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【発明の名称】 飼料除去装置
【発明者】 【氏名】安田 勝彦
【氏名】安田 満広
【課題】給餌機の折返位置に餌溜まりが形成されないようにすることが可能な飼料除去装置の提供を課題とする。

【解決手段】除去装置1は、給餌桶6に対し、往復直線運動によって飼料5を供給する給餌機2と、給餌桶6から延設された給餌機折返部15と、飼料貯留空間13に堆積する飼料5を押出板部9を利用して押出可能な飼料クリーナ部4と、メインアーム10及び該メインアーム10の一端に回動変位自在に取設された牽引アーム11を有するクリーナ牽引部3と、クリーナ牽引部3によって給餌機2の移動に協働して摺動する飼料クリーナ部4の移動経路の一部を遮るように設けられ、当該飼料クリーナ部4の一部と当接し、飼料クリーナ部4の摺動を所定範囲に規制するクリーナストッパ12とを主に具備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鶏舎に設置されたケージに取付けられ、前記ケージに収容されて飼育される鶏に対して餌となる飼料を供給する給餌桶に対し、前記給餌桶の長手方向に沿って直線的に往復移動可能に形成され、上方に開口した前記給餌桶の桶開口部に相対する飼料供給口から前記飼料を前記給餌桶に供給する給餌機と、
前記鶏舎に前記ケージが複数連設して形成された直立ケージ列のケージ列端に設けられ、前記給餌桶の桶端と連設してなる給餌機折返部と、
前記給餌機折返部に収容され、前記給餌機折返部内を前記給餌桶の長手方向に沿って所定範囲で摺動し、前記給餌機折返部内に堆積する前記給餌機から供給された前記飼料を前記給餌桶側に押出可能な板状の押出板部を有する飼料クリーナ部と、
前記給餌機から略水平方向に突設されたメインアーム、及び前記メインアームの長手方向に略直交し、前記給餌機折返部に位置する前記飼料クリーナ部の一部と当接し、前記給餌機の移動に協働するようにして前記飼料クリーナ部を牽引し、摺動させる牽引保持位置に設定可能な牽引アーム、及び前記給餌機に対する前記メインアームの角度を変位させ、前記牽引アームによる牽引を解除する牽引解除位置に前記メインアームを回動可能なクリーナ牽引部と
を具備することを特徴とする飼料除去装置。
【請求項2】
前記給餌桶及び前記給餌機折返部の間に介設され、前記クリーナ牽引部によって牽引される前記飼料クリーナ部の少なくとも一部と当接し、前記飼料クリーナ部が前記給餌桶に侵入することを規制し、前記飼料クリーナ部の摺動を所定範囲に制限するクリーナストッパをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の飼料除去装置。
【請求項3】
前記給餌機折返部は、
前記ケージ列端から前記給餌桶を延設し、
前記飼料クリーナ部は、
前記給餌桶の桶本体に対して摺動可能な桶側壁を前記押出板部として利用することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の飼料除去装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、飼料除去装置に関するものであり、特に、鶏を飼育するケージに取付けられた給餌桶に形成される「餌溜まり」を除去することを可能とする飼料除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のケージを長手方向に連設して構築された直立ケージ列を鶏舎内に設け、該ケージの中に上下・前後・左右の移動を所定範囲に制限した鶏を多数収容し、卵や鶏肉を生産するための鶏の飼育が行われている。このとき、ケージに収容された鶏に対しては、一定時間毎に餌(飼料)を自動的に供給する(給餌する)自動給餌システムが採用されていることが多い。この自動給餌システムは、ケージの一面に長手方向に沿って配された桶状の給餌桶に対し、上方から飼料を落下させながら供給する給餌機(ホッパーフィーダ)を設置し、当該給餌機を給餌桶に沿って直線的に往復移動させることにより、給餌機から餌となる飼料を給餌桶に対して供給することができるものである。そして、供給された飼料を鶏が食べることができる。
【0003】
