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【発明の名称】 移植機
【発明者】 【氏名】福本 仁志
【氏名】安松 守
【氏名】仲谷 章一
【氏名】野坂 健吉
【課題】圃場が走行機体の前後方向に対して上下に傾斜している場合でも、マルチフィルムの表示部に対応して苗を植え付けて所定の株間を確実に得るようにする。

【解決手段】マルチフィルムに施された表示部を検出する検出センサが設けられ、検出センサが表示部を検出したときから電磁クラッチを接続するまでの待ち時間を増減設定する待ち時間設定手段が設けられ、電磁クラッチの切断状態のときに検出センサによる表示部の検出時から前記待ち時間設定手段により設定した待ち時間に対応する時間の経過後に、電磁クラッチを接続するように構成され、上下の傾斜状態を検出する傾斜検出手段が設けられ、上り傾斜では表示部の検出時からの待ち時間を設定した待ち時間よりも長くすると共に、下り傾斜では表示部の検出時からの待ち時間を設定した待ち時間よりも短くする制御手段が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)と昇降動作する植付手段(13)とが設けられ、走行装置(2)と植付手段(13)とが駆動装置(8)に連動連結され、駆動装置(8)と植付手段(13)との連動を断接する電磁クラッチ(72)が設けられ、駆動装置(8)によって植付手段(13)に昇降動作をさせ、植付手段(13)が所定の停止位置にきたとき電磁クラッチ(72)を切断して株間を得るようにした移植機において、
圃場に敷設されたマルチフィルム(F)に所定ピッチで施された表示部(91)を検出する検出センサ(92)が設けられ、検出センサ(92)が表示部(91)を検出したときから電磁クラッチ(72)を接続するまでの待ち時間(A,B)を増減設定する待ち時間設定手段(104)が設けられ、前記マルチフィルム(F)の表示部(91)の位置に対応して苗(S)を植え付け可能にすべく、電磁クラッチ(72)の切断状態のときに検出センサ(92)による表示部(91)の検出時から前記待ち時間設定手段(104)により設定した待ち時間(A,B)に対応する時間の経過後に、電磁クラッチ(72)を接続するように構成され、
走行機体(2A)の前後方向における上下の傾斜状態を検出する傾斜検出手段(107)が設けられ、圃場の傾斜に拘わらずマルチフィルム(F)に施された表示部(91)に対応する所定の株間が得られるように、傾斜検出手段(107)で検出した傾斜状態に応じて、上り傾斜では前記表示部(91)の検出時からの待ち時間(A2,B2)を待ち時間設定手段(104)により設定した待ち時間(A,B)よりも長くすると共に、下り傾斜では前記表示部(91)の検出時からの待ち時間(A2,B2)を待ち時間設定手段(104)により設定した待ち時間(A,B)よりも短くする制御手段(111)が設けられていることを特徴とする移植機。
【請求項2】
マルチフィルム(F)の表示部(91)の位置に苗(S)を植え付けるようにすべく、前記待ち時間設定手段(104)は、検出センサ(92)と植付手段(13)との前後方向の離間幅に対応した第1待ち時間(A)を設定可能に構成され、圃場の傾斜に拘わらずマルチフィルム(F)の表示部(91)の位置に苗(S)を植え付けて所定の株間が得られるようにすべく、前記制御手段(111)は、傾斜検出手段(107)で検出した傾斜状態に応じて、上り傾斜では前記表示部(91)の検出時からの第1待ち時間(A2)を待ち時間設定手段(104)により設定した第1待ち時間(A)よりも長くすると共に下り傾斜では前記表示部(91)の検出時からの第1待ち時間(A2)を待ち時間設定手段(104)により設定した第2待ち時間(A)よりも短くするように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の移植機。
【請求項3】
二毛作や二期作をする際にマルチフィルム(F)の隣合う表示部(91)間の中間位置に苗(S)を植え付けるようにすべく、前記待ち時間設定手段(104)は、第2待ち時間(B)を設定可能に構成され、圃場の傾斜に拘わらずマルチフィルム(F)の隣合う表示部(91)間の中間位置に苗(S)を植え付けて所定の株間が得られるようにすべく、前記制御手段(111)は、傾斜検出手段(107)で検出した傾斜状態に応じて、上り傾斜では前記表示部(91)の検出時からの第2待ち時間(B2)を待ち時間設定手段(104)により設定した第2待ち時間(B)よりも長くすると共に下り傾斜では前記表示部(91)の検出時からの第2待ち時間(B2)を待ち時間設定手段(104)により設定した第2待ち時間(B)よりも短くするように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の移植機。
【請求項4】
前記傾斜検出手段(107)は、走行機体(2A)前後方向における上下の傾斜角度(α)を検出するように構成され、前記制御手段(111)は、上り傾斜では前記待ち時間設定手段(104)により設定した待ち時間(A,B)に傾斜角度(α)に応じた変動値を加算して表示部(91)の検出時からの待ち時間(A2,B2)を長くすると共に、下り傾斜では前記待ち時間設定手段(104)により設定した待ち時間(A,B)に傾斜角度(α)に応じた変動値を減算して表示部(91)の検出時からの待ち時間(A2,B2)を短くするように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の移植機。
【請求項5】
