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【発明の名称】 コンバインの刈取装置
【発明者】 【氏名】小松 正寛
【氏名】前田 滋昭
【課題】引起装置の後方に配置されて刈取部左側からの刈取穀稈を後方搬送する左搬送体を備えたコンバインの刈取装置において、刈取穀稈が長稈である場合等でもスムーズな搬送を行うことが可能なコンバインの刈取装置を提供することを課題とする。

【解決手段】本発明は、引起装置13によって引起された圃場の穀稈の刈取を行う刈取部18と、前記引起装置13の後方に設けられて刈取部18左側からの刈取穀稈を後方搬送する左搬送体27D,31Dとを備え、左搬送体27D,31Dを穀稈の株元を搬送する左株元搬送体27Dと穂先を搬送する左穂先搬送体31Dとにより構成したコンバインの刈取装置において、左株元搬送体27Dに対して上方の左穂先搬送体31Dを後傾させて左搬送体27D,31Dを構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引起装置(13)によって引起された圃場の穀稈の刈取を行う刈取部(18)と、前記引起装置(13)の後方に設けられて刈取部(18)左側からの刈取穀稈を後方搬送する左搬送体(27D),(31D)とを備え、左搬送体(27D),(31D)を穀稈の株元を搬送する左株元搬送体(27D)と穂先を搬送する左穂先搬送体(31D)とにより構成したコンバインの刈取装置において、左株元搬送体(27D)に対して上方の左穂先搬送体(31D)を後傾させて左搬送体(27D),(31D)を構成したコンバインの刈取装置。
【請求項2】
左株元搬送体(27D)の駆動軸(S5)と左穂先搬送体(31D)の駆動軸(S7)とをユニバーサルジョイント(47)を介して連結させた請求項1のコンバインの刈取装置。
【請求項3】
左株元搬送体(27D)に対して上方の左穂先搬送体(31D)を搬送下流側を高くして左搬送体(27D),(31D)を構成した請求項1又は2のコンバインの刈取装置。
【請求項4】
引起装置(13)の後方に刈取部(18)右側からの刈取穀稈を後方搬送する右搬送体(27A),(31A)を設け、左搬送体(27D),(31D)からの搬送穀稈を右搬送体(27A),(31A)における搬送経路中途の合流部(P1),(P2)で合流させるように左搬送体(27D),(31D)を配置し、右搬送体(27A),(31A)を穀稈の株元を搬送する右株元搬送体(27A)と穂先を搬送する右穂先搬送体(31A)とにより構成し、左穂先搬送体(31D)の最下流側端が右穂先搬送体(31A)の合流部(P2)と略同一高さに形成された請求項1,2又は3のコンバインの刈取装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの刈取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
引起装置によって引起された圃場の穀稈の刈取を行う刈取部と、前記引起装置の後方に設けられて刈取部左側からの刈取穀稈を後方搬送する左搬送体とを備え、左搬送体を穀稈の株元を搬送する左株元搬送体と穂先を搬送する左穂先搬送体とにより構成した特許文献1,2に示すコンバインの刈取装置が公知になっている。
【特許文献1】実開昭55−81534号公報
【特許文献2】特開2007−143477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記文献のコンバインの刈取装置は、左株元搬送体と左穂先搬送体を略平行な状態で上下に並列配置しているが、機体の前後長が必要以上に長くできない関係上、左搬送体が引起装置に近接して配置されることが多く、左搬送体によって搬送される刈取穀稈が長稈である場合等には、刈取穀稈と引起装置の間に十分な搬送スペースが確保できず、穀稈のスムーズな搬送を行う上で課題が残る。
