| 【発明の名称】 |
IC検査用治具に用いる多層セラミック基板及び多層セラミック基板の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】片桐 弘至
【氏名】加藤 達哉
【氏名】馬場 誠
【氏名】多賀 茂
【氏名】佐藤 学
|
| 【要約】 |
【課題】寸法精度の高い多層セラミック基板を製造できる多層セラミック基板の製造方法及びIC検査用治具に用いる多層セラミック基板を提供すること。
【構成】第1のグリーンシート21を焼成して第1の焼成済み基板3を製造した。次に、第1の焼成済み基板3にビアホール23を形成した。次に、ビアホール23に導電ペースト25を充填した。次に、導電ペースト25を焼成してビア9を形成した。次に、第1の焼成済み基板3の一方の面に3枚の第2のグリーンシート27を積層し第1の積層体31を得た。次に、第1の積層体31の上下両面に収縮抑制シート33を積層して第2の積層体35を形成した。次に、第2の積層体35を加圧焼成して積層焼成体36を得た。次に、積層焼成体6の上下表面に残った無機組成物を除去し、その両面を研磨した。次に、その両研磨面に電極11を形成した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1の焼成済み基板と、該第1の焼成済み基板より焼結温度が低い材料からなる第2の焼成済み基板とを備えるとともに、前記第2の焼成済み基板の両表面のうち少なくとも一方の表面に、前記第1の焼成済み基板が積層された多層セラミック基板であって、 少なくとも一方の前記第1の焼成済み基板の両表面のうち、非積層側である外側表面の表面粗さRaが、0.02μm〜1.00μmであり、 且つ、前記外側表面に電極を備えたことを特徴とするIC検査用治具に用いる多層セラミック基板。 【請求項2】 前記第1の焼成済み基板には、前記電極に電気的に接続されたビアが形成されていることを特徴とする前記請求項1に記載のIC検査用治具に用いる多層セラミック基板。 【請求項3】 前記第1の焼成済み基板には、前記ビアの前記外側表面への移動を規制して抜け落ちを防止する規制部を設けたことを特徴とする前記請求項2に記載のIC検査用治具に用いる多層セラミック基板。 【請求項4】 前記第1の焼成済み基板は、その厚みが1.0mm以下であることを特徴とする前記請求項1〜3のいずれかに記載のIC検査用治具に用いる多層セラミック基板。 【請求項5】 前記電極は、単層又は層毎に異なる導電金属を用いた複数層からなり、前記層のうち前記第1の焼成済み基板に接するベース層は、その厚みが0.02μm〜0.8μmであることを特徴とする前記請求項1〜4のいずれかに記載のIC検査用治具に用いる多層セラミック基板。 【請求項6】 第1のグリーンシートを焼成して第1の焼成済み基板を作成する工程と、 前記第1の焼成済み基板にビアホールを形成する工程と、 前記ビアホールに導電ペーストを充填する工程と、 第2のグリーンシートの両面に、前記導電ペーストを充填した又は充填後焼成した第1の焼成済み基板を貼り合わせて第1の積層体を形成する工程と、 前記第1の積層体を焼成して積層焼成体を形成する工程と、 前記積層焼成体における前記第1の焼成済み基板に対して、該基板表面を削る表面処理を行う工程と、 前記第1の焼成済み基板の表面処理された表面に電極を形成する工程と、 を備えたことを特徴とする多層セラミック基板の製造方法。 【請求項7】 第1のグリーンシートを焼成して第1の焼成済み基板を作成する工程と、 前記第2のグリーンシートの両面に、前記第1の焼成済み基板を積層して第1の積層体を形成する工程と、 前記第1の積層体を焼成して積層焼成体を形成する工程と、 前記積層焼成体の表面の前記第1の焼成済み基板にビアホールを形成する工程と、 前記ビアホールに導電ペーストを充填する工程と、 前記導電ペーストを充填した積層焼成体を焼成する工程と、 前記導電ペースト焼成後の前記積層焼成体における前記第1の焼成済み基板に対して、該基板表面を削る表面処理を行う工程と、 前記第1の焼成済み基板の表面処理された表面に電極を形成する工程と、 を備えたことを特徴とする多層セラミック基板の製造方法。 【請求項8】 第1のグリーンシートを焼成して第1の焼成済み基板を作成する工程と、 前記第1の焼成済み基板にビアホールを形成する工程と、 前記ビアホールに導電ペーストを充填する工程と、 前記導電ペーストを充填した又は充填後焼成した第1の焼成済み基板の一方の表面に、第2のグリーンシートを積層して第1の積層体を形成する工程と、 前記第1の積層体の両面のうち少なくとも第2のグリーンシート側の面に、収縮抑制シートを積層して第2の積層体を形成する工程と、 前記第2の積層体を焼成して積層焼成体を形成する工程と、 前記積層焼成体から未焼成の前記収縮抑制シートを除去する工程と、 前記収縮抑制シートを除去した前記積層焼成体における前記第1の焼成済み基板に対して、該基板表面を削る表面処理を行う工程と、 前記第1の焼成済み基板の表面処理された表面に電極を形成する工程と、 を備えたことを特徴とする多層セラミック基板の製造方法。 【請求項9】 第1のグリーンシートを焼成して第1の焼成済み基板を作成する工程と、 前記第1の焼成済み基板の一方の表面に、第2のグリーンシートを積層して第1の積層体を形成する工程と、 前記第1の積層体の両面のうち少なくとも第2のグリーンシート側の面に、収縮抑制シートを積層して第2の積層体を形成する工程と、 前記第2の積層体を焼成して積層焼成体を形成する工程と、 前記積層焼成体から未焼成の前記収縮抑制シートを除去する工程と、 前記収縮抑制シートを除去した前記積層焼成体における前記第1の焼成済み基板に、ビアホールを形成する工程と、 前記ビアホールに導電ペーストを充填する工程と、 前記導電ペーストを充填した積層焼成体を焼成する工程と、 前記導電ペースト焼成後の前記積層焼成体における前記第1の焼成済み基板に対して、該基板表面を削る表面処理を行う工程と、 前記第1の焼成済み基板の表面処理された表面に電極を形成する工程と、 を備えたことを特徴とする多層セラミック基板の製造方法。 【請求項10】 前記第2の積層体を形成する際に、前記第1の焼成済み基板の表面に、第3のグリーンシートを介して前記収縮抑制シートを積層することを特徴とする前記請求項8又は9に記載の多層セラミック基板の製造方法。 【請求項11】 前記表面処理方法は、砥粒研磨、砥石研磨、バレル研磨、バフ研磨、化学エッチング、及び熱処理のうち、少なくとも1種であることを特徴とする前記請求項6〜10のいずれかに記載の多層セラミック基板の製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、IC検査用治具に用いる多層セラミック基板、及び、焼成時において平面方向の収縮を実質的に発生させないようにする、いわゆる「無収縮焼成プロセス」を使用して多層セラミック基板を製造する多層セラミック基板の製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 従来より、ICの機能を検査するために、ICの各端子に電極を接触させて検査を行うセラミック製のIC検査用治具が用いられている。 