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【発明の名称】 マルチシートの敷設方法
【発明者】 【氏名】三代 満
【氏名】石川 昌範
【氏名】内山 潤一
【氏名】佐藤 光男
【課題】圃場面に接して敷設する有孔マルチシートの上方に、無孔マルチシートを重ねながら同時的に敷設し、それぞれの敷設方向の両側を圃場面に固定するとき無孔マルチシートを剥ぎ取り可能に固定し、圃場面の保温や消毒剤の蒸散防止を簡単に行うことができるマルチシートの敷設方法を提供する。

【解決手段】圃場面に有孔マルチシート3を敷設固定し、該有孔マルチシート3に穿設される孔を介し圃場面に種子又は苗を播種又は植え付けるマルチシートの敷設方法であって、前記圃場面に接して敷設される有孔マルチシート3と、該有孔マルチシート3の孔を上方から塞ぐ無孔マルチシート4を重ねながら同時的に敷設すると共に、有孔マルチシート3と無孔マルチシート4をそれぞれ敷設方向の両側を圃場面に固定するとき、有孔マルチシート3を敷設固定した状態で、無孔マルチシート4を剥ぎ取り可能に固定する敷設方法にした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場面に有孔マルチシート(3)を敷設固定し、該有孔マルチシート(3)に穿設される孔を介し圃場面に種子又は苗を播種又は植え付けるマルチシートの敷設方法において、前記圃場面に接して敷設される有孔マルチシート(3)と、該有孔マルチシート(3)の孔を上方から塞ぐ無孔マルチシート(4)を重ねながら同時的に敷設すると共に、有孔マルチシート(3)と無孔マルチシート(4)をそれぞれ敷設方向の両側を圃場面に固定するとき、有孔マルチシート(3)を敷設固定した状態で、無孔マルチシート(4)を剥ぎ取り可能に固定するマルチシートの敷設方法。
【請求項2】
無孔マルチシート(4)の幅を有孔マルチシート(3)の幅より狭くし、有孔マルチシート(3)の両側に無孔マルチシート(4)との敷設固定代(H)を設けて敷設する請求項1記載のマルチシートの敷設方法。
【請求項3】
圃場面を圃場に形成される畝(2)の畝面となし、該畝面に有孔マルチシート(3)と無孔マルチシート(4)を敷設しながら、無孔マルチシート(4)と有孔マルチシート(3)をその両側に土を載せることにより固定する請求項1又は2記載のマルチシートの敷設方法。
【請求項4】
圃場面に消毒剤等の土壌付加資材を供給しながら、該圃場面に有孔マルチシート(3)と無孔マルチシート(4)を敷設する請求項1又は2又は3記載のマルチシートの敷設方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、圃場面に敷設されるマルチシートの敷設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行機体(トラクタ)に備える耕耘作業機の後部に、畝立部(畦形成機)とマルチ部(敷設装置)を連結した畝立マルチ作業機は、耕耘された圃場に畝立部によって畝を形成しながら、畝にマルチ部から繰り出すマルチシート(以下単にシートと言う)を順次敷設する方法によって作業を行うことができる(例えば特許文献1。)。
また特許文献1のマルチ部は、ロール状にシートを巻いたロールシートを、進行方向に対し横向に支持し圃場面(畝面)にシートを繰り出して敷設するマルチ繰出部と、敷設されるシートの両側に土を載せかけて固定するマルチ固定部とから構成される。
また上記のような作業機において、畝立及びシート敷設に先立って畝土壌を消毒する資材供給部を畝立部の直前に設け、クロールピクリン等の消毒剤を耕起土中に供給し土壌消毒することも既に行なわれている。
【特許文献1】特開2000−50746号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1で示される作業機は、畝立とシート敷設作業とを同時に行うことができる利点がある一方で、マルチ繰出部にセットされる1本のロールシートから繰り出される1枚のシートで畝を覆うだけなので、寒冷時期に畝土壌中の肥料発酵や微生物活性を促すようにするための畝の保温を十分に行い難い欠点がある。
