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【発明の名称】 二流路式冷却装置
【発明者】 【氏名】大野 裕孝

【要約】 【課題】二流路式冷却装置において、主流路の冷媒と副流路の冷媒とを十分に混合して、主流路の冷媒を効率的に冷却するとともに、蒸気泡を確実に凝縮させて消滅させることが可能となる二流路式冷却装置を提供する。

【構成】冷媒が流通するとともに発熱体である半導体装置に熱的に接続された主流路30と、主流路30よりも半導体装置から離間した位置に設けられ、冷媒が流通する副流路20・20とを備えた二流路式の冷却装置10であって、副流路20・20を流通する冷媒が、主流路30における冷媒の流れ方向と直交する方向に対して傾斜した方向から、主流路内30に流入する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が流通するとともに発熱体に熱的に接続された主流路と、
前記主流路よりも発熱体から離間した位置に設けられ、冷媒が流通する副流路とを備えた二流路式冷却装置であって、
副流路を流通する冷媒が、主流路における冷媒の流れ方向と直交する方向に対して傾斜した方向から、該主流路内に流入する、
ことを特徴とする二流路式冷却装置。
【請求項2】
前記主流路内には、冷媒の流れ方向に複数の整流板が設けられており、
前記整流板は、副流路からの冷媒の主流路への流入経路に沿った領域で不連続に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の二流路式冷却装置。
【請求項3】
前記整流板が不連続に形成されている部分は、主流路の幅方向における中央部から両側端へ向って冷媒流れ方向の下流側へ傾斜する、上流側に凸となる略「V」字形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の二流路式冷却装置。
【請求項4】
前記主流路の内面には、冷媒の副流路から主流路への流入経路に沿って溝部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の二流路式冷却装置。
【請求項5】
前記溝部は、主流路の幅方向における中央部から両側端へ向って冷媒流れ方向の下流側へ傾斜する、上流側に凸となる略「V」字形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の二流路式冷却装置。
【請求項6】
前記副流路からの冷媒の主流路への流入経路は、主流路における冷媒流れ方向の複数箇所に設けられ、
前記主流路は、
上流側の前記流入経路から下流側の前記流入経路までに至る領域で、その深さが連続的に変化するとともに、
前記各流入経路が形成されている領域で、その深さが不連続的に変化している、
ことを特徴とする請求項1に記載の二流路式冷却装置。
【請求項7】
前記主流路の深さが不連続的に変化している部分は、主流路の幅方向における中央部から両側端へ向って冷媒流れ方向の下流側へ傾斜する、上流側に凸となる略「V」字形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の二流路式冷却装置。



【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒が流れる主流路および副流路を備えた二流路式の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、IGBT等の高発熱のパワー素子を備えた半導体装置を冷却するための冷却装置が知られており、例えば特許文献1に示すような冷却装置がある。
特許文献1においては、パワー素子を備えた半導体装置等の発熱体に取り付けた状態で冷媒を流すことによって、その発熱体を冷却するように構成した冷却装置が開示されている。
この冷却装置は冷媒が流れる主流路および副流路を備えた二流路式の冷却装置に構成されており、主流路は発熱体が取り付けられた箇所に配置されていて、該主流路を流れる冷媒により発熱体が冷却される。
主流路を流れる冷媒は発熱体を冷却することによって加熱されるため、上流側の冷媒に比べて下流側の冷媒が高温となって冷却効率が低下してしまう。
そこで、特許文献1に記載の冷却装置では、主流路よりも発熱体から離れた位置に副流路を設けて、該副流路から主流路に対して冷媒を供給し、主流路の冷媒を冷却することにより、発熱体が多数実装された大型の冷却装置においても、主流路における下流側の冷却水の温度上昇を抑えて、各発熱体を均一に冷却することを可能としている。
【0003】
また、特許文献1に記載の冷却装置では、沸騰冷却を行うことで、主流路の冷媒による発熱体の冷却効率を高めることが行われている。
つまり、沸騰は冷媒が液相から気相へ相変化する現象であり、冷媒の沸騰と凝縮による潜熱移動によって発熱体を冷却する冷却装置を構成することで、非常に高い熱輸送性能を得ることができる。
一方、沸騰冷却を行う場合には、主流路内の冷媒に蒸気泡が発生するが、発生した蒸気泡は下流側へいくにつれて他の蒸気泡と合体して大きな蒸気泡が生じることとなる。
このように大きな蒸気泡が生じると、主流路の伝熱面が液相の冷媒で濡れていない状態となって断熱層が形成され、発熱体から冷媒への放熱が阻害されて、バーンアウト現象に陥る恐れがある。
【0004】
このように、沸騰冷却を行う際にバーンアウト現象が発生すると、放熱が阻害されて発熱体の温度が急激に上昇して破損する恐れがあるため、発熱体を備える機器の信頼性等の観点からバーンアウト現象を回避する必要がある。
そこで、特許文献1記載の冷却装置では、過冷状態の冷媒を副流路から主流路へ注入して、主流路の冷媒と副流路の冷媒とを混合することにより、合体して大きくなった蒸気泡を凝縮崩壊させてバーンアウト現象を回避するようにしている。
【特許文献1】特開2005−79337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の特許文献1に記載される冷却装置においては、副流路の冷媒の主流路への注入方向が、主流路の冷媒の流れ方向に対して略直交する方向となっているので、主流路の冷媒と副流路の冷媒とが混合する範囲が、主流路の厚み(または幅)寸法の範囲となり、両冷媒の混合範囲が狭かった。
