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【発明の名称】 コンバイン
【発明者】 【氏名】宮本 彰
【氏名】中島 竜佑
【課題】容易にフィードチェーンにテンションを掛けたり緩めたりすることができるコンバインを提供する。

【解決手段】脱穀部20に刈取後の穀稈を搬送するフィードチェーン9を具備するコンバインにおいて、前記フィードチェーン9の非作用側であって、該フィードチェーン9を巻回する従動スプロケット191aと駆動スプロケット191bとの間に、フィードチェーン9を内周側に押し付けるガイド部材220と、フィードチェーン9を外周側に押し付けて付勢するテンションアーム210を備え、前記ガイド部材220をフィードチェーン9の内周側へ複数段階で位置調節可能に構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀部に刈取後の穀稈を搬送するフィードチェーンを具備し、該フィードチェーン及びフィードチェーンを支持するフィードチェーンフレームを機体側方に向けて回動可能に構成したコンバインにおいて、
前記フィードチェーンの非作用側であって、該フィードチェーンを巻回する従動スプロケットと駆動スプロケットとの間に、フィードチェーンを内周側に押し付けるガイド部材と、フィードチェーンを外周側に押し付けて付勢するテンションアームを備え、前記ガイド部材をフィードチェーンの内周側へ複数段階で位置調節可能に構成した、
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記フィードチェーンを支持するフィードチェーンフレームに目盛り部材を設け、前記目盛り部材は前記フィードチェーンの非作用側から作用側に、若しくは前記フィードチェーンの作用側から非作用側に向かう方向に目盛りを有する構成とした、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記ガイド部材は、フィードチェーン及びフィードチェーンフレームを機体側方に回動して開いた場合には、フィードチェーンのテンションを緩める方向へ移動する構成としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバイン。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの技術に関し、特にフィードチェーンを緊張させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンバインにおいては、刈取部によって刈り取られた穀稈が搬送装置によって搬送され、扱胴を有する脱穀部へと供給される。そして、この脱穀部においては多数の扱歯が植設されている扱胴の回転によって脱穀が行われ、脱穀後の排藁は機体後方に排出される構成となっている。一方、前記扱胴の下方には、正面視半円状に構成した受網を扱胴の下方周囲を覆うように配設し、この受網から漏下した穀粒や藁屑やゴミ等は脱穀部下方に配設されている選別部によって選別されて、これらのうち藁屑やゴミ等は機体後方から排出され、穀粒は脱穀部の側方に配置されるグレンタンクに貯留されるように構成されている。
【0003】
前記脱穀部において穀稈を搬送するフィードチェーンは、穀稈の株元を挟扼杆との間に挟持して搬送するものであるから、穀稈搬送中に送り込む量が多すぎると詰まり、また、このフィードチェーンを張設する扱室の穀稈移送口部における穀稈の詰まりが生じやすい。この穀稈の取り除き等のために、このフィードチェーンのテンションを緩めたり、外したりすることで、掃除やメンテナンス等を行いやすくして、作業の効率化を図っていた(例えば、特許文献1参照。)。
また、前記フィードチェーンを調節する扱室の穀稈移送口部における穀稈の詰まりを除去する際に、フィードチェーン及び該フィードチェーンを支持するフィードチェーンフレームを機体側方に向けて回動可能とするコンバインが公知となっている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平11−253038号公報
【特許文献2】実開平3−122630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記フィードチェーンは、通常ばねによって緊張させて、テンションを掛けているが、継続して使用することにより、フィードチェーンを構成する各コマとコマとの間隔が伸びて、テンションの限界まで緩くなることがあった。この場合、コマを一つ外してフィードチェーンの周長を短くすることにより、フィードチェーンに通常のテンションを掛けて、フィードチェーンを緊張させていた。しかし、近年、チェーンの強度を向上させるために、コマとコマとを回動可能に固設して、切断不可能とするフィードチェーンを使用することがある。この場合、コマとコマとの間隔が伸びた場合であっても、コマを外すことができず、フィードチェーンに所定のテンションを掛けることができないことがあった。つまり、従来ではコマを外さなければならないほどフィードチェーンが伸びた場合、ばねによりフィードチェーンを緊張させる限界に達し、フィードチェーンが緩み易く、外れ易くなっていた。
