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【発明の名称】 疑似餌
【発明者】 【氏名】増 周司
【氏名】佐々木 雅也
【課題】フッキング率の高い疑似餌2の提供。

【解決手段】疑似餌2は、ヘッド4、ラインアイ6、装着具8、フックアッセンブリー10、スカート12及びネクタイ14を備えている。ヘッド4は、本体、絶縁層及び多数の繊維からなる。本体は、鉛、鉛合金、タングステン、タングステン合金等の金属材料からなる。絶縁層は、本体の表面にコーティングされている。絶縁層の材質は、合成樹脂である。繊維は、絶縁層に植設されている。繊維の材質は、ナイロンである。繊維により、ヘッド4の表面粗度が高められている。スカート12は、多数の糸24からなる。この糸24は、ゴム組成物からなる。このゴム組成物は、臭気性集魚剤を含有する。ネクタイ14は、ゴム組成物からなる。このゴム組成物は、臭気性集魚剤を含有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高比重材料からなるヘッドを備えており、このヘッドの表面に粗面加工が施されている疑似餌。
【請求項2】
上記粗面加工が繊維の植設である請求項1に記載の疑似餌。
【請求項3】
上記ヘッドが、金属製の本体と、この本体の表面にコーティングされた絶縁層と、この絶縁層に植設された多数の繊維とを備える請求項2に記載の疑似餌。
【請求項4】
スカートをさらに備えており、このスカートが多数の糸からなり、この糸が臭気性集魚剤を含むポリマー組成物からなる請求項1に記載の疑似餌。
【請求項5】
帯状のネクタイをさらに備えており、このネクタイが臭気性集魚剤を含むポリマー組成物からなる請求項1に記載の疑似餌。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、釣りに用いられる疑似餌に関する。
【背景技術】
【0002】
カブラと称される疑似餌を用いて、鯛釣りが行われている。この疑似餌は、金属製のヘッド並びにゴム製のスカート及びネクタイを備えている。この疑似餌は、ラインが結ばれた状態で、海底に沈められる。ラインが引かれて疑似餌が海水中を上昇すると、水圧を受けてスカート及びネクタイがはためく。このはためきにより、鯛は疑似餌を生きた餌と勘違いし、この疑似餌を追う。鯛はまず、スカート又はネクタイに食いつく。この段階では、フッキングはなされていない。さらに鯛が疑似餌に深く食いつき、疑似餌に装着されたフックが鯛の口に吸い込まれる。このフックが鯛に刺さって、鯛が釣り上げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
鯛が疑似餌に近づいた段階で、疑似餌が生きた餌ではないことを見破ることがある。この場合、鯛は疑似餌に食いつかない。鯛がスカート又はネクタイに食いついた段階で、違和感を覚えてこれを吐き出すこともある。この場合も、フッキングには至らない。この疑似餌による鯛釣りでは、フッキング率は十分ではない。
【0004】
フッキング率向上の目的で、疑似餌に臭気性集魚剤が塗布されることがある。この集魚剤から発せられる臭気は、鯛の補食欲を高める。しかし、この集魚剤は、使用中に徐々に流失する。集魚剤による集魚効果は、長続きしない。
【0005】
本発明の目的は、高いフッキング率が長時間維持される疑似餌の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る疑似餌は、高比重材料からなるヘッドを備える。このヘッドの表面には、粗面加工が施されている。好ましい粗面加工は、繊維の植設である。
【0007】
好ましくは、ヘッドは、金属製の本体と、この本体の表面にコーティングされた絶縁層と、この絶縁層に植設された多数の繊維とを備える。
【0008】
好ましくは、疑似餌は、スカートをさらに備える。このスカートは、多数の糸からなる。この糸は、臭気性集魚剤を含むポリマー組成物からなる。
【0009】