このとき、給餌機は、飼料を強制的に排出するような機能を有している機能を有しておらず、給餌機上方から投入された飼料が自重に従って下方に落下し、給餌桶に供給されるものである。すなわち、給餌機の往復移動における移動速度及び給餌機から供給される飼料の落下速度(供給速度)及び給餌する開口部を調整することにより、幅方向に連設された給餌桶に均一量の飼料を供給することができる。これにより、ケージに収容された全ての鶏に対し、生育や産卵のために必要な栄養分を満遍なく供給することができ、安定した卵や鶏肉の生産及び市場への安定供給が可能となる。また、係る自動給餌システムにより、給餌作業が自動化されているため、従来のように、作業者が手作業で各ケージに餌を与える必要がなく、給餌作業に要する時間を大幅に短縮し、かつ作業者に対する作業負担を大幅に軽減することができる。
【0004】
ここで、給餌機を往復移動させ、給餌桶に飼料を供給する場合、各直立ケージ列の最外側に位置するケージ(ケージ列端)に到達した給餌機は、それまでの移動方向を反転(逆転)させる必要がある。さらに、鶏舎における飼料(餌)の給餌は、予め規定された時間間隔毎に行われ、給餌時間以外は、上記の給餌機は所定の待機位置(一般的に、直立ケージ列のケージ列端)で待機していることとなる。この待機位置はケージ前では鶏が餌を食べられないためにケージから外れた鶏のいない位置となる。ここで、一般的な給餌機の場合、下端に設けられた飼料供給口には、飼料の給餌量を調整するような扉のような構成を備えていないことが多い。そのため、上記のような待機位置にある場合、或いは給餌機の移動方向を反転させる折返位置では、同様に飼料が給餌桶に供給されるが、一部が山のように盛り上がって堆積することがある。係る状態を一般に「餌溜まり」と呼ぶことがある。特に、待機位置や折返位置は、一般に鶏が飼育されるケージ以外の箇所に設定されることが多く、係る箇所に飼料が堆積された場合であっても、鶏が消費することはほとんど無かった。さらに、餌溜まりが肥大化すると、上述した給餌機及びその他の鶏舎に設けられた設備の稼働等に影響を与えることがあった。そのため、作業者が必要に応じて、係る餌溜まりを崩し、鶏が飼育されるケージの前に設けられた給餌桶に手作業で投入したり、或いは係る部位を廃棄処理等する必要があった。これにより、作業者に対して煩雑な労力を強いることとなり、または廃棄に伴って資源を有効に活用することができなくなる場合もあった。
【0005】
そこで、本願出願人は、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、「ケージの餌桶に沿って往復移動し、餌桶に餌を供給するホッパーフィーダと、餌桶のケージが無い両端の停止位置において餌桶に沿って往復移動しつつ該停止位置に溜まった餌溜まりを餌桶に沿って餌桶に中央側に向かって移動させるための餌戻しユニット、ホッパーフィーダと餌戻しユニットとを磁気的に吸着させる磁気吸着構造と、磁気吸着構造により磁気的連結がされたホッパーフィーダと餌戻しユニットとが予め設定した位置に達すると磁気的連結が開放される磁気の開放構造とから構成された餌溜まり防止装置」に係る優れた技術を開発し、当該技術に基づく特許出願を既に行っている(特許文献1参照)。
【0006】
係る技術により、磁気による吸引作用を利用し、餌溜まりが生成されることなく、平均的に飼料を給餌桶にならすようにして供給することが可能となり、特に、ホッパーフィーダ(給餌機)の停止している位置において、餌溜まりが生成される可能性を抑えることができる優れた利点を有している。加えて、餌戻しユニットの移動の際に、ホッパーフィーダと餌戻しユニットとが機械的に切断され、磁力によって移動する構成となるため、飼料の供給量を平均化する餌戻しユニットに係る負荷を必要最低限に抑えることができる利点も備えている。
【0007】
加えて、本願出願人は、「餌桶の折返し位置から餌溜まりを防止したい範囲において移動するホッパーフィーダの出口下方に、餌出し抑制用の餌受け皿を配置したことを特徴とする餌溜まり抑制装置」を開発し、既に開示している(特許文献2参照)。係る構成を採用することにより、鶏が不在のケージの前に餌が落下(供給)する量(餌の出力)を低く抑えることができ、餌溜まりの生成を防ぐことができる。
【0008】
【特許文献1】特許第3975178号公報
【特許文献2】特開2007−181420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記に示した餌溜まり抑制装置等は、既に示したように、優れた利点及び効果を有し、従来のように作業者が手作業で餌溜まりを除去するような労力の負担を大きく軽減化することができる。しかしながら、下記に述べるような不具合を生じる可能性も存在していた。例えば、特許文献1の餌溜まり防止装置の場合、磁気吸着表面に餌(飼料)が付着すると、ホッパーフィーダと餌戻しユニットとの間の磁気吸引力が影響を受け、係る餌戻しユニットの移動に支障を来すおそれがあった。そのため、飼料の状態によっては円滑な動きをすることができず、本来の機能を十分に発揮することができないおそれがあった。加えて、磁気吸着表面への餌の付着を除去するために、給餌作業が一時的にストップすることがあり、給餌時間の遅延、及び鶏舎全体の作業予定が狂う可能性があった。
