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【発明の名称】 高周波ユニット
【発明者】 【氏名】渡辺 英樹

【要約】 【課題】カバーの取り外し作業の容易な高周波ユニットを提供すること。

【構成】本発明の高周波ユニットにおいて、カバー4の側面板に設けられたスリット部6a、7aと上面板5に設けられた曲げ誘発部9の存在によって、カバー4が曲げ難い材料で形成されていても、側面板6,7や上面板5を曲げ易くできる上に、半田10を部分的に溶融し、その箇所のカバー4の曲げ作業を繰り返すことによって、カバー4の取り外しができて、カバー4の取り外し作業の容易なものが得られると共に、半田を部分的に溶融するため、電子部品への熱の影響を小さくできて、電子部品の性能を損ねることがなく、精度の高い不良解析ができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が上面に搭載された回路基板と、前記電子部品を覆った状態で前記回路基板に半田付けされた金属板からなる箱形のカバーとを備え、前記カバーは、上面板と、この上面板から折り曲げられて前記回路基板側に延びて互いに対向する2対の第1,第2の側面板と、高さ方向に縦断するように前記第1,第2の側面板に設けられたスリット部と、前記上面板に設けられた曲げ誘発部とを有し、前記第1,第2の側面板の下部が前記回路基板に半田付けされたことを特徴とする高周波ユニット。
【請求項2】
前記曲げ誘発部は、前記上面板の角部を区画するように、隣り合う前記第1,第2の側面板に設けられた前記スリット部を結ぶ線上に形成されたことを特徴とする請求項1記載の高周波ユニット。
【請求項3】
前記曲げ誘発部は、1対の前記第1の側面板に設けられた互いに対向する前記スリット部を結ぶ線上、或いは、1対の前記第2の側面板に設けられた互いに対向する前記スリット部を結ぶ線上に形成されたことを特徴とする請求項1,又は2記載の高周波ユニット。
【請求項4】
前記カバーは、長方形状をなす前記上面板と、前記上面板の長辺側に位置する1対の前記第1の側面板と、前記上面板の短辺側に位置する1対の前記第2の側面板とを有し、前記曲げ誘発部は、前記第1の側面板に設けられた互いに対向する前記スリット部を結ぶ線上に形成されたことを特徴とする請求項3記載の高周波ユニット。
【請求項5】
前記曲げ誘発部は、間隔を置いて設けられた孔部で形成されたことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の高周波ユニット。
【請求項6】
前記カバーが前記回路基板に設けられた高周波回路を覆うと共に、前記カバーに設けられた前記スリット部と前記孔部の長さは、1/4λ未満に形成したことを特徴とする請求項5記載の高周波ユニット。
【請求項7】
前記第1,第2の側面板で形成される角部には、隙間部が設けられたことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の高周波ユニット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離無線装置や携帯電話機等に使用される送受信ユニット等に使用して好適な高周波ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は従来の高周波ユニットの要部断面図であり、次に、従来の高周波ユニットの構成を図5に基づいて説明すると、回路基板51には、配線パターン52が設けられると共に、この配線パターン52には、種々の電子部品53が搭載されて、所望の電気回路が形成されている。
【0003】
金属板からなる箱形のカバー54は、上面板54aと、この上面板54aから下方に折り曲げられた側面板54bを有し、このカバー54は、電子部品53を覆った状態で回路基板1の上面に載置され、側面板54aの下部全周が配線パターン52に半田55付けされて、従来の高周波ユニットが形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような従来の高周波ユニットにおいて、電気検査によって不合格となった製品は、不良解析のために回路基板51からカバー54を取り外して、電子部品53の状態、その半田付の状態、及び回路の接続状態等の不良解析を行うようになっていると共に、カバー54は、比較的に硬い材料や比較的に厚い材料が使用されて、曲げ難いものとなっている。
【特許文献1】特開2005−259901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の高周波ユニットにあっては、側面板54bの全周が回路基板51に半田55付けされているため、不良解析のためにカバー54を取り外す場合、全周の半田55を同時に溶融しなければならず、その作業が面倒で、作業性が悪くなる上に、この半田55の溶融時、高周波ユニット全体が高温に加熱されるため、電子部品53の性能を損ねて精度の高い不良解析ができず、また、カバー54が曲げ難いため、回路基板51からカバー54を部分的に外すこともできないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、カバーの取り外し作業の容易な高周波ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、電子部品が上面に搭載された回路基板と、電子部品を覆った状態で回路基板に半田付けされた金属板からなる箱形のカバーとを備え、カバーは、上面板と、この上面板から折り曲げられて回路基板側に延びて互いに対向する2対の第1,第2の側面板と、高さ方向に縦断するように第1,第2の側面板に設けられたスリット部と、上面板に設けられた曲げ誘発部とを有し、第1,第2の側面板の下部が回路基板に半田付けされたことを特徴としている。