また、蒸気泡は主流路の冷媒とともに流れているので、副流路から流入してきた冷媒と接触する時間が短かった。
このように、主流路の冷媒と副流路の冷媒との混合範囲が狭く、蒸気泡と副流路からの冷媒との接触時間が短かったため、両冷媒が十分に混合することができないとともに、蒸気泡が十分に消滅せず主流路内に残存する場合があった。
そこで、本発明においては、主流路の冷媒と副流路の冷媒とを十分に混合して、主流路の冷媒を効率的に冷却するとともに、主流路内の蒸気泡を確実に消滅させることができる冷却装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する二流路式冷却装置は、以下の特徴を有する。
即ち、請求項1記載の如く、冷媒が流通するとともに発熱体に熱的に接続された主流路と、前記主流路よりも発熱体から離間した位置に設けられ、冷媒が流通する副流路とを備えた二流路式冷却装置であって、副流路を流通する冷媒が、主流路における冷媒の流れ方向と直交する方向に対して傾斜した方向から、該主流路内に流入する。
これにより、主流路の冷媒と副流路からの冷媒とが混合する範囲が広くなるため、両者の混合を効率的に行い、蒸気泡を確実に凝縮させて消滅させることが可能となる。
【0007】
また、請求項2記載の如く、前記主流路内には、冷媒の流れ方向に複数の整流板が設けられており、前記整流板は、副流路からの冷媒の主流路への流入経路に沿った領域で不連続に形成されている。
これにより、主流路を流れる冷媒は、整流板が不連続な部分で乱流となって幅方向に移動するため、乱流の状態で不連続な部分に留まる時間が増加し、主流路を流れる冷媒と、副流路からの冷媒との混合が、不連続の部分で十分に行われることとなり、冷媒を効率的に冷却するとともに、蒸気泡を確実に凝縮させて消滅させることが可能となる。
【0008】
また、請求項3記載の如く、前記整流板が不連続に形成されている部分は、主流路の幅方向における中央部から両側端へ向って冷媒流れ方向の下流側へ傾斜する、上流側に凸となる略「V」字形状に形成されている。
これにより、温度が高くなっている幅方向中央部の冷媒を、整流板が不連続に形成されている部分で幅方向における外側方向へ分散することができ、中央部の冷媒の温度上昇を抑制することが可能となる。
また、前記不連続な部分においては、中央部の高温の冷媒が両側部へ移動するのに伴って冷媒中に発生した蒸気泡も両側部へ移動するため、両側部へ移動してきた冷媒や蒸気泡に対して、連通路を通じて整流板が不連続な部分の両側部に流入する副流路からの低温の冷媒を直接注入することができ、冷媒を効率的に冷却するとともに、蒸気泡を確実に凝縮させて消滅させることが可能となる。
【0009】
また、請求項4記載の如く、前記主流路の内面には、副流路からの冷媒の主流路への流入経路に沿って溝部が形成されている。
これにより、主流路を流れる冷媒が、溝の部分で乱流となって幅方向に移動するため、乱流の状態で溝の部分に留まる時間が増加し、主流路を流れる冷媒と、副流路からの冷媒との混合が、溝の部分で十分に行われることとなり、冷媒を効率的に冷却するとともに、蒸気泡を確実に凝縮させて消滅させることが可能となる。
【0010】
また、請求項5記載の如く、前記溝部は、主流路の幅方向における中央部から両側端へ向って冷媒流れ方向の下流側へ傾斜する、上流側に凸となる略「V」字形状に形成されている。
これにより、主流路の幅方向における中央部の冷媒が、溝の部分で外側へ分散することができ、中央部の冷媒の温度上昇を抑制することが可能となる。
また、溝の部分においては、中央部の高温の冷媒が両側部へ移動するのに伴って冷媒中に発生した蒸気泡も両側部へ移動するため、両側部へ移動してきた冷媒や蒸気泡に対して、溝の両側部に流入する副流路からの低温の冷媒を直接注入することができ、副流路の冷媒と主流路の冷媒とを十分に混合して、主流路の冷媒を効率的に冷却するとともに、蒸気泡を確実に凝縮させて消滅させることが可能となる。
【0011】
また、請求項6記載の如く、前記副流路からの冷媒の主流路への流入経路は、主流路における冷媒流れ方向の複数箇所に設けられ、前記主流路は、上流側の前記流入経路から下流側の前記流入経路までに至る領域で、その深さが連続的に変化するとともに、前記各流入経路が形成されている領域で、その深さが不連続的に変化している。
これにより、主流路を流れる冷媒が、主流路の深さが不連続的に変化している部分で乱流となって幅方向に移動するため、乱流の状態で主流路の深さが不連続的に変化している部分に留まる時間が増加し、主流路を流れる冷媒と副流路からの冷媒との混合が、主流路の深さが不連続的に変化している部分で十分に行われることとなり、冷媒を効率的に冷却するとともに、蒸気泡を確実に凝縮させて消滅させることが可能となる。
【0012】
また、請求項7記載の如く、前記主流路の深さが不連続的に変化している部分は、主流路の幅方向における中央部から両側端へ向って冷媒流れ方向の下流側へ傾斜する、上流側に凸となる略「V」字形状に形成されている。
これにより、主流路の幅方向における中央部の冷媒が、主流路の深さが不連続的に変化している部分で外側へ分散することができ、中央部の冷媒の温度上昇を抑制することが可能となる。
また、主流路の深さが不連続的に変化している部分においては、中央部の高温の冷媒が両側部へ移動するのに伴って冷媒中に発生した蒸気泡も両側部へ移動するため、両側部へ移動してきた冷媒や蒸気泡に対して、主流路の深さが不連続的に変化している部分の両側部に流入する副流路からの低温の冷媒を直接注入することができ、副流路の冷媒と主流路の冷媒とを十分に混合して、主流路の冷媒を効率的に冷却するとともに、蒸気泡を確実に凝縮させて消滅させることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、副流路の冷媒と主流路の冷媒とを十分に混合して、主流路の冷媒を効率的に冷却するとともに、蒸気泡を確実に凝縮させて消滅させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
