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【発明の名称】 配線回路基板
【発明者】 【氏名】石井 淳

【氏名】要海 貴彦

【要約】 【課題】簡易な層構成により、伝送損失を低減させることができるとともに、第1絶縁層と金属箔との密着性を向上させて、長期信頼性に優れる配線回路基板を提供すること。

【構成】金属支持基板2を用意し、第1ベース絶縁層3を金属支持基板2の上に形成し、第1金属薄膜4を、第1ベース絶縁層3の全面に形成し、金属箔5を、第1金属薄膜4の上に形成し、第2金属薄膜6を、金属箔5および第1金属薄膜4を被覆するように連続して形成し、第2ベース絶縁層7を、第1ベース絶縁層3の上に、第2金属薄膜6を被覆するように形成し、第3金属薄膜8を、第2ベース絶縁層7の全面に形成し、導体パターン9を、第3金属薄膜8の上に形成し、第4金属薄膜10を、導体パターン9および第3金属薄膜8を被覆するように連続して形成し、カバー絶縁層11を、第2ベース絶縁層7の上に、第4金属薄膜10を被覆するように形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属支持基板と、
前記金属支持基板の上に形成される第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上に形成される第1金属薄膜と、
前記第1金属薄膜の上に形成される金属箔と、
前記第1絶縁層の上に、前記金属箔を被覆するように形成される第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の上に形成される導体パターンと
を備えていることを特徴とする、配線回路基板。
【請求項2】
さらに、前記金属箔および前記第2絶縁層の間に介在するように形成される第2金属薄膜を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の配線回路基板。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板に関し、詳しくは、回路付サスペンション基板などの配線回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ステンレスからなる金属支持基板の上に、樹脂からなる絶縁層、および、銅からなる導体パターンが順次形成された回路付サスペンション基板が知られている。
このような回路付サスペンション基板では、金属支持基板がステンレスで形成されていることから、導体パターンにおいて伝送損失が大きくなる。
そのため、伝送損失を低減させるために、例えば、プリント形成された記録側線路および再生側線路の導体の下層であって、サスペンションの上に形成される絶縁層の上に、銅合金からなる下部導体を設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−11387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の提案では、絶縁層と下部導体との密着性が不十分であり、長期信頼性を確保することが困難である。
本発明の目的は、簡易な層構成により、伝送損失を低減させることができるとともに、第1絶縁層と金属箔との密着性を向上させて、長期信頼性に優れる配線回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するため、本発明の配線回路基板は、金属支持基板と、前記金属支持基板の上に形成される第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に形成される第1金属薄膜と、前記第1金属薄膜の上に形成される金属箔と、前記第1絶縁層の上に、前記金属箔を被覆するように形成される第2絶縁層と、前記第2絶縁層の上に形成される導体パターンとを備えていることを特徴としている。
【0005】
また、本発明の配線回路基板では、さらに、前記金属箔および前記第2絶縁層の間に介在するように形成される第2金属薄膜を備えていることが好適である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の配線回路基板によれば、導体パターンの下に金属箔が形成されているので、簡易な層構成により、伝送損失を低減させることができるとともに、第1絶縁層と金属箔との間に、第1金属薄膜が形成されているので、第1絶縁層と金属箔との密着性の向上を十分に図ることができ、優れた長期信頼性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明の配線回路基板の一実施形態を示す要部断面図である。
