| 【発明の名称】 |
プリント配線基板および半導体装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】片岡 龍男
【氏名】明石 芳一
【氏名】井口 裕
【氏名】栗原 宏明
【氏名】安井 直哉
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| 【要約】 |
【課題】
【構成】本発明のプリント配線基板は、絶縁フィルムの少なくとも一方の表面に形成された基材金属層および導電性金属層を、複数のエッチング工程で選択的にエッチングすることにより形成された配線パターンを有するプリント配線基板であって、該プリント配線基板におけるエッチング液由来の金属残留量が0.05μg/cm2以下であることを特徴としている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁フィルムの少なくとも一方の表面に形成された基材金属層および導電性金属層を、複数のエッチング工程で選択的にエッチングすることにより形成された配線パターンを有するプリント配線基板であって、 該プリント配線基板におけるエッチング液由来の金属残留量が0.05μg/cm2以下であることを特徴とするプリント配線基板。 【請求項2】 上記配線パターンの断面における導電性金属層の下端部の幅が、該断面における基材金属層の上端部の幅よりも小さく形成されていると共に、プリント配線基板におけるエッチング液由来の金属残留量が0.05μg/cm2以下であることを特徴とする請求項第1項記載のプリント配線基板。 【請求項3】 上記配線パターンを構成する基材金属層が、該配線パターンを構成する導電性金属層よりも幅方向に突出して形成されていると共に、プリント配線基板におけるエッチング液由来の金属残留量が0.05μg/cm2以下であることを特徴とする請求項第1項記載のプリント配線基板。 【請求項4】 上記絶縁フィルムの配線パターンが形成されていない部分の絶縁フィルムの厚さが、該配線パターンが形成されている絶縁フィルムの厚さよりも1〜100nm薄く形成されていると共に、プリント配線基板におけるエッチング液由来の金属残留量が0.05μg/cm2以下であることを特徴とする請求項第1項記載のプリント配線基板。 【請求項5】 上記エッチング液由来の金属が、エッチング液に含有される酸化性金属化合物を形成していた金属であることを特徴とする請求項第1項乃至第3項のいずれかの項項記載のプリント配線基板。 【請求項6】 上記酸化性金属化合物を形成していた金属が、マンガンであることを特徴とする請求項第1乃至5項のいずれかの項記載のプリント配線基板。 【請求項7】 上記エッチング液由来の金属の残留量が、0.000002〜0.03μg/cm2の範囲内にあることを特徴とする請求項第5項載のプリント配線基板。 【請求項8】 上記基材金属層が、ニッケルおよびクロムを含有することを特徴とする請求項第1項記載のプリント配線基板。 【請求項9】 上記導電性金属層が、銅または銅合金で形成されていることを特徴とする請求項第1項記載のプリント配線基板。 【請求項10】 上記絶縁フィルムが、ポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項第1項記載のプリント配線基板。 【請求項11】 上記請求項第1乃至10項のいずれかの項記載のプリント配線基板に、電子部品が実装されていることを特徴とする半導体装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、絶縁フィルムの表面に配線パターンが直接形成されているプリント配線基板および電子部品が実装された半導体装置に関する。さらに詳しくは本発明は、絶縁フィルムと、この絶縁フィルムの表面に、接着剤層を介さずに形成された金属層とからなる2層構成の基板フィルムから形成されるプリント配線基板およびこのプリント配線基板に電子部品が実装された半導体装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来からポリイミドフィルムなどの絶縁フィルムの表面に接着剤を用いて銅箔を積層した銅貼積層板を用いて配線基板が製造されている。 上記のような銅貼積層板は、表面に接着剤層が形成された絶縁フィルムに、銅箔を加熱圧着することにより製造される。したがって、このような銅貼積層板を製造する際には、銅箔を単独で取り扱わなければならない。 【0003】 しかしながら、銅箔は薄くなるほど腰が弱くなり、単独で取り扱える銅箔の下限は12〜35μm程度であり、これよりも薄い銅箔を用いる場合には、例えば支持体付の銅箔を用いることが必要になるなど、その取り扱いが非常に煩雑になる。また、絶縁フィルムの表面に接着剤を用いて、上記のような薄い銅箔を貼着した銅貼積層板を使用して配線パターンを形成すると、銅箔を貼着するために使用した接着剤の熱収縮によりプリント配線基板に反り変形が生ずる。特に電子機器の小型軽量化に伴い、プリント配線基板も薄化、軽量化が進んでおり、このようなプリント配線基板には、絶縁フィルム、接着剤および銅箔からなる3層構造の銅貼積層板では対応できなくなりつつある。 【0004】 そこで、こうした3層構造の銅貼積層板に代わって、絶縁フィルム表面に接着剤を介さずに直接金属層を積層した2層構造の積層体が使用されている。このような2層構造の積層体は、ポリイミドフィルムなどの絶縁フィルムの表面に、蒸着法、スパッタリング法などにより金属を析出させることにより製造される。そして、上記のようにして析出した金属の表面にフォトレジストを塗布し、露光・現像してフォトレジストからなるマスキング材を用いてエッチングすることにより所望の配線パターンを形成することができる。特に2層構成の積層体は、金属層が薄いために形成される配線パターンピッチ幅が30μmに満たないような非常に微細な配線パターンを製造するのに適している。 【0005】 ところで、特許文献1(特開2003-188495号公報)には、ポリイミドフィルムに乾式製 膜法で形成された第1金属層(基材金属層)と第1金属層の上にメッキ法で形成された導電性を有する第2金属層(導電性金属層)とを有する金属被覆ポリイミドフィルム(基材フィルム)に、エッチング法によってパターンを形成するプリント配線基板の製造方法において、前記エッチング後にエッチング表面を酸化剤による洗浄処理を行うことを特徴とするプリント配線基板の製造方法の発明が開示されている。また、この特許文献1の実施例5には、ニッケル・クロム合金を厚さ10nmにプラズマ蒸着し、次いでメッキ法で銅を8μmの厚さで析出させた例が示されている。 【0006】 このような金属被覆ポリイミドフィルムを用いて配線パターンを形成する場合には、まず、表面にある第2金属層(銅などの導電性金属からなる層)を所望のパターンにエッチング処理し、次いで、第1金属層(ニッケル、クロム合金などからなる)をエッチングする必要があり、この第1金属層をエッチングする際には、過マンガン酸カリウムのような酸化性を含有するエッチング液が使用される。このようにして酸化性を有するエッチング液を使用して第1金属層をエッチングした後、プリント配線基板を水洗することにより、 エッチング液中に含有されていた成分は除去されると信じられており、また、仮にエッチング液に含有される成分が残存したとしても、従来の配線基板においては、これらの残留成分が基板の特性に影響を及ぼすとは考えられてなかった。ところが、配線パターンのピッチ幅が次第に狭くなるに従って、このような狭ピッチの配線パターン間の電圧を印加すると、配線パターン間の絶縁抵抗値が変動しやすいことが明らかになった。このような絶縁抵抗値の変動は、ポリイミド基板表面の金属残渣などによるものであるが、こうしたマイグレーションなどの絶縁抵抗値の変動は、絶縁フィルム表面における金属などの含有量に依存していることがわかった。 【0007】 さらに、このようなプリント配線基板には、銅あるいは銅合金とからなる配線パターンを形成する導電性金属層と絶縁フィルムであるポリイミドフィルムとの間に、クロム、ニッケルなどの金属からなる基材金属層が形成されており、このような多種類の金属からなる複合金属層から配線パターンを形成するためには、エッチング液の異なる複数のエッチング工程を経て、この複合金属層を形成する金属を溶出させることが必要になる。特にクロム、ニッケルなどの金属を含有する基材金属層をエッチングするためには、過マンガン酸カリウムなどの酸化性の無機化合物を含むエッチング液を使用することが必要になり、このようなエッチング液に含有される酸化性の無機化合物(金属、塩、金属酸化物など)は、形成された配線パターンあるいは絶縁フィルム上に残存しやすいことがわかった。そして、このように形成された配線パターンあるいは絶縁フィルム上に残存する微量の無機化合物は、このプリント配線基板を製造する後の工程で使用する液剤を汚染すると共に、最後までプリント配線基板に残存することがある。