また、前記フィードチェーン及びフィードチェーンフレームを回動可能とするコンバインにおいては、脱穀部内の掃除やメンテナンスをする際には、前記フィードチェーン及びフィードチェーンフレームを回動して開き、前記フィードチェーンのテンションを緩める。この際、排稈等が巻きついて、手動ではフィードチェーンのテンションを緩めるのが困難な場合があり、フィードチェーンの掃除やメンテナンスを行うのが困難になっていた。
【0005】
そこで、本発明はかかる課題に鑑み、容易にフィードチェーンにテンションを掛けたり緩めたりすることができるコンバインを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、脱穀部に刈取後の穀稈を搬送するフィードチェーンを具備し、該フィードチェーン及びフィードチェーンを支持するフィードチェーンフレームを機体側方に向けて回動可能に構成したコンバインにおいて、前記フィードチェーンの非作用側であって、該フィードチェーンを巻回する従動スプロケットと駆動スプロケットとの間に、フィードチェーンを内周側に押し付けるガイド部材と、フィードチェーンを外周側に押し付けて付勢するテンションアームを備え、前記ガイド部材をフィードチェーンの内周側へ複数段階で位置調節可能に構成したものである。
【0008】
請求項2においては、前記フィードチェーンを支持するフィードチェーンフレームに目盛り部材を設け、前記目盛り部材は前記フィードチェーンの非作用側から作用側に、若しくは前記フィードチェーンの作用側から非作用側に向かう方向に目盛りを有する構成としたものである。
【0009】
請求項3においては、前記ガイド部材は、フィードチェーン及びフィードチェーンフレームを機体側方に回動して開いた場合には、フィードチェーンのテンションを緩める方向へ移動する構成としたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1においては、作業者は、フィードチェーン及びフィードチェーンフレームを機体側方に回動して、前記ガイド部材を適宜位置調節してフィードチェーンを内周側に押し付けることにより、前記フィードチェーンが伸びてしまった場合であっても、テンションを再び強く掛けて、容易にフィードチェーンを緊張させることが可能となる。そのため、別途テンション部材を設ける必要がなくなり、部品点数を削減することが可能となる。
【0012】
請求項2においては、フィードチェーンが伸びてしまった場合に、作業者はフィードチェーン及びフィードチェーンフレームを機体側方に回動して、フィードチェーンの緩みの程度を目視で確認することができ、作業者にフィードチェーンのメンテナンス時期を知らせて、作業者は、必要なときのみフィードチェーンのメンテナンスを容易に行える。
【0013】
請求項3においては、フィードチェーン及びフィードチェーンフレームを機体側方に回動して開いた際に、前記ガイド部材によって掛けられたテンションを緩めることが可能となり、フィードチェーンの掃除やメンテナンスを容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係るコンバインの全体的な構成を示した側面図、図2はコンバインの平面図、図3は脱穀部及び選別部の左側面模式図、図4はフィードチェーンの側面図、図5はフィードチェーンの後部を示す側面図、図6はガイド部材の左側面図、図7は位置変更したガイド部材の左側面図、図8は第二実施例にかかるフィードチェーンの側面図、図9は第二実施例にかかるガイド部材の左側面図、図10は第二実施例にかかるガイド部材の正面図、図11はフィードチェーンを回動したときの第二実施例にかかるガイド部材の左側面図、図12はフィードチェーンを回動したときの第二実施例にかかるガイド部材の正面図である。
【実施例1】
【0015】
まず、本発明に係るコンバインの全体構成について、図1、図2、図3を用いて説明する。
クローラ式走行装置1上には機体フレーム2が載置され、該機体フレーム2前端に刈取部3が昇降可能に配設されている。該刈取部3は前端に分草板4を突出して穀稈を分草し、その後部に引起しケース5を立設して該引起しケース5より突出したタイン6の回転により穀稈を引き起こし、前記分草板4後部に配設した刈刃7にて株元を刈り取るようにしている。
