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【発明の名称】 コンバイン
【発明者】 【氏名】木村 敦
【課題】電動モータで駆動するカッタ装置に多量の排藁が送給されたり、排藁の搬送乱れが生じたりすると、当該カッタ装置を構成する掻込歯と切断歯の間にそれらの排藁が詰まることがあり、その際、掻込歯と切断歯の間に詰まった排藁を取り除く作業の容易化を図る。

【解決手段】左右一端側を支点として作業姿勢Aと開放姿勢Bとに開閉自在に枢設しなる
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈を刈り取る前処理部(6)と、該前処理部(6)で刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀部(7)と、該脱穀部(7)で脱穀された後の排藁を後方に搬送する排藁搬送装置(8)と、該排藁搬送装置(8)で後方に搬送される排藁を、電動モータ(47)で回転駆動する複数の切断歯(9b)と掻込歯(9a)によって切断処理する電動カッタ装置(9)とを備え、該電動カッタ装置(9)を、左右一端側を支点として作業姿勢(A)と開放姿勢(B)とに開閉自在に枢設してなるコンバインにおいて、前記電動カッタ装置(9)の近傍に、該電動カッタ装置(9)を構成する複数の切断歯(9b)と掻込歯(9a)を逆転操作し得る操作スイッチ(55)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記切断歯(9b)と掻込歯(9a)の逆転を、通常の排藁を切断する速度よりも低速または寸動で行なえるように構成した請求項1に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、動力源としてエンジンと電動モータを搭載してなるハイブリッド方式のコンバインに関し、特に脱穀部から排藁搬送装置を介して搬送される排藁を切断処理する電動カッタ装置を備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの脱穀装置やカッタ装置等は、エンジンからベルト伝動装置を介して直接伝達される動力により駆動しており、コンバインの脱穀負荷が大きくなるとカッタ装置の回転駆動力が低下して排藁の切断不良や詰りが発生することがある。また、排藁の切断処理量が少ない場合であっても不要な動力を消費することから、脱穀負荷変動に影響されることなくカッタ装置を排藁量に応じて最適の回転数で駆動できるように電動モータで駆動するカッタ装置を設けたコンバインが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008−5771号公報(第3頁、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1のものでは、電動モータで駆動するカッタ装置に多量の排藁が送給されたり、排藁の搬送乱れが生じたりすると、カッタ装置を構成する掻込歯と切断歯の間にそれらの排藁が詰まることがあり、その際、掻込歯と切断歯の間に詰まった排藁を取り除く作業に手間が掛かることから改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、穀稈を刈り取る前処理部と、該前処理部で刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀部と、該脱穀部で脱穀された後の排藁を後方に搬送する排藁搬送装置と、該排藁搬送装置で後方に搬送される排藁を、電動モータで回転駆動する複数の切断歯と掻込歯によって切断処理する電動カッタ装置とを備え、該電動カッタ装置を、左右一端側を支点として作業姿勢と開放姿勢とに開閉自在に枢設してなるコンバインにおいて、前記電動カッタ装置の近傍に、該電動カッタ装置を構成する複数の切断歯と掻込歯を逆転操作し得る操作スイッチを設けたことを第1の特徴としている。
そして、前記切断歯と掻込歯の逆転を、通常の排藁を切断する速度よりも低速または寸動で行なえるように構成したことを第2の特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明によれば、電動カッタ装置の近傍に、該電動カッタ装置を構成する複数の切断歯と掻込歯を逆転操作し得る操作スイッチを設けているので、この電動カッタ装置を構成する複数の切断歯と掻込歯の間に排藁の詰まりが生じた時は、当該電動カッタ装置の複数の切断歯と掻込歯の間に詰まっている排藁の状態を確認しながら、前記複数の切断歯と掻込歯を速やかに逆転させることができ、それによって両歯の間に詰まった排藁を効率よく取り除くことができる。