また例えばニンニクの畝栽培生産が盛んに行なわれる地域では、畝に播種又は苗の植付けを行なう孔を穿設した有孔マルチシートを敷設したのち、各孔にニンニク種(球片)を挿入供給して土壌中に埋めて栽培される。然し近年になって東北地方のような寒冷地域でも、病気予防のために畝成形に先立ってクロールピクリン等の劇薬に属する消毒剤によって予め土壌消毒をすることが求められている。このような場合に消毒剤を供給した畝を単に有孔マルチシートで覆うと、各孔から薬剤成分が土壌水分と共に大気中に蒸散するため、土壌消毒を十分に行うことができないばかりか薬剤を大気中に漏出させる不具合がある。
従って、上記のような栽培を行う場合には、先ず栽培予定地に土壌消毒を行いながら無孔マルチシートによって覆い、土壌消毒経時後に無孔マルチシートを剥ぎ取り、この圃場面に畝立をしながら有孔マルチシートを敷設しニンニク種の植え付け作業を行なうため、極めて煩雑で時間を要することになり栽培コストが増大する等の問題がある。
本発明は上記事情に鑑み圃場面に有孔マルチシートと無孔マルチシートを効果的に敷設することにより、圃場面の保温や消毒剤の蒸散防止を簡単に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための本発明のマルチシートの敷設方法は、第1に、圃場面に有孔マルチシート3を敷設固定し、該有孔マルチシート3に穿設される孔を介し圃場面に種子又は苗を播種又は植え付けるマルチシートの敷設方法において、前記圃場面に接して敷設される有孔マルチシート3と、該有孔マルチシート3の孔を上方から塞ぐ無孔マルチシート4を重ねながら同時的に敷設すると共に、有孔マルチシート3と無孔マルチシート4をそれぞれ敷設方向の両側を圃場面に固定するとき、有孔マルチシート3を敷設固定した状態で、無孔マルチシート4を剥ぎ取り可能に固定することを特徴としている。
【0005】
第2に、無孔マルチシート4の幅を有孔マルチシート3の幅より狭くし、有孔マルチシート3の両側に無孔マルチシート4との敷設固定代Hを設けて敷設することを特徴としている。
【0006】
第3に、圃場面を圃場に形成される畝2の畝面となし、該畝面に有孔マルチシート3と無孔マルチシート4を敷設しながら、無孔マルチシート4と有孔マルチシート3をその両側に土を載せることにより固定することを特徴としている。
【0007】
第4に、圃場面に消毒剤等の土壌付加資材を供給しながら、該圃場面に有孔マルチシート3と無孔マルチシート4を敷設することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるマルチシートの敷設方法は次のような効果を奏する。圃場面に接して有孔マルチシートを敷設し、該有孔マルチシートの上方に無孔マルチシートを重ねながら同時的に敷設し、それぞれ敷設方向の両側を圃場面に固定するとき、無孔マルチシートを剥ぎ取り可能に固定する敷設方法にしたことにより、無孔マルチシートによって有孔マルチシートに穿設される各孔を簡単に塞ぐことができ、孔からの蒸散を防止し圃場面の保温又は消毒剤等の大気中への漏出を防止できると共に、無孔マルチシートを剥ぎ取って播種又は植え付けを簡単に行うことができる。また有孔マルチシートの敷設と同時に無孔マルチシートを重ねて敷設するので、敷設作業を能率よく簡単に行うことができる。
【0009】
無孔マルチシートの幅を有孔マルチシートの幅より狭くし、有孔マルチシートの両側に無孔マルチシートとの敷設固定代を設けて敷設することにより、有孔マルチシートと無孔マルチシートの両側を個別に固定することができ、無孔マルチシートを有孔マルチシートから剥ぎ取り易くし、無孔マルチシートの除去作業を能率よく行うことができる。
【0010】
圃場に形成される畝の畝面に、有孔マルチシートと無孔マルチシートを敷設しながら、無孔マルチシートと有孔マルチシートをその両側に土を載せることにより固定することにより、無孔マルチシートを敷設時に有孔マルチシートに密着させた状態で土を載せて速やかな固定を行うことができる。また無孔マルチシートは載せた土に抗して引張るだけで有孔マルチシートから無理なく簡単に剥ぎ取ることができる。
【0011】
