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【発明の名称】 脱穀装置
【発明者】 【氏名】仲谷 正美
【氏名】南野 順一
【氏名】永田 哲治
【氏名】松下 肇
【氏名】小谷 真司
【氏名】平田 晋
【氏名】高木 雅志
【氏名】堀内 真幸
【氏名】丸山 純一
【氏名】一二三 慶城
【氏名】福田 雄大
【課題】3番ロスを防止することができて、かつ藁屑の詰まりを防止することのできる脱穀装置を低コストで実現する。

【解決手段】脱穀部後部の排塵口23の開口を閉じる遮蔽部材20を、これの上部に位置する軸心P周りに回動自在に支持するとともに、遮蔽部材20と一体に揺動する重錘31を設けて、唐箕10から供給される選別風の風量に応じて遮蔽部材20が揺動するように構成するとともに、前記重錘31の遮蔽部材20の軸芯P位置からの距離を変更可能に構成してある脱穀装置を構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室の下方に揺動選別装置を備え、前記揺動選別装置の処理物の搬送上手側の下方に風量調整可能な唐箕を備えて、この唐箕により処理物の搬送下手側の排塵口に向って選別風を供給するとともに、前記排塵口を遮蔽可能な遮蔽部材を備えて、この遮蔽部材により前記唐箕から供給される選別風の前記排塵口からの排出に抵抗を与えるように構成してある脱穀装置であって、
前記遮蔽部材をこれの上部に位置する軸心周りに揺動自在に支持し、前記遮蔽部材と一体に揺動する重錘を設けて、前記唐箕から供給される選別風の風量に応じて前記遮蔽部材が揺動するように構成するとともに、前記重錘の前記遮蔽部材の軸芯位置からの距離を変更可能に構成してある脱穀装置。
【請求項2】
前記遮蔽部材の前記軸芯周りでの揺動範囲を規制する規制部材を設けてある請求項1記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記規制部材がバネ材である請求項2記載の脱穀装置。
【請求項4】
側面視で前記軸心の位置を中心として、前記遮蔽部材と一体に揺動する重錘の重心位置よりも前記遮蔽部材の重心位置を処理物の搬送下手側となる所定の開き角度を与えてある請求項1〜3のいずれか一項に記載の脱穀装置。
【請求項5】
前記開き角度を変更可能に構成してある請求項1〜4のいずれか一項に記載の脱穀装置。
【請求項6】
前記選別風による前記遮蔽部材の処理物搬送下手側への揺動に対して抵抗を与えるダンパーを備えてある請求項1〜5のいずれか一項に記載の脱穀装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、排塵口の開口を制限する遮蔽部材を備えた脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の脱穀装置においては、例えば、特許文献1に開示されているように、排塵口付近に設けた遮蔽部材を、連係ワイヤを介して唐箕と連係することによって、唐箕の風量と遮蔽部材の開閉を連動させて(唐箕の風量が減少すると遮蔽部材が閉じて)、穀粒が排塵口から排出されることを防止するものや、特許文献2に開示されているように、排塵口付近に設けた遮蔽部材を連係ロッドやカムを介して搬送装置と連係することによって、脱穀装置に供給される穀稈の量と遮蔽部材の開閉を連動させて(穀稈の量が減少すると遮蔽部材が閉じて)、穀粒が排塵口から排出されることを防止するものが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−252024号公報(図3)
【特許文献2】特開2002−218836号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2に開示されているように、連係ワイヤや連係ロッドを介して、排塵口付近に設けた遮蔽部材を唐箕や搬送装置と連動させることによって遮蔽部材を開閉して、処理物の搬送上手側から供給された穀粒を含む藁屑を遮蔽部材に当てて穀粒を揺動選別装置内に導くことによって、穀粒が排塵口から排出される、いわゆる3番ロスを防止することができる。
しかし、連係ワイヤや連係ロッドを介して唐箕や搬送装置と連動させると、唐箕の風量や脱穀装置に供給される穀稈の量に応じて、遮蔽部材を開閉することができて排塵口を遮蔽することができる反面、脱穀装置に供給される穀稈の量が急激に増加すると、その急激な変化に遮蔽部材の動作が迅速に対応できずに遮蔽部材が閉じた状態で大量の藁屑が供給されて、遮蔽部材付近で藁屑が詰まって、円滑な脱穀作業を行う妨げになるといった問題があった。
