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【発明の名称】 結球野菜収穫装置
【発明者】 【氏名】貝沼 秀夫
【氏名】青木 循
【氏名】久保田 興太郎
【氏名】細田 通良
【氏名】鎌田 誠
【氏名】小沢 勉
【課題】左右に並列して多条作業が可能な小型性を保持しつつ、切断した結球部を確実にコンベアに送り込んで機体後方へと搬送可能な結球野菜収穫装置を提供する。

【解決手段】車体底部に設置した縦軸の下端に円板状の回転刃(43a、43b)を連結して、回転刃の前半部の右または左側の四半部を株元切断部となすと共に、この株元切断部に続く回転刃の後半部に後方に向け高く傾斜したスロープ(45)を設け、そして回転刃の後方に隣接して車体の長さ方向に沿うコンベア(3)を設置し、前記スロープよりコンベアの前端部に至る無端の送込みベルト(80)をスロープ及びコンベアの上方に架設し、この送込みベルトの周面には柔軟な材質で形成したラグ(81)を間隔を空けて複数形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体底部に設置した縦軸の下端に円板状の回転刃を連結して、回転刃の前半部の右または左側の四半部を株元切断部となすと共に、この株元切断部に続く回転刃の後半部に後方に向け高く傾斜したスロープを設け、
そして回転刃の後方に隣接してコンベアを設置し、このコンベアの前端部の上方に前記スロープの終端部をのぞませ、これにより株元切断部よりスロープを経てコンベアに至る結球野菜通路を形成し、
この結球野菜通路の上方に無端の送込みベルトを架設し、そのベルト周面には柔軟な材質で形成した複数のラグを間隔を空けて形成してなる結球野菜収穫装置。
【請求項2】
前記送込みベルトの後側を、コンベアの上方に備える懸架機構により弾性支持して上下に揺動可能に構成してなる請求項1記載の結球野菜収穫装置。
【請求項3】
前記ラグを、結球部の当接面側に配置した柔軟な緩衝部材と、この背面側に取り付けた弾性の裏打ち板とにより形成してなる請求項1記載の結球野菜収穫装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、キャベツなどの結球野菜の刈取りに際して、外葉から分離切断した結球部を後方へ搬送する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャベツなどの結球野菜を刈り取る収穫機として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
特許文献1の収穫機は、左右一対の掻込みホイールや根茎搬送体、弾性搬送無端ベルトなどにより、畝に植生するキャベツ等の結球野菜を引き抜き、これを機体後方に搬送すると共に、搬送体の途中に備える切断装置でその根茎部や外葉を切断する構成となっているが、このように左右一対の無端ベルトなどにより、機体後方にキャベツを搬送する構成では収穫装置全体が左右に大きくなってしまい、畝間隔の制約から、この引抜き搬送装置を並べて多条を同時に処理するような構成は実現できない。
【0003】
この問題点を解決し、収穫装置の小型化および収穫作業の多条化を実現した結球野菜収穫装置として、本願出願人による特願2007−170866号がある。この結球野菜収穫装置は、畝に並んだキャベツの結球部を、順次、回転刃によって根及び外葉から切断分離し、それらを機体の進行に伴って玉突き的に後方に押し込んでコンベアへの上に押し出し、コンベアから機外に搬送する構成となっている。
【0004】
しかし、回転刃は設置位置が低くコンベアは高いから、両者の間に高低の段差が生じ、そこに結球部が停滞して詰まることがあった。
【特許文献1】特開2001-190127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、このような結球部の詰まりである。すなわち本発明の目的は、左右に並列して多条作業が可能な小型性を保持しつつ、切断した結球部を確実にコンベアに送り込んで機体後方へと搬送可能な結球野菜収穫装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1記載の結球野菜収穫装置は、車体底部に設置した縦軸の下端に円板状の回転刃を連結して、回転刃の前半部の右または左側の四半部を株元切断部となすと共に、この株元切断部に続く回転刃の後半部に後方に向け高く傾斜したスロープを設け、そして回転刃の後方に隣接してコンベアを設置し、このコンベアの前端部の上方に前記スロープの終端部をのぞませ、これにより株元切断部よりスロープを経てコンベアに至る結球野菜通路を形成し、この結球野菜通路の上方に無端の送込みベルトを架設すると共に、そのベルト周面に柔軟な材質で形成したラグを複数間隔を空けて形成するという構成である。