そして、請求項2の発明によれば、前記切断歯と掻込歯の逆転を、通常の排藁を切断する速度よりも低速または寸動で行なえるように構成したことによって、両歯の間に詰まった排藁を安全且つ効率よく取り除くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3は、コンバインの左側面図、平面図、及び一部を省略した背面図、また図4は、コンバインの伝動図であって、コンバインは、走行部である左右一対のクローラ走行装置1L,1Rに支持した走行機体2を有しており、該走行機体2の前部右側には、エンジン3を搭載し、このエンジン3の上方には、コンバインの操縦部4を構成する運転席5を配置している。
【0007】
一方、走行機体2の前部左側には、穀稈の刈取りと搬送を行なう前処理部6を昇降自在に架設し、この前処理部6の後方には、刈取った穀稈を脱穀する脱穀部7と、該脱穀部7で脱穀された後の排稈を後方に搬送する排藁搬送装置8と、該排藁搬送装置8を介して搬送される排藁を切断処理する電動カッタ装置9とを前後に連設している。
【0008】
また、運転席5の後方には、図示しない選別部で選別された穀粒を一時的に貯留する穀粒タンク11が設けてあり、この穀粒タンク11内に一時的に貯留された穀粒は、縦搬送パイプ12を経て起伏及び回動動作自在な穀粒排出オーガ13の排出口13aから機外に排出できるようになっている。
【0009】
そして、運転席5前方の床面を形成する搭乗ステップ14の前側には、走行機体2の操向及び前処理部6の昇降操作を行うマルチステアリングレバー15を備えた操縦塔16を立設している。また、運転席5左側のサイドパネル17には、主変速レバー18や図示しない副変速レバー等のコンバインの操縦に必要な複数の操作レバーを配置している。
【0010】
上述した脱穀部7は、前処理部6で刈取った穀稈を脱穀する扱胴21を内装した図示しない扱室を備え、この扱室の下方に、該扱室で脱穀された穀粒を選別する選別部を設けてあり、これら扱室と選別部とは、扱ぎ降し物を漏下する受網によって区切られている。そして、選別部は、唐箕ファン22、揺動選別体23、一番螺旋24、二番螺旋25、及び送風ファン26等を備えている。そして、扱室の左側方には、刈り取られた穀稈の株元を挟扼レール27との間に挟持して後方に搬送する脱穀フィードチェン28を設けている。
【0011】
更に詳しくは、唐箕ファン22は、選別部の前側に設けてあり、この唐箕ファン22が回転駆動することにより選別風が起風される。揺動選別体23は、前後に揺動駆動され、受網から漏下した穀粒と夾雑物とを揺動選別する。一番螺旋24は、揺動選別体23により選別された一番物を図示しない一番物収容部において横方向に移送し、この横移送された一番物は、揚穀筒31内の揚上螺旋32に引き継がれて穀粒タンク11内へ搬送される。二番螺旋25は、一番物として収容されなかった枝梗粒、穂切粒等を含む二番物を図示しない二番物収容部において横方向に移送する。そして、送風ファン26は、一番物収容部と二番物収容部との間で揺動選別体23側に向けて下方から副選別風を送風する。
【0012】
次に、脱穀部7、選別部、排塵ファン33、及び電動カッタ装置9等の伝動構造について説明する。エンジン3の動力は、その出力軸3aから穀粒タンク11の底部に備える穀粒排出螺旋35と、トランスミッション36の主変速機を構成する静油圧式無段変速装置(走行用HST)37と、作業機クラッチ38を介して脱穀部7と選別部を構成する唐箕ファン22、揺動選別体23、一番螺旋24、二番螺旋25、及び送風ファン26等に伝達されると共に、発電機41に発電動力として入力されるようになっている。
【0013】
そして、発電機41によって発電される電力は、充放電コントローラを備えたコントローラ(制御装置)42を介してハイブリッド用バッテリ43に充電され、このハイブリッド用バッテリ43に充電された電力によって回転駆動する電動モータ44から変速ケース45に動力が入力されると共に、該変速ケース45内の変速機構を介して前処理部6と脱穀フィードチェン28に動力が出力される。
【0014】
また、上述した電動カッタ装置9と、その下方に設ける排藁の拡散螺旋46にも、ハイブリッド用バッテリ43に充電された電力によって回転駆動する電動モータ47を介して動力が入力されるようになっている。
【0015】
更に詳しくは、電動カッタ装置9は、その左右一端側の縦支点Pを回動支点として図2に実線で示す作業姿勢Aと二点鎖線で示す開放姿勢Bとに開閉自在に枢設してある。そして、電動カッタ装置9は、複数の掻込歯9aを所定の間隔で配設した掻込軸51と複数の切断歯9bを所定の間隔で配設した切断軸52を前後に備えており、上述の電動カッタ装置9の回動支点P側において、切断軸52の軸端に構成したベベルギヤ機構54を介して電動モータ47の動力が入力される。
