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【発明の名称】 魚釣用リール
【発明者】 【氏名】堤 わたる
【課題】ハンドルアームの長さ調節およびナットの回り止めを容易に行いつつ、ハンドルアームの変形やがたつきの発生を防止できる魚釣用リールを得る。

【解決手段】魚釣用リール1はハンドルアーム24と、ナット33と、緩み止め部材35を備えている。ハンドルアーム24は一対の嵌合孔30,31と一対の係止部32a,32bとを有する。緩み止め部材35はナット33が回転不能に嵌合する嵌合部36と、係止部32a,32bの少なくともいずれか一方に固定される固定部37a,37bと、ハンドル軸15の先端部15aから外れた空の嵌合孔30,31を塞ぐカバー部38とを有する。ハンドルアーム24はいずれか一方の嵌合孔30,31にハンドル軸15の先端部15aを嵌合させることで長さ調節が可能である。緩み止め部材35はハンドルアーム24に対する向きを反転させることで、カバー部38を空の嵌合孔30,31に対応させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体から突出する先端部を有するハンドル軸と、
上記ハンドル軸の先端部に相対的に回転不能に連結されたハンドルアームと、
上記ハンドル軸の先端部にねじ込まれて、上記ハンドルアームを上記ハンドル軸に締め付け固定するナットと、
上記ハンドルアームに重ねて取り付けられ、上記ナットの外周部に係合することで上記ナットの回り止めを行う板状の緩み止め部材と、を具備する魚釣用リールであって、
上記ハンドルアームは、上記ハンドル軸の先端部が選択的に回転不能に嵌合するとともに上記ハンドルアームの長手方向に間隔を存して並べられた第1の嵌合孔および第2の嵌合孔と、上記第1および第2の嵌合孔を間に挟んで上記ハンドルアームの長手方向に振り分けて配置された一対の係止部と、を有し、
上記緩み止め部材は、上記ナットの外周部が相対的に回転不能に嵌合する嵌合部と、上記係止部の少なくともいずれか一方に取り外し可能に固定される固定部と、上記嵌合部に隣接して設けられ、上記第1の嵌合孔および上記第2の嵌合孔のうち上記ハンドル軸の先端部から外れた空の嵌合孔を塞ぐカバー部と、を有し、
上記第1の嵌合孔および上記第2の嵌合孔のいずれか一方に上記ハンドル軸の先端部を嵌合させることで、上記ハンドルアームの長さを調節可能とするとともに、
上記第1の嵌合孔に上記ハンドル軸の先端部を通す時と上記第2の嵌合孔に上記ハンドル軸の先端部を通す時とで上記ハンドルアームに対する上記緩み止め部材の向きを反転させることで、上記緩み止め部材のカバー部を上記ハンドル軸の先端部から外れた空の嵌合孔に対応させることを特徴とする魚釣用リール。
【請求項2】
請求項1の記載において、上記ハンドルアームの係止部はねじ孔を有するとともに、上記緩み止め部材の固定部は止めねじを通すねじ挿通孔を有し、上記緩み止め部材は、上記ねじ挿通孔に通した止めねじを上記ねじ孔にねじ込むことで上記ハンドルアームに固定されることを特徴とする魚釣用リール。
【請求項3】
請求項1の記載において、上記ハンドルアームの係止部は係止孔を有するとともに、上記緩み止め部材の固定部は上記係止孔に対応する係止突起を有し、上記緩み止め部材は、上記係止突起を上記係止孔に引っ掛けることで上記ハンドルアームに固定されることを特徴とする魚釣用リール。
【請求項4】
請求項3の記載において、上記緩み止め部材の嵌合部は、上記緩み止め部材を上記ハンドルアームに固定した時に、上記ナットおよび上記ハンドル軸の先端部を覆い隠す壁部を有することを特徴とする魚釣用リール。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、リール本体から突出するハンドル軸の先端部に、釣糸を巻き取る方向に回転操作されるハンドルを固定した魚釣用リールに係り、特にハンドルが有するハンドルアームの長さを調節するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、リール本体に回転自在に支持されたスプールを有する両軸受タイプの魚釣用リールは、スプールを回転させるハンドルを装備している。ハンドルは、ハンドルアームと摘み部とを有している。ハンドルアームは、リール本体の一側部から突出するハンドル軸の先端部に連結されている。摘み部は、ハンドル軸から離れたハンドルアームの先端に取り付けられている。
