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【発明の名称】 冷却装置、電子機器および冷却媒体
【発明者】 【氏名】内田 浩基

【氏名】西井 耕太

【氏名】石鍋 稔

【氏名】伊達 仁昭

【氏名】谷口 淳

【要約】 【課題】液体と熱伝導率が高い個体とが混合された冷却媒体を用いることによって冷却性能が向上される。

【構成】液体1aに、液体1aよりも熱伝導率が高く、撥水性または撥油性を有する固体2が混合された冷却媒体1が構成されるために、固体2同士の分散性が向上される。よって、液体1a中の固体2同士の凝縮が妨げられ、そのために、液体1a中における凝縮した固体2の沈降が妨げられる。したがって、液体1aと固体2との攪拌性が高まり冷却性能を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部の熱を受ける受熱部と、外部へ熱を放散する放熱部とを流路にて接続させ、前記流路内に、液体と、前記液体より熱伝導率が高い固体とが混合された冷却媒体を循環させて前記発熱部を冷却する冷却装置において、前記固体の表面は、撥水性または撥油性を有することを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記固体は、シラン系カップリング剤で表面処理されてなることを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
【請求項3】
前記固体は、アニオン性界面活性剤で表面処理されてなることを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
【請求項4】
発熱部の熱を受ける受熱部と、外部へ熱を放散する放熱部とを流路にて接続させ、前記流路内に、液体と、前記液体より熱伝導率が高く、表面処理剤によって表面処理が行われることにより、撥水性または撥油性を有する固体とが混合された冷却媒体を循環させて前記発熱部を冷却する冷却装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
発熱部を冷却するための、液体と前記液体より熱伝導率が高い固体との混合物である冷却媒体において、前記固体の表面は、撥水性または撥油性を有することを特徴とする冷却媒体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は冷却装置、電子機器および冷却媒体に関し、特に液体の循環によって発熱部の冷却を行う冷却装置、電子機器および冷却媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
デスクトップ型のコンピュータ、ノート型のコンピュータ、移動体通信機器などの電子機器は、CPU(Central Processing Unit)素子、コイル素子、コンデンサなどの複数の電子部品がプリント基板上に設けられている。近年、電子機器の高速化、高機能化、高性能化が求められる中、LSI(Large Scale Integration)などの高速化、高集積化が進み、電子部品における処理速度、機能、性能も向上されている。このように、電子機器の高速化、高機能化、高性能化に伴って、これらの電子部品の動作中の発熱量が増加する傾向にある。電子機器の安定した動作を持続させるためには、電子部品から発生した熱を迅速に外部へ放出する放熱性を高める必要がある。
【0003】
従来、電子部品から発生した熱を外部へ放出するために、例えば、CPUにファンを設置し、それを回転させて、送出された空気による冷却を行ってきた。一方、既述の通り、電子部品の発熱量は増加しており、空気よりも高い放熱性を有する冷却装置が必要となる。そこで、空気よりも高い比熱を有する水や不凍液などの液体を冷却媒体として利用した冷却装置が提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照。)。
【0004】
これらの冷却装置では、電子機器の縮小化を図ることができるだけでなく、電子部品(発熱体)からの熱を受ける受熱板(受熱部)と、熱を外部へ放散する放熱板(放熱部)と、ポンプとを、配管にて環状に連結し、ポンプの作用によりこの配管内に液体の冷却媒体を循環させて、受熱部で受けた熱を発熱体から、配管内を流れる冷却媒体を介して放熱部へ伝導させ、放熱部から熱を放散させて発熱体を冷却することができる。