図1に示す二流路式の冷却装置10は、発熱体を冷却するための冷却装置であり、発熱体としては、例えば、IGBT等の高発熱のパワー素子を備えた半導体装置100が適用される。
冷却装置10は、上面および下面が各側面に比べて広い略直方体形状に形成されており、半導体装置100を冷却するための冷媒が流れる主流路30、および主流路30内の冷媒を冷却するための冷媒が流れる一対の副流路20・20を備えている。
【0016】
前記一対の副流路20・20は主流路30の両側に該主流路30を挟むようにして並設されており、主流路30および副流路20・20の内部においては、該主流路30および副流路20・20の長手方向に冷媒が流れている。
冷媒の流れる方向は主流路30と副流路20・20とで反対方向となっており、本例では、例えば図2に示すように主流路30内の冷媒は左方へ流れ、副流路20・20内の冷媒は右方へ流れている。
【0017】
また、主流路30の冷媒流れ方向における一端側には冷媒流入口31が形成されており、各副流路20・20の冷媒流れ方向における一端側にはそれぞれ冷媒排出口21・21が形成されている。
【0018】
前記半導体装置100は、冷却装置10の上面における主流路30が形成されている部分に設置されている。半導体装置100は、該半導体装置100の下面の全範囲が主流路30の上方に位置するように配置されている。
これにより、半導体装置100と主流路30とが熱的に接続された状態となっている。
また、副流路20・20は主流路30よりも半導体装置100から離間した位置に配置されることとなる。
【0019】
各副流路20・20と主流路30との間には複数の連通路40・40・・・が形成されており、該副流路20・20と主流路30とは連通路40・40・・・により連通されている。
複数の連通路40・40・・・は、主流路30および副流路20・20の長手方向に沿って、適宜間隔を開けて配置されている。
【0020】
前記主流路30内には、冷媒の流れ方向に沿って整流板5が設けられている。
整流板5は、複数の整流板要素群50・52・54・・・にて構成されており、各整流板要素群50・52・54・・・は、主流路30の長手方向(冷媒の流れ方向)に適宜間隔をもって配置されている。本例では、各整流板要素群50・52・54・・・の間隔は略同じに設定されている。
【0021】
また、各整流板要素群50・52・54・・・は、それぞれ複数の整流板要素50a・50b・50c・50d・50e、整流板要素52a・52b・52c・52d・52e、および整流板要素54a・54b・54c・54d・54eを備えており、該各整流板要素50a・50b・・・、各整流板要素52a・52b・・・、および各整流板要素54a・54b・・・は、主流路30の長手方向(冷媒の流れ方向)に沿って略平行に配置されている。
各整流板要素50a・50b・・・、各整流板要素52a・52b・・・、および各整流板要素54a・54b・・・は、例えば主流路30の底面に立設されている。
【0022】
各整流板要素50a・50b・50c・50d・50eは略同じ長さの部材にて形成されており、冷媒流れ方向において互いに異なった位置にずらして配置されている。
具体的には、該整流板要素50a・50b・50c・50d・50eのうち、主流路30の幅方向(冷媒の流れ方向と直交する方向)における中央部に配置される整流板要素50cが、最も冷媒流れ方向における上流側に位置している。
また、主流路30の幅方向における整流板要素50cの両側に配置される整流板要素50b・50dは、整流板要素50cよりも冷媒流れ方向における下流側に位置しており、主流路30の幅方向における整流板要素50b・50dより外側に配置される整流板要素50a・50eは、整流板要素50b・50dよりも冷媒流れ方向における下流側に位置している。
【0023】
このように、整流板要素群50を構成する整流板要素50a・50b・50c・50d・50eは、整流板要素50cが最も上流側に配置され、整流板要素50a・50eが最も下流側に配置された、上流側に凸となる略「V」字状に配置されている。
また、前記整流板要素群52・54・・・も整流板要素群50と同様に構成されており、各整流板要素群50・52・54・・・は、冷媒流れ方向に所定の間隔を設けながら配置されている。
【0024】
すなわち、各整流板要素群50と整流板要素群52、および整流板要素群52と整流板要素群54とは不連続に配置されており、各整流板要素群50・52・54・・・間には隙間60が形成されている。
前述のごとく、各整流板要素群50・52・54・・・における各要素は上流側に凸となる略「V」字状に配置されているので、各整流板要素群50・52・54・・・の間に形成される隙間60も上流側に凸となる略「V」字状の形状となっている。
詳しくは、前記隙間60は、主流路30の幅方向における中央部から両側端へ向って、冷媒の流れ方向の下流側へ傾斜する略「V」字形状に形成されており、該隙間60の中央部が最も上流側に位置し、両側部が最も下流側に位置している。
【0025】
このように形成される隙間60の両側部の位置に合わせて、前記連通路40・40・・・が配置されている。該連通路40・40・・・は、前記隙間60と同様に、冷媒流れ方向と直交する方向に対して傾斜しており、該連通路40・40・・・の主流路30側端は副流路20・20側端より、主流路30における冷媒流れ方向の上流側に位置している。
従って、副流路20・20から各連通路40・40・・・を通じて主流路30へ流入する冷媒は、前記隙間60に沿って注入されることとなる。
なお、隙間60は、平面視において、半導体装置100の実装位置とオーバーラップしない位置に設けることが好ましい。
【0026】
このように構成される冷却装置10においては、主流路30を流れる冷媒は、主流路30の一端側に形成される冷媒流入口31から供給され、該主流路30内を流れた後に他端側に形成される冷媒排出口(図示せず)から排出される。
また、副流路20・20を流れる冷媒は、副流路20・20の一端側(主流路30の冷媒排出口が形成される側)から供給され、該副流路20・20内を流れた後に他端側に形成される冷媒排出口21・21から排出される。
