| 【発明の名称】 |
回路基板及び回路基板の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】水谷 大輔
【氏名】田島 竜彦
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| 【要約】 |
【課題】伝送損失を低減させる。
【構成】対向するグランド層14及び電源層13と、グランド層14と電源層13との間に設置された配線層10と、配線層10を挟むようにグランド層14及び電源層13の間に形成された絶縁部12を有する回路基板1において、その絶縁部12より誘電正接の低い低誘電損失層11を配線層10の少なくとも上面または下面に形成させる。このような回路基板1によれば、絶縁部12と配線層10の界面に、低誘電損失層11が形成されているので、高周波領域における伝送損失が低減する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 対向するグランド層と電源層との間の絶縁部中に配置された配線層を有する回路基板において、 前記絶縁部より誘電正接の低い低誘電損失層が前記配線層の少なくとも上面または下面に形成されていることを特徴とする回路基板。 【請求項2】 前記低誘電損失層が前記配線層の上面及び下面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の回路基板。 【請求項3】 前記低誘電損失層が前記配線層の上面、下面及び側面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の回路基板。 【請求項4】 前記低誘電損失層の誘電正接が前記絶縁部の誘電正接の10分の1以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回路基板。 【請求項5】 前記低誘電損失層の誘電正接が0.002以下であることを特徴とする請求項4記載の回路基板。 【請求項6】 前記低誘電損失層の材質が金属酸化物を含有する熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の回路基板。 【請求項7】 前記熱硬化性樹脂に前記金属酸化物が92wt%含有されていることを特徴とする請求項6記載の回路基板。 【請求項8】 前記金属酸化物がアルミナまたはシリカであることを特徴とする請求項6又は7記載の回路基板。 【請求項9】 前記低誘電損失層の膜厚が2μm以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の回路基板。 【請求項10】 グランド層の表面に絶縁部を形成させた第1の基板を作製する工程と、 電源層の表面に前記絶縁部を形成させた第2の基板を作製する工程と、 配線層の少なくとも上面または下面に前記絶縁部より誘電正接が低い低誘電損失層を形成する工程と、 前記低誘電損失層を形成させた前記配線層を前記第1の基板の前記絶縁部と前記第2の基板の前記絶縁部で挟むように張り合わせる工程と、 を有することを特徴とする回路基板の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は回路基板及び回路基板の製造方法に関し、特に高速に電気信号を伝送するための回路基板及びその製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 ネットワーク機器の高速化に伴い、通信基地局やハイエンドサーバ等、大型の回路基板においては、1GHzを超える高周波領域での伝送が要求される。回路基板における高周波領域での伝送には、ストリップ線路が一般的に用いられている。 【0003】 図15はストリップ線路の配線構造を説明する要部断面模式図である。 この配線構造は、多層回路基板を構成する最も基本的なユニットであり、多層回路基板を構成するときは、このユニットを多層に重ねて用いる。 【0004】 具体的な構造としては、中心導体である配線層100と、配線層100を取り囲む絶縁部101とが設けられ、絶縁部101の上面、下面には配線層100より著しく幅の広い電源層102、グランド層103が設けられている。 【0005】 配線層100、電源層102、グランド層103の材質は、例えば銅箔で、絶縁部101の材質には、有機材料である誘電体材料が用いられている。このような配線構造によれば、高周波領域における信号を配線層100と電源層102、または配線層100とグランド層103の間に発生する電磁場、即ち準TEM(Transverse Electro-Magnetic)波により伝送させることができる。 【0006】 しかし、高周波領域での信号伝送では、一般に抵抗損失、または誘電損失による伝送損失が生じる。特に、伝送損失には周波数依存があり、伝送速度が1GHzを超える高周波領域では、伝送損失が増大することが知られている。