本発明は、上記課題を解決し、引起装置の後方に配置されて刈取部左側からの刈取穀稈を後方搬送する左搬送体を備えたコンバインの刈取装置において、刈取穀稈が長稈である場合等でもスムーズな搬送を行うことが可能なコンバインの刈取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため本発明のコンバインの刈取装置は、第1に、引起装置13によって引起された圃場の穀稈の刈取を行う刈取部18と、前記引起装置13の後方に設けられて刈取部18左側からの刈取穀稈を後方搬送する左搬送体27D,31Dとを備え、左搬送体27D,31Dを穀稈の株元を搬送する左株元搬送体27Dと穂先を搬送する左穂先搬送体31Dとにより構成したコンバインの刈取装置において、左株元搬送体27Dに対して上方の左穂先搬送体31Dを後傾させて左搬送体27D,31Dを構成したことを特徴としている。
【0005】
第2に、左株元搬送体27Dの駆動軸S5と左穂先搬送体31Dの駆動軸S7とをユニバーサルジョイント47を介して連結させたことを特徴としている。
【0006】
第3に、左株元搬送体27Dに対して上方の左穂先搬送体31Dを搬送下流側を高くして左搬送体27D,31Dを構成したことを特徴としている。
【0007】
第4に、引起装置13の後方に刈取部18右側からの刈取穀稈を後方搬送する右搬送体27A,31Aを設け、左搬送体27D,31Dからの搬送穀稈を右搬送体27A,31Aにおける搬送経路中途の合流部P1,P2で合流させるように左搬送体27D,31Dを配置し、右搬送体27A,31Aを穀稈の株元を搬送する右株元搬送体27Aと穂先を搬送する右穂先搬送体31Aとにより構成し、左穂先搬送体31Dの最下流側端が右穂先搬送体31Aの合流部P2と略同一高さに形成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
以上のように構成される本発明のコンバインの刈取装置によれば、左株元搬送体に対して上方の左穂先搬送体を後傾させるので、左株元搬送体と左穂先搬送体を略平行な状態で上下に並列配置したものと比較して、搬送穀稈の穂先側がより後側に傾いて引起装置との間に有効な搬送スペースが形成される。このため、穀稈が長稈の場合等でも、左搬送体によって穀稈をスムーズに搬送できるという効果がある。
【0009】
また、左株元搬送体の駆動軸と左穂先搬送体の駆動軸とをユニバーサルジョイントを介して連結させることにより、左穂先搬送体を左株元搬送体に対して後側に傾けて支持する場合の動力伝動構成がシンプルになるという効果がある。
【0010】
また、左株元搬送体に対して上方の左穂先搬送体を搬送下流側を高くして左搬送体を構成することにより、機体側部から中央に向かって左株元搬送体と左穂先搬送体との距離が長くなっていくため、穀稈が長稈の場合でも穀稈をスムーズに機体中央側に搬送できるという効果がある。
【0011】
さらに、引起装置の後方に刈取部右側からの刈取穀稈を後方搬送する右搬送体を設け、左搬送体からの搬送穀稈を右搬送体の中途部の合流部で合流させるように左搬送体を配置し、右搬送体を穀稈の株元を搬送する右株元搬送体と穂先を搬送する右穂先搬送体により構成し、左穂先搬送体の最下流側端を右穂先搬送体の合流部と略同一高さに形成することにより、左搬送体からの穀稈の穂先をスムーズに合流部から右搬送体に合流させることが可能になるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1乃至3は、本発明を適用した自脱式のコンバインの側面図、平面図及び正面図である。本コンバインは、走行部である左右一対のクローラ1L,1Rに支持された走行機体2と、走行機体2の前方に昇降自在に連結された前処理部3とを備えている。上記前処理部3は、条間が所定間隔に定められた圃場の穀稈を8条分一気に刈取る刈取条数が8条の刈取装置であり、走行機体2上の進行方向右(右)側に立設されたキャビン4内に乗り込んだオペレータの操作によって、左右のクローラ1L,1Rを駆動して走行機体2を走行させながら圃場の穀稈の刈取作業を行う。
【0013】