圃場面に消毒剤等の土壌付加資材を供給しながら、該圃場面に有孔マルチシートと無孔マルチシートを敷設することにより、消毒剤等の供給とシート敷設を同時に能率よく行うことができると共に、土壌付加資材を供給した圃場面を有孔マルチシートと無孔マルチシートで速やかに覆い土壌付加資材の蒸散を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明を適用した畝立マルチ作業機1をトラクタ等の走行機体(図示せず)に装着した作業機の作業態様を示す側面図であり、図2は畝立マルチ作業機1の構成を示す平面図である。図3は圃場に形成される畝2に複数のマルチシート3,4を重ねて敷設した状態を示す断面図である。図4はマルチシート(下シート)3を残した状態でマルチシート(上シート)4を除去する作業態様を示す斜視図である。
【0013】
実施形態における作業機(敷設作業機)は、畝2に畝幅及び畝長さ方向に沿ってニンニク種を植え付ける作業を行なう上で、走行機体が備える耕耘作業機5の後部に、前側から消毒剤或いは肥料等の土壌付加資材を供給する資材供給部6と、耕起土を畝立形成する畝立部7と、下シート3と上シート4を敷設するマルチ繰出部8と、該両シート3,4の両側を固定するマルチ固定部9とからなるマルチ部10をそれぞれ着脱可能に連結している。
【0014】
これにより図示例の作業機は前進走行する際に、先ず耕耘作業機5によって圃場を耕耘した耕起部分に、資材供給部(消毒部)6から土壌消毒用のクロルピクリン等の薬剤を吐出供給しながら、畝立部7によって耕耘幅と略等しい畝2を形成する。そして、該畝2にマルチ部10のマルチ繰出部8から繰出される上シート4と下シート3を上下に重ねて敷き、両者の両側をマルチ固定部9によって土を載せかけて固定する。これにより作業機は、耕耘畝立と土壌消毒及びシート敷設等の各作業を順次連続して同時的に行うことができる。
【0015】
次に上記作業機の各部の構成について図1,図2を参照し詳述する。耕耘作業機5はトラクタが機体後部に備える三点リンク式昇降機構のヒッチ部に、耕耘伝動機体11を着脱可能に装着している。この耕耘伝動機体11は背面視で門型をなしており、左右のフレーム下部に複数の耕耘爪12を植設した耕耘軸13を回転伝動可能に軸支し、ロータリ型の耕耘部15を構成している。
【0016】
そして、耕耘作業機5は耕耘部15の上方及び両側方をロータリカバー16で覆っており、ロータリカバー16の上方で耕耘伝動機体11から後方に向けて複数延設した支持杆17の後端に、横向のツールバー18を備えている。上記支持杆17は中途部に横向のホルダ19を設けており、該ホルダ19に複数のブレーカ20を耕盤破砕間隔を有し上下調節自在に取付けている。これによりブレーカ20は耕耘爪12で未耕起部分となる耕盤を耕盤破砕間隔毎に筋状に破砕して膨軟にする。
【0017】
資材供給部6は、走行機体または耕耘作業機5に搭載した薬剤収容タンク21と、前記ブレーカ20の後端面に沿って設けた資材供給管22とを、可撓性を有する接続管23で接続している。これにより資材供給部6は、図示しない供給ポンプにより薬剤収容タンク21内の消毒剤を接続管23を介し資材供給管22に送り、下端のノズル孔から形成される畝2の耕起土中内の所定深さ位置に、図3に符号Pで示すように資材供給間隔を有して吐出供給することができる。
【0018】
次に畝立マルチ作業機1について説明する。図示例の畝立マルチ作業機1は前記ツールバー18に複数のブラケット25を介して作業部ツールバー26を平行状に取付け、該作業部ツールバー26の両端に、左右で対をなす下向きの畝立部フレーム27と後方向きのマルチ固定フレーム28をそれぞれ取付けている。また作業部ツールバー26の中途部には、横向のマルチ繰出部フレーム29に設けた支持杆30,30を位置調節自在に取付け、マルチ繰出部フレーム29に支持されるマルチ繰出部8を、畝高さに応じてシート敷設作業を適切に行うことができるようにしている。
【0019】
上記畝立マルチ作業機1のフレーム構造において、畝立部7は在来のものと同様の構造によって、左右の畝立部フレーム27に図3で示すような台形状の畝2の側面を形成する畝形成側壁31を設け、該左右の畝形成側壁31,31の後壁端を畝2の天場面を形成する天場形成壁32で連結している。また左右の畝立部フレーム27の下部に接地輪33を軸支し畝立部7の接地支持をしている。また前記耕耘作業機5のロータリカバー16と畝立部7の間に形成される空間部は、該ロータリカバー16の後端に設けたリヤカバー16aによって覆っている。
【0020】