図1において、この配線回路基板1は、ハードディスクドライブに搭載される回路付サスペンション基板であって、長手方向に延びる金属支持基板2と、金属支持基板2の上に形成される第1ベース絶縁層3と、第1ベース絶縁層3の上に形成される第1金属薄膜4と、第1金属薄膜4の上に形成される金属箔5と、第1ベース絶縁層3の上に、金属箔5を被覆するように形成される第2金属薄膜6と、第1ベース絶縁層3の上に、第2金属薄膜6を被覆するように形成される第2ベース絶縁層7と、第2ベース絶縁層7の上に形成される第3金属薄膜8と、第3金属薄膜8の上に形成される導体パターン9と、第2ベース絶縁層7の上に、導体パターン9を被覆するように形成される第4金属薄膜10とを備えている。また、この配線回路基板1は、必要に応じて、第2ベース絶縁層7の上に、第4金属薄膜10を被覆するように形成されるカバー絶縁層11を備えている。
【0008】
金属支持基板2は、平板状の金属箔や金属薄板からなる。金属支持基板2を形成する金属としては、例えば、ステンレス、42アロイなどが用いられ、好ましくは、ステンレスが用いられる。また、その厚みは、例えば、15〜30μm、好ましくは、20〜25μmである。
第1ベース絶縁層3は、金属支持基板2の表面に形成されている。より具体的には、第1ベース絶縁層3は、幅方向(長手方向に直交する方向)において、金属支持基板2の全面に形成されている。第1ベース絶縁層3を形成する絶縁体としては、配線回路基板の絶縁体として通常用いられる、例えば、ポリイミド、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂が用いられる。これらのうち、好ましくは、感光性の合成樹脂が用いられ、さらに好ましくは、感光性ポリイミドが用いられる。また、その厚みは、例えば、1〜10μm、好ましくは、1〜5μmである。
【0009】
第1金属薄膜4は、第1ベース絶縁層3の表面において、金属箔5が形成されている部分に対向するように、パターンとして形成されている。より具体的には、第1金属薄膜4は、後述するように幅方向おいて互いに間隔を隔てて配置される複数(4つ)の配線のうち幅方向の最外両側の配線間にわたって、これらの配線と厚み方向において対向し、かつ、第1ベース絶縁層3よりも幅狭となるように形成されている。第1金属薄膜4を形成する金属としては、例えば、銅、クロム、金、銀、白金、ニッケル、チタン、ケイ素、マンガン、ジルコニウム、およびそれらの合金、またはそれらの酸化物などが用いられる。好ましくは、銅、クロム、ニッケルおよびそれらの合金が用いられる。また、第1金属薄膜4は、複数の層からなっていてもよい。また、その厚みは、例えば、0.01〜1μm、好ましくは、0.01〜0.1μmである。
【0010】
金属箔5は、第1金属薄膜4の表面において、少なくとも導体パターン9が形成されている部分に対向するように、パターンとして形成されている。より具体的には、金属箔5は、幅方向において第1金属薄膜4の全面に形成されている。金属箔5を形成する金属としては、好ましくは、銅が用いられる。また、その厚みは、例えば、0.1〜5μm、好ましくは、1〜5μmである。
【0011】
第2金属薄膜6は、金属箔5の表面に、金属箔5を被覆するように形成されている。より具体的には、第2金属薄膜6は、金属箔5の上面および幅方向両側面と、第1金属薄膜4の幅方向両側面とに、これらを被覆するように、連続して形成されている。また、この第2金属薄膜6は、金属箔5および第1金属薄膜4と、第2ベース絶縁層7との間に介在するように形成されている。
【0012】
第2金属薄膜6を形成する金属としては、例えば、ニッケル、クロム、またはニッケルとクロムとの合金(ニクロム)が用いられる。好ましくは、ニッケルが用いられる。また、その厚みは、例えば、0.01〜1μm、好ましくは、0.01〜0.1μmである。
第2ベース絶縁層7は、第1ベース絶縁層3の上に、第2金属薄膜6を被覆するように形成されている。第2ベース絶縁層7を形成する絶縁体としては、上記した第1ベース絶縁層3と同様の絶縁体が用いられる。好ましくは、感光性の合成樹脂が用いられ、さらに好ましくは、感光性ポリイミドが用いられる。また、その厚みは、例えば、1〜15μm、好ましくは、8〜12μmである。