前記傾斜検出手段(107)は、走行機体(2A)前後方向における上下の傾斜を検出するように構成され、前記制御手段(111)は、上り傾斜では前記待ち時間設定手段(104)により設定した待ち時間(A,B)に一定値を加算して表示部(91)の検出時からの待ち時間(A2,B2)を長くすると共に、下り傾斜では前記待ち時間設定手段(104)により設定した待ち時間(A,B)に一定値を減算して表示部(91)の検出時からの待ち時間(A2,B2)を短くするように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の移植機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、走行しながら野菜等の苗を圃場の畝等に移植する移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移植機には、走行装置をエンジン等の駆動装置に連動連結すると共に、植付カップ(植付手段)を揺動リンク機構等を介してエンジン等の駆動装置に連動連結して、走行装置によって走行させながら、駆動装置によって植付カップに昇降動作を繰り返させ、植付カップを下死点で畝に突刺してポット苗を移植するようにしたものがあるが、従来のこの種の移植機では、駆動装置を植付カップとの連動を断接する電磁クラッチを設け、前記電磁クラッチの切断時間を増減調整する株間設定手段を設け、植付カップが所定の停止位置にきたとき株間設定手段の操作量に応じた切断時間で電磁クラッチを一時的に切断して、植付カップを停止させ、ここでポット苗を受け取ると共に、植付カップの昇降停止により植え付け間隔である所定の株間を得るようにしたものがあり(例えば特許文献3)、この種の移植機では、傾斜地で移植する場合、登りではスリップ率が高くなるため株間が短くなり、下りでは逆に走行機体が前方に引っ張られるため、株間が長くなり、設定した所定の株間が得られなくなるという問題があった。
【0003】
そこで、従来のこの種の移植機では、圃場の畝等に敷設される市販のマルチフィルムには所定ピッチで幅方向に広く表示部が表示されていることに着目し、圃場の畝等に敷設されたマルチフィルムの表示部を検出する光センサを設け、該光センサの表示部の検出により表示部のピッチに植付株間を合わせて苗を植え付けるようにしたものがある(例えば特許文献1)。
また、他の従来の移植機には、走行機体前後方向における上下の傾斜角度を検出する傾斜検出手段が設けられ、走行機体の傾斜に拘わらず所定の株間が得られるように、傾斜検出手段で検出した傾斜角度に応じて、上り傾斜では電磁ラッチの切断時間を長くすると共に下り傾斜では電磁ラッチの切断時間を短くする制御手段が設けるようにしたものがある(例えば特許文献2)。
【特許文献1】特開2000−354405号公報
【特許文献2】特開平11−56028号公報
【特許文献3】特願平4−270519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前者の従来の場合、表示部を検出する光センサと、苗を植え付ける植付手段とが、互いに移植機の走行機体の前後方向にずれた位置にあるため、マルチフィルムの表示部に合わせて苗を植え付けるためには、表示部の検出後所定の遅れ時間を経過した後に苗を植え付ける必要があり、圃場が走行機体の前後方向に対して上下に傾斜している場合には、上記の如く登りではスリップ率が高くなるため、遅れ時間を経過するまでの間に株間が短くなり、下りでは逆に走行機体が前方に引っ張られるため、遅れ時間を経過するまでの間に株間が長くなり、所定の株間を確実に得ることが困難になるという問題があった。
【0005】
また、後者の従来の場合、マルチフィルムに施された表示部を利用しないため、例えば所定の株間を得ているか否かを表示部毎に確認したり株間を修正したりすることができず、この点から圃場が走行機体の前後方向に対して上下に傾斜している場合に、所定の株間を確実に得ることが困難になるという問題があった。
さらに、二毛作や二期作をする際には、先に植え付けた苗の株間の中間位置に苗を植え付けるようにすることが要望されるが、前者の従来及び後者の従来のいずれの場合も先に植えた苗の株間の中間位置に正確に苗を植え付けて所定の株間を確実に得るようにすることは困難であった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、圃場が走行機体の前後方向に対して上下に傾斜している場合でも、圃場の畝等に敷設されたマルチフィルムに施されている表示部に対応して苗を植え付けて所定の株間を確実に得ることができるようにしたものである。また、二毛作や二期作する際に、先に植え付けた苗の株間の中間位置に苗を植え付けて所定の株間を確実に得ることができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、走行装置と昇降動作する植付手段とが設けられ、走行装置と植付手段とが駆動装置に連動連結され、駆動装置と植付手段との連動を断接する電磁クラッチが設けられ、駆動装置によって植付手段に昇降動作をさせ、植付手段が所定の停止位置にきたとき電磁クラッチを切断して株間を得るようにした移植機において、
圃場に敷設されたマルチフィルムに所定ピッチで施された表示部を検出する検出センサが設けられ、検出センサが表示部を検出したときから電磁クラッチを接続するまでの待ち時間を増減設定する待ち時間設定手段が設けられ、前記マルチフィルムの表示部の位置に対応して苗を植え付け可能にすべく、電磁クラッチの切断状態のときに検出センサによる表示部の検出時から前記待ち時間設定手段により設定した待ち時間に対応する時間の経過後に、電磁クラッチを接続するように構成され、
