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【発明の名称】 ロータリ作業機のシールドカバー
【発明者】 【氏名】長屋 克成
【氏名】藤原 昇
【氏名】小澤 英樹
【氏名】有村 洋三
【課題】ロータリ作業機のシールドカバーに、爪が掻き上げた土砂が直接、付着することを防止するための付着防止板を固定する場合に、付着防止板に土砂の除去機能を付与し、特に付着防止板の固定位置への土砂の付着を排除する。

【解決手段】トラクタの後部に装着され、トラクタと共に走行する作業機本体10に支持される作業ロータ5とその上方を覆うシールドカバー1を備えるロータリ作業機において、シールドカバー本体2、またはシールドカバー本体2とエプロン3の作業ロータ5側の面に、弾性を有する1枚以上の土除け材4をその周方向一方側の位置で固定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタの後部に装着され、トラクタと共に走行する作業機本体に支持される作業ロータとその上方を覆うシールドカバーを備えるロータリ作業機において、
シールドカバー本体の前記作業ロータ側の面に、弾性を有する1枚以上の土除け材がその周方向一方側の位置で固定されていることを特徴とするロータリ作業機のシールドカバー。
【請求項2】
前記シールドカバー本体の、前記作業機本体の進行方向後方側に前記作業ロータの後方を覆うエプロンが連結され、このエプロンの前記作業ロータ側の面に、弾性を有する1枚以上の土除け材がその周方向一方側の位置で固定されていることを特徴とする請求項1に記載のロータリ作業機のシールドカバー。
【請求項3】
前記土除け材は前記シールドカバー本体に、もしくは前記シールドカバー本体と前記エプロンに、前記シールドカバー本体の周方向に隣接して複数枚配置され、その隣接する2枚の土除け材の内、一方の土除け材は他方の土除け材の前記シールドカバー本体への固定位置において互いに重なっていることを特徴とする請求項1、もしくは請求項2に記載のロータリ作業機のシールドカバー。
【請求項4】
前記隣接する2枚の土除け材の内、前記作業ロータの回転方向上流側に位置する土除け材が下流側に位置する土除け材を前記作業ロータ側から覆う状態で重なっていることを特徴とする請求項3に記載のロータリ作業機のシールドカバー。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はトラクタの後部に昇降可能に装着され、作業ロータを備えるロータリ作業機において、作業ロータが跳ね上げる土砂の付着を防止する機能を有するシールドカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
耕耘作業機のような、ロータリ軸の周りに複数の耕耘爪等の爪が突設された作業ロータを備えるロータリ作業機では、爪が跳ね上げる土砂が作業機本体に及ぶことを防止するために、作業ロータの上方にシールドカバーが固定される。シールドカバーはトラクタのPTO軸から動力を受けるギアボックスを中心として作業機本体の幅方向に張り出し、ロータリ軸に動力を伝達する伝動フレームと、ギアボックスを挟んで伝動フレームに連続する支持フレームに支持される。
【0003】
シールドカバーの内周面が直接、ロータリ軸に面する場合には、土砂はシールドカバーの内周面(作業ロータ側の面)に付着することになるが、付着した土砂は回転する爪の抵抗になり、作業効率を低下させる問題を招く。そこで、シールドカバーの内周面への土砂の付着と堆積を防止する目的で、シールドカバーの内周面に土砂付着防止用の板を固定することがある(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−9002号公報(請求項1、段落0016〜0018、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロータリ軸の回転に伴って爪が跳ね上げる土砂の付着先は爪(ロータリ軸)の回転の向きによって決まり、例えば爪が圃場面に対し、進行方向前方から後方へ向かって(ダウンカット)回転する場合には、爪は土砂を前方から後方へ掻き上げるため、土砂はシールドカバーの後方側に付着しようとする。シールドカバーの後方にエプロンが連結される場合にはエプロンにより多く付着し易い。