【0013】
第3金属薄膜8は、第2ベース絶縁層7の表面において、導体パターン9が形成されている部分に対向するように、パターンとして形成されている。第3金属薄膜8を形成する金属としては、上記した第1金属薄膜4と同様の金属が用いられる。好ましくは、銅、クロム、ニッケルが用いられる。また、その厚みは、例えば、0.01〜1μm、好ましくは、0.01〜0.1μmである。
【0014】
導体パターン9は、第2ベース絶縁層7の上であって、第3金属薄膜8の表面に、幅方向において互いに間隔を隔てるように配置され、長手方向に沿って平行状に設けられる複数(例えば、4本)の配線および各配線の長手方向両端部に設けられる図示しない端子部からなる配線回路パターンとして形成されている。導体パターン9を形成する導体としては、配線回路基板の導体として通常用いられる、例えば、銅、ニッケル、金、はんだ、またはそれらの合金などの金属が用いられる。これらのうち、好ましくは、銅が用いられる。また、導体パターン9の厚みは、例えば、5〜20μm、好ましくは、7〜15μmである。各配線の幅は、例えば、15〜100μm、好ましくは、20〜50μmであり、各配線間の間隔は、例えば、15〜100μm、好ましくは、20〜50μmである。
【0015】
第4金属薄膜10は、導体パターン9の表面に、導体パターン9を被覆するように形成されている。より具体的には、第4金属薄膜10は、導体パターン9の各配線の上面(端子部の上面を除く。)および幅方向両側面と、第3金属薄膜8の幅方向両側面とに、これらを被覆するように、連続して形成されている。また、この第4金属薄膜10は、導体パターン9および第3金属薄膜8と、カバー絶縁層11との間に介在するように形成されている。
【0016】
第4金属薄膜10を形成する金属としては、第2金属薄膜と同様の金属が用いられ、好ましくは、ニッケルが用いられる。また、その厚みは、例えば、0.01〜1μm、好ましくは、0.01〜0.1μmである。
カバー絶縁層11は、第2ベース絶縁層7の上に、第4金属薄膜10を被覆するように形成されている。より具体的には、カバー絶縁層11は、幅方向において第2ベース絶縁層7の全面に形成されている。カバー絶縁層11を形成する絶縁体としては、上記した第1ベース絶縁層3と同様の絶縁体が用いられる。好ましくは、感光性の合成樹脂が用いられ、さらに好ましくは、感光性ポリイミドが用いられる。また、その厚みは、例えば、2〜10μm、好ましくは、3〜6μmである。なお、カバー絶縁層11は、図示しない導体パターン9の端子部が露出するように、開口されている。
【0017】
次に、この配線回路基板1の製造方法について、図2〜図4を参照して、説明する。
まず、この方法では、図2(a)に示すように、金属支持基板2を用意する。
次いで、この方法では、図2(b)に示すように、金属支持基板2の表面に、例えば、上記した合成樹脂の溶液(ワニス)を均一に塗布した後、乾燥し、次いで、必要に応じて、加熱することによって硬化させ、合成樹脂からなる第1ベース絶縁層3を形成する。また、第1ベース絶縁層3は、感光性の合成樹脂を塗布し、乾燥後、露光および現像することにより、パターンとして形成することもできる。さらに、第1ベース絶縁層3の形成は、上記の方法に特に制限されず、例えば、予め合成樹脂をフィルムに形成して、そのフィルムを、金属支持基板2の表面に、公知の接着剤層を介して貼着することもできる。
【0018】
次いで、この方法では、図2(c)に示すように、第1ベース絶縁層3の全面に第1金属薄膜4を形成する。
第1金属薄膜4は、電解めっきまたは無電解めっき、スパッタリングなどにより、形成する。
電解めっきとしては、例えば、上記した金属のめっき溶液に、予め表面(下地)処理した、図2(b)に示す製造途中の配線回路基板1を浸漬しながら、所定時間通電する、電解めっきが用いられ、好ましくは、ニッケルのめっき溶液に、図2(b)に示す製造途中の配線回路基板1を浸漬しながら通電する、電解ニッケルめっきが用いられる。
【0019】
無電解めっきとしては、例えば、上記した金属のめっき溶液に、予め表面(触媒)処理した、図2(b)に示す製造途中の配線回路基板1を所定時間浸漬する、無電解めっきが用いられ、好ましくは、ニッケルのめっき溶液に、図2(b)に示す製造途中の配線回路基板1を所定時間浸漬する、無電解ニッケルめっきが用いられる。
