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刈取収穫機の走行変速構造 - 特開2009−232782(P2009−232782A) | j-tokkyo
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【発明の名称】 刈取収穫機の走行変速構造
【発明者】 【氏名】法田 誠二
【課題】刈取収穫機の走行変速構造において、変速段数を抑えながら、移動速度を十分に高速側に設定することができ、低速刈取作業速度を十分に低速側に設定することができるように構成する。

【解決手段】走行装置への伝動系に、複数段に変速自在な走行用の第1変速装置19及び第2変速装置28とを直列に備える。第1変速装置19が低速位置で第2変速装置28が高速位置での伝動比と、第1変速装置19が高速位置で第2変速装置28が低速位置での伝動比とを、同じ伝動比に設定する。第1変速装置19が低速位置で第2変速装置28が高速位置であると刈取作業速度が得られ、第1変速装置19が低速位置で第2変速装置28が低速位置であると低速刈取作業速度が得られる。第1変速装置19が高速位置で第2変速装置28が高速位置であると移動速度が得られ、第1変速装置19が高速位置で第2変速装置28が低速位置であると刈取作業速度が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの動力を刈取部への伝動系と走行装置への伝動系の2系統に分岐させ、前記走行装置への伝動系に、複数段に変速自在な走行用の第1変速装置と、複数段に変速自在な走行用の第2変速装置とを直列に備えて、
前記第1変速装置が低速位置に操作され且つ第2変速装置が高速位置に操作された状態での伝動比と、前記第1変速装置が高速位置に操作され且つ第2変速装置が低速位置に操作された状態での伝動比とを、同じ伝動比に設定して、
前記第1変速装置が低速位置に操作され且つ第2変速装置が高速位置に操作されると、刈取作業速度が得られ、前記第1変速装置が低速位置に操作され且つ第2変速装置が低速位置に操作されると、低速刈取作業速度が得られるように構成し、
前記第1変速装置が高速位置に操作され且つ第2変速装置が高速位置に操作されると、移動速度が得られ、前記第1変速装置が高速位置に操作され且つ第2変速装置が低速位置に操作されると、刈取作業速度が得られるように構成してある刈取収穫機の走行変速構造。
【請求項2】
人為的に操作される人為操作具と、前記人為操作具の操作に基づいて第2変速装置を操作する操作手段とを備えてある請求項1に記載の刈取収穫機の走行変速構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン等の刈取収穫機の走行変速構造に関する。
【背景技術】
【0002】
刈取収穫機では例えば特許文献1に開示されているように、エンジン(特許文献1の図2の6)の動力が、第1回転軸(特許文献1の図2及び図3の10)を分岐点として、刈取部(特許文献1の図2の3)への伝動系と、走行装置(特許文献1の図2の1R,1L)への伝動系の2系統に分岐しており、走行装置への伝動系に走行用の変速装置(特許文献1の図2及び図3の11)が備えられている。
【0003】
特許文献1において、走行用の変速装置は低速位置、中速位置及び高速位置の複数段に変速自在に構成されている。中速位置は、通常の刈取作業状態において使用される刈取作業速度が得られるものであり、高速位置は、路上等において使用される移動速度が得られるものである。通常の刈取作業状態よりも作物が倒伏している場合、低速位置により刈取作業速度よりも低速の低速刈取作業速度を得ることにより、刈取部による倒伏した作物の刈り取りに比べて、機体の走行速度が速すぎると言う状態を避けることができる(特許文献1の[0028]参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−193835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、移動速度を十分に高速側に設定したいと言う要望、及び、低速刈取作業速度を十分に低速側に設定したいと言う要望が高まっている。この場合に、特許文献1において、走行用の変速装置とは別の走行用の変速装置を直列に配置すれば、2個の走行用の変速装置の動力において、移動速度を十分に高速側に設定することができ、低速刈取作業速度を十分に低速側に設定することができる。
しかしながら、2個の走行用の変速装置を直列に配置すると、2個の走行用の変速装置の変速段数を互い乗じた変速段数が得られることになり、2個の走行用の変速装置として変速段数が不必要に多くなってしまう。
【0006】
本発明は、刈取収穫機の走行変速構造において、エンジンの動力を刈取部への伝動系と走行装置への伝動系の2系統に分岐させ、走行装置への伝動系に、複数段に変速自在な2個の走行用の変速装置を直列に配置する場合、2個の走行用の変速装置としての変速段数を抑えながら、移動速度を十分に高速側に設定することができ、低速刈取作業速度を十分に低速側に設定することができるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、刈取収穫機の走行変速構造において次のように構成することにある。
エンジンの動力を刈取部への伝動系と走行装置への伝動系の2系統に分岐させ、走行装置への伝動系に、複数段に変速自在な走行用の第1変速装置と、複数段に変速自在な走行用の第2変速装置とを直列に備える。
第1変速装置が低速位置に操作され且つ第2変速装置が高速位置に操作された状態での伝動比と、第1変速装置が高速位置に操作され且つ第2変速装置が低速位置に操作された状態での伝動比とを、同じ伝動比に設定する。
第1変速装置が低速位置に操作され且つ第2変速装置が高速位置に操作されると、刈取作業速度が得られ、第1変速装置が低速位置に操作され且つ第2変速装置が低速位置に操作されると、低速刈取作業速度が得られるように構成する。
第1変速装置が高速位置に操作され且つ第2変速装置が高速位置に操作されると、移動速度が得られ、第1変速装置が高速位置に操作され且つ第2変速装置が低速位置に操作されると、刈取作業速度が得られるように構成する。
【0008】
(作用)
