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【発明の名称】 回路基板の製造方法
【発明者】 【氏名】矢島 勝

【要約】 【課題】部品の両面実装を可能とする基板を簡便に得られる、回路基板の製造方法を提供する。

【構成】液滴吐出法を用いて、キャリアシートP上に導電性材料を配置し、導電性材料を焼成して導電部10を形成する。そして、液滴吐出法を用いて、導電部10の少なくとも一部を露出させるように、キャリアシートP上に基材材料を配置し、基材材料を硬化させて基材11を形成する。そして、液滴吐出法を用いて、基材11から露出する導電部10に接続させるように、基材11上に導電性材料を配置し、導電性材料を焼成して他の導電部12を形成し、液滴吐出法を用いて、他の導電部12の少なくとも一部を露出させるように、基材11上に絶縁材料を配置し、絶縁材料を硬化させて絶縁層13を形成する。そして、導電部10及び基材11からキャリアシートPを剥離する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴吐出法を用いて、キャリアシート上に導電性材料を配置し、該導電性材料を焼成して導電部を形成する工程と、
液滴吐出法を用いて、前記導電部の少なくとも一部を露出させるように、前記キャリアシート上に基材材料を配置し、該基材材料を硬化させて基材を形成する工程と、
液滴吐出法を用いて、前記基材から露出する前記導電部に接続させるように、前記基材上に導電性材料を配置し、該導電性材料を焼成して他の導電部を形成する工程と、
液滴吐出法を用いて、前記他の導電部の少なくとも一部を露出させるように、前記基材上に絶縁材料を配置し、該絶縁材料を硬化させて絶縁層を形成する工程と、
前記導電部及び前記基材から前記キャリアシートを剥離する工程と、を備えることを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記キャリアシートとして、ポリイミドからなる基材と、該基材上に形成された剥離層とから構成されるものを用いることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記他の導電部を形成する工程と、前記絶縁層を形成する工程とを順次繰り返し、複数の導電部が絶縁層を介して積層されてなる多層構造を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多層の回路基板を製造する方法としては、印刷法を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。まず、基材上に設けられた下側電極と、該下側電極上にスクリーン印刷により絶縁層を形成し、該絶縁層に前記下側電極の露出させる穴部を形成する。そして、前記絶縁層上に、前記穴部を介して下側電極に導通する上部電極を積層することで、多層の回路基板を形成していた。
【0003】
印刷法によって形成された回路基板は、電子部品等を実装する電極面を、基板の上面側(印刷面側)にのみ有している。そのため、電極面のない基板下面に電子部品を実装する場合、基板の下面側から穴をあけ、その穴の内部にめっきを形成して基板内部に導通する導電部を形成する必要がある。
【特許文献1】実公平04−27184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電子部品の両面実装を可能とする回路基板を製造する場合には、印刷法による絶縁層の形成工程の他に、基板に穴を設ける工程、及び該穴の内面にめっきを形成する工程等が必要となるため、製造工程が複雑になってしまう。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、部品の両面実装を可能とする基板を簡便に得られる、回路基板の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回路基板の製造方法は、液滴吐出法を用いて、キャリアシート上に導電性材料を配置し、該導電性材料を焼成して導電部を形成する工程と、液滴吐出法を用いて、前記導電部の少なくとも一部を露出させるように、前記キャリアシート上に基材材料を配置し、該基材材料を硬化させて基材を形成する工程と、液滴吐出法を用いて、前記基材から露出する前記導電部に接続させるように、前記基材上に導電性材料を配置し、該導電性材料を焼成して他の導電部を形成する工程と、液滴吐出法を用いて、前記他の導電部の少なくとも一部を露出させるように、前記基材上に絶縁材料を配置し、該絶縁材料を硬化させて絶縁層を形成する工程と、前記導電部及び前記基材から前記キャリアシートを剥離する工程と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の回路基板の製造方法によれば、キャリアシート上に形成された導電部は、キャリアシートを剥離することによって基材から露出した状態に形成される。また、前記導電部上に形成された他の導電部は絶縁層から露出した状態に形成されるので、本発明によって得られる回路基板は、例えば半導体チップ等の電子部品を基板の両面に実装することが可能となる。したがって、インクジェット法によるキャリアシート上への材料配置工程、及びキャリアシートを剥離する工程といった簡便な工程により、電子部品の両面実装を可能とする回路基板を提供できる。