また、連係ワイヤや連係ロッドを介して唐箕や搬送装置と連動させて遮蔽部材を開閉させる構造では、その構造や制御装置が複雑で、製造コストがアップする一因となっていた。
本発明は、3番ロスを防止することができて、かつ、藁屑の詰まりを防止することのできる脱穀装置を低コストで実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、扱室の下方に揺動選別装置を備え、揺動選別装置の処理物の搬送上手側の下方に風量調整可能な唐箕を備えて、この唐箕により処理物の搬送下手側の排塵口に向って選別風を供給するとともに、排塵口を遮蔽可能な遮蔽部材を備えて、この遮蔽部材により唐箕から供給される選別風の排塵口からの排出に抵抗を与えるように構成してある脱穀装置であって、遮蔽部材をこれの上部に位置する軸心周りに揺動自在に支持し、遮蔽部材と一体に揺動する重錘を設けて、唐箕から供給される選別風の風量に応じて遮蔽部材が揺動するように構成するとともに、重錘の遮蔽部材の軸芯位置からの距離を変更可能に構成してある。
【0006】
(作用)
本発明の第1特徴によると、唐箕から供給される選別風の風量が多い場合には、選別風の風圧を受けて、遮蔽部材がこれの上部に位置する軸心周りに揺動して、排塵口が開放される。また、唐箕から供給される選別風の風量が少ない場合には、選別風の風圧に抗して遮蔽部材の自重と重錘の重量が働いて、遮蔽部材がこれの上部に位置する軸心周りに揺動して、排塵口の開口が狭まるように遮蔽される。すなわち、唐箕から供給される選別風の風量に応じて遮蔽部材を開閉することができて、排塵口の開口を制限するように遮蔽することができる。
【0007】
脱穀装置に供給される穀稈の量が急激に増加して、遮蔽部材が遮蔽された状態で大量の藁屑が遮蔽部材付近に供給されても、遮蔽部材がこれの上部に位置する軸心周りに揺動して、排塵口が開放される。すなわち、脱穀装置に供給される穀稈の急激な変化に迅速に対応できる遮蔽部材を実現できる。
【0008】
唐箕から供給される選別風の風量に応じて排塵口の開口を制限するように遮蔽することができる遮蔽部材を、遮蔽部材の上部に位置する軸心周りに回動自在に支持することによって実現できるため、排塵口の開口を制限する遮蔽部材の構造を簡素に構成することができる。
【0009】
遮蔽部材には上端部の軸心周りで遮蔽部材と一体に揺動する重錘を設けているので遮蔽部材が強い選別風で煽られても、重錘によって開度が極端に大きくならないので、三番物を機外に排出されることが抑制できる。
又、重錘の遮蔽部材の軸芯位置からの距離を変更可能に構成してあるので、唐箕による選別風の風量(風力)と選別風の風量に応じた遮蔽部材の揺動量(揺動角)との関係を最適な状態に設定することができる。これによって三番物が排出されるのを抑制するのに最も都合のよい状態に設定することができるに至った。
【0010】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、唐箕から供給される選別風の風量に応じて遮蔽部材を開閉することができて、排塵口の開口を制限することができるため、処理物の搬送上手側から穀粒を含む藁屑が供給されて遮蔽部材に当たると、比重の重い穀粒は揺動選別装置内に落下し、比重の軽い藁屑は選別風に乗って排塵口に導かれる。そのため、穀粒が排塵口から排出される3番ロスを防止することができる。
【0011】
脱穀装置に供給される穀稈の急激な変化に迅速に対応できる遮蔽部材を実現できるため、遮蔽部材付近で藁屑が詰まることを防止することができ、円滑な脱穀作業を行うことができて、脱穀作業の作業性が向上する。
【0012】
排塵口開口を制限する遮蔽部材の構造を簡素に構成することができるため、脱穀装置の製造コストを削減することができる。
【0013】
遮蔽部材と一体に揺動する重錘を設けたことによって三番物が機外に排出されるのを抑制できるとともに、重錘の遮蔽部材の軸芯位置からの距離を調節することによって、三番物が排出されるのを抑制するのに最も都合のよい状態に設定することができるに至った。
【0014】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の脱穀装置において次のように構成することにある。