前処理部3で刈取られた穀稈は、搬送装置6によって走行機体2上の左部前側に搬送された後、走行機体2左部の脱穀部7の扱室(図示しない)に沿って穀稈を搬送する脱穀フィードチェーン8に渡される。脱穀フィードチェーン8に渡された穀稈は、扱室を通過する過程で脱穀処理されて排藁となり、排藁フィードチェーン(図示しない)によって走行機体2の後端部まで搬送される。走行機体2の後端部まで搬送された排藁は、そのまま機体後方から機外に排出されるか、走行機体2の後端部のカッター部9で切断処理された後に機体後方から機外に排出される。
【0014】
一方、扱室で扱ぎ降ろされた扱降物は、扱室下方の選別室(図示しない)に漏下し、選別室内で起風される後方斜め上方向の選別風によって藁屑と穀粒とに選別された後、藁屑が機体後方から機外に排出され、穀粒が走行機体2の右部後側のグレンタンク11内に収容される。そして、グレンタンク11内に収容された穀粒は、走行機体2の後端部右側に水平回動自在且つ上下揺動自在に支持されたオーガ12によって、機外に排出される。
【0015】
次に、図3乃至8に基づき、前処理部3の穀稈刈取機構の構成について説明する。
図4,5は、前処理部の側面図及び正面図であり、図6はカバー体を取外した状態の前処理部の正面図である。上記前処理部3は前面側及び左右両側面側がカバー体15によって覆われており、前端側に圃場の2条分の植立穀稈を引起す引起装置13が隣接状態で左右方向に複数(4つ)並列配置されて設けられている。
【0016】
各引起装置13は、上下方向に延びた板状の引起ケース10を左右一対で備え、この引起ケース10の前面側が引起カバー14によって覆われてカバー体15の一部を構成しており、一対の引起ケース10,10の間には、圃場の穀稈を掻込む掻込スペースSが形成されている。すなわち、本コンバインでは、引起ケース10が条毎に設置され、掻込スペースSが2条毎に1つ設けられている。
【0017】
この引起ケース10の上下端縁及び左右側端縁によって形成される外周縁には複数の引起爪16が所定ピッチで設けられている。この各引起爪16は、掻込スペースS側で上方移動するように引起ケース10外周縁を循環移動し、上方移動時には引起ケース10から外方に突出した状態になり、それ以外を移動している際には引起ケース10に収容された状態になる。
【0018】
引起装置13の下端部前方には圃場の穀稈を条単位で分草するデバイダ17(分草体)が左右方向に複数並列配置されている一方で、後方には左右方向の刈刃18(刈取部)が設置されている。なお、刈刃18は2つの刃の一方に対してもう一方を往復作動させるレシプロ式の切断刃である。
【0019】
また、各引起装置13の下部後方には、スターホイール19,19及び掻込ベルト21,21がそれぞれ左右一対で設けられている。一対のスターホイール19は、それぞれ周縁に多数の掻込歯が満遍なく配された円盤状に成形され、前方から後方に圃場の穀稈を掻込むように回転駆動される。一対の掻込ベルト21は、上記一対のスターホイール19の上段に配され、前方に広がる平面視ハの字状に配置されており、掻込爪によって前方から後方に圃場の穀稈を掻込むように駆動される。
【0020】
機体前進走行に伴って、圃場の穀稈は、条毎に各デバイダ17に分草された後、対応する引起ケース10側の掻込スペースSに案内され、引起爪16によって梳き上げられて引起される。引起された穀稈は、一対のスターホール19,19及び掻込ベルト21,21によって後方に掻込搬送されつつ刈刃18によって根元から刈取られる。
【0021】
前処理部3は、走行機体2側から前方斜め下方に延びる縦筒22によって、走行機体に対して昇降自在に支持されている。この際、前処理部3下端部の左右方向中心付近を縦筒22によって支持するため、前処理部3は左右バランス良好な状態で、走行機体2に連結される。そして、縦筒22と走行機体2の間に設けられた図示しない油圧シリンダー(昇降シリンダー)の伸縮作動によって前処理部3が走行機体2に対して昇降駆動される。
【0022】