【0008】
上記回路基板の製造方法においては、前記キャリアシートとして、ポリイミドからなる基材と、該基材上に形成された剥離層とから構成されるものを用いるのが好ましい。
この構成によれば、キャリアシートを構成する基材が耐熱性及び熱膨張し難いポリイミドから構成されているので、加熱時における伸縮が低減されて、これによりキャリアシート上に形成される回路基板に破損やヒビ割れ等が生じるのを防止することができる。
【0009】
上記回路基板の製造方法においては、前記他の導電部を形成する工程と、前記絶縁層を形成する工程とを順次繰り返し、複数の導電部が絶縁層を介して積層されてなる多層構造を形成するのが好ましい。
この構成によれば、複数の導電部が絶縁層を介して積層されてなる多層構造の回路基板を、液滴吐出法を用いた導電部形成工程及び絶縁層形成工程によって容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳しく説明する。まず、本発明における回路基板の製造方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1、図2は、本実施形態に係る回路基板の製造工程を説明する図である。なお、本発明では、回路基板を構成する材料を配置する工程を、全て液滴吐出法(インクジェット法)により行っている。
【0011】
はじめに、キャリアシートPを用意し、図1(a)に示すように、インクジェット法により、キャリアシートP上に導電性材料Lを配置する。なお、前記導電性材料Lは、インクジェットヘッドHから液滴と吐出することでキャリアシートP上に配置され、後述の焼成工程により導電部を構成するようになる。
【0012】
このキャリアシートPは、ポリイミドからなる基材と該基材上に形成された剥離層とから構成されたものである。このキャリアシートPは、回路基板を形成する支持板として機能するもので、後述するように回路基板を形成した後、剥離される。したがって、前記剥離層は、接着性及び剥離性に優れた接着層などを好適に用いられる。具体的に本実施形態では、キャリアシートPとして、剥離層がシリコーン系粘着材からなる、3M社製のポリイミドテープ(型番;5413)を用いた。このポリイミドテープは、高耐熱性(260℃〜370℃)に優れたものとなっている。なお、上記剥離層はシリコーン系粘着材に限定されることはなく、例えばアクリル系粘着材を用いてもよい。このようなアクリル系粘着材を用いれば、上記シリコーン系粘着材に比べ、耐熱が260℃となり若干低下するものの、後述するキャリアシートPの剥離時に、剥離面に粘着材の成分が残留するのを防止することができる。よって、キャリアシートP上に形成する回路基板に応じて、キャリアシートを適宜変更するのが好ましい。
【0013】
ここで、導電性材料Lについて説明する。
本実施形態では、前記導電性材料Lとして、例えば直径10nm程度の銀微粒子が有機溶剤に分散した銀微粒子分散液の分散媒をテトラデカンで置換してこれを希釈したものを用いた。なお、銀微粒子の表面には、分散媒に分散させた際の凝縮を防止する目的で、有機物のコーティングを施しておいてもよい。
【0014】
また、上記分散媒としては、銀微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0015】
液体材料(分散液)の表面張力は0.02N/m〜0.07N/mの範囲内であることが好ましい。インクジェット法にて液体材料を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、インク組成物のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や、吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、前記分散液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。前記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
【0016】
また、分散液の粘度は、例えば1mPa・s以上50mPa・s以下であることが好ましい。インクジェット法を用いて液体材料を液滴として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周囲がインクの流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となるからである。