この種のIC検査用治具としては、例えばアルミナ製の多層セラミック基板の両面に多数の電極を設けるとともに、裏表の電極をビアで接続したものが知られている。 【0003】 また、上述した多層セラミック基板を製造する技術として、例えば下記(1)、(2)の技術が提案されている。 (1)例えば特許文献1の技術では、第1のグリーンシートを焼成して焼結セラミック体 を形成し、この焼結セラミック体の上に導体を形成した後に、第2のグリーンシートを積層して積層体を形成し、この積層体を焼成して多層セラミック基板を製造している。 【0004】 (2)また、特許文献2の技術では、焼成したセラミック基板の片面又は両面に、未焼成 のセラミックグリーンシートを積層して積層体を作成し、その積層体の最外側のセラミックグリーンシートの表面に拘束用グリーンシートを積層し、この積層体を加圧しながら又は加圧しないで焼成し、焼成後に拘束層の残存物を除去して多層セラミック基板を製造している。 【特許文献1】特開2002−344138号公報 【特許文献2】特開2003−158375号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、上述した技術では、下記の問題点があり必ずしも好ましくはない。 つまり、前記特許文献1の技術では、第1グリーンシートにビアホールを形成した後に、焼成を行っている。そのため、第1のグリーンシートは、平面方向に収縮しながら焼結するため、高い寸法精度が得られない。その結果、その後貼り合わせる第2のグリーンシートを積層して焼成しても、得られる基板の寸法精度は必ずしも十分ではないという問題があった。 【0006】 一方、前記特許文献2の技術では、焼成済み基板について、厚膜導体や厚膜抵抗体を同時焼成または後付けで形成しているが、焼成済み基板にビアホールを形成する製造方法については記載はない。また、焼成済み基板と未焼成グリーンシートの焼結層の剥がれや、キャビティ部の変形について述べてあるが、焼成済みの基板自体の寸法精度についての言及はない。 【0007】 本発明は、上記問題に鑑みて為されたものであり、寸法精度の高い多層セラミック基板を製造できる多層セラミック基板の製造方法、及びその製造方法などによって製造されるIC検査用治具に用いる多層セラミック基板を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 (1)請求項1の発明(IC検査用治具に用いる多層セラミック基板)は、第1の焼成済み基板と、該第1の焼成済み基板より焼結温度が低い材料からなる第2の焼成済み基板とを備えるとともに、前記第2の焼成済み基板の両表面のうち少なくとも一方の表面に、前記第1の焼成済み基板が積層された多層セラミック基板であって、少なくとも一方の前記第1の焼成済み基板の両表面のうち、非積層側である外側表面の表面粗さRaが、0.02μm〜1.00μmであり、且つ、前記外側表面に電極を備えたことを特徴とする。 【0009】 本発明では、第2の焼成済み基板の一方の側又は両側に積層された第1の焼成済み基板の外側表面の表面粗さRaが、0.02μm〜1.00μmで、その滑らかな外側表面に電極を備えているので、外側表面の電極にICの端子を接触させて検査する場合に、電極と端子との電気的接続を確実にすることができる。 【0010】 また、外側表面の表面粗さRaが、0.02μm〜1.00μmと滑らかであるので、特に薄膜導体で形成された電極の密着強度が高く好適である。 なお、本発明では、第2の焼成済み基板の一方の側又は両側に第1の焼成済み基板が積層されているが、特に両側に第1の焼成済み基板が積層されたものが、焼成時の変形が少なく、また、製造も容易であるので(例えば収縮抑制シートの除去等の工程が不要であるので)好適である。また、両側に第1の焼成済み基板が積層された場合には、両第1の焼成済み基板の外側表面に電極を形成することができる。 【0011】 (2)請求項2の発明では、前記第1の焼成済み基板には、前記電極に電気的に接続されたビアが形成されていることを特徴とする。 本発明では、第1の焼成済み基板には、外側表面の電極(外側電極)に電気的に接続されたビアが形成されているので、このビアを介して、外側電極とその反対側(基板裏側)の電極とを電気的に接続することができる。 【0012】 よって、外側電極にICの端子を接続し、裏側の電極に検査用の機器を接続することにより、ICの検査を容易に行うことができる。 (3)請求項3の発明では、前記第1の焼成済み基板には、前記ビアの前記外側表面への移動を規制して抜け落ちを防止する規制部を設けたことを特徴とする。 【0013】 本発明では、第1の焼成済み基板には、ビアの外側表面側(外側表面から脱落する方向)への移動を規制する規制部(例えばビアの外径より小径とされた部分)が設けられているので、ビアが外側表面から抜け落ちるのを防止できる。 【0014】 (4)請求項4の発明では、前記第1の焼成済み基板は、その厚みが1.0mm以下であることを特徴とする。 本発明は、第1の焼成済み基板の厚みを例示したものであり、基板の厚みが1.0mm以下であると、機械的加工やレーザ加工などによりビアホールを形成する加工が容易である。 【0015】 (5)請求項5の発明では、前記電極は、単層又は層毎に異なる導電金属を用いた複数層からなり、前記層のうち前記第1の焼成済み基板に接するベース層は、その厚みが0.02μm〜0.8μmであることを特徴とする。 【0016】 本発明では、第1の焼成済み基板に接する導電金属からなる層であるベース層の厚みが0.02μm〜0.8μmであるので、電極自体の接合強度が高いという利点がある。 ここでは、(1種の導電金属からなる)単層である場合は、その単層がベース層であり、それぞれ異なる導電金属からなる複数層の場合は、最下層がベース層となる。 【0017】 なお、電極としては、第1の焼成済み基板上に、例えばスパッタリング等によって順次形成された下部導電層(Ti層、Cu層等の積層体)と、下部導電層の上に、例えば電解メッキによって順次形成された上部導電層(Cu層、Ni層、Au層等の積層体)の構成が挙げられる。 【0018】 (6)請求項6の発明(多層セラミック基板の製造方法)は、第1のグリーンシートを焼成して第1の焼成済み基板を作成する工程と、前記第1の焼成済み基板にビアホールを形成する工程と、前記ビアホールに導電ペーストを充填する工程と、第2のグリーンシートの両面に、前記導電ペーストを充填した又は充填後焼成した第1の焼成済み基板を貼り合わせて第1の積層体を形成する工程と、前記第1の積層体を焼成して積層焼成体を形成する工程と、前記積層焼成体における前記第1の焼成済み基板に対して、該基板表面を削る表面処理を行う工程と、前記第1の焼成済み基板の表面処理された表面に電極を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。 【0019】 本発明は、第2の焼成済み基板の両側に第1の焼成済み基板を備えた多層セラミック基板の製造方法である。