上記構成の結球野菜収穫装置は、車体の前進に伴って底部に設置した回転刃の株元切断部により結球部が切断分離され、この結球部は、結球野菜通路を通過中、無端の送込みベルトの周面に形成したラグによって後方へと押し込まれてスロープを滑り上がり、回転刃の後方に隣接して設置されたコンベアへと送り込まれる。
請求項2記載の発明は、請求項1の構成において、前記送込みベルトの後側を、コンベアの上方に備える懸架機構により弾性支持して上下に揺動可能に構成してなる。
上記構成の結球野菜収穫装置は、送込みベルトの後側が弾性支持されて上下に揺動可能となっていることから、送込ベルトとスロープとの間隔が結球部の大きさによって調整され、結球部が小さいときは後側が下がってラグが結球部に当接可能となるとともに、結球部が大きいときは後側が結球部により押し上げられ、ラグによって結球部が後方へと送り込まれる。
請求項3記載の発明は、請求項1の構成において、前記ラグを、結球部の当接面側に配置した柔軟な緩衝部材と、この背面側に取り付けた弾性の裏打ち板とにより形成してなる。
上記構成の結球野菜収穫装置は、ラグの結球部に当接する側面は柔軟な緩衝部材で形成されており、この緩衝部材に結球部が当接するとともに背面側の裏打ち板により押されてコンベアに送り込まれる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載のごとく構成した結球野菜収穫装置は、切断分離された結球部がスロープ及びコンベアの上方に配置した無端の送込みベルトの周面に形成したラグによって押し込まれてスロープを滑り上がり、回転刃の後方に隣接して設置されたコンベアへと送り込まれる。
その結果、結球部を機体の後方へ確実に搬送可能なうえに、車体の幅方向の小型性を保持して多条化も容易となる。
【0008】
請求項2記載のごとく構成した結球野菜収穫装置は、懸架機構によって弾性支持された送込みベルトの後側が、切断分離された結球部の大きさに応じて上下に揺動する。
その結果、結球部が大きいときは送込装置の後部が押し上げられて、結球部が通過可能となり、小さいときは無端ベルトが下がってラグが結球部に当接して、結球部を確実にコンベアへ送り込むことが可能となる。
【0009】
請求項3記載のごとく構成した結球野菜収穫装置は、柔軟な緩衝部材で形成されたラグの側面が結球部に当接するとともに、これに取り付けられた弾性の裏打ち板により、結球部が押し込まれる。
その結果、ラグによって結球部を傷つけることがないうえに、確実に後方へ押し込んでコンベアへと送り込むことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る結球野菜収穫装置について、図1乃至図11を参照して説明する。図1は本発明に係る結球野菜収穫装置の全体側面図で、図2はその要部の平面図である。
【0011】
結球野菜収穫装置1は、車体10と、車体10の前方に設けた刈取り作業部2と、刈り取った結球野菜を車体10の後方に搬送するコンベア3を有する。
【0012】
車体10を構成する機枠11は、正面から見ると下向きのコ字形で、中央が二条の畝を跨ぐように高くなっている。左右のクローラ12、12は、どちらも畝溝を走行するように、左右の間隔が畝2条分の広さになっている。
13は機枠11に搭載したエンジンで、その動力をトランスミッションケース14、14を経てクローラ12、12に伝達する。トランスミッションケース14には、車体10の横幅方向に出力軸16を架設する。15は運転席を示す。
【0013】
刈取り作業部2は、結球野菜を刈り取る切断装置4と、結球野菜の結球部を切断装置4に案内する案内装置5と、切断された結球部を搬送装置へと送り込む送込装置8から構成されている。
【0014】
次に切断装置4について説明する。
【0015】