【0010】
また、特許文献2に示した餌溜まり抑制装置の場合、ホッパーフィーダからの餌の落下量(換言すれば、供給量)が予想以上に大きな場合、餌出し抑制用の餌受け皿では排出された餌を十分に保持することができないケースも想定された。その結果、餌溜まり抑制装置による十分な抑制が得られず、最終的にはホッパーフィーダの待機位置や折返位置に餌溜まりが発生してしまう可能性もあった。
【0011】
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、給餌機の待機位置または折返位置に飼料の堆積が生じないようにすることが可能な飼料除去装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明の飼料除去装置は、「鶏舎に設置されたケージに取付けられ、前記ケージに収容されて飼育される鶏に対して餌となる飼料を供給する給餌桶に対し、前記給餌桶の長手方向に沿って直線的に往復移動可能に形成され、上方に開口した前記給餌桶の桶開口部に相対する飼料供給口から前記飼料を前記給餌桶に供給する給餌機と、前記鶏舎に前記ケージが複数連設して形成された直立ケージ列のケージ列端に設けられ、前記給餌桶の桶端と連設してなる給餌機折返部と、前記給餌機折返部に収容され、前記給餌機折返部内を前記給餌桶の長手方向に沿って所定範囲で摺動し、前記給餌機折返部内に堆積する前記給餌機から供給された前記飼料を前記給餌桶側に押出可能な板状の押出板部を有する飼料クリーナ部と、前記給餌機から略水平方向に突設されたメインアーム、及び前記メインアームの長手方向に略直交し、前記給餌機折返部に位置する前記飼料クリーナ部の一部と当接し、前記給餌機の移動に協働するようにして前記飼料クリーナ部を牽引し、摺動させる牽引保持位置、及び前記飼料クリーナ部の牽引を解除する牽引解除位置に設定可能な牽引アーム、及び前記給餌機に対する前記メインアームの角度を変位させ、前記牽引アームによる牽引を解除する牽引解除位置に前記メインアームを回動可能なクリーナ牽引部と」を具備するものから主に構成されている。
【0013】
ここで、給餌機とは、鶏舎に設置されたケージに取設された給餌桶に対し、飼料を供給する(給餌する)ものであり、一般に「ホッパーフィーダ」として呼称されることもある。係る構成により、複数のケージが幅方向(長手方向)に多数連結した直立ケージ列に対し、飼料をまとめて供給することが可能となる。給餌機(ホッパーフィーダ)の構成は、鶏舎及び直立ケージ列に係る設備において周知のものであり、ここでは詳細な説明は省略するものとする。
【0014】
また、給餌機折返部とは、直線的に往復移動する給餌機がケージ列端に到達した際に移動方向を逆転させる位置(折返位置)に設けられるものであり、当該折返位置に到達した給餌機の一部を収容可能なスペースを有している。すなわち、給餌機は給餌桶の上方を常に往復移動しているのではなく、予め設定された間隔で稼働するものある。そのため、係る折返位置は、給餌機の待機位置に相当することもある。そして、係る給餌機の一部と、後述する摺動可能な飼料クリーナ部を収容可能な機能を給餌機折返部は有している。
【0015】
一方、飼料クリーナ部とは、給餌桶の長手方向に沿って摺動することにより、折返時或いは待機時に給餌機から給餌機折返部のスペースに供給された飼料を押出板部によって給餌桶側に押出可能とするものである。ここで、飼料クリーナ部の構成について例示すると、給餌機折返部の空間を給餌桶の長手方向に一致させて摺動可能な板状の摺動部と、当該摺動部を互いに挟みこむようにして取付けられた一対の板状の押出板部によって構成されるものを例示することができる。ここで、押出板部は、例えば、硬質のプラスチック樹脂を用いて構築することが可能であり、飼料を押出す給餌機折返部の断面形状、ここでは「給餌桶の断面形状」と略一致する形状に加工することができる。これにより、飼料クリーナ部は、後述するクリーナ牽引部によって給餌機と協働して摺動した場合、給餌機折返部に堆積している飼料を押出板部によって給餌桶側に向けて押出すことが可能となる。すなわち、鶏が飼育されておらず、飼料が供給されても鶏によって消費されることがない、給餌機折返部のスペースから鶏が飼育されているケージの前の給餌桶まで飼料を移動させることができる。
【0016】
