径方向に撓み変形するとともに変形前の姿勢に自己復帰しようとして、その相手側のネジ部に圧接するものを採用した。
したがって、尻栓を装着操作する際には、尻栓緩み止め手段は径方向に撓み変形を生じて相手側ネジ部との干渉を回避し乍、元の姿勢に戻ろうとする自己復帰力を発揮して相手側ネジ部に圧接する。このことによって、緩み止め機能を発揮する。
【0008】
〔効果〕
このように、尻栓の着脱操作時には、撓み変形して摩擦損傷を回避しながら、装着状態においては圧接力を発揮する構成の採用によって、長期に亘って安定した緩み止め機能を発揮するものを提供できるに至った。
【0009】
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記尻栓緩み止め手段が、前記尻栓のネジ部の周方向の一部に形成され前記ネジ部のネジ山先端より径方向外方に突出して、前記相手側ネジ部に圧接可能な膨出部である点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0010】
〔作用効果〕
つまり、尻栓のネジ部の一部に、相手側ネジ部としての元竿の竿尻端部に向けて突出する膨出部を形成する。膨出部は、尻栓を装着操作する際には、径方向に撓み変形を生じて相手側ネジ部との干渉を回避しながら自己復帰力を発揮して相手側ネジ部に圧接する。このことによって、緩み止め機能を発揮する。
したがって、単に、ネジ部に膨出部を形成し、その膨出部を撓み変形可能に構成することによって、長期使用に耐え得る尻栓緩み止め手段を構築できるに至った。
【0011】
請求項3に係る発明の特徴構成は、請求項1に係る発明において、前記尻栓緩み止め手段が、前記元竿の竿尻端部におけるネジ部の周方向の一部に形成され前記ネジ部のネジ山先端より径方向外方に突出して、前記相手側ネジ部に圧接可能な膨出部である点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0012】
〔作用効果〕
つまり、元竿の竿尻端部のネジ部の一部に、相手側ネジ部としての尻栓に向けて突出する膨出部を形成する。この構成によって、膨出部は、尻栓を装着操作する際には、径方向に撓み変形を生じて相手側ネジ部との干渉を回避しながら、自己復帰力を発揮して相手側ネジ部に圧接する。このことによって、緩み止め機能を発揮する。
したがって、単に、ネジ部に膨出部を形成し、その膨出部を撓み変形可能に構成することによって、長期使用に耐え得る尻栓緩み止め手段を構築できるに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
〔第1実施形態〕
渓流竿、鮎竿等の伸縮式の釣り竿Aについて説明する。図1に示すように、釣り竿Aを元竿1、元上2、元上々3等の中竿、穂先竿、元竿1の竿元側端に尻栓4を設けて構成し、中竿、穂先竿を元竿1内に収納する収縮状態と元竿1から引き出した伸長状態とに切り換え可能に構成してある。
【0014】
収縮状態を保持する収縮保持手段Pについて説明する。図1に示すように、元竿1の竿尻端部1Bの内周面に保持体6を内嵌して装備し、この保持体6で元上2の竿尻端部2B、及び、元上々3の竿尻端部3B等を嵌合保持すべく構成する。保持体6の竿元側の内周面に雌ネジ6aを形成すると共に,尻栓4の大径摘まみ部4Aの竿先側に雄ネジ4aを形成して、尻栓4を螺着可能に構成し、尻栓4の先端側に穂先竿等を収納状態で受け止める座ゴム5を設けてある。
【0015】
保持体6について説明する。保持体6は、NBR等のゴムやナイロン等の合成樹脂等を材料として形成されるもので、図1に示すように、竿先側開口端から竿元側に向けて、元上2の竿尻端部2Bを内嵌保持する元上用保持座6Aと、元上用保持座6Aより小径でその元上用保持座6Aより竿元側に元上々3の竿尻端部3Bを保持する元上々用保持座6Bと、他の中竿、穂先用の他の保持座6Cとを備えている。