切断装置4は、出力軸16と、この出力軸16の左右両端部に接続して前方に延伸した前後軸40と、前後軸40から下方に延伸した縦軸42と、縦軸42の下端に取り付けた円板状の回転刃43a、43bと、縦軸42の側方に設けられたゲージ輪49とから構成されている。
【0016】
この前後軸40と縦軸42とにより切断フレームが構成されている。
また不図示の伝動機構は、筒状の前後軸40及び縦軸42の内部にそれぞれ伝動軸及び回転軸を配置して構成される。前後軸40は出力軸16上に軸支点を有し、この軸支点を中心として上下に揺動可能に接続し、縦軸42は、ギアボックス41との接続部のまわりに左右に揺動可能に接続する。図の実施形態では、左右一対の切断装置4を車体10に設けている。
【0017】
回転刃43a、43bの中心は、図10のように、車体10が跨ぐ二条の畝のそれぞれの中央よりも左右外側にずれた位置にあり、車体10の長さ方向に沿った受取りコンベア30の先端直前に配置する。両回転刃43a、43bはそれぞれ、ギアボックス41を介して前後軸40の伝動軸からの動力をうけた縦軸42によって互いに内向きに回転駆動される。すなわち、図2において右側の回転刃43aは平面視時計回りに、左側の回転刃43bは平面視反時計回りに回転する。
【0018】
図3に回転刃43aの斜視図を示す。
回転刃43aは、図の矢印方向に回転する。図3に示すように、回転刃43aの刃先は鋸刃状に形成する。この刃先はあさりのない鋸刃状に形成するのが好ましい。通常、鋸などには切断容易のためにあさりが形成されているが、あさりがあると余分な切りくずが生じることとなり、この切りくずが散ると、結球部やその切断面を汚したり、圃場に散った切りくずが腐敗して病気の元となったりするおそれがあるためである。また、あさり無しの刃先で切断した場合、切断面が綺麗になる。
【0019】
また、図3に示すように、回転刃43aにはカバー44を取り付ける。回転刃43aは進行方向左側に寄っており、このカバー44により回転刃43aの後部及び左側部の刃先を覆うとともに右側前半部の四半部の刃先は露出させて株元切断部Aとする。このカバー44により、切断された結球部がコンベア3へ移動する途中で回転刃43aに再度触れ、傷つけられることを防ぐ。
【0020】
また、株元切断部Aに続く回転刃の後半部のカバー44の上面には、それと一体にスロープ45を固定する。スロープ45は後方を高く傾斜した状態で取り付けられ、畝の頂面より少し高い位置の回転刃43a、43bから、その後部の受取りコンベア30の先端上面までに達する長さと傾斜を備える。スロープ45は低い前部から高い後部にかけて機体中央側に徐々に張り出された平面視略台形状に形成され、後述する案内装置の案内ロッドが、図5に示すように、スロープ45の張り出された側縁に沿って受取コンベア30の前部まで伸びている。
【0021】
また、回転刃43a、43bには刃先ディバイダを設ける。
刃先ディバイダは、その先端が回転刃43a、43bよりも前方に突き出て結球部と外葉との間に挿し込み可能な左右一対のディバイダーロッド46a、46bと、回転刃43a、43bの回転方向下手側すなわち機体内側のディバイダーロッド46aに一体形成される株元押さえロッド47とを備えている。
【0022】
左右のディバイダーロッド46a、46bの間隔は先端に近いほど広くハ字状に形成する。また、先端はそれぞれ畝の側面に沿うように下方外向きに折り曲げられている。この刃先ディバイダは、左右のディバイダーロッド46a、46bの後端をスロープ45に溶接して一体的に固定する。株元押さえロッド47は、ディバイダーロッド46aの途中部から回転刃43a、43bの下面に沿うように、回転刃43aの回転方向上手側に突き出して設けられており、これらディバイダーロッド46aと株元押さえロッド47との間を回転刃43a、43bが通過する。
【0023】
ディバイダーロッド46a、46bは、機体の進行に伴ってそれぞれ結球部の左右両側と外葉との間に挿し込み可能に配置され、畝の左右に倒れているキャベツを起こす。株元押さえロッド47は、回転刃43a、43bの回転方向下手側、すなわち、図2の右側の回転刃43aにおいては左側のディバイダーロッド46aに株元押さえロッド47を設け、左側の回転刃43bにおいては右側のディバイダーロッド46aに株元押さえロッド47を設ける。
【0024】
次に、回転刃43a、43bの高さ位置を保持するゲージ輪49について、図4を参照して説明する。図4は、切断装置の正面図である。