遮蔽部材の軸芯周りでの揺動範囲を規制する規制部材を設けてある。
【0015】
(作用効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」及び「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「作用効果」を備えている。
遮蔽部材の軸芯周りでの揺動範囲を規制する規制部材を設けてあるので、選別処理量の割りに唐箕の風力が強い場合であっても遮蔽部材の開度が規制部材で規制された揺動範囲以上に大きくなることはないので、三番物を不測に多量に排出されることが防止できる。
【0016】
[III]
(構成)
本発明の第3特徴によれば、前記規制部材がバネ材で構成したものである。
【0017】
(作用効果)
本発明の第3特徴によると、本発明の第1、2の特徴と同様に前項[I][II]に記載の「作用効果」を備えており、これに加えて以下のような「作用効果」を備えている。
唐箕の風量に応じて遮蔽部材の開度が変更されるとともに、選別処理量の割りに唐箕の風力が強くなって遮蔽部材の開度が大きく開かれる場合、バネ材によって遮蔽部材の開度が抑制されるので唐箕による選別風により遮蔽部材の開度が開き勝手に作用しながらもその開度が大きくなることが抑制され、選別処理物が多い場合にそれに対応して遮蔽部材の開度が多少大きくなることを許容して急激な藁屑の排出量の増大の変化に対して、遮蔽部材を後方へ逃がして詰まりを回避するという機能を有しながらも、三番物を不測に多量に排出されることが防止できる。
【0018】
[IV]
(構成)
本発明の第4特徴によれば、側面視で前記軸心の位置を中心として、遮蔽部材と一体に揺動する重錘の重心位置よりも遮蔽部材の重心位置を処理物の搬送下手側となる所定の開き角度を与えてある。
【0019】
(作用効果)
本発明の第4特徴によると、本発明の第1〜3の特徴と同様に前項[I][II][III]に記載の「作用効果」を備えており、これに加えて以下のような「作用効果」を備えている。
本発明の第4特徴によると、無風状態で遮蔽部材が垂下している場合に比べて、遮蔽部材の小さい開角度で排塵口の背面視の開度を大きく確保することができる。遮蔽部材が開き始めるとき(無風状態のとき)は、重錘は略垂下した状態にあり、この状態では遮蔽部材の自重と重錘の重量による遮蔽部材の開方向のモーメントの変化量が小さいので、重錘を比較的重いものとしながら初期開度を大きくすることができ、開度が大きくなるほど開くためのモーメントを大きく作用させることができるので、適正な重錘の重量を選定することにより、選別風量が大きくなっても遮蔽部材が過度に大きくなり過ぎるのを抑制でき、これによって三番ロスを効果的に抑制することができるに至った。
【0020】
[V]
(構成)
本発明の第5特徴によれば、側面視で前記軸心の位置を中心として、遮蔽部材と一体に揺動する重錘の重心位置よりも遮蔽部材の重心位置を処理物の搬送下手側となる所定の開き角度を変更可能に構成してある。
【0021】
(作用効果)
本発明の第5特徴によると、本発明の第1〜4の特徴と同様に前項[I]〜[IV]に記載の「作用効果」を備えており、これに加えて以下のような「作用効果」を備えている。
本発明の第5特徴によると、遮蔽部材と重睡との開き角度を変更可能に構成してあるので、開き角度を調節することによって、遮蔽部材の初期状態(無風状態)の開度をして、風量に応じた遮蔽部材の開角度の任意に設定することができる。
例えば穀稈の乾燥度が悪い場合やワラ屑が多い場合には、初期状態の開き角度を大きくしておいて排藁を排出しやすくしておき、例えば稲の生長がよい場合には良く乾燥している場合には、初期状態の開き角度を小さくして三番ロスを少なくするように設定しておくことにおり収穫率が向上する。
【0022】
[V]
(構成)
本発明の第6特徴によれば、選別風による遮蔽部材の処理物搬送下手側への揺動に対して抵抗を与えるダンパーを備えてある。
【0023】
(作用効果)
本発明の第6特徴によると、本発明の第1〜5の特徴と同様に前項[I]〜[V]に記載の「作用効果」を備えており、これに加えて以下のような「作用効果」を備えている。