好ましくは、疑似餌は、帯状のネクタイをさらに備える。このネクタイは、臭気性集魚剤を含むポリマー組成物からなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る疑似餌では、ヘッドの表面に施された粗面加工により、集魚剤に対する優れた保持性能が達成される。このヘッドに塗布された集魚剤は、流失しにくい。この疑似餌では、長時間にわたり、集魚効果が維持される。この疑似餌に近づいた魚は、臭気によってこの疑似餌を生きた餌と勘違いし、これに食いつく。食いついた後も、魚は臭気を感じ、疑似餌に違和感を覚えない。従って魚は、この疑似餌を吐き出さない。この疑似餌では、高いフッキング率が達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る疑似餌2が示された側面図である。図2は、図1の疑似餌2の一部が示された拡大平面図である。この疑似餌2は、カブラと称される。この疑似餌2は、ヘッド4、ラインアイ6、装着具8、フックアッセンブリー10、スカート12及びネクタイ14を備えている。図2では、フックアッセンブリー10及びスカート12の図示が省略されている。
【0013】
ヘッド4は、海水よりも高比重な材料からなる。従って、ヘッド4は海水に沈む。ヘッド4の質量は、10gから150g、特には20gから100gである。ヘッド4は、流線型である。従って、ヘッド4が単体で水中を落下するとき、腹16が下方を向く。ヘッド4が球形であってもよい。ヘッド4に、他の形状が採用されてもよい。
【0014】
ラインアイ6は、ヘッド4の後端に位置している。ラインアイ6は、金属線が曲げられて形成されている。金属線の端は、ヘッド4に埋め込まれており、ヘッド4に堅固に固定されている。ヘッド4から露出したラインアイ6は、リング状を呈している。
【0015】
装着具8は、ヘッド4の前端に位置している。装着具8は、金属材料からなる。装着具8の後端は、ヘッド4に埋め込まれており、ヘッド4に堅固に固定されている。図2から明らかなように、装着具8は板状である。装着具8は、前端近傍に、フックアイ18を備えている。このフックアイ18は、金属板が打ち抜かれることで形成されている。
【0016】
フックアッセンブリー10は、フック20及び鉤素22からなる。フック20は、金属材料からなる。鉤素22は、柔軟な材料からなる。鉤素22の典型的な材質は、アラミド繊維(登録商標「ケブラー」)である。鉤素22は、フックアイ18に結ばれている。鉤素22の一端は、フック20に固定されている。
【0017】
スカート12は、多数の糸24からなる。この糸24のセンター近傍は、ゴムバンド26によって装着具8に固定されている。糸24は、柔軟である。水圧を受けたとき、糸24は揺らめいて、鯛にアピールする。このスカート12は、ブラックバスフィッシングに用いられるラバージグに類似の構造を有している。スカート12が設けられなくてもよい。
【0018】
ネクタイ14は、帯状である。このネクタイ14の中央近傍は、ゴムバンド26によって装着具8に固定されている。この装着具8から下方に向かって、ネクタイ14が延びている。水圧を受けたとき、ネクタイ14ははためいて、鯛にアピールする。ネクタイ14が設けられなくてもよい。
【0019】
図3は、図1の疑似餌2のヘッド4の一部が示された拡大断面図である。このヘッド4は、本体28、絶縁層30及び多数の繊維32からなる。このヘッド4には、後述されるように、臭気性集魚剤が塗布される。
【0020】
本体28は、金属材料からなる。好ましくは、本体28に高比重金属が用いられる。高比重金属の具体例としては、鉛、鉛合金、タングステン及びタングステン合金が例示される。本体28に高比重金属が用いられることにより、小さなサイズと大きな質量とを兼ね備えたヘッド4が得られる。サイズの小さなヘッド4により、鯛は疑似餌2を生きた餌と勘違いしやすい。小さなサイズにより、高いヒット率が達成されうる。大きな質量により、速い沈降速度が達成される。速い速度で沈降することにより、ヘッド4が潮に流されることなく目的のポイントに着底しうる。
【0021】