【0003】
そのため、釣人が摘み部を手で握ってハンドルアームを回すと、ハンドル軸が回転するとともに、このハンドル軸のトルクがスプールに伝わり、スプールが釣糸を巻き取る方向に回転するようになっている。
【0004】
この種の魚釣用リールにおいて、従来、例えば釣りの対象となる魚の種類、釣糸を巻き取る時の負荷、巻き取り速度および釣場の状況等に適応するように、ハンドルアームの長さを調節可能としたものが知られている。
【0005】
例えば、特許文献1に開示された魚釣用リールでは、ハンドルアームの基端部にハンドル軸の先端部が相対的に回転不能に嵌合する一対の切欠孔が形成されている。切欠孔は、ハンドルアームの長手方向に互いに離間して並んでおり、一方の切欠孔からハンドルアームの先端に位置する摘み部までの長さと、他方の切欠孔から摘み部までの長さが互いに異なっている。
【0006】
そのため、ハンドル軸の先端部を嵌合すべき切欠孔を選択することで、実質的なハンドルアームの長さを二段階に変更することができる。
【0007】
特許文献1に示された魚釣用リールでは、ハンドル軸の先端部を所望の切欠孔に嵌合した後、ハンドル軸の先端部に固定ねじをねじ込んでいる。固定ねじは、切欠孔よりも大径な頭部を有し、この頭部とハンドル軸の先端部との間でハンドルアームを挟み込んで固定している。
【0008】
さらに、固定ねじが緩むのを防止するため、ハンドルアームにすりわり付き止めねじがねじ込まれている。すりわり付き止めねじは、ハンドルアームの切欠孔の間で固定ねじの頭部と隣り合うとともに、この頭部の外周面に形成した凹部に引っ掛かっている。したがって、ハンドルアームの実質的な長さを変更するには、すりわり付き止めねじをハンドルアームから取り外して、固定ねじの回り止めを解除する作業が必要となる。
【特許文献1】実開昭56−55380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示された魚釣用リールによると、固定ねじの回り止めを行うすりわり付き止めねじは、固定ねじよりも遥かに小さな外径を有する軸状をなしており、そのねじ山の外周部分が固定ねじの外周面の凹部に直接引っ掛かっている。
【0010】
このような構成では、固定ねじよりも遥かに小径なすりわり付き止めねじが、固定ねじの凹部に食い込むような状態でハンドルアームにねじ込まれるので、止めねじの取り扱いが面倒となるとともに、止めねじの先端に位置するすりわりにドライバーのような工具を引っ掛ける時の作業性に難がある。この結果、すりわり付き止めねじを締め付けたり、弛める作業が煩雑となり、ハンドルアームの長さ調節を容易に行うことができない。
【0011】
しかも、すりわり付き止めねじが細いので、この止めねじを十分な締め付けトルクで強固に締め付けることができず、実際に釣りをしている時の衝撃等により止めねじが緩んだり、ハンドルアームから脱落するのを否めない。
【0012】
さらに、一対の嵌合孔のうち、ハンドル軸の先端部が挿入されていない非選択の切欠孔は、単なる開口としてハンドルアームの外に露出している。空の嵌合孔は、ハンドルアームの強度低下を招く一つの要因となるので、例えばスプールに強い負荷が加わった状態でハンドルアームを回した時に、嵌合孔が位置するハンドルアームの基端部が変形したり、ハンドル軸の嵌合部分にがたつきが発生し易くなる。
【0013】
本発明の目的は、ハンドルアームの長さ調節およびナットの回り止めを容易に行いつつ、ハンドルアームの変形やがたつきの発生を未然に防止できる魚釣用リールを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る魚釣用リールは、
リール本体から突出する先端部を有するハンドル軸と、
上記ハンドル軸の先端部に相対的に回転不能に連結されたハンドルアームと、
上記ハンドル軸の先端部にねじ込まれて、上記ハンドルアームを上記ハンドル軸に締め付け固定するナットと、
上記ハンドルアームに重ねて取り付けられ、上記ナットの外周部に係合することで上記ナットの回り止めを行う板状の緩み止め部材と、を備えている。
