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【発明の名称】 搾乳情報入力表示装置
【発明者】 【氏名】岡谷 利幸
【氏名】宮下 芳行
【課題】サンプリングによる体細胞数測定結果や分房別の乳質の測定結果の情報を、分房毎のパルセータ作動状態と共に一目でわかるように表示する装置の提供。

【解決手段】搾乳情報の入力及び表示が可能になされた画面を有する搾乳情報入力表示装置であって、一つの画面に、少なくとも乳牛の固有の牛番を入力可能になされた牛番入力部202と、入力された牛番を表示する牛番表示部201と、前搾り乳のサンプリング調査結果が正常であるか異常であるかの情報を表示可能になされた前搾り情報表示部212と、分房別の電気伝導度の測定結果が正常であるか異常であるかの情報と分房別パルセータの作動状態に関する情報を表示可能になされた分房別情報表示部213と、が同時に表示可能になされたことを特徴とする搾乳情報入力表示装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搾乳情報の入力及び表示が可能になされた画面を有する搾乳情報入力表示装置であって、一つの画面に、少なくとも乳牛の固有の牛番を入力可能になされた牛番入力部と、入力された牛番を表示する牛番表示部と、前搾り乳のサンプリング調査結果が正常であるか異常であるかの情報を表示可能になされた前搾り情報表示部と、分房別の電気伝導度の測定結果が正常であるか異常であるかの情報と分房別パルセータの作動状態に関する情報を表示可能になされた分房別情報表示部と、が同時に表示可能になされたことを特徴とする搾乳情報入力表示装置。
【請求項2】
前記搾乳情報入力表示装置が、同じ画面に、さらに前回又は平均の積算乳量、及び今回の搾乳開始からの積算乳量を表示する乳量表示部を同時に表示可能になされたことを特徴とする請求項1記載の搾乳情報入力表示装置。
【請求項3】
前記搾乳情報入力表示装置が、同じ画面に、さらに前回又は平均の搾乳時間、及び今回の搾乳開始からの搾乳時間を表示する搾乳時間表示部を同時に表示可能になされたことを特徴とする請求項1又は2記載の搾乳情報入力表示装置。
【請求項4】
前記搾乳情報入力表示装置が、同じ画面に、さらに乳流量の変化を経時的に表示する乳流量グラフ表示部を同時に表示可能になされたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の搾乳情報入力表示装置。
【請求項5】
前記分房別情報表示部が、分房別に二重の同心円状の図形を表示し、内側円に分房別パルセータの作動状態を示し、外側円に乳房炎診断の結果が正常であるか異常であるかの情報を示すようになされていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の搾乳情報入力表示装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はミルキングパーラーで使用される自動搾乳装置の搾乳情報入力表示装置に関し、特に分房別パルセータと分房毎に乳汁の電気伝導度を測定できる電気伝導度センサを備えた自動搾乳装置において、分房別乳汁の体細胞数の計測結果、および電気伝導度の比較結果を視覚的効果によって表示することができ、また現在の搾乳作業の進み具合に応じて次の手順を入力可能な搾乳情報入力表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搾乳ユニットは1個のミルククローと、各分房に対応する4個のティートカップを有する。各ティートカップに筒状のゴム製ライナーを内装することにより、カップ内部をライナーの内側の乳汁流路と外側の空気室とに区分する。ティートカップ側面の接続口に接続した真空チューブは空気室をパルセータへ接続する。ティートカップの空気室に連通する真空チューブの接続先を、パルセータが所定間隔で真空配管と大気圧とに交互に切り替えることにより、所定の拍動比でゴム製ライナーが拍動して子牛の口のような刺激を乳頭に与え、泌乳を促す。ティートカップの乳汁流路からミルククローに流入した乳汁は、送乳チューブによりレシーバージャーへ運搬される。泌乳は3分〜5分程度続いた後で自然に終了し、不図示の乳流量センサが乳流量減少を検知すると自動離脱装置が作動して、搾乳ユニットを元の位置に復帰させる。
