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【発明の名称】 プリント配線板及びその製造方法
【発明者】 【氏名】山口 洋志

【氏名】星 正次

【氏名】中山 肇

【氏名】川口 邦雄

【要約】 【課題】ドリル刃の折損発生を抑え、かつ、穴位置精度に優れたプリント配線板の製造方法及び前記製造方法で製造されたプリント配線板を提供する。

【構成】直径(φ)が0.45mm以下のドリル刃8が通過する開口穴12が形成され、開口穴の周縁部が、ドリル刃により穴開け加工されるプリント配線板3を押さえる押圧面に形成されたドリル加工用ブッシュ6を用いて穴明け加工するプリント配線板の製造方法であって、ドリル刃の直径に対する開口穴の内径の比が4〜7であり、押圧面に、開口穴の周辺から開口穴に向かって、ドリル刃の回転方向に幅狭に形成される溝部が設けられているドリル加工用ブッシュを用いて穴明け加工するプリント配線板の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径(φ)が0.45mm以下のドリル刃が通過する開口穴が形成され、ドリル刃により穴明け加工されるプリント配線板を押さえる押圧面に、前記開口穴の周縁部が形成されたドリル加工用ブッシュを用いて穴明け加工するプリント配線板の製造方法であって、前記ドリル刃の直径に対する開口穴の内径の比が4〜7であり、
前記押圧面に、前記開口穴の周辺から開口穴に向かって、前記ドリル刃の回転方向に幅狭に形成される溝部が設けられているドリル加工用ブッシュを用いて穴明け加工することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
直径(φ)が0.45mm以下のドリル刃が通過する開口穴が形成され、ドリル刃により穴明け加工されるプリント配線板を押さえる押圧面に、前記開口穴の周縁部が形成されたドリル加工用ブッシュを用いて穴明け加工するプリント配線板の製造方法であって、
前記開口穴の内径が1.8mm〜2.1mmであり、前記押圧面に、前記開口穴の周辺から開口穴に向かって、前記ドリル刃の回転方向に幅狭に形成される溝部が設けられているドリル加工用ブッシュを用いて穴明け加工することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のプリント配線板の製造方法で製造されたプリント配線板。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高機能化に伴い、プリント配線板にも配線密度の向上が強く要求されてきている。これに対応するため穴明け加工したプリント配線板においては、穴密度の向上が必須である。
【0003】
プリント配線板の製造方法の穴明け工程においては、内壁粗さを小さくし、さらに、形成する穴の位置精度を確保することが望まれている。プリント配線板に穴明け加工する場合、特許文献1に示すような穴明けドリルを用いて穴明けを行っていた。
【0004】
また、プリント配線板に穴明け加工する場合、穴明け機械に搭載するブッシュは切削加工時のドリルが通過するための開口穴径の小径化が穴位置精度を確保するのに大変有効である。しかしながら、ブッシュのドリルが通過する開口穴の小径化だけでは、吸引の空気量不足や吸引時のドリルへの空気噴きつけ角度が不適正の場合、ドリル折損や穴位置ずれが発生してしまう。
【0005】
ドリルによる穴明けでは、穴とパターン間の絶縁距離の確保から高い穴位置精度が必要であり、特に直径(φ)が0.45mm以下の小径ドリルを用いた穴明け加工は重要な課題となってくる。
【特許文献1】特開2005−118923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、小径ドリルを用いた場合でもドリル刃の折損発生を抑え、かつ、穴位置精度に優れたプリント配線板の製造方法及び前記製造方法で製造されたプリント配線板を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(1)直径(φ)が0.45mm以下のドリル刃が通過する開口穴が形成され、ドリル刃により穴開け加工されるプリント配線板を押さえる押圧面に、前記開口穴の周縁部が形成されたドリル加工用ブッシュを用いて穴明け加工するプリント配線板の製造方法であって、前記ドリル刃の直径に対する開口穴の内径の比が4〜7であり、前記押圧面に、前記開口穴の周辺から開口穴に向かって、前記ドリル刃の回転方向に幅狭に形成される溝部が設けられているドリル加工用ブッシュを用いて穴明け加工することを特徴とするプリント配線板の製造方法に関する。