本発明の第1特徴によると、エンジンの動力を刈取部への伝動系と走行装置への伝動系の2系統に分岐させ、走行装置への伝動系に、複数段に変速自在な走行用の第1変速装置と、複数段に変速自在な走行用の第2変速装置とを直列に備えている。これにより、移動速度 (第1及び第2変速装置を高速位置に操作)を十分に高速側に設定することができ、低速刈取作業速度 (第1及び第2変速装置を低速位置に操作)を十分に低速側に設定することができる。
【0009】
この場合、本発明の第1特徴によると、第1変速装置が低速位置に操作され且つ第2変速装置が高速位置に操作された状態での伝動比と、第1変速装置が高速位置に操作され且つ第2変速装置が低速位置に操作された状態での伝動比とが、同じ伝動比に設定されている。
これにより、第1変速装置が低速位置に操作され且つ第2変速装置が高速位置に操作された状態での機体の走行速度と、第1変速装置が高速位置に操作され且つ第2変速装置が低速位置に操作された状態での機体の走行速度とが同じ速度となり、同じ刈取作業速度となるので、この同じ刈取作業速度となる分だけ第1及び第2変速装置としての変速段数を少なくすることができる。
【0010】
本発明の第1特徴によれば、第1変速装置が低速位置に操作された状態において、第2変速装置を高速位置に操作すると刈取作業速度が得られ、第2変速装置を低速位置に操作すると低速刈取作業速度が得られる。
これにより、通常の作物の中に倒伏した作物が散在するような圃場において、第1変速装置を低速位置に操作しておくことにより、第2変速装置を高速位置に操作したり(刈取作業速度)、第2変速装置を低速位置に操作したり (低速刈取作業速度)することによって、作物の状態に適切に対応することができる。
【0011】
本発明の第1特徴によれば、第1変速装置が高速位置に操作された状態において、第2変速装置を低速位置に操作すると刈取作業速度が得られ、第2変速装置を高速位置に操作すると移動速度が得られる。
これにより、例えばグレンタンクを備えたコンバイン (刈取収穫機の一例)において、第1変速装置を高速位置に操作しておくことにより、第2変速装置を低速位置に操作して刈取作業を行い(刈取作業速度)、グレンタンクが満杯になると、第2変速装置を高速位置に操作して (移動速度)、圃場の外に位置するトラックの位置に移動し、グレンタンクの穀粒をトラックに移すと言う作業に適切に対応することができる。
【0012】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、刈取収穫機の走行変速構造において、移動速度 (第1及び第2変速装置を高速位置に操作)を十分に高速側に設定することができ、低速刈取作業速度 (第1及び第2変速装置を低速位置に操作)を十分に低速側に設定することができるようにしながら、同じ刈取作業速度となる分だけ第1及び第2変速装置としての変速段数を少なくすることができるようになって、運転者が変速段数の多さに戸惑うことが少なくなり、操作性の向上を図ることができた。
【0013】
本発明の第1特徴によると、第1変速装置を低速位置に操作した状態で、第2変速装置を高速位置及び低速位置に操作したり、第1変速装置を高速位置に操作した状態で、第2変速装置を低速位置及び高速位置に操作したりすることにより、各種の状態に適切に対応することができるようになって、操作性及び作業性の向上を図ることができた。
【0014】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の刈取収穫機の走行変速構造において次のように構成することにある。
人為的に操作される人為操作具と、人為操作具の操作に基づいて第2変速装置を操作する操作手段とを備える。
【0015】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第2特徴によると、運転者が人為操作具を操作する際の操作力で第2変速装置を直接に操作するのではなく、人為操作具の操作に基づいて操作手段により第2変速装置を操作する。これにより、運転者は人為操作具を操作する程度の軽い操作で、第2変速装置を操作することができる。
【0016】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、人為操作具を操作する程度の軽い操作で、第2変速装置を操作することができるようになって、操作性の向上を図ることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[1]
図1に示すように、クローラ型式の右及び左の走行装置1によって支持された機体の前部に、刈取部2が昇降駆動自在に支持され、刈取部2の後側に運転部3が備えられて、機体の後部左側に脱穀装置4が備えられ、機体の後部右側にグレンタンク5が備えられて、刈取収穫機の一例であるコンバインが構成されている。
【0018】
図2はミッションケース6の伝動系の概要を示している。エンジン7の動力が、テンションクラッチ機能を備えたベルト伝動機構8を介して、静油圧式無段変速装置9に伝達されており、静油圧式無段変速装置9の出力軸9aの動力が、伝動ギヤ33(静油圧式無段変速装置9の出力軸9aに固定)、伝動ギヤ34(伝動軸10に固定)、伝動軸10、ワンウェイクラッチ11及び出力プーリー12、テンションクラッチ機能を備えたベルト伝動機構13を介して、刈取部2に伝達される。これにより、エンジン7の動力が伝動軸10を分岐点として、刈取部2への伝動系と、右及び左の走行装置1への伝動系とに分岐している。
【0019】
図2及び図7に示すように、静油圧式無段変速装置9は、中立位置を備えて、前進側及び後進側に無段階に変速自在に構成されており、運転部3に備えられた変速レバー93により静油圧式無段変速装置9を操作する。ワンウェイクラッチ11は静油圧式無段変速装置9の後進の動力を遮断して、静油圧式無段変速装置9の前進の動力を出力プーリー12に伝達する。
【0020】
図1及び図2に示すように、右及び左の走行装置1を駆動するスプロケット98において、図8に示すように、スプロケット98の駆動歯98aの先端部と基部とが、略同じ幅(スプロケット98の円周方向)を備えて、スプロケット98の駆動歯98aの縦面部98bが側面視で略直線状(スプロケット98の半径方向と略平行)となるように構成している。