【0003】
通常、自動搾乳装置により搾乳を行う場合でも、搾乳の前に手作業による前搾りが行われる。前搾りの目的は、搾乳前に乳頭を刺激することで乳汁が降下して乳房内圧が高まり搾乳しやすくなること、搾乳初期の乳汁には搾乳前の乳頭に留まっていた細菌や体細胞が多く含まれるので、これを通常の乳汁から排除する必要があること、前もって乳汁を観察することにより乳房炎の判定が可能となること等である。前搾りの方法は、通常搾乳の前に各乳頭内に溜まっている乳汁(前搾り乳)を手で2〜3回搾り出し、ストリップカップと呼ばれる片手持ちの容器に受けることにより行う。そして前搾りした乳汁を目で観察し、含まれる固形物などから乳房炎にかかっていないかどうかの判定を行う。各乳頭を殺菌液で清拭した後、乳房炎にかかっていないと判定された場合は搾乳ユニットを装着して通常の自動搾乳を行うが、乳房炎にかかっていると判定されれば、独立型のバケットミルカーなどを使用して搾乳し、通常の乳汁と混合しないように管理する。
【0004】
特開平5−316896号公報には、搾乳ユニットの各ティートカップごとに個別の搾乳手段と搾乳停止手段を設けるとともに、からの送乳チューブに乳量検出手段を設け、単位時間当たりの搾乳量が設定値以下となったときに、対応する搾乳停止手段を作動させて搾乳を中止するようにした搾乳装置が開示されている。
【特許文献1】特開平5−316896号公報
【0005】
特開平8−56516号公報には、ミルキングパーラー方式の自動搾乳装置において、乳汁を廃棄すべき牛、乳の出がしぶい牛等、特別処理を要する牛の情報を効率的に管理するために、各乳牛に取り付けた発信装置から個体番号を順次受信して、全部の搾乳箇所についての乳牛特定の有無と特別処理の注意情報とを一覧表示させるようにした集中表示装置が開示されている。
【特許文献2】特開平8−56516号公報
【0006】
特開平7−31312号公報には、受乳容器の出口に透過光量の変化により乳脂率を計測する乳脂率計測手段を設置し、さらに電磁弁を介して高乳脂率用乳汁タンクと低乳脂率用乳汁タンクとを接続することにより、乳脂率の大小に応じて乳汁を分別して貯留するようにした搾乳装置が開示されている。
【特許文献3】特開平7−31312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
自動搾乳において、前搾り乳のサンプリングによる体細胞数測定結果が正常であるか異常であるかの情報や、分房別の乳質の測定結果が正常であるか異常であるかの情報は、牛体の健康状態を判断したり、搾乳した乳汁の出荷の可否を判断するための重要な情報であるが、これらの情報を搾乳中に作業者にわかりやすい形で分房ごとに表示するための装置がこれまでなかった。また、分房毎の健康状態や泌乳特性に応じて最適な搾乳を行うため、分房別にパルセータを設けて搾乳を制御することが提案されているが、各分房についてのパルセータの作動状態を、一目でわかるように表示できる装置も求められていた。
【0008】
本発明は、ミルキングパーラーで使用される自動搾乳装置の搾乳情報入力表示装置に関する上記の課題を解決し、特に分房別パルセータと分房毎に乳汁の電気伝導度を測定できる電気伝導度センサを備えた自動搾乳装置において、分房別乳汁の体細胞数の計測結果、および乳質の測定結果を視覚的効果によって表示しうる搾乳情報入力表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願の請求項1記載の発明は、搾乳情報の入力及び表示が可能になされた画面を有する搾乳情報入力表示装置であって、一つの画面に、少なくとも乳牛の固有の牛番を入力可能になされた牛番入力部と、入力された牛番を表示する牛番表示部と、前搾り乳のサンプリング調査結果が正常であるか異常であるかの情報を表示可能になされた前搾り情報表示部と、分房別の電気伝導度の測定結果が正常であるか異常であるかの情報と分房別パルセータの作動状態に関する情報を表示可能になされた分房別情報表示部と、が同時に表示可能になされたことを特徴とする搾乳情報入力表示装置により、上記の課題を解決する。