ここでは、第1の焼成済み基板にビアホールを形成するので、第1の焼成済み基板自体(特にビアホールの位置や形状)が高寸法精度となる。更に、第2のグリーンシートの両側に高寸法精度の第1の焼成済み基板を積層して焼成するため、全体として変形し難く、よって、得られる多層セラミック基板も高寸法精度となる。 【0020】 なお、第2のグリーンシートとしては、1枚のグリーンシート又は複数枚のグリーンシートを積層したものを採用できる(以下同様)。 (7)請求項7の発明(多層セラミック基板の製造方法)は、第1のグリーンシートを焼成して第1の焼成済み基板を作成する工程と、前記第2のグリーンシートの両面に、前記第1の焼成済み基板を積層して第1の積層体を形成する工程と、前記第1の積層体を焼成して積層焼成体を形成する工程と、前記積層焼成体の表面の前記第1の焼成済み基板にビアホールを形成する工程と、前記ビアホールに導電ペーストを充填する工程と、前記導電ペーストを充填した積層焼成体を焼成する工程と、前記導電ペースト焼成後の前記積層焼成体における前記第1の焼成済み基板に対して、該基板表面を削る表面処理を行う工程と、前記第1の焼成済み基板の表面処理された表面に電極を形成する工程と、を備えたことを特徴とする多層セラミック基板の製造方法。 【0021】 本発明は、第2の焼成済み基板の両側に第1の焼成済み基板を備えた多層セラミック基板の製造方法である。ここでは、積層焼成体における第1の焼成済み基板にビアホールを形成するので、前記請求項6の発明と同様に、第1の焼成済み基板自体(特にビアホールの位置や形状)が高寸法精度となるとともに、最終的に得られる多層セラミック基板も高寸法精度となる。 【0022】 (8)請求項8の発明(多層セラミック基板の製造方法)は、前記第1の焼成済み基板にビアホールを形成する工程と、前記ビアホールに導電ペーストを充填する工程と、前記導電ペーストを充填した又は充填後焼成した第1の焼成済み基板の一方の表面に、第2のグリーンシートを積層して第1の積層体を形成する工程と、前記第1の積層体の両面のうち少なくとも第2のグリーンシート側の面に、収縮抑制シートを積層して第2の積層体を形成する工程と、前記第2の積層体を焼成して積層焼成体を形成する工程と、前記積層焼成体から未焼成の前記収縮抑制シートを除去する工程と、前記収縮抑制シートを除去した前記積層焼成体における前記第1の焼成済み基板に対して、該基板表面を削る表面処理を行う工程と、前記第1の焼成済み基板の表面処理された表面に電極を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。 【0023】 本発明では、第1の焼成済み基板にビアホールを形成するので、第1の焼成済み基板自体(特にビアホールの位置や形状)が高寸法精度となる。更に、高寸法精度の第1の焼成済み基板に、第2のグリーンシートを積層して焼成するため、全体として変形し難く、よって、得られる多層セラミック基板も高寸法精度となる。 【0024】 (9)請求項9の発明(多層セラミック基板の製造方法)は、第1のグリーンシートを焼成して第1の焼成済み基板を作成する工程と、前記第1の焼成済み基板の一方の表面に、第2のグリーンシートを積層して第1の積層体を形成する工程と、前記第1の積層体の両面のうち少なくとも第2のグリーンシート側の面に、収縮抑制シートを積層して第2の積層体を形成する工程と、前記第2の積層体を焼成して積層焼成体を形成する工程と、前記積層焼成体から未焼成の前記収縮抑制シートを除去する工程と、前記収縮抑制シートを除去した前記積層焼成体における前記第1の焼成済み基板に、ビアホールを形成する工程と、前記ビアホールに導電ペーストを充填する工程と、前記導電ペーストを充填した積層焼成体を焼成する工程と、前記導電ペースト焼成後の前記積層焼成体における前記第1の焼成済み基板に対して、該基板表面を削る表面処理を行う工程と、前記第1の焼成済み基板の表面処理された表面に電極を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。 【0025】 本発明では、積層焼成体における第1の焼成済み基板にビアホールを形成するので、前記請求項8の発明と同様に、第1の焼成済み基板自体(特にビアホールの位置や形状)が高寸法精度となるとともに、最終的に得られる多層セラミック基板も高寸法精度となる。 【0026】 (10)請求項10の発明は、前記第2の積層体を形成する際に、前記第1の焼成済み基板の表面に、第3のグリーンシートを介して前記収縮抑制シートを積層することを特徴とする。 【0027】 本発明では、第1の焼成済み基板と収縮抑制シートとの間に、第3のグリーンシートを配置するので、第1の焼成済み基板と収縮抑制シートと密着性が高く、よって、第1の焼成済み基板の変形や割れを防止するという効果がある。 【0028】 (11)請求項11の発明では、前記表面処理方法は、砥粒研磨、砥石研磨、バレル研磨、バフ研磨、化学エッチング、及び熱処理のうち、少なくとも1種であることを特徴とする。 【0029】 本発明は、好ましい表面処理方法を例示したものである。 ・尚、第1の焼成済み基板と第2の焼成済み基板との熱膨張率差が、3ppm/℃以下であると、第1の焼成済み基板と第2の焼成済み基板との界面での剥離が生じ難いので好適である。 【0030】 ・第1の焼成済み基板や第2の焼成済み基板のビアに用いる導体(ビア導体)として、例えば、Ag系、Ag/Pd系、Ag/Pt系、Cu系、Cu/W系のいずれかを採用できる。 【0031】 ・第1の焼成済み基板や第2の焼成済み基板として、例えば、Al2O3、ZrO2、Si3N4、SiC、AlN、ガラス、ガラスとセラミックフィラーの複合材料のいずれかを採用できる。なお、第2の焼成済み基板の両側に第1の焼成済み基板を配置する場合には、両側の第1の焼成済み基板が同じ組成であると好適である。 【発明を実施するための最良の形態】 【0032】 以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。 [第1実施形態] a)まず、本実施形態の多層セラミック基板の製造方法により得られる多層セラミック基板を、図1に基づいて説明する。尚、図1は多層セラミック基板の断面構造を概略的に表している。 【0033】 図1(a)に示す様に、多層セラミック基板1は、例えばIC検査用治具に用いられる積層基板であり、主として、第1の焼成済み基板3と、第1の焼成済み基板3の一方の表面(同図下方)に積層された第2の焼成済み基板5とから構成されている。 【0034】 この第2の焼成済み基板5は、複数のセラミック層5A〜5Cから構成されており、その内部(各セラミック層5A〜5Cの表面)には、配線層7が形成されるとともに、異なるセラミック層5A〜5Cの配線層7同士を接続するようにビア9が形成されている。なお、第1の焼成済み基板3にも、同様なビア9が形成されている。 【0035】 また、多層セラミック基板1の表面及び裏面には、特定のビア9と電気的に接続されたパッド(電極)11が形成されている。尚、IC検査用治具用の多層セラミック基板1の場合には、上下の電極11のうち、特定の電極11が電気的に接続されている。 