【0016】
刈り取られた穀稈は、上部搬送装置、下部搬送装置、縦搬送装置8にて後部へ搬送され、該縦搬送装置8の上端から株元側がフィードチェーン9に受け継がれ、脱穀部20に穀稈が搬送される。そして、該フィードチェーン9後端には排藁搬送チェーン10を備える排藁搬送装置320が配設され、該排藁搬送チェーン10後部下方には排藁カッター装置321、拡散コンベア等からなる排藁処理部11が形成され、排藁を切断して藁片にした後、拡散しながら圃場に均一放出し、或いは切断せずに放出するようにしている。
【0017】
また、前記脱穀部20側部には選別後の穀粒を貯留するグレンタンク13が配設され、該グレンタンク13前部には操縦部となる運転室14が配設されている。つまり、運転室14は進行方向機体右前部に配置されている。一方、グレンタンク13後部には排出オーガ15の縦オーガ15aが立設され、該縦オーガ15aを中心にして排出オーガ15及びグレンタンク13を側方へ回動可能とし、グレンタンク13を側方へ回動することにより機体内部側に配置した駆動系や油圧系のメンテナンスを容易にしている。
【0018】
そして、図2に示すように、該グレンタンク13の底部には排出コンベア16が前後方向に配設され、該排出コンベア16の後部が縦オーガ15aの下部に連通されるとともに、該排出コンベア16後部から前記排出オーガ15に動力が伝達されて、排出オーガ15先端よりトラック等へグレンタンク13内の穀粒を排出できるようにしている。更に、脱穀部20下方には、選別部30が配設され、脱穀部20から流下する穀粒や藁屑等(以下「処理物」とする)から穀粒を選別して、穀粒を前記グレンタンク13に搬送したり、藁屑等を機外に排出したりするようにしている。
【0019】
次に、脱穀部20について図3を用いて説明する。
脱穀部20に形成された扱室21には、機体の前後方向に軸架された略円柱形状の扱胴22が設けられ、該扱胴22の外周面には扱歯22a・22a・・・が植設されている。そして、該扱胴22の下部周辺を覆うように半円形状の受網23が着脱可能に周設されている。一方、フィードチェーン9により、穀桿の株元側が拘束されつつ、穀桿の先端側が扱胴22の下方に挿入されて穀稈が機体後方に搬送される。このとき、扱胴22の回転により脱粒が行われ、受網23から穀粒や藁屑等が漏下するようにしている。
【0020】
前記扱室21を被覆する扱胴カバー21aの内周面には送塵弁24が左右幅方向に適宜間隔を開けて設けられ、上下方向の回動支点を中心に回動自在に枢支されている。そして、該送塵弁24を回動操作することにより、穀稈が扱室21内を移動する時間を穀稈の品種や穀稈の状態に合わせて調整することを可能としている。
【0021】
そして、前記扱胴22の後部の側方(グレンタンク13側、本実施例では機体進行方向右側)から後方には、処理室25が形成され、該処理室25内には略円柱形状に構成した送塵口処理胴26が扱胴22と平行となるように、扱胴22の後部の側方で前後方向に軸架されている。また、扱胴22を覆って扱室21を形成する扱胴ケースの後部(右)側面、及び、送塵口処理胴26を覆って処理室25を形成する処理胴ケースの前部(左)側面には送塵口27が開口され、扱室21と処理室25が連通されている。そして、該送塵口処理胴26の下部周辺を覆うように半円形状の処理胴網28が周設されている。こうして、扱胴22で処理できなかった枝梗付着粒等の未処理物は、送塵口27より処理室25内に搬送されて処理され、前記処理胴網28に設けられた孔(網目)を通過して処理物のみが漏下するようにしている。
【0022】
また、送塵口処理胴26の後端部の外周面には前後に長い板体より成る羽根体26aが固設されている。該羽根体26aは、該送塵口処理胴26と一体的に回転し、送塵口処理胴26により処理室25後方まで搬送されてきた藁屑は該羽根体26aの回転によって跳ね飛ばされ、送塵口処理胴26の下方に排出され、図示せぬガイド板によって機体外部に案内される。
【0023】
前記処理胴網28の下方には、送塵搬送コンベア29が前後方向に軸架されている。送塵搬送コンベア29はスクリュー式のコンベアであり、該送塵搬送コンベア29によって、処理胴網28に設けられた孔(網目)を通過して下方に落下してきた処理物は、機体前方(すなわち、送塵口処理胴26の搬送方向とは逆の方向)に向かって搬送されて、送塵搬送コンベア29前端に設けられた排塵口29aより選別部30に投入される。
【0024】
出口仕切板52には排稈口52aが形成されており、該出口仕切板52は排稈口52aを囲む形状に形成されて、該排稈口52aの下方にも出口仕切板52が存在している。