ゲージ輪49は、高さ調節機構48を介して切断フレームの縦軸42に取り付けられている。高さ調節機構48は、先端に縦筒481を備えた支持杆480を縦軸42に取り付けるとともに、この縦筒481にゲージ輪49を有するゲージ杆482を取り付けてなり、ゲージ杆482と縦筒481との取付位置調整により回転刃43aの高さ位置を調整する。
【0025】
次に案内装置5について、図1、図2、及び図5を参照して説明する。図5は、刈取り作業部の正面図である。なお、図5においては、分かりやすくするため、コンベア、ゲージ輪等、送込装置の図示を省略している。
【0026】
案内装置5は、左右のクローラ12、12が走行する畝間を前方に伸びる左右の支持フレーム50、60と、車体10が跨ぐ二条の畝の畝間を前方に伸びる中央の支持フレーム70と、これらの支持フレーム50、60、70のそれぞれの先端に形成した取付部51、61、71から車体10に向かって後方に伸びる案内ロッド52、62、72a、72bとにより構成する。
【0027】
まず、案内装置5の支持フレーム50、60、70について説明する。
【0028】
左右の支持フレーム50、60は、その後端をそれぞれ切断装置4の前後軸40の先端のギアボックス41に設けた取付板41aに取り付けて、上下に回動可能かつ任意の角度位置で固定可能に構成する。この支持フレーム50、60は高い位置にある取付板41aから前下方に向かって伸びており、その先端を畝間に配置する。支持フレーム50、60と前後軸40とにより案内フレームが構成される。
【0029】
この先端に形成した錐体形状の取付部51、61は畝溝上を滑動する。この取付部51、61に案内ロッド52、62を取り付ける。案内ロッド52、62は、それぞれ取付部51、61から、車体10が跨ぐ畝の側面に沿って後上方に向かって延出する。取付部51、61を接地させることにより、案内ロッド52、62が畝に対して所定の位置に配置される。
【0030】
中央の支持フレーム70は、後部杆76と、前部杆77と、油圧シリンダ78とからなり、この中央の支持フレーム70により案内フレームを構成する。後部杆76の後端は車体10の出力軸16のスリーブ16aに取り付ける。後部杆76の先端には、前部杆77の後端を回動自在に取り付けるとともに、この後部杆76と前部杆77とを油圧シリンダ78で接続する。
【0031】
前部杆77の先端には錐体形状の取付部71を形成し、これに案内ロッド72a、72bを取り付けるとともに、畝溝を転動するゲージホイル79を取り付ける。案内ロッド72a、72bはそれぞれ、左右の畝の側面に沿って取付部71から後上方に向かって延出する。
【0032】
この支持フレーム70は、切込み16b、16bにより前後軸40、40とは独立に回動可能に構成する。また、支持フレーム70を取り付けたスリーブ16aには、切断フレーム受け止め体17、17を一体に取り付ける。この切断フレーム受け止め体17、17は左右の前後軸40、40の下側に当接可能に配置される。
【0033】
中央の支持フレーム70を油圧シリンダ78により伸縮させてスリーブ16aを回動し、切断フレーム受け止め体17、17により規定される前後軸40、40の回動下死点を決める。さらに支持フレーム70には、後述するコンベア3の受取りコンベア30の前端と連結される連結バー37を連結具38を介して取り付ける。
【0034】
次に、支持フレーム50、60、70に取り付けた案内ロッド52、62、72a、72bについて説明する。
【0035】
まず、進行方向左側の畝に沿う案内ロッド52、72aについて説明する。案内ロッド52、72aは、畝の左右側面に沿ってそれぞれ前低後高状に配置され、畝の頂面直上で対向して両案内ロッド52、72aの間隔を狭くした狭隘部53を形成する。狭隘部53は、畝の略中央において、後方に向かって畝の頂面の直上からわずかに上向きに形成されている。
【0036】
この狭隘部53よりも後部は、案内ロッド52を回転刃43aの縦軸42の内側を通ってコンベア3の受取りコンベア30まで延出し、案内ロッド72aを狭隘部53から車体10の中央側に曲げてスロープ45の機体中央側の側縁に沿わせ、受取りコンベア30の前端部まで延出する。回転刃43aのカバーで覆われていない前部及び内側部が、両案内ロッド52、72aの間で狭隘部53の直後にくるように配置する。