【0036】 前記第1の焼成済み基板3は、例えばアルミナ(95重量%)からなり、第2の焼成済み基板5は、第1の焼成済み基板3より焼結温度(従って焼成温度)が低い材料である低温焼成ガラスセラミックからなる。この第2の焼成済み基板(低温焼成ガラスセラミック)5は、ガラス成分とセラミック成分との混合物を、例えば800〜1050℃程度の低温にて焼成したものである。なお、第1の焼成済み基板3は、第2の焼成済み基板5の焼成温度より高い、例えば1300〜1600℃の高温にて焼成したものである。 【0037】 また、配線層7やビア9は、例えばAg系のペーストを焼成した導体から形成されており、電極11は、例えばスパッタリング、蒸着、電解メッキ、無電解メッキ等によって形成された例えばTi、Mo、Cu、Ni、Au等の異なる導電金属(薄膜導体)からなる。 【0038】 なお、電極11は、図1(b)に示す様に、第1の焼成済み基板3上に、スパッタリングよって形成された下部導電層13と、その下部導電層13上に、電解メッキによって形成された上部導電層15とから形成されている。詳しくは、下部導電層13は、(下側より)Ti層13A、Cu層13Bの順で形成され、上部導電層15は、(下側より)Cu層15A、Ni層15B、Au層15Cの順で形成されている。ここで、下部導電層13のうちベース層であるTi層13Aが第1の焼成済み基板3に接しており、この最下層のTi層13Aの厚みは0.02μm〜0.8μmである。 【0039】 特に、本実施形態では、第1の焼成済み基板3は、その厚みが1.0mm以下であり、その表面のうち、非積層側である外側表面(同図上方)の表面粗さRaは、研磨によって0.02μm〜1.00μmと非常に滑らかに加工されている。 【0040】 b)次に、本実施形態の多層セラミック基板1の製造方法を、図2に基づいて詳細に説明する。 ・まず、図2(a)に示す様に、第1の焼成済み基板3を製造するための原料粉末として、アルミナ粉末(平均粒径:3μm、比表面積:1.0m2/g)を用意した。また、 セラミックのグリーンシートを形成する際のバインダ成分及び可塑剤成分として、アクリル系バインダとDOP(ジ・オチクル・フタレート)を用意した。 【0041】 そして、アルミナ95重量%の第1の焼成済み基板3を得るために、前記アルミナ粉末所定量に、アクリル樹脂(バインダ)、溶剤、及び可塑剤(DOP)の適量を加え、アルミナ製のポットにて5時間混合することにより、セラミックスラリーを得た。 【0042】 得られたセラミックスラリーを用いて、ドクターブレード法により、第1のグリーンシート21を得た。 ・次に、図2(b)に示す様に、第1のグリーンシート21を1500℃で焼成して、アルミナ95重量%の第1の焼成済み基板3を製造した。尚、その厚みは、0.5mmである。 【0043】 ・次に、図2(c)に示す様に、第1の焼成済み基板3に、貫通穴であるビアホール23を形成した。このビアホール23は、例えば、CO2レーザ、YAGレーザ、ブラスト加工、機械的加工により形成することができる。 【0044】 ・次に、図2(d)に示す様に、前記ビアホール23に、例えばAg系ペーストからなる導電ペースト25を充填した。 ・次に、図2(e)に示す様に、導電ペースト25を充填した第1の焼成済み基板3を、800〜900℃に加熱し、導電ペースト25を焼成してビア9を形成した。尚、導電ペースト25を後の工程で焼成する場合には、この工程は省略可能である。 【0045】 ・次に、図2(f)に示す様に、第1の焼成済み基板3の一方の面(同図下方)に、3枚の第2のグリーンシート27A〜27C(27と総称する)を積層した。 具体的には、まず、第2の焼成済み基板5を形成するための原料粉末として、SiO2、Al2O3、B2O3を主成分とするホウケイ酸系ガラス粉末(平均粒径:3μm、比表面積:1.0m2/g)と、アルミナ粉末(平均粒径:3μm、比表面積:1.0m2/g)とを用意した。また、バインダ成分及び可塑剤成分として、アクリル系バインダとDOP(ジ・オチクル・フタレート)を用意した。 【0046】 そして、前記ホウケイ酸系ガラス粉末とアルミナ粉末とを、重量比で50:50、総量で1kgとなるように秤量し、これに、前記アクリル樹脂(バインダ)、溶剤、及び可塑剤(DOP)の適量を加えて、アルミナ製のポットで5時間混合することにより、セラミックスラリーを得た。 【0047】 得られたセラミックスラリーを用いて、ドクターブレード法により、3枚のグリーンシート(低温焼成用のグリーンシート)27A〜27Cを得た。そして、これらの各グリーンシート27A〜27Cに、パンチングにより貫通孔(ビアホール)23を形成し、このビアホール23に、導電ペースト25を充填した。 【0048】 また、各グリーンシート27A〜27Cの表面に、導電ペースト25と同様な印刷ペーストを用いて、例えば導電ペースト25などの表面を覆う様に、印刷によって(後に配線層7となる)配線パターン29を形成した。 【0049】 そして、各グリーンシート27A〜27Cを積層して第2のグリーンシート27とし、この第2のグリーンシート27を、第1の焼成済み基板3の一方の面に積層して、第1の積層体31を得た。尚、第1の焼成済み基板3に対して、各グリーンシート27A〜27Cを順次積層してもよい。 【0050】 ・次に、図2(g)に示す様に、第1の積層体31の上下両面に、第1の積層体31と同様な縦横の寸法の収縮抑制シート33A、33B(33と総称する)を積層して、第2の積層体35を形成した。尚、上面側の収縮抑制シート33Aは省略してもよい。 【0051】 この収縮抑制シート33は、第2のグリーンシート27とほぼ同様な材料及び工程により製造されるが、収縮抑制シート33の焼結温度が、第2のグリーンシート27の焼結温度より高くなるように、その成分は多少異なる。具体的には、アルミナ成分が99重量%以上となる様に、アクリル樹脂の割合を、収縮抑制シート33の方が少なくするように調整する。 【0052】 これにより、第2のグリーンシート27が焼結する温度でも、収縮抑制シート33は焼結しなくなるので、第2のグリーンシート27の焼結の際の収縮を収縮抑制シート33が抑制できるようになる。 【0053】 ・次に、図2(h)に示す様に、第2の積層体35を、温度:860℃、圧力:2kg/cm2の条件で加圧焼成して、積層焼成体36を作製した。尚、この際には、加圧しなくても焼成可能である。 【0054】 ・次に、図2(i)に示す様に、積層焼成体36の上下表面に残った無機組成物(収縮抑制シート33の残滓)を、例えばサンドブラスト処理、超音波洗浄、ブラシによる洗浄等によって除去した。なお、ここでは、収縮抑制シート33を除去したものを積層焼成本体37とする。 【0055】 ・次に、図2(j)に示す様に、積層焼成本体37の両面(又は第1の焼成済み基板3の表面)を研磨し、その研磨面の表面粗さRaを、0.02μm〜1.00μmとした。 なお、この研磨方法(表面処理方法)としては、砥粒研磨、砥石研磨、バレル研磨、バフ研磨、化学エッチング、及び熱処理のうち、少なくとも1種を採用できる。 