【0005】
一方、今後、社会からの要望や技術の進展により、電子機器の更なる高速化、高性能化、高機能化が進むことが予想される。これに伴って、電子部品の発熱量もさらに増加していくことが考えられる。これに対し、冷却媒体に液体を用いれば、例えば、水よりも熱伝導率が高い液体や、液体の中に、その液体よりも熱伝導率が高い固体を混入した混合冷却媒体など、冷却媒体となる液体の熱伝導率を大きくすることによって冷却性能を向上させることが可能となる。このように、液体を冷却媒体に用いることによって、十分な冷却性能を維持することが可能となり、電子部品の発熱量が増加しても、液体の熱伝導率を変化させることによって、ある程度の対応が可能となる。
【特許文献1】特開2004−111829号公報
【特許文献2】特開2001−237582号公報
【特許文献3】特開2004−95891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、冷却媒体の熱伝導率を向上させるために、液体に熱伝導率が高い固体を混入することには以下の問題点があった。
図6は、高熱伝導性固体が混入された冷却媒体を有する冷却装置の模式図である。
【0007】
冷却装置200は、ポンプ部104と、発熱部105と熱的に接合された受熱部106と、放熱部107とが流路103を介して環状に接続されている。液体101aに液体101aより熱伝導率が高い固体102が混入された冷却媒体101が、ポンプ部104の駆動によって、流路103内を矢印で示す方向に循環するようになっている。
【0008】
このような冷却装置200の冷却性能を向上させるために、液体101a中に固体102が混入されているが、固体102は、分散性が低下する場合がある。このため、固体102と液体101aとの攪拌性が低下してしまう。また、分散性の低下によって、固体102の粒子同士が短時間で凝縮してしまい、液体101a中に沈降してしまう場合がある。
【0009】
以下に、液体101aに熱伝導率が高い固体102が混入された冷却媒体101の熱抵抗について説明する。
図4は、冷却媒体の熱抵抗を示すグラフである。
【0010】
図6の冷却装置200において、例えば、液体101aを不凍液として、固体102を入れない場合(1)、固体102としてアルミナ(Al23)を20重量%混入した場合(2)、固体102として酸化銅(CuO)を20重量%混入した場合(3)、固体102として酸化亜鉛(ZnO)を20重量%混入した場合(4)のそれぞれについて以下の式(1)で表される熱抵抗θを測定した。
【0011】
θ=(TH−TR)/Q ・・・(1)
但し、TH:室温、TR:発熱部の温度、Q:伝達される発熱量、とする。
図4から分かるように、不凍液よりも高い熱伝導率のAl23、CuO、ZnOを混入したいずれの場合も不凍液のみのときよりも熱抵抗θが増加していることが分かる。
【0012】
これは、混入された固体102の分散性の低下のために、液体101aと固体102との攪拌性の低下や固体102の沈降などが生じたことに起因している。そして、攪拌性の低下や固体102の沈降によって、液体101aと共に循環する固体102が減少してしまい、冷却媒体の熱抵抗θが増加し、冷却性能が低下してしまうという問題があった。
【0013】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、液体と熱伝導率が高い個体とが混合された冷却媒体を用いることによって冷却性能が向上される冷却装置、電子機器および冷却媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では上記課題を解決するために、図1に示すように、発熱部5の熱を受ける受熱部6と、外部へ熱を放散する放熱部7とを流路3にて接続させ、流路3内に、液体1aと、液体1aより熱伝導率が高い固体2とが混合された冷却媒体1を循環させて発熱部5を冷却する冷却装置10において、固体2の表面は、撥水性または撥油性を有することを特徴とする冷却装置10が提供される。
【0015】
このような構成によれば、液体に、液体よりも熱伝導率が高く、撥水性または撥油性を有する固体が混合された混合冷却媒体が構成されるために、固体同士の分散性が向上される。
【0016】