上記ハンドルアームは、上記ハンドル軸の先端部が選択的に回転不能に嵌合するとともに上記ハンドルアームの長手方向に間隔を存して並べられた第1の嵌合孔および第2の嵌合孔と、上記第1および第2の嵌合孔を間に挟んで上記ハンドルアームの長手方向に振り分けて配置された一対の係止部と、を有している。
上記緩み止め部材は、上記ナットの外周部が相対的に回転不能に嵌合する嵌合部と、上記係止部の少なくともいずれか一方に取り外し可能に固定される固定部と、上記嵌合部に隣接して設けられ、上記第1の嵌合孔および上記第2の嵌合孔のうち上記ハンドル軸の先端部から外れた空の嵌合孔を塞ぐカバー部と、を有している。
上記ハンドルアームは、上記第1の嵌合孔および上記第2の嵌合孔のいずれか一方に上記ハンドル軸の先端部を嵌合させることで長さ調節が可能であるとともに、
上記第1の嵌合孔に上記ハンドル軸の先端部を通す時と上記第2の嵌合孔に上記ハンドル軸の先端部を通す時とで上記ハンドルアームに対する上記緩み止め部材の向きを反転させることで、上記緩み止め部材のカバー部を上記ハンドル軸の先端部から外れた空の嵌合孔に対応させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ハンドルアームに板状の緩み止め部材を重ね合わせることでナットの回り止めがなされるので、ナットの回り止め作業およびナットをハンドル軸から取り外して行うハンドルアームの長さ調節作業を容易に行うことができる。
【0016】
加えて、第1の嵌合孔および第2の嵌合孔のいずれにハンドル軸を嵌合させた場合でも、ハンドル軸から外れた空の嵌合孔を緩み止め部材のカバー部で閉塞することができる。そのため、緩み止め部材がハンドルアームの空の嵌合孔の箇所に重なり合ってハンドルアームを補強する機能を果し、ハンドルアームの変形やハンドルアームとハンドル軸との嵌合部分にがたつきが生じるのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明の第1の実施の形態を、図1ないし図6に基づいて説明する。
【0018】
図1は、両軸受タイプの魚釣用リール1を開示している。魚釣用リール1は、リール本体2を備えている。リール本体2は、釣竿取り付け部3を介して図示しない釣竿のリールシートに固定される。
【0019】
リール本体2は、フレーム4と左右の外側板5a,5bとで構成されている。フレーム4は、左右の側枠4a,4bと、側枠4a,4bの間に跨る支柱4cと、を備えている。側枠4a,4bは、魚釣用リール1の幅方向に間隔を存して向かい合っている。
【0020】
左側の外側板5aは、左側の側枠4aにねじ止め、嵌合等の公知の手段により固定されている。右側の外側板5bは、右側の側枠4bにねじ止め、嵌合等の公知の手段により固定されている。外側板5bは、側枠4bを右側方から覆うとともに、この側枠4bとの間にギヤ室6を形成している。
【0021】
リール本体2の側枠4a,4bの間にスプール8が回転自在に支持されている。スプール8は、釣糸が巻き付けられる釣糸巻回胴部9と、この釣糸巻回胴部9と一体に回転するスプール軸10とを備えている。スプール軸10の一端は、軸受11を介してフレーム4の側枠4a又は外側板5aに回転自在に支持されている。スプール軸10の他端は、他の軸受12を介してフレーム4の側枠4bに回転自在に支持されている。
【0022】
図1に示すように、リール本体2のギヤ室6にピニオンギヤ13、クラッチ機構14およびハンドル軸15が収容されている。ピニオンギヤ13は、スプール軸10と同軸状に配置されているとともに、スプール軸10に噛み合う係合位置と、スプール軸10から切り離される係合解除位置との間で移動可能となっている。
【0023】
クラッチ機構14は、クラッチ駆動部材16とクラッチレバー17とを有している。クラッチ駆動部材16は、クラッチ機構14がONの時にピニオンギヤ13を係合位置に移動させるとともに、クラッチ機構14がOFFの時にピニオンギヤ13を係合解除位置に移動させる。クラッチレバー17は、クラッチ機構14をON・OFF操作するためのものであり、リール本体2の前後方向に揺動可能に右側の外側板5bに支持されている。
【0024】
