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【発明の名称】 プリント配線板の製造方法
【発明者】 【氏名】小川 信之

【氏名】上山 健一

【氏名】田邉 貴弘

【氏名】小野関 仁

【要約】 【課題】微細配線形成や電気特性、製造コストの上で有利であって、尚且つ信頼性が高いプリント配線板の製造方法を提供する。

【構成】表面の十点平均粗さ(Rz)が2.0μm以下の金属箔を用いるプリント配線板の製造方法において,ソルダーレジストを塗布または積層する際の前処理として粗化処理を施す工程を有するプリント配線板の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の十点平均粗さ(Rz)が2.0μm以下の金属箔を用いるプリント配線板の製造方法において,ソルダーレジストを塗布または積層する際の前処理として、ソルダーレジストとの界面となる樹脂層に粗化処理を施す工程を有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
表面の十点平均粗さ(Rz)が2.0μm以下の金属箔が、粗化処理を施していない銅箔である、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
表面の十点平均粗さ(Rz)が2.0μm以下の金属箔とプリプレグの間に化学粗化可能な厚さ0.1〜50μmの接着補助剤の層を形成する工程を有することを特徴とする請求項1または2に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
前記接着補助剤が、(A)エポキシ樹脂,(B)化学粗化可能な高分子成分,(C)エポキシ樹脂硬化剤,及び(D)硬化促進剤を含むことを特徴とする請求項3に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
前記(B)成分が、架橋ゴム粒子を含むことを特徴とする請求項4に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
前記(B)成分が、カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子,ブタジエンゴム−アクリル樹脂のコアシェル粒子から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項4または5に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
前記(B)成分が、ポリビニルアセタール樹脂およびカルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
前記接着補助剤において、(A)成分100重量部に対し,(B)成分が0.5〜25重量部含有されている、請求項4〜7のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項9】
ソルダーレジストを塗布または積層する際の前処理としての粗化処理が、アルカリ過マンガン酸塩水溶液での粗化処理である請求項1〜8のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、平滑な金属箔を用いたプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化・軽量化・高速化の要求が高まり、プリント配線板の高密度化が進んでいる。その結果,回路の微細化が進み,精度と歩留りのよい製造方法が求められている。一般にプリント配線板の製造において,エッチングによる回路形成を行うサブトラクティブ工法やめっきにより回路形成を行うアディティブ工法やセミアディティブ工法があるが,サブトラクティブ工法や極薄銅箔を用いたセミアディティブ工法においては,微細な回路を精度よく製造するためには,銅箔の表面粗さの小さい銅箔を使用することが有利となる。
【0003】
また,携帯機器,高速情報処理を必要とする機器においては,使用する信号の高周波化も進んでいる。高周波信号を回路に流すと電流は回路の表面近くを流れる表皮効果と呼ばれる現象が発生し,表面の粗さが抵抗となり,結果として伝送損出が大きくなるといった課題も発生している。このような要求に対しても表面粗さの小さい銅箔を使用することが有利となる。
【0004】
例えば特許文献1には,粗化処理を施していない銅箔を用いることで,回路形成性に優れたプリント配線板の製造方法が提供されている。一般に絶縁材料と銅箔の接着力を確保するため,銅箔に粗化処理を施しているが,単に粗化処理を施さない銅箔を使用すると接着力が確保できないため,銅箔表面の処理や接着補助層を設ける方法が提供されている。特許文献2では,粗化の山頂の平均間隔を十点平均粗さの3倍以上にすることや,表面粗さが0〜2μmである銅箔を使用し,高周波領域での伝送損失の低減が可能なことを示している。
【0005】