このため回路基板においては、1GHzを超える高周波領域で伝送損失を低減させる検討がなされている。 【0007】 例えば、抵抗損失低減の検討では、表面粗さの低減による伝送損失の低減化が検討されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、表面粗さの低減には複雑な表面処理技術が利用され、実用的にはコストが高くなるという問題がある。また、表面粗さを低減させると、配線層と絶縁部の界面の密着力が低下する。従って、配線層と絶縁部の界面の密着力を保持するには、所定の表面粗さが必要になり、表面粗さを低減させることにより抵抗損失低減を図ることについては限界がある。 【0008】 一方、誘電損失低減の検討では、絶縁部の誘電率、誘電正接を低減させることによる伝送損失の低減化が検討されている(例えば、特許文献2参照)。 例えば、回路基板の絶縁部の材料として一般的に用いられているFR−4(Flame Retardant Type 4)の誘電率は4.4で、誘電正接は0.02である。 【0009】 これに対し、低誘電率、低誘電損失として期待されているポリフェニレンエーテル(PPE)を主成分とする材料の誘電率、誘電正接は、夫々およそ3.5、0.002である。 【0010】 このように、絶縁部の低誘電率化、低誘電損失化を図ることで、1GHzを超える高周波領域で伝送損失を低減させる検討がなされている。 【特許文献1】特開2004−327745号公報 【特許文献2】特開2004−140268号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0011】 しかしながら、伝送損失の低減を図るために、低誘電率、低誘電損失の絶縁部材料を用いると、絶縁部を構成する有機材料の極性等の低下により他の特性、例えば、絶縁部材料の熱特性、層間密着性、機械特性、耐薬品性が低下する。従って、回路基板に誘電率、誘電正接が極端に低い絶縁部材料を用いると、例えば、半田付け等の加熱プロセスにおいて絶縁部の変形、配線からの剥離が生じるという問題がある。特に、有機材料については、誘電正接を低下させると、誘電率が共に低下するという一般的な傾向があり、熱特性、層間密着性、機械特性、耐薬品性を維持させたまま、誘電正接のみを低下させる材料の作製には限界がある。 【0012】 また、配線の特性インピーダンスを整合させることに関し、これまで用いてきた回路基板の絶縁部の誘電率を大きく変動させることは好ましくない。そして、伝送損失については、充分に低減させる必要がある。 【0013】 本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、高速に電気信号を伝送するための回路基板及びその製造方法に関し、高周波領域における伝送損失を低減するための回路基板及びその製造方法の提供を目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0014】 本発明では上記課題を解決するために、対向するグランド層と電源層との間の絶縁部中に配置された配線層を有する回路基板において、前記絶縁部より誘電正接の低い低誘電損失層が前記配線層の少なくとも上面または下面に形成されていることを特徴とする回路基板が提供される。 【0015】 このような回路基板によれば、対向するグランド層と電源層との間の絶縁部中に配置された配線層を有する回路基板において、絶縁部より誘電正接の低い低誘電損失層が配線層の少なくとも上面または下面に形成される。 【0016】 また本発明では、グランド層の表面に絶縁部を形成させた第1の基板を作製する工程と、電源層の表面に前記絶縁部を形成させた第2の基板を作製する工程と、配線層の少なくとも上面または下面に前記絶縁部より誘電正接が低い低誘電損失層を形成する工程と、前記低誘電損失層を形成させた前記配線層を前記第1の基板の前記絶縁部と前記第2の基板の前記絶縁部で挟むように張り合わせる工程と、を有することを特徴とする回路基板の製造方法が提供される。 【0017】 このような回路基板の製造方法によれば、グランド層の表面に絶縁部を形成させた第1の基板が作製され、電源層の表面に絶縁部を形成させた第2の基板が作製され、配線層の少なくとも上面または下面に絶縁部より誘電正接が低い低誘電損失層が形成され、低誘電損失層を形成させた配線層が第1の基板の絶縁部と第2の基板の絶縁部で挟むように張り合わされる。 【発明の効果】 【0018】 本発明では、対向するグランド層と電源層との間の絶縁部中に配置された配線層を有する回路基板において、絶縁部より誘電正接の低い低誘電損失層を配線層の少なくとも上面または下面に形成するようにした。 【0019】 これにより、高周波領域における伝送損失を低減するための回路基板の実現が可能になる。 また本発明では、グランド層の表面に絶縁部を形成させた第1の基板を作製し、電源層の表面に絶縁部を形成させた第2の基板を作製し、配線層の少なくとも上面または下面に絶縁部より誘電正接が低い低誘電損失層を形成し、低誘電損失層を形成させた配線層を第1の基板の絶縁部と第2の基板の絶縁部で挟むように張り合わせるようにした。 