【0008】
このように構成した本発明は、カバーの側面板に設けられたスリット部と上面板に設けられた曲げ誘発部の存在によって、カバーが曲げ難い材料で形成されていても、側面板や上面板を曲げ易くできる上に、半田を部分的に溶融し、その箇所のカバーの曲げ作業を繰り返すことによって、カバーの取り外しができて、カバーの取り外し作業の容易なものが得られると共に、半田を部分的に溶融するため、電子部品への熱の影響を小さくできて、電子部品の性能を損ねることがなく、精度の高い不良解析ができる。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、曲げ誘発部は、上面板の角部を区画するように、互いに隣り合う第1,第2の側面板に設けられたスリット部を結ぶ線上に形成されたことを特徴としている。
【0010】
このように構成した本発明は、隣り合う第1,第2の側面板に設けられたスリット部を結ぶ線上に形成された曲げ誘発部の存在によって、カバーの角部における上面板の曲げ作業の容易なものが得られる。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、曲げ誘発部は、1対の第1の側面板に設けられた互いに対向するスリット部を結ぶ線上、或いは、1対の第2の側面板に設けられた互いに対向するスリット部を結ぶ線上に形成されたことを特徴としている。
【0012】
このように構成した本発明は、第1,或いは第2の側面板に設けられた互いに対向するスリット部を結ぶ線上に形成された曲げ誘発部の存在によって、上面板の中央部での曲げ作業の容易なものが得られる。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、カバーは、長方形状をなす上面板と、上面板の長辺側に位置する1対の第1の側面板と、上面板の短辺側に位置する1対の第2の側面板とを有し、曲げ誘発部は、第1の側面板に設けられた互いに対向するスリット部を結ぶ線上に形成されたことを特徴としている。
【0014】
このように構成した本発明は、長手方向に対して直交する方向での上面板における曲げ作業の容易なものが得られる。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、曲げ誘発部は、間隔を置いて設けられた孔部で形成されたことを特徴としている。
【0016】
このように構成した本発明は、孔部の存在によって、折り曲げ位置での上面板の肉部を少なくできて、曲げ作業の容易なものが得られる。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、カバーが回路基板に設けられた高周波回路を覆うと共に、カバーに設けられたスリット部と孔部の長さは、1/4λ未満に形成したことを特徴としている。
【0018】
このように構成した本発明は、カバーからの高周波信号(送受信信号等)の漏れや高周波信号のカバーへの侵入を防止できる。
【0019】
また、本発明は、上記発明において、第1,第2の側面板で形成される角部には、隙間部が設けられたことを特徴としている。
【0020】
このように構成した本発明は、隙間部の存在によって、カバーの角部における治具の掛け止めが容易となって、曲げ作業の容易なものが得られる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、カバーの側面板に設けられたスリット部と上面に設けられた曲げ誘発部の存在によって、カバーが曲げ難い材料で形成されていても、側面板や上面板を曲げ易くできる上に、半田を部分的に溶融し、その箇所のカバーの曲げ作業を繰り返すことによって、カバーの取り外しができて、カバーの取り外し作業の容易なものが得られると共に、半田を部分的に溶融するため、電子部品への熱の影響を小さくできて、電子部品の性能を損ねることがなく、精度の高い不良解析ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明の高周波ユニットに係る一部断面正面図、図2は本発明の高周波ユニットに係るカバーの平面図、図3は本発明の高周波ユニットに係るカバーの下面図、図4は本発明の高周波ユニットに係り、カバーの取り外し作業を示す斜視図である。
【0023】
次に、本発明の高周波ユニットに係る構成を図1〜図4に基づいて説明すると、回路基板1の上面には、銅箔等からなる配線パターン2が設けられ、この配線パターン2には、半導体部品、及び抵抗やコンデンサ等のチップ部品等からなる種々の電子部品3が搭載されて、送受信回路等の高周波回路を有した所望の電気回路が形成されている。
【0024】
金属板からなる箱形のカバー4は、板厚が薄い等の曲げ易い材料で形成され、長方形状等の四角形状の上面板5と、この上面板5から下方に折り曲げられ、互いに対向する2対の第1,第2の側面板6,7と、第1,第2の側面板6,7で形成される角部に設けられた隙間部8を有する。
【0025】
また、1対の第1の側面板6は、互いに対向する位置位置に、高さ方向に縦断するように設けられた複数のスリット部6aを有すると共に、1対の第2の側面板は、互いに対向する位置に、高さ方向に縦断するように設けられた複数のスリット部7aを有する。