また、本発明では、発熱部の熱を受ける受熱部と、外部へ熱を放散する放熱部とを流路にて接続させ、前記流路内に、液体と、前記液体より熱伝導率が高く、表面処理剤によって表面処理が行われることにより、撥水性または撥油性を有する固体とが混合された冷却媒体を循環させて前記発熱部を冷却する冷却装置を備えることを特徴とする電子機器が提供される。
【0017】
このような構成によれば、液体に、液体よりも熱伝導率が高く、表面処理により撥水性または撥油性を有する固体が混合された混合冷却媒体が構成されるために、固体同士の分散性が向上される。
【0018】
また、本発明では、発熱部を冷却するための、液体と前記液体より熱伝導率が高い固体との混合物である冷却媒体において、前記固体の表面は、撥水性または撥油性を有することを特徴とする冷却媒体が提供される。
【0019】
このような構成によれば、液体に、液体よりも熱伝導率が高く、撥水性または撥油性を有する固体が混合された混合冷却媒体が構成されて、固体同士の分散性が向上される。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、液体に、液体よりも熱伝導率が高く、撥水性または撥油性を有する固体が混合された冷却媒体を構成することによって、固体同士の分散性を向上するようにした。これにより、液体中の固体同士の凝縮が妨げられ、そのために、液体中における凝縮した固体の沈降が妨げられる。したがって、液体と固体との攪拌性が高まり冷却性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明の原理について説明する。
図1は、本発明の原理図である。
【0022】
本発明による冷却装置10は、ポンプ部4と、発熱部5と熱的に接合している受熱部6と、放熱部7とが流路3を介して環状に接続されている。液体1aに固体2が混入された冷却媒体1が、ポンプ部4の駆動によって、流路3内を矢印で示す方向に循環するようになっている。なお、固体2については、後に詳細を説明する。
【0023】
上述のような構成からなる冷却装置10の冷却処理について以下に説明する。
ポンプ部4の駆動により、液体1aおよび固体2を有する冷却媒体1を流路3内に循環させる。発熱部5からの熱が受熱部6内部の流路3内を流れる冷却媒体1へ伝導され、温度上昇した冷却媒体1は流路3内を流れて、冷却媒体1を介して運ばれた熱が放熱部7を介して、外部へ放散される。放熱して温度が降下した冷却媒体1は、ポンプ部4の駆動により、流路3内を循環する。このように、冷却媒体1の循環によって発熱部5が冷却される。
【0024】
次に、固体2の詳細について以下に説明する。
同じく図1に示すように、液体1aに混入された固体2は、高熱伝導性固体2aの表面にコーティング膜2bが付着されている。液体1aに高熱伝導性固体2aのみを混入した場合、液体1a中において、高熱伝導性固体2aは、その分散性が低下する場合が多い。分散性が低下すると、液体1aと高熱伝導性固体2aとの攪拌性の低下や高熱伝導性固体2a同士が凝縮して、液体1a中で沈降などが生じる。このため、液体1aと共に循環する高熱伝導性固体2aが減少してしまい、冷却媒体1としての熱抵抗θが増加し、冷却性能が低下してしまう。
【0025】
そこで、高熱伝導性固体2aの表面にコーティング膜2bが付着された固体2は、コーティング膜2bによって、撥水性または撥油性を有するようになることから、固体2同士の分散性が向上する。このため、固体2同士の凝縮や凝縮した固体2同士の液体1a中の沈降が妨げられ、固体2と液体1aとがよくなじむようになり、熱抵抗θが低下し、冷却性能が向上する。
【0026】
次に、第1の実施の形態について以下に説明する。
図2は、第1の実施の形態における冷却装置の模式図である。
冷却装置20は、ポンプ14と、受熱板16と、放熱板17とが配管13を介して環状に接続されている。不凍液11aに、表面が膜で覆われた高熱伝導性固体のAl2312が混入された冷却媒体11が、ポンプ14の駆動によって、配管13内を矢印で示す方向に循環するようになっている。
【0027】
なお、受熱板16は、発熱体15と熱的に接合されている。発熱体15の例として、CPUなどが考えられる。
また、放熱板17には、熱を放散する放熱フィン18が取り付けられており、放熱フィン18の近傍には空気を放熱フィン18に向けて送出する送風ファン19が設けられている。
【0028】
そして、不凍液11aとして、水(H2O)と48重量%のプロピレングリコールの混合液(以下、プロピレングリコール液と呼ぶ。)が用いられている。