走行機体の前後方向における上下の傾斜状態を検出する傾斜検出手段が設けられ、圃場の傾斜に拘わらずマルチフィルムに施された表示部に対応する所定の株間が得られるように、傾斜検出手段で検出した傾斜状態に応じて、上り傾斜では前記表示部の検出時からの待ち時間を待ち時間設定手段により設定した待ち時間よりも長くすると共に、下り傾斜では前記表示部の検出時からの待ち時間を待ち時間設定手段により設定した待ち時間よりも短くする制御手段が設けられている点にある。
【0008】
また、本発明の他の技術的手段は、マルチフィルムの表示部の位置に苗を植え付けるようにすべく、前記待ち時間設定手段は、検出センサと植付手段との前後方向の離間幅に対応した第1待ち時間を設定可能に構成され、圃場の傾斜に拘わらずマルチフィルムの表示部の位置に苗を植え付けて所定の株間が得られるようにすべく、前記制御手段は、傾斜検出手段で検出した傾斜状態に応じて、上り傾斜では前記表示部の検出時からの第1待ち時間を待ち時間設定手段により設定した第1待ち時間よりも長くすると共に下り傾斜では前記表示部の検出時からの第1待ち時間を待ち時間設定手段により設定した第2待ち時間よりも短くするように構成されている点にある。
【0009】
また、本発明の他の技術的手段は、二毛作や二期作をする際にマルチフィルムの隣合う表示部間の中間位置に苗を植え付けるようにすべく、前記待ち時間設定手段は、第2待ち時間を設定可能に構成され、圃場の傾斜に拘わらずマルチフィルムの隣合う表示部間の中間位置に苗を植え付けて所定の株間が得られるようにすべく、前記制御手段は、傾斜検出手段で検出した傾斜状態に応じて、上り傾斜では前記表示部の検出時からの第2待ち時間を待ち時間設定手段により設定した第2待ち時間よりも長くすると共に下り傾斜では前記表示部の検出時からの第2待ち時間を待ち時間設定手段により設定した第2待ち時間よりも短くするように構成されている点にある。
【0010】
また、本発明の他の技術的手段は、前記傾斜検出手段は、走行機体前後方向における上下の傾斜角度を検出するように構成され、前記制御手段は、上り傾斜では前記待ち時間設定手段により設定した待ち時間に傾斜角度に応じた変動値を加算して表示部の検出時からの待ち時間を長くすると共に、下り傾斜では前記待ち時間設定手段により設定した待ち時間に傾斜角度に応じた変動値を減算して表示部の検出時からの待ち時間を短くするように構成されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記傾斜検出手段は、走行機体前後方向における上下の傾斜を検出するように構成され、前記制御手段は、上り傾斜では前記待ち時間設定手段により設定した待ち時間に一定値を加算して表示部の検出時からの待ち時間を長くすると共に、下り傾斜では前記待ち時間設定手段により設定した待ち時間に一定値を減算して表示部の検出時からの待ち時間を短くするように構成されている点にある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検出センサにより、マルチフィルムに施された表示部を検出して、この表示部を基準にして苗を植え付けることができ、しかも、傾斜検出手段により、走行機体の前後方向における上下の状態を検出して、上り傾斜と下り傾斜とで電磁クラッチを接続するまでの待ち時間を補正して株間が一定になるようになし得るため、圃場が走行機体の前後方向に対して上下に傾斜している場合でも、圃場の畝等に敷設されたマルチフィルムに施されている表示部に対応して苗を植え付けて所定の株間を確実に得ることができる。
【0012】
また、二毛作や二期作をする際にも、マルチフィルムの表示部を基準にして苗を植え付けることができ、しかも、上り傾斜と下り傾斜とで電磁クラッチを接続するまでの待ち時間を補正して株間が一定になるようになし得るため、圃場が走行機体の前後方向に対して上下に傾斜している場合でも、先に植え付けた苗の株間の中間位置に苗を植え付けて所定の株間を確実に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図面は本発明の一実施の形態を示し、図1及び図2において、1は野菜等のソイルブロック苗を移植する移植機を示し、この移植機1は、走行体2の後方に移植装置3および操縦ハンドル4を有する歩行型であって、畝5を跨いでその長手方向に走行しながら、ソイルブロック苗Sを畝5に所定間隔をおいて自動的に植付けるものである。
なお、移植機1の進行方向を前後方向といい、進行方向に直交する横方向を左右方向という。
【0014】
走行体2は、ミッションケース6の前部に機体フレーム7を前方突出状に取付固定すると共に、この機体フレーム7上にエンジン8等を搭載して主構成されてなる走行機体2Aを備え、この走行機体2Aは、左右両側に備えた前輪10および後輪11によって走行可能に支持されている。
移植装置3は、走行機体2の後部に装着された移植フレーム12に設けられており、苗Sを畝5に植付ける植付手段(植付カップ)13と、この植付手段13に苗Sを供給する苗供給装置14と、植付けた苗の根本を覆土・鎮圧する覆土輪15と、畝5を被覆するマルチフィルムFに植付用の穴を形成する穿孔手段16とを備えて主構成されている。
【0015】
移植フレーム12は、前部がミッションケース6に取付固定された主フレーム12Aと、前部がミッションケース6に左右軸廻りに回動自在に枢着された可動フレーム12Bとから構成され、主フレーム12A上に苗供給装置14が設けられると共に、主フレーム12Aの後端部に操向ハンドル4が取付けられ、可動フレーム12Bに植付手段13、覆土輪15および穿孔手段16が支持されている。