【0020】 これにより、高周波領域における伝送損失を低減するための回路基板の製造方法の実現が可能になる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0021】 以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。 最初に、多層回路基板を構成する回路基板の基本構造の概要について説明する。 図1は回路基板の要部断面模式図である。 【0022】 この回路基板1は、ストリップ配線構造をしている。図1に示すように、中心部に中心導体である配線層10があり、配線層10の全面を取り囲むように低誘電損失層11が形成されている。 【0023】 そして、配線層10及び低誘電損失層11は、さらに絶縁部12により取り囲まれ、絶縁部12の上面、下面には配線層10より著しく幅の広い電源層13、グランド層14が設けられている。絶縁部12と低誘電損失層11は共に誘電体である。 【0024】 ここで、配線層10、電源層13及びグランド層14の材質は、例えば銅である。また、低誘電損失層11の材質は、例えばアルミナ(酸化アルミニウム)を主成分とする誘電体である。そして、絶縁部12の材質は、例えばガラス基材エポキシ樹脂であるFR−4である。 【0025】 ところで、配線層10が発生する電界強度は、配線層10の表面近傍が最も強い。伝送損失は、配線層10と配線層10の近傍の誘電体層の相互作用によって生じる。従って、伝送損失を抑制するには、電界強度の最も強い配線層10の近傍に誘電正接の低い低誘電損失層11を形成させることで達成することができる。 【0026】 低誘電損失層11の膜厚については、配線層10の表面粗さ程度の被膜を形成させることで、伝送損失を抑制する効果がある。具体的には、低誘電損失層11の膜厚を数μmとすることで、伝送損失を低減させる効果があり(後述)、ここでは、例えば2μm以下とする。 【0027】 そして、この図に示す低誘電損失層11の誘電正接は絶縁部12の誘電正接よりも一桁以上低くさせ、10分の1以下とする。例えば、絶縁部12の材質がFR−4ならば、誘電正接は0.02で、低誘電損失層11の材質がアルミナを主成分とする誘電体ならば、誘電正接は0.002以下となり、低誘電損失層11の誘電正接は絶縁部12の誘電正接より10分の1以下である。 【0028】 また、回路基板1の伝播遅延、特性インピーダンスは、対向する配線層10とグランド層14の相互作用、または配線層10と電源層13の相互作用により決定される。対向する電極間に存在する誘電体の大部分の容積は、絶縁部12によって占められている。従って、伝播遅延、特性インピーダンスは、絶縁部12の特性によって決定される。即ち、低誘電損失層11を形成させた前後で、回路基板1の伝播遅延、特性インピーダンスは大きく変動しない。 【0029】 尚、低誘電損失層11の膜厚と絶縁部12の膜厚の関係については、低誘電損失層11の膜厚をd1とし、絶縁部12の膜厚をd2とすると、d2のd1に対する割合は、2%以下とする。2%より大きくなると、絶縁部12に対する低誘電損失層11の容量が増大し、低誘電損失層11の影響により回路基板1の伝播遅延、特性インピーダンスに変動が生じるので、d2のd1に対する割合は、2%以下とする。例えば、低誘電損失層11の膜厚が2μmならば、絶縁部12の膜厚は100μm以上である。 【0030】 このように、上記回路基板1では、絶縁部12の材質として、これまで一般的に用いられてきた絶縁材料、例えばFR−4を用いている。そして、薄い低誘電損失層11が配線層10近傍に形成されている。従って、回路基板1としては充分な熱特性、層間密着性、機械特性、耐薬品性を有し、伝播遅延、特性インピーダンスが大きく変動することはなく、伝送損失を充分に低減させることができる。 【0031】 次に、低誘電損失層を形成させた場合の効果について検討したので説明する。 ここでは、その効果を確認するために、三次元電磁界解析法によるシミュレーションを行い、回路基板の伝送損失を計算した。具体的には、回路基板の立体的構造内の電磁場強度分布を数値シミュレーションすることで伝送特性を解析している。 【0032】 図2はシミュレーションに用いた回路基板の要部断面模式図である。 シミュレーションに用いた回路基板2の構造は、材質が銅の配線層10の幅を54μm、配線層10の厚さを35μmとし、絶縁部12の材質は、FR−4で、その誘電率を4.4、誘電正接を0.02としている。そして、絶縁部12の厚さを235μmとし、電源層13、グランド層14の幅を配線層10の幅よりも著しく広い50Ω整合のストリップ配線構造とした。 【0033】 このシミュレーションではストリップ配線構造を採用しているので、配線層10と電源層13、または配線層10とグランド層14の間の方向に発生する電磁場により、信号が伝送する伝送モードを想定している。