【0037】
進行方向右側の畝の右側面に沿う案内ロッド62と左側面に沿う案内ロッド72bも、畝の頂面直上で対向させて、両案内ロッド62、72bの間隔を狭くした狭隘部63を形成するとともに、案内ロッド72bは、回転刃43bのスロープ45の機体中央側の側縁に沿わせるとともに、受取コンベア30の前端部まで延出する。
【0038】
また、取付部51、61、71には、案内ロッド52、62、72a、72bよりもさらに高い位置を後上方に延伸される上側の案内ロッド55、65、75a、75bを設ける。この上側の案内ロッド55、65、75a、75bは、それぞれ下側の案内ロッド52、62、72a、72bにほぼ沿うように取り付けられる。
【0039】
次に、案内装置により案内され、回転刃で切断された結球部を搬送装置へ送り込む送込装置について、図6及び図7を参照して説明する。図6は送込装置の側面図であり、図7は送込装置の正面図である。
【0040】
送込装置8は、不図示のプーリを備えた前後の回転軸88、89に無端の送込みベルト80を巻回してなり、この送込みベルト80の周面にはラグ81を間隔を空けて複数形成する。回転軸88、89の一方には駆動モータ(図示しない)を取り付ける。このラグ81は、図の矢印方向に回転する。ラグ81は、結球部との当接面側をスポンジなど柔軟性を備えた緩衝部材82により構成し、これに弾力性を備えた樹脂板などからなる裏打ち板83を取り付けて形成する。
【0041】
この送込装置8は、機枠11の上部から前方に突き出した取付杆84に、前部は高さ調節機構85を介して、後部はバネやゴムなどの弾性部材87を備える懸架機構86を介して、それぞれ取り付ける。送込装置8の前部は、高さ調節機構85により前側の回転軸88を軸支して、結球部が通過しうるとともにラグ81が切断分離された結球部に当接可能な高さに調節固定する。送込装置8の後部は懸架機構86により弾性支持することで図示右側の上下向き矢印方向に動くように構成されており、回転軸89が回転軸88を支点に上下に揺動する。
【0042】
送込装置8は、少なくともスロープ45からコンベア30の前端部に至る長さに形成する。図例の送込装置8は、前部を回転刃43a、43bよりも前方に突出するとともに後部は受取コンベア30に達する長さに形成している。すなわち、株元切断部Aよりスロープ45を経てコンベア30に至る結球野菜通路Pの上方に、送込装置8が架設されている。
【0043】
次に、搬送装置を構成するコンベアについて説明する。
【0044】
コンベア3は、刈り取った結球野菜を前方の刈取り作業部2から受け取る受取りコンベア30と、この受取りコンベア30と直列に設けて結球野菜を車体10の後方に運ぶ搬送コンベア31とにより構成する。このコンベア3を、機枠11の下方をくぐるように車体10の前部から後部まで前後方向に沿って設ける。
【0045】
受取りコンベア30は、前方に突出し、回転刃43a、43bの後方に隣接して設けるとともに前端側を畝の直上に配置する。ここで畝の直上とは、少なくとも受取りコンベア30の前端が畝に衝突しない高さ位置であればよく、また、受取りコンベア30の前端上面が回転刃43a、43bのスロープ45の後部よりも下位置にあるのが望ましい。すなわちスロープ45の後部と受取りコンベア30の前端が、図6のように、わずかでも上下に重なる位置関係になるのが好ましい。
【0046】
搬送コンベア31は、高く起立したラグ32を有している。このラグ32は図示の矢印方向へ回転し、受取りコンベア30から結球部をさらに受け継いで結球野菜収穫装置の後上方へと搬送して、車体10の後部に連結した集積車33に結球部を集積する。
【0047】
この搬送コンベア31は、トランスミッションケース14の駆動軸34により駆動し、受取りコンベア30へは、搬送コンベア31の前端の伝達軸35から受取りコンベア30の後端の駆動軸36を介して動力が伝達される。駆動軸36には軸支点を設けて、受取りコンベア30をこの駆動軸36の回りに回動可能に構成する。
【0048】
受取コンベア30の前部には連結バー37を取り付ける。この連結バー37を支持フレーム70に連結具38を介して取り付けて、受取コンベア30と支持フレーム70とを連結する。支持フレーム70は油圧シリンダ78により伸縮可能で、これの伸縮により連結バー37の高さ位置が調整され、油圧シリンダ78により受取コンベア30の先端を、図8のとおり、駆動軸36の回りに回動して、高さ位置を調整可能に構成されている。