【0016】
一方、収縮保持手段Pを竿先側において形成する構造について説明する。図1に示すように、元上2の竿先端部2Aの外周面に嵌合用の大径膨出部2aを形成するとともに、元竿1の竿先端部1Aの内周面を嵌合面として、元上2を元竿1内に収納する際に、元上2の竿先端部2Aの大径膨出部2aを元竿1の竿先端部1Aの内周面に内嵌するように構成してある。
【0017】
以上のような構成によって、図1(イ)に示すように、元竿1内に収縮収納される元上2は、竿先端部2Aの外周面の大径膨出部2aを元竿1の竿先端部1Aの内周面に嵌合するとともに、竿尻端部2Bの外周面を保持体6の元上用保持座6Aに内嵌して、元上2の収縮状態を保持するように構成してある。
【0018】
したがって、元上2の竿先端部2Aの外周面の大径膨出部2aと元竿1の竿先端部1Aの内周面との嵌合状態、及び、元上2の竿尻端部2Bの外周面と保持体6の元上用保持座6Aの内周面との嵌合状態によって、収縮保持手段Pを構成する。
【0019】
図1(イ)に示すように、元上々3についても、同様に収縮保持手段Pが構成してある。つまり、元上々3の竿先端部3Aの外周面に嵌合用の大径膨出部3aを形成するとともに、元上2の竿先側端部2Aの内周面を嵌合面として、元上々3を元上2内に収納する際に、元上々3の竿先端部3Aの大径膨出部3aを元上2の竿先端部2Aの内周面に内嵌するように構成してある。
【0020】
伸長保持手段Qについて元上2と元竿1とを代表させて説明する。図1(ロ)に示すように、前述した、元上2の竿尻端部2Bの外周面に形成した大径膨出部を、元竿1の竿先端部1Aの内周面に嵌合させる。これによって、元上2を元竿1に対して伸長状態に保持できる。
図示してはいないが、元上々3の竿尻端部3Bの外周面に形成した大径膨出部を、元上2の竿先端部2Aの内周面に嵌合させることによって、元上々3を伸長状態に保持できる。
このように、中竿、及び、穂先竿においても、同様に伸長状態を得ることができる。
【0021】
次に、尻栓4の緩み止め手段Bについて説明する。
図2に示すように、大径摘み部4Aの先端側に小径の雄ネジ部4aを設けてあり、雄ネジ部4aの円周方向の一部に膨出部4Bを設けてある。膨出部4Bは、雄ネジ部4aの一部を3辺に亘って切り込み溝4bを入れて区画されており、大径摘み部4Aの背面に取り付けられた状態で片持ち状に支持されている。膨出部4Bの外面4cは、図3(a)に示すように、雄ネジ部4aのネジ山先端より径方向外方に突出する状態に形成されるとともに、膨出部4Bの内面4dは、雄ネジ部4aの内面と同一径の位置に設定してある。膨出部4Bと大径摘み部4Aの背面との接続上面部位には、凹入溝4eが形成してあり、薄肉部分に構成してある。
【0022】
以上のような構成によって、図3(b)に示すように、尻栓4を元竿1の竿尻端部1Bの保持体6における雌ネジ部6aに螺合させた場合には、膨出部4Bの外面4cが雌ネジ部6aによって縮径方向に押し込み作用を受けて、前記薄肉部分を基端にして内側に撓み変形する。
そうすると、膨出部4Bは元の変形前の姿勢に復帰しようとするところから、膨出部4Bの外面4cが元竿1の竿尻端部1Aの保持体6における雌ネジ部6aに圧接するところから、尻栓4はその圧接力による反力を受けて、尻栓4の緩みが抑制される。
ここに、膨出部4Bと保持体6における雌ネジ部6aとで緩み止め付与手段Bを構成する。
【0023】
〔第2実施形態〕
ここでは、尻栓4に緩み止め用の膨出部4Bを設ける構成において、図4に示すように、膨出部4Bの外面4cに大径の雄ネジ部4fを形成してある。このような構成によって、尻栓4が保持体6に螺合させた場合に、その膨出部4Bの外面4cに形成した雄ネジ部4fが保持体6の雌ネジ6aに螺合することとなり、尻栓4の装着状態をより強固なものとなる。