【0056】 このうち、砥粒研磨としては、アルミナ質砥粒又はダイアモンド砥粒を使用し、ラッピング研磨、乾式ブラスト、湿式ブラストを行う方法を採用できる。砥石研磨としては、アルミナ質の砥石を使用し、平面研削装置で研磨加工を行う方法を採用できる。バレル研磨としては、アルミナ質の研磨石を使用し、バレル研磨装置で研磨加工を行う方法を採用できる。バフ研磨としては、アルミナ繊維質のバフを使用し、バフ研磨機で加工する方法を採用できる。化学エッチングとしては、フッ酸を使用し、エッチングにより表面加工する方法を採用できる。熱処理としては、所定温度に加熱することにより、表面加工する方法を採用できる。 【0057】 ・次に、図2(k)に示す様に、研磨した積層焼成本体37の両面(又は研磨した第1の焼成済み基板3の表面)に、スパッタリング、蒸着、電解メッキ、無電解メッキ等により、Ti、Mo、Cu、Ni、Au等からなる電極11を形成し、多層セラミック基板1を完成した。 【0058】 具体的には、前記図1(b)に示す様に、スパッタリングよって下部導電層13を形成し、その下部導電層13上に、電解メッキによって上部導電層15を形成することにより電極11を形成した。この場合、ベース層であるTi層13Aの厚みを、0.02μm〜0.8μmとした。 【0059】 c)次に、前記多層セラミック基板1の使用方法を、図3に基づいて説明する。 図3に模式的に示す様に、IC41の検査に用いられるIC検査用治具43の基板として、上述した多層セラミック基板1が用いられており、その一方の表面の電極11に端子45が設けられている。 【0060】 このIC検査用治具43を用いて、IC41の検査を行う場合には、IC41の端子47をIC検査用治具43の端子45に接続する。そして、多層セラミック基板1の他方の表面の電極11に、IC電気特性検査装置49を接続し、IC41の検査を行う。 【0061】 d)この様に、本実施形態では、第1の焼成済み基板3に、機械的加工やレーザ加工などによってビアホール23を形成するため、第1の焼成済み基板3自体(特にビア9の位置や形状)が高寸法精度となる。更に、高寸法精度の第1の焼成済み基板3に、第2のグリーンシート27を積層して焼成するため、得られる多層セラミック基板1も高寸法精度となる。 【0062】 また、第1の焼成済み基板3の外側表面の表面粗さRaが、0.02μm〜1.00μmで、その滑らかな外側表面に電極11を備えているので、外側表面の電極11に、IC41の端子47を接触させて検査する場合に、電極11と端子47との電気的接続を確実にすることができる。 【0063】 更に、外側表面の表面粗さRaが、0.02μm〜1.00μmと滑らかであるので、特に薄膜導体で形成された電極11の密着強度が高く好適である。しかも、電極11のベース層であるTi層13Aの厚みは、0.02μm〜0.8μmであるので、この点からも、電極の接合強度が高いという利点がある。 [第2実施形態] 次に、第2実施形態の多層セラミック基板の製造方法について、図4に基づいて説明する。尚、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。 【0064】 本実施形態は、第1の焼成済み基板の外側表面に第3のグリーンシートを配置し、更にその表面に収縮抑制シートを配置する多層セラミック基板の製造方法である。 ・まず、図4(a)に示す様に、第1実施形態と同様な材料を用いて、第1のグリーンシート51を製造した。 【0065】 ・次に、図4(b)に示す様に、第1のグリーンシート51を焼成して第1の焼成済み基板53を製造した。 ・次に、図4(c)に示す様に、第1の焼成済み基板53に、ビアホール55を形成した。 【0066】 ・次に、図4(d)に示す様に、ビアホール55に、導電ペースト57を充填した。 ・次に、図4(e)に示す様に、導電ペースト57を充填した第1の焼成済み基板53を加熱し、導電ペースト57を焼成してビア59を形成した。 【0067】 ・次に、図4(f)に示す様に、第1の焼成済み基板53の一方の面に、前記第1実施形態と同様に、3枚の第2のグリーンシート61A〜61C(61と総称する)を積層して、第1の積層体63を形成した。 【0068】 ・次に、図4(g)に示す様に、第1の積層体63の第1の焼成済み基板53の表面に、第2のグリーンシート61と同様な材料からなる第3のグリーンシート65を積層した。尚、第3のグリーンシート65の厚みは、1枚分の第2のグリーンシート61Aと同様である。 【0069】 そして、この第3のグリーンシート65を積層した第1の積層体63の上下両面に、収縮抑制シート67A、67B(67と総称する)を積層して、第2の積層体69を形成した。 【0070】 ・次に、図4(h)に示す様に、第2の積層体69を加圧焼成して、積層焼成体70を作製した。 ・次に、図4(i)に示す様に、積層焼成体70の上下表面に残った無機組成物を除去し、積層焼成本体71を得た。 【0071】 ・次に、図4(j)に示す様に、積層焼成本体71の両面(又は第1の焼成済み基板53側の表面)を研磨した。尚、第1の焼成済み基板53側の研磨によって、焼成済みの第3のグリーンシート65が完全に除去されるとともに、第1の焼成済み基板53の外側表面の一部が除去される。 【0072】 ・次に、図4(k)に示す様に、研磨した積層焼成本体71の両面(又は研磨した第1の焼成済み基板53の表面)に、電極71を形成し、多層セラミック基板73を完成した。 【0073】 本実施形態によっても、前記第1実施形態と同様な効果を奏するとともに、第1の焼成済み基板53の外側表面に第3のグリーンシート65を配置するので、上面側の収縮抑制シート67Aは、第3のグリーンシート65により、第1の積層体63にしっかりと密着するという利点がある。 [第3実施形態] 次に、第3実施形態の多層セラミック基板の製造方法について、図5に基づいて説明する。尚、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。 【0074】 本実施形態は、積層焼成体を形成した後でビアホールを形成する多層セラミック基板の製造方法である。 ・まず、図5(a)に示す様に、第1実施形態と同様な材料を用いて、第1のグリーンシート75を製造した。 【0075】 ・次に、図5(b)に示す様に、第1のグリーンシート75を焼成して第1の焼成済み基板77を製造した。 ・次に、図5(c)に示す様に、第1の焼成済み基板77の一方の面に、前記第1実施形態と同様に、3枚の第2のグリーンシート79A〜79C(79と総称する)を積層して、第1の積層体81を形成した。 【0076】 ・次に、図5(d)に示す様に、第1の積層体81の上下両面に、収縮抑制シート83A、83B(83と総称する)を積層して、第2の積層体85を形成した。 ・次に、図5(e)に示す様に、第2の積層体85を加圧焼成して、積層焼成体84を作製した。 【0077】 ・次に、図5(f)に示す様に、積層焼成体84の上下表面に残った無機組成物を除去し、積層焼成本体86を得た。 ・次に、図5(g)に示す様に、積層焼成本体86の表面の第1の焼成済み基板77に、ビアホール87を形成した。 