ハンドル軸15は、ピニオンギヤ13と平行に配置されている。ハンドル軸15は、ドラグ機構を内蔵するドライブギヤ18を支持している。ドライブギヤ18は、ギヤ室6内でピニオンギヤ13と噛み合っている。
【0025】
ハンドル軸15は、右側の外側板5bを貫通してリール本体2の外に突出する先端部15aを有している。ハンドル軸15の先端部15aの外周面に雄ねじ部19と二面幅部20が形成されている。図2および図3に示すように、二面幅部20は、互いに平行をなす一対の平面21a,21bを有している。そのため、ハンドル軸15の先端部15aは、例えば小判形のような非円形の断面形状を有している。
【0026】
図1に示すように、ハンドル軸15の先端部15aにドラグ調整用のスタードラグ22およびハンドル23が取り付けられている。ハンドル23は、釣糸をスプール8に巻き取る時に釣人が手で操作するためのものであり、スタードラグ22と隣り合っている。
【0027】
ハンドル23は、ハンドルアーム24と摘み部25とを備えている。ハンドルアーム24は、例えばハンドル軸15と直交するようにハンドル軸15の径方向に延びる細長い帯板状に形成されている。ハンドルアーム24は、リール本体2と向かい合う内側面26aと、リール本体2の反対側に位置する外側面26bとを有している。
【0028】
さらに、ハンドルアーム24は、基端部27aと先端部27bとを有している。基端部27aおよび先端部27bは、ハンドルアーム24の長手方向に互いに離れている。摘み部25は、ハンドルアーム24の先端部27bに取り付けられて、ハンドルアーム24の外側面26bの右側に突出している。
【0029】
図1ないし図3に示すように、ハンドルアーム24の基端部27aに第1の嵌合孔30および第2の嵌合孔31が形成されている。第1および第2の嵌合孔30,31は、ハンドル軸15の二面幅部20に対応するような非円形(小判形)の開口形状を有している。
【0030】
そのため、ハンドル軸15の先端部15aを第1の嵌合孔30又は第2の嵌合孔31に嵌合すると、第1の嵌合孔30又は第2の嵌合孔31の開口縁が二面幅部20の平面21a,21bに接触する。この接触により、ハンドル軸15とハンドルアーム24との間での相対的な回転が阻止され、ハンドル軸15に対するハンドルアーム24の回り止めがなされている。
【0031】
第1の嵌合孔30と第2の嵌合孔31は、ハンドルアーム24の長手方向に間隔を存して一列に並んでいる。本実施の形態によると、第1の嵌合孔30の中心O1からハンドルアーム24の先端部27bまでの距離L1は、第2の嵌合孔31の中心O2からハンドルアーム24の先端部27bまでの距離L2よりも長くなっている。このため、ハンドル軸15の先端部15aを第1の嵌合孔30に嵌合させると、ハンドルアーム24が実質的に長くなり、逆にハンドル14の先端部15aを第2の嵌合孔31に嵌合させると、ハンドルアーム24が実質的に短くなる。
【0032】
よって、第1の嵌合孔30又は第2の嵌合孔31のいずれかを選択してハンドル軸15の先端部15aを嵌合させることで、ハンドルアーム24の長さを二段階に変更することができる。
【0033】
ハンドルアーム24の基端部27aに第1および第2のねじ孔32a,32bが形成されている。第1および第2のねじ孔32a,32bは、係止部の一例であって、第1および第2の嵌合孔30,31を間に挟んでハンドルアーム24の長手方向に互いに振り分けられている。
【0034】
第1のねじ孔32aは、第1の嵌合孔30と隣り合うとともに、第2のねじ孔32bは、第2の嵌合孔31と隣り合っている。第1のねじ孔32aの中心O3から第1の嵌合孔30の中心O1までの距離D1は、第2のねじ孔32bの中心O4から第2の嵌合孔31の中心O2までの距離D2と等しく設定されている。第1の嵌合孔30の中心O1、第2の嵌合孔31の中心O2、第1のねじ孔32aの中心O3および第2のねじ孔32bの中心O4は、ハンドルアーム24の長手方向に沿う同一の直線X1上に位置している。
【0035】
図1に示すように、ハンドル軸15の先端部15aに袋ナット33がねじ込まれている。袋ナット33は、ハンドルアーム24をハンドル軸15に固定するためのものであり、その外周部が六角形状に形成されている。
【0036】