絶縁層30は、本体28の表面にコーティングされている。絶縁層30の材質は、合成樹脂である。アクリル系塗料、塩化ビニル系塗料、ウレタン系塗料等が本体に塗布されて、絶縁層30が形成されうる。絶縁層30の厚みは、30μm以上3mm以下が好ましい。厚みが30μm以上である絶縁層30により、後述される繊維32の植設が容易になされる。この観点から、厚みは50μm以上がより好ましい。厚みが3mm以下である絶縁層30は、ヘッド4の高比重を阻害しない。この観点から、厚みは2mm以下がより好ましい。
【0022】
繊維32は、絶縁層30に植設されている。繊維32の一端は、絶縁層30に埋設されている。繊維32は、絶縁層30から起立している。絶縁層30は電荷を留めることができるので、静電処理によって繊維32の植設がなされうる。繊維32が植設されているので、ヘッド4の表面粗度は高い。この繊維32により、集魚剤の物理的付着力が高められる。繊維32は、集魚剤の保持に寄与する。
【0023】
ヘッド4には、天然繊維、合成繊維及び金属繊維が用いられうる。集魚剤保持性の観点からは、天然繊維及び合成繊維が好ましい。耐食性の観点からは、合成繊維が好ましい。合成繊維の具体例としては、ナイロン繊維、レーヨン繊維及びポリエステル繊維が例示される。耐摩耗性の観点から、ナイロン繊維が特に好ましい。
【0024】
繊維32の長さは、0.5mm以上20mm以下が好ましく、1mm以上5mm以下がより好ましい。繊維32のアスペクト比(太さに対する長さの比)は2以上100以下が好ましく、5以上50以下がより好ましい。繊維32の密度は、100本/cm以上5000本/cm以下が好ましく、1000本/cm以上がより好ましい。
【0025】
糸24は、ゴム組成物からなる。好ましくは、このゴム組成物は、臭気性集魚剤を含有する。糸24に臭気性集魚剤が用いられることにより、高いフッキング率が達成される。臭気性集魚剤としては、天然由来のもの及び石油由来のものが用いられうる。天然由来の集魚剤には、動物由来のもの及び植物由来のものが含まれる。動物由来の集魚剤としては、オキアミエキス、エビエキス及び魚粉エキスが例示される。植物由来の集魚剤としては、海藻エキス、ニンニクエキス、米ぬかエキス及び糖類が例示される。糸24が、樹脂組成物からなってもよい。この樹脂組成物も、臭気性集魚剤を含有しうる。
【0026】
典型的には、糸24は、ラテックス製法により得られる。この製法では、天然ゴムラテックス又は合成ゴムラテックスに、架橋剤、着色剤、臭気性集魚剤及び他の添加剤が添加され、ラテックス組成物が得られる。このラテックス組成物から、シートが成形される。このシートが加熱されることで、ゴムの架橋反応が起こる。このシートが裁断されて、糸24が得られる。成形後のシート又は糸24に集魚剤が含浸されてもよい。
【0027】
ネクタイ14は、ゴム組成物からなる。好ましくは、このゴム組成物は、臭気性集魚剤を含有する。ネクタイ14に臭気性集魚剤が用いられることにより、高いフッキング率が達成される。糸24に用いられる臭気性集魚剤が、ネクタイ14にも用いられうる。ネクタイ14が、樹脂組成物からなってもよい。この樹脂組成物も、臭気性集魚剤を含有しうる。
【0028】
典型的には、ネクタイ14は、ラテックス製法により得られる。この製法では、天然ゴムラテックス又は合成ゴムラテックスに、架橋剤、着色剤、臭気性集魚剤及び他の添加剤が添加され、ラテックス組成物が得られる。このラテックス組成物から、シートが成形される。このシートが加熱されることで、ゴムの架橋反応が起こる。このシートが帯状に裁断されて、ネクタイ14が得られる。成形後のシート又はネクタイ14に集魚剤が含浸されてもよい。
【0029】
釣り人は、ヘッド4に臭気性集魚剤を塗布する。一般的には、スプレータイプの集魚剤が用いられる。軟膏タイプの集魚剤が用いられてもよい。釣り人は、疑似餌2を海水に投入する。疑似餌2は高比重なヘッド4を備えているので、海水中を沈降して着底する。釣り人がラインを引くことで、疑似餌2は海水中を上昇する。図4には、上昇中の疑似餌2が示されている。ライン34が引かれることで、スカート12及びネクタイ14が水圧を受ける。スカート12及びネクタイ14は、はためく。このはためきは、鯛にアピールする。鯛は、疑似餌2をゴカイ、イソメ等の多毛類と勘違いし、疑似餌2を追う。鯛は、嗅覚に優れる魚である。疑似餌2に近づいた鯛は、ヘッド4に塗布された集魚剤から発せられる臭気を嗅ぎ取る。鯛はさらに、スカート12及びネクタイ14に配合された集魚剤から発せられる臭気を嗅ぎ取る。これら臭気は、鯛の補食欲を高める。鯛は、疑似餌2に食いつく。鯛はまず、スカート12又はネクタイ14に食いつく。この段階では、鯛はフック20をくわえていない。この段階で鯛は、さらに強い臭気を嗅ぎ取る。鯛は疑似餌2を飲み込もうとして、フック20を吸い込む。このフック20が鯛に突き刺さり、鯛が釣り上げられる。