【0017】
ところで、インクジェット法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式等が挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm程度の超高圧を印加してノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出して吐出ノズルから吐出させるものである。
【0018】
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。なお、本実施形態では、上記ピエゾ素子による吐出方式を採用した。
【0019】
図3は、ピエゾ方式による液状体材料の吐出原理を説明するための液滴吐出ヘッドHの概略構成図である。液滴吐出ヘッド301において、液状体材料(インク)を収容する液体室321に隣接してピエゾ素子322が設置されている。液体室321には、液状体材料を収容する材料タンクを含む液状体材料供給系323を介して液状体材料が供給される。ピエゾ素子322は駆動回路324に接続されており、この駆動回路324を介してピエゾ素子322に電圧を印加し、ピエゾ素子322を変形させて液体室321を弾性変形させる。そして、この弾性変形時の内容積の変化によってノズル325から液状体材料が吐出されるようになっている。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み量を制御することができる。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み速度を制御することができる。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有している。
【0020】
上述したような導電性材料LをキャリアシートP上に配置した後、該導電性材料Lを焼成する。
具体的に本実施形態では、導電性材料Lを配置した後、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理を行う。乾燥処理としては、通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理を採用することができる。なお、本実施形態では、ホットプレートを用いて、例えば120℃〜150℃で60分間程度の加熱処理を行った。なお、この加熱処理は窒素雰囲気下で行ってもよく、必ずしも大気中で行う必要はない。
【0021】
また、この乾燥処理は、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。
【0022】
ところで、前記導電性材料Lにおける微粒子間の電気的接触をよくするためには、分散媒を完全に除去する必要がある。また、導電性微粒子の表面に分散性を向上させるために有機物などのコーティング剤がコーティングされている場合には、このコーティング剤も除去する必要がある。そのため、前記導電性材料Lに対して熱処理及び/又は光処理が施される(焼成処理)。
【0023】
通常、焼成処理は、大気中で行なわれるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。焼成処理の温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング剤の有無や量、基板の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。例えば、有機物からなるコーティング剤を除去するためには、約250℃で焼成処理を行う必要がある。以上の工程により、導電性材料Lの乾燥膜は微粒子間の電気的接触が確保され、導電性膜に変換される。以上のようにして、図1(b)に示すように、キャリアシートP上に下部電極(導電部)10を形成することができる。
【0024】
ところで、導電性材料の焼成処理や絶縁材料の硬化処理時には、キャリアシートP自体が加熱されてしまう。そして、キャリアシートPが熱膨張することで、キャリアシートP上に形成された回路基板を構成部材に応力が加わって破損するおそれがある。
【0025】
そこで、本発明では、キャリアシートPを構成する基材に熱膨張し難く、かつ耐熱性に優れたポリイミドを用いているので、加熱時のキャリアシートPの伸縮が低減されて、キャリアシートP上に形成した回路基板の構成部材に破損やヒビ割れ等が生じるのを防止できる。
【0026】
次に、インクジェット法により、前記下部電極10の上面の一部を露出させるようにして、キャリアシートP上に基材材料を配置する。