袋ナット33を締め付けると、袋ナット33のフラットな端面がハンドルアーム24の基端部27aの外側面26bに突き当たり、ハンドルアーム24の基端部27aをハンドル軸15の二面幅部20の終端との間で挟み込む。この結果、ハンドルアーム24は、ハンドル軸15との相対的な回転を禁止した状態でハンドル軸15に固定される。
【0037】
図1ないし図3に示すように、ハンドルアーム24の基端部27aの外側面26bに緩み止め部材35が取り付けられている。緩み止め部材35は、ハンドルアーム24の長手方向に延びる矩形状の金属板で構成され、基端部27aの外側面26bに重ね合わされている。
【0038】
緩み止め部材35は、ロック孔36、第1のねじ挿通孔37a、第2のねじ挿通孔37bおよびカバー部38を備えている。ロック孔36は、袋ナット33が回転不能に嵌合する嵌合部の一例であり、袋ナット33の外周部が嵌合する六角形の開口形状を有している。すなわち、緩み止め部材35は、ロック孔36の開口縁に六つの角部36aを有し、これら角部36aが袋ナット33の外周部に引っ掛かることで袋ナット33の回り止めをなしている。
【0039】
第1および第2のねじ挿通孔37a,37bは、固定部の一例であって、ロック孔36を間に挟んで緩み止め部材35の長手方向に振り分けられている。第1および第2のねじ挿通孔37a,37bの配置間隔は、第1および第2のねじ孔32a,32bの配置間隔と一致している。
【0040】
図3に示すように、ロック孔36は、第1および第2のねじ挿通孔37a,37bの間の中間部よりも第1のねじ挿通孔37aの側にずれている。ロック孔36の中心O5から第1のねじ挿通孔37aの中心O6までの距離D3は、第1のねじ孔32aの中心O3から第1の嵌合孔30の中心O1までの距離D1および第2のねじ孔32bの中心O4から第2の嵌合孔31の中心O2までの距離D2と等しく設定されている。
【0041】
カバー部38は、ロック孔36と第2のねじ挿通孔37bとの間に位置している。カバー部38は、フラットな板状をなすとともに、第1および第2の嵌合孔30,31の開口面積よりも大きな面積を有している。
【0042】
緩み止め部材35の第1および第2のねじ挿通孔37a,37bに夫々止めねじ40が挿入されている。止めねじ40は、第1および第2のねじ挿通孔37a,37bを貫通してハンドルアーム24の第1および第2のねじ孔32a,32bにねじ込まれている。このねじ込みにより、緩み止め部材35がハンドルアーム24の基端部27aの外側面26bに重ねた状態で固定されている。
【0043】
緩み止め部材35がハンドルアーム24に固定された状態では、袋ナット33がロック孔36に嵌まり合うとともに、第1および第2の嵌合孔30,31のうちハンドル軸15の先端部15aが嵌合されていない非選択の嵌合孔30又は31がカバー部38によって塞がれる。
【0044】
すなわち、図1および図2の例では、ハンドルアーム24を長くするため、ハンドル軸15の先端部15aがハンドルアーム24の第1の嵌合孔30に嵌合されている。そのため、緩み止め部材35のカバー部38は、ハンドル軸15の先端部15aから外れた空の第2の嵌合孔31に重なり合って、この第2の嵌合孔31を塞いでいる。
【0045】
このような構成の魚釣用リール1において、ハンドルアーム24の長を調節する際の手順について説明する。
【0046】
図1は、ハンドル軸15の先端部15aがハンドルアーム24の第1の嵌合孔30に嵌合されて、ハンドルアーム24を長くした状態を開示している。この状態からハンドルアーム24を短くするには、止めねじ40を弛めて緩み止め部材35をハンドルアーム24から取り外し、緩み止め部材35による袋ナット33のロックを解除する。
【0047】
次に、袋ナット33を弛めてハンドル軸15の先端部15aから取り外す。この後、ハンドルアーム24の第1の嵌合孔30からハンドル軸15の先端部15aの先端部を引き抜くとともに、図4ないし図6に示すように、引き抜いたハンドル軸15の先端部15aを第2の嵌合孔31に嵌め込む。
【0048】
引き続いて、ハンドル軸15の先端部15aに先に取り外した袋ナット33をねじ込み、この袋ナット33を介してハンドル軸15の先端部15aにハンドルアーム24を締め付け固定する。これにより、図4および図6に示すように、第1の嵌合孔30が空となるとともに、袋ナット33の位置が第1のねじ孔32aよりも第2のねじ孔32bに近づく方向にずれる。