マルチ繰出部8は前記横向のマルチ繰出部フレーム29の両側端に、それぞれシートホルダ35を有する短いホルダアーム36と長いホルダアーム37を各マルチ支持間隔を有し対をなすように設けると共に、マルチ繰出部フレーム29の中央部にマルチ中間支持アーム38を設けて、後述するマルチ中間繰出部39の繰出部フレーム40を連結支持している。
この構成により左右のホルダアーム37は、下ロールシート3aをロール心材の左右中心部にシートホルダ35を挿入して回転自在に支持する。また左右のホルダアーム36は、上ロールシート4aをロール心材の左右中心部にシートホルダ35を挿入して回転自在に支持する。
【0021】
尚、この実施形態において上記下ロールシート3aは、両側の固定代を有して畝2を覆うことができる幅で播種又は植付け用の複数の孔を規則的に穿設した下シート3を、パイプ状のロール心材に所定長さ分巻き付けたものである。また上ロールシート4aは、畝2の少なくとも天場幅を有する無孔マルチシートによる上シート4を、パイプ状の心材に所定長さ分巻き付けたものである。上記下ロールシート3a,上ロールシート4aは、いずれも市販されているサイズのものを使用することができる。
【0022】
そして、下ロールシート3aと上ロールシート4aは、横向きの前後方向に略平行状に支持されその中間をマルチ中間繰出部39に設けた複数の繰出ローラ41,41,41によって下方から支持し、下ロールシート3aと上ロールシート4aの自重による中間部の湾曲を防止し、各シートの繰り出しをスムーズに行うようにしている。
即ち、マルチ中間繰出部39は、前記方形状の繰出部フレーム40内に3個の繰出ローラ41,41,41を回転自在に軸支しており、前側と中間の繰出ローラ41,41で上ロールシート4aを転接(転がり回転)自在に支持し、中間と後側の繰出ローラ41,41で下ロールシート3aを転接自在に支持している。
【0023】
またマルチ中間繰出部39は、前側の繰出ローラ41の前部で下ロールシート3aと上ロールシート4aとを繰り出しながら重ね合わせる重合繰出手段43を設けている。図示例における重合繰出手段43は、前側の繰出ローラ41の前部で繰出部フレーム40の両側に回転自在に軸支されるローラ44と、各ローラ44の外側に延長状態で軸支されるローラ44aで構成し、重合繰出位置を畝2の天場面(圃場面)に近接する高さ位置に設け、敷設時に重合する両シート3,4の中央部を広幅に受けて回転案内するようにしている。
【0024】
また重合繰出手段43の両側後方の下方には、畝2の両畝側面の傾斜に沿って敷設される上シート4に転接させる押ローラ45を、在来の構成によってマルチ固定部9のマルチ固定フレーム46に設けたローラ支持杆47に軸支している。
尚、ローラ44aの外周は、スポンジのように弾力性を有する部材で形成することが望ましい。また重合繰出手段43はローラ部材の他に、滑らかな表面で適度な弾力性を有する棒状のガイド部材にすることもできる。
【0025】
次にマルチ固定部9について説明する。前記左右の作業フレーム28は後端に設けた支持軸48に、マルチ固定フレーム46を上下揺動自在に軸支しており、マルチ固定フレーム46の後端部にマルチ固定部9をそれぞれ設置構成している。このマルチ固定部9は在来のものと同様の構成からなる梳込ローラ50と土寄せ輪51を、前後方向に配置し接地回転自在に設けている。そして、機体の進行に伴い下シート3の両側を梳込ローラ50によって地中に梳き込み、この部を土寄せ輪51によって折り返しながら土を載せかけて圃場面に固定することができる。
【0026】
また図示例のマルチ固定部9は、支持軸48の下方で作業フレーム28とマルチ固定フレーム46を連結するスプリング52を設け、実線で示す作用姿勢においてマルチ固定部9を下方に付勢している。またこの構成により支持軸48を支点にマルチ固定フレーム49を上方に反転回動させた退避姿勢に姿勢を切り換えて保持することができる。
【0027】
上記構成により畝2に下シート3と上シート4を重ねて敷設するとき、畝側面を覆う下シート3の両側端と上シート4の両側端との間に敷設固定代(土載代)Hを形成することができ、機体の進行に伴いこの敷設固定代Hの中途がスプリング52の付勢力で押圧されながら転接する梳込ローラ50により、図3で示すようにシート3の両側中途を折り返した状態となして地中に梳き込む。また土寄せ輪51は畝2の畝側面外側の土を畝2側に掻き寄せるように移動させるので、梳き込まれる下シート3の土載代部分に土を載せて強く固定すると同時に、上シート4の両側端には土を軽く載せた状態となし敷設固定をする。