植付手段13は、揺動リンク機構によって前後移動しながら昇降するように支持されていてその軌跡の上部で苗Sが落下供給されると共に、下部にくちばし状の開閉自在なオープナを備えており、軌跡の下端側にて畝5に突入したときにオープナが前後に開き、畝5に植付穴を形成すると共に、該植付穴に植付手段13内に保持した苗Sを植付け得るようになっている。
【0016】
苗供給装置14は、多数のソイルブロック苗を縦横に収容した苗トレイ17を縦横に間欠送りする苗トレイ送り装置18と、この苗トレイ送り装置18の前方側に配置されていて苗トレイ17から苗を一つずつ取出して植付手段13へと搬送する苗分送装置19とから構成されている。
覆土輪15は、植付手段13後方に苗植付部分を挟むように左右一対配置され、畝5の上面を転動し、可動フレーム12Bの後部を支持すると共に、苗Sの根本部分の土を左右両側から押圧して土寄せと同時に鎮圧する。
【0017】
穿孔手段16は、平行リンクによって植付手段13の揺動リンク機構に連動して昇降するように支持され、穿孔手段16が下降した際に、その下端部に設けた加熱体をマルチフィルムFに押し当てることで、マルチフィルムFに移植用の孔を形成するようになっている。
機体フレーム7の前部に左右一対の前輪支軸23が設けられ、左右各前輪支軸23の左右方向外端側に取付筒24が外嵌され、左右各取付筒24には前輪支持アーム25の上端側が連結固定され、各前輪支持アーム25の下端側に前輪10が車軸を介して左右軸廻りに回転自在に取付けられている。
【0018】
ミッションケース6の左右両側には、下部に後輪11を支持した伝動ケース29L,29Rが配置され、ミッションケース6に伝動ケース29L,29Rが左右移動自在で且つ車輪伝動軸28廻りに回動自在に支持されている。
図3は移植機1のミッションケース6内の動力伝達系の詳細を示している。図3において、ミッションケース6の入力部とエンジン8の出力部とは巻掛伝動手段44で連動されている。
巻掛伝動手段44でミッションケース6内に入った動力は、走行系と移植系に分岐され、走行系動力は車輪伝動軸28から取り出され、移植系動力はPTO横軸41及びPTO前後軸42から取り出される。
【0019】
前記車輪伝動軸28の左右端には軸心廻りに上下揺動する伝動ケース29が枢支され、この伝動ケース29を介して左右の後輪(走行駆動輪、走行装置)11が支持され、伝動ケース29内の巻掛伝動手段43aにより後輪11が駆動可能になっている。左右後輪11は畝5間の溝を転動する。
左右の伝動ケース29は車輪伝動軸28の軸心廻りに上下揺動することにより、後輪11と走行機体2Aとの相対上下位置を調整可能である。
前記植付手段13は、巻掛伝動手段49に連動するクランク軸50によるクランク運動で上下動自在とされている。この植付手段13がクランク軸50の回動によって上昇すると、上限検出スイッチ48で検出される。上限検出スイッチ48は、植付手段13が上死点にあることを検出する。
【0020】
また、図示していないが、植付手段13には開閉手段が設けられており、下降して畝5に突き刺さったときにくちばしを開放するようになっていて、このくちばしの突き刺しと開放で、畝5に孔を開けて土付き苗を植え付ける。
エンジン8の動力は巻掛伝動手段44から入力軸51に伝達される。ミッションケース6には入力軸51と平行に、回転軸52、中間軸53、中間軸54、バック軸57、車輪伝動軸28及びPTO横軸41がそれぞれ回転自在に支持され、前後方向のPTO前後軸42が後方突出状に設けられている。
【0021】
入力軸51上のギヤ51aは回転軸52上の遊転ギヤ55と噛合しており、この遊転ギヤ55にクラッチギヤ56を摺動させてその咬合部を咬合させることにより、入力軸51から回転軸52へ動力伝達可能になる。前記クラッチギヤ56は遊転ギヤ55と咬合する方向に弾圧されており、爪式の主クラッチ58を構成している。
前記回転軸52には、クラッチギヤ56の他に、ギヤ60、61が一体回動可能に支持されており、中間軸53には変速ギヤ体62が摺動及び一体回動自在に支持され、この変速ギヤ体62には前記ギヤ56、60と択一的に噛合可能なギヤ部62A、62Cが形成されている。
【0022】
バック軸57にはギヤ63、64が設けられており、ギヤ63は前記ギヤ61と噛合しており、ギヤ64には変速ギヤ体62のギヤ部62Cが噛合可能になっている。したがって、変速ギヤ体62の摺動により前進2段、後進1段の変速が可能になっている。即ち、変速ギヤ体62、ギヤ60、ギヤ56により走行変速機構65が構成され、ギヤ部62Cをギヤ60に噛合させたとき前進の第1速F1 (植付け)になり、ギヤ部62Aをギヤ56に噛合させたとき前進の第2速F2 (移動)になる。また、ギヤ部62Cをバック軸57側に連結させたとき後進Rになる。
【0023】
前記中間軸53上には伝動ギヤ66及び図示省略の駐車ブレーキが設けられており、伝動ギヤ66は車輪伝動軸28に固設された大ギヤ68と噛合している。
前記回転軸52は一端がミッションケース6から突出していて、その外端に電磁クラッチ72が固定されており、また、回転軸52の外端部を包囲するように筒軸状のカップリング軸73がミッションケース6に回転自在に支持されており、電磁クラッチ72の作動で回転軸52とカップリング軸73とが一体回転し、移植系動力を分岐取り出しできるようになっている。
【0024】