スパッタリングとしては、例えば、上記した金属をターゲットとするスパッタリングが用いられ、好ましくは、クロムスパッタリングおよび銅スパッタリングが用いられ、これらによりクロム薄膜と銅薄膜とを順次積層する。
【0020】
次いで、この方法では、図2(d)に示すように、めっきレジスト13を、第1金属薄膜4の表面に、上記した金属箔5のパターンと逆パターンで形成する。めっきレジスト13の形成は、例えば、ドライフィルムレジストを設けて、これを露光および現像する、公知の方法が用いられる。
次いで、この方法では、図2(e)に示すように、めっきレジスト13をめっきレジストとして、電解めっき、好ましくは、電解銅めっきにより、めっきレジスト13から露出する第1金属薄膜4の表面に金属箔5を形成する。
【0021】
次いで、この方法では、図3(f)に示すように、めっきレジスト13およびめっきレジスト13が形成されていた部分の第1金属薄膜4を、例えば、化学エッチング(ウェットエッチング)などの公知のエッチング法または剥離によって除去する。
次いで、この方法では、図3(g)に示すように、金属箔5の上面および幅方向両側面と、第1金属薄膜4の幅方向両側面とに、第2金属薄膜6を、金属箔5および第1金属薄膜4を被覆するように、連続して形成する。
【0022】
第2金属薄膜6は、電解めっきまたは無電解めっき、スパッタリングなどにより、形成する。好ましくは、無電解めっきにより、第2金属薄膜6を形成する。
無電解めっきでは、例えば、上記した金属のめっき溶液、好ましくは、ニッケルのめっき溶液に、予め表面(触媒)処理した、図3(f)に示す製造途中の配線回路基板1を所定時間浸漬することにより、ニッケルからなる第2金属薄膜6を形成する。
【0023】
次いで、この方法では、図3(h)に示すように、第2金属薄膜6を含む第1ベース絶縁層3の全面に、例えば、第1ベース絶縁層3と同様の合成樹脂の溶液(ワニス)を均一に塗布した後、乾燥し、次いで、必要に応じて、加熱することによって硬化させ、合成樹脂からなる第2ベース絶縁層7を形成する。また、第2ベース絶縁層7は、感光性の合成樹脂を塗布し、乾燥後、露光および現像することにより、パターンとして形成することもできる。さらに、第2ベース絶縁層7の形成は、上記の方法に特に制限されず、例えば、予め合成樹脂をフィルムに形成して、そのフィルムを、第2金属薄膜6を含む第1ベース絶縁層3の表面に、公知の接着剤層を介して貼着することもできる。
【0024】
次いで、この方法では、図3(i)〜図4(l)に示すように、アディティブ法などのパターンニング法により、第2ベース絶縁層7の上に、第3金属薄膜8(種膜)および導体パターン9を、順次形成する。
すなわち、アディティブ法では、図3(i)に示すように、まず、第2ベース絶縁層7の全面に、第3金属薄膜8(種膜)を形成する。
【0025】
第3金属薄膜8は、電解めっきまたはスパッタリング、好ましくは、スパッタリング、さらに好ましくは、クロムスパッタリングおよび銅スパッタリングにより、クロム薄膜と銅薄膜とを順次積層することにより、形成する。
次いで、図3(j)に示すように、第3金属薄膜8の表面に、ドライフィルムレジストを設けて、これを露光および現像し、配線回路パターンと逆パターンのめっきレジスト13を形成する。次いで、図4(k)に示すように、めっきにより、めっきレジスト13から露出する第3金属薄膜8の表面に、導体パターン9を配線回路パターンとして形成し、次いで、図4(l)に示すように、めっきレジスト13およびめっきレジスト13が形成されていた部分の第3金属薄膜8をエッチングなどにより除去する。なお、めっきは、電解めっきまたは無電解めっきのいずれでもよい。好ましくは、電解めっきが用いられ、さらに好ましくは、電解銅めっきが用いられる。
【0026】
次いで、この方法では、図4(m)に示すように、導体パターン9の上面および幅方向両側面と、第3金属薄膜8の幅方向両側面とに、第4金属薄膜10を、導体パターン9および第3金属薄膜8を被覆するように、連続して形成する。
第4金属薄膜10は、第2金属薄膜6を形成する方法と同様に形成する。好ましくは、ニッケルのめっき溶液に、予め表面(触媒)処理した、図4(l)に示す製造途中の配線回路基板1を所定時間浸漬する無電解ニッケルめっきにより、ニッケルからなる第4金属薄膜10を形成する。
【0027】