【0028】
次に以上のように構成される作業機の使用態様について、例えば東北地方等のように寒冷地方で行なわれるニンニク栽培で好適な、畝立と土壌消毒とマルチ敷設作業を同時に行なうマルチ敷設方法について説明する。この場合に既述した作業機を使用し圃場を前進走行(進行)させるとき、先ず畝2を形成する圃場面の畝形成開始位置において、マルチ繰出部8の下ロールシート3aと上ロールシート4aから下シート3に上シート4を上下に重ねた状態で引き出し、両者を重合繰出手段43のローラ44,44aに上側から巻き掛けた状態で下側後方に引き出して、押ローラ45の下方に敷設した状態で位置決めをする。
【0029】
こののち機体を進行させると、耕耘作業機5の耕耘部15が平坦な圃場を耕耘し、次いで資材供給部6の資材供給管22が耕起土中に消毒剤を資材供給間隔を有して供給し、且つ畝立部7が台形状の畝2を形成する。次いでマルチ部10がマルチ繰出部8から繰り出される下シート3と上シート4を、形成される畝2に対し押ローラ45による畝側面への押接案内と、マルチ固定部9による地面への固定をすることにより順次敷設固定し、圃場の耕起及び畝立並びにマルチ敷設等の一連の作業をスムーズに行うことができる。
【0030】
これにより畝2を下シート3に上シート4を重ねた状態で密閉状態で覆い、畝内の水分及び供給された消毒剤の蒸散を防止し、畝内土壌の消毒を効率よく速やかに行うことができる。このようにして所定の消毒期間を経たのちは、上シート4を畝2の一方から他方に向けて畝方向に沿って上方に持ち上げながら載せた土に抗し引張ると、上シート4を簡単に剥ぎ取ることができて下シート3の天場面部分を露出させることができる。これにより下シート3の各孔に対しニンニク種を挿入供給して、消毒済みの畝土壌に一定深さに埋め込み播種することができる。従って、上記のような作業方法によれば、有孔マルチシート3に無孔マルチシート4を重ねて敷設される畝2は、土壌消毒が効率よく十分に行なわれるため、播種されるニンニクの病気を予防し育成を健全にすると共に収量の多い栽培を行うことができる。
【0031】
また上記作業を行なうマルチ敷設作業機は、マルチ繰出部8に圃場面側に敷設する下シート3の下ロールシート3aと、敷設される下シート3の上に重ねて敷設する上シート4の上ロールシート4aを支持し、マルチ中間繰出部39の前で重合繰出手段43を圃場面に近接させて設けた構成にしていることより、畝2に対し上シート4を重ねた下シート3を天場面に密接させながら繰り出すので、両シート3,4に皺を生じさせることなくスムーズに敷設することができる。
そして、両シート3,4の両側をマルチ固定部9によって土を同時に載せかけて固定する方法及び構成にしていることにより、下シート3に対する上シート4の固定を、該マルチ固定部9が下シート3を固定する際に用いる土によって同時的に行うことができるから、接着剤等の特別な固定手段を省略し廉価な構成により能率よく簡単に行うことができる。
【0032】
従って、下シート3及び上シート4は、敷設現場に適応する形状とサイズのものを市販されている各種のものから選定するだけで、マルチ部10に汎用性を有してセットすることができると共に、既製シートを用いながら簡単な敷設作業によって密閉性の高い敷設を行うことができる。また有孔マルチシート3に穿設された孔を、天場幅の上方から無孔マルチシート4によって塞いで二重の密閉構造にすることができ、畝2の保温を効果的に且つ省力的に行うことができる。
【0033】
そして、圃場に形成される畝2に対しては畝面に、上シート4の幅を下シート3の幅より狭くし、下シート3と上シート4の両側に敷設固定代Hを設けて敷設するようにしているため、下シート3と上シート4の両側を別個に固定しながら重合部の密着性を高めることができ、且つ両側の固定を解除した場合に上シート4は密着状態にあっても接着していないので、下シート3の固定に不具合を生じさせることなく簡単に剥ぎ取ることができ、上シート4の除去作業を能率よく行うことができる。