これにより、右及び左の走行装置1において、クローラベルト99の芯金99aが、スプロケット98の駆動歯98aの縦面部98bの略全面に接触する状態となり、クローラベルト99の芯金99aがスプロケット98の駆動歯98aに部分的に接触することによる部分的な磨耗を防止することができる。
【0021】
[2]
次に、第1変速装置19(走行用の第1変速装置に相当)及び第2変速装置28(走行用の第2変速装置に相当)について説明する。
図2及び図3に示すように、シフトギヤ14がスプライン構造により伝動軸10にスライド及び一体回転自在に外嵌され、低速ギヤ15が伝動軸10に相対回転自在に外嵌されている。伝動軸16に低速ギヤ17及び高速ギヤ18が固定されており、低速ギヤ15,17が咬合している。
【0022】
これにより、図2及び図3に示すように、シフトギヤ14を低速ギヤ14に咬合させると(低速位置)、伝動軸10の動力が低速状態で伝動軸16に伝達され、シフトギヤ14を高速ギヤ18に咬合させると(高速位置)、伝動軸10の動力が高速状態で伝動軸16に伝達される。以上のように、シフトギヤ14、低速ギヤ15,17及び高速ギヤ18等により、高低2段に変速自在な第1変速装置19が構成されている。
【0023】
図2及び図3に示すように、シフトギヤ20が伝動軸16にスライド及び相対回転自在に外嵌され、バネ21によりシフトギヤ20が低速ギヤ17の咬合側に付勢されており、作動油が供給されることでシフトギヤ20が低速ギヤ17から離間側に操作される。伝動軸16に高速ギヤ22が相対回転自在に外嵌されて、伝動軸16と高速ギヤ22との間に油圧クラッチ23が備えられている。油圧クラッチ23は摩擦多板型式に構成されて、遮断状態に付勢されており、作動油が供給されることで伝動状態に操作される。
【0024】
図2及び図3に示すように、伝動軸24に低速ギヤ25及び高速ギヤ26が相対回転自在に外嵌されて、低速ギヤ25及び高速ギヤ26が円筒状の伝動部材27により一体回転するように連結されている。高速ギヤ22,26が咬合し、シフトギヤ20及び低速ギヤ25が咬合しており、シフトギヤ20がスライド操作されても、シフトギヤ20及び低速ギヤ25は常に咬合している。
【0025】
これにより、図2及び図3に示すように、油圧クラッチ23を遮断状態に操作し、シフトギヤ20を低速ギヤ17に咬合させると(低速位置)、伝動軸16の動力が低速状態で伝動部材27に伝達され、シフトギヤ20を低速ギヤ17から離間側に操作し、油圧クラッチ23を伝動状態に操作すると(高速位置)、伝動軸16の動力が高速状態で伝動部材27に伝達される。以上のように、シフトギヤ20、低速ギヤ25、高速ギヤ22,26及び油圧クラッチ23等により、高低2段に変速自在な第2変速装置28が構成されている。
【0026】
図2及び図3に示すように、第1変速装置19が低速位置(シフトギヤ14が低速ギヤ15に咬合)に操作され、且つ、第2変速装置28が高速位置(シフトギヤ20が低速ギヤ17から離間し、油圧クラッチ23が伝動状態)に操作された状態において、伝動軸10から伝動部材27への伝動比G1であったとする。
第1変速装置19が高速位置(シフトギヤ14が高速ギヤ18に咬合)に操作され、且つ、第2変速装置28が低速位置(シフトギヤ20が低速ギヤ17に咬合し、油圧クラッチ23が遮断状態)に操作された状態において、伝動軸10から伝動部材27への伝動比G2であったとする。
この場合、伝動比G1と伝動比G2とが同じもの (又は略同じもの)になるように、シフトギヤ14、低速ギヤ15,17、シフトギヤ20及び低速ギヤ25、高速ギヤ22,26のギヤ比が設定されている。
【0027】
図2及び図3に示すように、第1変速装置19を低速位置に操作し且つ第2変速装置28を高速位置に操作すると、通常の刈取作業状態において使用される刈取作業速度が得られるのであり、刈取作業速度の範囲において静油圧式無段変速装置9を操作することにより、機体の走行速度の調節を行う。第1変速装置19を低速位置に操作し且つ第2変速装置28を低速位置に操作すると、刈取作業速度よりも低速の低速刈取作業速度が得られるのであり、低速刈取作業速度の範囲において静油圧式無段変速装置9を操作することにより、機体の走行速度の調節を行う。低速刈取作業速度は、通常の刈取作業状態よりも圃場の作物が倒伏している場合に使用する。
【0028】
図2及び図3に示すように、第1変速装置19を高速位置に操作し且つ第2変速装置28を高速位置に操作すると、路上等において使用される移動速度が得られるのであり、移動速度の範囲において静油圧式無段変速装置9を操作することにより、機体の走行速度の調節を行う。第1変速装置19を高速位置に操作し且つ第2変速装置28を低速位置に操作すると、前述と同じ刈取作業速度が得られるのであり、刈取作業速度の範囲において静油圧式無段変速装置9を操作することにより、機体の走行速度の調節を行う。
【0029】
[3]
次に、ミッショケース6の右及び左の走行装置1への伝動系(直進系)について説明する。
図2及び図3に示すように、伝動部材27と低速ギヤ25との間に、右の走行伝動ギヤ29が相対回転自在に低速ギヤ25に外嵌され、伝動部材27と高速ギヤ26との間に、左の走行伝動ギヤ30が相対回転自在に高速ギヤ26に外嵌されている。伝動部材27の外面にスプライン部が形成されており、内周面にスプライン部を備えた右の伝動部材31が、伝動部材27と右の走行伝動ギヤ29とに亘ってスライド自在に外嵌され、内周面にスプライン部を備えた左の伝動部材32が、伝動部材27と左の走行伝動ギヤ30とに亘ってスライド自在に外嵌されている。
【0030】
図2及び図3に示すように、伝動軸35に伝動ギヤ36,37が固定されて、伝動ギヤ36が左の走行伝動ギヤ30に咬合しており、左の走行装置1を駆動する車軸32に固定された伝動ギヤ39が伝動ギヤ37に咬合している。伝動軸35に相対回転自在に外嵌された伝動ギヤ40が右の走行伝動ギヤ29に咬合し、伝動軸35に相対回転自在に外嵌された伝動ギヤ41が伝動ギヤ40に連結されて、伝動ギヤ40,41が一体で相対回転自在に伝動軸35に外嵌されており、右の走行装置1を駆動する車軸32に固定された伝動ギヤ42が、伝動ギヤ41に咬合している。
【0031】
図2及び図3に示す状態は、右の伝動部材31が伝動部材27と右の走行伝動ギヤ29とに咬合する伝動位置に操作された状態であり、左の伝動部材32が伝動部材27と左の走行伝動ギヤ30とに咬合する伝動位置に操作された状態である。