【0006】
特許文献1のようにシールドカバーの内周面に例えばゴム製の付着防止板を固定した場合、付着防止板に付着した土砂は作業機の走行中の振動によってある程度、土砂が付着した時点で、自重で落下することを期待することはできる。
【0007】
しかしながら、特許文献1では付着防止板を幅方向、すなわちシールドカバーの周方向の両側位置でシールドカバーに固定していることから(段落0017)、付着防止板自体がシールドカバーから独立して振動を起こしにくいため、効果的に土砂を落下させることは難しい。付着防止板は固定位置以外の中間部では振動することができるものの、両側が固定されている以上、振動の自由度が低いことによる。
【0008】
特に土砂は付着防止板の中では振動しない、ボルト等による固定位置に集中的に付着していく傾向があるため、固定位置では付着防止板自身による土砂の除去効果を期待することができない。
【0009】
本発明は上記背景より、付着防止板自身が付着した土砂の除去機能を有し、特に付着防止板の固定位置への土砂の付着を排除する機能を有するロータリ作業機のシールドカバーを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明のシールドカバーは、トラクタの後部に装着され、トラクタと共に走行する作業機本体に支持される作業ロータとその上方を覆うシールドカバーを備えるロータリ作業機において、
シールドカバー本体の前記作業ロータ側の面に、弾性を有する1枚以上の土除け材がその周方向一方側の位置で固定されていることを構成要件とする。
【0011】
土除け材の周方向とは、シールドカバー本体の周方向を指し、土除け材の周方向一方側とは、作業機本体の進行方向後方側、もしくは前方側であり、周方向端部寄りの位置等、周方向の中心位置から端部までの区間のいずれかの位置を指す。土除け材には耐久性の面からゴムの使用が適するが、作業機本体の振動に伴って振動できる弾性を有すれば、材料は問われず、金属、合成樹脂等も使用される。
【0012】
シールドカバーは請求項2に記載のようにシールドカバー本体と作業機本体の進行方向後方側に連結され、作業ロータの後方を覆うエプロンから構成されることもある。この場合、エプロンの作業ロータ側の面に、弾性を有する1枚以上の土除け材がその周方向一方側の位置で固定される。この場合も土除け材の周方向一方側とは作業機本体の進行方向後方側、もしくは前方側を指す。この場合、土除け材は基本的にエプロンの作業ロータ側の面に、シールドカバー本体の土除け材に重なる状態で固定される。
【0013】
土除け材はシールドカバー本体、またはシールドカバー本体とエプロンにはボルトやピン等の固定具によって着脱自在に固定される。固定具は土除け材の長さ方向(シールドカバー本体の長さ方向、あるいは作業機本体の幅方向)には適度の間隔をおいて配置され、土除け材の周方向(シールドカバー本体の周方向)には基本的には1箇所配置されれば足りる。固定具は土除け材の周方向に2箇所以上配置されることもあるが、後述のように1箇所であることが土砂の付着防止上、並びに土砂の落下上、合理的である。
【0014】
土除け材のシールドカバー本体等への固定位置が作業機本体の進行方向後方側であるか、前方側であるかは、土除け材がシールドカバー本体に、またはシールドカバー本体とエプロンに合わせて複数枚固定される場合に、作業ロータを構成するロータリ軸に固定される爪の回転の向き(ダウンカット回転かアップカット回転か)によって決められる。土除け材が複数枚固定される場合には、請求項3に記載のように土除け材の周方向に隣接する2枚の土除け材を互いに重なった状態で配置することができるため、重なる部分に土除け材の固定位置を配置することで、固定位置を作業ロータから覆う(被覆する)ことができることによる。
【0015】