【0027】
さらに、副流路20・20を流れる冷媒は、前述のごとく前記連通路40・40・・・を通じて主流路30へ流入するが、この場合、主流路30の下流側には副流路20・20の上流側の冷媒が流入し、主流路30の上流側には副流路20・20の下流側の冷媒が流入する。
主流路30を流れる冷媒は、該主流路30の上方に実装される半導体装置100を冷却することによって昇温されるが、前述のように、主流路30には副流路20・20から連通路40・40・・・を通じて低温な冷媒が流入するため、該主流路30を流れる冷媒の温度上昇が抑制されることとなり、特に主流路30の下流側を流れる冷媒の温度が過度に上昇することが防止される。
なお、本例では副流路20・20に、該副流路20・20を流れる冷媒の冷媒排出口21・21が形成されているが、副流路20・20を流れる冷媒は連通路40・40・・・を通じて主流路30に流れ込むため、冷媒排出口21・21を省略して、副流路20・20を流れる冷媒を主流路30の冷媒排出口から排出するように構成することも可能である。
【0028】
ここで、主流路30および副流路20・20を流れる冷媒としては、冷却装置10の制御温度の上限に近い温度が沸点となる冷媒が用いられており、冷却装置10においては冷媒の沸騰現象を利用した沸騰冷却が行われている。
沸騰は冷媒が液相から気相へ相変化する現象であり、沸騰冷却においては、冷媒の沸騰と凝縮による潜熱移動にて熱移動が行われるため、非常に高い熱輸送性能を得て、優れた冷却効果を得ることが可能となっている。
なお、冷媒としては、例えば水やフルオロカーボンなどの有機溶剤が用いられるが、冷媒の種類は、冷却装置10の冷却目標温度となる制御温度などに対応して適宜選択することができる。
【0029】
前述のように沸騰冷却を行う場合には、主流路30内の冷媒が沸騰して沸騰蒸気の気泡(以下、「蒸気泡」と記載する)が発生するが、発生した蒸気泡は、そのままでは下流側へいくにつれて他の蒸気泡と合体して大きな蒸気泡が生じることとなる。
このように、大きな蒸気泡が生じると、半導体装置100からの発熱の伝熱面となる主流路30の上面が液相の冷媒で濡れていない状態となって断熱層が形成されることとなり、半導体装置100から冷媒への放熱が阻害されて、バーンアウト現象に陥る恐れがある。
【0030】
そこで、本冷却装置10においては、各整流板要素群50・52・54・・・における各要素を略「V」字状に配置するとともに、連通路40・40・・・を冷媒の流れ方向と直交する方向に対して傾斜して形成し、副流路20・20内の低温の冷媒を該連通路40・40・・・を通じて主流路30における前記隙間60の部分に流入させることで、以下のように、主流路30を流れる冷媒を効率的に冷却して、発生した蒸気泡を確実に消滅させるようにしている。
【0031】
まず、主流路30を流れる冷媒は、各整流板要素群50・52・54・・・の部分を流れているときには、該各整流板要素群50・52・54・・・により整えられて整流状態で流れるが、各整流板要素群50・52・54・・・が途切れる隙間60の部分では、流れが乱れて乱流状態となる。
乱流状態にある冷媒においては、発生した蒸気泡が破壊され消滅するため、主流路30において、整流板5を冷媒の流れ方向に不連続に形成して隙間60を設けることで、主流路30内で発生した蒸気泡を該隙間60にて消滅させることができる。
【0032】
本例の場合では、例えば図3に示すように、上流側の整流板要素群50にて整流された冷媒が、整流板要素群50と整流板要素群52との間の隙間60にて乱流となる。
この場合、各整流板要素群50・52の各整流板要素50a・50b・50c・50d・50eおよび整流板要素52a・52b・52c・52d・52eは、冷媒流れ方向において互いに異なった位置にずらして略「V」字状に配置されているため、隙間60の部分で乱流となった冷媒は、該隙間60の傾斜した形状に沿って主流路30の幅方向における中央部から両側部へ向って移動していく。
【0033】
これにより、半導体装置100の直下を通過して温度が高くなっている幅方向中央部の冷媒を、隙間60の部分で幅方向における外側方向へ分散することができ、中央部の冷媒の温度上昇を抑制することが可能となっている。
【0034】
また、前記隙間60の部分においては、中央部の高温の冷媒が両側部へ移動するのに伴って冷媒中に発生した蒸気泡も両側部へ移動するため、両側部へ移動してきた冷媒や蒸気泡に対して、連通路40・40・・・を通じて隙間60の両側部に流入する低温の副流路20・20からの冷媒を直接注入することができ、冷媒を効率的に冷却するとともに、蒸気泡を確実に凝縮させて消滅させることが可能となっている。
【0035】
さらに、主流路30を流れる冷媒は、隙間60の部分で乱流となって幅方向における中央側から外側方向へ向って移動するため、乱流の状態で隙間60の部分に留まる時間が増加し、主流路30を流れる冷媒と、連通路40・40・・・を通じて流入する副流路20・20からの冷媒との混合が、隙間60の部分で十分に行われることとなり、さらに冷媒を効率的に冷却するとともに、蒸気泡を確実に凝縮させて消滅させることが可能となる。
【0036】
また、隙間60および連通路40・40・・・は、主流路30の冷媒流れ方向と直交する方向に対して傾斜しているので、主流路30の冷媒と副流路20・20からの冷媒とが混合する範囲が広くなるため、両者の混合を効率的に行い、蒸気泡を確実に凝縮させて消滅させることが可能となる。
【0037】
なお、主流路30における冷媒の流れ方向と直交する方向に対して傾斜して形成される連通路40・40・・・の傾斜角度θ(図2参照)は、次式にて求められる範囲の値に設定され、この範囲内で実験やシミュレーションにより最適な値が決定される。
【数1】


【0038】