【0010】
すなわち、一つの画面に集約的に分房別の体細胞数・乳質情報の入力と表示、及びパルセータの作動状態に関する情報の表示が可能になされているため、利便性が大幅に向上する。各調査結果の正常・異常は、例えば制御装置の記録部に記録された前回の調査結果との比較により判断することができる。好ましくは、入力表示装置をタッチパネル式とし、体細胞数・乳質情報の調査結果や現在の搾乳作業の段階に応じて、入力可能な次の指示が選択表示されるようにすれば、知識の少ない作業者であっても誤りなく次の指示を行うことができる。
【0011】
もし乳質測定の結果、全乳またはいずれかの分房からの乳汁に異常があれば、流路切替弁を排出部に接続したままで搾乳作業を行い、全ての乳汁を廃棄する。この廃棄は自動で行うこともできるが、異常を表示した上で作業者により選択させることもできる。また、流路切替弁を送乳ラインに接続した上で正常な分房のパルセータのみを作動させて自動搾乳を行い、異常のあった分房についてはバケットミルカー等を用いて手搾りで搾乳を行ってもよい。この場合、正常な分房の搾乳は自動離脱手段を用いない手動離脱モードとすることが好ましい。
【0012】
乳質センサとしては、近赤外分光法や電気伝導度法によるセンサを用いることができる。近赤外センサは、乳汁内で拡散透過した光を分光装置に導き、その近赤外スペクトルを測定することにより、乳質の変化を検出するものである。電気伝導度センサは、一定距離離れた2個の電極を設けそれらの間の電流量を測定することにより、乳質の変化を検出するものである。これらのセンサにより分房毎の乳質を随時検査して、結果を搾乳情報入力表示装置上に表示することにより、常に最新の情報に基いて作業を行うことができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の搾乳情報入力表示装置において、同じ画面に、さらに前回又は平均の積算乳量、及び今回の搾乳開始からの積算乳量を表示する乳量表示部を同時に表示可能になされたことを特徴とするものである。乳量の情報は、牛体の健康状態や搾乳終了のタイミングを判断する材料になるため、作業者にとって重要である。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の搾乳情報入力表示装置において、同じ画面に、さらに前回又は平均の搾乳時間、及び今回の搾乳開始からの搾乳時間を表示する搾乳時間表示部を同時に表示可能になされたことを特徴とするものである。搾乳時間の情報は、乳量の情報とともに搾乳終了のタイミングを判断する材料になるため、作業者にとって重要である。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3記載の搾乳情報入力表示装置において、同じ画面に、さらに乳流量の変化を経時的に表示する乳流量グラフ表示部を同時に表示可能になされたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4記載の搾乳情報入力表示装置において、分房別に二重の同心円状の図形を表示し、内側円に分房別パルセータの作動状態を示し、外側円に乳房炎診断の結果が正常であるか異常であるかの情報を示すようになされていることを特徴とするものである。各分房毎の情報を一覧表示する表示部を設けたことにより、搾乳中に直ちに情報を把握し、分房毎に最適な処置を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の具体的な実施形態について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明に係る乳汁自動サンプリング装置をローラインの真空配管式搾乳機に適用した場合を示す図である。牛舎に配設された送乳ラインM及び真空ラインVを利用して、搾乳ユニット1が設置されており、乳牛を一頭ずつ導入して搾乳を行うようになっている。