【0025】
続いて、選別部30について、図3を用いて説明する。
選別部30においては、揺動選別装置31による揺動選別と唐箕32及びセカンドファン43による風選別とが行われ、一番物と二番物と藁屑等とに分別される。
【0026】
揺動選別装置31は機枠33内に収納される。揺動選別装置31の前端部は扱胴22の前端部の下方まで延出され、揺動選別装置31の後端部は送塵口処理胴26後端部の下方まで延出されるように揺動選別装置31の前後長さが定められている。そして、揺動選別装置31前下部には図示せぬ揺動軸が設けられるとともに、後部には揺動駆動機構34が設けられ、揺動駆動機構34によって揺動選別装置31が機枠33に対して揺動するように構成されている。
【0027】
揺動選別装置31の前部には前流穀板35が設けられるとともに、該前流穀板35の後下方に後流穀板36が設けられる。該前後の流穀板35・36は板状の部材を波形に成形したものであり、受網23を通過した処理物(穀粒および藁屑等との混合物)は前後の流穀板35・36上に落下し、揺動選別装置31の揺動により機体後方に搬送される。そして、前記後流穀板36後部には、第二選別部である網状のグレンシーブ37が連設されるとともに、該グレンシーブ37と前記後流穀板36の上方、かつ前流穀板35の後方には、第一選別部であるチャフシーブ38が被装されている。チャフシーブ38の後方には、ストローラック39が配設される。
【0028】
また、図3に示すように、前記揺動選別装置31下方の前後途中位置には、左右方向に一番コンベア41と二番コンベア42とが横設される。一番コンベア41と二番コンベア42との位置関係は、一番コンベア41が唐箕32に近い側(機枠33の前部)、二番コンベア42が唐箕32から遠い側(機枠33の後部)となる。
【0029】
一番コンベア41の右端部にはその長手方向(搬送方向)が略上下方向となるように設けられた揚穀コンベア44が連結され、該揚穀コンベア44の上端はグレンタンク13内と連通している。
【0030】
選別部30内に投入され、前流穀板35上に漏下された穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑等の混合物は、チャフシーブ38上に漏下される過程で唐箕32により発生する選別部30の前方から後方への気流により、細かい藁屑の一部が後方へ吹き飛ばされる。チャフシーブ38上に漏下した穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑等の混合物は、揺動選別装置31の揺動により、後方に搬送される。このとき、穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑等はチャフシーブ38の開口部より下方に落下し、大きい藁屑はチャフシーブ38後方まで搬送され、ストローラック39を経て機外に排出される。
【0031】
チャフシーブ38の開口部より下方に落下した穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑等は後流穀板36およびグレンシーブ37上に漏下される。このときにも唐箕32からの選別風により、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて分離される。
【0032】
グレンシーブ37上に漏下された穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑等のうち、穀粒、未熟穀粒、細かい藁屑等はグレンシーブ37を通過して下方に落下する。このとき、重量が大きい穀粒(一番物)は一番回収部46(流穀板45の後方に設けられた選別部30底面の窪みであり、一番コンベア41が収容されている)に回収され、一番コンベア41から揚穀コンベア44を経て、グレンタンク13に搬送される。
【0033】
一方、重量が小さい未熟穀粒や細かい藁屑の一部や穂切り粒や穀粒等が混じった未処理粒は、唐箕32及びセカンドファン43からの選別風により後方に吹き飛ばされ、二番回収部47(一番回収部46の後方に設けられた選別部30底面の窪みであり、二番コンベア42が収容されている)に回収され、二番コンベア42から二番還元コンベア48を経て、枝梗処理胴49に搬送され、該枝梗処理胴49により枝梗が除去された後、前流穀板35上(またはチャフシーブ38上)に再投入される。
【0034】
また、前記揺動選別装置31の後端部近傍には吸引ファン40が全幅に横設され、前記唐箕32、セカンドファン43から供給される選別風の流れに乗ってきた塵埃や脱穀時に発生する塵埃等を、該吸引ファン40により吸引して機外へと排出する。
【0035】