【0049】
この袋ナット33の位置のずれに対応するように、緩み止め部材35を長手方向に沿って反転させ、ハンドル軸15の延長線上にロック孔36が位置するように緩み止め部材35の向きを変更する。この状態で、緩み止め部材35をハンドルアーム24の基端部27aの外側面26bに重ね合わせ、第1のねじ挿通孔37aを第2のねじ孔32bに合致させるとともに、第2のねじ挿通孔37bを第1のねじ孔32aに合致させる。
【0050】
これにより、第2の嵌合孔31に嵌合されたハンドル軸15の先端部15aが緩み止め部材35のロック孔36を貫通し、この先端部15aにねじ込まれた袋ナット33がロック孔36に嵌まり込む。それとともに、緩み止め部材35のカバー部38が空となった第1の嵌合孔30の上に重なり合い、このカバー部38によって第1の嵌合孔30が塞がれる。
【0051】
最後に、緩み止め部材35の第1および第2のねじ挿通孔37a,37bに夫々止めねじ40を挿入し、この止めねじ40を第1および第2のねじ孔32a,32bにねじ込む。これにより、袋ナット33の回り止めをなす緩み止め部材35が第1の嵌合孔30を塞いだ状態でハンドルアーム24に固定され、一連のハンドルアーム24の長さ調節作業が完了する。
【0052】
本発明の第1の実施の形態によれば、ハンドルアーム24の基端部27aの外側面26bに板状の緩み止め部材35を重ね合わせると、ハンドルアーム24をハンドル軸15に固定する袋ナット33が緩み止め部材35のロック孔36に嵌まり込む。これにより、ロック孔36の開口縁に位置する角部36aが袋ナット33の外周部に引っ掛かって、袋ナット33の回り止めがなされる。
【0053】
そのため、従来との比較において、袋ナット33の回り止め作業および袋ナット33を取り外した後に行われるハンドル軸15と第1および第2の嵌合孔30,31との入れ換え作業を容易に行うことができ、ハンドルアーム24の長さ調節に要する作業性を改善できる。
【0054】
さらに、第1の嵌合孔30および第2の嵌合孔31のいずれにハンドル軸15を嵌合させた場合でも、ハンドルアーム24に対するハンドル軸15の位置に合わせて緩み止め部材35の向きを反転させることにより、ハンドル軸15から外れた空の嵌合孔30又は31を緩み止め部材35のカバー部38で覆って閉塞することができる。
【0055】
この結果、板状の緩み止め部材35がハンドルアーム24の空の嵌合孔30又は31の箇所に重なり合って、ハンドルアーム24の基端部27aを補強する添え木としての機能を果たす。よって、緩み止め部材35の基端部27aの強度が向上し、ハンドルアーム24の変形やハンドルアーム24とハンドル軸15との嵌合部分にがたつきが生じるのを防止することができる。
【0056】
それとともに、ハンドルアーム24の長くした時と短くした時とで共通の緩み止め部材35を使用することができる。そのため、ハンドルアーム24の長さ調整を可能としたにも拘らず、魚釣用リール1の部品点数を少なく抑えることができ、魚釣用リール1のコストを低減できる。
【0057】
本発明は上記第1の実施の形態に特定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施可能である。
【0058】
例えば、図7および図8は、本発明の第2の実施の形態を開示している。
【0059】
この第2の実施の形態は、緩み止め部材35を一本の止めねじ50でハンドルアーム24に固定するようにした点が上記第1の実施の形態と相違しており、それ以外の魚釣用リール1の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0060】
図 に示すように、緩み止め部材35の長手方向に沿う一端部に一つのねじ挿通孔51が形成されている。ねじ挿通孔51は、止めねじ50を通すためのものであり、袋ナット33を緩み止め部材35のロック孔36に嵌合した時に、第1のねじ孔32a又は第2のねじ孔32bのいずれかと合致するようになっている。
【0061】