次いで、この方法では、図4(n)に示すように、第2ベース絶縁層7の上に、第4金属薄膜10を被覆するように、例えば、上記した合成樹脂の溶液を均一に塗布した後、乾燥し、次いで、必要に応じて、加熱することによって硬化させ、合成樹脂からなるカバー絶縁層11を形成し、これによって、配線回路基板1を得る。
また、カバー絶縁層11は、感光性の合成樹脂を塗布し、乾燥後、露光および現像することにより、パターンとして形成することもできる。さらに、カバー絶縁層11の形成は、上記の方法に特に制限されず、例えば、予め合成樹脂をフィルムに形成して、そのフィルムを、第2ベース絶縁層7の表面に、第4金属薄膜10を被覆するように、公知の接着剤層を介して貼着することもできる。
【0028】
なお、カバー絶縁層11は、導体パターン9の図示しない端子部が露出するように形成する。導体パターン9の端子部を露出させるには、上記した感光性の合成樹脂を用いてパターンに形成するか、あるいは、レーザやパンチにより穿孔加工する。
その後、導体パターン9の端子部の上面に形成されている第4金属薄膜10を、エッチングなどにより除去した後、金属支持基板2を所望の形状に外形加工して、回路付サスペンション基板を得る。
【0029】
そして、この配線回路基板1では、導体パターン9の下に、導体パターン9と対向するように金属箔5が形成されているので、簡易な層構成により、伝送損失を低減させることができるとともに、第1金属薄膜4が、第1ベース絶縁層3と金属箔5との間に介在するように形成されているので、第1ベース絶縁層3と金属箔5との密着性の向上を十分に図ることができ、優れた長期信頼性を確保することができる。
【0030】
また、この配線回路基板1は、さらに、金属箔5および第2ベース絶縁層7の間に介在するように形成される第2金属薄膜6を備えている。そのため、金属箔5の表面に、第2ベース絶縁層7が直接形成されている場合には、金属箔5の金属が第2ベース絶縁層7に対して移行するイオンマイグレーション現象を生じるが、このように、第2金属薄膜6を金属箔5と第2ベース絶縁層7との間に介在させることにより、第2金属薄膜6がバリア層となって、イオンマイグレーション現象の発生を防止することができる。
【0031】
また、この配線回路基板1には、特性インピーダンスを調整するために、図5に示すように、必要に応じて、金属支持基板2をエッチングにより、所望の形状に切り抜いて、開口部12を形成することもできる。この場合には、金属支持基板2における開口部12の開口端縁14が、第1ベース絶縁層3に直接接触している。そのため、金属支持基板2における開口部12の開口端縁14の密着性を向上させることができる。その結果、簡易な構成により、導体パターン5の特性インピーダンスの調整や伝送損失の低減を図りつつ、金属支持基板2の剥離を有効に防止することができる。
【0032】
また、上記したように、金属支持基板2に、エッチングによって開口部12を形成する場合であっても、開口部12内において、第1金属薄膜5の下に第1ベース絶縁層3が形成されている。そのため、エッチングに伴う第1金属薄膜4の金属の脱離(剥離)を防止することができる。その結果、脱離した金属が異物となって飛散することを防止することができる。
【0033】
なお、上記した配線回路基板1の製造方法の説明では、図3(i)〜図4(l)に示すように、導体パターン9を、アディティブ法により形成したが、上記の方法に制限されず、例えば、サブトラクティブ法などの公知のパターンニング法により、上記した配線回路パターンに形成することもできる。なお、導体パターン9をサブトラクティブ法により形成する場合には、第3金属薄膜8を形成せず、導体パターン9を、第2ベース絶縁層7の表面に、直接形成する。
【0034】
導体パターン9を、サブトラクティブ法により形成するには、例えば、図示しないが、まず、第2ベース絶縁層7の全面に、導体層を形成する。導体層を形成するには、特に制限されず、例えば、第2ベース絶縁層7の全面に、公知の接着剤層を介して、導体層を貼着する。次いで、その導体層の表面に、ドライフィルムレジストを設けて、それを露光および現像し、配線回路パターンと同一のパターンのエッチングレジストを形成する。その後、エッチングレジストから露出する導体層をエッチング(ウェットエッチング)した後、エッチングレジストを除去する。
【実施例】
【0035】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されることはない。
実施例1