次にフィードチェーン9について、図4から図6を用いて説明する。
図4に示すようにフィードチェーン9は、左右のコマ9a・9a・・・の前後両側を連結ピン9b・9b・・・により互いに回転自在に連結して無端状とすることで形成されており、コマ9aの中央外周側に凸部を設けて、挟扼杆と対向して配置することにより穀稈を挟持できるようにしている。また、連結ピン9bを外してコマ9aを足すことにより、全長を伸ばすことができ、コマ9aを減少させることにより全長を短く構成できるが、本実施例のフィードチェーン9はチェーンの強度を向上させ耐久性が向上するようにコマ9aから連結ピン9bを外すことができない構成としている。従って、後述するように、本発明では、フィードチェーン9が伸びてしまった場合に、フィードチェーン9を緊張させるよう構成するものである。
前記フィードチェーン9は、フィードチェーンフレーム190に備えられる複数のスプロケットに巻回されている。該フィードチェーンフレーム190は、その後端部(機体後方)に機体上下方向の回動中心を有し、前部(機体前方)及び後部には図示せぬ前ロック装置及び後ロック装置をそれぞれ設けており、前記回動中心を回動軸として機体左側方に向けてフィードチェーン9とともに回動可能とされ、前ロック装置及び後ロック装置によって該フィードチェーンフレーム190を機体側に固定する構造となっている。
【0036】
フィードチェーンフレーム190は、機体前後方向に水平な横フレーム190aと、該横フレーム190aの前上方から斜め上後方に向かって延設して上り勾配を形成し、フィードチェーン9の内上側のガイドとなる斜フレーム190bと、該斜フレーム190bの後端から後方に延設した上フレーム190cと、該上フレーム190cの前部と後部から前記横フレーム190aと連結するように垂設した前補強フレーム190dと後補強フレーム190fとによって略枠状に構成されている。さらに、横フレーム190aの前端と斜フレーム190bの前部との間には、上下方向に補強部材196aが架設されている。
【0037】
また、前記フィードチェーンフレーム190は、機体側に固設されたパイプ等で構成した支持フレーム197及び前記フィードチェーンフレーム190の後端部に設けられたステー190eによって構成された上下二箇所の支持部200・200によって支持され、前記フィードチェーンフレーム190が機体側方に回動可能な構成となっている。
【0038】
図4及び図5に示すように、前記支持部200・200は、上フレーム190c及び横フレーム190aの後端部から左側方に向けて突出するようにステー190e・190eを突設し、該ステー190e・190eは側面視L字状に構成して、水平部に枢支ピン201・201を貫通して下方に突設している。また、支持フレーム197には前方に向けて支持ステー197a・197aが一体的に固設されている。そして、前記支持ステー197a・197aの前端部に、前記枢支ピン201・201の下端部を貫通することによって、前記フィードチェーンフレーム190機体側方に回動可能に枢着するものである。
【0039】
そして、図4に示すように、斜フレーム190bの前端部には従動スプロケット191aが回転自在に備えられている。
【0040】
また、フィードチェーンフレーム190の後部にギヤケース202が固設されている。具体的には、斜フレーム190bの後部と横フレーム190aの後部と前補強フレーム190dと後補強フレーム190fとによって囲まれた空間内にステー等を介して固定されている。該ギヤケース202の前部側面より右方に駆動軸206が突出され、該駆動軸206上に駆動スプロケット191bが固定されている。該ギヤケース202の後部にはボス体205が回転自在に支持され、該ボス体205はギヤケース202内でギヤ等を介して駆動軸206に動力を伝達できるようにしている。該ボス体205の軸心部には機体側から突出した図示せぬ出力軸を挿入してエンジンからの動力を伝達可能としている。なお、フィードチェーンフレーム190を側方へ回動したときには、ボス体205は出力軸から抜けて動力伝達は断たれる。
【0041】
また、従動スプロケット191aと駆動スプロケット191bとにはフィードチェーン9を巻回し、駆動スプロケット191bの回転により該フィードチェーン9が回転される構成となっている。そして、従動スプロケット191a及び駆動スプロケット191bと、フィードチェーン9とがフィードチェーンフレーム190に支持される構成とし、該フィードチェーンフレーム190が前記支持部200を中心軸として機体左側方に向けて回動されることによって、フィードチェーンフレーム190とフィードチェーン9とが一体となって開閉されるようになっている。
【0042】