このように残存するエッチング液由来の金属あるいは無機化合物は、配線パターン間に生ずるマイグレーションの原因となることがあり、さらに、この工程に続く後の工程の処理液の特性を低下させないためにも、これらの金属はできるだけ除去することが必要になる。 【0008】 しかしながら、これらの金属あるいは無機化合物は、水洗だけでは除去しにくく、さらに、配線パターンが非常にファインピッチ化している昨今のプリント配線基板においては、長時間流水による水洗を続けることにより、水圧などによる基板(配線)の変形が生じやすく、また、こうした金属あるいは無機化合物を完全に除去するためには、長時間にわたって水洗を続ける必要があり、このために生産ラインが長くなり、生産性も低下するという問題を有している。 【特許文献1】特開2003-188495号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 本発明は、絶縁フィルムが極薄金属層で被覆された基材フィルム(極薄金属被覆ポリイミドフィルム)を使用して形成されたプリント配線基板に電圧を長時間印加し続けると、プリント配線基板の絶縁抵抗が低下するという極薄金属被覆絶縁フィルムを用いたプリント配線基板特有の問題点を解消することを目的とするものである。 【0010】 すなわち、本発明は、たとえば、ポリイミドフィルムのような絶縁フィルムの少なくとも一方の表面にスパッタリング法などにより極薄の金属層を形成した基材フィルム(金属被覆ポリイミドフィルム)を用いて、形成された絶縁抵抗値が変動しにくいプリント配線基板を提供することを目的としている。 【0011】 さらに、本発明は、上記のようなプリント配線基板に電子部品が実装された半導体装置を提供することを目的としている。 【課題を解決するための手段】 【0012】 本発明のプリント配線基板は、絶縁フィルムの少なくとも一方の表面に形成された基材 金属層および導電性金属層を、複数のエッチング工程で選択的にエッチングすることにより形成された配線パターンを有するプリント配線基板であって、 該プリント配線基板におけるエッチング液由来の金属残留量が0.05μg/cm2以下であることを特徴としている。 【0013】 上記本発明のプリント配線基板は、たとえば、絶縁フィルムと、該絶縁フィルムの少なくとも一方の表面に形成された基材金属層および該基材金属層上に形成された導電性金属層とを有する基材フィルムを、主として導電性金属を溶解する導電性金属エッチング工程、および、主として基材金属を溶解する基材金属エッチング工程を有する複数のエッチング工程で、選択的にエッチングして配線パターンを形成した後、該配線パターンが形成された絶縁フィルムを、還元性物質を含有する還元性水溶液と接触させることを特徴とするプリント配線基板の製造方法によって製造することができる。 【0014】 さらに、このプリント配線基板を製造するに際しては、上記基材フィルムを、導電性金属を溶解するエッチング液と接触させて、配線パターンを形成した後、基材金属層を形成する金属を溶解する第1処理液と接触させ、次いで導電性金属を選択的に溶解するマイクロエッチング液と接触させた後、第1処理液とは異なる化学組成を有し、且つ導電性金属に対するよりも基材金属層形成金属に対して高い選択性で作用する第2処理液と接触させ、さらに、還元性物質を含有する還元性水溶液と接触させることが好ましい。 【0015】 また、本発明のプリント配線基板を製造するに際しては、上記基材フィルムの金属層をエッチング法により選択的に除去して配線パターンを形成した後、該基材金属層を形成する金属を溶解し、残存する基材金属を不働態化可能な処理液で処理した後、このプリント配線基板を、さらに、還元性物質を含有する還元性水溶液と接触させることが好ましい。 【0016】 さらにまた、本発明のプリント配線基板の製造方法では、上記基材フィルムを、基材金属層に含有されるNiを溶解可能な第1処理液で処理し、次いで基材金属層に含有されるCrを溶解しかつ絶縁フィルムの基材金属層を除去し得る第2処理液で処理して、該配線パターンが形成されていない絶縁フィルムの表層面に残存するスパッタリング金属を絶縁フィルム表層面と共に除去し、さらに、還元性物質を含有する還元性水溶液と接触させることが好ましい。 【0017】 さらに、本発明のプリント配線基板は、上記配線パターンの断面における導電性金属層の下端部の幅が、該断面における基材金属層の上端部の幅よりも小さく形成されていると共に、プリント配線基板におけるエッチング液由来の金属残留量が0.05μg/cm2以下であることが好ましい。 【0018】 また、本発明のプリント配線基板は、上記配線パターンを構成する基材金属層が、該配線パターンを構成する導電性金属層よりも幅方向に突出して形成されていると共に、プリント配線基板におけるエッチング液由来の金属残留量が0.05μg/cm2以下であることが好ましい。 【0019】 またさらに、本発明のプリント配線基板は、上記絶縁フィルムの配線パターンが形成されていない部分の絶縁フィルムの厚さが、該配線パターンが形成されている絶縁フィルムの厚さよりも1〜100nm薄く形成されていると共に、プリント配線基板におけるエッチング液由来の金属残留量が0.05μg/cm2以下であることが好ましい。 【0020】 特に本発明では、プリント配線基板におけるエッチング液由来の金属残留量が0.000002〜0.03μg/cm2の範囲内にあることが好ましい。 そして、本発明の半導体装置は、上記のようなエッチング液由来の金属量が非常に少な いプリント配線基板に、電子部品が実装されていることを特徴としている。 【0021】 絶縁フィルムの少なくとも一方の表面に基材金属層および導電性金属層とを有する基材フィルムを、選択的にエッチングする際には、複数のエッチング工程で導電性金属層および基材金属層をエッチングすることが必要になる。こうしたエッチング工程の中で、主として基材金属層をエッチングするために使用される過マンガン酸カリウムのような酸化性の化合物が配合されたエッチング液は、エッチング工程後の洗浄工程だけでは除去されにくい。従って、通常の水洗工程を経て製造されるプリント配線基板においては、上記のようなエッチング液に由来するマンガンなどの金属が微量残存し、通常の水洗工程ではエッチング液由来の金属の残存量を0.05μg/cm2よりも少なくすることはできない。 【0022】 本発明では、絶縁フィルムの少なくとも一方の表面に基材金属層および導電性金属層がこの順序で積層された基材フィルムを選択的にエッチングすることにより基材金属層と導電性金属層とからなる配線パターンを形成した後、基材金属層をエッチングする際に使用したエッチング液に含有されるマンガンのようなエッチング液に由来する酸化性の金属あるいは金属化合物を、還元性物質を含有する水溶液を用いて処理している。このような還元性物質を含有する水溶液で処理することにより、エッチング液由来の金属あるいは金属化合物は、非常に水洗除去されやすくなり、水洗後のプリント配線基板の表面におけるエッチング液由来の金属の残存量を0.05μg/cm2以下、好ましくは0.000002〜0.03μg/cm2の範囲内にすることができる。このように配線パターンを形成した後に、還元性物質を含有する水溶液により、表面を洗浄することにより、エッチング液由来の金属の残留量を著しく低減することができ、この後の工程で使用される薬液を汚染することがなくなり、本発明のプリント配線基板の外観の悪化および品質の劣化を有効に防止することができる。さらに、配線パターン間の絶縁抵抗値の経時的変化を低減することができ、信頼性の高いプリント配線基板および回路基板を得ることができる。 【発明の効果】 【0023】 本発明のプリント配線基板の製造方法では、複数のエッチング工程を経て配線パターンが形成された基板を還元性物質を含有する水溶液で洗浄している。このような還元性物質含有水溶液を用いて洗浄することにより、基板表面に付着しているエッチング液由来の金属を非常に効率よく除去することができる。すなわち、本発明のプリント配線基板を製造するに際しては、基材金属層と、この基材金属層の表面に形成された導電性金属層とが、絶縁フィルムの少なくとも一方の表面に形成された基材フィルムを使用して、この基材金属層および導電性金属層を、異なるエッチング液を用いた複数のエッチング工程により、選択的にエッチングして配線パターンを形成しており、絶縁フィルム表面にある基材金属を選択的にエッチングする際には、過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムのような酸化性金属化合物を含有するエッチング液を使用する。このために得られたプリント配線基板の表面には、微量ながらエッチング液に由来する金属が残留しており、このような微量のエッチング液由来の残留金属によって、配線パターン間にマイグレーションなどが生じやすくなり、さらに、このような残留金属は、後の工程で使用する処理液などの汚染原因ともなる。