これに対し、仮に図4、図5に示すように、各整流板要素群50・52・54・・・を構成する整流板要素50a・50b・50c・50d・50e、整流板要素52a・52b・52c・52d・52e、および整流板要素54a・54b・54c・54d・54eを、冷媒流れ方向においてずらさずに同じ位置に配置した場合には、主流路30の幅方向における冷媒の流れがほとんど生じることがないので、隙間60の部分においても中央部の高温の冷媒は中央部に留まったままで、冷媒が高温な中央部および低温な両側部といったように、幅方向における温度分布が大きくなり易い。
【0039】
従って、隙間60の両側部に流入する副流路20・20からの冷媒の多くは、主流路30の両側部を流れる低温な冷媒と混合することとなり、中央部の高温な冷媒が冷却されない結果となり冷却能力が低下する。
また、中央部の温度が高い冷媒では沸騰が激しく蒸気泡も多く発生するため、この高温の冷媒に、副流路20・20からの低温の冷媒を混合させることが好ましいが、副流路20・20からの冷媒が流入する連通路40・40・・・の近辺の主流路30には温度が高くない冷媒が流れているため、中央部の高温の冷媒を効率的に冷却して蒸発泡を消去させることが困難である。
【0040】
このように、各整流板要素群50・52・54・・・の各要素を、冷媒流れ方向においてずらさずに同じ位置に配置した場合には、主流路30を流れる冷媒を効率的に冷却して蒸発泡を消滅させることが困難であるが、本例では、各整流板要素群50・52の各要素を、冷媒流れ方向において互いに異なった位置にずらして略「V」字状に配置することにより、主流路30を流れる冷媒を効率的に冷却して、蒸発泡を確実に消滅させることを可能としている。
【0041】
<第2の実施形態>
次に、図6〜図8を用いて、本実施形態における冷却装置110について説明する。なお、前述の第1の実施形態と説明が重複する部分については説明を省略する。
冷却装置110は、第1の実施形態の冷却装置10と同様に、上面および下面が各側面に比べて広い略直方体形状に形成されており、主流路130および一対の副流路120・120を備えている。
【0042】
前記一対の副流路120・120は主流路130の両側に該主流路130を挟むようにして並設されており、主流路130および副流路120・120の内部には、該主流路130および副流路120・120の長手方向に冷媒が流れている。
冷媒の流れる方向は主流路130と副流路120・120とで反対方向となっており、本例では、例えば図2に示すように主流路130内の冷媒は左方へ流れ、副流路120・120内の冷媒は右方へ流れている。
【0043】
また、主流路130の冷媒流れ方向における一端側には冷媒流入口131が形成されており、各副流路120・120の冷媒流れ方向における一端側にはそれぞれ冷媒排出口121・121が形成されている。
【0044】
前記半導体装置100は、冷却装置110の上面における主流路130が形成されている部分に設置されている。半導体装置100は、該半導体装置100の下面の全範囲が主流路130の上方に位置するように配置されている。
【0045】
各副流路120・120と主流路130との間には複数の連通路140・140・・・が形成されており、該副流路120・120と主流路130とは連通路140・140・・・により連通されている。
複数の連通路140・140・・・は、主流路130および副流路120・120の長手方向に沿って、適宜間隔を開けて配置されている。
【0046】
主流路130の底面には、該主流路130の幅方向に形成される溝150が複数設けられている。該溝150は、主流路130の幅方向における中央部から両側端へ向うにつれて、冷媒の流れ方向の下流側へ向うように傾斜しており、冷媒流れ方向の上流側に凸となる略「V」字状の形状に形成されている。
【0047】
また、複数の溝150・150・・・は、冷媒流れ方向に適宜間隔を設けて配置されており、前記各連通路140・140・・・は、各溝150・150・・・の幅方向における両側部に位置を合わせて配置されている。
そして、該連通路140・140・・・は、前記溝150・150・・・と同様に、冷媒流れ方向と直交する方向に対して傾斜しており、該連通路140・140・・・の主流路130側端は1副流路20・20側端より、主流路130における冷媒流れ方向の上流側に位置している。
これにより、副流路120・120から各連通路140・140・・・を通じて主流路130内に流れ込む冷媒は、溝150・150・・・に沿った経路で注入されることとなる。
【0048】
このように構成される冷却装置110においては、主流路130を流れる冷媒は、主流路130の一端側に形成される冷媒流入口131から供給され、該主流路130内を流れた後に他端側に形成される冷媒排出口(図示せず)から排出される。
また、副流路120・120を流れる冷媒は、副流路120・120の一端側(主流路130の冷媒排出口が形成される側)から供給され、該副流路120・120内を流れた後に他端側に形成される冷媒排出口121・121から排出される。
【0049】
また、冷却装置110においては、主流路130を流れる冷媒の流速は、相対的に深くなっている溝150・150・・・の部分を通過するときに、溝150・150・・・が形成されていない相対的に浅い部分を通過するときと比べて、遅くなる。
これにより、冷媒中に発生した蒸気泡は上流側から下流側へ流れる過程において、流速が遅くなる溝150・150・・・が形成されている部分の上部に集合するようになる。
【0050】
また、主流路130において溝150が形成されている部分には、連通路140を通じて副流路120・120からの低温の冷媒が注入されるため、副流路120・120からの冷媒と溝150形成部分に集合している蒸気泡とが長時間接触することにより、蒸気泡が凝縮して消滅することとなる。
【0051】
さらに、図8に示すように、主流路130を通過する冷媒は、溝150の部分を通過するときに該溝150内に流れ込み、流れ込んだ冷媒は溝150内で上下方向に循環するように流れる。冷媒が溝150の部分でこのように流れることで、溝150部での冷媒の流れが乱れて乱流状態となる。
このように、溝150部での冷媒の流れが乱流状態となることにより、副流路120・120から流入してきた冷媒がよく攪拌され、主流路130を流れる冷媒との混合が促進される。
【0052】