図7は、縦筒と横筒及び横筒と縦伝動筒の連結構造を示す正面図であり、図8は、縦伝動筒と引起伝動筒の連結構造を示す正面図である。上記縦筒22の下端部には左右方向の横筒23の中心部分が連結固定され、この横筒23の一方側(図示する例では左側)の端部には上下方向の縦伝動筒24の下端部が取付固定され、縦伝動筒24の上端部からは機体内側に向かって左右方向の引起伝動筒26が延設されている。これらの縦筒22、横筒23、縦伝動筒24及び引起伝動筒26は、前処理部3のフレーム部を構成しているとともに、内部に設けられた各種伝動軸等により前処理部3の各部に動力を伝動する。
【0023】
次に、図4乃至9に基づき、前処理部の穀稈搬送機構の構成について説明する。
図9は、前処理部の構成を示す要部平面図である。前処理部3で刈取られた8条分の刈取穀稈は、前述したように、搬送装置6によって、脱穀部7側に搬送される。
【0024】
前述の搬送装置6は、刈取穀稈の株元を挟持搬送する株元搬送体として、刈取部18における右端2条分の刈取穀稈の株元を脱穀部7に向かって後方搬送する第1株元搬送体27A(株元搬送体,右株元搬送体,右主株元搬送体)と、刈取部18における左端2条分の刈取穀稈の株元を第1株元搬送体27Aの搬送経路途中(下流側)の株元合流部P1(合流部)に後方搬送する第4株元搬送体27D(株元搬送体,左株元搬送体,左主株元搬送体)と、刈取部18における右端側から3条目及び4条目の刈取穀稈の株元を第1株元搬送体27Aに後方搬送する第2株元搬送体27B(株元搬送体,右副株元搬送体)と、刈取部18における右端側から5条目及び6条目の刈取穀稈の株元を第4株元搬送体27Dに後方搬送する第3株元搬送体27C(株元搬送体,左副株元搬送体)と、第1株元搬送体27Aによって搬送された8条分の穀稈の株元を後方に搬送する扱深搬送装置28(株元搬送体)と、扱深搬送装置28よって搬送された穀稈を後方の脱穀フィードチェーン8まで搬送する後方株元搬送体29(株元搬送体)とを備えている。
【0025】
また、上記搬送装置6は、刈取穀稈の穂先を搬送する穂先搬送体として、第1株元搬送体27Aから扱深搬送装置28を介して後方株元搬送体29まで株元が搬送される搬送穀稈の穂先を後方搬送する第1穂先搬送体31A(穂先搬送体,右穂先搬送体,右主穂先搬送体,右下段穂先搬送体)と、第4株元搬送体27Dによって株元が搬送される穀稈の穂先を第1穂先搬送体31Aの搬送経路途中の穂先合流部P2(合流部)に後方搬送する第4穂先搬送体31D(穂先搬送体,左穂先搬送体,左主穂先搬送体,左下段穂先搬送体)と、第2株元搬送体27Bによって株元が搬送される穀稈の穂先を第1穂先搬送体31Aに後方搬送する第2穂先搬送体31B(穂先搬送体,右副穂先搬送体)と、第3株元搬送体27Cによって株元が搬送される穀稈の穂先を第4穂先搬送体31Dに後方搬送する第3穂先搬送体31C(穂先搬送体,左副穂先搬送体)とを備えている。
【0026】
くわえて、第1穂先搬送体31Aにおける搬送上流側の上方には一段高く第1上段穂先搬送体32A(穂先搬送体,右穂先搬送体,右主穂先搬送体,右上段穂先搬送体)が設置されるとともに、第4穂先搬送体31Dにおける搬送上流側の上方には一段高く第4上段穂先搬送体32D(穂先搬送体,左穂先搬送体,左主穂先搬送体,左上段穂先搬送体)が設置される。
【0027】
すなわち、刈取部18における右端2条分の刈取穀稈の穂先を後方搬送する右主穂先搬送体が第1穂先搬送体31A及び第1上段穂先搬送体32Aにより上下2段で構成されるとともに、刈取部18における左端2条分の刈取穀稈の穂先を後方搬送する左主穂先搬送体が第4穂先搬送体31D及び第4上段穂先搬送体32Dにより上下2段で構成される。
【0028】
以上のようにして、右主株元搬送体27A及び右主穂先搬送体31A,32Aが刈取部18における右端2条分の刈取穀稈を後方搬送する右主搬送体(主搬送体,右搬送体)になり、左主株元搬送体27D及び左主穂先搬送体31D,32Dが刈取部18における左端2条分の刈取穀稈を後方搬送する左主搬送体(主搬送体,左搬送体)になり、右副株元搬送体27B及び右副穂先搬送体31Bが刈取部18における右端側から3条目及び4条目の刈取穀稈を後方搬送する右副搬送体(副搬送体)になり、左副株元搬送体27C及び左副穂先搬送体31Cが刈取部18における右端側から5条目及び6条目の刈取穀稈を後方搬送する左副搬送体(副搬送体)になる。