この状態において、伝動部材27の動力が、右の伝動部材31、右の走行伝動ギヤ29及び伝動ギヤ40,41,42を介して、右の走行装置1に伝達されるのであり、伝動部材27の動力が、左の伝動部材32、左の走行伝動ギヤ30、伝動ギヤ36、伝動軸35及び伝動ギヤ37,39を介して、左の走行装置1に伝達されて、機体は直進する。
【0032】
[4]
次に、ミッションケース6の右及び左の走行装置1への伝動系(旋回系)について説明する。
図2及び図4に示すように、旋回伝動軸43が回転自在に支持され、旋回伝動軸43の中央部にスプライン部43aが固定されており、シフト部材44がスプライン構造によりスライド及び一体回転自在に旋回伝動軸43のスプライン部43aに外嵌されている。
【0033】
図2及び図4に示すように、緩旋回ギヤ45が、旋回伝動軸43のスプライン部43aの横隣に相対回転自在に外嵌されて、緩旋回ギヤ45が高速ギヤ26に咬合している。逆転ギヤ46が、旋回伝動軸43のスプライン部43aの横隣(緩旋回ギヤ45とは反対側)に相対回転自在に外嵌されており、伝動軸16に逆転ギヤ47が固定されて、逆転ギヤ46,47が咬合している。以上のように、旋回伝動軸43、シフト部材44、緩旋回ギヤ45及び逆転ギヤ46等により、旋回機構48が構成されており、緩旋回ギヤ45と逆転ギヤ46との間に旋回伝動軸43のスプライン部43aが位置している。
【0034】
図2及び図4に示すように、旋回伝動軸43に伝動ギヤ49が固定され、伝動軸24に伝動ギヤ50が相対回転自在に外嵌されて、伝動ギヤ49,50が咬合しており、伝動軸24と伝動ギヤ50との間に油圧クラッチ51が備えられている。油圧クラッチ51は摩擦多板型式に構成されて、遮断状態に付勢されており、作動油が供給されることで伝動状態に操作される。
【0035】
図2及び図4に示すように、油圧クラッチ51のケーシング51a(伝動軸24に固定)の外周部とミッションケース6の内面部との間に、ブレーキ52が備えられており、油圧クラッチ51とブレーキ52とが伝動軸24を中心として同芯状に配置されている。ブレーキ53は摩擦多板型式に構成されて解除状態に付勢されており、作動油が供給されることで制動状態に操作される。ブレーキ52は油圧クラッチ51のケーシング51a(伝動軸24に固定)に制動を掛けるものなので、ブレーキ52を制動状態に操作すると、伝動軸24に制動が掛かるのであり、油圧クラッチ51の遮断状態であれば、旋回伝動軸43に制動は掛からない。
【0036】
図2,3,4に示すように、外周面にスプライン部を備えた伝動部材53が伝動軸24に固定され、内周面にスプライン部を備えた旋回伝動部材54が伝動部材53にスライド及び一体回転自在に外嵌されており、右の旋回伝動ギヤ55が伝動部材53(伝動軸24)の一方側に相対回転自在に外嵌され、左の旋回伝動ギヤ56が伝動部材53(伝動軸24)の他方側に相対回転自在に外嵌されている。
【0037】
図2,3,4に示すように、伝動軸35に固定された伝動ギヤ57が左の旋回伝動ギヤ56に咬合しており、伝動ギヤ40,41に固定された伝動ギヤ58が右の旋回伝動ギヤ55に咬合している。伝動軸35と伝動ギヤ40との間に油圧クラッチ59が備えられており、油圧クラッチ59は摩擦多板型式に構成されて遮断状態に付勢され、作動油が供給されることで伝動状態に操作される。
【0038】
これにより、図2及び図4に示すように、シフト部材44を旋回伝動軸43及び緩旋回ギヤ45のスプライン部43a,45aに亘って咬合する緩旋回位置に操作して、油圧クラッチ51を伝動状態に操作し、ブレーキ52を解除状態に操作すると、第2変速装置28から低速ギヤ25及び高速ギヤ26に伝達された動力が、低速ギヤ26、緩旋回ギヤ45、旋回伝動軸43、伝動ギヤ49,50、油圧クラッチ51及び伝動軸24を介して、低速ギヤ25及び高速ギヤ26の動力と同方向の低速の動力として、伝動部材53に伝達され、後述する[10]に記載のように、右(左)の走行装置1に伝達されて、機体は右(左)に緩旋回する。
【0039】
図2及び図4に示すように、シフト部材44を旋回伝動軸43及び逆転ギヤ46のスプライン部43a,46aに亘って咬合する逆転位置に操作して、油圧クラッチ51を伝動状態に操作し、ブレーキ52を解除状態に操作すると、第1変速装置19から伝動軸16に伝達される動力が、逆転ギヤ46,47、旋回伝動軸43、伝動ギヤ49,50、油圧クラッチ51及び伝動軸24を介して、低速ギヤ25及び高速ギヤ26の動力と逆方向の動力として、伝動部材53に伝達され、後述する[12]に記載のように、右(左)の走行装置1に伝達されて、機体は右(左)に超信地旋回する。
【0040】
図2及び図4に示すように、シフト部材44を緩旋回位置又は逆転位置に操作して、油圧クラッチ51を遮断状態に操作し、ブレーキ52を制動状態に操作すると、ブレーキ52の制動力が伝動軸24を介して伝動部材53に伝達され、後述する[11]に記載のように、右(左)の走行装置1に伝達されて、機体は右(左)に信地旋回する。
【0041】
[5]
次に、第2変速装置28、右及び左の伝動部材31,32、シフト部材44、旋回伝動部材54、油圧クラッチ51,59、ブレーキ52の油圧回路構造について説明する。
図5に示すように、油圧ポンプ60からの油路61が静油圧式無段変速装置9に供給されており、油路61にリリーフ弁62が備えられて、油路61にリリーフ弁63が接続されている。
【0042】
図4及び図5に示すように、複動型の操作シリンダ64が備えられて、操作シリンダ64に備えられた3個のシフトフォーク64aが右及び左の伝動部材31,32、旋回伝動部材54に係合しており、油圧ポンプ60からの油路65,66,67が操作シリンダ64に接続されている。右及び左の方向切換弁68,69が油路66,67に備えられており、右及び左の方向切換弁68,69は作動油の供給位置及び排油位置を備えた電磁操作式で、バネにより排油位置に付勢されている。
【0043】
図5に示すように、操作シリンダ64からの油路70に、比例電磁式の圧力制御弁71及び切換弁72が直列に備えられて、切換弁72に油圧クラッチ51及びブレーキ52が接続されている。切換弁72は、油圧クラッチ51に作動油を供給して油圧クラッチ51を伝動状態に操作し、ブレーキ52から作動油を排出してブレーキ52を解除状態に操作する第1旋回位置、油圧クラッチ51から作動油を排出して油圧クラッチ51を遮断状態に操作し、ブレーキ52に作動油を供給してブレーキ52を制動状態に操作する第2旋回位置に操作自在に構成されて、パイロット操作式に構成されており、バネにより第1旋回位置に付勢されている。