このようなエッチング液由来の残留金属は、水洗によっては除去されにくい。上記のようなプリント配線基板は長尺のテープ状にして連続して製造するために、水洗工程に割り付けられる工程には限りがあり、通常のプリント配線基板の製造工程における水洗によっては、プリント配線基板表面のエッチング液由来の金属の残存量を本発明で規定するように低減することはできない。 【0024】 本発明は、還元性物質を含有する還元性水溶液を用いることにより、このようなエッチング液由来の残留金属を効率よく除去することを見出したことに基いてなされたものであり、絶縁フィルムの少なくとも一方の表面に、ニッケル、クロムなどの基材金属層を介して、銅あるいは銅合金などの導電性金属層を有する基材フィルムを用いて、複数のエッチ ング工程により、種類の異なる複数のエッチング液を使用して、基材金属層および導電性金属層を選択的にエッチングして配線パターンを形成した後、このフィルム表面を、還元性有機酸などの還元性物質を含有する還元性水溶液で処理して残留するエッチング液由来の金属を除去しているのである。 【0025】 従って、本発明の方法により製造されたプリント配線基板の表面にはエッチング液由来の金属の残存量が著しく少なく、残存金属に起因してマイグレーションなどが発生することがなく、また、後の工程で使用する処理液が残留金属によって汚染されることもない。 【0026】 このように本発明のプリント配線基板の表面からはエッチング液由来の残留金属が効率的に除去されているので、本発明のプリント配線基板を長期間使用しても、配線パターン間の絶縁抵抗値が変動しにくい。さらに、残留金属による配線パターンの変質なども生じにくい。 【0027】 またさらに、上記のようにプリント配線基板に形成された配線パターン間の電気抵抗値が経時的に安定しているので、本発明の半導体装置は長時間安定に使用することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0028】 次に本発明のプリント配線基板およびその製造方法について、製造方法に沿って具体的に説明する。 図1は、本発明のプリント配線基板を製造する際の工程の例を示す図である。また、図2は、それぞれの工程における配線パターン等の断面形状の例を示す断面図であり、図3は、本発明の方法により製造されるプリント配線基板における配線パターンの断面形状の例を模式的に示す断面図である。これら図2、図3において、共通の部材には共通の番号が付されており、付番11は絶縁フィルムであり、付番12は基材金属層であり、付番16はメッキ層であり、付番20は導電性金属層であり、付番22はマスキング材である。 【0029】 本発明のプリント配線基板を製造するに際しては、絶縁フィルムの少なくとも一方の表面に、基材金属層とこの基材金属層の表面に形成された導電性金属層とを有する基材フィルムが使用される。 【0030】 この基材フィルムを形成する絶縁フィルムとしては、例えば、ポリイミドフィルム、ポリイミドアミドフィルム、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂および液晶ポリマー等を挙げることできる。すなわち、これらの絶縁フィルムは、例えば基材金属層を形成する際などの加熱によって変形することがない程度の耐熱性を有している。また、エッチングの際に使用されるエッチング液、あるいは、洗浄の際などに使用されるアルカリ溶液などに侵食されることがない程度の耐酸・耐アルカリ性を有しており、こうした特性を有する絶縁フィルムとしては、ポリイミドフィルムが好ましい。 【0031】 このような絶縁フィルムは、通常は7〜150μm、好ましくは7〜50μm、特に好ましくは15〜40μmの平均厚さを有している。本発明のプリント配線基板は、薄い基板を形成するのに適しているので、より薄いポリイミドフィルムを使用することが好ましい。なお、このような絶縁フィルムの表面は、下記の基材金属層の密着性を向上させるために、ヒドラジン・KOH液などを用いた粗化処理、プラズマ処理などが施されていてもよ い。 【0032】 このような絶縁フィルムの表面には基材金属層が形成されている。この基材金属層は、絶縁フィルムの少なくとも一方の表面に形成されており、従って、本発明では基材フィル ムとして、絶縁フィルムの一方の面に、基材金属層と導電性金属層とが積層された構成のフィルム(片面被覆基材フィルム)、あるいは、絶縁フィルムの両面に、上記基材金属層と導電性金属層とが積層された構成のフィルム(両面被覆基材フィルム)のいずれの基材フィルムを使用することができる。 【0033】 この基材フィルムにおいて、基材金属層を設けることにより、この基材金属層の表面に形成される導電性金属層の絶縁フィルムに対する密着性が向上する。 本発明において、基材金属層は、例えば、銅、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、シリコン、パラジウム、チタン、バナジウム、鉄、コバルト、マンガン、アルミニウム、亜鉛、スズおよびタンタルなど金属から形成することができる。これらの金属は単独であるいは組み合わされていてもよい。特に本発明では、基材金属層がニッケル、クロムあるいはこれらの金属を含む合金で形成されていることが好ましい。このような基材金属層は、絶縁フィルムの表面に蒸着法、スパッタリング法などの乾式の製膜法を使用して形成することが好ましい。このような基材金属層の厚さは、通常は、1〜100nm、好ましくは2〜50nmの範囲内にある。この基材金属層は、この層の上に導電性金属層を安定に形成するためのものであり、基材金属の一部が絶縁フィルム表面に物理的に食い込む程度の運動エネルギーを持って絶縁フィルムと衝突することにより形成されたものであることが好ましい。従って、本発明では、この基材金属層は、上記のような基材金属のスパッタリング層であることが特に好ましい。 【0034】 このような基材金属層の表面には、導電性金属層が形成されている。この導電性金属層は、通常は、銅あるいは銅合金で形成されている。このような導電性金属層は、メッキ法により、基材金属層の表面に、銅あるいは銅合金を析出させることにより形成することができる。ここで導電性金属層を形成するためのメッキ法には、電気メッキ法、無電解メッキ法などの湿式法、スパッタリング法、蒸着法などの乾式法があり、導電性金属層は、いずれの方法で形成されていてもよい。また、乾式法と湿式法とを組み合わせて導電性金属層を形成することもできる。 【0035】 特に本発明では、電気メッキあるいは無電解メッキなどの湿式メッキ法により導電性金属層を形成することが好ましい。このようにして形成される導電性金属層の平均厚さは、通常は0.5〜40μm、好ましくは1〜18μm、さらに好ましくは2〜12μmの範囲内にある。なお、導電性金属層を形成する際に、上記の湿式法と乾式法とを組み合わせる場合には、一般に、基材金属層の表面に、例えばスパッタリング法などにより、スパッタリング導電性金属層を形成した後、このスパッタリング導電性金属層の表面に湿式法導電性金属層を形成する。この場合のスパッタリング導電性金属層の平均厚さは、通常は0.5〜17.5μm、好ましくは1.5〜11.5μmの範囲内にあり、このスパッタリング導電性金属層とこの湿式法導電性金属層との合計の平均厚さが上記範囲内になるようにする。なお、こうして形成された導電性金属層は、導電性金属の析出方法が異なっていたとしても一体不可分になり、配線パターンを形成する際には同等に作用する。 【0036】 このようにして形成された基材金属層と導電性金属層との合計の平均厚さは、通常は0.5〜40μm、好ましくは1〜18μm、さらに好ましくは2〜12μmの範囲内にある。また、このような基材金属層と導電性金属層との平均厚さの比は、通常は1:40000〜1:10、好ましくは1:5000〜1:100の範囲内にある。 【0037】 本発明のプリント配線基板を製造するに際しては、このような基材金属層と導電性金属層とが絶縁フィルムの少なくとも一方の表面に形成された基材フィルムを用いて、基材金属層と導電性金属層とを複数のエッチング工程で選択的にエッチングすることにより配線パターンを形成する。 【0038】 配線パターンは、基材フィルムの導電性金属層の上に感光性樹脂層を形成し、この感光性樹脂に所望のパターンを露光・現像して感光性樹脂からなるパターンを形成し、こうして形成されたパターンをマスキング材としてエッチングすることにより形成することができる。 【0039】 このエッチング工程は、主として導電性金属層をエッチングする導電性金属エッチング工程と、主として基材金属層をエッチングする基材金属エッチング工程を有している。 導電性金属エッチング工程は、導電性金属層を形成する銅あるいは銅合金をエッチングする工程であり、ここで使用するエッチング剤は、導電性金属である銅あるいは銅合金に対するエッチング剤(すなわち、Cuエッチング液)である。 