【0030】
ヘッド4が海水中を移動するとき、繊維32により、ヘッド4の周辺に乱流が生じる。この乱流も、鯛に対する集魚効果を高める。
【0031】
この疑似餌2を用いた鯛釣りは、水深が例えば数十メートルの海域で行われる。疑似餌2が海水中を沈降して着底した後、釣り人はゆっくりとライン34を巻き、疑似餌2を上昇させる。疑似餌2が例えば10メートル上昇するまで鯛がヒットしなければ、釣り人はライン34をゆるめて疑似餌2を降及び着底させる。釣り人は、さらに10メートル程度、疑似餌2を上昇させる。この動作が、繰り返される。沈降と上昇とを繰り返すうちに、ヘッド4に塗布された臭気性集魚剤が徐々に流失し、集魚効果が薄れていく。釣り人は、適当な頻度でライン34を巻き取って疑似餌2をピックアップし、ヘッド4に集魚剤を再度塗布する。
【0032】
この疑似餌2では、ヘッド4に粗面加工が施されているので、集魚剤の流失が抑制される。この疑似餌2では、集魚効果が長時間にわたって維持される。釣り人は、疑似餌2をピックアップすることなく、長時間にわたって疑似餌2の沈降と上昇とを繰り返すことができる。釣り人は、潮時を逃すことがない。この疑似餌2を用いた釣り人は、優れた釣果を得ることができる。この疑似餌2は、沈降と上昇とが繰り返される釣りに特に適している。この疑似餌2が用いられることで、集魚剤塗布の頻度が低減される。さらに、この疑似餌2が用いられることで、集魚剤塗布の使用量が低減される。
【0033】
ヘッドの表面にショットブラスト処理等の粗面加工が施され、その表面粗度が高められてもよい。このヘッドでも、臭気性集魚剤の物理的付着力が高められうる。このヘッドでも、集魚効果が長続きする。
【0034】
ヘッドの表面粗度を高めることによる集魚効果は、カブラに限らず、インチク等の他の疑似餌でも得られる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係る疑似餌は、鯛のみならず、太刀魚、ヒラメ等の種々の魚をターゲットにした釣りに適している。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る疑似餌が示された側面図である。
【図2】図2は、図1の疑似餌の一部が示された拡大平面図である。
【図3】図3は、図1の疑似餌のヘッドの一部が示された拡大断面図である。
【図4】図4は、図1の疑似餌の使用状態が示された説明図である。
【符号の説明】
【0037】
2・・・疑似餌
4・・・ヘッド
6・・・ラインアイ
8・・・装着具
10・・・フックアッセンブリー
12・・・スカート
14・・・ネクタイ
16・・・
18・・・フックアイ
20・・・フック
22・・・鉤素
24・・・糸
26・・・ゴムバンド
28・・・本体
30・・・絶縁層
32・・・繊維
34・・・ライン
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【出願日】 平成19年9月7日(2007.9.7)
【代理人】 【識別番号】100107940
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 憲吾

【識別番号】100120938
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 教郎

【識別番号】100122806
【弁理士】
【氏名又は名称】室橋 克義
【公開番号】 特開2009−60866(P2009−60866A)
【公開日】 平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願番号】 特願2007−232631(P2007−232631)