尚、上記両シート3,4の重なり部は、畝2に水分が多い場合や水やりをした場合に、下シート3と上シート4との間に介在する水分によって全体が均質に密着するので、畝2を数日程度の短期間だけ覆うような場合には、上シート4の両側への土の載せかけ固定を省略した敷設固定方法をとることもできる。
【0034】
また下シート3と上シート4の両側を、マルチ固定部9によって土を載せることにより固定する方法にすると、前記したように土による固定を速やかに行うことができると共に、上シート4の除去作業を行なう際に、該上シート4を敷設端から載せた土に抗して単に上方に引張るだけで上シート4から無理なく能率よく剥ぎ取ることができる。この際に上シート4は裂損することもないから廃棄することなく、ロールシート状に巻き取ることにより繰り返し使用することができる等の利点がある。尚、上シート4は強度を有する厚手のものを使用すると、再使用が行い易くなり敷設コストをより低減することができる。
【0035】
以上のように本発明は、圃場面に接して有孔マルチシート3を敷設し、該有孔マルチシート3の上方に無孔マルチシート4を重ねながら同時的に敷設すると共に、有孔マルチシート3と無孔マルチシート4をそれぞれ敷設方向の両側を圃場面に固定するとき、有孔マルチシート3を敷設固定をした状態で、無孔マルチシート4を剥ぎ取り可能に固定するマルチシートの敷設方法にしたことにより、圃場面に接して敷設される有孔マルチシート3の孔を重ねて敷設される無孔マルチシート4を簡単に塞ぐことができ、消毒剤や肥料等の土壌付加資材の供給作業を共に能率よく行うことができ、また無孔マルチシート4によって土壌付加資材の蒸散を防止することができる。
そして、複数のシートを重合させて覆われる圃場面は、内部の保温性が高まるので寒冷地域等においても畝等の保温を十分にして土壌中の肥料発酵や微生物活性を促すことができ、作物の栽培を効果的に行うことができる等の特徴がある。
【0036】
尚、図示例において無孔マルチシート4の幅を有孔マルチシート3の幅より狭くし、有孔マルチシート3の両側に有孔マルチシート3の敷設固定代Hを設けて土を載せかけて敷設固定するようにしたが、これに限ることなく無孔マルチシート4の両側は有孔マルチシート3に対し着脱自在な接着部材によって固定してもよい。また有孔マルチシート3と無孔マルチシート4は同じ幅でもよく、この場合には重合する両シート3,4を固定する土の量を少なくして載せかけることが望ましい。また有孔マルチシート3と無孔マルチシート4の固定は異なる固定手段によって個別に行うこともできる。また上記のようなマルチシートの敷設方法は畝2を形成しない平坦な圃場面に対しても同様に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明を適用した作業機の要部の構成及び作業状態を示す側面図である。
【図2】図1のマルチ部の平面図である。
【図3】圃場に形成される畝に下シートと上シートを敷設固定した状態を示す断面図である。
【図4】図3の状態から上シートを剥ぎ取る作業を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1 畝立マルチ作業機
2 畝
3 有孔マルチシート(下シート)
3a 下ロールシート
4 無孔マルチシート(上シート)
4a 上ロールシート
5 耕耘作業機
6 資材供給部
7 畝立部
8 マルチ繰出部
9 マルチ固定部
10 マルチ部
43 重合繰出手段
39 マルチ中間繰出部
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【識別番号】000183967
【氏名又は名称】鋤柄農機株式会社
【出願日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【代理人】 【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠

【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
【公開番号】 特開2009−291124(P2009−291124A)
【公開日】 平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願番号】 特願2008−147645(P2008−147645)