そのため、第2の実施の形態では、ハンドル軸15の先端部15aが第1の嵌合孔30に嵌合された状態では、ねじ挿通孔51が第2のねじ孔32bと合致し、止めねじ50がねじ挿通孔51を通じて第2のねじ孔32bにねじ込まれる。また、ハンドル軸15が第2の嵌合孔31に嵌合された状態では、第1の実施の形態と同様に緩み止め部材35の向きが反転されるので、ねじ挿通孔51は第1のねじ孔32aと合致する。このため、止めねじ50は、ねじ挿通孔51を通じて第1のねじ孔32aにねじ込まれる。
【0062】
図9は、本発明の第3の実施の形態を開示している。
【0063】
この第3の実施の形態は、緩み止め部材60の形態およびこの緩み止め部材60をハンドルアーム24に取り外し可能に保持するための構成が上記第1の実施の形態と相違しており、それ以外の魚釣用リール1の構成は基本的に第1の実施の形態と同様である。
【0064】
図9に示すように、ハンドルアーム24は、ハンドル軸15の先端部15aに六角形のナット61を介して固定されている。ハンドル軸15の先端部15aの端面は、ナット61を貫通してナット61の外に飛び出ている。
【0065】
ハンドルアーム24の基端部27aに第1および第2の係止孔62a,62bが形成されている。第1および第2の係止孔62a,62bは、係止部の一例であって、第1および第2の嵌合孔30,31を間に挟んでハンドルアーム24の長手方向に互いに振り分けられている。第1の係止孔62aは、第1の嵌合孔30と隣り合うとともに、第2の係止孔62bは、第2の嵌合孔31と隣り合っている。さらに、第1および第2の係止孔62a,62bの内周面に夫々段差63が形成されている。
【0066】
緩み止め部材60は、例えば合成樹脂材料によって形成されている。緩み止め部材60は、弾性変形が可能な第1および第2の係止突起64a,64bを有している。第1および第2の係止突起64a,64bは、固定部の一例であって、ロック孔36を間に挟んで緩み止め部材60の長手方向に振り分けられているとともに、緩み止め部材60からハンドルアーム24に向けて突出している。第1および第2の係止突起64a,64bの配置間隔は、第1および第2の係止孔62a,62bと一致している。
【0067】
第1および第2の係止突起64a,64bは、緩み止め部材60をハンドルアーム24の基端部27aの外側面26bに重ね合わせて、ナット61の外周部をロック孔36に嵌め込んだ時に、ハンドルアーム24の第1および第2の係止孔62a,62bに入り込む。これにより、第1および第2の係止突起64a,64bの先端の爪が第1および第2の係止孔62a,62bの内面の段差63に弾性的に引っ掛かり、緩み止め部材60がハンドルアーム24の基端部27aに保持される。
【0068】
さらに、緩み止め部材60は、ロック孔36に対応する箇所にキャップ状の壁部65を有している。壁部65は、ロック孔36をハンドルアーム24とは反対側から覆っている。そのため、緩み止め部材60を第1および第2の係止突起64a,64bを介してハンドルアーム24に保持した時に、ロック孔36に嵌合されたナット61およびナット61から飛び出たハンドル軸15の先端部15aの端面が壁部65によって覆い隠されるようになっている。
【0069】
このような第3の実施の形態によると、第1および第2の係止突起64a,64bを第1および第2の係止孔62a,62bの内面の段差63に引っ掛けることで、緩み止め部材60をハンドルアーム24に保持することができる。
【0070】
そのため、ハンドルアーム24に対する緩み止め部材60の取り付けおよび取り外しを簡単に行うことができる。それとともに、ハンドルアーム24に緩み止め部材60を固定する専用の止めねじが不要となり、その分、部品点数を削減して魚釣用リール1のコストを低減できるといった利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施の形態において、ハンドルアームを長くした状態を一部断面で示す魚釣用リールの正面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態において、ハンドルアームの第1の嵌合孔にハンドル軸を嵌合させるとともに、このハンドルアームの基端部の外側面に緩み止め部材を固定した状態を示すハンドルの側面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態において、第1の嵌合孔にハンドル軸が嵌合されたハンドルアームと緩み止め部材との位置関係を示すハンドルの側面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態において、ハンドルアームを短くした状態を一部断面で示す魚釣用リールの正面図。