また、溝150部は副流路120・120からの冷媒の主流路120への流入経路に沿って形成されており、主流路120を流れる冷媒が、溝150の部分で乱流となって幅方向に移動するため、乱流の状態で溝150の部分に留まる時間が増加し、主流路120を流れる冷媒と、連通路140・140を通じて流入する副流路120・120からの冷媒との混合が、溝150の部分で十分に行われることとなり、冷媒を効率的に冷却するとともに、蒸気泡を確実に凝縮させて消滅させることが可能となる。
【0053】
特に、本例では、溝150および連通路140・140を冷媒流れ方向と直交する方向から傾斜させて設け、該溝150部を上流側に凸となる略「V」字形状に形成しているため、主流路130の幅方向における中央部の冷媒が、溝150の部分で外側へ分散することができ、中央部の冷媒の温度上昇を抑制することが可能となる。
また、溝150の部分においては、中央部の高温の冷媒が両側部へ移動するのに伴って冷媒中に発生した蒸気泡も両側部へ移動するため、両側部へ移動してきた冷媒や蒸気泡に対して、連通路140・140・・・を通じて溝150の両側部に流入する副流路120・120からの低温の冷媒を直接注入することができ、副流路120・120の冷媒と主流路130の冷媒とを十分に混合して、主流路130の冷媒を効率的に冷却するとともに、蒸気泡を確実に凝縮させて消滅させることが可能となる。
【0054】
このように、主流路130内に、前述の第1の実施形態における整流板要素群50・52・54・・・および隙間60を設ける代わりに、前記溝150・150・・・を形成することによっても、冷媒を効率的に冷却するとともに、蒸気泡を確実に消滅させることが可能となっている。
【0055】
<第3の実施形態>
次に、図9〜図11を用いて、本実施形態における冷却装置210について説明する。なお、前述の他の実施形態と説明が重複する部分については説明を省略する。
冷却装置210も、冷却装置210と同様な形状の略直方体形状に形成され、主流路230および該主流路230を挟むようにして並設される一対の副流路220・220を備えている。主流路230および副流路220・220には、それぞれ長手方向に冷媒が流れており、その流れる方向は互いに反対方向となっている。
【0056】
主流路230の冷媒流れ方向(図9においては左方から右方)における一端側には冷媒流入口231が形成されており、各副流路220・220の冷媒流れ方向(図9においては右方から左方)における一端側にはそれぞれ冷媒排出口221・221が形成されている。
また、前記半導体装置100は、冷却装置210の上面における主流路230が形成されている部分に設置されており、該半導体装置100の下面の全範囲が主流路230の上方に位置するように配置されている。
【0057】
各副流路220・220と主流路230との間には複数の連通路240・240・・・が形成されており、該副流路220・220と主流路230とは連通路240・240・・・により連通されている。
複数の連通路240・240・・・は、主流路230および副流路220・220の長手方向に沿って、適宜間隔を開けて配置されている。
【0058】
主流路230の底面には、傾斜部254、平坦部252、および仕切り壁部250が形成されており、冷媒流れ方向の上流側から、傾斜部254→平坦部252→仕切り壁部250の順に並んでいる。
これらの傾斜部254と平坦部252と仕切り壁部250とで一つの単位底面256を構成しており、この単位底面256は冷媒の流れ方向に繰り返し配置されている。
【0059】
前記傾斜部254は、冷媒の流れ方向に沿って下る(深くなる)ように傾斜した傾斜面であり、平坦部252は、傾斜部254の下流側端であって、前記連通路240・240・・・が形成されている領域に配置されている。仕切り壁部250は、平坦部252の下流側端から略垂直上方へ延びる壁面に形成されている。
また、ある単位底面256における平坦部252の下流側端と、それよりも下流側に位置する単位底面256における傾斜部254の上流側端とが接続されている。
さらに、仕切り壁部250の上端は、主流路230の上面には当接しておらず、冷媒が通過可能な空間が確保されている。
【0060】
また、前記平坦部252および仕切り壁部250は、平面視において、主流路230の幅方向における中央部から両側端へ向うにつれて、冷媒の流れ方向の下流側へ向うように傾斜しており、冷媒流れ方向の上流側に凸となる略「V」字状の形状に形成されている。
前記各連通路240・240・・・は、各平坦部252・252・・・の幅方向における両側部に位置を合わせて配置されている。
【0061】
そして、前記連通路240・240・・・も、平坦部252および仕切り壁部250と同様に、冷媒流れ方向と直交する方向に対して傾斜しており、該連通路240・240・・・の主流路230側端は副流路220・220側端より、主流路230における冷媒流れ方向の上流側に位置している。
これにより、副流路220・220から各連通路240・240・・・を通じて主流路230内に流れ込む冷媒は、各平坦部252・252・・・に沿った経路で注入されることとなる。
【0062】
このように、主流路230には、上流側の冷媒の流入経路である連通路240から下流側の流入経路である連通路240までに至る領域内に、その深さが連続的に変化する傾斜部254、およびその深さが不連続的に変化している仕切り壁部250が形成されており、さらに各連通路240が形成されている領域に、該仕切り壁部250が配置されている。
【0063】
このように構成される主流路230においては、該主流路230を流れる冷媒に前記傾斜部254に沿う流れが生じ、傾斜部254に沿った流れは平坦部252に達した後、前記仕切り壁部250にぶつかることとなる。
冷媒の流れが仕切り壁部250にぶつかると、該仕切り壁部250に沿った上向きの流れとなり、その後平坦部252の付近で上下方向に循環するような流れが生じて、冷媒の流れが乱れる。
ただし、本例においては、傾斜部254と仕切り壁部250との間に平坦部252を設けているため、傾斜部254の直後に仕切り壁部250を配置した場合に比べて冷媒の流れが必要以上に乱れることがなく、冷媒がスムーズに循環するようになっている。