【0019】
搾乳ユニット1は、通常の搾乳で用いられるものと同様のミルククロー10と4個のティートカップ11を備えている。各ティートカップ11には不図示の筒状のゴム製ライナーが内装され、ライナーの外側の空気室はティートカップ側面の接続口に接続した真空チューブとパルセータを介して真空ラインVに接続されている。本発明では、各ティートカップ11ごとに個別の分房別パルセータ21が設けられている。各分房別パルセータ21は、制御装置100により制御され、真空チューブ20の接続先を所定のタイミングで真空ラインVと大気とに交互に切り替えることにより、各ティートカップ11の空気室に対して個別に拍動真空圧を供給して搾乳を行わせることができる。また各ティートカップ11の下部は分房別の送乳チューブ13を介してミルククロー10に接続され、搾った乳汁をミルククロー10にいったん集める。ミルククロー10に溜まった乳汁は、負圧により送乳チューブ12から流出し、サンプリング部40、流路切替弁15、乳量計90を経て送乳ラインMへ導かれる。
【0020】
サンプリング部40は、送乳チューブ12から一定量の乳汁を採取する乳汁採取部50と、採取された乳汁を複数のボトルに分配するためのターンテーブル60からなる(図2参照)。乳汁採取部50は、送乳チューブ12から分岐した支管51に上側電磁弁52を介して乳貯留空間53を設け、さらに乳貯留空間53の下部に下側電磁弁54を介して乳汁出口55を設けたものである。ターンテーブル60は、ロータリーアクチュエータ61により駆動される垂直の回転軸62に結合された円形のテーブル本体63の周囲に45°おきに設けられた8個の座部に所定個のサンプリングボトル64を載せ、いずれかのサンプリングボトル64を選択的に前記乳汁出口55の下にセットできるようにしたものである。ロータリーアクチュエータ61は制御装置100により制御されている。
【0021】
本実施例のサンプリング部40では、乳貯溜空間53にはさらに電気伝導度の測定に基づく乳質センサ70が設けられている。乳質センサは、乳汁採取部50内に所定間隔で設けられた2個の電極を備えており、乳貯留空間53が乳汁で充たされた状態において、制御装置100の制御でそれらの間に一定電圧をかけ、流れた電流量を測定する。
【0022】
送乳チューブ12上でサンプリング40よりも下流側に設けられた流路切替弁15は、制御装置100により制御されて送乳チューブ12の接続先を送乳ライン側と排出部側との間で切り替える。送乳ライン側の出口に介装された乳量計90は、通過した乳流量を測定して表示すると共に制御手段100に出力する。流路切替弁15の排出部側の出口は廃棄乳チューブ80を介して廃棄乳容器81に接続されている。廃棄乳容器81はさらに真空チューブ82を介して真空ラインVに接続されて真空圧の供給を受けており、内部は負圧となっている。
【0023】
本実施例の搾乳機は、さらに自動離脱装置24を備えている。自動離脱装置24は制御装置100により制御され、ミルククロー10に結束された離脱ロープを引き上げることにより搾乳ユニット1を自動回収する装置である。また、各部を制御するための制御装置100と、現在の装置の状態を表示し、コマンドの入力を受けるためのタッチパネル表示部200がさらに設けられている。
【0024】
制御装置100は、乳量計90、乳質センサ70及びタッチパネル表示部200からの入力に従って分房別パルセータ21、自動離脱装置24、乳汁採取部50、ターンテーブル60、流路切替弁15及びタッチパネル表示部200の表示を制御し、必要な情報を記録部111に記録するための装置である。記録部111は、牛番ごとにサンプリング及び搾乳作業を行った日時、搾乳時間と積算乳量、搾乳開始からの時間毎の乳流量、分房毎の電気伝導度の測定値、搾乳禁止状態(乳房炎・抗生物質の使用)の有無を記録することができる。また、分娩時期などの健康管理情報、疾病の治療履歴などの獣医関連情報、サンプリング調査の結果に基づいて適宜入力された体細胞数の正常/異常の情報も記録されている。