上記基材材料としては、乾燥後(硬化処理後)にSiO、SiN、Siとなる液状材料、ポリイミド樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系、フェノール樹脂系、フッ素樹脂系、紫外線硬化樹脂等が例示でき、本実施形態では、前記基材材料として、ポリイミドを溶剤(N−メチル−2−ピロリドン)に希釈したものを用い、200℃の加熱処理で硬化させる。
【0027】
基材材料を配置した後、硬化させることにより図1(c)に示す、基材11を形成する。この基材11は、回路基板の基板本体をなすもので、前記下部電極10の上面を露出させる開口部11aが設けられたものとなる。
【0028】
なお、本発明では、前記基材材料を配置する際にインクジェット法を用いた。そのため、前記基材材料は前記下部電極10上に配置された際に、表面張力により端部が丸みを帯びたスロープ状に配置されるようになる。このような状態で硬化されてなる基材11に設けられた開口部11aの端面は、図1(c)中、領域Aに示されるように湾曲したスロープ状に形成されるようになる。
【0029】
次に、インクジェット法により、基材11から露出する前記下部電極10に接続させるように、具体的には、開口部11aを埋め込むようにして、前記基材11上に導電性材料を配置する。このとき、開口部11aの端面が湾曲したスロープ状に形成されていることから、導電性材料が開口部11a内に良好に配置されるようになる。そして、前記下部電極10aと同様に、乾燥処理、及び焼成処理を行うことにより、図1(d)に示す上部電極(他の導電部)12が形成されるようになる。よって、上述したように下部電極10aと上部電極12とは、スロープ状の端面を有する開口部11aを介し、良好に導通されたものとなる。
【0030】
次に、インクジェット法により、前記上部電極12の上面の一部を露出させるように、前記基材11上に絶縁材料を配置する。上記絶縁材料としては、乾燥後に絶縁性を有するSiO、SiN、Siを構成する液状材料が用いられる。
【0031】
絶縁材料を配置した後、硬化させることにより図2(a)に示す、絶縁層13を形成する。この絶縁層13には、前記上部電極12の上面を露出させる開口部13aが形成された状態となる。
【0032】
続いて、図2(b)に示すように、キャリアシートPを剥離する。このとき、上述したようにキャリアシートPはポリイミドからなる基材を主体として構成されており、可撓性を備えたものとなっている。よって、キャリアシートPを剥離する際に、該キャリアシートP上に形成されている回路基板が破壊されることを確実に防止することができる。以上の工程により、図2(c)に示す回路基板20を製造することができる。
【0033】
本実施形態に係る回路基板20の製造方法によれば、キャリアシートP上に形成された下部電極10は基材11から露出した状態に形成される。また、前記下部電極10上に形成された上部電極11は、絶縁層13から露出した状態に形成されるので、例えば半導体チップ(ICチップ)等の電子部品を回路基板20の両面側に実装することが可能となっている。
【0034】
したがって、本発明によれば、キャリアシートP上へのインクジェット法による材料配置工程、及びキャリアシートPの剥離工程といった簡便な工程により、電子部品の両面実装を可能とする回路基板20を製造することができる。
【0035】
回路基板20は、その上面20a側に上部電極12が露出し、その下面20b側に下部電極10が露出している。すなわち、この回路基板20は、電子部品を基板の両面に実装することが可能となっており、本実施形態では、図4に示すようにICチップ30が基板の上面20a側に露出する上部電極12上に実装されている。このように上部電極12上にICチップ30を実装する場合、前記絶縁層13としてソルダーレジストを形成してもよい。これにより、上部電極12上にICチップ30をはんだ付けによって良好に実装することができる。なお、前記ICチップ30を裏面20b側に露出する下部電極10上に実装するようにしてもよい。
【0036】
(多層回路基板)
次に、本発明の回路基板の製造方法の他の実施形態について説明する。図5は、本実施形態の製造方法により得られた回路基板40を示すもので、該回路基板40上にICチップ30が実装されている。
【0037】
具体的には、図5に示すように、前記基材11上には、開口部11aを介して下部電極10に導通する配線部(他の導電部)14が形成されている。この配線部14は、下部電極10における再配置配線等として機能するものである。そして、この下層導電部14上には下層絶縁層(絶縁層)16が設けられ、該下層絶縁層16に設けられた開口部16aを介して前記配線部14に導通する上部電極(他の導電部)12が形成されている。さらに、前記下層絶縁層16及び前記上部電極12上には、上層絶縁層(絶縁層)17が形成されている。また、上層絶縁層17には開口部17aが設けられ、該開口部17a内に上部電極12が露出した状態に形成されている。
【0038】