【0049】
上記のごとく構成した結球野菜収穫装置の作用について、図8乃至図11を参照して説明する。図8は刈り取り作業部の側面構成図であり、図9乃至図11はそれぞれ切断装置の作用を示す側面図、正面図および平面図である。図9においては、分かりやすくするため、外側のディバイダーロッド、カバー及びスロープの図示を省略している。
【0050】
畝Tに植生するキャベツ等の結球野菜は畝の頂面に起立しているものばかりでなく(V1)、畝の左右に倒れているものもある(V2、V3)し、作付け位置が頂面の中央からずれているものもある。また、これらの外葉は、畝面に沿って広がっている。
【0051】
まず、ゲージ輪49を有する長さ調節機構48により、回転刃43aの高さ位置を調節する。回転刃43aの高さを畝の頂面Tに近接させておけば、結球部に外葉が付いた状態で切断分離することができ、回転刃43aの高さ位置を畝の頂面Tよりも少し離しておけば、外葉を残さず結球部を切断分離することができる。
【0052】
案内装置5の左右の支持フレーム50、60は、取付部51、61を接地して畝間を滑走するように調節すればよいが、取付部51、61を畝間に接地せずに浮かせて作業してもよい。
【0053】
次に、受取コンベア30の先端部の高さ位置を調節する。受取コンベア30の先端部は連結バー37を介して支持フレーム70に接続されており、油圧シリンダ78を伸縮して支持フレーム70を上下させることにより、受取コンベア30の先端部が駆動軸36の回りに上下に回動する。油圧シリンダ78を伸長すると支持フレーム70は押し下げられて受取コンベア30の先端部は下がり、油圧シリンダ78を短縮すると支持フレーム70は引き上げられて受取コンベア30の先端部は上がる。受取コンベア30の先端部は、畝に衝突しない高さにするとともに、回転刃43aのスロープ45の後端上面よりも下に位置するように調節する。
【0054】
このようにして回転刃43aと受取コンベア30の高さ位置を調節した後、結球野菜収穫装置1を前進させる。結球野菜収穫装置1の前進に伴って、外葉は左右の案内ロッド52、72aにより分草され、傾いた結球部は引き起こされて、回転刃43aの前方に案内される。
【0055】
さらに結球野菜収穫装置1が前進すると、図9乃至図11に示したごとく、回転刃43aより前方に突き出たディバイダーロッド46a、46bが結球部の底部左右に挿し込まれ、結球部が株元切断部の正面に起立姿勢で引き寄せられる。
【0056】
車体10がさらに前進すると、ディバイダーロッド46a、46bにより起立姿勢に保持された結球部が、株元切断部によって外葉から切断分離される。このとき、根から切り離されつつある結球部と畝に残った根と外葉は回転刃43aに押されるが、回転刃43aの回転方向下手側にあるディバイダーロッド46aにより、結球部は回転刃43aの上側で押さえられるとともに、株元押さえロッド47により、根と外葉は回転刃43aの下側で押さえられる。
【0057】
外葉から切断分離された結球部は、結球野菜通路Pを通過する。すなわち、図6の矢印方向に回転する送込装置8のラグ81により押されて後方へと送り込まれ、株元切断部の後方に設けたスロープ45を滑り上がって受取コンベア30に載せられる。このとき、受取コンベア30まで延出された左右の案内ロッド55、75aにより、結球部の圃場への落下が防止される。切断された結球部は、受取コンベア30及び搬送コンベア31により後方へと搬送され、車体10の後方から追従する集積車33に積み込まれる。
【0058】
上記のごとく構成した図の実施態様のものは、以下に述べる効果を奏する。
【0059】
回転刃の株元切断部から前方に突出する左右2本のディバイダーロッドにより、結球野菜を株元切断部の正面に引き寄せるとともに結球部を起立した状態に保持しつつ株元切断部によって結球部と外葉とを切断分離でき、簡易な構成で結球部に傷つけることなく外葉から確実に切断分離することが可能となる。
【0060】
また、回転刃によって結球部が外葉から切断分離される際に、回転方向下手側に位置するディバイダーロッドと株元押さえロッドとによって結球野菜が回転刃の上下両側で押さえられるため、切断中に結球野菜が回転刃に押し動かされることがなく確実に切断できるとともに綺麗な切断面が得られる。株元押さえロッドは、これを取り付けたディバイダーロッドよりも回転方向上手側に屈曲して設けられているため、径の小さい結球野菜の株元を確実に押さえることができる。