【0008】
また、本発明は、(2)直径(φ)が0.45mm以下のドリル刃が通過する開口穴が形成され、ドリル刃により穴明け加工されるプリント配線板を押さえる押圧面に、前記開口穴の周縁部が形成されたドリル加工用ブッシュを用いて穴明け加工するプリント配線板の製造方法であって、前記開口穴の内径が1.8mm〜2.1mmであり、前記押圧面に、前記開口穴の周辺から開口穴に向かって、前記ドリル刃の回転方向に幅狭に形成される溝部が設けられているドリル加工用ブッシュを用いて穴明け加工することを特徴とするプリント配線板の製造方法に関する。
【0009】
また、本発明は、(3)前記(1)又は(2)記載のプリント配線板の製造方法で製造されたプリント配線板に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、小径ドリルを用いた場合でもドリル刃の折損が少なく、かつ、穴位置精度に優れたプリント配線板およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のプリント配線板の製造方法は、直径が0.45mm(φ)以下のドリル刃が通過する開口穴が形成され、ドリル刃により穴明け加工されるプリント配線板を押さえる押圧面に、前記開口穴の周縁部が形成されたドリル加工用ブッシュを用いて穴明け加工するプリント配線板の製造方法であって、前記ドリル刃の直径に対する開口穴の内径の比が4〜7であり、前記押圧面に、前記開口穴の周辺から開口穴に向かって、前記ドリル刃の回転方向に幅狭に形成される溝部が設けられているドリル加工用ブッシュを用いて穴明け加工することを特徴とする。
【0012】
また、本発明のプリント配線板の製造方法は、直径(φ)が0.45mm以下のドリル刃が通過する開口穴が形成され、ドリル刃により穴明け加工されるプリント配線板を押さえる押圧面に、前記開口穴の周縁部が形成されたドリル加工用ブッシュを用いて穴明け加工するプリント配線板の製造方法であって、前記開口穴の内径が1.8mm〜2.1mmであり、前記押圧面に、前記開口穴の周辺から開口穴に向かって、前記ドリル刃の回転方向に幅狭に形成される溝部が設けられているドリル加工用ブッシュを用いて穴明け加工することを特徴とする。
【0013】
以下、本発明について図面と共に説明する。図1はドリル加工用ブッシュの使用状態を示す図面である。プリント配線板3にドリル8により穴明け加工する方法は、図1に示すようにまず、プリント配線板を所望により積層し、上当て板5と下当て板4で挟み固定する。ブッシュ6は昇降制御可能に設けられたプレッシャーシフト9の下端部に取り付けられ、前記ブッシュ6はプレッシャーシフト9に伴って下降されることで、下当て板4上に載置されたプリント配線板3を上当て板5を介して押さえる。そして、ドリル8を下降させて、開口穴12を通過したドリル刃11によりプリント配線板3に穴明け加工を施す。
プリント配線板3は特に限定されないが、例えば、図2に示すように銅張積層板1とプリプレグ2を所定枚数積層し、加熱加圧成形して一体化したものが用いられる。
本発明の製造方法で用いられるドリル8が支持しているドリル刃11の直径(φ)は0.45mm以下であり、好ましくは0.3mm以下であり、より好ましくは0.1mm〜0.3mmである。前記ドリル刃11の直径(φ)が0.45mmを超える場合はドリル刃の折損が生じたり、穴位置精度に劣ってしまう。
【0014】
前記ドリル刃11が通過する開口穴12がブッシュ6の中央部に形成される。開口穴12の内径(図3において符号10で示される部分)は、ドリル刃の直径に対して、4〜7倍である。直径0.45mmのドリル刃に対しては、4〜5倍であることが好ましく、直径0.3mmのドリル刃に対しては、6〜7倍であることが好ましい。ドリル刃の直径に対する開口穴の内径の比を4〜7倍とすることによって、ドリル刃の折損発生を抑え、穴位置精度をより向上させることが出来る。
【0015】