【0064】
また、冷媒の流れが仕切り壁部250にぶつかって平坦部252付近で循環すると、冷媒の流れが遮られるため、冷媒とともに流れてきた蒸気泡が平坦部252付近に停滞する。
この蒸気泡が停滞する平坦部252には、前述のように副流路220・220からの低温の冷媒が流れ込むため、流れ込んできた低温の冷媒と蒸気泡とが接触し、蒸気泡が凝縮して消滅することとなる。
【0065】
また、前述のように平坦部252での冷媒の流れは乱流状態となることにより、副流路220・220から流入してきた冷媒はよく攪拌され、主流路230を流れる冷媒との混合が促進される。
【0066】
また、仕切り壁部250および平坦部252は副流路220・220からの冷媒の主流路220への流入経路に沿って形成されており、主流路220を流れる冷媒が、仕切り壁部250および平坦部252の部分で乱流となって幅方向に移動するため、乱流の状態で仕切り壁部250および平坦部252に留まる時間が増加し、主流路220を流れる冷媒と、連通路240・240を通じて流入する副流路220・220からの冷媒との混合が、仕切り壁部250および平坦部252で十分に行われることとなり、冷媒を効率的に冷却するとともに、蒸気泡を確実に凝縮させて消滅させることが可能となる。
【0067】
特に、本例では、仕切り壁部250および平坦部252ならびに連通路240・240を冷媒流れ方向と直交する方向から傾斜させて設け、該仕切り壁部250および平坦部252を上流側に凸となる略「V」字形状に形成しているため、主流路230の幅方向における中央部の冷媒が、仕切り壁部250および平坦部252の部分で外側へ分散することができ、中央部の冷媒の温度上昇を抑制することが可能となる。
また、仕切り壁部250および平坦部252においては、中央部の高温の冷媒が両側部へ移動するのに伴って冷媒中に発生した蒸気泡も両側部へ移動するため、両側部へ移動してきた冷媒や蒸気泡に対して、連通路240・240・・・を通じて仕切り壁部250および平坦部252の両側部に流入する副流路220・220からの低温の冷媒を直接注入することができ、副流路220・220の冷媒と主流路230の冷媒とを十分に混合して、主流路230の冷媒を効率的に冷却するとともに、蒸気泡を確実に凝縮させて消滅させることが可能となる。
【0068】
このように、主流路230内に、傾斜部254、平坦部252、および仕切り壁部250で構成される単位底面256を設けることでも、冷媒を効率的に冷却し、蒸気泡を確実に消滅させることが可能となっている。
【0069】
<第4の実施形態>
次に、図12〜図14を用いて、本実施形態における冷却装置310について説明する。なお、前述の他の実施形態と説明が重複する部分については説明を省略する。
冷却装置310も、冷却装置310と同様な形状の略直方体形状に形成され、主流路330および該主流路330を挟むようにして並設される一対の副流路320・320を備えている。主流路330および副流路320・320には、それぞれ長手方向に冷媒が流れており、その流れる方向は互いに反対方向となっている。
【0070】
主流路330の冷媒流れ方向(図12においては左方から右方)における一端側には冷媒流入口331が形成されており、各副流路320・320の冷媒流れ方向(図12においては右方から左方)における一端側にはそれぞれ冷媒排出口321・321が形成されている。
また、前記半導体装置100は、冷却装置310の上面における主流路330が形成されている部分に設置されており、該半導体装置100の下面の全範囲が主流路330の上方に位置するように配置されている。
【0071】
各副流路320・320と主流路330との間には複数の連通路340・340・・・が形成されており、該副流路320・320と主流路330とは連通路340・340・・・により連通されている。
複数の連通路340・340・・・は、主流路330および副流路320・320の長手方向に沿って、適宜間隔を開けて配置されている
【0072】
主流路230の底面には、傾斜部354、絶壁部350、および平坦部352が形成されており、冷媒流れ方向の上流側から、傾斜部354→絶壁部350→平坦部352の順に並んでいる。
これらの傾斜部354と絶壁部350と平坦部352とで一つの単位底面356を構成しており、この単位底面356は冷媒の流れ方向に繰り返し配置されている。
【0073】
前記傾斜部354は、冷媒の流れ方向に沿って上る(浅くなる)ように傾斜した傾斜面であり、絶壁部350は、傾斜部354の下流側端から略垂直下方へ延びる壁面に形成されている。平坦部352は、絶壁部350から下流側へ延びる平坦面であり、前記連通路340・340・・・が形成されている領域に配置されている。
また、ある単位底面356における平坦部352の下流側端と、それよりも下流側に位置する単位底面356における傾斜部354の上流側端とが接続されている。
さらに、絶壁部350の上端は、主流路330の上面には当接しておらず、冷媒が通過可能な空間が確保されている。
【0074】
また、主流路330の最も上流側の領域には傾斜部354は形成されておらず、その代わりに平坦なプラトー部358が形成されている。
プラトー部358の下流側端には絶壁部350が配置され、続いて下流側には平坦部352が形成されている。
【0075】
また、前記絶壁部350および平坦部352は、平面視において、主流路330の幅方向における中央部から両側端へ向うにつれて、冷媒の流れ方向の下流側へ向うように傾斜しており、冷媒流れ方向の上流側に凸となる略「V」字状の形状に形成されている。
前記各連通路340・340・・・は、各平坦部352・352・・・の幅方向における両側部に位置を合わせて配置されている。
【0076】
そして、前記連通路340・340・・・も、平坦部352および絶壁部350と同様に、冷媒流れ方向と直交する方向に対して傾斜しており、該連通路340・340・・・の主流路330側端は副流路320・320側端より、主流路330における冷媒流れ方向の上流側に位置している。