次に、フィードチェーン9を緊張させるためのテンション装置212について図4、図5、図6を用いて説明する。
フィードチェーン9の非作用側である下側巻回部であって、従動スプロケット191aと駆動スプロケット191bの間に、テンション装置212が配置される。該テンション装置212は、フィードチェーン9を内周側に押し付けるガイド部材220を有する前ガイド部213と、フィードチェーン9を外周側に押し付けて付勢するテンションアーム210を有する後テンション部214とを備える。図4及び図6に示すように、前記ガイド部材220は長手方向一側に支点軸を設けて回動自在に支持し、長手方向他側にフィードチェーン9の長手方向と略直角方向に数段階に固定可能とする固定部215が形成されている。テンションアーム210は一端が固定されて他端が開放されて前記フィードチェーン9を外周側に付勢するように構成されている。つまり、前ガイド部213と後テンション部214は互いに逆側にフィードチェーン9を付勢するように構成している。よって、フィードチェーン9の非作用側は、内周側または外周側に大きく膨らんで他の部材と干渉することがない。また、フィードチェーン9の上側巻回部である作用側と非作用側の幅を短くすることが可能であるため、所定の限られた空間内でテンションを掛けて、フィードチェーン9を緊張させるための部材を配置することができる。但し、後側がガイド部で前側がテンション部とする構成であってもよい。
具体的には、後テンション部214は図5に示すように、前記フィードチェーンフレーム190の補強フレーム190dより、テンションを掛けて、フィードチェーン9を緊張させるためのテンションアーム210が前方に突設されている。つまり、前記補強フレーム190dの上下中途部にテンションアーム支持部材211が前後方向に固設されており、前記テンションアーム支持部材211の前部に板バネ等で構成したテンションアーム210の後端部210aが固定されている。
前記テンションアーム210は前方へ突設され、側面視で下側に凸となるように湾曲して形成され、この凸部と、フィードチェーン9の非作用側の内周が当接するように配設されている。こうして該テンションアーム210がフィードチェーン9を下方へ押し付けることにより、前記フィードチェーン9にテンションを掛けているものである。
【0043】
次に、前ガイド部213について、図4、図6及び図7を用いて説明する。
図6及び図7に示すように、前記横フレーム190aの前部には支点軸となる回動アーム軸221を支持するためのアーム軸支持部材222が下方に突設されている。前記アーム軸支持部材222の中途部に前記回動アーム軸221が左右方向に支持されており、前記回動アーム軸221に回動アーム223が回動自在に枢支されており、前記回動アーム223の上側先端に穀稈をフィードチェーン9の非作用側をガイドするためのガイド部材220の前下部が固設されている。また、前記ガイド部材220は棒材で側面視略「へ」字状または半円状に構成されている。このように構成することにより、前記回動アーム軸221を回動中心として前記ガイド部材220が上下方向に回動可能に構成している。
【0044】
前記ガイド部材220の他端(後部)は、後部が大きく上側に凸となるように湾曲して構成され、この凸部の下側から支持アーム225が下方に突設されている。前記支持アーム225の他端側には固定部215が設けられ、前記ガイド部材220の位置調節後に固定できるようにしている。本実施例では、前記固定部215にボルト孔225aが設けられ、前記横フレーム190aの前後中途部に前記ボルト孔225aと対応する位置(回動アーム軸221を中心とした同一半径上)に複数(本実施例では二カ所)の取付用孔となるボルト孔230a・230bを設けた、高さ調節部材230が固設されている。
前記高さ調節部材230は横フレーム190aに対し略垂直方向に固設されており、前記横フレーム190aの上部及び下部にボルト孔230a・230bが設けられ、前記固定部215に設けたボルト孔225aと前記高さ調節部材230のボルト孔230aまたは230bとにボルトを貫設することで高さを調節して、フィードチェーン9の長さに合わせてガイドできるようにしている。但し、支持アーム225の他端側を固定する構成はボルトとボルト孔に限定するものではなく、ピンと複数のピン孔で構成したり、伸縮部材と固定部材等で構成したりすることも可能である。
【0045】