即ち、対向する電極間に発生する電磁場により、信号が伝送する伝送モードを想定している。 【0034】 従って、低誘電損失層11については、対向する電極間の方向、即ち、この図に示す配線層10の上面と下面のみに形成させ、充分な損失低減効果が得られると予測し、そのシミュレーションにより解析を行った。 【0035】 具体的には、配線層10の上面と下面に、一例として誘電率が9.8、誘電正接が0.0001のアルミナ層の低誘電損失層11を設け、その厚さを1μmとしている。即ち、絶縁部12の厚さ235μmに対するアルミナ層の厚さ1μmは、このモデルでは0.4%である。そして、回路基板2の長さを1mの単位で伝送損失を計算した。 【0036】 図3は周波数と伝送損失の関係を示す図である。 このシミュレーションでは、低誘電損失層を設けた場合をA、設けていない場合をBとしている。 【0037】 この図からAとBを比較すると、AのほうがBよりも伝送損失が少ないことが分かる。特に周波数が5〜8GHzの範囲では、AはBに対して約1.5dB/mの損失低減効果があり、周波数が8〜10GHzの範囲になると、AはBに対して約2dB/mの損失低減効果があり、周波数が10GHz以上では、AはBに対して約3dB/mの損失低減効果が認められる。このように、このモデルでは周波数が高くなるほど損失低減効果が増大することが分かった。 【0038】 また、このシミュレーションでは、配線層の表面は理想的な平面として計算している。実際の製品の配線表面は、シミュレーションで用いたモデルより粗くなる。従って、実際の製品で低誘電損失層を設けない場合は、伝送損失がBよりさらに増大する。その結果、実際の製品に低誘電損失層を設けた場合は、低誘電損失層を設けない場合に比べ、損失低減効果は、図3を用いて説明した比較例に比べてより増大し、その効果はより増大する。 【0039】 尚、図2の説明では、配線層10の上面及び下面に低誘電損失層11を形成させているが、ストリップ配線構造では、配線層10と電源層13、または配線層10とグランド層14の間の方向に発生する電磁場により、信号が伝送する。従って、少なくとも配線層10の上面または下面に低誘電損失層11を形成させることで、伝送損失の低減の効果がある。即ち、図2に示す回路基板2において、配線層10の上面または下面のどちらか一方の面に低誘電損失層11を形成させることで、伝送損失の低減を図ることができる。 【0040】 次に、図1に示す回路基板1の具体的な製造方法について説明する。この製造方法では、第1〜3の製造方法を説明する。 図4〜図5、図7〜図14は、回路基板の具体的な製造方法の要部断面模式図である。 【0041】 <第1の製造方法> 最初に、第1の製造方法について説明する。 図4は基板作製工程の要部断面模式図である。 【0042】 グランド層22となる金属板上に、絶縁部23を加熱プレスにより貼り合わせ、回路基板を構成する基板5を作製する。この基板を第1の基板と定義する。グランド層22の材質は、例えば銅で、絶縁部23の材質は、FR−4である。 【0043】 図5は低誘電損失層形成工程の要部断面模式図である。 次に、配線となる銅箔20の下面に、一例としてアルミナを主成分とする低誘電損失層21を形成させる。 【0044】 ここでは低誘電損失層21の材質として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノール硬化剤、触媒の混合物中に粒径0.3μmのアルミナ粉末を92wt%分散させたワニスをメチルエチルケトンで希釈して粘度を調整したものを用いる。 【0045】 低誘電損失層21を銅箔20の下面に張り合わせるには、上述した材料を銅箔20の下面に塗布した後、乾燥させ、熱硬化させる。 ここで、低誘電損失層21の材質として、アルミナ粉末を92wt%分散させた理由について説明する。 【0046】 図6はアルミナ含有量と誘電正接の関係を示す図である。 図6に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノール硬化剤、触媒の混合物中に粒径0.3μmのアルミナ粉末を分散させたワニス中のアルミナ含有量(wt%)と誘電正接の関係を示す。この関係は、アルミナ含有量(wt%)を変化させた上記ワニスを乾燥・熱硬化させ、0.5mm厚の板を作製し、これを平板板電極で挟んだときの誘電正接を計測して求めた。この図の横軸は、アルミナ含有量(wt%)、縦軸は誘電正接を示している。 【0047】 アルミナ含有量が50〜70wt%までは、徐々に誘電正接が減少する。70wt%を超えると急激に誘電正接が減少し、92wt%以上で0.002以下になる。 上述したように、FR−4の誘電正接は0.02である。この値よりも10分の1以下の誘電正接は0.002以下となる。そのためには、低誘電損失層21の材質として、92wt%以上のアルミナを含有させることが必要になる。