【0025】
タッチパネル表示部200は、制御装置100の制御に基づいて各種情報を表示可能な液晶画面と、押圧された画面上の場所に応じて制御装置100に信号を出力する感圧式のタッチパネルを張り合わせたものである。図3はタッチパネル表示部200に表示される画面の一例であり、各種情報を数値やグラフの形で表示する部分と、作業者が必要な状態を入力するための操作手段をイメージした部分を有している。本発明に関連した部分を順に説明すると、201は牛番表示部であり、牛番入力部202から作業者が入力した牛番を表示している。コメント表示・入力部214は、乳牛がいつ分娩したかなどの健康管理情報を表示する健康管理情報表示窓214a、疾病の治療履歴などの獣医関連情報を表示する獣医情報表示窓214b、別搾乳の要否などの管理情報表示窓214c、分房別の体細胞数の正常/異常などの搾乳情報表示窓214dを有し、当該乳牛に関する情報が記録部111から読み出されて表示されている。情報の全文が表示窓内に表示されない場合は、各表示窓の右端のボタンイメージを押圧することにより、表示領域を下方に広げて全文を表示することができる。コメント表示・入力部214にはさらに情報入力窓214eが設けられており、情報入力窓214eの右端のボタンイメージを押圧すると、予め設定された「乳房炎」等のコメントがプルダウン表示され、その中から該当するものを選択することにより新しい情報を入力することができる。入力された情報は種類に応じて表示窓214a〜214dに表示され、また記録部111に記録される。
【0026】
203は乳量表示部であり、動作モードによって、前回又は平均の積算乳量と、今回の搾乳開始からの積算乳量を表示する。204は搾乳時間表示部であり、動作モードによって、前回又は平均の搾乳時間と、今回の搾乳開始からの経過時間を表示する。205は乳流量グラフであり、動作モードによって、前回の搾乳時の乳流量の変化と、今回の乳流量の変化を、時間を横軸、乳流量を縦軸にした折れ線グラフの形で表示する。
【0027】
206〜211は操作モードを指示するための押しボタンのイメージであり、現在のモードにおいて操作可能な部分には選択可能なモードが表示され、選択済みの場合には選択されたモードの名称が強調表示されている。また操作不能な部分はX印などが表示されている。206は搾乳開始と搾乳ユニットの自動離脱を指示するための搾乳/離脱スイッチであり、207は乳質に異常がある場合に手動搾乳開始を指示する自動/手動スイッチであり、208は乳汁のサンプリングの開始・終了を指示するためのサンプリング/停止スイッチであり、209は乳汁のサンプリングや乳質測定を分房別に行うか、それとも合乳全体について行うかを指示するための分房/合乳スイッチである。210は廃棄乳容器の17の出口管を送乳ラインMに繋ぎ替え流路切替弁を廃棄側に接続することによって配管と廃棄乳容器17の自動洗浄を可能にするためのスイッチであるが、ここでは洗浄機能の説明は省略する。211は禁止解除スイッチであり、入力された牛番の牛に搾乳禁止が設定されている場合に選択可能となり、このスイッチが押されるまで搾乳/離脱スイッチ206は機能しない。
【0028】
前搾り情報表示部212には、記録手段111から読み出されたサンプリング調査結果の情報が分房毎に円形のランプの図像で表示されている。各ランプは正常の場合は緑色、異常の場合は赤色、サンプル未採取の場合は白色に点灯する。分房別情報表示部213には、分房別に二重の同心円状の図形を表示し、内側円に分房別パルセータの作動状態(搾乳中乳頭)を示し、外側円に乳房炎診断の結果が正常であるか異常であるかの情報(注意乳頭)が表示されている。各ランプの内側円は分房別パルセータ21の作動状態を示し、色で動作モードを表している。例えば分房別パルセータ21が通常作動中(比例拍動時)であれば緑色に点灯し、設定等により低拍動比で運転されていれば黄色に点灯する。また乳質異常などの場合で分房別パルセータ21が停止していれば消灯する。各ランプの外側円は、乳質センサ70による電気伝導度測定の結果を示す。具体的には測定値を記録手段111から同じ牛番の前回の電気伝導度の測定値を読み出て基準値とし、今回の測定値をこれと比較して、同等又はそれ以下の場合には緑色で点灯し、前回よりも大きい場合には赤色で点灯する。