【0040】 このような導電性金属エッチング剤の例としては、塩化第2鉄を主成分とするエッチング液、塩化第2銅を主成分とするエッチング液、硫酸+過酸化水素などのエッチング剤を 挙げることができる。このような導電性金属に対するエッチング剤は、導電性金属層を優れた選択性でエッチングして配線パターンを形成することができるものであると共に、このエッチング液は導電性金属層と絶縁フィルムとの間にある基材金属に対してもかなりのエッチング機能を有している。 【0041】 この導電性金属エッチング工程において、処理温度は、通常は30〜55℃で、処理時間は、通常は5〜120秒間である。上記のようにして導電性金属エッチング剤を用いてエッチングすることにより、例えば図2(a)に示すように、主として導電性金属層20がエッチングされた断面構造の配線パターンが形成される。 上記のようにして導電性金属エッチングを行うことにより、基材フィルムの表面にある導電性金属層20が主としてエッチングされて、用いたマスキング材と相似形の配線パターンが形成される。また、この導電性金属層20の下側にある基材金属層12も、相当エッチングされるが、基材金属層12は、この導電性金属エッチング工程では、完全には除去されない。 【0042】 上記のようにして、感光性樹脂からなるマスキング材22を用いて、主として導電性金属を選択的にエッチングした後、感光性樹脂からなるマスキング材22は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリを含有する水溶液、具体的には、NaOH+NaCO3等を含有する水溶液のような洗浄液で処理することにより、除去することができる。上記のようにしてマスキング材が除去された配線パターンの断面形状は、例えば、図2(b)に示すようになる。 【0043】 本発明においては、上記のようにして主として導電性金属層をマスキング材であるパターンに沿って除去した後、主として基材金属層を選択的にエッチングする基材金属エッチング工程により溶解除去して配線パターンを形成するのであるが、この基材金属エッチング工程前に、酸洗工程(マイクロエッチング工程)を設けることもできる。すなわち、上記のような導電性金属エッチング工程により、主として導電性金属層を選択的にエッチングした後、この導電性金属エッチング工程でマスキング材として使用された感光性樹脂からなるパターンは、導電性金属エッチング工程を経た後、例えばアルカリ洗浄などにより除去されるが、こうしたアルカリ洗浄液との接触により、導電性金属層表面あるいは基材金属層表面に酸化被膜が形成されることがある。また、感光性樹脂からなるマスキング材と接触していた導電性金属層(Cu)表面(配線パターンのトップ)は、エッチング材と接触した履歴を有していないので、配線パターンの法面などと比較すると活性が異なることがある。従って、導電性金属エッチング工程後に酸洗(マイクロエッチング)を行って、配線パターン面を均一にすることにより、後の工程で精度の高いエッチングを行うことができる。 【0044】 しかしながら、この酸洗工程において、エッチング液との接触時間が長いと配線パターンを形成する銅あるいは銅合金の溶出量が多くなり、配線パターン自体がやせ細ってしまうので、この段階で酸洗を行う場合には、この酸洗工程におけるエッチング液と配線パターンとの接触時間は、通常は2〜60秒間程度である。上記のようにして最初の酸洗工程を経た配線パターンの断面形状は、例えば図2(c)のようになる。 【0045】 上記のようにして導電性金属エッチング工程を経て、あるいは、さらに必要により上記のようにして酸洗工程を経た後(最初のマイクロエッチングを行った後)、基材金属エッチング工程により、主として基材金属層を溶解除去すると共に、残存する基材金属を不働態化する。 【0046】 基材金属層は、上述のように銅、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、シリコン、パラジウム、チタン、バナジウム、鉄、コバルト、マンガン、アルミニウム、亜鉛、スズおよびタンタルなどの金属あるいはこれらの金属を含む合金などから形成されており、このような基材金属層は、その形成金属に対応したエッチング液を使用して、これらの基材金属層を形成する金属を選択的に溶出し、さらに絶縁フィルム上にわずかに残存する基材金属層形成金属を不働態化処理する。 【0047】 例えば、この基材金属エッチング工程の対象となる基材金属層が、ニッケルおよびクロムを用いて形成されている場合には、ニッケルに対しては、例えば、硫酸・塩酸混合液などの第1処理液(Niを溶解可能な第1処理液)を使用して溶解除去することができ、また、クロムに対しては、例えば、過マンガン酸カリウム+KOH水溶液などの第2処理液(Crを溶解可能な第2処理液)を使用して溶解除去することができる。 【0048】 本発明において、Niを溶解可能な第1処理液の例としては、それぞれの濃度が5〜15重量%程度の硫酸・塩酸混合液、および、過硫酸カリウムと硫酸との混合液を挙げることができる。 【0049】 この第1処理液を用いて処理することにより、基材金属層を形成する金属のうち、主としてニッケルなどの金属を溶解、除去する。この第1処理液を用いた処理においては、処理温度は、通常は30〜55℃で、処理時間は、通常は5〜40秒間である。 【0050】 この処理により、例えば図2(d)に示すように、配線パターンの側面に突起状に残存する基材金属および/または配線間に残存する基材金属は、溶解、除去される。その結果、隣接する配線パターンを構成する基材金属層間の間隔は予定している値(設計値)に近い値になる。すなわち、形成しようとする配線ピッチの設計幅によって配線パターンを形成する基材金属層間の間隔は異なるが、例えば、配線ピッチ30μm(設計上のライン幅15μm、スペース幅15μm)の場合、この基材金属間の最短の間隔を電子顕微鏡写真(SEM写真)により実測すると、5〜18μmの範囲内になることが多い。この実測最短間隔は、設計値に対して33%〜120%であり、さらに好適に条件を設定することによりこの基材金属間の最短の間隔を10〜16μmの範囲内、すなわち、設計値に対して、66.7〜106.7%の範囲内にすることができる。また、例えば、配線ピッチ100μm(設計上のライン幅50μm、スペース幅50μm)の場合、実測される配線パターン幅は、設計値の10〜120%の幅にすることができる。 【0051】 上記の第1処理液を用いた処理において、突起状に残存する基材金属を溶解、除去するとは、図2(e)に示すように、配線パターンの基材金属層によって形成される配線パターン形成連続線から幅方向に突出した突出部分の、配線パターン形成連続線から先端までの距離(SA)が、0〜6μm(設計スペース幅の0〜40%)、好ましくは0〜5μm、さらに好ましくは0〜3μm、最も好ましくは0〜2μmになるように溶解することをいう。従って、本発明において、配線パターン形成連続線から先端までの距離が上記範囲内にあるものは、配線パターン形成連続線を形成するものであるとみなして突起とは言わない。 【0052】 なお、本発明で形成される配線パターンには、後の工程で酸化防止、ICチップなどのボンディング時の合金層形成などのためにその表面にメッキ層が形成されるが、このようにメッキ層が形成された場合において、隣接する配線パターンにおけるメッキ層表面からの最も狭い部分の間隔(配線パターンの最短間隔)を、少なくとも5μmは確保することが望ましい。 【0053】 このようにして第1処理液を用いた処理を行った後、第2処理液を用いて処理するが、この第2処理液を用いた処理前に、マイクロエッチング工程に賦すことができる。 本発明において、マイクロエッチングを行う場合に、使用することができるマイクロエッチング液としては、例えば、HClあるいはH2SO4のような導電性金属であるCuのエッチングに使用するエッチング液を使用することができ、さらに、過硫酸カリウム(K2S2O8)、過硫酸ナトリウム(Na2S2O8)、硫酸+H2O2などを用いることができる。特に本発明ではこのマイクロエッチング液として、過硫酸カリウム(K2S2O8)、過硫酸ナトリウム(Na2S2O8)、硫酸+H2O2を用いることが好ましい。 【0054】 このようにしてマイクロエッチングすることにより、図2(f)に示すように、配線パターンを形成する導電性金属であるCuなどは選択的にエッチングされるが、基材金属であるNi、Crはそれほどエッチングされない。このマイクロエッチング工程においては、主として配線パターンを形成する導電性金属層(Cu層)20が、配線パターン周縁部から中心方向に向かってわずかに後退するようにエッチングされるのに対して、配線パターンを形成する基材金属層12は比較的エッチングされにくい。従って、このマイクロエッチング工程を経て形成された配線パターンは、導電性金属層20から形成されている配線パターンの導電性金属層下端部と、基材金属層12から形成されている配線パターンの基材金属層上端部との間に、明確な段差が形成される。