【0024】
〔第3実施形態〕
前記した構成では、尻栓4に緩み止め構造としての膨出部4Bを形成したが、ここでは、尻栓4を取り付ける側に膨出部1Cを設ける構成について説明する。
図5に示すように、元竿1の竿尻端部1Bの外周面に雄ネジ部1aを形成する一方、尻栓4を基端摘み部4Cと基端摘み部4Cから竿先側に向けて延出された筒状部4Dとで構成し、筒状部4Dの内周面に雌ネジ部4gを形成している。そして、筒状部4Dの雌ネジ部4gを元竿1の竿尻端部1Bの雄ネジ部1aに螺合させることによって、尻栓4を装着可能である。
【0025】
具体的には、元竿1の竿尻端部1Bに、段付き部を介して小径部分を形成し、その小径部分の外面に尻栓装着用の雄ネジ部1aを形成してある。この雄ネジ部1aには、円周方向の一部で前記段付き部より一定長さに亘って竿尻端に向けて膨出部1Cが形成してある。
膨出部1Cは、図2(a)で示す場合と同様に、段付き部から竿尻側に向けた左右一対の切り欠き溝1bと周方向に沿ったひとつの切り欠き溝1bとで片持ち状態に切り加工され、かつ、段付き部との接続位置に周方向に沿った凹入溝1eが設けてある。
膨出部1Cの外面は凹凸のない円弧面に形成されており、元竿1の竿尻端部1Bの外周面径より小径であるが、雄ネジ部1aより大径に形成してある。
【0026】
このような構成になる元竿1の竿尻端部1Bに尻栓4を装着すると、図5(b)に示すように、膨出部1Cが尻栓4に形成された雌ネジ部4gに押し込められて、元竿1の内部空間内に撓み変形し、雄ネジ部4gに圧接する。このように、膨出部1Cが尻栓4の雌ネジ部4gに圧接することによって尻栓4の緩み止め機能が発揮される。
【0027】
〔別実施形態〕
(1)膨出部4B、1Cとして、円周方向における一箇所にだけ形成したものを説明したが、円周方向複数箇所に膨出部4B、1Cを形成してもよい。
【0028】
(2)上記実施形態においては、渓流竿で説明したが、本発明を鮎竿や磯竿等に適用してもよい。
【0029】
(3)上記実施形態においては、尻栓4を取り付ける対象として、元竿1内に装着している保持体6に形成したネジ部6aを選定してあるが、直接、元竿1に設けたネジ部を取り付けの対象としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(a)元上、元々上を元竿内に収縮した状態を示す縦断側面図、(b)元上を元竿より引き出した状態を示す縦断側面図
【図2】尻栓の平面図
【図3】(a)膨出部を形成した尻栓を元竿に装着する前の状態を示す縦断側面図、(b)は尻栓を元竿に装着した状態を示す縦断側面図
【図4】膨出部の外面にネジ部を形成した状態を示す縦断側面図
【図5】(a)膨出部を形成した元竿に、尻栓を装着する前の状態を示す縦断側面図、(b)膨出部を形成した元竿に尻栓を装着した状態を示す縦断側面図
【符号の説明】
【0031】
1 元竿
1B 竿尻端部
1C 膨出部
1a 雄ネジ部
4 尻栓
4B 膨出部
4a 雄ネジ部
4g 雌ネジ部
A 釣り竿
B 緩み止め手段
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【出願日】 平成20年6月4日(2008.6.4)
【代理人】 【識別番号】100149342
【弁理士】
【氏名又は名称】小副川 義昭
【公開番号】 特開2009−291114(P2009−291114A)
【公開日】 平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願番号】 特願2008−147003(P2008−147003)