本発明の第6特徴によると、処理量の変化に伴い遮蔽部材に対する選別風の変化や遮蔽部材の振動に対して遮蔽部材の開度が急激に大きくなることを抑制できるので、開度を安定させることができ、これによって三番ロスを少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1に、コンバインに搭載された脱穀装置1を示している。なお、この発明を実施するための最良の形態においては、脱穀装置1をコンバインに搭載した例を示すため、図1及び図2における左方が処理物の搬送上手側に相当し、図1及び図2における右方が処理物の搬送下手側に相当する。以下の説明においては、処理物の搬送上手側を前方と、処理物の搬送下手側を後方と表示する。
【0025】
この脱穀装置1は、その上部側に扱室A、中間部側に揺動選別装置B、下部側に回収装置Cを配設している。脱穀装置1には、刈取処理された穀稈をフィードチェーン2で挟持搬送しながら扱処理する扱胴3を扱室Aに軸架するとともに、扱処理された処理物を漏下させる受網5を扱胴3の下方側に配設している。
【0026】
揺動選別装置Bには、受網5から漏下した処理物を受け止めるグレンパン6、このグレンパン6の後方に順に位置させたチャフシーブ7及びストローラック8、チャフシーブ7の下方に位置するグレンシーブ9を、前後揺動駆動されるシーブケース16に架設するとともに、グレンパン6の下方側に風量調整可能な唐箕10を設けている。
【0027】
前記揺動選別装置Bは、扱室Aから漏下した処理物を開度調節自在なチャフシーブ7で受け止めて揺動移送しながら粗選別を行う粗選別部27、この粗選別部27から漏下した選別処理物を揺動移送しながら穀粒と二番物とに選別する精選別部28をシーブケース16に設けて構成してある。図4に示すように、前記チャフシーブ7は夫々横軸芯周りで揺動調節自在な複数のチャフ板7aを並列配備して成り、各チャフ板7aはワイヤを介して電動モータM1により一体的に揺動作動して、処理物の漏下開度を変更調節できるよう構成してある。また、前記チャフシーブ7の終端部後方で処理物の移送方向下手側に延びるワラ屑移送用のストローラック8を、唐箕10の選別風を下方から受けながら作動するように配設して、排ワラ屑を前記排塵口23から機体外方に排出させるよう構成してある。
【0028】
図1、図4に示すように、前記チャフシーブ7の上方には、チャフシーブ7の上部における処理物の層厚さを脱穀処理量のデータとして検出する処理物量検出センサSを設け、この検出情報に基づいて、処理物量が多いときは、チャフシーブ7の開度が広くなるように電動モータM1を制御し、処理物量が少ないときは、チャフシーブ7の開度が狭くなるように電動モータM1をそれぞれ制御する制御装置32(制御手段の一例)を設けてある。
【0029】
前記唐箕10は、図1、図5、図6に示すように、唐箕ファン33を唐箕ケース34に内装し、唐箕10の風量を調節するためのベルト式無断変速装置35(唐箕風調節機構の一例)を設けて構成してあり、前記処理物量検出センサSの検出情報に基づいて、処理物量が多いときは唐箕風が多くなるようにベルト式無断変速装置35を駆動し、処理物量が少ないときは唐箕風が少なくなるようにベルト式無断変速装置35を駆動する制御を、前記制御装置32で実行可能に構成してある。
【0030】
前記ベルト式無断変速装置35は、原動部からの動力を受けて駆動回転する第1プーリ36と、ベルトVを介して第1プーリ36から回転力を受けて唐箕ファン33と一体回転する第2プーリ37と、第1、第2プーリ36,37間のテンションプーリ38とから成り、前記第2プーリ37を割りプーリで構成してある。前記第2プーリ37に対しては、第2プーリ37を構成する一対のプーリ部材37a,37b同士を軸芯方向に近接離間させてベルトVの巻掛径を変更させるためのカム機構39を設けてあり、このカム機構39を構成するに、一方のプーリ部材37aの回転中心部と、電動モータM2を介して第2プーリ37の軸芯周りに揺動するカムレバー40の基端部との間に、カムレバー40の揺動に伴って前記一方のプーリ部材37aを他方のプーリ部材37bに近接離間させるカム面を形成してある。カムレバー40と電動モータM2との連結部は、カムレバー40の遊端部側の切欠き部にナット41を、カムレバー40の長手方向にスライド自在に嵌合するとともに、電動モータM2により駆動回転する送りネジ42の先端部に螺合して構成してある。上記構成においては、カムレバー40が機体前方側に揺動するに伴って唐箕風が少なくなり、機体後方側に揺動するに伴って唐箕風が多くなるように、各構成部材の位置関係を設定してある。
【0031】