すなわち、このマイクロエッチング工程により、配線パターンの導電性金属(Cu)から形成されている部分は、マイクロエッチングにより配線パターンの断面中心部分に向かって後退するが、配線パターンの基材金属層は、このマイクロエッチングによっては溶解されにくいので、基材金属層によって形成された配線パターンの形状が維持される。従って、このマイクロエッチング工程を経て形成された配線パターンは、導電性金属層からなる配線パターンの周囲に基材金属層による張り出し部が形成された形状になる。 【0055】 このようにして第1処理液と第2処理液とを用いる基材金属層エッチング工程の途中で、上記のようにしてマイクロエッチング工程を設けることにより、図2(g)に示すように、形成された基材金属層の上端部の幅W1と、導電性金属層20の下端部の幅W2とは明らかに異なり、W1−W2の差W3(2×(W3/2)は、通常は0.05〜2.0μm、好ましくは0.2〜1.0μmの範囲内になる。 【0056】 従って、第1処理液を用いた処理工程と、これとは異なる組成の第2処理液を用いて基材金属層を処理する途中で、上記のようにしてマイクロエッチング工程を行うことにより、形成された配線パターンにはCuなどからなる導電性金属層20からなる配線パターンの周囲にW3×1/2幅の基材金属層12からなる帯状の突出部が形成された形態の配線パターンが得られる。この突出部は第2処理液で処理されることによりマイグレーションの発生を抑制することができる。 【0057】 なお、このマイクロエッチング工程は任意の工程であり、このマイクロエッチング工程を行わなければ、通常は、配線パターンに上記図2(h)に示すような基材金属層12から なる帯状の突出部は形成されない。 【0058】 上記のようにして必要によりマイクロエッチングを行った後、第2処理液用いて処理する。 ここで使用される第2処理液は、基材金属層に含有されるCrを溶解しCrが残留する場合には、この残留Crを不働態化し得る処理液である。 【0059】 すなわち、上記にように第1処理液を用いて処理することにより(さらに必要によりマイクロエッチングを行うことにより)、基材金属層12を形成するNiはほぼ溶解除去されるが、基材金属層を12形成する金属であるCrは、依然として絶縁フィルム11上に残留している。このようなCrが配線パターン間に残留すれば、配線パターン間の絶縁抵抗値は安定しないので、この絶縁フィルム11上の基材金属層12に含有されるCrを溶解除去するか、あるいは、残存Crを不働態化することができる成分を含む第2処理剤を使用する。 【0060】 ここで使用する第2処理剤としては、基材金属層に含有されるCrを溶解除去することができ、かつ絶縁フィルム表面に残留するCrがある場合にも、この残留Crを不働態化することができる処理液である。このような第2処理液の例としては、過マンガン酸カリウム・KOH水溶液、および、過マンガン酸ナトリウム+NaOH水溶液を挙げることができる。本発明において、第2処理液として過マンガン酸カリウム+KOH水溶液を使用する場合、過マンガン酸カリウムの濃度は、通常は10〜60g/リットル、好ましくは25〜55g/リットルであり、KOHの濃度は、好ましくは10〜30g/リットルである。本発明において 、上記のような第2処理液を用いた処理においては、処理温度は、通常は40〜70℃で、処理時間は、通常は10〜60秒間である。 【0061】 このように第2処理液を用いて処理することにより、図2(i)に示すように、基材金属層12を形成するCrの大部分が溶解、除去される。また、絶縁フィルム11上にわずかにCrが残留する場合であっても、このCrを不働態化することができる。すなわち、この第2処理液を用いて処理することにより、絶縁フィルム11表面に基材金属層12として残存しているCrの大部分を溶解し、絶縁フィルムの表面におそらく数十Åの厚さで残存したCrを酸化し、不働態化することができる。 【0062】 さらに、この第2処理液を好適に使用することにより、この第2処理液により、図2(j)に示すように、絶縁フィルム11の表面を化学研磨することができる。従って、この第2処理液を好適に使用することにより、基材金属層12を除去することができると共に、この第2処理液は、絶縁フィルム11の表面から、通常は1〜100nm、好ましくは5〜50nmの深さで絶縁フィルム11を切削(溶解除去)することができる。上記のように第2処理液を用いることにより、絶縁フィルム11の表層に残存するCrを絶縁フィルムの表層と共に除去することができる。従って、この第2処理液を好適に使用した場合には、配線パターンが形成されていない部分の絶縁フィルム11の厚さが、配線パターンが形成されている絶縁フィルムの厚さよりも1〜100nm、好ましくは2〜50nm薄く形成されている。なお、配線パターンの部分の基材金属層12および絶縁フィルム11は、導電性金属層20によって第2処理液から保護される。 【0063】 このようにして得られたプリント配線基板の配線パターンは、図2(j)に示すように、マイクロエッチングを行わない場合には、導電性金属層20からなる配線パターン(導電性金属層)の下端部の幅と、基材金属層12の上端部とが、その断面において、同じ幅かほぼ同じ幅で形成されているが、配線パターンが形成されていない部分の絶縁フィルム11(ポリイミドフィルム)の表面は、通常は1〜100nm、好ましくは2〜50nmの範囲内深さで切削されており、配線パターンが形成されている部分は、高さ1〜100nm、好ましくは2〜50nmの高さを有する断面台形状の基材基部17が形成されている。 【0064】 なお、上記のようにして第2処理液を用いて処理した後には、配線パターン間にある絶縁フィルム上には、一般に、独立したNiは確認されないが、Crはわずかに残存している場合があるが、このようなCrは不働態化されており、このような不働態化されたCrによって配線パターン間の絶縁性が損なわれることはない。 【0065】 上記のようにして複数のエッチング工程で種々のエッチング剤を使用して配線パターンを形成した後、このプリント配線基板は水洗されるが、プリント配線基板の表面には配線パターンを形成する際に使用したエッチング液に由来する金属が残存する。 【0066】 特に基材金属層をエッチング処理する際に使用されるエッチング液としては、過マンガン酸カリウムのような酸化性の無機化合物を含有するエッチングの有用性が高いが、このような酸化性の無機化合物を含有するエッチング液を使用すると、プリント配線基板表面にこのようなエッチング液に由来する金属が残留する。すなわち、エッチング工程終了後は、プリント配線基板は水洗工程に賦されるが、こうしたエッチング工程後の通常の水洗工程だけでは、エッチング液由来の金属は、除去しきれずに、プリント配線基板表面に残留してしまい、後の工程で使用する処理液などの汚染の原因となると共に、こうした残留金属によってマイグレーションが発生しやすくなるなど、プリント配線基板の信頼性が低下する要因にもなりかねない。ここでエッチング液由来の金属としては、最後のエッチング処理に用いられる酸化性の無機化合物を形成する金属であり、具体的には、マンガンなどであり、これらの金属が酸化物などの金属化合物を形成していることもある。 【0067】 本発明では上記のようにして配線パターンを形成した後、この配線パターンが形成された絶縁フィルムを、還元性物質を含有する還元性水溶液と接触させる。 ここで使用する還元性物質としては、還元性を有する有機酸を挙げることができ、このような還元性を有する有機酸の例としては、シュウ酸、クエン酸、アスコルビン酸および有機カルボン酸などを挙げることができる。これらの還元性を有する有機酸は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。また、これらの有機酸は塩を形成していてもよい。 【0068】 このような還元性を有する有機酸は、形成された配線パターンには影響を及ぼさず、かつ残存するエッチング液由来の金属を除去可能な濃度で水に溶解して使用され、通常は2〜10重量%、好ましくは3〜5重量%の濃度で水に溶解して使用される。 【0069】 このような還元性を有する有機酸などを含有する還元性水溶液と配線パターンとの接触方法に特に制限はないが、配線パターンに均一に還元性処理液が接触するような方法を採用することが好ましく、例えば配線パターンが形成された絶縁フィルムを上記処理液に浸漬する方法、配線パターンが形成された絶縁フィルムに、上記処理液を噴霧する方法など、種々の方法を採用することができ、さらに、これらの方法は、組み合わせてもよい。 【0070】 このような還元性処理液は、通常は25〜60℃、好ましくは30〜50℃の範囲内の温度に調整されており、このような温度に調整された還元性処理液との接触時間は通常は2〜150秒間、好ましくは10〜60秒間である。