このカップリング軸73にはギヤ74及びギヤ79が固定されており、このギヤ74は中間軸54に遊嵌したアイドラギヤ75と噛合可能であり、ギヤ79は中間軸54に固設したギヤ80と噛合可能であり、アイドラギヤ75は更にPTO横軸41上のギヤ76と噛合し、移植系動力を伝達可能にしている。したがって、アイドラギヤ75とギヤ80との摺動により株間を2段に変速できるようになっており、ギヤ74、アイドラギヤ75、ギヤ79、ギヤ80により、植付手段13を2段の昇降速度で昇降動作できるように、株間変速機構81が構成されている。即ち、エンジン8と植付手段13の間に株間変速機構81が設けられ、ギヤ74とアイドラギヤ75とを噛合したとき、株間変速機構81が高速の株間変速1となり、ギヤ79とギヤ80とを噛合したとき、株間変速機構81が低速の株間変速2となる。
【0025】
PTO横軸41にはベベルピニオン77が固定され、PTO前後軸42上のベベルギヤ78と噛合しており、移植系動力を2系統に分岐して、PTO横軸41で動力伝達手段49を介して植付手段13及び穿孔手段16を、PTO前後軸42で苗供給装置14をそれぞれ駆動する。
前記回転軸52の電磁クラッチ72より外端に回転パルスセンサ85が取り付けられている。この回転パルスセンサ85は例えば回転軸52に外嵌固着したスプロケットの凹凸を近接センサでカウントする構造のものが使用でき、回転パルスセンサ85は回転軸52の回転を検出して回転軸52の1回転毎に数十パルス発生するように構成されている。
【0026】
従って、植付手段13の上昇状態(上限検出スイッチ48が検出状態)からクランク軸50が1回転する毎に、図4に示すように植付手段13の上昇状態から下降した後再び上昇位置に戻る。植付手段13が上昇位置に戻ったとき、電磁クラッチ72を消磁して移植系動力を切ると、図4に示すように植付手段13が上昇状態で停止し、クランク軸50の1回転に対応する基準最小株間(120mm又は240mm)以上の株間が得られる。すなわち、上限検出スイッチ48が植付手段13の上昇を検出したとき、電磁クラッチ72を消磁して移植系動力を切り、設定株間に対応して前記電磁クラッチ72が消磁中のパルスをカウントし、その後電磁クラッチ72を作動して移植系動力を伝達し、上昇していた植付手段13を降下して植え付けをする。前記電磁クラッチ72が消磁中のパルスのカウント数を変更することにより、株間を調整することができる。
【0027】
そして、例えば、回転軸52の1回転毎に、回転パスルセンサ85がパルス信号を24パルス発生するようになっており、株間変速機構81を株間変速1にセットしておくと、クランク軸50が1回転する間に、移植機1が12cm走行し、回転軸52が3回転し、回転パルスセンサ85がパルス信号を72パルス発生する。このとき、移植機1が1cm走行する間(株間1cm当たり)に回転パルスセンサ85がパルス信号を6パルスを発生する。
また、株間変速機構81を株間変速2にセットしておくと、例えば、クランク軸50が1回転する間に、移植機1が24cm走行し、回転軸52が6回転し、回転パルスセンサ85がパルス信号を144パルス発生する。このとき、移植機1が1cm走行する間(株間1cm当たり)に回転パルスセンサ85がパルス信号を6パルスを発生する。
【0028】
図7に示すように、圃場の畝5等に敷設される市販のマルチフィルムFには所定ピッチで横線状の表示部91が幅方向に広く施されている。この表示部91に対応して苗Sを植え付けることにより所定の株間が得られるようになっている。
図2に示すように、圃場の畝5に敷設されたマルチフィルムFに所定ピッチで施された表示部91を検出する検出センサ92が設けられている。検出センサ92は、走行機体2Aのミッションケース6等から外側方に突設された支持腕93に取付られ、これにより、検出センサ92は圃場に敷設されたマルチフィルムFの側部側で表示部91を検出するように走行機体2Aの外側部側に設けられている。検出センサ92は、圃場の畝5に敷設されたマルチフィルムFの表示部91を光学的に検出する光センサにより構成され、移植機1の車輪10、11間(後輪11間及び前輪10間)であって畝5の側面の外側方から、検出センサ92により、畝5の側面に対応するマルチフィルムFの側部側の表示部91を検出するように構成されている。
【0029】
図5は制御系のブロック図を示す。図5において、101はメインスイッチ、102は主クラッチスイッチで、前記主クラッチ58を接続可能にするためのスイッチである。103はリミットスイッチにより構成した株間変速スイッチで、例えば前記株間変速機構81を変速操作するための株間変速レバー87に対応して設けられており、前記株間変速機構81を株間変速2にセットしたときこれを検出してオンするように構成されている。104は検出センサ92が表示部91を検出したときから電磁クラッチ72を接続するまでの待ち時間を増減設定するための待ち時間設定手段104で、ダイヤル操作等により一定時間(微少時間)おきに又は連続的に待ち時間を可変設定できるようになっている。待ち時間設定手段104は、マルチフィルムFの表示部91の位置に苗Sを植え付け可能にすべく、検出センサ92と植付手段13との前後方向の離間幅に対応した第1待ち時間Aを設定できると共に、二毛作や二期作をする際にマルチフィルムFの隣合う表示部91間の中間位置に苗Sを植え付けるようにすべく、前記第1待ち時間Aとは異なる第2待ち時間B(第1待ち時間Aの1.5倍又は0.5倍等)を設定可能に構成されている。
【0030】
107は傾斜検出手段で、振り子式等の角度センサにより構成され、移植機1の走行機体2A前後方向における上下の傾斜角度α(上下の傾斜状態)を検出する。