【0044】
図5に示すように、パイロット油路73が油路65から延出され切換弁72に接続されて、パイロット油路73に切換弁74が備えられている。切換弁74は切換弁72にパイロット作動油を供給する供給位置及びパイロット作動油を排出する排油位置を備えて、電磁操作式に構成されており、バネにより排油位置に付勢されている。切換弁74が排油位置に操作されると、切換弁72が第1旋回位置に操作され、切換弁74が供給位置に操作されると、切換弁72が第2旋回位置に操作される。
【0045】
図4及び図5に示すように、油路65から分岐した油路75に、切換弁76及び操作シリンダ77が直列に備えられ、操作シリンダ77によりシフト部材44が緩旋回位置及び逆転位置に操作されるように構成されており、操作シリンダ77はバネにより緩旋回位置に付勢されている。切換弁76は、操作シリンダ77に作動油を供給して操作シリンダ77を逆転位置に作動させる超信地旋回位置、及び操作シリンダ77から作動油を排出して操作シリンダ77を緩旋回位置に作動させる緩旋回位置を備えて、電磁操作式に構成されており、バネにより緩旋回位置に付勢されている。
【0046】
図5に示すように、油路65から分岐した油路78に切換弁79(操作手段に相当)及びシフトギヤ20が直列に備えられ、切換弁79及びシフトギヤ20の間から分岐した油路80に、アキュムレータ81及び油圧クラッチ23が直列に備えられており、油路80をアンロード可能な油路82、及び油路82を開閉自在な弁機構83が備えられている。切換弁79は、シフトギヤ20に作動油を供給する高速位置、及びシフトギヤ20から作動油を排出する低速位置を備えて、電磁操作式に構成されており、バネにより低速位置に付勢されている。
【0047】
図5に示すように、油路66,67から逆止弁84を介してパイロット油路85が延出され、パイロット油路85にパイロット操作式の減圧弁86及び油圧クラッチ59が直列に備えられており、油路70から分岐したパイロット油路87が減圧弁86の操作部に接続されている。油路61において、リリーフ弁62を迂回するバイパス油路88が備えられ、バイパス油路88に開閉弁89が備えられており、開閉弁89はバネにより開位置に付勢されたパイロット操作式に構成されている。油路80からパイロット油路90が分岐され、パイロット油路85,90から逆止弁91を介してパイロット油路92が延出されて、パイロット油路92が開閉弁89の操作部に接続されている。
【0048】
[6]
次に、右及び左の方向切換弁68,69、圧力制御弁71、切換弁74,76,79の操作系の構成について説明する。
図7に示すように、第1変速レバー94が運転部3に備えられて、第1変速レバー94とシフトギヤ14とが連係機構 (図示せず)を介して機械的に連係されており、第1変速レバー94が低速位置及び高速位置に操作されると、シフトギヤ14が操作されて、第1変速装置19が低速位置及び高速位置に操作される(前項[2]参照)。
【0049】
図7に示すように、第2変速レバー95(人為操作具に相当)、操向レバー96及び選択スイッチ97が運転部3に備えられ、第2変速レバー95、操向レバー96及び選択スイッチ97の操作位置が制御装置100に入力されており、第2変速レバー95は低速位置及び高速位置に操作自在に構成されている。制御装置100は、第2変速レバー95、操向レバー96及び選択スイッチ97に基づいて、右及び左の方向切換弁68,69、圧力制御弁71、切換弁74,76,79を、以下の[7]〜[12]に記載のように操作する。
【0050】
図3,5,7に示すように、第2変速レバー95が低速位置に操作されると、切換弁79が低速位置に操作されて、シフトギヤ20から作動油が排出され、バネ21によりシフトギヤ20が低速ギヤ17に咬合し、弁機構83により油路82が開操作され、油圧クラッチ23から作動油が排出されて、油圧クラッチ23が遮断状態に操作される(第2変速装置28の低速位置)(前項[2]参照)。
【0051】
図3,5,7に示すように、第2変速レバー95が高速位置に操作されると、切換弁79が高速位置に操作されて、シフトギヤ20に作動油が供給され、シフトギヤ20が低速ギヤ17から離間側に操作されて、弁機構83により油路82が閉操作され、作動油がアキュムレータ81を介して油圧クラッチ23に供給されて、油圧クラッチ23が伝動状態に操作される (第2変速装置28の高速位置)(前項[2]参照)。
【0052】
図3,5,7に示すように、第2変速レバー95が高速位置に操作されると、油路80のパイロット作動油が逆止弁91及びパイロット油路90,92を介して開閉弁89に供給されて、開閉弁89が閉位置に操作される。これにより、油圧ポンプ60の作動油がリリーフ弁62を介して静油圧式無段変速装置9に供給される状態となって、油圧クラッチ23の作動油が確保される。
【0053】
[7]
次に、操向レバー96を中立位置Nに操作した場合について説明する。
図7に示すように、操向レバー96は中立位置N、右及び左第1旋回位置R1,L1、右及び左第2旋回位置R2,L2に操作自在に構成されている。
【0054】
図2,5,6に示すように、操向レバー96が中立位置Nに操作されると、右及び左の方向切換弁68,69が排油位置に操作されて、操作シリンダ64により右の伝動部材31が伝動部材27と右の走行伝動ギヤ29とに咬合する伝動位置に操作され、左の伝動部材32が伝動部材27と左の走行伝動ギヤ30とに咬合する伝動位置に操作される。旋回伝動部材54は、伝動部材53、右及び左の旋回伝動ギヤ55,56に咬合した中立位置に操作される。
【0055】
図2及び図6に示すように、操向レバー96が中立位置Nに操作された状態において、伝動部材27の動力が、右の伝動部材31、右の走行伝動ギヤ29及び伝動ギヤ40,41,42を介して、右の走行装置1に伝達されるのであり、伝動部材27の動力が、左の伝動部材32、左の走行伝動ギヤ30、伝動ギヤ36、伝動軸35及び伝動ギヤ37,39を介して、左の走行装置1に伝達されて、機体は直進する。
【0056】