また、開口穴の内径は1.8mm〜2.1mmである。前記開口穴の内径が1.8mm未満である場合はドリル刃の折損が生じ、2.1mmを超える場合はドリル刃の折損が生じたり、穴位置精度に劣ってしまう。
【0016】
ブッシュ6の中央部にはプリント配線板3に向かって突出する突出部7が形成される。突出部7はプリント配線板3を押さえる押圧面13を有する。押圧面の形態について、図3によりさらに説明する。図3は、ブッシュ形状の概略図であり、穴明け加工されるプリント配線板側から見た説明図である。突出部7には、複数の溝部14が形成されており、例えば図3では6個の溝部14が形成されている。溝部14は押圧面13に対して凹んで形成される。溝部14は開口穴12の周辺から開口穴12に向かって、図中矢印方向で示すドリル刃11の回転方向に向かって幅狭になるようテーパ状に形成される。これによって、突出部7はエアファンの扇状に形成される。
溝部14を開口穴12の周辺から開口穴12に向かって、ドリル刃11の回転方向と同方向に形成することにより、切削中のドリル刃11の折損を防止することが出来、さらにドリル進入時の穴位置精度が向上し、突き抜け面側での穴位置精度を向上することができる。また、ドリル刃11の回転に伴ってドリル刃11の周囲に発生する渦状の空気の流れを利用して外気を効率的に吸引することができる。
【0017】
また、溝部14を、開口穴12の周辺から開口穴12に向かって幅狭になるようテーパ状に形成することにより、穴明け部位の周辺部をよりしっかり抑えることが出来、穴位置精度を向上することができる。さらに、溝幅が広い周辺部では多くの空気を導入でき、溝部14に導入された空気は溝幅が狭まるにしたがって風速が高まり開口穴12に向かって進行するため、ドリルとプリント配線板との間で発生した削り粉を高い風速で吹き飛ばして除去することができる。
【実施例】
【0018】
以下、実施例及び比較例における符号は、図1〜3に記載の符号である。
【0019】
プリント配線板3は、板厚が0.1mm及び銅箔厚さが35μmのエポキシ樹脂をガラス布に含浸させた絶縁層を有する銅張積層板1(日立化成工業株式会社製、商品名MCL−E−679)と変性ポリイミド樹脂をガラス布に含浸したプリプレグ2(日立化成工業株式会社製、商品名GIA−671N)を加熱・加圧して積層一体化し、積層一体化後の基板板厚が2.3mmとなる16層品とした。
【0020】
このプリント配線板3の穴明けは、プリント配線板3を2枚重ねして、0.16mmの水溶性潤滑材をアルミニウム表面に付加した上当て板(三菱ガス化学株式会社製、商品名LE812F3)5とフェノール樹脂基板の下当て板4とで固定して挟み、穴明けテーブルにセットした。
【0021】
ドリル穴明け条件は、ドリル刃11の直径が0.30mm〜0.50mmのドリル8を使用してスピンドル回転数100Kmin−1及び送り速度2.0m/minの条件で穴明け加工した。このとき、使用したブッシュ6の形態は9種類であり、ドリル刃1本あたり2000穴加工してドリル刃10本加工毎にブッシュを交換した。
【0022】
穴明けはブッシュ6を搭載した機械側のプレッシャーフット9が下降し、プリント配線板3を抑えた後、所定の位置に穴を明け、その後、プレッシャーフット9が上昇してこの動きを繰り返して穴を明けていく。全てのブッシュ6について穴明けした後に、プリント配線板3を穴明けテーブルから取外して解体し、自動穴位置測定機であるホールアナライザ(日立ビアメカニクス株式会社製、商品名HA−1)により使用したブッシュ毎にプリント配線板3のドリル進入面側とドリル抜け面側(板厚4.6mm)の穴位置ずれ量を測定した。穴位置ずれ量の測定については、穴明け設計位置の中心座標と実際に明けられた穴位置の中心座標間の距離をホールアナライザで計測し、穴位置ずれ量の最大値及び穴位置ずれ量の平均+3σの値をドリル進入面側とドリル抜け面側のそれぞれについて算出した。なお、評価結果の判定は、ドリル刃の折損無しで且つ、ドリル進入面側,ドリル抜け面側の双方において穴位置ずれ量の最大値が45μm未満であるものをGood、ドリル刃の折損有りまたは、ドリル進入面側又はドリル抜け面側の何れかにおいて穴位置ずれ量の最大値が45μm以上であるものをNGとした。ドリル刃の直径とブッシュの組み合わせを変えて検討した結果を表1及び表2に示す。