108は植付けリレーで、これが励磁されたとき前記電磁クラッチ72のソレノイド72aに電流が流れ、植付けリレー108を介して電磁クラッチ72を断続するようになっている。
111は制御手段で、回転パルスセンサ85からのパルスをカウントする機能の他、その他の演算処理機能を持ったマイコン等により構成され、上限検出スイッチ48、主クラッチスイッチ102、株間変速スイッチ103、待ち時間設定手段104、傾斜検出手段107からの信号を入力し、所定の設定された制御順序に従って電磁クラッチ72を制御するようになっており、制御手段111は、マルチフィルムFの表示部91の位置に対応して苗Sを植え付け可能にすべく、電磁クラッチ72の切断状態のときに検出センサ92による表示部91の検出時から前記待ち時間設定手段104により設定した待ち時間A,Bに対応する時間の経過後に、電磁クラッチ72を接続するように構成されており、植付けカップリレー108を介して電磁クラッチ72の切断を制御するための切断制御手段112と、電磁クラッチ72の接続を制御する接続制御手段113と、前記傾斜検出手段107で検出した傾斜角度αに応じて前記待ち時間設定手段104によって設定した待ち時間(第1待ち時間A、第2待ち時間B)を補正する待ち時間補正手段115とを有する。
【0031】
待ち時間補正手段115は、傾斜検出手段107で検出した傾斜角度をα(度)とすると、待ち時間設定手段104によって設定した第1待ち時間A又は第2待ち時間B(パルス)から、A×(1+αβ)又はB×(1+αβ)の式によって、補正した第1待ち時間A2(パルス)又は補正した第2待ち時間B2(パルス)を得る。ここで、傾斜角度αは、登り傾斜の場合「正(+)」の値とされ、下り傾斜の場合「負(−)」の値とされる。βは補正係数で、実験データによって定められ、固定値又は傾斜角度αに応じた変数値で与えられ、前記A×(1+αβ)又はB×(1+αβ)の式によって得られた補正した第1待ち時間A2(パルス)又は補正した第2待ち時間B2(パルス)によって、圃場の傾斜に拘わらずマルチフィルムFに施された表示部91に対応する所定の株間(cm)が得られるように補正係数βが定められている。つまり、A×(1+αβ)の式によって、補正した第1待ち時間A2(パルス)を得ることにより、走行機体2A前後方向における上下の傾斜に拘わらずマルチフィルムFに施された表示部91の位置に苗Sを植え付けて所定の株間が得られるように、傾斜検出手段107で検出した傾斜角度αに応じて、上り傾斜では表示部91の検出時からの第1待ち時間A2を待ち時間設定手段104により設定した第1待ち時間Aよりも長くすると共に、下り傾斜では表示部91の検出時からの第1待ち時間A2を待ち時間設定手段104により設定した第1待ち時間A2よりも短くするようになっている。また、B×(1+αβ)の式によって、補正した第2待ち時間B2(パルス)を得ることにより、走行機体2A前後方向における上下の傾斜に拘わらずマルチフィルムFの隣合う表示部91間の中間位置に苗を植え付けて所定の株間が得られるように、傾斜検出手段107で検出した傾斜角度αに応じて、上り傾斜では表示部91の検出時からの第2待ち時間B2を待ち時間設定手段104により設定した第2待ち時間Bよりも長くすると共に下り傾斜では表示部91の検出時からの待ち時間B2を待ち時間設定手段104により設定した第2待ち時間Bよりも短くするようになっている。
【0032】
切断制御手段112は、電磁クラッチ72がオン(接続)状態ときに上限検出スイッチ48がオンすれば、電磁クラッチ72を切断すると共に、電磁クラッチ72を切断した後から検出センサ92が表示部91を検出するまでの間に電磁クラッチ72の切断状態を保持する。
接続制御手段113は、上限検出スイッチ48がオフのときに電磁クラッチ72を接続すると共に、電磁クラッチ72が切断状態のときに検出センサ92による表示部91の検出時から待ち時間補正手段115によって補正した第1待ち時間A2又は補正した第2待ち時間B2を経過したときに電磁クラッチ72を接続する。即ち、マルチフィルムFの表示部91の位置に苗Sを植え付けるべく、第1待ち時間A2に対応するパルス数から、表示部91の検出時から回転パルスセンサ85より入力したパルスの数を、引き算した値が0になったと判別したとき、電磁クラッチ72を接続し、又は、マルチフィルムFの隣合う表示部91間の中間位置に苗を植え付けるべく、第2待ち時間B2に対応するパルス数から、表示部91の検出時から回転パルスセンサ85より入力したパルスの数を、引き算した値が0になったと判別したとき、電磁クラッチ72を接続する。
【0033】
次に、図6のフローチャートを参照しながら動作を説明する。移植作業に際しては、メインスイッチ101、主クラッチスイッチ102をオンすれば、ステップ1で、電磁クラッチ72がオフし、移植作業が開始される。ステップ2で、検出センサ92がオン(表示部91を検出)したか否かを判別し、検出センサ92がオフであれば、ステップ1に戻り、検出センサ92がオンであれば、ステップ3に進む。従って、検出センサ92が表示部91を検出するまでの間は、植付手段3は上限位置で停止状態を保持している。
ステップ3で、待ち時間設定手段104により設定した第1待ち時間A又は第2待ち時間Bを入力して、ステップ4に進む。ステップ4で、傾斜検出手段107により検出した傾斜角度αを入力して、ステップ5に進み、ステップ5で、待ち時間補正手段115により、ステップ4で入力した傾斜検出手段107の傾斜角度αを利用して、待ち時間設定手段104によって設定した第1待ち時間A又は第2待ち時間B(パルス)から、A×(1+αβ)又はB×(1+αβ)の式によって、補正した第1待ち時間A2(パルス)又は補正した第2待ち時間B2(パルス)を得て、ステップ6に進む。