従って、ここでは92wt%のアルミナを含有させた誘電体材料を用いる。 【0048】 図7は配線層パターニング工程の要部断面模式図である。 グランド層22の上面に絶縁部23を形成させた基板5上に、図5に示した低誘電損失層21を形成させた銅箔20を加熱プレスにより貼り合わせる(不図示)。そして、エッチングによってパターニングを行い、配線層24を形成させる。絶縁部23の材質は、例えばFR−4である。この工程で、グランド層22の上面に絶縁部23を形成させた基板上に、配線層24が形成する。 【0049】 図8は低誘電損失層形成工程の要部断面模式図である。 配線層24を形成させた後、配線層24の表面と側面に低誘電損失層21を形成する。ここでの低誘電損失層21の形成は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノール硬化剤、触媒の混合物中に粒径0.3μmのアルミナ粉末を92wt%分散させたワニスをメチルエチルケトンで希釈して粘度を調整したものを高圧で吹き付けるエアロデポジション法または無機酸化物粒子を高濃度で含有させた樹脂ワニスを塗布することにより行う。 【0050】 図9は絶縁部形成工程の要部断面模式図である。 配線層24の表面と側面に形成させた低誘電損失層21が残存するように、絶縁部23上の低誘電損失層21のエッチングを行い、配線層24の両側の絶縁部23の表面を露出させる。 【0051】 図10は張り合わせ工程の要部断面模式図である。 そして、低誘電損失層21で被覆された配線層24を上下方向から挟むように、グランド層22の上面に絶縁部23を形成させた基板6と、電源層25の下面に絶縁部26を形成させた基板を対向するように合わせ、加熱プレスにより両者を貼り合わせる。基板6については、これを第2の基板と定義し、張り合わせる前に予め作製しておく。そして、図1に示す回路基板1と同じ構成の回路基板の完成に至る。 【0052】 <第2の製造方法> 次に、第2の製造方法について説明する。第2の製造方法は、第1の製造方法の変形例である。尚、この製造方法においては、図4から図8までに示した要素と同一の要素については同一の符号を付し、図4から図8までの製造工程と同一の製造工程で実施できるので、その詳細の説明については省略し、図8に示す工程の次の工程から説明する。 【0053】 図11はエッチング工程の要部断面模式図である。 絶縁部23上と配線層24の側面に形成させた低誘電損失層21のエッチングを行い、絶縁部23の表面と配線層24の側面を露出させる。 【0054】 図12は張り合わせ工程の要部断面模式図である。 そして、低誘電損失層21で被覆された配線層24を上下方向から挟むように、グランド層22の上面に絶縁部23を形成させた基板5と、電源層25の下面に絶縁部26を形成させた基板6を対向するように合わせ、加熱プレスにより両者を貼り合わせる。そして、図2に示す回路基板2と同じ構成の回路基板の完成に至る。 【0055】 <第3の製造方法> 次に、第3の製造方法について説明する。第3の製造方法は、第1の製造方法、第2の製造方法に続き、さらなる変形例である。尚、この製造方法においては、図4から図8までに示した要素と同一の要素については同一の符号を付し、図4から図8までの製造工程と同一の製造工程で実施できるので、その詳細の説明については省略し、図8に示す工程の次の工程から説明する。 【0056】 図13は張り合わせ工程の要部断面模式図である。 低誘電損失層21で被覆された配線層24を上下方向から挟むように、グランド層22の上面に絶縁部23を形成させた基板5と、電源層25の下面に絶縁部26を形成させた基板6を対向するように合わせ、加熱プレスにより両者を貼り合わせる。 【0057】 図14は張り合わせ後の回路基板の要部断面模式図である。 そして、加熱プレスにより両者を貼り合わせた後に、回路基板3の完成に至る。 この回路基板3では、低誘電損失層21が絶縁部23、26の間に残存しているが、上述したように、ストリップ配線構造では、配線層24と電源層25、または配線層24とグランド層22の間の方向に発生する電磁場により、信号が伝送する。従って、少なくとも配線層24の上面または下面に低誘電損失層21を形成させることで、伝送損失の低減を図ることができる。低誘電損失層21が絶縁部23、26の間に形成されていても、伝播遅延、特性インピーダンス等の電気的な特性に影響は与えない。 【0058】 尚、上記の説明では低誘電損失層の材料として、アルミナを用いているが、特にアルミナに限る必要はなく、他の誘電正接の低いセラミック材料、例えばシリカ等を用いてもよい。 【0059】 また、図1、図2の説明では、絶縁部12の上面に電源層13、絶縁部12の下面にグランド層14を設けているが、絶縁部12の下面に電源層13、絶縁部12の上面にグランド層14を設けてもよい。