このように構成することにより、前ガイド部213の位置を調節することで、初期状態(購入時の状態)と略同一の強さのテンションを掛けることができる。すなわち、初期状態(購入時の状態)においては、図6に示すように前記固定部215に設けたボルト孔225aと前記高さ調節部材230のボルト孔230aとにボルトを貫設して前記ガイド部材220を固定する。また、フィードチェーンが伸びた場合においては、図7に示すように、前記固定部215に設けたボルト孔225aと前記高さ調節部材230のボルト孔230bとにボルトを貫設して前記ガイド部材220を固定する。
前記フィードチェーン9を継続して使用すると、摩擦等によりコマ9aとコマ9aとの間隔が伸びて、フィードチェーン9の全長が長くなり、テンションが不足し、穀稈を所定の強さで挟持搬送できず、フィードチェーン9が外れたりする。そこで、所定量以上フィードチェーン9が長くなると、テンションを掛けてフィードチェーン9を緊張させるものである。
【0046】
また、前記ガイド部材220の位置調節を行うかどうか、前記フィードチェーン9の伸びが客観的に容易に判るように、テンションアーム210の近傍に指標手段が配置されている。該指標手段はテンションアーム210の回動量が判るように、本実施例では、横フレーム190aの中途部に指標手段として目盛りを刻んだ目盛り部材235がテンションアーム210の回動方向に対して直角方向に固設されている。前記目盛り部材235は、フィードチェーン9を覆うカバーを外すと容易に目視できるように配置している。前記目盛り部材235は、例えば、購入時と比較してコマ9a一つ分テンションが緩んだ位置毎に目盛りが刻まれている。
これにより、作業者が清掃又はメンテナンスをしたときに、前記フィードチェーン9が緩んできたかどうか、カバーを外すだけで、容易に判断することができ、前記ガイド部材220を移動させることでテンションを掛けて、フィードチェーン9を緊張させることが可能となる。
【0047】
以上のように、脱穀部20に刈取後の穀稈を搬送するフィードチェーン9を具備し、該フィードチェーン9及びフィードチェーン9を支持するフィードチェーンフレーム190を機体側方に向けて回動可能に構成したコンバインにおいて、前記フィードチェーン9の非作用側であって、該フィードチェーン9を巻回する従動スプロケット191aと駆動スプロケット191bとの間に、フィードチェーン9を内周側に押し付けるガイド部材220と、フィードチェーン9を外周側に押し付けて付勢するテンションアーム210を備え、前記ガイド部材220をフィードチェーン9の内周側へ複数段階で位置調節可能に構成したものである。このように構成することにより、作業者は、フィードチェーン9及びフィードチェーンフレーム190を機体側方に回動して、前記ガイド部材220を適宜位置調節してフィードチェーン9を内周側に押し付けることにより、前記フィードチェーン9が伸びてしまった場合であっても、テンションを再び強く掛けて、容易にフィードチェーン9を緊張させることが可能となる。そのため、別途テンション部材を設ける必要がなくなり、部品点数を削減することが可能となる。
【0048】
また、前記フィードチェーン9を支持するフィードチェーンフレーム190に目盛り部材235を設け、前記目盛り部材235は前記フィードチェーン9の非作用側から作用側に、若しくは前記フィードチェーン9の作用側から非作用側に向かう方向に目盛りを有する構成としたものである。このように構成することにより、フィードチェーン9が伸びてしまった場合に、作業者は、フィードチェーン9及びフィードチェーンフレーム190を機体側方に回動して、フィードチェーン9の緩みの程度を目視で確認することができ、作業者にフィードチェーン9のメンテナンス時期を知らせて、作業者は、必要なときのみフィードチェーン9のメンテナンスを容易に行える。
【実施例2】
【0049】
次に、本発明の別実施例にかかる前ガイド部213について、図8から図11を用いて説明する。
なお、この実施例におけるコンバインの前ガイド部213以外の構成については、前述した実施例と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0050】
図8、図9及び図10に示すように、前ガイド部213には、支点軸となる回動軸271を支持するための回動軸支持部材272が設けられている。前記回動軸支持部材272は前記フィードチェーンフレーム190の斜フレーム190b中途部より機体下方へ突設している。また、前記回動軸支持部材272の端部に前記回動軸271が機体左右方向に支持されている。
また、前記回動軸271には、レバー273aが突設された回動部材273が回動自在に軸支されている。前記回動部材273は前記ガイド部材270と連動するように構成されており、前記回動部材273が回動することにより、前記ガイド部材270が回動するように構成されている。前記回動部材273は、コイルばね等で構成された図示せぬ付勢手段により、下方へ回動するように付勢されており、また、一定の位置までしか回動しないように制限されている。