【0034】
ステップ6で、回転パルスセンサ85からのパルス信号を入力して、入力したパルス信号の数を順次加算して、ステップ2における表示部91の検出時から入力したパルス数を求め、ステップ7に進む。ステップ7で、補正した第1待ち時間A2又は補正した第2待ち時間B2に対応するパルス数からステップ6で求めたパルス数を減算した値が0否かを判別し、0でなければ、ステップ6に戻り、0になれば、ステップ8に進む。
従って、電磁クラッチ72の切断状態のときに、検出センサ92による表示部91の検出時から待ち時間補正手段115により補正した待ち時間A2,B2が経過すれば、ステップ8に進み、補正した待ち時間A2,B2が経過しなければ、補正した待ち時間A2,B2が経過するまで、ステップ6とステップ7との動作を繰り返す。
【0035】
ステップ8で、電磁クラッチ72をオンし、ステップ9で、上限検出スイッチ48がオンかオフかを判別し、上限検出スイッチ48がオフであれば、ステップ8に戻り、上限検出スイッチ48がオンであれば、ステップ1に戻り、ステップ1で、電磁クラッチ72をオフする。
従って、クランク軸34が1回転する間、電磁クラッチ72はオンを保持し、植付カップ33が上昇状態から下降して植え付けした後再び上昇位置に戻った時点で電磁クラッチ72はオフする。
【0036】
而して、傾斜検出手段107で検出した傾斜角度αが0度の場合(上下の傾斜のない場合)、待ち時間設定手段104により設定した第1待ち時間Aを傾斜角度αに応じて補正した第1待ち時間A2は、A×(1+αβ)=Aとなり、補正した第1待ち時間A2は設定した第1待ち時間Aと等しくなる。従って、傾斜のない場合、待ち時間設定手段104により設定した第1待ち時間Aで表示部91の位置に苗Sを植え付けることができて、所定の株間を得ることができる。
また、傾斜検出手段107で検出した傾斜角度αが「正(+)」の値の場合(登り傾斜の場合)、待ち時間設定手段104により設定した第1待ち時間Aを傾斜角度αに応じて補正した第1待ち時間A2は、A×(1+αβ)>Aとなり、補正した第1待ち時間A2は設定した第1待ち時間Aよりも大になる。従って、登り傾斜の場合、スリップ率が高くなるため株間が短くなる傾向があるにも拘わらず、表示部91の位置に苗Sを植え付けることができて、所定の株間を得ることができる。
【0037】
また、傾斜検出手段107で検出した傾斜角度αが「負(−)」の値の場合(下り傾斜の場合)、待ち時間設定手段104により設定した第1待ち時間Aを傾斜角度αに応じて補正した第1待ち時間A2は、A×(1+αβ)<Aとなり、補正した第1待ち時間A2は設定した第1待ち時間Aよりも小になる。従って、下り傾斜の場合、走行機体2Aが前方に引っ張られるため株間が長くなる傾向があるにも拘わらず、表示部91の位置に苗Sを植え付けることができて、所定の株間を得ることができる。
また、二毛作や二期作をする際には、傾斜検出手段107で検出した傾斜角度αが0度の場合(上下の傾斜のない場合)、待ち時間設定手段104により設定した第2待ち時間Bを傾斜角度αに応じて補正した第2待ち時間B2は、B×(1+αβ)=Bとなり、補正した第2待ち時間B2は設定した第2待ち時間Bと等しくなる。従って、傾斜のない場合、待ち時間設定手段104により設定した第2待ち時間Bで、隣り合う表示部91間の中間位置に苗Sを植え付けることができて、所定の株間を得ることができる。
【0038】
傾斜検出手段107で検出した傾斜角度αが「正(+)」の値の場合(登り傾斜の場合)、待ち時間設定手段104により設定した第2待ち時間Bを傾斜角度αに応じて補正した第2待ち時間B2は、B×(1+αβ)>Bとなり、補正した第2待ち時間B2は設定した第2待ち時間Bよりも大になる。従って、登り傾斜の場合、スリップ率が高くなるため株間が短くなる傾向があるにも拘わらず、隣り合う表示部91間の中間位置に苗Sを植え付けることができて、所定の株間を得ることができる。
また、傾斜検出手段107で検出した傾斜角度αが「負(−)」の値の場合(下り傾斜の場合)、待ち時間設定手段104により設定した第2待ち時間Bを傾斜角度αに応じて補正した第2待ち時間B2は、B×(1+αβ)<Bとなり、補正した第2待ち時間B2は設定した第2待ち時間Bよりも小になる。従って、下り傾斜の場合、走行機体2Aが前方に引っ張られるため株間が長くなる傾向があるにも拘わらず、隣り合う表示部91間の中間位置に苗Sを植え付けることができて、所定の株間を得ることができる。
【0039】
従って、検出センサ92により、マルチフィルムFに施された表示部91を検出して、この表示部91を基準にして苗Sを植え付けることができ、しかも、傾斜検出手段107により、走行機体2Aの前後方向における上下の状態を検出して、上り傾斜と下り傾斜とで電磁クラッチ72を接続するまでの待ち時間A,Bを補正して株間が一定になるようになし得るため、圃場が走行機体2Aの前後方向に対して上下に傾斜している場合でも、圃場の畝5等に敷設されたマルチフィルムFに施されている表示部91の位置に苗Sを植え付けて所定の株間を確実に得ることができる。
【0040】
また、二毛作や二期作する際にも、マルチフィルムFの表示部91を基準にして苗Sを植え付けることができ、しかも、上り傾斜と下り傾斜とで電磁クラッチ72を接続するまでの待ち時間を補正して株間が一定になるようになし得るため、圃場が走行機体2Aの前後方向に対して上下に傾斜している場合でも、先に植え付けた苗Sの株間の中間位置に苗Sを植え付けて所定の株間を確実に得ることができる。