公知の方法は,微細配線形成や伝送損失の低減を目的として,表面粗さの小さいもしくは粗化処理を施していない銅箔を用いてプリント配線板を提供しているが,銅箔との接着力以外にも平滑な銅箔を使用することによる課題が発生してくる。一般に使用されている粗化銅箔を用いたプリント配線板では,銅箔をエッチング除去した絶縁樹脂表面は,銅箔の粗化が転写されて凹凸がある。回路形成後に塗布もしくは積層するソルダーレジストは銅箔をエッチング除去した絶縁樹脂表面にも接し,従来の粗化銅箔を使用した製造方法においては,形成された絶縁樹脂表面の凹凸によりソルダーレジストの接着力が確保されていた。しかしながら,平滑な銅箔を使用すると銅箔をエッチング除去した絶縁樹脂表面も平滑となり,ソルダーレジストとの接着力が低下し,信頼性上で大きな問題があった。
【特許文献1】特開2004−025835号公報
【特許文献2】特開2003−311880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、公知の方法の不具合点を解消し、微細配線形成や電気特性、製造コストの上で有利な、尚且つ信頼性が高いプリント配線板の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下のことを特徴とする。(1)表面の十点平均粗さ(Rz)が2.0μm以下の金属箔を用いるプリント配線板の製造方法において,ソルダーレジストを塗布または積層する際の前処理として、ソルダーレジストとの界面となる樹脂層に粗化処理を施す工程を有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。(2)表面の十点平均粗さ(Rz)が2.0μm以下の金属箔が、粗化処理を施していない銅箔である、項(1)に記載のプリント配線板の製造方法。(3)表面の十点平均粗さ(Rz)が2.0μm以下の金属箔とプリプレグの間に化学粗化可能な厚さ0.1〜50μmの接着補助剤の層を形成する工程を有することを特徴とする項(1)または(2)に記載のプリント配線板の製造方法。(4)前記接着補助剤が、(A)エポキシ樹脂,(B)化学粗化可能な高分子成分,(C)エポキシ樹脂硬化剤,及び(D)硬化促進剤を含むことを特徴とする項(3)に記載のプリント配線板の製造方法。(5)前記(B)成分が、架橋ゴム粒子を含むことを特徴とする項(4)に記載のプリント配線板の製造方法。(6)前記(B)成分が、カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子,ブタジエンゴム−アクリル樹脂のコアシェル粒子から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする項(4)または(5)に記載のプリント配線板の製造方法。(7)前記(B)成分が、ポリビニルアセタール樹脂およびカルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする項(4)〜(6)のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。(8)前記接着補助剤において、(A)成分100重量部に対し,(B)成分が0.5〜25重量部含有されている、項(4)〜(7)のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。(9)ソルダーレジストを塗布または積層する際の前処理としての粗化処理が、アルカリ過マンガン酸塩水溶液での粗化処理である項(1)〜(8)のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、微細配線形成や電気特性、製造コストの上で有利であって、尚且つ信頼性が高いプリント配線板の製造方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下,本発明の実施の形態を,詳細に説明する。本発明は,表面の十点平均粗さ(Rz)が2.0μm以下の金属箔を用いて製造するプリント配線板において,ソルダーレジストを塗布または積層する際の前処理として、ソルダーレジストとの界面となる樹脂層に粗化処理を施すことを特徴とするプリント配線板の製造方法である。不要な金属箔をエッチング除去した絶縁樹脂表面を化学粗化することにより,粗面化し,ソルダーレジストとの界面の接着力をアンカー効果により発現させ,信頼性を向上させることが可能である。ここで絶縁樹脂とは、接着補助剤層及びプリプレグ層を含む意味である。
【0010】
プリント配線板用の銅張り積層板は,一般的に絶縁樹脂組成物とガラス基材からなるプリプレグと金属箔を重ねあわせ,鏡板,プレス等を用いて加熱加圧して製造される。本発明では,表面の十点平均粗さが2.0μm以下の金属箔を用いている。
【0011】
一般的にプリプレグは、絶縁樹脂組成物を基材に含浸又は塗工してなるものであり,基材としては各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。基材の材質の例としては,Eガラス,Dガラス,Sガラス又はQガラス等の無機物繊維,ポリイミド,ポリエステル又はテトラフルオロエチレン等の有機繊維,及びそれらの混合物等が挙げられる。これらの基材は,例えば織布,不織布,ロービンク,チョップドストランドマット,サーフェシングマット等の形状を有するが,材質及び形状は,目的とする成形物の用途や性能により選択され必要により単独もしくは2種類以上の材質及び形状からの使用が可能である。基材の厚みには特に制限はないが,通常0.03〜0.5mm程度のものを使用し,シランカップリング剤等で表面処理したものや機械的に開繊処理を施したものは耐熱性や耐湿性,加工性の面から好適である。