一方、クリーナ牽引部とは、略水平方向に突設されたメインアームと、該メインアームに対して回動変位自在に取設された牽引アームとによって構成されている。ここで、牽引アームをメインアームに対して略直交させることにより、飼料クリーナ部を牽引することが可能となる。一方、給餌機に対する角度(突設角度)を変化可能に形成されたメインアームを牽引解除位置に設定することにより、上述の牽引アームによる牽引状態を解除することが可能となる。すなわち、クリーナ牽引部は、メインアームの先端に設けられた牽引アームを回動可能に軸支するとともに、メインアームの他端も給餌機と回動可能に軸支されているものとすることができる。
【0017】
そのため、上記の作用を利用し、飼料クリーナ部の牽引及び解除を適宜設定することにより、給餌機の運動に応じた飼料クリーナ部の移動を適切に制御することが可能となる。その結果、飼料クリーナ部の移動によって、貯留した飼料を適切に押出すことができるようになる。
【0018】
したがって、本発明の飼料除去装置によれば、クリーナ牽引部による飼料クリーナ部の牽引及び解除の状態を状況に応じて変化させることができ、飼料クリーナ部の押出板部を利用した堆積(貯留)した飼料の押出しを行うことができる。その結果、鶏が飼育されていない箇所に飼料が貯留することを防ぐことができ、給餌機から供給された飼料を鶏に対して効率的に与えることが可能となる。
【0019】
さらに、本発明の飼料除去装置は、上記構成に加え、「前記給餌桶及び前記給餌機折返部の間に介設され、前記クリーナ牽引部によって牽引される前記飼料クリーナ部の少なくとも一部と当接し、前記飼料クリーナ部が前記給餌桶に侵入することを規制し、前記飼料クリーナ部の摺動を所定範囲に制限するクリーナストッパを」具備するものであっても構わない。
【0020】
したがって、本発明の飼料除去装置によれば、クリーナストッパにより、飼料クリーナ部がケージの前に設けられた給餌桶等に侵入することが防止される。これにより、飼料クリーナ部が鶏が飼育されているケージの前の給餌桶に到達或いは該給餌桶内を移動することがない。すなわち、飼料クリーナ部の機能は、給餌折返部のスペースに堆積した飼料を押出すものであり、給餌桶に侵入する必要はない。そこで、クリーナストッパを給餌桶及び給餌機折返部の間に設けることにより、飼料クリーナ部の移動を所定範囲に制限し、上記不具合の発生を抑制することができる。
【0021】
さらに、本発明の飼料除去装置は、上記構成に加え、「前記給餌機折返部は、前記ケージ列端から前記給餌桶を延設し、前記飼料クリーナ部は、前記給餌桶の桶本体に対して摺動可能な桶側壁を前記押出板部として利用する」ものであっても構わない。
【0022】
したがって、本発明の飼料除去装置によれば、給餌機折返部が給餌桶を延設して設置され、飼料クリーナ部として給餌桶の桶側壁を押出板部として利用するものから構成される。これにより、桶本体に対して摺動可能な桶側壁を給餌機の移動に応じて協働させることにより、上述と同様の作用効果を奏することが可能となる。これにより、既存の給餌桶を改良することにより、新たな設備費用の上昇を抑えることができ、かつ飼料除去装置自体をコンパクト化することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の効果として、従来のような複雑な機構を有するものではなく、飼料クリーナ部を牽引及び解除可能な簡易な牽引アームの動きによって牽引状態の保持及び解除が可能な簡易な構成のクリーナ牽引部を利用し、飼料クリーナ部の動きを制御することができる。その結果、給餌機折返部のスペースに堆積した飼料を容易に鶏の飼育されているケージの前の給餌桶に押出すことができ、飼料の無駄な消費及び作業者の作業負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態である飼料除去装置1(以下、単に「除去装置1」と称す)について、図1乃至図5に基づいて説明する。ここで、図1は給餌機2に取設されたクリーナ牽引部3の(a)牽引保持位置CP、(b)牽引導入位置RP、(c)牽引解除位置HPを示す説明図であり、図2は飼料クリーナ部4の構成を示す(a)側面図、(b)平面図であり、図3及び図4は除去装置1による堆積した飼料5の除去の流れの一例を模式的に示す説明図であり、図5は本発明の別例構成の除去装置20を示す説明図である。
【0025】
ここで、本実施形態の除去装置1は、鶏舎内に設置され、鶏を収容可能な複数のケージ(図示しない)を連設してなる直立ケージ列(図示しない)に取設されるものであり、各ケージに収容された多数羽の鶏に対して飼料5(餌)を与える際の所謂「餌溜まり」を解消することを目的としている。