【0078】 ・次に、図5(h)に示す様に、ビアホール87に、導電ペースト88を充填した。 ・次に、図5(i)に示す様に、導電ペースト88を充填した積層焼成本体86を加熱し、導電ペースト88を焼成してビア89を形成した。 【0079】 ・次に、図5(j)に示す様に、積層焼成本体86の両面(又は第1の焼成済み基板77側の表面)を研磨した。 ・次に、図5(k)に示す様に、研磨した積層焼成本体86の両面(又は研磨した第1の焼成済み基板77の表面)に、電極90を形成し、多層セラミック基板91を完成した。 【0080】 本実施形態によっても、前記第1実施形態と同様な効果を奏する。 [第4実施形態] 次に、第4実施形態の多層セラミック基板の製造方法について、図6に基づいて説明する。尚、前記第2実施形態と同様な内容の説明は省略する。 【0081】 本実施形態は、第1の焼成済み基板の外側表面に第3のグリーンシートを配置し、更にその表面に収縮抑制シートを配置するとともに、積層焼成体を形成した後でビアホールを形成する多層セラミック基板の製造方法である。 【0082】 ・まず、図6(a)に示す様に、第2実施形態と同様な材料を用いて、第1のグリーンシート92を製造した。 ・次に、図6(b)に示す様に、第1のグリーンシート92を焼成して第1の焼成済み基板93を製造した。 【0083】 ・次に、図6(c)に示す様に、第1の焼成済み基板93の一方の面に、前記第2実施形態と同様に、3枚の第2のグリーンシート95A〜95C(95と総称する)を積層して、第1の積層体97を形成した。 【0084】 ・次に、図6(d)に示す様に、第1の積層体97の第1の焼成済み基板93の表面に、第2のグリーンシート95と同様な材料からなる第3のグリーンシート98を積層した。尚、第3のグリーンシート98の厚みは、1枚分の第2のグリーンシート95Aと同様である。 【0085】 そして、この第3のグリーンシート98を積層した第1の積層体97の上下両面に、収縮抑制シート99A、99B(99と総称する)を積層して、第2の積層体101を形成した。 【0086】 ・次に、図6(e)に示す様に、第2の積層体101を加圧焼成して、積層焼成体102を作製した。 ・次に、図6(f)に示す様に、積層焼成体102の上下表面に残った無機組成物を除去し、積層焼成本体103を得た。 【0087】 ・次に、図6(g)に示す様に、積層焼成本体103の表面から第1の焼成済み基板93を貫通するまで、ビアホール105を形成した。 ・次に、図6(h)に示す様に、ビアホール105に、導電ペースト107を充填した。 【0088】 ・次に、図6(i)に示す様に、導電ペースト107を充填した積層焼成本体103を加熱し、導電ペースト107を焼成してビア109を形成した。 ・次に、図6(j)に示す様に、積層焼成本体103の両面(又は第1の焼成済み基板93側の表面)を研磨した。 【0089】 尚、第1の焼成済み基板93の研磨によって、焼成済みの第3のグリーンシート98が完全に除去されるとともに、第1の焼成済み基板93の外側表面の一部が除去される。 ・次に、図6(k)に示す様に、研磨した積層焼成本体103の両面(又は研磨した第1の焼成済み基板93の表面)に、電極111を形成し、多層セラミック基板113を完成した。 【0090】 本実施形態によっても、前記第2実施形態と同様な効果を奏する。つまり、第1の焼成済み基板93の外側表面に第3のグリーンシート98を配置するので、上面側の収縮抑制シート99Aは、第1の積層体97にしっかりと密着するという利点がある。 [第5実施形態] 次に、第5実施形態の多層セラミック基板及びその製造方法について説明する。尚、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。 【0091】 a)まず、本実施形態の多層セラミック基板を、図7に基づいて説明する。 図7に示す様に、多層セラミック基板121は、第2の焼成済み基板123の両側に第1の焼成済み基板125A、125B(125と総称する)が積層されたものである。 【0092】 第2の焼成済み基板123は、複数のセラミック層123A〜123Cから構成されており、その内部には、配線層127やビア129が形成されている。また、第1の焼成済み基板125にも、同様なビア129が形成されるとともに、両第1の焼成済み基板125の外側表面には、ビア129と接続された電極131が形成されている。 【0093】 b)次に、本実施形態の多層セラミック基板121の製造方法を、図8に基づいて詳細に説明する。 ・まず、図8(a)に示す様に、第1実施形態と同様な材料を用いて、第1のグリーンシート141を製造した。 【0094】 ・次に、図8(b)に示す様に、第1のグリーンシート141を焼成して第1の焼成済み基板125を製造した。 ・次に、図8(c)に示す様に、第1の焼成済み基板125に、ビアホール143を形成した。 【0095】 ・次に、図8(d)に示す様に、ビアホール143に、導電ペースト145を充填した。 ・次に、図8(e)に示す様に、導電ペースト145を充填した第1の焼成済み基板125を加熱し、導電ペースト145を焼成してビア129を形成した。 【0096】 ・次に、図8(f)に示す様に、第2のグリーンシート147の両側に、それぞれ第1の焼成済み基板125A、125Bを配置して、第1の積層体149を形成した。なお、第2のグリーンシート147は、3枚の第2のグリーンシート147A〜147Cが積層されたものである。 【0097】 ・次に、図8(g)に示す様に、第1の積層体149を加圧焼成して、積層焼成体151を作製した。 ・次に、図8(h)に示す様に、積層焼成体151の両面、即ち各第1の焼成済み基板125A、125Bの外側表面を研磨した。 【0098】 ・次に、図8(i)に示す様に、研磨した積層焼成体151の両面に、電極131を形成し、多層セラミック基板121を完成した。 本実施形態によっても、前記第1実施形態と同様な効果を奏する。特に実施形態では、第2グリーンシート147の両側に第1の焼成済み基板125を配置して焼成するので、焼成時の変形が少ないという効果がある。また、収縮抑制シートを使用しないので、製造工程を簡易化できるという利点がある。 [第6実施形態] 次に、第6実施形態の多層セラミック基板の製造方法について、図9に基づいて説明する。尚、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。 【0099】 本実施形態は、積層焼成体を形成した後でビアホールを形成する多層セラミック基板の製造方法である。 ・まず、図9(a)に示す様に、第1実施形態と同様な材料を用いて、第1のグリーンシート161を製造した。 【0100】 ・次に、図9(b)に示す様に、第1のグリーンシート161を焼成して第1の焼成済み基板163を製造した。 ・次に、図9(c)に示す様に、第2のグリーンシート165の両側に第1の焼成済み基板167A、167B(167と総称する)を積層して、第1の積層体169を形成した。なお、第2のグリーンシート165は、3枚の第2のグリーンシート165A〜165Cが積層されたものである。 