このようにして還元性処理液との接触により、配線パターンおよび絶縁フィルム表面に残留していたエッチング液由来の金属は効率よく除去される。 【0071】 このようにして還元性処理液と接触処理した配線基板(絶縁フィルムとこの表面に形成された配線パターン)は、そのまま次の工程で処理することができるが、水洗した後に次の工程で処理することが好ましい。 【0072】 この水洗工程は、上記のように還元性処理液との接触により表面に残留していたエッチング液由来の金属の大部分は除去されているので、この水洗に要する時間を、通常の水洗工程に要する時間よりも短縮することができる。本発明において、還元性処理液で処理した後の水洗は、通常は2〜60秒間、好ましくは15〜40秒間であり、還元性物質を含有する水溶液による処理を行わなかった場合と比較して、水洗時間を1/2〜1/30程度にまで短縮することができる。 【0073】 このようにして本発明では、異なる組成のエッチング液を用いて複数の工程でエッチング処理を行った後、還元性物質を含有する水溶液で処理し、さらに、好適には水洗することにより、このプリント配線基板の表面におけるエッチング液由来の金属の残存量は、0.05μg/cm2以下、好ましくは0.000002〜0.03μg/cm2の範囲内になる。すなわち、主として基材金属層をエッチングするために使用した酸化性の無機化合物は、その一部が基板表面に残存する傾向があり、このような酸化性の無機化合物は、単に水洗だけで完全に除去することはできない。 【0074】 なお、本発明において、プリント配線基板の表面におけるエッチング液由来の金属の残存量は、1)長尺の電子部品実装用フィルムキャリアテープから1つの配線パターンが形成されている1ピース分を切り出して(例えば35mm幅のテープを1つの配線パターンが形成されている10パーフォレーション分である47.5mmの長さに切断して)サンプルとし、2)このサンプルを、溶解液である純水(100cc)の中に入れて100℃で5時間煮沸してサンプルに含まれるMnを熱水に抽出し、3)熱水中に溶出したMn量をICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置;アイシーピーマス)で分析測定し抽出 されたMn量を求めて、得られた全Mn量を、切り出したサンプルの全面積(両面の合計面積)で割って求めた。 【0075】 本発明におけるように還元性物質を含有する水溶液と接触させた後、水洗することにより、プリント配線基板表面のエッチング液由来の金属の残留量が0.05μg/cm2以下の量、さらに還元性物質を含有する溶液との接触及び水洗の条件を好適に調整することにより、0.000002〜0.03μg/cm2の範囲内の量にすることができる。このようにエッチング液由来の金属の残存量は、通常の水洗によっては短時間で達成することができない範囲内の量である。 【0076】 こうしてプリント配線基板に形成された配線パターンは、端子部分が露出するように樹脂保護層で被覆されるが、樹脂保護層を形成する前に、形成された配線パターンの少なくとも基材金属層を被覆するように隠蔽メッキすることもできる。すなわち、配線パターンを形成した後、形成された配線パターンおよび露出した絶縁フィルム上に残存するエッチング液由来の金属を除去するように還元性物質を含有する水溶液で処理し、さらに水洗した後、樹脂被覆層を形成する前に、配線パターンの下端部にある基材金属層の露出部分を隠蔽するようにメッキ層を形成することができる。 【0077】 ここで形成される隠蔽メッキ層は、少なくとも、配線パターンの下端部にある基材金属層であり、配線パターン全体に隠蔽メッキ層を形成することもできる。このようにして形成される隠蔽メッキ層の例としては、スズメッキ層、金メッキ層、ニッケル-金メッキ層 、ハンダメッキ層、鉛フリーハンダメッキ層、Pdメッキ層、Niメッキ層、Znメッキ 層、および、Crメッキ層などがあり、これらのメッキ層は単層であっても複数のメッキ層を積層した複合メッキ層であってもよく、特に本発明では、スズメッキ層、金メッキ層、ニッケルメッキ層、ニッケル-金メッキ層が好ましい。なお、この隠蔽メッキは、形成 された配線パターンを、端子部分を覆うようにして樹脂保護層を形成した後、露出する端子部分に形成してもよい。 【0078】 このような隠蔽メッキ層の厚さは、メッキの種類によって適宜選択することができるが、通常は0.005〜5.0μm、好ましくは0.005〜3.0μmの範囲内の厚さに設定される。また、全面に隠蔽メッキをし、端子部分を露出させて樹脂保護層を形成した後、さらに樹脂保護層から露出する部分に端子部分に再度同一の金属を用いてメッキ処理してもよい。このような厚さの隠蔽メッキ層を形成することによっても、配線パターンを形成する基材金属層からのマイグレーションの発生を防止することができる。 【0079】 このような隠蔽メッキ層は、電解メッキ法あるいは無電解メッキ法などにより形成することができる。 このようにして配線パターンを隠蔽メッキ処理することにより、配線パターンの絶縁基板側にある不働態化した基材金属層の表面が隠蔽メッキ層により隠蔽され、異種金属間で電位差が生じても、配線パターン間の絶縁抵抗が充分高いため、基材金属層からのマイグレーションの発生を有効に防止できる。なお、この隠蔽メッキは、基材金属層からのマイグレーションの発生などを主な目的としているものであるが、このような基材金属層の隠蔽に限らず、例えば、後の端子部分のメッキ工程などにおける孔蝕の発生防止などを目的とするものであってもよい。 【0080】 このようにして必要により隠蔽メッキをした後、配線パターンの端子部分を残して配線パターンおよびこの配線パターンが形成されている部分の絶縁フィルムを覆うように樹脂保護層を形成する。この樹脂保護層は、例えば、スクリーン印刷技術を利用して、ソルダーレジストインクを所望の部分に塗布することにより形成することもできるし、さらに接着剤層を有する樹脂フィルムを予め所望の形状に賦形して、この賦形された樹脂フィルムを貼着することにより形成することもできる。 【0081】 このようにしてソルダーレジスト層などの樹脂保護層を形成した後、この樹脂保護層から露出した部分の配線パターン表面にメッキ層を形成する。すなわち、上記ソルダーレジスト層あるいは樹脂保護層から露出している端子部分を、メッキ処理する。このメッキ処理は、このプリント配線基板に電子部品を実装する際に電子部品に形成されたバンプ電極などとこのプリント配線基板の端子とを電気的に接続させるものであり、さらに、この電子部品が実装されたプリント配線基板(半導体装置)を、電子機器に組み入れる際にプリント配線基板と他の部材との電気的接続を確立するためのものである。 【0082】 このようにして形成されるメッキ層としては、例えば、スズメッキ層、金メッキ層、銀メッキ層、ニッケル-金メッキ層、ハンダメッキ層、鉛フリーハンダメッキ層、パラジウ ムメッキ層、ニッケルメッキ層、亜鉛メッキ層、および、クロムメッキ層などを挙げることができる。このメッキ層は単層であっても複数のメッキ層が積層された複合メッキ層であってもよい。また、上記のような金属メッキ層は、上記の金属からなる純金属層であっても、他の金属が拡散した拡散層を有していてもよい。拡散層を形成する場合には、拡散させようとする金属(あるいは金属メッキ層)の表面に拡散層を形成する金属からなるメッキ層を形成し、例えば加熱処理などにより、下層の金属と上層の金属とは相互に拡散させた拡散層を形成する。 【0083】 また、このようなメッキ層は、通常は単一のプリント配線基板においては同一の金属からなるメッキ層であるが、必ずしも単一のプリント配線基板においてこの金属メッキ層が同一の金属から形成されていることは必要ではなく、端子によってメッキ層を形成する金属の種類が異なっていてもよい。 【0084】 上記のようなメッキ層は、電気メッキ法あるいは無電解メッキ法などの通常のメッキ法により形成することができる。 このようなメッキ層の平均厚さは、形成するメッキ層の種類によって異なるが、通常は 5〜12μmの範囲内にある。なお、配線パターンが複数のメッキ層を有する場合には、上記のメッキ層の平均厚さは、配線パターンに形成されたメッキ層の全体の厚さである。 【0085】 上記のようにして形成された配線パターンの断面形状の例を図3の(1)〜(4)に示す。図3において、付番11は絶縁フィルムであり、付番12は基材金属層であり、付番20は導電性金属層であり、付番16はメッキ層である。 【0086】 上記のようにして形成されたプリント配線基板の端子と、電子部品に形成されたバンプ電極などの電極とを電気的に接続してICチップ等の電子部品を実装し、この接続部分を含めて電子部品およびその周囲を樹脂封止することにより、半導体装置を製造することができる。 