前記ストローラック8は、前ストローラック8Aと後ストローラック8Bの上下二段に構成してある。これによって処理物が前ストローラック8Aから後ストローラック8Bへ落下するときに唐箕10による選別風で藁屑が幾分排出され比重の重い三番物と残りの藁屑が後ストローラック8Bで篩い選別されやすくなる。
【0032】
回収装置Cには、グレンシーブ9の下方にグレンシーブ9からの漏下物(一番物)を回収して横一側に横送りする一番物搬送スクリュ11を配設するとともに、グレンシーブ9やチャフシーブ7等からの漏下物(二番物)を回収して横一側に横送りする二番物搬送スクリュ12を配設している。一番物搬送スクリュ11と二番物搬送スクリュ12の間には、二番物搬送スクリュ12の上方に向って選別風を供給する回転ファン13が配設されている。回転ファン13は、図示しないが、唐箕10の前記風量調節機構35と同様な機構を備えてあり、前記処理物検出センサSの検出情報に基づいて回転速度が自動的に制御するように構成されているとともに、切換スイッチにより処理物検出センサSに基づく風量の調節をOFF、低速の変速1、中速の変速2、高速の変速3の変速比率を変更できるように構成してある。通常は変速1で使用し、藁が湿っているときや排藁量の多いときには変速2を使用し、作業終了時に清掃目的で変速3を使用する。
【0033】
図1に示すように、扱胴3の後方下方に処理胴17を備え、扱胴3の後端部から排出される処理物をこの処理胴17によって解し処理し、塵埃から穀粒を取り出すように構成されている。処理胴17の後方には排塵ファン4が配設され、この排塵ファン4の上側を覆って上側ファンガイド14が取り付けられている。排塵ファン4の下側を覆って取り付けられた下側ファンガイド15の下方に後述する遮蔽部材20が左右方向の軸心P周りに回動自在に取り付けられており、排塵口23付近に位置するシーブケース16の後端には、後述する排塵調節板24が配設されている。
【0034】
図2及び図3に示すように、下側ファンガイド15の下方で脱穀装置1の側壁18に、回転軸19が軸心P周りに回動自在に取り付けられており、この回転軸19に遮蔽部材20が取り付けられている。遮蔽部材20は、本体部20aと基部部材20bが一体成形されており、この基部部材20bに回転軸19を固定することによって、回転軸19と一体回動するように構成されている。回転軸19の一端は下方に折曲されており、この折曲部に雄ネジを施してこの部分を重錘杆30とし、これに雌ネジを施した重錘31を螺合して上下位置調節自在に重錘31を取付けてある。無風の状態では、側面視で軸芯Pの位置に対して、遮蔽部材20と一体に揺動する重錘31の重心位置よりも遮蔽部材20の上端部の軸芯P周りに揺動する遮蔽部材20の重心位置を処理物の搬送下手側となる所定の開き角度θを有しており、この実施形態では開き角度θを25度に設定してある。遮蔽部材20の先端には、コ字状に成形され先端が後方に向って折り曲げられた複数のピアノ線21が固定されており、一部の選別風を各ピアノ線21の間の隙間から後方へ逃がすように構成されている。
【0035】
遮蔽部材20は、樹脂製の材料によって成形されており、その重量は180g以下に設定されている。このように、遮蔽部材20を軽量な樹脂によって成形することによって、唐箕10から後方の排塵口23に向って送られてきた選別風の風量に応じて遮蔽部材20が揺動するように構成されている。
【0036】
具体的に説明すると、唐箕10の風量を最大にした状態では、遮蔽部材20が下側ファンガイド15の下面近くの位置まで揺動して、排塵口23が開放されるようになっており、この状態から唐箕10の風量を徐々に弱くしていくと、遮蔽部材20が徐々に下方へ揺動して、排塵口23が徐々に遮蔽されるようになっている。唐箕10の風量がゼロになると、重錘31が鉛直に垂れ下がった状態より僅かに前方に傾斜した状態になり、この状態が排塵口23を最も遮蔽した状態であり、このとき図2に示すように遮蔽部材20は軸芯Pを通る鉛直線より後方に傾斜した状態にある。
【0037】
図2に示すように、唐箕10の風量に応じて遮蔽部材20が揺動して、排塵口23を遮蔽することによって、前方から回収装置Cで回収できなかった穀粒を含んだ藁屑が供給されると、まず、遮蔽部材20にこの穀粒と藁屑が当たって、比重の重い穀粒はシーブケース16内に落下する。比重が軽い藁屑は、遮蔽部材20に当たっても、唐箕10から供給される選別風に乗って遮蔽部材20とシーブケース16の間を通って後方に導かれる。このように、遮蔽部材20によって、穀粒をシーブケース16内に導くことによって、排塵口23から排出される穀粒の量を減少させることができる。