また、マルチフィルムFに施された表示部91を、検出センサ92により、土や雨水等が付着し易くマルチフィルムFの張りが弱くなって皺やたるみが生じ易いマルチフィルムFの幅方向中央部を避けて、マルチフィルムFの側部側で検出することができ、表示部91の誤検出や検出漏れを防止してマルチフィルムFの表示部91を確実に検出することができ、圃場の畝5等に敷設されたマルチフィルムFに施されている表示部91に対応して苗Sを植え付けて所定の株間を得ることができる。
【0041】
また、二毛作や二期作する際にも、先に植え付けた苗Sの跡が邪魔になるようなこともなく、マルチフィルムFの側部側で表示部91を確実に検出することができ、誤検出や検出漏れを防止して所定の株間を得ることができる。
なお、前記実施の形態では、前記傾斜検出手段107は、走行機体2A前後方向における上下の傾斜角度(傾斜度合い)αを検出するように構成され、制御手段111は、上り傾斜では前記待ち時間設定手段104により設定した待ち時間A,Bに傾斜角度(傾斜度合い)αに応じた変動値を加算して表示部91の検出時からの待ち時間A2,B2を長くすると共に、下り傾斜では前記待ち時間設定手段104により設定した待ち時間A,Bに傾斜角度(傾斜度合い)αに応じた変動値を減算して表示部91の検出時からの待ち時間A2,B2を短くするように構成されているが、これに代え、傾斜検出手段107を、走行機体2A前後方向における上下の傾斜(の有無)を検出するように構成し、制御手段111(待ち時間補正手段115)により、上り傾斜では待ち時間設定手段104により設定した待ち時間A,Bに一定値を加算して表示部91の検出時からの待ち時間A2,B2を長くすると共に、下り傾斜では前記待ち時間設定手段104により設定した待ち時間A,Bに一定値を減算して表示部91の検出時からの待ち時間A2,B2を短くするようにしてもよい。
【0042】
また、前記実施の形態では、株間変速機構81を高速の株間変速1にした場合と、低速の株間変速2にした場合とでは、待ち時間補正手段115により補正した第1待ち時間A2及び第2待ち時間B2をそれぞれ異ならせることなく同一になるようにしているが、高速の株間変速1にした場合と、低速の株間変速2にした場合とで植付手段3が上昇状態から下降して苗Sを植え付けまでの時間が異なることを考慮して、株間変更スイッチ103がオンしているときとオフしているときとで、待ち時間補正手段115により補正した第1待ち時間A2を変更し、また、株間変更スイッチ103がオンしているときとオフしているときとで、待ち時間補正手段115により補正した第2待ち時間B2を変更して、これによって、高精度で表示部91の位置に苗Sを植え付け、又高精度で表示部91間の中間位置に苗Sを植え付けるようにしてもよい。
【0043】
また、前記実施の形態では、マルチフィルムFの表示部91の位置に苗Sを植え付けるようにし、又はマルチフィルムFの隣合う表示部91間の中間位置に苗Sを植え付けるようにしているが、マルチフィルムFの表示部91の位置に対応して苗Sを植え付けることにより所定の株間を得るようにすればよく、例えば、マルチフィルムFの表示部91のやや前方やマルチフィルムFの表示部91のやや後方に苗Sを順次植え付けて、所定の株間を得るようにしてもよい。
また、前記実施の形態では、駆動装置としてエンジン5を用いているが、これに代えモータその他を駆動装置としてもよい。また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、電磁クラッチ72を中間軸53に取り付けて、中間軸53とギヤ75との間で動力の断接をするようにしたりしてもよい。
【0044】
また、前記実施の形態では、株間変速機構81を株間変速1と株間変速2とにセットできるようにしているが、植付けの株間変速段数は2段に限らず、植付けの株間変速段数を3段以上に変速できるようにしてもよいし、また、株間変速機構81をなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施の形態を示す移植機の全体側面図である。
【図2】同移植機の正面図である。
【図3】同ミッションケース内の動力伝達系の説明図である。
【図4】同植付手段の軌跡を示す説明図である。
【図5】同制御系のブロック図である。
【図6】同フローチャートである。
【図7】圃場の畝に敷設したマルチフィルムを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 移植機
2 走行装置
2A 走行機体
5 畝
8 駆動装置
13 植付手段(植付けカップ)
72 電磁クラッチ
91 表示部
92 検出センサ
104 待ち時間設定手段
107 傾斜検出手段
111 制御手段
F マルチフィルム
S 苗
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成19年9月6日(2007.9.6)
【代理人】 【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄

【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
【公開番号】 特開2009−60845(P2009−60845A)
【公開日】 平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願番号】 特願2007−231539(P2007−231539)