例えば爪が圃場面に対し、進行方向前方から後方へ向かって回転(ダウンカット回転)する場合には、前記のように土砂はシールドカバーの後方側に付着しようとする。この場合には請求項4に記載のように隣接する2枚の土除け材の内、作業ロータの回転方向上流側に位置する土除け材が下流側に位置する土除け材を作業ロータ側から覆う状態で重なって配置されることで、下流側の土除け材の固定位置を上流側の土除け材が覆う状態になるため、下流側の土除け材の固定位置を上流側の土除け材で保護することが可能である。
【0016】
逆に爪が圃場面に対し、進行方向後方から前方へ向かって回転(アップカット回転)する場合には、土砂はシールドカバーの前方側に付着しようとするため、この場合にも、請求項4に記載のように作業ロータの回転方向上流側に位置する土除け材が下流側に位置する土除け材を作業ロータ側から覆う状態で重なって配置されることで、下流側の土除け材の固定位置を上流側の土除け材が覆う状態になる。
【0017】
土除け材の固定位置はそれ自身の振動によっても振動を生じない箇所であるから、付着した土砂が落下しにくく、土砂が堆積し易い。そこで、前方側の土除け材の固定位置を後方側の土除け材が覆うことで、または逆に後方側の土除け材の固定位置を前方側の土除け材が覆うことで、固定位置への土砂の付着自体を生じにくくすることができる。この結果、振動による落下を期待するまでもなく、土砂を落下させる必要がない状態を得ることが可能になる。
【0018】
請求項1、2のいずれの場合も、土除け材がその周方向一方側の位置で固定されることで、他方の端部側が自由な状態にあるため、土除け材は固定位置を固定端部として作業ロータの半径方向に自由に振動することができる。
【0019】
土除け材がその周方向の一端で固定され、他端側が自由になることで、作業機本体の振動に起因して発生する振動時の振幅が最大限、発揮されるため、付着した土砂の落下を誘発する効果が高まり、土砂の付着と堆積を回避する効果が得られる。従って土除け材は固定位置を除き、土除け材の全周に亘って土砂の付着防止効果を発揮する。土除け材に付着した土砂は土除け材自身の振動による他、ロータリ軸の回転と共に回転する爪が掻き落とすことによっても土除け材から落下する。
【0020】
請求項3に記載の発明は請求項1、もしくは請求項2において、土除け材がシールドカバー本体に、もしくはシールドカバー本体とエプロンに、シールドカバー本体の周方向に隣接して複数枚配置され、その隣接する2枚の土除け材の内、一方の土除け材が他方の土除け材のシールドカバー本体への固定位置において互いに重なっていることを構成要件とする。
【0021】
この場合、エプロンに土除け材が固定されれば、シールドカバー本体とエプロンを合わせて土除け材が複数枚配置されるため、シールドカバー本体に固定される土除け材は1枚でもよい。シールドカバー本体の周方向とは、作業ロータの周方向を指す。
【0022】
請求項3では複数枚の土除け材がシールドカバー本体の周方向に隣接して配列し、一方の土除け材が他方の土除け材のシールドカバー本体への固定位置において互いに重なることで、作業ロータの半径方向に見たとき、重なり部分で作業ロータ側に位置する土除け材がシールドカバー本体側に位置する土除け材の固定位置の部分を作業ロータ側から覆うことになる。この結果、少なくともシールドカバー本体側に位置する土除け材の固定位置に土砂が付着することが防止、もしくは抑制される。
【0023】
この場合、土砂が付着する領域は固定位置以外の部分に制限されるため、土砂は土除け材の固定位置以外の領域に付着することになるが、固定位置以外の部分はシールドカバー本体に拘束されていないため、土除け材は固定位置を固定端部として作業機本体の振動に伴い、作業ロータの半径方向に自由に振動することができる。このため、土除け材は前記の通り、それ自身の振動によって付着した土砂を落下させる効果を発揮するため、固定位置への付着防止効果と併せて土除け材の全周に亘って土砂の除去(排除)効果が期待される。
【0024】
従って前記のように爪が圃場面に対し、作業機本体の進行方向前方から後方へ向かってダウンカット回転する場合には、シールドカバー本体の周方向に隣接し、互いに重なる2枚の土除け材の内、相対的に作業機本体の進行方向前方側に位置する土除け材がその重なり部分においてシールドカバー本体に固定されていれば、後方側に位置する土除け材が固定部分への土砂の付着を阻止する機能を発揮する。