【0029】
上記各株元搬送体27A,27B,27C,27D,28,29は駆動スプロケットと従動スプロケットに掛け回されたチェーンからなり、穀稈の株元を挟持搬送するように構成されている。一方、上記各穂先搬送体31A,31B,31C,31D,32A,32Dは駆動スプロケットと従動スプロケットに掛け回されたチェーンベルトにより構成される。この各チェーンベルトには所定ピッチで搬送爪33が設けられており、この搬送爪33が搬送経路形成側で突出するとともにそれ以外の箇所で収容されるように循環移動してガイド体に沿って穀稈の穂先を搬送するように構成されている。
【0030】
そして、第1株元搬送体27Aは刈取部18の右端から数えて1条目及び2条目部分から機体内側(左側)に向かって斜め後方に延びて機体左側に配置された扱深搬送装置28に至る搬送経路を形成し、第4株元搬送体27Dは刈取部18の右端から数えて7条目及び8条目部分から機体内側(右側)に向かって斜め後方に延びて第1株元搬送体27Aにおける平面視縦筒22付近の前述した株元合流部P1に至る搬送経路を形成し、第2株元搬送体27Bは刈取部18の右端から数えて3条目及び4条目部分から略真後ろ方向に延びる搬送経路を形成し、第3株元搬送体27Cは刈取部18の右端から数えて5条目及び6条目部分から略真後ろ方向に延びる搬送経路を形成している。
【0031】
また、扱深搬送装置28は、上記株元合流部P1付近から後方株元搬送体29へ搬送経路を形成し、後方株元搬送体29の搬送最上流側端に対して扱深搬送装置28の搬送最下流側端の上下位置を変更して後方株元搬送体29における穀稈の上下挟持位置を調整することにより、後方株元搬送体29から脱穀フィードチェーン8に穀稈を送り渡す際の脱穀フィードチェーン8の穀稈挟持位置を変更できるように構成されている。上記構成により、穀稈の稈長に応じて穀稈の脱穀部7の扱室への挿入量が調整される扱深制御が行われる。ちなみに、穀稈の稈長は、扱深搬送装置28及び後方搬送体29の上方に配置される稈長検出手段である複数の穂先センサ34によって、検出される。
【0032】
さらに、第1穂先搬送体31Aが第1株元搬送体27A、扱深搬送装置28及び後方株元搬送体29の穀稈株元搬送経路に沿ってこの穀稈株元搬送経路の上方に穀稈穂先搬送経路を形成し、第4穂先搬送体31Dが第4株元搬送体27Dの穀稈株元搬送経路に沿ってこの穀稈株元搬送経路の上方に穀稈穂先搬送経路を形成し、第2穂先搬送体31Bが第2株元搬送体27Bの穀稈株元搬送経路に沿ってこの穀稈株元搬送経路の上方に穀稈穂先搬送経路を形成し、第3穂先搬送体31Cが第3株元搬送体27Cの穀稈株元搬送経路に沿ってこの穀稈株元搬送経路の上方に穀稈穂先搬送経路を形成している。
【0033】
次に、図7乃至10に基づき、前処理部3の動力伝動機構について説明する。
図10は、前処理部の動力伝動系統図である。エンジン側からの動力は、油圧式無段階変速装置である搬送HST36及び縦筒22内に回転自在に軸支された前処理部駆動軸S1を介して、前処理部3側に伝動される。
【0034】
前処理部駆動軸S1は、ベベルギヤ37を介して、横筒23内に回転自在に軸持された伝動軸S2に伝動される。伝動軸S2の動力は、前述の刈刃18を駆動させる他、ベベルギヤ38を介して縦伝動筒24内に回転自在に軸持された伝動軸S3に伝動される。伝動軸S3の動力は、変速機構39やベベルギヤ41を介して引起伝動筒26内の引起駆動軸S4に変速伝動されて前述した複数の各引起装置13を駆動させる他、縦伝動筒24の下部に固定設置される伝動ケース42内のベベルギヤ43等を介して、この伝動ケース42に回転自在に支持される伝動軸S5に伝動される。
【0035】