【0101】 ・次に、図9(d)に示す様に、第1の積層体169を加圧焼成して、積層焼成体171を作製した。 ・次に、図9(e)に示す様に、積層焼成体171の両表面の第1の焼成済み基板167A、167Bに、それぞれビアホール173を形成した。 【0102】 ・次に、図9(f)に示す様に、ビアホール173に導電ペースト175を充填した。 ・次に、図9(g)に示す様に、導電ペースト175を充填した積層焼成体171を加熱し、導電ペースト175を焼成してビア177を形成した。 【0103】 ・次に、図9(h)に示す様に、積層焼成体171の両面、即ち各第1の焼成済み基板167A、167Bの外側表面を研磨した。 ・次に、図9(i)に示す様に、研磨した積層焼成体171の両面に、電極179を形成し、多層セラミック基板181を完成した。 【0104】 本実施形態によっても、前記第5実施形態と同様な効果を奏する。 【実施例】 【0105】 次に、本発明の効果を確認するために行った実験について説明する。 [実験例1] 本実験例は、製造方法の違いによるビアホールの寸法バラツキを調べたものである。 【0106】 尚、本実験例では、各基板の材料は、前記各実施形態と同様であり、ビアホールの形成タイミングが大きく異なる。 ・本発明の範囲の実施例として、前記第1〜4実施形態の製造方法にて、図10に示す様に、第1の焼成済み基板に、CO2レーザーにより、φ0.2mmのビアホールを、0.5mmのピッチにて形成した。そして、トータルピッチ(ピッチの合計)を測定し、トータルピッチの設計値(100mm)からのズレ(%)を求めることにより、寸法バラツキを評価した。 【0107】 また、同様な第1の焼成済み基板に、(低温焼成ガラスセラミック基板となる)第2のグリーンシートを積層し、それを焼成した積層体に対しても、同様にビアホールのトータルピッチを測定することにより、寸法バラツキを評価した。 【0108】 ・一方、本発明の範囲外の比較例として、第1のグリーンシート(アルミナシート)の焼成前に、ビアホールを形成し、その後焼成して第1の焼成済み基板を製造した。そして、この第1の焼成済み基板のトータルピッチを測定し、寸法バラツキを評価した。 【0109】 また、同様な第1の焼成済み基板に、第2のグリーンシートを積層し、それを焼成した積層体に対しても、同様にビアホールのトータルピッチを測定することにより、寸法バラツキを評価した。 【0110】 上述した実験の結果を下記表1に示すが、本発明の範囲の実施例では、ビアホールのトータルピッチの寸法バラツキは0.035%以下と小さく好適であるが、比較例では、寸法バラツキが0.35%以上と大きく好ましくない。 【0111】 【表1】
[実験例2] 本実験例は、ビアホールの形状の違いによるビア導体の脱落の有無を調べたものである。 【0112】 図11に示す様に、アルミナ製の第1の焼成済み基板201に、ドリル等により、様々な形状のビアホール203をそれぞれ100個形成し、このビアホール203に導電ペーストを充填し、焼成してビア205を形成した。 【0113】 ここで、図11(a)ではビア205の直径が同じ円柱形状であり、図11(b)では表面側(図上側:脱落側)の直径が反対側(図下側:裏面側)より小さな円錐台形状であり、図11(c)では表面側の直径が裏面側より大きな円錐台形状であり、図11(d)では表面側の直径が裏面側より小さな段差のある円柱形状であり、図11(e)では表面側の直径が裏面側より大きな段差のある円柱形状であり、図11(f)では表面側の直径が裏面側より小さな円柱形状であり、図11(g)では表面側の直径が裏面側より大きな円柱形状である。 【0114】 尚、例えば図11(b)に示す様に、第1の焼成済み基板201のうち、表面側がビア205の中心に向かって突出し、ビア205の外径が裏面側より表面側の方がより小さくなっている箇所が、ビア導体207の外側への脱落を防止する規制部209である。 【0115】 そして、本実験例では、図12に示す方法により、各ビア205を形成した第1の焼成済み基板201を用いて、ビア導体207が脱落するか否かを調べた。 具体的には、引張り治具211の下面に接着剤にてICチップ213を接合するとともに、第1の焼成済み基板201の各ビア205とICチップ213(詳しくはその端子)とをそれぞれハンダ215を介して接合した。そして、第1の焼成済み基板201を基台(図示せず)に固定した状態で、引張り治具211を上方に引っ張り、その時のビア205の状態を観察した。 【0116】 その結果、ビア205に全く異常がなく、ビア導体207とハンダ215とが分離したものを、「脱落無し」とした。一方、ビア205が内部で破断し、ビア導体207の一部がハンダ215に付着して分離したもの、又は、ビア導体207全体がハンダ215と一体となって第1の焼成済み基板201から抜けたものを、「脱落有り」とした。 【0117】 この実験の結果を、下記表2に示すが、規制部209のあるものは、ビア導体207が外部に脱落しないので好適である。 【0118】 【表2】
[実験例3] 本実験例は、ビアホールの加工性を調べたものである。 【0119】 本実験例では、アルミナ製の第1の焼成済み基板(縦50mm×横50mm×厚み0.1〜1.2mm)に対して、通常のドリル、レーザ、及びサンドブラストの3種の加工により、各種の直径のビアホールをそれぞれ20個形成し、加工後のビアホール形状を観察した。 【0120】 この実験の結果を、下記表3に示すが、第1の焼成済み基板が薄いほど(特に1.0mm以下の場合に)、ビア形状が良好であることが分かる。ここでは、バリやカケやクラックが無いものを良好とした。尚、ビア形状が悪い場合には、更に精度の良い加工等の様に加工を工夫することにより、ビア形状を改善することが可能である。 【0121】 【表3】
[実験例4] 本実験例は、電極を構成する薄膜導体の密着強度を調べたものである。 【0122】 本実験例では、アルミナ製の第1の焼成済み基板(縦50mm×横50mm×厚み0.5mm)の表面粗さRaを、研磨の程度によって変更した。そして、それぞれの第1の焼成済み基板の表面に、Cu、Ni、Au製の薄膜導体(縦0.1mm×横0.1mm×厚み10μm)を、スパッタリングと電解メッキによって、20個ずつ形成し、薄膜導体の密着強度を評価した。 【0123】 尚、密着強度の評価は、せん断強度試験機で、0.015g/□1μmのせん断応力を加える試験により行い、全ての試料導体の剥がれが無い場合を「良好」とし、1個でも剥がれがあった場合を「剥がれ有り」とした。 【0124】 この実験の結果を、下記表4に示すが、第1の焼成済み基板の表面粗度Raが0.02μm〜1.00μmの場合には、導体の密着強度が高く好適である。 【0125】 【表4】