【図5】本発明の第1の実施の形態において、ハンドルアームの第2の嵌合孔にハンドル軸を嵌合させるとともに、このハンドルアームの基端部の外側面に緩み止め部材を固定した状態を示すハンドルの側面図。
【図6】本発明の第1の実施の形態において、第2の嵌合孔にハンドル軸が嵌合されたハンドルアームと緩み止め部材との位置関係を示すハンドルの側面図。
【図7】本発明の第2の実施の形態において、ハンドルアームを長くした状態を一部断面で示す魚釣用リールのハンドル周りの正面図。
【図8】本発明の第2の実施の形態において、ハンドルアームの第1の嵌合孔にハンドル軸を嵌合させるとともに、このハンドルアームの基端部の外側面に緩み止め部材を固定した状態を示すハンドルの側面図。
【図9】本発明の第3の実施の形態において、ハンドルアームの第1の嵌合孔にハンドル軸を嵌合させるとともに、このハンドルアームの基端部の外側面に緩み止め部材を固定した状態を一部断面で示す魚釣用リールのハンドル周りの正面図。
【符号の説明】
【0072】
2…リール本体、15…ハンドル軸、15a…先端部、24…ハンドルアーム、30…第1の嵌合孔、31…第2の嵌合孔、32a,32b,62a,62b…係止部(第1および第2のねじ孔、第1および第2の係止孔)33,61…ナット、35,60…緩み止め部材、36…嵌合部(ロック孔)、37a,37b,64a,64b…固定部(第1および第2のねじ挿通孔、第1および第2の係止突起)、38…カバー部。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成20年4月2日(2008.4.2)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘

【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司

【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久

【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎

【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹

【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克

【識別番号】100101812
【弁理士】
【氏名又は名称】勝村 紘

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎

【識別番号】100100952
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 鉄也

【識別番号】100070437
【弁理士】
【氏名又は名称】河井 将次

【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志

【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志

【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子

【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓

【識別番号】100127144
【弁理士】
【氏名又は名称】市原 卓三

【識別番号】100141933
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 元
【公開番号】 特開2009−247239(P2009−247239A)
【公開日】 平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願番号】 特願2008−96456(P2008−96456)