【0016】
また、刈取り作業中の電動カッタ装置9は、脱穀部7への動力を断続する作業機クラッチ38に連動して作動するように構成してあるが、例えば電動カッタ装置9を構成する掻込歯9aと切断歯9bの間に排藁が詰まることがあり、その時は、詰まった排藁を除去すべく、作業機クラッチ38を切り状態として脱穀部7への動力伝達を断った状態で、当該電動カッタ装置9のみを低速または寸動で正逆転させることができる正逆転切換スイッチ55を設けている。詳述すると、この正逆転切換スイッチ55は、図1〜図3に示すように、作業姿勢Aと開放姿勢Bとに開閉自在に枢設した電動カッタ装置9の開放端側の外枠9dに取り付けてあり、電動カッタ装置9の側方を覆うサイドカバー56から突出している。
【0017】
そして、上述したコントローラ42は、マイクロコンピュータ(CPU、ROM、RAM等を含む)を用いて構成される制御装置であって、図5に示すブロック図のように、当該コントローラ42の入力側には、発電機41、作業機クラッチ38の入り/切り状態を検出する作業機クラッチセンサ61、電動カッタ装置9(電動モータ47)の回転負荷を検出するカッタ負荷センサ62、電動カッタ装置9を低速または寸動で正逆転させることができる正逆転切換スイッチ(モーメンタリースイッチ)55、電動カッタ装置9が作業姿勢Aまたは開放姿勢Bにあるかを検出する電動カッタ装置9の回動支点P側に設けたカッタ開放センサ63、電動カッタ装置9に排藁を送給するか否かを切換える切換板64の開閉状態を検出する切換板センサ65を所定の入力インターフェイス回路を介して接続している。
【0018】
一方、コントローラ42の出力側には、ハイブリッド用バッテリ43、インバータ66を経由して回転駆動する電動モータ47、カッタ負荷センサ62による電動モータ47の回転負荷をモニタリングできるように操縦部4に設けたモニタ67、電動カッタ装置9を構成する掻込歯9aと切断歯9bの間に排藁の詰まりが生じたことを報知するホーン68を所定の出力インターフェイス回路を介して接続している。
【0019】
そして、図6は、上述したコントローラ42を介して実行する電動カッタ装置9の駆動制御を示すフローチャートであって、以下このフローチャートに基づいて説明する。
【0020】
先ずステップS1では、作業機クラッチ38が切り状態にあるか入り状態にあるかを作業機クラッチセンサ61によって検出し、作業機クラッチ38が切り状態であればステップS2に進み、入り状態であればステップS3に進む。
【0021】
ステップS2では、作業機クラッチ38を介しての脱穀部7と選別部を構成する唐箕ファン22、揺動選別体23、一番螺旋24、二番螺旋25、及び送風ファン26等への動力伝達が断たれており、この時、電動カッタ装置9を構成する複数の切断歯9bと掻込歯9aを低速、または寸動で正逆転させることができる正逆転切換スイッチ55を逆転位置で操作したならばステップS4に進み、該ステップS4では、前記複数の切断歯9bと掻込歯9aの低速または寸動での逆転駆動がなされる。また、正逆転切換スイッチ55を正転位置で操作したならばステップS5に進み、該ステップS5では、前記複数の切断歯9bと掻込歯9aの低速または寸動での正転駆動がなされる。そして、正逆転切換スイッチ55が操作されなければステップS6の如く電動カッタ装置9は停止状態にある。即ち、電動カッタ装置9を構成する複数の切断歯9bと掻込歯9aの間に排藁の詰まりが生じた時は、先ず脱穀部7及び選別部への動力伝達を断ち、しかる後に電動カッタ装置9の近傍に設けた正逆転切換スイッチ55を介して、当該電動カッタ装置9の複数の切断歯9bと掻込歯9aを所望方向に速やかに正逆転させることができるので、電動カッタ装置9の複数の切断歯9bと掻込歯9aの間に詰まった排藁を取り除く作業を効率的に行なえるようになる。そして、電動カッタ装置9の複数の切断歯9bと掻込歯9aの正逆転を、低速または寸動で行なえるように構成したことによって、両歯9b,9aの間に詰まった排藁を安全且つ効率よく取り除くことができる。
【0022】
一方、ステップS3では、カッタ開放センサ63によって電動カッタ装置9が作業姿勢Aまたは開放姿勢Bにあるかを検出し、電動カッタ装置9が閉じた状態の作業姿勢AにあればステップS7に進み、電動カッタ装置9が開いた状態の開放姿勢BにあればステップS8に進む。
【0023】