【0025】
請求項4ではまた、作業ロータの回転方向上流側に位置する土除け材が下流側に位置する土除け材を作業ロータ側から覆う状態で重なることで、作業ロータの半径方向に見たとき、ロータリ軸回りに回転する爪が手前に位置する土除け材から奥側に位置する土除け材に接近する状態になるため、隣接する2枚の土除け材の重なり部分からの土砂の進入を阻止することが可能である。
【0026】
例えば爪がダウンカット回転する場合に、ある土除け材のロータリ軸側に、その回転方向上流側に位置する土除け材が重なれば、爪は回転方向上流側に位置する土除け材から下流側に位置する土除け材に順次、接近していくから、土砂が土除け材の重なり部分から進入する事態が回避される。
【0027】
この場合、土砂はシールドカバーの後方側から付着しようとするから、相対的に上流側に位置する土除け材が下流側に位置する土除け材を覆う形で重なれば、土砂が下流側の土除け材に回り込むことを上流側の土除け材が阻止しようとするため、爪から跳ね上げられた土砂が重なり部分の土除け材間に進入する事態が回避されることになる。
【0028】
爪がアップカット回転する場合にも、土除け材のロータリ軸側に、その回転方向上流側に位置する土除け材が重なれば、爪は上流側に位置する土除け材から下流側に位置する土除け材に順次、接近していくから、土砂が土除け材の重なり部分から進入する事態が回避される。
【発明の効果】
【0029】
弾性を有する土除け材をその周方向一方側の位置でシールドカバー本体、またはシールドカバー本体とエプロンに固定することで、他方の端部側を自由な状態にするため、土除け材を、固定位置を固定端部として作業ロータの半径方向に自由に振動させることができる。
【0030】
この結果、作業機本体の振動に起因して発生する振動時の振幅が最大限、発揮されるため、付着した土砂の落下を誘発する効果が高まり、土砂の付着と堆積を防止する効果が得られる。特に土除け材の固定位置を覆うように隣接する土除け材を重ねて固定した場合には、付着した土砂が落下しにくい箇所への付着を防止することができるため、土砂の付着と堆積を有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0032】
図1はトラクタの後部に装着され、トラクタと共に走行する作業機本体10に支持される作業ロータ5とその上方を覆うシールドカバー1を備えるロータリ作業機において、シールドカバー本体2の作業ロータ5側の面に、弾性を有する1枚以上の土除け材4がその幅方向一方の端部側の位置で固定されているシールドカバー1の構成例を示す。作業機本体10はトラクタの後部に3点リンクヒッチ機構を介して昇降可能に装着される。
【0033】
作業機本体10はトラクタ後部のトップリンクとロアリンクからなる3点リンクヒッチ機構に連結されるトップマスト11と、ロアリンク連結部12を備え、トップマスト11の下端部に、トラクタのPTO軸にユニバーサルジョイント、伝動シャフト等を介して連結されるギアボックス13が配置され、ギアボックス13から図4、図5に示す作業機本体10の幅方向に伝動フレーム14と支持フレーム15が架設される。PTO軸からの動力はギアボックス13の入力軸13aに伝達され、入力軸13aで受けた動力は伝動フレーム14の内部を挿通する伝動シャフトに伝達される。
【0034】
伝動フレーム14の先端部にはチェーン伝動ケース16が垂下する形で固定され、支持フレーム15の先端にはチェーン伝動ケース16に対向する端部カバー17が固定される。この伝動ケース14と端部カバー17との間に作業ロータ5のロータリ軸6が軸回りに回転自在に架設される。チェーン伝動ケース16とロータリ軸6間にはチェーンが張架され、チェーンを通じて伝動シャフトの動力がロータリ軸6に伝達される。
【0035】
ロータリ軸6の外周には周方向に適度な間隔を置いて耕耘爪等の爪7が突設される。爪7は主にナタ爪であるが、圃場面の土砂を掻き上げる機能を有すれば、代掻き機用や畦塗り機用等の爪も含む。爪7はロータリ軸6の軸方向には互いに干渉しない程度の間隔を置いて配置される。作業ロータ5はロータリ軸6とその外周に突設された爪7から構成され、作業ロータ5は耕耘ロータになる。