さらにディバイダーロッドだけでは、切断された茎(ないしは株元)が回転刃に引き込まれてディバイダーロッドと回転刃の間に突きささり、回転刃を止めてしまうおそれがあるが、回転刃の下方に株元押さえロッドを設けたことにより、切断した茎の引き込みがなく回転刃の円滑な回転が保たれる。
【0061】
また、このような簡易な構成により結球部を確実に切断分離できることから、これを左右に並べて多条処理による作業の大幅な効率化を図り得る。また、構成が簡易なため不具合等も発生しにくく、長時間の使用にも耐えうるとともに、安価に形成することができ、メンテナンス等の手間も少なく済むため使い勝手がよい。
【0062】
このような多条処理による作業の大幅な効率化は、結球野菜の通常の収穫作業においても有利であるうえに、いわゆる越冬キャベツなどにおいては特に有利となる。いわゆる越冬キャベツは雪が降る直前にキャベツを切断分離する必要があるが、キャベツを早く切断しすぎると雪が降る前に霜などにより凍りついて変色し、味や風味が著しく損なわれることとなる一方で、雪が降り積もってからではキャベツが雪に埋もれて切断作業ができなくなってしまうためである。
【0063】
このような越冬キャベツにおいては、切断したキャベツは圃場に集積しておくこととなる。この場合、コンベアの図示を省略した図4のごとく、結球野菜収穫装置には搬送装置を設けなくてもよく、切断されたキャベツを集積車に搬送せず、そのまま圃場に放出する。本実施形態のような2条狩りに構成すると、キャベツは車体の跨ぐ左右の畝に挟まれた畝溝に落下し、後の集積作業の手間と労力を抑えることができる。
【0064】
また、図の結球野菜収穫装置は、車体に、切断した結球部を後方へと搬送するコンベアをさらに設けて、このコンベアの直前に回転刃を配置するとともに切断分離された結球部をコンベアへ送り込む送込装置が設けられており、結球部がコンベアに確実に受け継がれる。そのため、不要な外葉部を畝上に残したままで必要な結球部を切断するとともに、結球部を圃場に落とすことなく汚さずにコンベアにより搬送して集積することができ、通常の切断作業において汚れ落としなどの後処理作業を要せず、作業の効率化を図ることができる。
【0065】
さらに、畝に植生する結球野菜を引き抜かずに根本から切断することができるため畝土を飛散させるおそれがなく、結球部を汚さずにまた不要な外葉部を畝上に残したままで必要な結球部を切断することができる。畝土が飛散して回転刃に付着した場合に汚れた回転刃によって結球部の切断面が汚れることとなって洗浄作業に労力を要するうえに、汚れを落としきれずに商品価値が著しく落ちてしまうおそれがあったことから、このように畝土の飛散を防止することは切断作業において重要である。
【0066】
また、切断装置を、車体の左右方向に設けた出力軸と、この出力軸より前方に延伸した前後軸と、この前後軸より下方に延伸した縦軸と、この縦軸の下端に設けた回転刃とにより構成し、出力軸上に軸支点を形成して該軸支点の回りに前後軸を回動可能にしており、前後軸の回動により回転刃の高さ位置を調節することが可能となる。そのため、回転刃の高さを低くして畝の頂面に近接した位置で結球部を切断分離して、結球部に外葉が多く付いた状態で切断することができるとともに、回転刃の高さを高くして畝の直上から浮いた位置で切断して結球部に外葉が少ない状態で切断することもでき、作業に応じて所望の位置で切断することにより作業性の向上を図ることができる。
【0067】
例えば、越冬キャベツなどにおいては、切断したキャベツを圃場に放出するため、結球部に土が付着することとなるが、回転刃の高さ位置を調整できることにより、回転刃を畝の頂面に近接させておき、結球部に外葉が多く付くように切断することで結球部の汚れを抑えることができる。
【0068】
これを要するに、本発明の結球野菜収穫装置は、スロープ及びコンベアの上方に配置した無端の送込みベルトの周面にラグを取り付けた送込装置を備えており、結球部はラグに当接して後方へと押されるため、結球部が確実に機体の後方へ搬送される。また、送込装置は回転刃と受取コンベアの上方に設けられているため、刈取り作業部の横幅が広くなることがなく小型性が保持され、多条化の妨げとなることがない。