【0026】
具体的に説明すると、本実施形態の除去装置1は、ケージの幅方向(長手方向)に沿って配設された給餌桶6に対し、往復直線運動可能に設けられ(図3(a)における矢印A参照)、給餌桶6の上方に開口した桶開口部7に相対するように配された飼料供給口8から飼料5を自重に従って落下させながら当該飼料5の供給を行う飼料落下型の給餌機2と、連設された複数のケージからなる直立ケージ列のケージ列端に位置するケージCAの給餌桶6から外側方向に延設され、給餌機2が移動方向を変位させる折返位置LPを含むスペースで形成された給餌機折返部15と、給餌機折返部15に収容され、給餌桶6の長手方向に沿って当該給餌機折返部15内を所定範囲で摺動し、給餌機折返部15のスペースに堆積する所謂「餌溜まり」と称される飼料5aを押出板部9を利用して押出可能な飼料クリーナ部4と、長手形状のメインアーム10及び該メインアーム10の一端に回動変位自在に取設された牽引アーム11を有するクリーナ牽引部3と、クリーナ牽引部3によって給餌機2の移動に協働して摺動する飼料クリーナ部4の移動経路の一部を遮るように設けられ、当該飼料クリーナ部4の一部と当接し、飼料クリーナ部4の摺動を所定範囲に規制するクリーナストッパ12とを具備して主に構成されている。
【0027】
さらに詳細に説明すると、給餌機2は下端に飼料供給口8を有し、上方に拡開するような断面略台形状を呈して構成されている。そして、給餌機2の上部から投入された飼料5は、下端側の飼料供給口8から下方に向けて落下し、該飼料供給口8に相対するように開口した給餌桶6の桶開口部7から飼料貯留空間13に到達し、貯留されることとなる。このとき、給餌機2には飼料5を強制的に供給する機構は設けられておらず、当該飼料5は自重に従って落下するだけである。そのため、給餌機折返部15に到達し、移動を停止し、次の指示がなされるのを待機している待機状態(待機位置)、或いは移動方向を逆転させる折返動作(折返位置LP)であっても飼料5の供給は継続しているものがほとんどである。この給餌機2の構成は、従来から周知の技術であり、ここでは説明を簡略化するため、給餌機2(ホッパーフィーダ)に係る構成の詳細についての説明は省略するものとする。
【0028】
一方、飼料5の供給される給餌桶6は、ケージに収容され、前後・左右・上下の動きが所定範囲に規制された鶏が、首から上の部分を出すことのできるケージの一面に設けられたケージ穴(図示しない)の下方に、ケージの一面から突出するようにケージの一面下端に取付けられ、ケージ幅に一致するように設けられている。ここで、給餌桶6は、側面から観察すると、断面略三角形状もしくは四角形状を呈し、上側の一辺が開口し、上述した桶開口部7を構築している。これにより、ケージ穴から頭を出した鶏は、桶開口部7から頭を給餌桶6に突っ込み、飼料貯留空間13に給餌機2によって供給された飼料5を啄むことができる。
【0029】
さらに、本実施形態の除去装置1は、上述の給餌機2の一部から略水平方向で、かつ給餌桶6の長手方向に対して曲折するようにアーム取付部3bを介して突設された金属製のメインアーム10と、メインアーム10の一端に回動変位自在に設けられた略三角形の鉤状の牽引アーム11とを有するクリーナ牽引部3を具備している(図1参照)。なお、メインアーム10は、アーム取付部3bに対して回動軸10aを介して回動自在に取付けられ、給餌機2に対する突設角度を変更することが可能となっている。さらに、メインアーム10の略中央部分には、給餌機2が給餌機折返部15へ到達する際に飼料クリーナ部4を給餌機折返部15の折返位置LPまで押す部材3aが設けられている。
【0030】
ここで、クリーナ牽引部3の牽引アーム11は、メインアーム10の長手方向に対して略直交するようにした牽引保持位置CP(図1(a)参照)、回動軸14に従って先端を給餌機2側に若干回転させ、飼料クリーナ部4の押出板部9の上端を掠めるようにして一対の押出板部9の間に先端を挿入するための牽引導入位置RP(図1(b)参照)、及びメインアーム10を回動軸10aに対して紙面上方に向かって回動させ、押出板部9の上端を通って牽引状態を解除するための牽引解除位置HPの三種類の態様に変化させることができる。なお、牽引保持位置CPから牽引導入位置RPの変位は、飼料クリーナ部4の押出板部9の一部と当接することにより、自由に回転することができる。すなわち、図1(b)等において、紙面右方からの力(押出板部9の接触等)が加わった場合には、容易に牽引導入位置RPに変位することができる。一方、紙面左方からの力が加わった場合には、メインアーム10の先端に設けられた回動規制部17によって、牽引アーム11の反時計方向の回動が規制されることとなる。