【0087】 本発明のプリント配線基板および半導体装置は、複数のエッチング工程で使用されるエッチング液に由来する金属を、還元性物質を含有する水溶液を用いて処理することにより除去しているので、形成された配線パターンおよび配線パターン間におけるエッチング液由来の金属の残留量が0.05μg/cm2以下、さらに好適には0.000002〜0.003μg/cm2と非常に微量にすることができ、従って、残存金属に起因するマイグレーションなどが発生しにくく、また、残存金属によって後の工程で使用されるメッキ液などが汚染されることがなく、非常に信頼性の高いプリント配線基板を得ることができる。 【0088】 このように、本発明のプリント配線基板あるいは半導体装置は、配線パターンおよび絶縁フィルム上おけるエッチング液由来の金属の残留量が著しく少なく、従って、本発明のプリント配線基板あるいは半導体装置は、マイグレーションなどによって配線パターン間の電気抵抗値が変動することが著しく少ない。すなわち、本発明のプリント配線基板および半導体装置は、エッチング液由来の金属の残留量が著しく少なく、こうした残留金属に起因するマイグレーションなどが生じにくく、長時間電圧を印加し続けた後の絶縁抵抗と、電圧を印加する前の絶縁抵抗との間に実質的な変動が認められず、プリント配線基板として非常に高い信頼性を有する。 【0089】 本発明のプリント配線基板は、配線パターン(あるいはリード)の幅が30μm以下、好適には25〜5μmの幅の配線パターンを有し、またピッチ幅が50μm以下、好適には40〜20μmのピッチ幅を有するプリント配線基板に適している。 【0090】 このような本発明のプリント配線基板には、プリント回路基板(PWB)、FPC(Flexible Printed Circuit)、TAB(Tape Automated Bonding)テープ、COF(Chip On Film)、CSP(Chip Size Package)、BGA (Ball Grid Array)、μ-BGA(μ- Ball Grid Array)など がある。 【0091】 また、上述の本発明のプリント配線基板においては、絶縁フィルムとしてポリイミドフィルムを使用し、この絶縁フィルムの表面に配線パターンが形成されたプリント配線基板を中心に説明したが、本発明の半導体装置は、この配線パターンに電子部品を実装し、この実装された電子部品の周囲が樹脂で封止することによって形成されてなり、この半導体装置もたいへん高い信頼性を有している。 【0092】 〔実施例〕 次に本発明のプリント配線基板等およびその製造方法について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下に記載する絶縁抵抗値は全て恒温恒湿槽外における室温での測定値である。 【実施例1】 【0093】 35mm幅で、平均厚さ38μmのポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、ユーピレッ クスS)の一方の表面を逆スパッタにより粗化処理した後、以下の条件でニッケル・クロム合金をスパッタリングして平均厚さ40nmのクロム・ニッケル合金層を形成して基材金属層とした。すなわち、38μm厚のポリイミドフィルムを100℃で3×10-5Paの条件で10分間処理した後、装置内を100℃×0.5Paの圧力に脱ガスしてクロム・ニッケル合金のスパッタリングを行って基材金属層を形成した。 【0094】 上記のようにして形成された基材金属層上に、電気メッキ法により、銅を析出させて厚さ8μmの電解銅層(導電性金属層)を形成した。 こうして形成された電解銅層の表面に感光性樹脂を塗布し、露光・現像して、配線ピッチが30μm(ライン幅;15μm、スペース幅;15μm)となるように櫛形電極のパターンを形成し、このパターンをマスキング材として、電解銅層を、HCl;100g/ リットルを含む濃度12%の塩化第2銅エッチング液を用いて30秒間エッチングして配 線パターンを製造した。 【0095】 得られた配線パターン上の感光性樹脂で形成されたマスキング材を、NaOH+NaCO3溶液 で40℃×30秒間処理することにより除去した。 次いで酸洗液としてK2S2O8+H2SO4溶液を用いて、30℃×10秒処理し、電解銅 層と基材金属層(Ni-Cr合金)を酸洗した。 【0096】 次に、第1処理液である17g/リットルのHClと17g/リットルのH2SO4とを含む溶液を用いて、フィルムキャリアテープを50℃×30秒かけて処理し、Ni-Cr合金から なる基材金属層のNiを溶解した。 【0097】 さらに、マイクロエッチング液として、H2S2O8+H2SO4溶液を用いて、配線パターンの縁部から内側に向かって処理深さが0.3μmになるようになるようにCu導体を選択的に溶解させた(Cu導体の後退)。 【0098】 さらに第2処理液として40g/リットルの過マンガン酸カリウム+20g/リットルK OH溶液を用いて、65℃で30秒間処理して基材金属層中に含有されるCrを溶解した。この第2処理液は、基材金属層中のクロムを溶解除去すると共に、わずかに残存するクロムを酸化し不働態化することができた。 【0099】 次に、絶縁フィルム上およびパターン上に付着して残存しているMnを除去するため、40g/リットルのシュウ酸2水和((COOH)-2H2O)を溶解したシュウ酸水溶液を用いて基板を40℃で1分間洗浄し、残存Mnを溶解除去した。その後、23℃の純水で15秒間洗浄を行った。 【0100】 こうしてシュウ酸水溶液で40℃×1分間洗浄した場合の基板に付着残存しているMnは、0.0003μg/cm2であった。これに対して、シュウ酸水溶液による洗浄を行わ なかった場合(参考例1)には、0.14μg/cm2であり、シュウ酸水溶液洗浄を行わ ない場合には、相当量のMnが基板上に残存し、このMnが、後工程で除去されないで残存したままでプリント配線基板が形成される虞があり、プリント配線基板の品質の劣化を招来する原因となることがある。また、このように残存するMnは、後の工程で使用される薬液を汚染し、プリント配線基板の外観あるいは品質の低下を招来する原因となることがある。 【0101】 上記のようにして配線パターンを形成した後、形成された配線パターンに厚さ0.01μm厚さで無電解スズメッキを施した。 さらに、上記のようにしてスズメッキ層により配線パターンを隠蔽した後、接続端子お よび外部接続端子を露出するようにソルダーレジスト層を形成した。 【0102】 他方、ソルダーレジスト層から露出している内部接続端子および外部接続端子に、0.5μm厚のSnメッキを行い加熱して所定の純Sn層(Snメッキトータル厚;0.51μm 、純Sn層厚;0.25μm)を形成した。 【0103】 こうして形成された配線パターンの断面形状は、図3(2)に近似した形状を有していた。 こうして櫛形電極が形成されたプリント配線基板を85℃85%RHの条件で40Vの電 圧を印加して1000時間導通試験(HHBT)を行った。この導通試験は促進試験であり、短絡が生ずるまでの時間(例えば絶縁抵抗値が1×108Ω未満になるまでの時間) を、一応1000時間程度に設定した試験であり、1000時間を経過時点で、絶縁抵抗値が1×108Ω未満のものは、一般的な基板として使用することはできない。また、1 000時間経過後の絶縁抵抗値が1×1014Ω未満のものは、実用的には問題を生ずる虞がある。 【0104】 この実施例1で製造したプリント配線基板は、絶縁信頼試験前の絶縁抵抗は、6×1014Ωであり、絶縁信頼性試験後に測定した絶縁抵抗は6×1014Ωであり、両者の間に電圧を印加したことに伴う絶縁抵抗の実質的な差は認められなかった。 【0105】 これに対してシュウ酸処理を行わなかったサンプル(参考例1)の絶縁信頼性試験後に測定した絶縁抵抗は1.0×1014Ωであり、シュウ酸を用いた処理を行うことにより、得られたプリント配線基板の絶縁信頼性が向上した。 結果を表1に示す。 【実施例2】 【0106】 35mm幅で、平均厚さ38μmのポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、ユーピレッ クスS)の一方の表面を逆スパッタにより粗化処理した後、以下の条件でニッケル・クロム合金をスパッタリングして平均厚さ40nmのクロム・ニッケル合金層を形成して基材金属層とした。すなわち、38μm厚のポリイミドフィルムを100℃で3×10-5Paで10分間処理した後、装置内の圧力を100℃×0.5Paにしてクロム・ニッケル合金のスパッタリングを行って基材金属層を形成した。 【0107】 上記のようにして形成された基材金属層上に、電気メッキ法により、銅を析出させて厚さ8μmの電解銅層(電気メッキ銅層)を形成した。 こうして形成された電解銅層の表面に感光性樹脂を塗布し、露光・現像して、配線ピッチが30μm(ライン幅;15μm、スペース幅;15μm)となるように櫛形電極のパターンを形成し、このパターンをマスキング材として、電解銅層を、HCl;100g/リットルを含 む濃度12%の塩化第2銅エッチング液を用いて30秒間エッチングして感光性樹脂で形成したパターンと相似形の配線パターンを製造した。 