まず、厚み25μmのステンレスからなる金属支持基板を用意し(図2(a)参照)、金属支持基板の表面に、感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを塗布し、乾燥後、露光および現像し、さらに加熱硬化することにより、厚み10μmのポリイミドからなる第1ベース絶縁層を、上記したパターンで形成した(図2(b)参照)。
【0036】
次いで、第1ベース絶縁層の全面に、第1金属薄膜として厚み0.03μmのクロム薄膜と厚み0.07μmの銅薄膜とを、クロムスパッタリングと銅スパッタリングとによって順次形成した(図2(c)参照)。次いで、金属箔のパターンと逆パターンのめっきレジストを、第1金属薄膜の表面に、ドライフィルムレジストを設けて、それを露光および現像することにより、上記したパターンに形成した(図2(d)参照)。次いで、めっきレジストから露出する第1金属薄膜の表面に、金属箔として厚み4.0μmの銅箔を、電解銅めっきにより形成した(図2(e)参照)。次いで、めっきレジストおよびめっきレジストが形成されていた部分の第1金属薄膜を、化学エッチングにより除去した(図3(f)参照)。
【0037】
次いで、金属箔の上面および幅方向両側面と、第1金属薄膜の幅方向両側面とに、第2金属薄膜として厚み0.1μmのニッケル薄膜を、無電解ニッケルめっきによって、金属箔および第1金属薄膜を被覆するように、連続して形成した(図3(g)参照)。
次いで、第2金属薄膜を含む第1ベース絶縁層の全面に、感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを塗布し、乾燥後、露光および現像し、さらに加熱硬化することにより、厚み10μmのポリイミドからなる第2ベース絶縁層を、上記したパターンで形成した(図3(h)参照)。
【0038】
次いで、第2ベース絶縁層の上に、アディティブ法により、種膜となる第3金属薄膜および導体パターンを、順次形成した(図3(i)〜図4(l)参照)。
アディティブ法では、第2ベース絶縁層の全面に、第3金属薄膜として厚み0.03μmのクロム薄膜と厚み0.07μmの銅薄膜とを、クロムスパッタリングと銅スパッタリングとによって順次形成した(図3(i)参照)。次いで、導体パターンの逆パターンのめっきレジストを、第3金属薄膜の表面に、ドライフィルムレジストを設けて、それを露光および現像することにより、形成した(図3(j)参照)。次いで、めっきレジストから露出する第3金属薄膜の表面に、厚み10μmの導体パターンを、電解銅めっきにより形成した(図4(k)参照)。次いで、めっきレジストおよびめっきレジストが形成されていた部分の第3金属薄膜を、化学エッチングにより除去した(図4(l)参照)。
【0039】
次いで、導体パターンの上面および幅方向両側面と、第3金属薄膜の幅方向両側面とに、第4金属薄膜として厚み0.1μmのニッケル薄膜を、無電解ニッケルめっきによって、導体パターンおよび第3金属薄膜を被覆するように、連続して形成した(図4(m)参照)。
次いで、第4金属薄膜を被覆するように、感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを塗布し、乾燥後、露光および現像し、さらに加熱硬化することにより、厚み5μmのポリイミドからなるカバー絶縁層を、第2ベース絶縁層の表面に、第4金属薄膜(端子部が形成される部分を除く。)を被覆するようなパターンで形成した(図4(n)参照)。その後、端子部の上面に形成された第4金属薄膜を、エッチングにより除去した後、金属支持基板をエッチングにより、所望の形状に切り抜き、回路付サスペンション基板を得た。
【0040】
実施例2
第2金属薄膜を形成せず、第2ベース絶縁層を、金属箔の上面および幅方向両側面と、第1金属薄膜の幅方向両側面とを被覆するように、第1ベース絶縁層の上に形成した以外は、実施例1と同様にして、回路付サスペンション基板を得た。
比較例1
第1金属薄膜を形成せず、金属箔を、第1ベース絶縁層の表面に直接形成した以外は、実施例1と同様にして、回路付サスペンション基板を得た。
【0041】
なお、金属箔は、サブトラクティブ法、より具体的には、第1ベース絶縁層の全面に、接着剤層を介して、金属層を貼着し、その金属層の表面に、ドライフィルムレジストを設けて、それを露光および現像し、金属箔と同一のパターンのエッチングレジストを形成した後、エッチングレジストから露出する金属層をウェットエッチングした後、エッチングレジストを除去することにより、形成した。