【0036】
伝動フレーム14と支持フレーム15の下には作業ロータ5の爪7の回転範囲を覆い、作業機本体10を土砂から保護するシールドカバー本体2が配置される。シールドカバー本体2は図4に示すように伝動フレーム14と支持フレーム15の下に突設された下部ブラケット14a、15aにフランジ2aにおいて接合されることにより両フレーム14、15に支持される。図中、20は圃場面上を転動することで、作業中にある作業ロータ5の圃場面からの深度を調整するためのゲージホイールである。
【0037】
シールドカバー本体2の、作業機本体10の進行方向後方側には作業ロータ5の後方を覆うエプロン3が伝動フレーム14の軸と平行な軸の回りに回転自在に連結される。エプロン3の表面側、すなわち作業ロータ5の反対側の面にはエプロン3の圃場面との接地圧を適度に保つためと、エプロン3を跳ね上げた状態に保持するためのコンプレッションロッド18が接続される。
【0038】
コンプレッションロッド18の一端、すなわちトラクタ側の端部(上端)は伝動フレーム14と支持フレーム15の上に固定された上部ブラケット14b、15bに回転自在に連結され、他端(下端)はエプロン3の表面に固定されたブラケット3aに軸方向の位置調整が自在な状態に接続される。コンプレッションロッド18にはコイルスプリング18aが内蔵されるか、外周を巻回することにより装着される。
【0039】
コイルスプリング18aの一端(上端)はその軸方向に摺動可能な係止部18bに係止し、他端(下端)はコンプレッションロッド18の軸方向に移動可能で、任意の位置で停止可能なストッパ19に係止し、コイルスプリング18aは常に圧縮力を負担した状態にある。ストッパ19にはエプロン3のブラケット3aが接続され、ストッパ19はエプロン3の回転に伴い、コンプレッションロッド18に沿って移動する。
【0040】
作業機本体10の作業時には図1、図2に示すようにコイルスプリング18aが係止部18bと停止状態のストッパ19に係止した状態にあり、係止部18bがコイルスプリング18aの反力に応じて軸方向に摺動することで、エプロン3の圃場面との接地圧が一定範囲内に納まるよう、エプロン3のレベルを調整する。エプロン3の跳ね上げ時には、図3、図6−(b)に示すようにストッパ19がコンプレッションロッド18の上端側へ移動させられて停止させられることで、エプロン3の跳ね上げ状態を維持する。
【0041】
図1はロータリ軸6の回りを回転する爪7が通過する最下点のレベルとエプロン3の下端のレベルが等しいか、ほぼ等しい場合での作業ロータ5の作業時の様子を、図2は爪7が通過する最下点のレベルよりエプロン3の下端のレベルが例えば200mm程度、上に位置する場合での作業ロータ5の作業時の様子を示す。エプロン3の下端のレベルはコンプレッションロッド18のストッパ19の位置を調整することにより自由に設定される。図3はエプロン3を跳ね上げ、その状態で静止させたときの様子を示す。シールドカバー本体2の内周側の面の清掃は図3の状態で行われる。
【0042】
前記のようにシールドカバー本体2の作業ロータ5側の面、または図1に示すようにシールドカバー本体2とエプロン3の作業ロータ5側の面に、複数枚の土除け材4がシールドカバー本体2の周方向に配列し、固定される。エプロン3がない場合にはシールドカバー本体2にのみ土除け材4が固定される。シールドカバー本体2にエプロン3が連結される場合、エプロン3は例えばシールドカバー本体2のエプロン3側の端部に伝動フレーム14の軸と平行(水平)に配置された軸2bに連結されることによりシールドカバー本体2に対して回転自在になる。
【0043】
土除け材4には主に数mm〜10数mm程度の肉厚を持つ硬質のゴムが使用され、作業機本体10の振動に伴って自ら振動できる程度の弾性を持ち、また図1に示すようにロータリ軸6の断面上は後述のようにシールドカバー本体2への拘束のない周方向の端部寄りが自重で垂れ下がる程度の剛性を有する。土除け材4がここで言う適度の弾性と剛性を有すれば、土除け材4の材料は限定されず、プラスチック製や金属製の板も使用される。
【0044】