ステップS7では、電動カッタ装置9に排藁を送給するか否かを切換える切換板64が図1に示す如く上方に大きく開いたメンテナンス位置aにあるか、メンテナンス位置a以外(切換板64がやや開いたカッタ位置b、または切換板64が閉じた排藁位置c)にあるかを切換板センサ65によって検出し、切換板64がメンテナンス位置aにあればステップS8に進み、切換板64がメンテナンス位置a以外にあればステップS9に進む。
【0024】
ステップS8では、操縦部4に設けたモニタ67に電動カッタ装置9が開放姿勢Bで、且つ切換板センサ65が上方に大きく開いたメンテナンス位置aにあることを表示せしめると共に、ホーン68による警報出力を実行してステップS10に進み、該ステップS10では、図示しないエンジン停止ソレノイドバルブを作動させて燃料カットによるエンジン停止を実行してステップS1に戻る。尚、この場合は、エンジン3を停止させることなく作業機クラッチ38を切るように構成してもよい。
【0025】
一方、ステップS9では、電動カッタ装置9を所定の作業速度で正転駆動させてステップS11に進む。
【0026】
ステップS11では、電動カッタ装置9(電動モータ47)の回転負荷を検出するカッタ負荷センサ62による当該回転負荷の検出値の大小を判断し、回転負荷が小さければステップS1に戻り、回転負荷が大きければステップS12に進む。
【0027】
ステップS12では、操縦部4に設けたモニタ67に電動カッタ装置9の回転負荷が大きくなったことを表示せしめると共に、ホーン68による警報出力を実行してステップS13に進む。
【0028】
そして、ステップS13では、カッタ負荷センサ62が検出する電動カッタ装置9(電動モータ47)の回転負荷が大きい状態が所定時間継続しているか否かを判断し、電動カッタ装置9(電動モータ47)の回転負荷が大きい状態が所定時間継続していなければステップS1に戻り、電動カッタ装置9(電動モータ47)の回転負荷が大きい状態、即ち電動カッタ装置9を構成する複数の切断歯9bと掻込歯9aの間に著しい排藁の詰まりが生じた時は、ステップS14に進んで、図示しないエンジン停止ソレノイドバルブを作動させて燃料カットによるエンジン停止を実行してステップS15に進み、このステップS15では、電動モータ47を停止させるといった一連の制御を実行する。
【0029】
尚、本発明のコンバインでは、刈取り作業中におけるエンジン3の回転負荷が大きい時には、発電機41による発電を停止し、ハイブリッド用バッテリ43に蓄えられた電力を利用して電動カッタ装置9(電動モータ47)を駆動させる一方、当該エンジン3の回転負荷が小さい時には、発電機41によって発電した電力を、ハイブリッド用バッテリ43を介して電動カッタ装置9に供給するか、あるいはハイブリッド用バッテリ43を介さずに直接電動カッタ装置9に供給することによってハイブリッド効果が効率よく得られるように構成している。
【0030】
以上説明した電動カッタ装置9を構成する複数の切断歯9bと掻込歯9aの伝動構造と駆動制御によれば、両歯9b,9aの間に排藁の詰まりが生じた時は、電動カッタ装置9を開放姿勢にして両歯9b,9aの間に詰まっている排藁の状態を確認しながら、電動カッタ装置9の開放端側の外枠9dに設けた正逆転切換スイッチ55によって、両歯9b,9aを所望方向に速やかに正逆転させることができるので、それによって両歯9b,9aの間に詰まった排藁を取り除く作業を効率的に行なえるようになる。そして、前記電動カッタ装置9を構成する複数の切断歯9bと掻込歯9aの正逆転を低速または寸動で行なえるように構成したことによって、電動カッタ装置9に詰まった排藁を安全且つ効率よく取り除くことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】コンバインの平面図。
【図3】一部を省略したコンバインの背面図。
【図4】コンバインの伝動図。
【図5】コントローラ(制御装置)のブロック図。
【図6】電動カッタ装置の駆動制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0032】
6 前処理部
7 脱穀部
8 排藁搬送装置
9 電動カッタ装置
9a 切断歯
9b 掻込歯
47 電動モータ
55 操作スイッチ
A 作業姿勢
B 開放姿勢
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成20年3月28日(2008.3.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2009−232819(P2009−232819A)
【公開日】 平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願番号】 特願2008−86418(P2008−86418)