【0031】
これにより、牽引アーム11を牽引保持位置CPに設定することにより、飼料クリーナ部4の押出板部9の一部と略三角形状の牽引アーム11の一辺とが当接し、飼料クリーナ部4を引掛けることができる(詳細については後述する)。
【0032】
一方、飼料クリーナ部4は、図2(a),(b)に示すように、給餌桶6から側方(図3等における紙面右方に相当)に向かって延設された給餌機折返部15の中に収容され、給餌桶6の長手方向に沿って摺動可能な摺動部16と、摺動部16を挟み込むようにして締結ボルトBによって取付けられ、給餌桶6の断面形状の略一致する形状(略三角形状)で形成された一対の押出板部9とを具備して主に構成されている。クリーナ牽引部3の牽引アーム11は押出板部9の上部に当接するように配置される。この飼料クリーナ部4は、給餌機2の折返位置LPに給餌桶6の長手方向に直交するように突出し、飼料クリーナ部4の移動範囲を規制するクリーナストッパ12によって摺動可能な範囲が規制される。これにより、飼料クリーナ部4が鶏の飼育されているケージの前の給餌桶6に移動することはない。なお、クリーナストッパ12は、直立ケージ列の最外側のケージCAの側面に固定されている。
【0033】
以下、上記構成によって構築された本実施形態の除去装置1を利用し、給餌機折返部15、換言すれば、折返位置LPの近傍に堆積した飼料5aの除去の一例について主に図3及び図4に基づいて説明する。ここで、本実施形態の除去装置1は、直線的に往復移動を繰返し実施可能な給餌機2が給餌機折返部15の折返位置LPに到達し、移動方向を逆に変位させる際の給餌機2、クリーナ牽引部3、飼料クリーナ部4のそれぞれの相対関係に基づいて説明するものを例示する。また、初期状態として、以前の操作によって飼料クリーナ部4の一部がクリーナストッパ12と当接した状態にあり、これに給餌機2が近接する場合について示すものとする。なお、説明に主として使用する図3及び図4は説明を簡略化するため、必要に応じて本願発明と原則的に無関係な構成等については、図示を省略化するものとする。また、図3及び図4は、除去装置1及びその他構成を上方から仮想的に視認したものについて例示している。
【0034】
まず、給餌機2が駆動機構部(図示しない)のモータ等によって駆動制御され、給餌桶6の長手方向に沿って折返位置LPに到達するように移動する(図3(a)矢印B参照:紙面右方向に移動)。このとき、給餌機2に上方から充填された飼料5は、給餌機2の下端に位置して開口した飼料供給口8から飼料5自体の自重に従って落下するようにして飼料供給口8に相対した桶開口部7を通過し、給餌桶6の飼料貯留空間13に供給される。給餌機2は駆動機構部によって給餌桶6に沿って一定速度で横方向に移動するため、給餌機2が通過した後の給餌桶6の飼料貯留空間13には、一定量の飼料5が貯留していることとなる。なお、係る移動の際において、牽引アーム11は牽引保持位置CP(図1(a)及び図3(a)参照)に設定されている。
【0035】
そして、直立ケージ列の最も外側に位置するケージ列端のケージCAに移動によって到達した給餌機2は、クリーナストッパ12の一部と当接して給餌桶6側への移動が制限された飼料クリーナ部4の一部、さらに具体的に説明すると、一対の押出板部9の一方と当接する。このとき、牽引アーム11の先端は、飼料クリーナ部4の一対の押出板部9と接し、押出板部9に押されるようにして、回動軸14を軸としてメインアーム10との間のなす角が変位する(図3(b)参照)。換言すると、図3(b)において、紙面時計回りに僅かに回動する。その結果、給餌機2の移動が継続すると、牽引アーム11の先端が紙面上方に向かって押上げられ(跳上げられ)、押出板部9の上端を掠めるようにして一対の押出板部9の間に牽引アーム11の先端が挿入されることとなる。すなわち、給餌機2の移動を阻害することなく、一連の動きの中で、牽引保持位置CPから牽引導入位置RPに変位し、さらに押出板部9を超えると再び牽引保持位置CPに変位することができる。
【0036】
そして、給餌機2がさらに移動すると、メインアーム10の略中央に設けられた飼料クリーナ部4を給餌機折返部15の端部まで押す部材3aの一部と飼料クリーナ部4とが当接し、飼料クリーナ部4を外側方向(図3(c)参照)に押出す。ここで、本実施形態において、クリーナストッパ12よりも図3及び図4における紙面左方側に鶏が飼育されるケージ列端に位置するケージCAが位置し、一方、クリーナストッパ12よりも紙面右方側が鶏の飼育されていない箇所、すなわち、給餌機折返部15が位置することとなる。
【0037】