土除け材4はシールドカバー本体2とエプロン3にはボルトやピン等の固定具8によって交換可能に、着脱自在に固定される。固定具8は土除け材4の周方向(シールドカバー本体2の周方向)には1箇所、もしくは2箇所程度、配置される。隣接する土除け材4、4は後述のように固定具8による固定位置が進行方向後方側に、もしくは前方側に位置する土除け材4に覆われるように重なるから、ロータリ軸6の断面上は固定具8の配置数は少ない方がよく、図面では1箇所で固定している。固定具8は土除け材4の長さ方向(シールドカバー本体2の長さ(幅)方向)には適度の間隔をおいて配置される。
【0045】
爪7が土砂を進行方向後方側へ掻き上げるように回転する場合には、図示するように後方側の土除け材4が前方側の土除け材4を覆うように固定され、逆向きに回転する場合には、前方側の土除け材4が後方側の土除け材4を覆うように固定される。
【0046】
図1ではエプロン3を除くシールドカバー本体2に対して3枚の土除け材4を重ねて固定しているが、図示するようにエプロン3にも土除け材4が固定される場合には、その土除け材4とシールドカバー本体2の土除け材4を重ねることができるため、シールドカバー本体2には少なくとも1枚の土除け材4が固定されれば足りる。シールドカバー本体2には4枚以上の土除け材4が固定される場合もある。
【0047】
複数枚の土除け材4は、隣接する2枚の土除け材4、4がシールドカバー本体2の周方向に一部において互いに重なり合いながら、シールドカバー本体2とエプロン3に固定される。シールドカバー本体2の周方向に隣接する土除け材4、4の重なり方は爪7の回転の向きによって決まる。
【0048】
例えば爪7が圃場面に対し、進行方向前方から後方へ向かって土砂を蹴るように回転するダウンカット回転する場合には、隣接する土除け材4、4間への土砂の進入を防止する観点から、後方側に位置する土除け材4が前方側に位置する土除け材4をロータリ軸6側から重なるように隣接する土除け材4、4が配置される。爪7が逆向きに、すなわち爪7が進行方向後方から前方へ向かって土砂を跳ね上げるようにアップカット回転する場合には、進行方向前方側に位置する土除け材4が後方側に位置する土除け材4をロータリ軸6側から重なるように配置される。
【0049】
図示するように爪7が進行方向後方へ向かって土砂を蹴るようにダウンカット回転する場合には、互いに重なる2枚の土除け材4、4の内、相対的にトラクタの進行方向前方側に位置する土除け材4はその重なり部分においてシールドカバー本体2に固定され、その土除け材4の固定位置(固定具8)は進行方向後方側に位置する土除け材4に覆われ、ロータリ軸6側から隠蔽される。
【0050】
この場合、進行方向後方側に位置する土除け材4は前方側に位置する土除け材4の固定位置を覆いつつ、その土除け材4にロータリ軸6側から重なってシールドカバー本体2に固定される。エプロン3に固定される土除け材4はシールドカバー本体2の最も後方側に位置する土除け材4の固定位置を覆いつつ、その土除け材4にロータリ軸6側から重なる。各土除け材4のシールドカバー本体2への固定作業は、トラクタの進行方向前方側に位置する土除け材4から後方側に隣接する土除け材4へかけて順次、シールドカバー本体2に固定していく、という手順で行われる。
【0051】
爪7が進行方向後方へ向かってダウンカット回転する場合、進行方向前方側に位置する土除け材4は後方側に位置する土除け材4に覆われ、シールドカバー本体2には後方側の土除け材4に覆われる位置で固定されるから、シールドカバー本体2への固定位置は土除け材4の周方向に対し、進行方向後方側になる。
【0052】
シールドカバー本体2への固定位置が土除け材4の周方向後方側であることで、土除け材4の前方側の端部から固定位置までの区間は拘束がないため、土除け材4の前方側の端部寄りの部分は自重で垂れ下がった状態になる。土除け材4の前方側端部から固定位置までの区間が自由であることで、この区間は作業機本体10の振動に伴って自由な振動が生じ、土除け材4は自身の振動によって付着している土砂を落下させる機能を有する。
【0053】