【0012】
絶縁樹脂組成物は,プリント配線板の絶縁材料として用いられる公知慣例の樹脂組成物を用いることができる。通常,耐熱性,耐薬品性の良好な熱硬化性樹脂がベースとして用いられ,熱硬化性樹脂としては,フェノール樹脂,エポキシ樹脂,シアネート樹脂,マレイミド樹脂,イソシアネート樹脂,ベンゾシクロブテン樹脂,ビニル樹脂などが例示されるが,これらに限定されるわけではない。熱硬化性樹脂は,1種類のものを単独で用いても良いし,2種類以上を混合して用いても良い。
【0013】
熱硬化性樹脂の中でも,エポキシ樹脂は耐熱性,耐薬品性,電気特性に優れ,比較的安価であることから,絶縁樹脂として広く用いられている。エポキシ樹脂としては,ビスフェノールA型エポキシ樹脂,ビスフェノールF型エポキシ樹脂,ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂,フェノールノボラック型エポキシ樹脂,クレゾールノボラック型エポキシ樹脂,ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂,脂環式エポキシ樹脂,脂肪族鎖状エポキシ樹脂,ビフェノールのジグリシジルエーテル化物,ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物,フェノール類のジグリシジルエーテル化物,アルコール類のジグリシジルエーテル化物,及びこれらのアルキル置換体,ハロゲン化物,水素添加物などが例示される。エポキシ樹脂は,1種類のものを単独で用いても良いし,2種類以上を混合して用いても良い。また,このエポキシ樹脂とともに用いる硬化剤はエポキシ樹脂を硬化させるものであれば,限定することなく使用でき,例えば,多官能フェノール類,多官能アルコール類,アミン類,イミダゾール化合物,酸無水物,有機リン化合物及びこれらのハロゲン化物などがある。これらのエポキシ樹脂硬化剤は,1種類のものを単独で用いても良いし,2種類以上を混合して用いても良い。
【0014】
シアネートエステル樹脂は,加熱によりトリアジン環を繰り返し単位とする硬化物を生成する樹脂であり,硬化物は誘電特性に優れるため,特に高周波特性が要求される場合などに用いられることが多い。シアネートエステル樹脂としては,2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン,ビス(4−シアナトフェニル)エタン,2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン,2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン,α,α’−ビス(4−シアナトフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン,フェノールノボラック及びアルキルフェノールノボラックのシアネートエステル化物等が挙げられる。その中でも,2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパンは硬化物の誘電特性と硬化性のバランスが特に良好であり,コスト的にも安価であるため好ましい。またシアネートエステル化合物は,1種類を単独で用いてもよく,2種類以上を混合して用いてもよい。また,ここで用いられるシアネートエステル化合物は予め一部が三量体や五量体にオリゴマー化されていても構わない。さらに,シアネート樹脂に対して硬化触媒や硬化促進剤を入れても良い。硬化触媒としては,マンガン,鉄,コバルト,ニッケル,銅,亜鉛等の金属類が用いられ,具体的には,2−エチルヘキサン酸塩,ナフテン酸塩,オクチル酸塩等の有機金属塩及びアセチルアセトン錯体などの有機金属錯体として用いられる。これらは,単独で使用しても良いし,二種類以上を混合して使用しても良い。硬化促進剤としてはフェノール類を使用することが好ましく,ノニルフェノール,パラクミルフェノールなどの単官能フェノールや,ビスフェノールA,ビスフェノールF,ビスフェノールSなどの二官能フェノールあるいはフェノールノボラック,クレゾールノボラックなどの多官能フェノールなどを用いることができる。これらは,単独で使用しても良いし,二種類以上を混合して使用しても良い。
【0015】
絶縁材料として用いられる樹脂組成物には,誘電特性,耐衝撃性,フィルム加工性などを考慮して,熱可塑性樹脂がブレンドされてあっても良い。熱可塑性樹脂としては,フッ素樹脂,ポリフェニレンエーテル,変性ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンスルフィド,ポリカーボネート,ポリエーテルイミド,ポリエーテルエーテルケトン,ポリアリレート,ポリアミド,ポリアミドイミド,ポリブタジエンなどが例示されるが,これらに限定されるわけではない。熱可塑性樹脂は,1種類のものを単独で用いても良いし,2種類以上を混合して用いても良い。
【0016】