さらに、Al2312は、Al23と、これに対して1重量%のシラン系カップリング剤とを攪拌機にて十分に混合して、Al23の表面にカップリング剤を付着させた。この処理によって、Al23の表面が撥水性・撥油性を有するようになる。そして、このようにカップリング剤が表面に付着されたAl2312の20重量%の量がプロピレングリコール液に混入されている。
【0029】
上述のような構成からなる冷却装置20の冷却処理について以下に説明する。
ポンプ14の駆動により、不凍液11aおよびAl2312を有する冷却媒体11を配管13内に循環させる。発熱体15からの熱が受熱板16内部の配管13内を流れる冷却媒体11に伝導され、温度上昇した冷却媒体11は配管13内を流れて、冷却媒体11から熱が放熱板17および放熱フィン18を介して、外部へ放散される。この際、送風ファン19から、放熱フィン18に向けて空気を送出して、より大きな放熱効果を得ることができる。放熱して温度が降下した冷却媒体11は、ポンプ14の駆動により、配管13内を循環される。このように、冷却媒体11の循環によって発熱体15が冷却される。
【0030】
以下に、カップリング剤が付着されたAl2312の熱抵抗θについて説明する。
不凍液11aとしてプロピレングリコール液と表面にカップリング剤が付着されたAl2312とが混合された冷却媒体11を用いて、図4に示すように、冷却媒体11が不凍液11aのみの場合の熱抵抗θ(1)と、不凍液11aにAl23を20重量%混入した場合の熱抵抗θ(2)と、不凍液11aにカップリング剤が付着されたAl2312を20重量%混入した場合の熱抵抗θ(5)とを比較する。図4から示されるように、カップリング剤を付着させることによって、熱抵抗θが低下していることが分かる。
【0031】
これは、Al23の表面にカップリング剤が付着されることによって、Al2312の表面が撥水性または撥油性を有するようになり、Al2312同士の凝縮が妨げられて、分散性が向上される。このため、凝縮したAl2312の不凍液11a中での沈降も妨げられ、Al2312と不凍液11aとがよくなじむようになり、また、Al23の表面にカップリング剤が付着されると、Al2312の配管13の壁面とのすべりが良くなるために、熱抵抗θが低下し、冷却性能を向上させることができる。
【0032】
なお、高熱伝導性固体として、Al23の他に、窒化アルミ(AlN)、CuO、ZnO、酸化ベリリウム(BeO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)などや、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、マグネシウム(Mg)の中のいずれかの金属、または、Cu、Al、Ag、Au、Mgの中の元素を1種類以上含む合金が挙げられる。ここでは、Al23に代わって、特に、CuOまたはZnOを用いて同様の処理を施すと、図4に示すように、冷却媒体11が不凍液11aのみの場合の熱抵抗θ(1)と、不凍液11aにカップリング剤が付着されたCuOを20重量%混入した場合の熱抵抗θ(6)と、不凍液11aにカップリング剤が付着されたZnOを20重量%混入した場合の熱抵抗θ(7)との比較から、Al23に代わって、CuOまたはZnOを用いる場合でも、熱抵抗θを低下させることができ、冷却性能を向上させることができる。
【0033】
次に、第2の実施の形態について以下に説明する。
第1の実施の形態では、液体中に混合させる高熱伝導性固体の表面にカップリング剤を付着させた。表面にカップリング剤を付着させることによって、高熱伝導性固体の分散性を向上させることが可能となった。
【0034】
一方、第2の実施の形態では、アニオン性界面活性剤を用いることによって、高熱伝導性固体の分散性の向上を実現させる場合を例にあげて説明する。
図3は、第2の実施の形態における冷却装置の模式図である。
【0035】
冷却装置30は、第1の実施の形態と同様に、ポンプ24と、受熱板26と、放熱板27とが配管23を介して環状に接続されている。但し、第2の実施の形態では、不凍液21aに、Al2322aの表面にアニオン性界面活性剤22bが吸着された固体22が混入されている冷却媒体21が、ポンプ24の駆動によって、配管23内を矢印で示す方向に循環するようになっている。
【0036】
なお、受熱板26は、発熱体25と熱的に接合されており、発熱体25の例として、CPUなどが考えられる。