給餌機2の移動に協働して、クリーナ牽引部3による飼料クリーナ部4の押出しが行われた後、最終的に給餌機2は、それ以上移動することができない限界である折返位置LPに到達する(図4(a)参照)。これにより、飼料クリーナ部4及び給餌機2の大部分が給餌機折返部15に位置することとなる。このとき、折返位置LPに位置する飼料クリーナ部4は、飼料供給口8から鶏の餌となる飼料5aが継続して供給されている。ところが前述したように、係る部位は鶏が飼育されているケージの前ではなく、このままでは供給された飼料5は鶏によって消費されることなく、そのまま残存してしまうおそれがある。一方、当該飼料を手作業で給餌桶6に戻す作業を行う必要があるが、これらの作業は煩雑であり、作業者に余計な労働を課すことにもなった。
【0038】
そこで、折返位置LPの近傍に供給された飼料5aを鶏の飼育されているケージCAの前の給餌桶6まで移送し、当該位置に供給された飼料5を除去する(排除する)処置を行う。さらに、具体的に説明すると、これまでの移動方向(図3(a)等における紙面右方向:矢印B参照)と逆転する方向(紙面左方向)に向かって給餌機2の移動を開始する(図4(b):矢印C参照)。これにより、給餌機2の左方への移動が継続し、牽引アーム11の一部(略三角形状の一辺)と飼料クリーナ部4の押出板部9が当接する(図4(b)参照)。このとき、メインアーム10に設けられた回動規制部17によって牽引アーム11は、回動軸14を軸として反時計方向に回動することが規制されている。
【0039】
その結果、牽引アーム11に押出板部9が引掛けられた状態となり、給餌機2の移動に協働するようにして、飼料クリーナ部4が牽引される。これにより、飼料クリーナ部4は、図4(b)に示すように紙面左方向(矢印C参照)に向かって移動することとなる。このとき、飼料クリーナ部4は、給餌桶6の断面形状に略一致する一対の押出板部9が設けられている。なお、給餌桶6から延設された給餌機折返部15の一部の断面形状も給餌桶6の断面形状と略一致して構成されている。
【0040】
また、クリーナ牽引部3によって牽引された飼料クリーナ部4は、クリーナストッパ12の紙面右方側に堆積し、本来は鶏によって消費されることのない、給餌機折返部15の折返位置LPの近傍に堆積した飼料5aを押出板部9によって、クリーナストッパ12の紙面左方側、換言すれば、鶏の飼育されているケージCAの前の給餌桶6に移送することができる。このとき、給餌機折返部15(または給餌桶6)の断面形状と押出板部9の断面形状とが略一致して構成されているため、給餌機折返部15及び押出板部9の間に隙間がほとんど生じず、係る隙間から飼料5aが漏出する可能性が小さくなる。その結果、堆積した飼料5aの大部分を給餌桶6まで送ることができる。これにより、給餌桶6まで移送された飼料5aは、ケージCAに収容された鶏によって消費されることとなる。そのため、従来は手作業で行っていた堆積した飼料5aの除去(餌溜まりの除去)を給餌機2の移動に応じて自動的或いは半自動的に行うことができる。
【0041】
そして、給餌機2に協働して摺動する飼料クリーナ部4の一部(主に、摺動部16(または当接部16a)等)が、クリーナストッパ12の一部と当接する。これにより、飼料クリーナ部4の給餌機折返部15のスペースでの移動が規制される(図4(c)参照)。このため、飼料クリーナ部4は、給餌桶6に侵入することができなくなる。このとき、牽引保持位置CPにあり、飼料クリーナ部4を牽引した状態の牽引アーム11をメインアーム10及びアーム取付部3bを軸支した回動軸10aに従って回動させる(図1(c)及び図4(c)参照)。係る操作により、引掛けて当接していた押出板部9の上端よりも牽引アーム11の先端が上側に位置することができる。この状態(牽引解除位置HP)で給餌機2の紙面左方への移動を継続することにより、牽引アーム11による飼料クリーナ部4の引掛かりが解除され(図3(a)参照、但し移動方向は逆)、給餌機2は飼料クリーナ部4を牽引することなく、独立して直線的な往復移動をすることができる。なお、給餌機2は、他方のケージ列端に向かって移動し、通常の給餌桶6に対する飼料5の継続を行うことができる。
【0042】
これにより、クリーナ牽引部3の動きに従って、飼料クリーナ部4の牽引或いは解除をそれぞれ制御することができる。その結果、折返位置LP等に供給された飼料5を、飼料クリーナ部4によって鶏が消費可能なケージCAの前まで移送することができ、飼料5を無駄に消費することがない。さらに、これまでに行ってきた作業者による労力の負担を大幅に軽減することができるようになる。また、飼料クリーナ部4自身を自立して移動させる移動手段を有することがなく、既存のホッパーフィーダ等に代表される給餌機2の移動に係る手段を使用することができる。そのため、飼料クリーナ部4の設置や移動に要する負担を軽減し、かつ簡易な構成であるため、メンテナンス作業の頻度も少なくすることができる。その結果、作業者の労力を軽減し、かつ安定した品質の卵や鶏肉等が生産が可能となる。