【0042】
比較例2
第1金属薄膜、金属箔、第2金属薄膜および第2ベース絶縁層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、回路付サスペンション基板を得た。
すなわち、第3金属薄膜を、第1ベース絶縁層の全面に直接形成した以外は、実施例1と同様にして、回路付サスペンション基板を得た。
【0043】
(評価)
(1) 伝送効率評価
各実施例および各比較例において得られた回路付サスペンション基板において、出力信号強度(POUT)と入力信号強度(PIN)とを測定し、下記式(1)のように、出力信号強度の入力信号強度に対する比率として、伝送効率を評価した。その結果を表1に示す。
【0044】
伝送効率(%)=POUT/PIN・・・ (1)
(2) 密着性評価
実施例1、2および比較例1において得られた回路付サスペンション基板を、温度−40℃の条件下に放置後、温度120℃の条件下に放置し、これを1サイクルとして、1000サイクル後の各回路付サスペンション基板について、第1絶縁層と金属箔との間の密着力をテープ剥離により評価した。その結果を表1に示す。
(3) イオンマイグレーション現象の評価
実施例1および2において得られた回路付サスペンション基板を、温度85℃、湿度85%、印加電圧10Vの条件下で、1000時間使用した後、金属箔としての銅箔の銅が、第1ベース絶縁層としてのポリイミドの表面または内部に移行する、イオンマイグレーション現象の有無を断面SEM観察により確認した。その結果、実施例1においては、第2金属薄膜がバリア層となり、イオンマイグレーション現象が認められなかった。一方、実施例2においては、銅箔の銅のポリイミドの表面または内部に対する、イオンマイグレーション現象が認められ、ポリイミドの変色が確認された。
【0045】
【表1】


【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の配線回路基板の一実施形態を示す要部断面図である。
【図2】図1に示す配線回路基板の製造方法を示す製造工程図であって、(a)は、金属支持基板を用意する工程、(b)は、金属支持基板の上に、第1ベース絶縁層を形成する工程、(c)は、第1ベース絶縁層の全面に第1金属薄膜を形成する工程、(d)は、金属箔のパターンと逆パターンで、第1金属薄膜の表面に、めっきレジストを形成する工程、(e)は、めっきレジストから露出する第1金属薄膜の表面に、金属箔を形成する工程を示す。
【図3】図2に続いて、図1に示す配線回路基板の製造方法を示す製造工程図であって、(f)は、めっきレジストおよびめっきレジストが形成されていた部分の第1金属薄膜を除去する工程、(g)は、金属箔および第1ベース絶縁層の上に、金属箔を被覆するように、第2金属薄膜を形成する工程、(h)は、第1ベース絶縁層の上に、第2金属薄膜を被覆するように、第2ベース絶縁層を形成する工程、(i)は、第2ベース絶縁層の全面に第3金属薄膜を形成する工程、(j)は、導体パターンと逆パターンで、第3金属薄膜の表面に、めっきレジストを形成する工程を示す。
【図4】図3に続いて、図1に示す配線回路基板の製造方法を示す製造工程図であって、(k)は、めっきレジストから露出する第3金属薄膜の表面に、導体パターンを形成する工程、(l)は、めっきレジストおよびめっきレジストが形成されていた部分の第3金属薄膜を除去する工程、(m)は、導体パターンおよび第2ベース絶縁層の上に、導体パターンを被覆するように、第4金属薄膜を形成する工程、(n)は、第2ベース絶縁層の上に、第4金属薄膜を被覆するように、カバー絶縁層を形成する工程を示す。
【図5】本発明の配線回路基板の他の実施形態を示す要部断面図であって、金属支持基板に開口部が形成された形態の要部断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 配線回路基板
2 金属支持基板
3 第1ベース絶縁層
4 第1金属薄膜
5 金属箔
6 第2金属薄膜
7 第2ベース絶縁層
9 導体パターン
【出願人】 【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之


【公開番号】 特開2008−34639(P2008−34639A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−206642(P2006−206642)