図2,5,6に示すように、操向レバー96が中立位置Nに操作された状態において、油圧クラッチ59が遮断状態に操作され、油圧クラッチ51及びブレーキ52の作動油が圧力制御弁71及び切換弁72を介して排出されて、油圧クラッチ51が遮断状態に操作され、ブレーキ52が解除状態に操作されている。シフト部材44は後述する[9]に記載のように、緩旋回位置又は逆転位置に操作されている。開閉弁89が開位置に操作されて、油圧ポンプ60の作動油がバイパス油路88を介して、静油圧式無段変速装置9に優先的に供給される。
【0057】
[8]
次に、操向レバー96を右及び左第1旋回位置R1,L1に操作した場合について説明する。
図2,5,6に示すように、操向レバー96が右第1旋回位置R1に操作されると、右の方向切換弁68が供給位置に操作され、操作シリンダ64が図4の紙面左方に作動し、左の伝動部材32が伝動部材27と左の走行伝動ギヤ30とに咬合する伝動位置に操作された状態で、右の伝動部材31が右の走行伝動ギヤ29から離間側に操作された遮断位置に操作される。旋回伝動部材54が図3の紙面左方に操作されて、伝動部材53及び右の旋回伝動ギヤ55に咬合した状態で、左の旋回伝動ギヤ56から離間側に操作される右旋回位置に操作される。圧力制御弁71及び切換弁72により、油圧クラッチ51は遮断状態に維持され、ブレーキ52は解除状態に維持される。
【0058】
図2及び図6に示すように、操向レバー96が右第1旋回位置R1に操作された状態において、右の伝動部材31が右の走行伝動ギヤ29から離間側に操作された遮断位置に操作されたことにより、右の走行装置1への伝動が遮断されて、右の走行装置1が自由回転状態となる。
この場合、図5に示すように、油路66のパイロット作動油が逆止弁84,91及びパイロット油路85,92を介して開閉弁89に供給されて、開閉弁89が閉位置に操作される。これにより、油圧ポンプ60の作動油がリリーフ弁62を介して静油圧式無段変速装置9に供給される状態となって、操作シリンダ64の作動油が確保される。
【0059】
図2,5,6に示すように、操向レバー96が右第1旋回位置R1に操作された状態において、油路66のパイロット作動油が逆止弁84及びパイロット油路85、減圧弁86を介して油圧クラッチ59に供給されて、油圧クラッチ59が伝動状態に操作される。油圧クラッチ59は伝動軸35と伝動ギヤ40とを完全に連結するほどの強い力を持つものではなく、伝動軸35の動力を伝動ギヤ40に少し伝達し、右の走行装置1に伝達するものである。これにより、右の走行装置1への伝動が遮断されて、右の走行装置1が自由回転状態となる状態、及び油圧クラッチ59を介して右の走行装置1に動力が少し伝達される状態により、機体は直進状態から徐々に右に向きを変えていく。
【0060】
次に、図2,5,6に示すように、操向レバー96が左第1旋回位置L1に操作されると、左の方向切換弁69が供給位置に操作され、操作シリンダ64が図4の紙面右方に作動して、右の伝動部材31が伝動部材27と右の走行伝動ギヤ29とに咬合する伝動位置に操作された状態で、左の伝動部材32が左の走行伝動ギヤ30から離間側に操作された遮断位置に操作される。旋回伝動部材54が図3の紙面右方に操作されて、伝動部材53及び左の旋回伝動ギヤ56に咬合した状態で、右の旋回伝動ギヤ55から離間側に操作される左旋回位置に操作される。油圧クラッチ51は遮断状態に維持され、ブレーキ52は解除状態に維持される。
【0061】
図2及び図6に示すように、操向レバー96が左第1旋回位置L1に操作された状態において、左の伝動部材32が左の走行伝動ギヤ30から離間側に操作された遮断位置に操作されたことにより、左の走行装置1への伝動が遮断されて、左の走行装置1が自由回転状態となる。
この場合、図5に示すように、油路67のパイロット作動油が逆止弁84,91及びパイロット油路85,92を介して開閉弁89に供給されて、開閉弁89が閉位置に操作される。これにより、油圧ポンプ60の作動油がリリーフ弁62を介して静油圧式無段変速装置9に供給される状態となって、操作シリンダ64の作動油が確保される。
【0062】
図2,5,6に示すように、操向レバー96が左第1旋回位置L1に操作された状態において、油路67のパイロット作動油が逆止弁84及びパイロット油路85、減圧弁86を介して油圧クラッチ59に供給されて、油圧クラッチ59が伝動状態に操作される。油圧クラッチ59は伝動軸35と伝動ギヤ40とを完全に連結するほどの強い力を持つものではなく、伝動ギヤ40の動力を伝動軸35に少し伝達し、左の走行装置1に伝達するものである。これにより、左の走行装置1への伝動が遮断されて、左の走行装置1が自由回転状態となる状態、及び油圧クラッチ59を介して左の走行装置1に動力が少し伝達される状態により、機体は直進状態から徐々に左に向きを変えていく。
【0063】
[9]
次に、選択スイッチ97について説明する。
図7に示すように、選択スイッチ97は緩旋回位置、信地旋回位置及び超信地旋回位置に操作自在に構成されている。
【0064】
図2,5,6に示すように、選択スイッチ97が緩旋回位置に操作されると、切換弁74により切換弁72が第1旋回位置(油圧クラッチ51に作動油を供給して油圧クラッチ51を伝動状態に操作し、ブレーキ52から作動油を排出してブレーキ52を解除状態に操作)に操作されるのであり、切換弁76が緩旋回位置に操作されて、操作シリンダ77が図4の紙面左方に作動して、シフト部材44が緩旋回位置に操作される(シフト部材44が旋回伝動軸43及び緩旋回ギヤ45のスプライン部43a,45aに亘って咬合する)。
【0065】
図2,5,6に示すように選択スイッチ97が超信地旋回位置に操作されると、切換弁74により切換弁72が第1旋回位置(油圧クラッチ51に作動油を供給して油圧クラッチ51を伝動状態に操作し、ブレーキ52から作動油を排出してブレーキ52を解除状態に操作)に操作されるのであり、切換弁76が逆転位置に操作され、操作シリンダ77が図4の紙面右方に作動して、シフト部材44が逆転位置に操作される(シフト部材44が旋回伝動軸43及び逆転ギヤ46のスプライン部43a,46aに亘って咬合する)。
【0066】
図2,5,6に示すように、選択スイッチ97が緩旋回位置から信地旋回位置に操作されると、切換弁74により切換弁72が第2旋回位置(油圧クラッチ51から作動油を排出して油圧クラッチ51を遮断状態に操作し、ブレーキ52に作動油を供給してブレーキ52を制動状態に操作)に操作されて、切換弁76が逆転位置に操作されて、前述のようにシフト部材44が逆転位置に操作される。