同様に、図14の説明では、絶縁層26の上面に電源層25、絶縁層23の下面にグランド層22を設けているが、絶縁層23の下面に電源層25、絶縁層26の上面にグランド層22を設けてもよい。 【0060】 (付記1) 対向するグランド層と電源層との間の絶縁部中に配置された配線層を有する回路基板において、 前記絶縁部より誘電正接の低い低誘電損失層が前記配線層の少なくとも上面または下面に形成されていることを特徴とする回路基板。 【0061】 (付記2) 前記低誘電損失層が前記配線層の上面及び下面に形成されていることを特徴とする付記1記載の回路基板。 (付記3) 前記低誘電損失層が前記配線層の上面、下面及び側面に形成されていることを特徴とする付記1記載の回路基板。 【0062】 (付記4) 前記低誘電損失層の誘電正接が前記絶縁部の誘電正接の10分の1以下であることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の回路基板。 (付記5) 前記低誘電損失層の誘電正接が0.002以下であることを特徴とする付記4記載の回路基板。 【0063】 (付記6) 前記低誘電損失層の材質が金属酸化物を含有する熱硬化性樹脂であることを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の回路基板。 (付記7) 前記熱硬化性樹脂に前記金属酸化物が92wt%含有されていることを特徴とする付記6記載の回路基板。 【0064】 (付記8) 前記金属酸化物がアルミナまたはシリカであることを特徴とする付記6又は7記載の回路基板。 (付記9) 前記低誘電損失層の膜厚が2μm以下であることを特徴とする付記1乃至8のいずれか1項に記載の回路基板。 【0065】 (付記10) 前記絶縁部の膜厚に対する前記低誘電損失層の膜厚の割合が2%以下であることを特徴とする付記1乃至9のいずれか1項に記載の回路基板。 (付記11) グランド層の表面に絶縁部を形成させた第1の基板を作製する工程と、 電源層の表面に前記絶縁部を形成させた第2の基板を作製する工程と、 配線層の少なくとも上面または下面に前記絶縁部より誘電正接が低い低誘電損失層を形成する工程と、 前記低誘電損失層を形成させた前記配線層を前記第1の基板の前記絶縁部と前記第2の基板の前記絶縁部で挟むように張り合わせる工程と、 を有することを特徴とする回路基板の製造方法。 【0066】 (付記12) 前記低誘電損失層を形成する工程においては、金属酸化物の粒子を分散させたワニスを高圧で吹き付けるエアロデポジション法または前記金属酸化物の粒子を高濃度で含有させた樹脂ワニスを塗布する方法により前記低誘電損失層を形成することを特徴とする付記11記載の回路基板の製造方法。 【図面の簡単な説明】 【0067】 【図1】回路基板の要部断面模式図である。 【図2】シミュレーションに用いた回路基板の要部断面模式図である。 【図3】周波数と伝送損失の関係を示す図である。 【図4】基板作製工程の要部断面模式図である。 【図5】低誘電損失層形成工程の要部断面模式図である(その1)。 【図6】アルミナ含有量と誘電正接の関係を示す図である。 【図7】配線層パターニング工程の要部断面模式図である。 【図8】低誘電損失層形成工程の要部断面模式図である(その2)。 【図9】絶縁部形成工程の要部断面模式図である。 【図10】張り合わせ工程の要部断面模式図である(その1)。 【図11】エッチング工程の要部断面模式図である。 【図12】張り合わせ工程の要部断面模式図である(その2)。 【図13】張り合わせ工程の要部断面模式図である(その3)。 【図14】張り合わせ後の回路基板の要部断面模式図である。 【図15】ストリップ線路の配線構造を説明する要部断面模式図である。 【符号の説明】 【0068】 1、2、3 回路基板 5、6 基板 10、24 配線層 11、21 低誘電損失層 12、23、26 絶縁部 13、25 電源層 14、22 グランド層 20 銅箔
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005223 【氏名又は名称】富士通株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年7月31日(2006.7.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092152 【弁理士】 【氏名又は名称】服部 毅巖
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| 【公開番号】 |
特開2008−34742(P2008−34742A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月14日(2008.2.14) |
| 【出願番号】 |
特願2006−208770(P2006−208770) |
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