【0029】
本実施例の搾乳機を利用して前搾りと通常搾乳を行う場合の手順を、図4〜6を参照しながら説明する。まず作業者が牛番入力部202から搾乳を行う牛の牛番を入力すると、牛番表示部201に牛番が表示され(S501)、記録部111から読み出された情報に基づいて、乳量表示部203に前回搾乳時または平均の積算乳量が、搾乳時間表示部204に前回搾乳時または平均の搾乳時間が表示され、また乳流量グラフ205には前回搾乳時の搾乳開始からの乳流量の変化が表示される(S502)。牛が健康であって表示された情報にも特に異常がなければ、作業者は牛体の清拭を行った後、従来の搾乳時と同様に搾乳ユニット1のティートカップ21を各乳頭に装着し、タッチパネル表示部200の搾乳/離脱スイッチ206を1回押すことにより、前搾り・サンプリングと搾乳の開始を指示する(S504)。なお搾乳禁止が設定されている場合は、予め禁止解除スイッチ211を押して搾乳禁止状態を解除してから(S503)、搾乳/離脱スイッチ206を押して搾乳を開始する。通常作業の開始が指示されると、制御装置100は、流路切替弁15の接続を排出部側に切り替え(S505)、設定に応じて合乳又は分房別のサンプリングを行う(S506)。
【0030】
サンプリングのモードが合乳側に設定されているときは、制御装置100は全部の分房別パルセータ21を作動させ、ミルククロー10には全部の分房からのサンプリングが流入する。モードが分房側に設定されている場合は、制御装置100は各分房別パルセータ21を順次作動させて分房a〜dからのサンプリングを行う。他の分房別パルセータ21は停止しているので、ミルククロー10には一つの分房からの乳汁のみが流入する。廃棄乳容器17の内部は廃棄乳容器17及び送乳チューブ12からの真空圧により負圧となっているので、ミルククロー10内の前搾り乳は送乳チューブ12を経て廃棄乳容器へ貯留される。
【0031】
図5及び図6を参照しつつ分房aのサンプリング手順をより詳細に説明すると、まず、乳汁採取部50内には前回のサンプリング時に採取した乳汁が残っていることがあるので、制御装置100が上側電磁弁52と下側電磁弁54を開放して乳汁出口55から大気圧を導入し、支管51及び乳貯留空間53内の乳汁を逆流させて送乳チューブ12から排出させる(S601)。所定時間(例えば0.2秒)待機した後に上側電磁弁52を開放したまま下側電磁弁54のみを閉じ、送乳チューブ12から乳汁を乳貯留空間53に貯留する(S602)。分房別パルセータ21を所定時間(例えば20秒)運転すると、分房から出た乳汁の流れがサンプリング部40まで達して乳貯留空間53に貯留されるので、20秒の経過を待って(S603)、上側電磁弁52を閉じる(S604)。乳質センサ70を作動させて測定値を記録部111から読み出した前回の測定値と比較して(S605)、比較結果を分房別情報表示部213に表示する(S606)。また下側電磁弁54を開いて、乳汁出口55の下に設置されたサンプリングボトル64に乳汁を採取する(S607)。
【0032】
サンプリングのモードが分乳側に設定されている場合は、一つの分房について乳汁の採取が終わると、制御装置100は分房別パルセータ21aの作動を止め、次の分房のパルセータを作動させる。そしてミルククロー10内と送乳チューブ12内に残っている分房aからの乳汁が新たな乳汁により洗い流されて入れ替わるのに充分な20秒程度が経過するのを待って、次のサンプリング部30に乳汁を採取する。その間にロータリーアクチュエータ61を駆動してターンテーブル60を45°回転させ、次のサンプリングボトル64を乳汁出口55の下方にセットする(S608)。なおサンプリング部の待機時間、貯留時間等は装置のサイズ・センサの感度等によって異なるので、使用者が適宜設定することができる。
【0033】