伝動軸S5の動力は、この伝動軸S5と一体回転する駆動スプロケット44を介して、第4株元搬送体27Dに伝動される。すなわち、伝動軸S5は、第4株元搬送体27Dを駆動させる駆動軸になる。この第4株元搬送体27Dの動力は、第4株元搬送体27Dの従動スプロケット46を介して、この従動スプロケット46と一体回転する伝動軸S6に伝動される。この伝動軸S6の動力によって、左端の引起装置13の後方に配置される左右一対のスターホール19及び掻込ベルト21が駆動される。
【0036】
一方、伝動軸S5はユニバーサルジョイント47によって伝動軸S7に連結されており、伝動軸S5の動力は伝動軸S7にも伝動される。この伝動軸S7は左下段穂先搬送体31Dの駆動スプロケット48及び左上段穂先搬送体32Dの駆動スプロケット49と一体回転し、2つの左主穂先搬送体31D,32Dを駆動させる。すなわち、この伝動軸S7は、左下段穂先搬送体31Dを駆動させる駆動軸と、左上段穂先搬送体32Dを駆動させる駆動軸とを兼用している。なお、2つの左主穂先搬送体31D,32Dを駆動させる駆動軸を別体成形し、この2つの駆動軸をユニバーサルジョイント等で連結してもよい。
【0037】
また、前処理部駆動軸S1の動力は、縦筒22の下端部側に取付固定された伝動ケース51内のベベルギヤ52等を介して、この伝動ケース51に回転自在に支持された左右一対の伝動軸S9,S8に伝動される。
【0038】
左右の伝動軸S9,S8の内、右側の伝動軸S8の動力は、伝動軸S8と一体回転する第2株元搬送体27B用の駆動スプロケット53及び第2穂先搬送体31B用の駆動スプロケット54を介して、第2株元搬送体27B及び第2穂先搬送体31Bを駆動させる。くわえて、第2株元搬送体27Bの従動スプロケット56の動力は、伝動軸S10に伝動され、右端から数えて2つ目の引起装置13の後方に配置されたスターホイール19及び掻込ベルト21を駆動させる。
【0039】
一方、左右の伝動軸S9,S8の内、左側の伝動軸S9の動力は、伝動軸S9と一体回転する第3株元搬送体27C用の駆動スプロケット57及び第3穂先搬送体31C用の駆動スプロケット58を介して、第3株元搬送体27C及び第3穂先搬送体31Cを駆動させる。くわえて、第3株元搬送体27Cの従動スプロケット59の動力は、伝動軸S11に伝動され、右端から数えて3つ目の引起装置13の後方に配置されたスターホイール19及び掻込ベルト21を駆動させる。
【0040】
また、前処理部駆動軸S1の動力は、縦筒22の中途部に固設される伝動ケース61内に回転自在に支持される伝動軸S12に伝動され、この伝動軸S12と一体回転する第1株元搬送体27A用の駆動スプロケット62によって、第1株元搬送体27Aを駆動させる。第1株元搬送体27Aの動力は、第1株元搬送体27Aの従動スプロケット63と一体回転する伝動軸S13を介して、右端の引起装置13の後方に配置されたスターホイール19及び掻込ベルト21を駆動させる。なお、上記伝動軸S12の動力は、ベベルギヤ64等を介して、伝動ケース61内に回転自在に支持される伝動軸S14に伝動される。伝動軸S14は扱深搬送装置28用の駆動スプロケット66と一体回転し、扱深搬送装置28を駆動させる。
【0041】
また、前処理部駆動軸S1の動力は、ベベルギヤ68を介して、縦筒22の上端部に固設される伝動ケース67内に回転自在に軸支される伝動軸S16に伝動される。伝動軸S16は、伝動軸S16と一体回転する後方株元搬送体29用の駆動スプロケット69及び第1穂先搬送体31A用の駆動スプロケット71によって、後方株元搬送体29及び第1穂先搬送体31Aを駆動させる。第1穂先搬送体31Aの動力は、第1穂先搬送体31A用の従動スプロケット72と一体回転する第1上段穂先搬送体32A用の駆動スプロケット73を介して、第1上段穂先搬送体32Aを駆動させる。
【0042】
次に、図7乃至13に基づき、左主搬送体27D,31D,32Dの構成について詳述する。
図11乃至13は、左主搬送体の支持構造を示す前方斜視図、後方斜視図及び側面図である。一端が縦伝動筒24の上端部側にボルト固定されるとともに他端が左上段穂先搬送体32D上面にボルト固定される板状の支持部材74等によって、左上段穂先搬送体32Dが前処理部3のフレーム部に対して支持固定される。