[実験例5] 本実験例は、第1の焼成済み基板と第2の焼成済み基板との接合面の接合性を調べたものである。 【0126】 本実験例では、下記表5に示す様に、試料として、第1の焼成済み基板の材料と第2の焼成済み基板との材料(従って熱膨張率)を違えた積層体を、100個ずつ作製した。 この積層体は、前記第1実施形態等と同様に、第1の焼成済み基板の表面に、(第2の焼成済み基板となる)第2のグリーンシートを積層して焼成したものである。尚、第1及び第2の焼成済み基板の寸法は、縦100mm×横100mm×厚み0.5mmである。 【0127】 そして、第1の焼成済み基板と第2の焼成済み基板との間の剥がれの有無により、接合性を評価した。尚、接合性の評価は、温度サイクル試験(−40℃〜150℃:100サイクル)後の基板断面を観察することにより行った。 【0128】 ここで、下記表5において、材質がAl2O3の場合は、アルミナを96重量%含む基板である。ガラセラとは、前記第1実施形態と同様なガラスセラミックの基板のことであり、ガラスセラミックのガラス成分を変更することにより熱膨張率を調整した。ZrO2の場合は、ジルコニアを99重量%含む基板である。Si3N4の場合は、窒化珪素を99重量%含む基板である。SiCの場合は、炭化珪素を99重量%含む基板である。AlNの場合は、窒化アルミを99重量%含む基板である。 【0129】 この実験の結果を、下記表5に示すが、熱膨張率の差が3.3ppm/℃以下であると。剥がれが全く無く好適である。 【0130】 【表5】
[実験例6] 本実験例は、第1の焼成済み基板のビアと(低温焼成ガラスセラミック基板である)第2の焼成済み基板のビアとの接合性を調べたものである。 【0131】 本実験例では、第1の焼成済み基板と第2の焼成済み基板との積層体において、第1の焼成済み基板と第2の焼成済み基板とに、前記図11(a)に示す形状のビアを、下記の表6に示す材料を用いて、合計25通り形成した。 【0132】 この積層体は、前記第1実施形態等と同様に、第1の焼成済み基板の表面に、(第2の焼成済み基板となる)第2のグリーンシートを積層して焼成したものである。 尚、第1及び第2の焼成済み基板の寸法は、縦50mm×横50mm×厚み0.5mmである。また、第1及び第2の焼成済み基板のビアの寸法は、直径0.2mmである。 【0133】 ここで、ビア導体のAg系の組成は、Agを60重量%以上含む組成であり、Ag/Pd系の組成は、Agを60重量%以上Pdを0.5重量%以上含む組成であり、Ag/Pt系の組成は、Agを60重量%以上Ptを0.1重量%以上含む組成であり、Cu系の組成は、Cuを60重量%以上含む組成であり、Cu/W系の組成は、Cuを20重量%以上Wを50重量%以上含む組成である。 【0134】 そして、第1の焼成済み基板と第2の焼成済み基板とのビアの間の導通をテスターにより調べた。 この実験の結果を、下記表6に示すが、いずれも接合性は良好であった。 【0135】 【表6】
[実験例6] 本実験例は、第1の焼成済み基板上に形成された薄膜導体(電極)の密着強度を調べたものである。 【0136】 この実験例では、アルミナ製の第1の焼成済み基板(縦50mm×横50mm×厚み0.5mm)を作製し、下記表7及び表8に示す様に、その表面粗さRaを、研磨程度によって変更した。そして、それぞれの第1の焼成済み基板の表面に、Ti又はCr製の電極(縦0.1mm×横0.1mm×厚み10μm)を、スパッタリングと電解メッキによって形成した。 【0137】 詳しくは、スパッタリングにより厚みの異なるTi層(ベース層)を形成し、その上に、スパッタリングにより0.5μmのCu層を形成し、さらにその上に、電解メッキによって、厚みが6.0μmのCu層、3.0μmのNi層、3.0μmのAu層を形成した。 【0138】 なお、実験に用いる試料は、各20個作製し、電極の密着強度を、前記実験例4と同様な方法で調べて評価した。 その結果を、下記表7及び表8に示すが、本発明の範囲の表面粗さRaの場合には、剥がれがなく好適であった。 【0139】 【表7】
【0140】 【表8】
尚、本発明は前記実施形態や実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。 【図面の簡単な説明】 【0141】 【図1】(a)は第1実施形態の多層セラミック基板の模式的な断面図であり、(b)はその電極の模式的な断面図である。 【図2】第1実施形態の多層セラミック基板の製造方法を模式的に示す断面図である。 【図3】多層セラミック基板を用いたIC検査用治具の使用方法を示す説明図である。 【図4】第2実施形態の多層セラミック基板の製造方法を模式的に示す断面図である。 【図5】第3実施形態の多層セラミック基板の製造方法を模式的に示す断面図である。 【図6】第4実施形態の多層セラミック基板の製造方法を模式的に示す断面図である。 【図7】第5実施形態の多層セラミック基板の模式的な断面図である。 【図8】第5実施形態の多層セラミック基板の製造方法を模式的に示す断面図である。 【図9】第6実施形態の多層セラミック基板の製造方法を模式的に示す断面図である。 【図10】実験例1に用いるアルミナ基板を示す平面図である。 【図11】実験例2の各種のビアの形状を示す断面図である。 【図12】実験例2の実験方法を示す説明図である。 【符号の説明】 【0142】 1、73、91、113、121、181…多層セラミック基板 3、53、77、93、125、167、201…第1の焼成済み基板 5、5A、5B、5C、123、123A、123B、123C…第2の焼成済み基板 9、59、89、109、129、177、205…ビア 11、90、111、131、179…電極 13A…ベース層(Ti層) 21、51、75、92、141、161…第1のグリーンシート 23、55、87、105、143、173、203…ビアホール 25、88、145、175…導電ペースト 27、27A、27B、27C、61、61A、61B、61C、79、79A、79B、31、63、81、97、149、169…第1の積層体 33、33A、33B、33C、67、67A、67B、67C、83、83A、83B、35、69、85、101…第2の積層体 36、70、84、102…積層焼成体 43…IC検査用治具 65、98…第3のグリーンシート 79C、95、95A、95B、95C、147、147A、147B、147C、165、165A、165B、165C…第2のグリーンシート 83C、99、99A、99B、99C…収縮抑制シート 209…規制部
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000004547 【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成19年6月25日(2007.6.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】110000578 【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
|
| 【公開番号】 |
特開2008−34828(P2008−34828A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月14日(2008.2.14) |
| 【出願番号】 |
特願2007−166315(P2007−166315) |
|