また、放熱板27には、熱を放散する放熱フィン28が取り付けられており、放熱フィン28の近傍には空気を放熱フィン28に向けて送出する送風ファン29が設けられている。
【0037】
また、不凍液21aには、プロピレングリコール液が用いられている。
そして、この不凍液21aであるプロピレングリコール液に、Al2322aを混入して、Al2322aに対して1重量%のアニオン性界面活性剤22bを添加した。添加されたアニオン性界面活性剤22bはAl2322aの周りに吸着され、アニオン性界面活性剤22bがAl2322aに吸着された固体22は陰イオンに帯電する。
【0038】
上述のような構成からなる冷却装置30の冷却処理について以下に説明する。
ポンプ24の駆動により、不凍液21aに固体22が混入された冷却媒体21を配管23内に循環させる。発熱体25からの熱が受熱板26内部の配管23内を流れる冷却媒体21に伝導され、温度上昇した冷却媒体21は配管23内を流れて、冷却媒体21から熱が放熱板27および放熱フィン28を介して、外部へ放散される。この際、送風ファン29から、放熱フィン28に向けて空気を送出して、より大きな放熱効果を得ることができる。放熱して温度が降下した冷却媒体21は、ポンプ24の駆動により、配管23内を循環される。このように、冷却媒体21の循環によって発熱体25が冷却される。
【0039】
以下に、Al2322aの表面にアニオン性界面活性剤22bが吸着された固体22の熱抵抗θについて説明する。
以上のように、不凍液21aのプロピレングリコール液にAl2322aの表面にアニオン性界面活性剤22bが吸着された固体22が混入された冷却媒体21を用いて、図4に示すように、冷却媒体21が不凍液21aのみの場合の熱抵抗θ(1)と、不凍液21aにAl2322aを20重量%のみが混入された場合の熱抵抗θ(2)と、不凍液21aにAl2322aを20重量%およびアニオン性界面活性剤22bを混入した場合の熱抵抗θ(8)とを比較する。図4から示されるように、アニオン性界面活性剤22bを混入させることによって、熱抵抗θが低下していることが分かる。
【0040】
これは、Al2322aの表面にアニオン性界面活性剤22bを吸着した固体22は、陰イオンに帯電することによって、固体22同士が反発しあい、分散性が向上する。このため、固体22と不凍液21aとがよくなじむようになり、熱抵抗θが低下し、冷却性能を向上させることができた。
【0041】
なお、Al2322aの他に、高熱伝導性固体であるAlN、CuO、ZnO、BeO、MgO、ZrO2などや、Cu、Al、Ag、Au、Mgの中のいずれかの金属、または、Cu、Al、Ag、Au、Mgの中の元素を1種類以上含む合金が挙げられるが、Al23に代わって、特に、CuOまたはZnOを用いて同様の処理を施した場合、図4に示すように、冷却媒体21が不凍液21aのみ場合の熱抵抗θ(1)と、不凍液21aにCuOを20重量%とアニオン性界面活性剤22bとを混入した場合の熱抵抗θ(9)と、不凍液21aにZnOを20重量%とアニオン性界面活性剤22bとを混入した場合の熱抵抗θ(10)との比較から、熱抵抗θを低下させることができ、冷却性能を向上させることができる。
【0042】
次に、第3の実施の形態について以下に説明する。
第3の実施の形態では、第1、第2の実施の形態のいずれかの冷却装置を備えた電子機器の例としてポータブルコンピュータを例に挙げて説明する。
【0043】
図5は、冷却装置を備えたポータブルコンピュータの模式図である。
ポータブルコンピュータ45は冷却装置40を備えており、この冷却装置40は、配管33を介して環状に接続されたポンプ34、発熱体35と熱的に接続された受熱板36、放熱フィン38が上部に設置された放熱板37およびリサーバタンク41により構成されているとともに、送風ファン39を具備している。
【0044】
この冷却装置40の配管33の中を流れる冷却媒体には、第1、第2の実施の形態において処理が施されたいずれかの固体が混合された液体を冷却媒体として用いると、既出の効果によって、例えばCPUなどの発熱体35に対する冷却能率を向上させることができ、CPUなどの安定動作を維持でき、結果的にポータブルコンピュータ45の性能を高めることができる。
【0045】
第3の実施の形態では、電子機器として、ポータブルコンピュータを例に挙げて説明したが、他にもデスクトップ型のコンピュータや移動体通信機器などの電子機器に備えることによっても同様の効果を得ることができる。