【0038】
また、脱穀装置1内に供給される穀稈の量が急激に増加して、遮蔽部材20が重錘31の自重で垂れ下がった状態で大量の藁屑が遮蔽部材20付近に達しても、遮蔽部材20が藁屑の移動とともに後方に揺動することで、速やかに排塵口23に向って藁屑を導く。そのため、遮蔽部材20付近で、藁屑が詰まることを防止できるとともに、遮蔽部材20の破損を防止することができる。
【0039】
図2、図7、図8に示す符号22は、唐箕10の風量増大によって遮蔽部材20の開度が大きくなった場合に、遮蔽部材20の軸芯P周りでの揺動範囲を表わす最小及び最大開き角度を抑制するためのバネ材からなる規制部材である。この規制部材22は、側面視「J」の字状で、平面視は線材の途中に凹部を形成した形状で、規制部材22の折り曲げ端部22aを側壁18に穿設した孔に差込み、Jの字状の折り曲げ内部に位置させたボルト29で側壁18に固定してある。規制部材22の前記凹部内に回転軸19を折り曲げて形成した重錘杆30を配置してある。そして唐箕10が駆動していない無風状態において遮蔽部材20が自由状態(閉状態)にあるときの重錘杆30の位置、乃至はこれの近傍位置よりも重錘杆30が前方に移動すると、重錘杆30が規制部材22の凹部前側の前ストッパ部22bに接当して遮蔽部材20がこれ以上前方に移動しないようにしてあり、遮蔽部材20が唐箕風で押し開かれて開度が大きくなり、重錘杆30が40度上昇すると規制部材22の凹部後部の後ストッパ部22cに接当し、遮蔽部材20は、これ以上については規制部材22のバネ性質によって多少開くことが許容される。すなわち遮蔽部材20は後方に25度傾斜した閉状態から後方に略65度傾斜した開状態の区間で自由に揺動し、これを越える範囲については、バネ材に当接して開度を抑制されながら多少の開度増大が許容されるように作用する。
【0040】
図2に示すように、シーブケース16後端の壁部16aの後面側には、排塵調節板24が上下位置調節可能に取り付けられている。排塵調節板24は、シーブケース16に沿う上下方向の固定部24aと、この固定部24aの上端から斜め後方上方に折り曲げた傾斜部24bを備えた断面形状に成形されており、上端部と下端部を更に折り曲げることによって、長手方向の強度を確保できるように構成されている。このように、斜め後方上方に折り曲げた傾斜部24bを設けることによって、排塵調節板24をシーブケース16の上面から多く突出させても、この排塵調節板24が、藁屑が通過する際の抵抗になり難いようになっている。そのため、排塵調節板24をシーブケース16の上方に多く突出させることができ、穀粒を含んだ藁屑が排塵調節板24に当たる面積を大きく確保することができる。
【0041】
図示しないが、排塵調節板24の傾斜部24bには、上向きに開口した多数のスリットが、傾斜部24bの左右幅方向全面に亘って設けられている。
【0042】
シーブケース16の壁部16aの内面側には、シーブケース16の壁部16aに設けた貫通穴(図示せず)を介してボルト26が固着されており、このボルト26に、排塵調節板24を蝶ナット25で締め付け固定することによって、着脱交換可能に構成されている。排塵調節板24の固定部24aの中央部及び左右両側部には、各3つの取付穴が上下に加工されており、後方から蝶ナット25を外して排塵調節板24を上下に移動させることで、シーブケース16に対する上下方向の位置を3段に調節できるようになっている。このように、排塵調節板24を上下に位置調節及び着脱交換可能に構成することによって、藁屑の量や脱穀処理する作物の品種が異なる場合であっても、この排塵調節板24を調節又は交換することで、穀粒が機外に排出されることを防止できる。
【0043】
排塵調節板24によって、穀粒を含んだ藁屑は後方への急速な移動が妨げられて、穀粒がシーブケース16内に落下する。そのため、排塵口23から排出される穀粒の量を減少させることができる。
【0044】
上述したように、遮蔽部材20と排塵調節板24は、それぞれ回収装置Cで回収されずに排塵口23付近に達した穀粒をシーブケース16内に導いて、穀粒が機外に排出されることを防止することができる効果を有するが、遮蔽部材20と排塵調節板24を併用することで、その効果が更に期待できる。
【0045】