このようにして、合乳又は4個の分房からの分乳について乳質測定及びサンプリングが終了した後、乳質測定の結果に応じた処理を行う。測定値に異常がない時(電気伝導度が前回の測定値と同等又はそれ以下であり、分房別情報表示部213の内側円が全て緑色に点灯している時)は搾乳作業に移行し、流路切替弁15を作動させて送乳チューブ12を乳量計13及び送乳ラインMへ連通させ(S701)、また全分房の分房別パルセータ21を作動させて通常の搾乳を開始する(S702)。このとき乳量計13から受信した現在の乳流量を経過時間に関連付けて記録部111に記録すると共に、今回の搾乳開始からの積算乳量を計算する。また、タッチパネル表示部200の表示を搾乳モードに切り替えて乳量表示部203及び搾乳時間表示部204をリセットし、今回の搾乳開始からの積算乳量及び搾乳時間を随時表示する。また乳流量グラフ205は今回の搾乳開始からの乳流量の変化を随時表示する。搾乳中に、タッチパネル表示部200に表示された情報に異常があるときは、作業者は自動/手動スイッチ207を1回押して手動搾乳モードに切り替え、バケット等を用いて手作業による搾乳を行うことができる。
【0034】
制御装置100は、現在の乳流量を設定基準値と比較し(S703)、基準値以下になると牛の泌乳が終了したと判定し、全分房の分房別パルセータ21を停止し(S704)、分房別情報表示部213の内側円を消灯する(S705)。また自動離脱装置24を作動させて搾乳ユニット1を元の位置に復帰させる(S706)。記録部111には、現在の牛番に対応した記録領域に、搾乳が正常終了した旨と、搾乳開始からの一定時間毎の乳流量と最終的な積算乳量、搾乳時間、及び分房別の乳質測定結果が記録される(S707)。作業者は、作業終了を確認してターンテーブル本体64から1個又は4個のサンプリングボトル32を取り外し、所定の検査に付することにより分房別の乳汁分析を行い、乳房炎に罹患した分房を正確に特定することができる。また、不図示の体細胞数測定手段を用いてボトル中のサンプルを随時検査し、結果をタッチパネル表示部200のテンキーから入力してもよい。
【0035】
なお前搾り時や搾乳中の乳質判定の結果に問題があって、出荷するのに適さないときは、流路切替弁を排出部側に設定した状態で全部の分房の分房別パルセータ21を作動させ、全部の分房からの乳汁を廃棄乳容器17に入れる(S708)。そして現在の乳流量を設定基準値と比較し、基準値以下になると牛の泌乳が終了したと判定し、全分房の分房別パルセータ21を停止し、分房別情報表示部213の内側円を消灯する。また自動離脱装置24を作動させて搾乳ユニット1を元の位置に復帰させ、記録部111の現在の牛番に対応した記録領域に、搾乳が異常終了した旨と、分房別の乳質測定結果、自動搾乳を併用した場合はさらに搾乳開始からの一定時間毎の乳流量と最終的な積算乳量、及び搾乳時間を記録する。廃棄乳容器17に溜まった廃棄乳は、後で所定の方法により廃棄される。
【0036】
実施例1の分房別情報表示部213の別の実施態様を図7に示す。この分房別情報表示部では、牛体のイラストに加えて同心円状表示が表示されている。乳房の異常部分を視覚的に認識することにより、4個の分房別情報が表示された場合でもそれらどの分房に対応する情報か一目で分るようにして、分房の取り違えによる誤搾乳や過搾乳を防ぐことができる。
【実施例2】
【0037】
より小さいサイズのタッチパネル表示部300の画面表示の一例を図8に示す。301は牛番表示部であり、作業者が牛番入力部302及び取消スイッチ316を用いて入力した牛番を表示している。303は乳量表示部であり、事前の設定に従って、前回若しくは平均の積算乳量、又は今回の搾乳開始からの積算乳量を表示する。304は搾乳時間表示部であり、事前の設定に従って、前回若しくは平均の搾乳時間、又は今回の搾乳開始からの経過時間を表示する。情報表示窓314には、乳房炎の罹患の有無など当該乳牛に関する情報が記録部111から読み出されて表示されている。