選択スイッチ97が超信地旋回位置から信地旋回位置に操作されると、切換弁74により切換弁72が第2旋回位置に操作されるのであり、切換弁76が緩旋回位置に操作されて、前述のようにシフト部材44が緩旋回位置に操作される。
【0067】
この場合、切換弁72が第1及び第2旋回位置に操作されても、操向レバー96が中立位置N、右又は左第1旋回位置R1,L1に操作されていれば、圧力制御弁71により油圧クラッチ51が遮断状態に操作されている(圧力制御弁71によりブレーキ52が解除状態に操作されている)。
【0068】
[10]
次に、選択スイッチ97が緩旋回位置に操作された状態において、操向レバー96を右及び左第1旋回位置R1,L1、右及び左第2旋回位置R2,L2に操作した場合について説明する。
【0069】
図2,5,6に示すように、選択スイッチ97が緩旋回位置に操作された状態において(ブレーキ52は切換弁72により解除状態に維持されている)、操向レバー96が右第1旋回位置R1から右第2旋回位置R2 (左第1旋回位置L1から左第2旋回位置L2)に操作されていくと、操作シリンダ64及び油路70の作動油が、圧力制御弁71を介して油圧クラッチ51に供給され、操向レバー96の操作位置に対応して、油圧クラッチ51の作動圧が昇圧操作されて、油圧クラッチ51が伝動側に操作されていくのであり、操作レバー96が右第2旋回位置R2 (左第2旋回位置L2)に操作されると、油圧クラッチ51の作動圧が最高圧となる (油圧クラッチ51が伝動状態に操作される)。
【0070】
これに伴い図2,5,6に示すように、パイロット油路87を介してパイロット作動油が減圧弁86の操作部に供給され、操向レバー96の操作位置に対応して、油圧クラッチ59の作動圧が減圧操作されて、油圧クラッチ59が遮断側に操作されていくのであり、操作レバー96が右第2旋回位置R2 (左第2旋回位置L2)に操作されると、油圧クラッチ59が遮断状態となる。
【0071】
図2,5,6に示すように、操向レバー96が右第1旋回位置R1から右第2旋回位置R2に操作されていく状態において、低速ギヤ25及び高速ギヤ26の動力が、低速ギヤ26、緩旋回ギヤ45、旋回伝動軸43、伝動ギヤ49,50、油圧クラッチ51及び伝動軸24を介して、低速ギヤ25及び高速ギヤ26の動力と同方向の低速の動力として、伝動部材53に伝達され(前項[4]参照)、伝動部材53の動力が旋回伝動部材54、右の旋回伝動ギヤ55、伝動ギヤ41,42,58及び右の車軸32を介して右の走行装置1に伝達されて、機体は右に緩旋回する。
【0072】
図2,5,6に示すように、操向レバー96が左第1旋回位置L1から左第2旋回位置L2に操作されていく状態において、低速ギヤ25及び高速ギヤ26の動力が、低速ギヤ26、緩旋回ギヤ45、旋回伝動軸43、伝動ギヤ49,50、油圧クラッチ51及び伝動軸24を介して、低速ギヤ25及び高速ギヤ26の動力と同方向の低速の動力として、伝動部材53に伝達され(前項[4]参照)、伝動部材53の動力が旋回伝動部材54、左の旋回伝動ギヤ56、伝動ギヤ37,39,57、伝動軸35及び左の車軸32を介して左の走行装置1に伝達されて、機体は左に緩旋回する。
【0073】
この場合、図2,5,6に示すように、操向レバー96が右第1旋回位置R1から右第2旋回位置R2 (左第1旋回位置L1から左第2旋回位置L2)に操作されるほど、油圧クラッチ51の作動圧が昇圧操作されて、油圧クラッチ51が伝動側に操作され、油圧クラッチ59の作動圧が減圧操作されて、油圧クラッチ59が遮断側に操作されていくのであり、操向レバー96が右第1旋回位置R1から右第2旋回位置R2 (左第1旋回位置L1から左第2旋回位置L2)に操作されるほど、右(左)の緩旋回の旋回半径が小さくなっていく。
【0074】
[11]
次に、選択スイッチ97が信地旋回位置に操作された状態において、操向レバー96を右及び左第1旋回位置R1,L1、右及び左第2旋回位置R2,L2に操作した場合について説明する。
【0075】
図2,5,6に示すように、選択スイッチ97が信地旋回位置に操作された状態において(油圧クラッチ51は切換弁72により遮断状態に維持されている)、操向レバー96が右第1旋回位置R1から右第2旋回位置R2 (左第1旋回位置L1から左第2旋回位置L2)に操作されていくと、操作シリンダ64及び油路70の作動油が、圧力制御弁71を介してブレーキ52に供給され、操向レバー96の操作位置に対応して、ブレーキ52の作動圧が昇圧操作されて、ブレーキ52が制動側に操作されていくのであり、操作レバー96が右第2旋回位置R2 (左第2旋回位置L2)に操作されると、ブレーキ52の作動圧が最高圧となる (ブレーキ52が制動状態に操作される)。
【0076】
これに伴い図2,5,6に示すように、パイロット油路87を介してパイロット作動油が減圧弁86の操作部に供給され、操向レバー96の操作位置に対応して、油圧クラッチ59の作動圧が減圧操作されて、油圧クラッチ59が遮断側に操作されていくのであり、操作レバー96が右第2旋回位置R2 (左第2旋回位置L2)に操作されると、油圧クラッチ59が遮断状態となる。
【0077】
図2,5,6に示すように、操向レバー96が右第1旋回位置R1から右第2旋回位置R2に操作されていく状態において、ブレーキ52の制動力が伝動軸24を介して伝動部材53に伝達され(前項[4]参照)、伝動部材53の制動力が旋回伝動部材54、右の旋回伝動ギヤ55、伝動ギヤ41,42,58及び右の車軸32を介して右の走行装置1に伝達されて、機体は右に信地旋回する。
【0078】
図2,5,6に示すように、操向レバー96が左第1旋回位置L1から左第2旋回位置L2に操作されていく状態において、ブレーキ52の制動力が伝動軸24を介して伝動部材53に伝達され(前項[4]参照)、伝動部材53の制動力が旋回伝動部材54、左の旋回伝動ギヤ56、伝動ギヤ37,39,57、伝動軸35及び左の車軸32を介して左の走行装置1に伝達されて、機体は左に信地旋回する。
【0079】
この場合、図2,5,6に示すように、操向レバー96が右第1旋回位置R1から右第2旋回位置R2 (左第1旋回位置L1から左第2旋回位置L2)に操作されるほど、ブレーキ52の作動圧が昇圧操作されて、ブレーキ52が制動側に操作され、油圧クラッチ59の作動圧が減圧操作されて、油圧クラッチ59が遮断側に操作されていくのであり、操向レバー96が右第1旋回位置R1から右第2旋回位置R2 (左第1旋回位置L1から左第2旋回位置L2)に操作されるほど、右(左)の信地旋回の旋回半径が小さくなっていく。