具体的に説明すると、図2に示すように、前方から穀粒を含んだ藁屑が供給されると、まず、遮蔽部材20にこの穀粒と藁屑が当たって、比重の重い穀粒はシーブケース16内に落下する。比重が軽い藁屑は、遮蔽部材20に当たっても、唐箕10から供給される選別風に乗って遮蔽部材20とシーブケース16の間を通って後方に導かれる。遮蔽部材20でシーブケース16内に導くことのできなかった穀粒は、その自重により斜め後方下方に落下しながら、排塵調節板24の傾斜部24bに当たって、シーブケース16に導かれ、藁屑は排塵調節板24の上方、乃至は一部はスリットの間を通って機外へ排出される。このように、遮蔽部材20では回収することのできなかった穀粒が、排塵調節板24の傾斜部24bに当たって、確実に回収することができるように、遮蔽部材20及び排塵調節板24の前後及び上下方向の位置や、遮蔽部材20及び排塵調節板24の寸法が設定されている。
【0046】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、遮蔽部材20を樹脂製の材料によって成形した例を示したが、同様の機能を果たすものであればアルミや鉄等の金属製の材料を採用してもよく、また、樹脂製や金属製に限らず、例えば、プラスチック製の材料を採用してもよい。
前述した実施の形態では、遮蔽部材20に対する重睡31は、回転軸19を折曲した部分に高さ調節自在に螺合して、遮蔽部材20と重睡31との開き角度は変更できない構造であるが、次のように構成してもよい。
図9に示すように、遮蔽部材20の上部に位置する回転軸19の一端に雄ネジを施し、これに上端部30aに雌ネジを施した重錘杆30を螺合して、ダブルナット30bにより固定するように構成してある。重錘杆30の下方の雄ネジ部分には、上下位置調節自在に雌ネジを施した重錘31を取付けてある。無風の状態での開き角度θを25度となるように設定してダブルナット30bにより重錘杆30を固定する。前記開き角度θはダブルナット30bを緩めることにより所望の開き角度に変更することができる。例えば、穀稈の乾燥度が悪い場合やワラ屑が多い場合には初期状態の開き角度を大きくしておいて排藁を排出しやすくしておき、稲の生長がよい場合には良く乾燥している場合には初期状態の開き角度を小さくして三番ロスを少なくするように設定しておくことにおり収穫率が向上する。
【0047】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、コンバインに搭載した脱穀装置1に遮蔽部材20を備えた例を示したが、コンバインに搭載する脱穀装置1に限らず、例えば、刈取部(図示せず)を備えていないハーベスタ(図示せず)に搭載する脱穀装置1においても同様に適用できる。
【0048】
[発明の実施のその他の形態]
上記実施の形態では、遮蔽部材20の最大開き位置を制限するのにバネ材を使用したが、一定の開き角度以上とならないように厚板材や太棒材をストッパとして構成しても良い。
上記実施の形態では、遮蔽部材20の閉じ側の位置を規制する前ストッパ部を形成したが、この前ストッパ部を省略して、遮蔽部材20の最大開き角度だけを規制する後ストッパ部だけを形成した規制部材を設けるようにしたものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】脱穀装置の縦断側面図
【図2】脱穀装置後端部の縦断側面図
【図3】遮蔽部材の構造を示す縦断背面図
【図4】チャフシーブの開度調節をする制御系を示す縦断側面図
【図5】唐箕の風量調節機構を示す一部切欠側面図
【図6】唐箕の縦断正面図
【図7】遮蔽部材の揺動範囲を制限する規制部材を示す側面図
【図8】遮蔽部材の揺動範囲を制限する規制部材を示す平面図
【図9】遮蔽部材に取付ける重錘の別実施の態様を示す正面図
【符号の説明】
【0050】
1 脱穀装置
10 唐箕
20 遮蔽部材
22 規制部材
23 排塵口
31 重錘
43 ダンパー
A 扱室
B 揺動選別装置
P 軸心
θ 遮蔽部材と重錘との開き角度
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成19年9月6日(2007.9.6)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2009−60842(P2009−60842A)
【公開日】 平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願番号】 特願2007−231484(P2007−231484)