【0046】
今回示した実施例は、高熱伝導性固体の分散性を向上させるために、カップリング剤や界面活性剤を実施例としたが、その他の高熱伝導性固体の分散性を向上させる構成が可能な材料系の組み合わせや処理を行っても同様の効果が得られる。
【0047】
(付記1) 発熱部の熱を受ける受熱部と、外部へ熱を放散する放熱部とを流路にて接続させ、前記流路内に、液体と、前記液体より熱伝導率が高い固体とが混合された冷却媒体を循環させて前記発熱部を冷却する冷却装置において、前記固体の表面は、撥水性または撥油性を有することを特徴とする冷却装置。
【0048】
(付記2) 前記液体は、不凍液であることを特徴とする付記1記載の冷却装置。
(付記3) 前記不凍液が、水とプロピレングリコールとの混合液であることを特徴とする付記2記載の冷却装置。
【0049】
(付記4) 前記固体に、アルミナ、窒化アルミ、酸化銅、酸化亜鉛、酸化ベリリウム、酸化マグネシウムまたは酸化ジルコニウムを用いることを特徴とする付記1記載の冷却装置。
【0050】
(付記5) 前記固体は、銅、アルミニウム、銀、金、マグネシウムの中の何れかの金属、または、銅、アルミニウム、銀、金、マグネシウムの中の元素を1種類以上含む合金であることを特徴とする付記1記載の冷却装置。
【0051】
(付記6) 前記固体は、シラン系カップリング剤で表面処理されてなることを特徴とする付記1記載の冷却装置。
(付記7) 前記固体は、アニオン性界面活性剤で表面処理されてなることを特徴とする付記1記載の冷却装置。
【0052】
(付記8) 発熱部の熱を受ける受熱部と、外部へ熱を放散する放熱部とを流路にて接続させ、前記流路内に、液体と、前記液体より熱伝導率が高く、表面処理剤によって表面処理が行われることにより、撥水性または撥油性を有する固体とが混合された冷却媒体を循環させて前記発熱部を冷却する冷却装置を備えることを特徴とする電子機器。
【0053】
(付記9) 発熱部を冷却するための、液体と前記液体より熱伝導率が高い固体との混合物である冷却媒体において、前記固体の表面は、撥水性または撥油性を有することを特徴とする冷却媒体。
【0054】
(付記10) 前記液体は、不凍液であることを特徴とする付記9記載の冷却媒体。
(付記11) 前記不凍液が、水とプロピレングリコールとの混合液であることを特徴とする付記10記載の冷却媒体。
【0055】
(付記12) 前記固体は、アルミナ、窒化アルミ、酸化銅、酸化亜鉛、酸化ベリリウム、酸化マグネシウムまたは酸化ジルコニウムであることを特徴とする付記9記載の冷却媒体。
【0056】
(付記13) 前記固体は、銅、アルミニウム、銀、金、マグネシウムの中の何れかの金属、または、銅、アルミニウム、銀、金、マグネシウムの中の元素を1種類以上含む合金であることを特徴とする付記9記載の冷却媒体。
【0057】
(付記14) 前記固体は、シラン系カップリング剤で表面処理されてなることを特徴とする付記9記載の冷却媒体。
(付記15) 前記固体は、アニオン性界面活性剤で表面処理されてなることを特徴とする付記9記載の冷却媒体。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の原理図である。
【図2】第1の実施の形態における冷却装置の模式図である。
【図3】第2の実施の形態における冷却装置の模式図である。
【図4】冷却媒体の熱抵抗を示すグラフである。
【図5】冷却装置を備えたポータブルコンピュータの模式図である。
【図6】高熱伝導性固体が混入された冷却媒体を有する冷却装置の模式図である。
【符号の説明】
【0059】
1 冷却媒体
1a 液体
2 固体
2a 高熱伝導性固体
2b コーティング膜
3 流路
4 ポンプ部
5 発熱部
6 受熱部
7 放熱部
10 冷却装置
【出願人】 【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
【出願日】 平成18年8月31日(2006.8.31)
【代理人】 【識別番号】100092152
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 毅巖


【公開番号】 特開2008−60385(P2008−60385A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−236274(P2006−236274)