【0043】
また、一端が引起伝動筒26の中途部にボルト固定されるとともに他端が左下段穂先搬送体31Dの右端部上面にボルト固定されるパイプ状の支持部材76と、一端が縦伝動筒24の上部側にボルト固定されるとともに他端が左下段穂先搬送体31Dの中途部上面にボルト固定されるパイプ状の支持部材77とにより、左下段穂先搬送体31Dが前処理部3のフレーム部に対して支持固定される。
【0044】
さらに、一端が縦伝動筒24の上部側にボルト固定されるとともに他端が左主株元搬送体27D上面にボルト固定されるパイプ状の支持部材78等によって、左主株元搬送体27Dが前処理部3のフレーム部に対して支持固定される。なお、左上段穂先搬送体32Dの下面側と左下段穂先搬送体31Dの上面側とは角パイプ状の支持部材79によって連結固定され、左下段穂先搬送体31Dの下面側と左主株元搬送体27Dの上面側とはパイプ状の左右一対の支持部材81,82によって連結固定されており、これら3つの支持部材79,81,82によって、3つの左主搬送体27D,31D,32Dがより強固に前処理部3のフレーム部側に固定される。
【0045】
上記支持構造の左主搬送体27D,31D,32Dは、図9及び13に示すように、左主株元搬送体27Dに対して左主穂先搬送体31D,32Dが後傾する(後に傾く)ように支持(構成)されている。具体的には、左主穂先搬送体31D,32Dの搬送経路形成側である前側(搬送作用側)が上方且つ後方に変位して左主株元搬送体27Dから離間するとともに後側(搬送非作用側)が下方且つ前方に変位して左主株元搬送体27Dに近接するように左主穂先搬送体31D,32Dを後に傾けた状態で、左主穂先搬送体31D,32Dを前処理部3のフレーム部側に支持することにより、突出時の搬送爪33を左主株元搬送体27Dに対して後傾させる。
【0046】
以上のように構成される本コンバインによれば、左右方向の搬送距離が長く、穀稈が引起装置13に接近した状態で機体中央まで搬送される多条(8条)刈の刈取装置3においても、左主搬送体27D,31D,32Dによる搬送穀稈の穂先が株元に対して後側に傾いて前方の引起装置13から離間した状態になるため、左主搬送体27D,31D,32Dによって穀稈をスムーズに合流部P1,P2まで搬送できる。
【0047】
また、この際、前述したように、左主株元搬送体27Dを駆動させる駆動軸S5と左主穂先搬送体31D,32Dを駆動させる駆動軸S7とがユニバーサルジョイント47で連結されており、この2つの駆動軸S5,S7の一方側を他方側に対して傾けることが可能であるため、左主株元搬送体27Dから左主穂先搬送体31D,32Dへの動力伝動構造が複雑になることが防止される。
【0048】
さらに、引起装置13から離間するように後方に穀稈を搬送する副搬送体27B,27C,31B,31Cに対して引起装置13と接近した状態で機体中央に向かって斜め後方に穀稈を搬送する主搬送体27A,27D,31A,31D,32A,32Dは、副搬送体27B,27C,31B,31Cに比べて高い穂先搬送精度が要求されるが、前述したように、右主穂先搬送体31A,32A及び左主穂先搬送体31D,32Dをそれぞれ上下2段で構成するとともに右副穂先搬送体31B及び左副穂先搬送体31Cをそれぞれ一段構成することにより、要求される穂先搬送精度の差異に対応させている。
【0049】
また、右副穂先搬送体31B及び左副穂先搬送体31Cは、それぞれ右副株元搬送体27B及び左副株元搬送体27Cに対して上下位置調整可能に前処理部3のフレーム部側に支持されているため、右副穂先搬送体31B及び左副穂先搬送体31Cにより様々な稈長の穀稈をスムーズに穂先搬送させることが可能になる。
【0050】
次に、図14に基づき、本発明の別実施形態に関して、前述の実施形態と構成が異なる部分を説明する。