回路基板40は、その上面40a側に上部電極12が露出し、その下面40b側に下部電極10が露出している。すなわち、この回路基板40は、半導体チップ(ICチップ30)等の電子部品を基板の両面に実装することが可能となっている。なお、本実施形態では、図5に示したようにICチップ30が基板の上面40a側に露出する上部電極12上に実装されているが、裏面40b側に設けられた下部電極10上に実装するようにしてもよい。
【0039】
ところで、従来、同一層上に形成された配線は、互いが接触することでショートを生じさせるため、配線同士を交差させた構造を採用することができず、基板が大型化するといった問題があった。本発明の回路基板40は、このような配線層の多層構造を備えているので、平面形状を大型化させることなく、多数の配線層を自由に引き回す構造を採用することができる。また、配線層を積層することによる厚みの増加は、30〜50μm程度であることから、多層構造により回路基板の厚みが極端に増加することはなく、上述した利点を主に得ることができる。
【0040】
次に、回路基板40を製造する方法について説明する。回路基板40を製造する工程は、キャリアシートP上に下部電極10を形成し、該下部電極10上に開口部11aが設けられた基材11を形成する工程(図1(a)〜(c)に示した工程)については、上記実施形態と同等である。基材11を形成した後、他の導電部を形成する工程と、絶縁層を形成する工程とを順次繰り返すことで、導電部の多層構造を形成している。
【0041】
具体的には、インクジェット法を用いて、開口部11aが埋め込まれるように基材11上に導電性材料を配置する。そして、下部電極10aと同様に、乾燥処理、及び焼成処理を行うことにより配線層14を形成できる。
【0042】
次に、インクジェット法により、前記配線14の上面の一部を露出させるように基材11上に上記実施形態と同様の絶縁材料を配置し硬化させる。これにより、配線層14の上面を露出させる開口部16aが設けられた下層絶縁層16を形成できる。
【0043】
続いて、インクジェット法を用いて、開口部16aを埋め込むように下層絶縁層16上に導電性材料を配置する。そして、配線層14と同様に、乾燥処理、及び焼成処理を行うことで上部電極12を形成することができる。
【0044】
そして、インクジェット法により、前記上部電極12の上面の一部を露出させるように下層絶縁層16上に絶縁材料を配置し硬化させる。これにより、上部電極12の上面を露出させる開口部17aが設けられた上層絶縁層17を形成できる。なお、上層絶縁層17は、ソルダーレジストであってもよく、これにより上部電極12上にICチップ30をはんだ付けによって良好に実装することができる。最後に、キャリアシートPを剥離することで、回路基板40を形成することができる。すなわち、本実施形態に係る製造工程では、液滴吐出法を用いる、他の導電部を形成する工程と、絶縁層を形成する工程とを順次繰り返すことにより、簡便な工程により、導電部の多層構造を有した回路基板40を形成することができる。
【0045】
なお、上記回路基板40は、下部電極(導電部)10上に他の導電層(配線層14、上部電極10)及び絶縁層(下層絶縁層16、上層絶縁層17)が2層ずつ積層された多層構造について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、他の導電部を形成する工程と、絶縁層を形成する工程を3回以上繰り返すことで、基材10上に導電部(他の導電部)及び絶縁層が3層以上積層された多層構造に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態に係る回路基板の製造工程を説明する図である。
【図2】図1に続く回路基板の製造工程を説明する図である。
【図3】ピエゾ方式による液状体材料の吐出原理を説明するための図である。
【図4】ICチップが実装された回路基板の概略を示す図である。
【図5】多層回路基板の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
P…キャリアシート、L…導電性材料、10…下部電極(導電部)、11…基材、12…上部電極(他の導電部)、13…絶縁層、14…配線部(他の導電部)、16…下層絶縁層(絶縁層)、17…上層絶縁層、20…回路基板
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【出願日】 平成18年9月8日(2006.9.8)
【代理人】 【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉

【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和


【公開番号】 特開2008−66576(P2008−66576A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−244224(P2006−244224)