【0026】
更に、上面板5は、上面板5の角部を区画するように、隣り合う第1,第2の側面板6,7に設けられたスリット部6a、7aを結ぶ線上や互いに対向するスリット部6aを結ぶ線上に形成された曲げ誘発部9を有している。
【0027】
この実施例では、曲げ誘発部9が上面板5に間隔を置いて設けられた丸形の孔部となっているが、細長の孔部でも良く、また、曲げ誘発部9は、直線状や間隔を置いて設けられたV字状等の溝部によって、上面板5に薄肉部を形成したものでも良い。
【0028】
このようなカバー4は、高周波回路を形成する電子部品3を覆った状態で、第1,第2の側面板6,7の下端部が回路基板1上に載置され、第1,第2の側面板6,7のそれぞれの下部が配線パターン2の接地パターンに半田10付けされて、回路基板1に取り付けられている。
【0029】
このような構成によって本発明の高周波ユニットが形成されているが、送受信回路等の高周波回路が形成されている場合にあっては、スリット部6a、7aと曲げ誘発部9である孔部の長さを、使用周波数(λ)の1/4λ未満に形成して、カバー4からの高周波信号(送受信信号等)の漏れや高周波信号のカバー4への侵入を防止している。
【0030】
また、上記のような本発明の高周波ユニットにおいて、電気検査によって不合格となった製品は、不良解析のために回路基板1からカバー4を取り外して、電子部品3の状態、その半田付の状態、及び回路の接続状態等の不良解析を行うようになっている。
【0031】
次に、カバー4の取り外しについて、図4に基づいて説明すると、先ず、カバー4の一つの(矢印イで示す)角部の近傍に位置する第1,第2の側面板6,7における半田10を溶融して、溶融した半田10を半田吸い取り線(線材が網合わされて網目状に形成されたもので、図示せず)等によって吸い取りながら、回路基板1から離す方向(上方)にカバー4の角部の箇所を、例えば隙間部8に治具(図示せず)を掛け止めした状態で引き上げる。
【0032】
すると、第1,第2の側面板6,7がスリット部6a、7aの存在によって部分的に回路基板1から持ち上げられて、半田10からの剥がしが行われると共に、上面板5の角部を区画するAの箇所の曲げ誘発部9の位置で、上面板5が折り曲げられる。
【0033】
次に、カバー4のもう一つ(矢印ロで示す)の角部の近傍に位置する半田10を溶融して、上記と同様の作業を行うと、カバー4のもう一つの角部における第1,第2の側面板6,7の剥がしが行われると共に、上面板5の角部を区画するBの箇所の曲げ誘発部9の位置で、上面板5が折り曲げられる。
【0034】
次に、剥がされた2つの角部間に位置し、未だ剥がされていない第2の側面板7の半田10を溶融して、上面板5を上方に持ち上げると、スリット部6a間に位置するCの箇所の曲げ誘発部9の位置で、上面板5が折り曲げられて、第2の側面板7の剥がしが行われる。
【0035】
次に、剥がされた角部の隣に位置する対向する第1の側面板6における半田10を溶融して、上面板5を上方に持ち上げると、Dの箇所の曲げ誘発部9の位置で、上面板5が折り曲げられるようになると共に、このような作業を繰り返すと、Eの箇所の曲げ誘発部9の位置で、上面板5が折り曲げられて、第1の側面板6の剥がしが行われる。
【0036】
次に、矢印ハで示すカバー4の角部の近傍に位置する半田10を溶融して、上記と同様の作業を行うと、角部における第1,第2の側面板6,7の剥がしが行われると共に、上面板5の角部を区画するFの箇所の曲げ誘発部9の位置で、上面板5が折り曲げられ、最後に、矢印ニで示すカバー4の角部の近傍に位置する半田10を溶融して、上記と同様の作業を行うと、角部における第1,第2の側面板6,7の剥がしが行われると共に、上面板5の角部を区画するGの箇所の曲げ誘発部9の位置で、上面板5が折り曲げられて、回路基板1からのカバー4の取り外し作業が完了する。
【0037】
このように、本発明におけるカバー4の取り外しは、部分的な半田10の溶融と、部分的な上面板5の曲げ動作によって行われるようになっていると共に、上記で説明したカバー4の取り外し作業の順序は、任意に変更できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の高周波ユニットに係る一部断面正面図である。
【図2】本発明の高周波ユニットに係るカバーの平面図である。
【図3】本発明の高周波ユニットに係るカバーの下面図である。
【図4】本発明の高周波ユニットに係り、カバーの取り外し作業を示す斜視図である。
【図5】従来の高周波ユニットの要部断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 回路基板
2 配線パターン
3 電子部品
4 カバー
5 上面板
6 第1の側面板
6a スリット部
7 第2の側面板
7a スリット部
8 隙間部
9 曲げ誘発部
10 半田
【出願人】 【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
【出願日】 平成18年9月11日(2006.9.11)
【代理人】 【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−66642(P2008−66642A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−245430(P2006−245430)