【0080】
[12]
次に、選択スイッチ97が超信地旋回位置に操作された状態において、操向レバー96を右及び左第1旋回位置R1,L1、右及び左第2旋回位置R2,L2に操作した場合について説明する。
【0081】
図2,5,6に示すように、選択スイッチ97が超信地旋回位置に操作された状態において(ブレーキ52は切換弁72により解除状態に維持されている)、操向レバー96が右第1旋回位置R1から右第2旋回位置R2 (左第1旋回位置L1から左第2旋回位置L2)に操作されていくと、操作シリンダ64及び油路70の作動油が、圧力制御弁71を介して油圧クラッチ51に供給されて、操向レバー96の操作位置に対応して、油圧クラッチ51の作動圧が昇圧操作されて、油圧クラッチ51が伝動側に操作されていくのであり、操作レバー96が右第2旋回位置R2 (左第2旋回位置L2)に操作されると、油圧クラッチ51の作動圧が最高圧となる (油圧クラッチ51が伝動状態に操作される)。
【0082】
これに伴い図2,5,6に示すように、パイロット油路87を介してパイロット作動油が減圧弁86の操作部に供給され、操向レバー96の操作位置に対応して、油圧クラッチ59の作動圧が減圧操作されて、油圧クラッチ59が遮断側に操作されていくのであり、操作レバー96が右第2旋回位置R2 (左第2旋回位置L2)に操作されると、油圧クラッチ59が遮断状態となる。
【0083】
図2,5,6に示すように、操向レバー96が右第1旋回位置R1から右第2旋回位置R2に操作されていく状態において、伝動軸16の動力が、逆転ギヤ46,47、旋回伝動軸43、伝動ギヤ49,50、油圧クラッチ51及び伝動軸24を介して、低速ギヤ25及び高速ギヤ26の動力と逆方向の動力として、伝動部材53に伝達されて(前項[4]参照)、伝動部材53の動力が旋回伝動部材54、右の旋回伝動ギヤ55、伝動ギヤ41,42,58及び右の車軸32を介して右の走行装置1に伝達されて、機体は右に超信地旋回する。
【0084】
図2,5,6に示すように、操向レバー96が左第1旋回位置L1から左第2旋回位置L2に操作されていく状態において、伝動軸16の動力が、逆転ギヤ46,47、旋回伝動軸43、伝動ギヤ49,50、油圧クラッチ51及び伝動軸24を介して、低速ギヤ25及び高速ギヤ26の動力と逆方向の動力として、伝動部材53に伝達されて(前項[4]参照)、伝動部材53の動力が旋回伝動部材54、左の旋回伝動ギヤ56、伝動ギヤ37,39,57、伝動軸35及び左の車軸32を介して左の走行装置1に伝達されて、機体は左に超信地旋回する。
【0085】
この場合、図2,5,6に示すように、操向レバー96が右第1旋回位置R1から右第2旋回位置R2 (左第1旋回位置L1から左第2旋回位置L2)に操作されるほど、油圧クラッチ51の作動圧が昇圧操作されて、油圧クラッチ51が伝動側に操作され、油圧クラッチ59の作動圧が減圧操作されて、油圧クラッチ59が遮断側に操作されていくのであり、操向レバー96が右第1旋回位置R1から右第2旋回位置R2 (左第1旋回位置L1から左第2旋回位置L2)に操作されるほど、右(左)の超信地旋回の旋回半径が小さくなっていく。
【0086】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]において、図2及び図3に示す第1及び第2変速装置19,28を3段変速や4段変速自在に構成してもよい。
第1及び第2変速装置19,28を3段変速に構成した場合に、例えば第1変速装置19が2速位置に操作され、且つ、第2変速装置28が2速位置に操作された状態の伝動比と、第1変速装置19が3速位置に操作され、且つ、第2変速装置28が1速位置に操作された状態の伝動比とを、同じ (又は略同じ)伝動比に設定する。
第1及び第2変速装置19,28を4段変速に構成した場合に、例えば第1変速装置19が4速位置に操作され、且つ、第2変速装置28が2速位置に操作された状態の伝動比と、第1変速装置19が3速位置に操作され、且つ、第2変速装置28が3速位置に操作された状態の伝動比とを、同じ (又は略同じ)伝動比に設定する。
【0087】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]において、第2変速レバー95に代えて、押しボタン型式のスイッチ (図示せず)を人為操作具として使用してもよい。第1変速装置19と伝動軸10との間や、第1変速装置19と第2変速装置28との間、第2変速装置28の伝動下手側に、走行用の第3変速装置(図示せず)を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】ミッションケースの伝動系の概要を示す図
【図3】ミッションケースにおける第1及び第2変速装置の付近の縦断正面図
【図4】ミッションケースにおける旋回伝動軸の付近の縦断正面図
【図5】第2変速装置、右及び左の伝動部材、シフト部材、旋回伝動部材、油圧クラッチ、ブレーキの油圧回路図
【図6】操向レバーを中立位置、右及び左第1旋回位置、右及び左第2旋回位置に操作した状態において、右及び左の伝動部材、旋回伝動部材、シフト部材、油圧クラッチ及びブレーキの状態を示す図
【図7】変速レバー、第1及び第2変速レバー、操向レバー、選択スイッチと制御装置との連係状態を示す図
【図8】右及び左の走行装置において、スプロケット及びクローラベルトの芯金の付近の縦断側面図
【符号の説明】
【0089】
1 走行装置
2 刈取部
7 エンジン
19 第1変速装置
28 第2変速装置
79 操作手段
95 人為操作具
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎

【識別番号】100144750
【弁理士】
【氏名又は名称】▲濱▼野 孝

【識別番号】100149342
【弁理士】
【氏名又は名称】小副川 義昭
【公開番号】 特開2009−232782(P2009−232782A)
【公開日】 平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願番号】 特願2008−84556(P2008−84556)