【0069】
また、送込装置の後部は懸架機構により弾性支持されており、切断分離された結球部の大きさによって、小さいときは後部が下がってラグが結球部を押し、大きいときは結球部により後部が押し上げられる。
【0070】
また、ラグは、結球部の当接面側を緩衝部材により構成するとともに、これに弾性を備えた裏打ち板を取り付けて形成され、弾性の裏打ち板によって結球部が機体後方に押し込まれるとともに、結球部には緩衝部材が当接するため傷つくおそれがない。
【0071】
また、回転刃の機体中央側の上面には、受取コンベアの前端上面に達する長さと傾斜を備えたスロープが設けられており、回転刃と受取コンベアとの間の段差が解消されるため、ラグに押された結球部はスロープを滑り上がり、送込装置によって容易にまた確実に結球部をコンベアに送り込むことが可能となる。
【0072】
なお、図示した結球野菜収穫装置は、2条の畝を跨ぐ車体に案内ロッドから成る案内装置と、回転刃から成る切断装置と、送込装置とをそれぞれ左右に設けて、2条を同時に切断作業する構成となっているが、上述した簡易な構成の刈取り作業部によれば3条以上の多条狩りの構成をとることも可能である。また、単条狩りの構成を取ることも可能である。また、本実施形態に示したような乗用型でなく、歩行型の車体にエンジンを搭載した簡易構成の切断機とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に係る結球野菜収穫装置の全体側面図である。
【図2】図1の要部の平面図である。
【図3】回転刃の斜視図である。
【図4】切断装置の正面図である。
【図5】刈取り作業部の正面図である。
【図6】送込装置の側面図である。
【図7】送込装置の正面図である。
【図8】刈取り作業部の作用説明用の側面構成図である。
【図9】切断装置の作用説明用の側面図である。
【図10】切断装置の作用説明用の正面図である。
【図11】切断装置の作用説明用の平面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 結球野菜収穫装置
10 車体
11 機枠
12 クローラ
13 エンジン
14 トランスミッションケース
15 運転席
16 出力軸
2 刈取り作業部
3 コンベア
30 受取りコンベア
31 搬送コンベア
32 ラグ
33 集積車
34 駆動軸
35 伝達軸
36 駆動軸
37 連結バー
38 連結具
4 切断装置
40 前後軸
41 ギアボックス
42 縦軸
43a、43b 回転刃
44 カバー
45 スロープ
46a、46b ディバイダーロッド
47 株元押さえロッド
48 長さ調節機構
480 支持杆
481 縦筒
482 ゲージ杆
49 ゲージ輪
5 案内装置
50、60、70 支持フレーム
51、61、71 取付部
52、62、72a、72b 案内ロッド
53、63 狭隘部
54、64 引渡し部
55、65、75a、75b 抑え杆
76 後部杆
77 前部杆
78 油圧シリンダ
79 ゲージホイル
8 送込装置
80 送込みベルト
81 ラグ
82 緩衝部材
83 裏打ち板
84 取付杆
85 高さ調節機構
86 懸架機構
87 弾性部材
88、89 回転軸
V1〜V2 結球野菜
T 頂面
G 走行面
【出願人】 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
【識別番号】000113816
【氏名又は名称】マメトラ農機株式会社
【出願日】 平成20年4月9日(2008.4.9)
【代理人】 【識別番号】100077779
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 哲郎

【識別番号】100078260
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 レイ子

【識別番号】100086450
【弁理士】
【氏名又は名称】菊谷 公男
【公開番号】 特開2009−247310(P2009−247310A)
【公開日】 平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願番号】 特願2008−101868(P2008−101868)