【0108】 得られた配線パターン上の感光性樹脂で形成されたマスキング材を、NaOH+NaCO3溶液 で40℃×30秒間処理することにより除去した。 次いで第1処理液として、K2S2O8+H2SO4溶液で30℃×10秒処理し、銅と基材 金属層(Ni-Cr合金)を酸洗した。 【0109】 次に、第2処理液として、濃度40g/リットルの過マンガン酸カリウム+20g/リットルのKOHエッチング液を用いて、40℃×1分かけてNi-Cr合金張出部を不働態化し、さらに線間に僅かに残存するクロムをできるだけ溶出すると共に、除去し切れなかったクロムを酸化クロムとして不働態化した。 【0110】 次に、回路基板のフィルム上およびパターン上に付着して残存しているMnを除去するため、40g/リットルのシュウ酸2水和((COOH)-2H2O)を溶解したシュウ酸水溶液を用いて基板を40℃で1分間洗浄し、残存Mnを溶解除去した。その後、23℃の純水15秒間洗浄を行った。 【0111】 こうしてシュウ酸水溶液で40℃×1分間洗浄した場合の基板に付着残存しているMnは、0.00056μg/cm2であった。これに対して、シュウ酸水溶液による洗浄を行 わなかった場合(参考例2)は、残留Mn量は、0.11μg/cm2であった。 【0112】 さらに、0.5μm厚のSnメッキを行い加熱して所定の純Sn層を形成した。 こうして形成された配線パターンの断面形状は、図3 (1)に近似した形状を有していた 。 【0113】 こうして櫛形電極が形成されたプリント配線基板を85℃85%RHの条件で40Vの電 圧を印加して1000時間導通試験(HHBT)を行った。このプリント配線基板の絶縁信頼試験前の絶縁抵抗は、5×1014Ωであり、絶縁信頼性試験後に測定した絶縁抵抗は5×1014Ωであり、両者の間に電圧を印加したことに伴う絶縁抵抗の実質的な差は認められなかった。 【0114】 これに対してシュウ酸処理を行わなかったサンプル(参考例2)の絶縁信頼性試験後に測定した絶縁抵抗は、3.5×1014Ωであり、シュウ酸を用いた処理を行うことにより、得られたプリント配線基板の絶縁信頼性が向上した。 【0115】 結果を表1に示す。 【実施例3】 【0116】 35mm幅で、平均厚さ38μmのポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、ユーピレッ クスS)の一方の表面を逆スパッタにより粗化処理した後、以下の条件でニッケル・クロム合金をスパッタリングして平均厚さ40nmのクロム・ニッケル合金層を形成して基材金属層とした。すなわち、38μm厚のポリイミドフィルムを100℃で3×10-5Paで10分間処理した後、装置内を、100℃×0.5Paに調整したクロム・ニッケル合金のスパッタリングを行って基材金属層を形成した。 【0117】 上記のようにして形成された基金属層上に、電気メッキ法により、銅を析出させて厚さ8μmの電解銅層(電気メッキ銅層)を形成した。 こうして形成された電解銅層の表面に感光性樹脂を塗布し、露光・現像して、配線ピッチが30μm(ライン幅;15μm、スペース幅;15μm)となるように櫛形電極のパターンを形成し、このパターンをマスキング材として、電解銅層を、HCl;100g/ リットルを含む濃度12%の塩化第2銅エッチング液を用いて30秒間エッチングして感 光性樹脂で形成したパターンと相似形の配線パターンを製造した。 【0118】 得られた配線パターン上の感光性樹脂で形成されたマスキング材を、NaOH+NaCO3溶液 で40℃×30秒間処理することにより除去した。 次いで酸洗液としてK2S2O8+H2SO4溶液で30℃×10秒処理し、銅と基材金属層(Ni-Cr合金)を酸洗した。 【0119】 次に、Niを溶解可能な第1処理液である15%HCl+15%H2SO4溶液を用いて、 50℃×30秒かけてNi-Cr合金張出部26のNiを溶解すると共に、配線パターン間に 絶縁フィルムであるポリイミドを露出させた。 【0120】 さらにCrを溶解しかつポリイミドを溶解し得る第2処理液として、40g/リットルの 過マンガン酸カリウム+20g/リットルKOH溶液を用いて処理することにより配線パターン間にある金属をその下のポリイミドフィルム50nm厚と共に、溶解除去した。 【0121】 次に、回路基板のフィルム上およびパターン上に付着して残存しているMnを除去するため、40g/リットルのシュウ酸2水和((COOH)-2H2O)を溶解したシュウ酸水溶液を用いて基板を40℃で1分間洗浄し、残存Mnを溶解除去した。その後、23℃の純水で15秒間洗浄を行った。 【0122】 こうしてシュウ酸水溶液で40℃×1分間洗浄した場合の基板に付着残存しているMnは、0.00028μg/cm2であった。これに対して、シュウ酸水溶液による洗浄を行 わなかった場合(参考例3)は、Mnの残存量は0.056μg/cm2であった。 【0123】 さらに、内部接続端子および外部接続端子を露出するようにソルダーレジスト層を形成し、他方露出している内部接続端子および外部接続端子に、0.5μm厚のSnメッキを行い加熱して所定の純Sn層を形成した。 【0124】 こうして形成された配線パターンの断面形状は、図3(3)に近似した形状を有していた。 こうして櫛形電極が形成されたプリント配線基板を85℃85%RHの条件で40Vの電 圧を印加して1000時間導通試験(HHBT)を行った。得られたプリント配膳基板の絶縁信頼試験前の絶縁抵抗は、7×1014Ωであり、絶縁信頼性試験後に測定した絶縁抵抗は8×1014Ωであり、両者の間に電圧を印加したことに伴う絶縁抵抗の実質的な差は認められなかった。 【0125】 これに対してシュウ酸処理を行わなかったサンプル(参考例3)の絶縁信頼性試験後に測定した絶縁抵抗は4.6×1014Ωであり、シュウ酸を用いた処理を行うことにより、得られたプリント配線基板の絶縁信頼性が向上した。 【0126】 結果を表1に示す。 【0127】 【表1】
【産業上の利用可能性】 【0128】 上記のように本発明のプリント配線基板は、エッチング液由来の金属を、還元性物質を含有する水溶液で処理して除去しているので、プリント配線基板の表面におけるエッチング液由来金属の残留量が著しく少なく、こうした残留金属に起因するマイグレーションの 発生などを防止することができ、たいへん信頼性の高いプリント配線基板および半導体装置を得ることができる。また、プリント配線基板を製造する際において、エッチング液由来の金属が除去されているので、後の工程における処理液、さらには装置が、エッチング液由来の金属によって汚染されることがなく、効率よくプリント配線基板および半導体装置を製造することができる。また、還元性物質を含有する処理液で、エッチング液由来の金属を効率よく除去することができるので、水洗工程を短縮することができ、本発明の製造方法を採用することにより、効率よくプリント配線基板を製造することができる。 【図面の簡単な説明】 【0129】 【図1】図1は、本発明のプリント配線基板を製造する工程の例を示す工程図である。 【図2】図2は、本発明のプリント配線基板を製造するそれぞれの工程における配線パターン等の断面の例を示す図である。 【図3】図3は、本発明の方法で形成される配線パターンの断面の例を模式的に示す図である。 【符号の説明】 【0130】 11・・・絶縁フィルム 12・・・基材金属層 16・・・メッキ層 17・・・断面台形状の基材基部 20・・・導電性金属層 22・・・マスキング材
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006183 【氏名又は名称】三井金属鉱業株式会社
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| 【出願日】 |
平成19年11月12日(2007.11.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081994 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴木 俊一郎
【識別番号】100103218 【弁理士】 【氏名又は名称】牧村 浩次
【識別番号】100107043 【弁理士】 【氏名又は名称】高畑 ちより
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| 【公開番号】 |
特開2008−66748(P2008−66748A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月21日(2008.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願2007−293509(P2007−293509) |
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