また、前記ガイド部材270は棒材で側面視略「へ」字状または半円状に構成されている。このように構成することにより、前記回動軸271を回動中心として前記ガイド部材270が上下方向に回動可能に構成している。前記ガイド部材270の他端(後部)は、後部が大きく上側に凸となるように湾曲して構成されている。
【0051】
また、前記回動軸271の後下方にはカム軸274を支持するためのカム軸支持部材276が設けられている。前記カム軸支持部材276は、扱胴カバー21a側面より側方へ二枚の板状の部材を突設したものであり、カム軸274を挿入するための孔が設けられており、前記孔にカム軸274を挿入することによりカム軸274を回動可能に固定するものである。
また、カム軸274の前方端部にはカム277の支点部277aが回動可能に軸支されている。前記カム277は、図10に示すように、正面視で「T」字を90度回転させた形状に構成されたものであり、カム軸274に軸支された支点部277aと、前記レバー273aと当接可能に設けられた作用部277bとによって構成されている。前記支点部277aは板状部材によって構成され、前記カム軸274より側方に突設しており、その端部を前方へ90度屈曲して構成している。そして、前記端部には作用部277bを溶接等により固定しているものである。前記作用部277bは、前記支点部277aが軸支されたカム軸274を中心に回動するものである。
【0052】
また、前記フィードチェーン9及びフィードチェーンフレーム190を閉じた際にのみ前記カム277の作用部277bと接触する押し棒278が設けられている。前記押し棒278は、機体本体より機体側方へ突設している。前記フィードチェーン9及びフィードチェーンフレーム190を閉じた際には、前記押し棒278が前記扱胴カバー21a側面に設けた孔を連通して、カム277の作用部277bと当接しカム277の下端部を機体外側へ押すこととなり、前記カム277が正面視反時計回りに回動することにより、前記レバー273aと当接する。これにより、前記レバー273aが側面視反時計回りに回動して、前記レバー273aの回動に連動して前記ガイド部材270が上方へ回動することにより、前記フィードチェーン9にテンションを掛ける構成とするものである。
また、図11及び図12に示すように、前記フィードチェーン9及びフィードチェーンフレーム190を開いた際には、前記押し棒278がカム277の作用部277bから離れて、前記カム277が正面視時計回りに回動することにより、前記レバー273aから離れる。これにより、前記レバー273aが側面視時計回りに回動して、前記レバー273aと連動して、前記ガイド部材270が下方へ回動することにより、前記フィードチェーン9に掛けていたテンションを緩めるものである。
【0053】
このように構成することにより、フィードチェーン9及びフィードチェーンフレーム190を機体側方に回動して開いた際に、前記ガイド部材270によって掛けられたテンションを緩めることが可能となり、フィードチェーン9の掃除やメンテナンスを容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施例に係るコンバインの全体的な構成を示した側面図。
【図2】コンバインの平面図。
【図3】脱穀部及び選別部の左側面模式図。
【図4】フィードチェーンの側面図。
【図5】フィードチェーンの後部を示す側面図。
【図6】ガイド部材の左側面図。
【図7】位置変更したガイド部材の左側面図。
【図8】第二実施例にかかるフィードチェーンの側面図。
【図9】第二実施例にかかるガイド部材の左側面図。
【図10】第二実施例にかかるガイド部材の正面図。
【図11】フィードチェーンを回動したときの第二実施例にかかるガイド部材の左側面図。
【図12】フィードチェーンを回動したときの第二実施例にかかるガイド部材の正面図。
【符号の説明】
【0055】
9 フィードチェーン
20 脱穀部
21 扱室
22 扱胴
190 フィードチェーンフレーム
220 ガイド部材
221 回動アーム軸
235 目盛り部材
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
【出願日】 平成20年4月2日(2008.4.2)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2009−247235(P2009−247235A)
【公開日】 平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願番号】 特願2008−96345(P2008−96345)