これにより、副流路320・320から各連通路340・340・・・を通じて主流路330内に流れ込む冷媒は、各平坦部352・352・・・に沿った経路で注入されることとなる。
【0077】
このように、主流路330には、上流側の冷媒の流入経路である連通路340から下流側の流入経路である連通路340までに至る領域内に、その深さが連続的に変化する傾斜部354、およびその深さが不連続的に変化している絶壁部350が形成されており、さらに各連通路340が形成されている領域に、該絶壁部350が配置されている。
【0078】
このように構成される主流路330においては、該主流路330を流れる冷媒には、前記傾斜部354に沿って上る方向の流れが生じる。
傾斜部354に沿って流れる冷媒は、該傾斜部354の下流側端部に達すると、絶壁部350に沿って該絶壁部350の上端から下方へ向って一気に落下する。
絶壁部350の下部に落下した冷媒は、平坦部352に当たって略垂直上方に押し返され、絶壁部350と平坦部352との間で循環し流れが乱れる。
ただし、本例においては、絶壁部350と傾斜部354との間に平坦部352を設けているため、絶壁部350の直後に傾斜部354を配置した場合に比べて冷媒の流れが必要以上に乱れることがなく、冷媒がスムーズに循環するようになっている。
【0079】
また、冷媒の流れが絶壁部350と平坦部352との間で循環することにより、冷媒とともに流れてきた蒸気泡が平坦部352付近に停滞する。
この蒸気泡が停滞する平坦部352には、前述のように副流路320・320からの低温の冷媒が流れ込むため、流れ込んできた低温の冷媒と蒸気泡とが接触し、蒸気泡が凝縮して消滅することとなる。
【0080】
また、前述のように平坦部352での冷媒の流れは乱流状態となることにより、副流路320・320から流入してきた冷媒はよく攪拌され、主流路330を流れる冷媒との混合が促進される。
【0081】
また、絶壁部350および平坦部352は副流路320・320からの冷媒の主流路320への流入経路に沿って形成されており、主流路320を流れる冷媒が、絶壁部350および平坦部352の部分で乱流となって幅方向に移動するため、乱流の状態で絶壁部350および平坦部352に留まる時間が増加し、主流路320を流れる冷媒と、連通路340・340を通じて流入する副流路320・320からの冷媒との混合が、絶壁部350および平坦部352で十分に行われることとなり、冷媒を効率的に冷却するとともに、蒸気泡を確実に凝縮させて消滅させることが可能となる。
【0082】
特に、本例では、絶壁部350および平坦部352ならびに連通路340・340を冷媒流れ方向と直交する方向から傾斜させて設け、該絶壁部350および平坦部352を上流側に凸となる略「V」字形状に形成しているため、幅方向における中央部の冷媒が、絶壁部350および平坦部352の部分で外側へ分散することができ、中央部の冷媒の温度上昇を抑制することが可能となる。
また、絶壁部350および平坦部352においては、中央部の高温の冷媒が両側部へ移動するのに伴って冷媒中に発生した蒸気泡も両側部へ移動するため、両側部へ移動してきた冷媒や蒸気泡に対して、連通路340・340・・・を通じて絶壁部350および平坦部352の両側部に流入する副流路320・320からの低温の冷媒を直接注入することができ、副流路320・320の冷媒と主流路330の冷媒とを十分に混合して、主流路330の冷媒を効率的に冷却するとともに、蒸気泡を確実に凝縮させて消滅させることが可能となる。
【0083】
このように、主流路330内に、傾斜部354、絶壁部350、および平坦部352で構成される単位底面356を設けることでも、冷媒を効率的に冷却し、蒸気泡を確実に消滅させることが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】第1の実施形態における冷却装置を示す正面図である。
【図2】第1の実施形態における冷却装置を示す平面断面図である。
【図3】第1の実施形態における冷却装置の整流板要素群と整流板要素群との間の隙間での冷媒の流れを示す平面図である。
【図4】各整流板要素が冷媒流れ方向の同じ位置に配置された整流板要素群を備えた冷却装置を示す平面断面図である。
【図5】各整流板要素が冷媒流れ方向の同じ位置に配置された整流板要素群と整流板要素群との間の隙間での冷媒の流れを示す平面図である。
【図6】第2の実施形態における冷却装置を示す平面断面図である。
【図7】第2の実施形態における冷却装置を示す側面断面図である。
【図8】第2の実施形態における冷却装置の主流路に形成される溝部での冷媒の流れを示す側面断面図である。
【図9】第3の実施形態における冷却装置を示す平面断面図である。
【図10】第3の実施形態における冷却装置を示す側面断面図である。
【図11】第3の実施形態における冷却装置の主流路に形成される平坦部および仕切り壁部での冷媒の流れを示す側面断面図である。
【図12】第4の実施形態における冷却装置を示す平面断面図である。
【図13】第4の実施形態における冷却装置を示す側面断面図である。
【図14】第3の実施形態における冷却装置の主流路に形成される絶壁部および平坦部での冷媒の流れを示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0085】
5 整流板
10・110・210・310 冷却装置
20・120・220・320 副流路
30・130・230・330 主流路
40・140・240・340 連通路
50・52・54 整流板要素群
60 隙間
150 溝
250 仕切り壁部
252・352 平坦部
254・354 傾斜部
350 絶壁部
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成18年9月11日(2006.9.11)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎


【公開番号】 特開2008−66670(P2008−66670A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−246040(P2006−246040)