図14は、本発明の別実施形態を示す前処理部の要部平面図である。同図に示すように、2つの左主穂先搬送体31D,32Dの内、左上段穂先搬送体32Dのみを左主株元搬送体27Dに対して後傾するように、左主穂先搬送体31D,32Dを構成している。なお、この場合には、前述したように、2つの左主穂先搬送体31D,32Dを駆動させる駆動軸を別体成形し、この2つの駆動軸をユニバーサルジョイント等で連結することにより、左下段穂先搬送体31Dから左上段穂先搬送体32Dへの動力伝動機構をシンプルに保つことが可能になる。
【0051】
次に、図15に基づき、本発明の別実施形態に関して、前述の実施形態と構成が異なる部分を説明する。
図15は、本発明の別実施形態を示す前処理部の要部平面図である。本コンバインは、左主株元搬送体27Dに対して左主穂先搬送体31D,32Dが左側に傾くように支持(構成)されている。具体的には、左右方向にも延びる左主穂先搬送体31D,32Dの左側(搬送経路上流側)よりも右側(搬送経路下流側)が左主株元搬送体27Dに対して高くなるように左主穂先搬送体31D,32Dを前処理部3のフレーム部側に支持している。
【0052】
上記構成により、機体中央に向かって左主株元搬送体27Dと左主穂先搬送体31D,32Dとの距離が離れていくため、稈長が長い場合でも穀稈をスムーズに機体中央側に搬送できる。そして、左主穂先搬送体31Dを機体内側に向かって上方傾斜させることができるため、通常、右主穂先搬送体31Aの上記穂先合流部Pよりも低い位置にある左主穂先搬送体31Dの搬送最下流側端を、上記穂先合流部Pと略同一高さに位置させることが可能になる。このことにより、右主穂先搬送体31Aに左主穂先搬送体31Dからの穀稈の穂先をスムーズに合流させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明を適用した自脱式のコンバインの側面図である。
【図2】本発明を適用した自脱式のコンバインの平面図である。
【図3】本発明を適用した自脱式のコンバインの正面図である。
【図4】前処理部の側面図である。
【図5】前処理部の正面図である。あり、
【図6】カバー体を取外した状態の前処理部の正面図である。
【図7】縦筒と横筒及び横筒と縦伝動筒の連結構造を示す正面図である。
【図8】縦伝動筒と引起伝動筒の連結構造を示す正面図である。
【図9】前処理部の構成を示す要部平面図である。
【図10】前処理部の動力伝動系統図である。
【図11】左主搬送体の支持構造を示す前方斜視図である。
【図12】左主搬送体の支持構造を示す後方斜視図である。
【図13】左主搬送体の支持構造を示す側面図である。
【図14】本発明の別実施形態を示す前処理部の要部平面図である。
【図15】本発明の別実施形態を示す前処理部の要部平面図である。
【符号の説明】
【0054】
13 引起装置
18 刈刃(刈取部)
27A 第1株元搬送体(主搬送体,右搬送体,右主搬送体,株元搬送体,右株元搬送体,右主株元搬送体)
27D 第4株元搬送体(主搬送体,左搬送体,左主搬送体,株元搬送体,左株元搬送体,右主株元搬送体)
31A 第1穂先搬送体(主搬送体,右搬送体,右主搬送体,穂先搬送体,右穂先搬送体,右主穂先搬送体,右下段穂先搬送体)
31D 第4穂先搬送体(主搬送体,左搬送体,左主搬送体,穂先搬送体,左穂先搬送体,左主穂先搬送体,左下段穂先搬送体)
47 ユニバーサルジョイント
P1 株元合流部(合流部)
P2 穂先合流部(合流部)
S5 伝動軸(駆動軸)
S7 伝動軸(駆動軸)
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【代理人】 【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠

【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
【公開番号】 特開2009−247245(P2009−247245A)
【公開日】 平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願番号】 特願2008−96796(P2008−96796)