【0023】
(実施例1) 刃の直径(φ)が0.45mmのドリルとドリル刃の回転方向に幅狭に形成される溝部を有し、開口穴の内径1.8mmのブッシュとを組み合わせた。
【0024】
(実施例2) 刃の直径(φ)が0.45mmのドリルとドリル刃の回転方向に幅狭に形成される溝部を有し、開口穴の内径2.1mmのブッシュとを組み合わせた。
【0025】
(実施例3) 刃の直径(φ)が0.3mmのドリルとドリル刃の回転方向に幅狭に形成される溝部を有し、開口穴の内径1.8mmのブッシュとを組み合わせた。
【0026】
(実施例4) 刃の直径(φ)が0.3mmのドリルとドリル刃の回転方向に幅狭に形成される溝部を有し、開口穴の内径2.1mmのブッシュとを組み合わせた。
【0027】
(比較例1) 刃の直径(φ)が0.45mmのドリルと開口穴の周辺部から中心方向に等幅に形成される溝部を有し、開口穴の内径3mmのブッシュとを組み合わせた。
【0028】
(比較例2) 刃の直径(φ)が0.45mmのドリルとドリル刃の回転方向とは逆方向に等幅に形成される溝部を有し、開口穴の内径3mmのブッシュとを組み合わせた。
【0029】
(比較例3) 刃の直径(φ)が0.45mmのドリルとドリル刃の回転方向に等幅に形成される溝部を有し、開口穴の内径3mmのブッシュとを組み合わせた。
【0030】
(比較例4) 刃の直径(φ)が0.45mmのドリルとドリル刃の回転方向に等幅に形成される溝部を有し、開口穴の内径1.8mmのブッシュとを組み合わせた。
【0031】
(比較例5) 刃の直径(φ)が0.45mmのドリルとドリル刃の回転方向に等幅に形成される溝部を有し、開口穴の内径2.1mmのブッシュとを組み合わせた。
【0032】
(比較例6) 刃の直径(φ)が0.45mmのドリルとドリル刃の回転方向に幅狭に形成される溝部を有し、開口穴の内径1.5mmのブッシュとを組み合わせた。
【0033】
(比較例7) 刃の直径(φ)が0.5mmのドリルとドリル刃の回転方向に幅狭に形成される溝部を有し、開口穴の内径1.8mmのブッシュとを組み合わせた。
【0034】
(比較例8) 刃の直径(φ)が0.5mmのドリルとドリル刃の回転方向に幅狭に形成される溝部を有し、開口穴の内径2.1mmのブッシュとを組み合わせた。
【0035】
(比較例9) 刃の直径(φ)が0.3mmのドリルとドリル刃の回転方向に幅狭に形成される溝部を有し、開口穴の内径2.5mmのブッシュとを組み合わせた。
【表1】


【表2】


【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明におけるドリル加工用ブッシュの使用状態を示す図である。
【図2】本発明で用いられるプリント配線板の概略図である。
【図3】本発明で用いられるブッシュ形状の概略図である。
【符号の説明】
【0037】
1 銅張積層板
2 プリプレグ
3 プリント配線板
4 下当て板
5 上当て板
6 ブッシュ
7 突出部
8 ドリル
9 プレッシャーフット
10 開口穴の内径
11 ドリル刃
12 開口穴
13 押圧部
14 溝部
【出願人】 【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成工業株式会社
【出願日】 平成19年5月18日(2007.5.18)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和

【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦

【識別番号】100100929
【弁理士】
【氏名又は名称】川又 澄雄

【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和

【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一

【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄


【公開番号】 特開2008−34804(P2008−34804A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2007−132628(P2007−132628)