306は搾乳開始と停止を指示するための搾乳/停止スイッチであり、307は乳質に異常がある場合に手動搾乳開始を指示する自動/手動スイッチであり、308は乳汁のサンプリングの開始を指示するためのサンプリングであり、310は廃棄乳容器の17の出口管を送乳ラインMに繋ぎ替え流路切替弁を廃棄側に接続することによって配管と廃棄乳容器17の自動洗浄を可能にするためのスイッチであるが、ここでは洗浄機能の説明は省略する。コメント表示部314には、当該乳牛に関する情報が記録部111から読み出されて表示されている。分房別情報表示部313には、分房別に二重の同心円状の図形を表示し、内側円に分房別パルセータの作動状態(搾乳中乳頭)を示し、外側円に乳房炎診断の結果が正常であるか異常であるかの情報(注意乳頭)が表示されている。
【0038】
このタッチパネル表示部300では、小さい画面に必要情報を表示するために乳流量グラフと前搾乳情報が省略されており、またスイッチ数の減少により一部のモード選択機能が省略され、標準モードでの動作のみとなっている。
【0039】
また別の実施例では、酪農家の判断により、流路切替弁を送乳ラインに接続した上で正常な分房のパルセータのみを作動させて自動搾乳を行って乳汁を送乳ラインMに送り、異常のあった分房についてはバケットミルカー等を用いて手搾りで搾乳を行うように設定することもできる。この場合、正常な分房の搾乳は自動離脱手段を用いない手動離脱モードとする。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の搾乳情報入力表示装置によれば、搾乳に関する専門知識が少ない作業者でも、分房別の乳汁の体細胞数や乳質の測定結果、分房別パルセータの作動状態等を一目で判断して最適な処置を行うことができるので、牛乳の品質管理と乳牛の健康管理に大きな効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の搾乳情報入力表示装置を自動搾乳装置に適用した場合の一実施例を示す図である。
【図2】図1の装置のサンプリング部の拡大図である。
【図3】図1の装置のタッチパネル表示部の表示の一例を示す図である。
【図4】自動搾乳装置の作動順序を示す図
【図5】分乳別サンプリング時の自動搾乳装置の作動順序を示す図
【図6】自動搾乳時の自動搾乳装置の作動順序を示す図
【図7】実施例1の分房別情報表示部213の別の実施態様を示す図
【図8】より小さいサイズのタッチパネル表示部300の画面表示の一例を示す図
【符号の説明】
【0042】
1 搾乳ユニット
10 ミルククロー
11 ティートカップ
12 ミルクチューブ
20 真空チューブ
21 分房別パルセータ
24 自動離脱装置
30 サンプリング部
31 電磁弁
32 サンプリングボトル
40 サンプリング部
50 乳汁採取部
60 ターンテーブル
70 乳質センサ
80 廃棄乳チューブ
81 廃棄乳容器
82 真空チューブ
90 乳量計

200 タッチパネル表示部
201 牛番表示部
202 牛番入力部
203 乳量表示部
204 搾乳時間表示部
205 乳流量グラフ
206 搾乳/離脱スイッチ
207 自動/手動スイッチ
208 サンプリング/停止スイッチ
209 分房/合乳スイッチ
211 禁止解除スイッチ
212 前搾り情報表示部
213 分房別情報表示部

M ミルクライン
V 真空ライン
【出願人】 【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
【出願日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【代理人】 【識別番号】100062373
【弁理士】
【氏名又は名称】稲木 次之

【識別番号】100110906
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和彦
【公開番号】 特開2009−291129(P2009−291129A)
【公開日】 平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願番号】 特願2008−148052(P2008−148052)