【0043】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0044】
すなわち、本実施形態の除去装置1において、飼料クリーナ部4を単一の構成部材とするものを示したが、これに限定されるものではなく、例えば、図5に示すような、本発明の別例構成の除去装置20にするものであっても構わない。具体的に説明すると、給餌桶23をケージ端からさらに延長し、該給餌桶23の側面を構成する桶側壁22を紙面左右方向に摺動可能とする構成のものであっても構わない。このとき、給餌桶23の一部に給餌桶23の長手方向に沿って溝24を設け、当該溝24に沿って桶側壁22を摺動させるようにするものであってもよい。このとき、桶側壁22の一部に、先に示したクリーナ牽引部3の牽引アーム11及び給餌機2の一部と当接可能な突片25を設けた構成とすることができる。これにより、桶側壁22が上述した実施形態の押出板部9或いは飼料クリーナ部4に相当することとなり、同様の作用効果を奏させることが可能となる。これにより、給餌桶2の延長及び桶側壁22等の比較的簡易な加工により、上記と同様の優れた作用効果を奏することができる。そのため、除去装置20をコンパクト化かつ安価な製造コストで製造することができる。図5において、説明を簡略化するため、上述した実施形態と同一構成については同一番号を付し、詳細な説明を省略している。
【0045】
さらに、給餌機2の移動方向の左右いずれにもクリーナ牽引部3を設け、かつ飼料クリーナ部4の構成を直立ケージ列のそれぞれの両端の最外側のケージCAに設定するものであっても構わない。すなわち、往復直線運動をする給餌機2には、少なくとも直立ケージ列の列端の左右二箇所の位置に折返位置LPが設けられる。そこで、給餌機2に左右対称となるように一対のクリーナ牽引部3を設置し、さらに該クリーナ牽引部3に対応するように飼料クリーナ部4等を一対設けるものであっても構わない。これにより、両端の飼料5の堆積を解消することができる。さらに、本実施形態において、給餌機2が折返位置LPから直ぐに逆方向に反転する例について示したが、これに限定されるものではなく、折返位置LPを待機位置と設定し、所定の時間待機した後に、給餌桶6に対する給餌を開始する場合にも、本発明の優れた作用を有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】給餌機に取設されたクリーナ牽引部の構成を示す(a)牽引保持位置、(b)牽引導入位置、(c)牽引解除位置を示す説明図である。
【図2】飼料クリーナ部の構成を示す(a)側面図、(b)平面図である。
【図3】除去装置による堆積した飼料の除去の流れの一例を模式的に示す説明図である。
【図4】除去装置による堆積した飼料の除去の流れの一例を模式的に示す説明図である。
【図5】本発明の別例構成の除去装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1,20 除去装置(飼料除去装置)
2 給餌機
3 クリーナ牽引部
4 飼料クリーナ部
5,5a 飼料
6,23 給餌桶
7 桶開口部
8 飼料供給口
9 押出板部
10 メインアーム
11 牽引アーム
12 クリーナストッパ
13 飼料貯留空間
15 給餌機折返部
16 摺動部
22 桶側壁(飼料クリーナ部、押出板部)
CP 牽引保持位置
HP 牽引解除位置
LP 折返位置
RP 牽引導入位置
【出願人】 【識別番号】390030661
【氏名又は名称】株式会社ハイテム
【出願日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【代理人】 【識別番号】100098224
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 勘次

【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
【公開番号】 特開2009−247246(P2009−247246A)
【公開日】 平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願番号】 特願2008−96797(P2008−96797)