爪7が掻き上げる土砂の飛散をシールドカバー本体2が抑制する上では、作業ロータ5を包囲するように複数枚の土除け材4を配置することが望ましい。そこで、図面では多角形状に形成されたシールドカバー本体2の周方向両側をその内周側に折り返し、屈曲部2cを形成することで、シールドカバー本体2の内周面を爪7の先端が描く円形の軌跡に合わせて曲面(円弧面)に近い形状に形成し、この周方向両側の屈曲部2cに土除け材4を固定している。複数枚の土除け材4がロータリ軸6の断面上、円弧面をなすように配置されることで、回転する爪7を最小の領域内で包囲するため、土砂がシールドカバー本体2側へ飛散する範囲を最小に留めることができる利点がある。
【0054】
シールドカバー本体2の周方向両側に位置する土除け材4が屈曲部2cに固定されることで、複数枚の土除け材4は作業ロータ5を包囲するように円弧面をなすように配列するため、土砂の飛散を極力、抑制することができる。またこの場合、屈曲部2cが形成されることで、固定具(ボルト)8の螺入深さを確保することができる利点もある。
【0055】
図7に図1に示す作業ロータ5を装着した作業機本体10による耕耘作業の結果を示す。対比のために図8に本発明の土除け材4を装着しない従来の作業機本体による耕耘作業の結果を示す。図8ではシールドカバー本体の内周面に数mm〜10数mm程度の厚さの土砂が付着し、ロータリ軸6にも付着している。
【0056】
これに対し、図7では土除け材4のロータリ軸6側の面、特にエプロン3側(後方側)には多少の土砂の付着があるものの、シールドカバー本体2内周面には土砂の付着がないことが分かる。図7の場合、土除け材4の後方側に土砂が付着するとしても、付着領域はエプロン3寄りであるため、エプロン3を跳ね上げることで、容易に土砂を落下させ、土除け材4を清掃することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】エプロンのレベルが低い状態にある作業ロータと本発明のシールドカバーとの関係を示したロータリ軸に直交する断面図である。
【図2】エプロンのレベルが高い状態にある作業ロータと本発明のシールドカバーとの関係を示したロータリ軸に直交する断面図である。
【図3】エプロンを跳ね上げたときの作業ロータと本発明のシールドカバーとの関係を示したロータリ軸に直交する断面図である。
【図4】作業ロータを装着した作業機本体を示した背面図である。
【図5】図4の側面図である。
【図6】(a)は図5の一部を示した側面図、(b)はエプロンを跳ね上げたときの図5の一部を示した側面図である。
【図7】本発明の作業機本体による耕耘作業後のシールドカバー本体内周面への土砂の付着の様子を示した斜視図である。
【図8】従来の作業機本体による耕耘作業後のシールドカバー本体内周面への土砂の付着の様子を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
1……シールドカバー、2……シールドカバー本体、2a……フランジ、2b……軸部、2c……屈曲部、
3……エプロン、3a……ブラケット、
4……土除け材、
5……作業ロータ、6……ロータリ軸、7……爪、8……固定具(ボルト)、
10……作業機本体、11……トップマスト、12……ロアリンク連結部、
13……ギアボックス、13a……入力軸、
14……伝動フレーム、14a……下部ブラケット、14b……上部ブラケット、
15……支持フレーム、15a……下部ブラケット、15b……上部ブラケット、
16……チェーン伝動ケース、17……端部カバー、
18……コンプレッションロッド、18a……コイルスプリング、18b……係止部、
19……ストッパ、20……ゲージホイール。

【出願人】 【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
【出願日】 平成20年3月26日(2008.3.26)
【代理人】 【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
【公開番号】 特開2009−232720(P2009−232720A)
【公開日】 平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願番号】 特願2008−81313(P2008−81313)