熱可塑性樹脂の中でも,ポリフェニレンエーテルおよび変性ポリフェニレンエーテルを配合すると,硬化物の誘電特性が向上するので有用である。ポリフェニレンエーテルおよび変性ポリフェニレンエーテルとしては,例えば,ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル,ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルとポリスチレンのアロイ化ポリマ,ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルとスチレン−ブタジエンコポリマのアロイ化ポリマ,ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルとスチレン−無水マレイン酸コポリマのアロイ化ポリマ,ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルとポリアミドのアロイ化ポリマ,ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルとスチレン−ブタジエン−アクリロニトリルコポリマのアロイ化ポリマなどが挙げられる。また,ポリフェニレンエーテルに反応性,重合性を付与するために,ポリマー鎖末端にアミノ基,エポキシ基,カルボキシル基,スチリル基,メタクリル基などの官能基を導入したり,ポリマー鎖側鎖にアミノ基,エポキシ基,カルボキシル基,スチリル基,メタクリル基などの官能基を導入したりしてもよい。
【0017】
熱可塑性樹脂の中でも,ポリアミドイミド樹脂は,耐熱性,耐湿性に優れることに加え,金属に対する接着性が良好であるので有用である。ポリアミドイミドの原料のうち,酸成分としては,無水トリメリット酸,無水トリメリット酸モノクロライド,アミン成分としては,メタフェニレンジアミン,パラフェニレンジアミン,4,4’−ジアミノジフェニルエーテル,4,4’−ジアミノジフェニルメタン,ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]スルホン,2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなどが例示されるが,これに限定されるわけではない。乾燥性を向上させるためにシロキサン変性としても良く,この場合,アミノ成分にシロキサンジアミンが用いられる。フィルム加工性を考慮すると,分子量は5万以上のものを用いるのが好ましい。
【0018】
絶縁材料として用いられる樹脂組成物には,無機フィラーが混合されてあっても良い。無機フィラーとしては,アルミナ,水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム,クレー,タルク,三酸化アンチモン,五酸化アンチモン,酸化亜鉛,溶融シリカ,ガラス粉,石英粉,シラスバルーンなどが挙げられる。これら無機フィラーは単独で使用しても良いし,2種類以上を混合して使用しても良い。
【0019】
絶縁材料として用いられる樹脂組成物は,有機溶媒を含有しても良い。有機溶媒としては,ベンゼン,トルエン,キシレン,トリメチルベンゼンのような芳香族炭化水素系溶媒;アセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトンのようなケトン系溶媒;テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒;イソプロパノール,ブタノールのようなアルコール系溶媒;2−メトキシエタノール,2−ブトキシエタノールのようなエーテルアルコール系溶媒;N−メチルピロリドン,N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒などを,適宜,併用しても良い。プリプレグを作製する場合におけるワニス中の溶媒量は40〜80重量%の範囲とするのが好ましく,また,ワニスの粘度は20〜100cPの範囲とするのが好ましい。
【0020】
絶縁材料として用いられる樹脂組成物は難燃剤を含有しても良い。難燃剤としては,デカブロモジフェニルエーテル,テトラブロモビスフェノールA,テトラブロモ無水フタル酸,トリブロモフェノールなどの臭素化合物,トリフェニルフォスフェート,トリクレジルフォスフェート,トリキシリルフォスフェート,クレジルジフェニルフォスフェートなどのリン化合物,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物,赤リン及びその変性物,三酸化アンチモン,五酸化アンチモンなどのアンチモン化合物,メラミン,シアヌール酸,シアヌール酸メラミンなどのトリアジン化合物など公知慣例の難燃剤を用いることができる。
【0021】
絶縁材料として用いられる樹脂組成物に対して,さらに必要に応じて硬化剤,硬化促進剤,熱可塑性粒子,着色剤,紫外線不透過剤,酸化防止剤,還元剤などの各種添加剤や充填剤を加えて調合する。
【0022】
通常,基材に対する樹脂組成物の付着量が,乾燥後のプリプレグの樹脂含有率で20〜90重量%となるように基材に含浸又は塗工した後,通常100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し,半硬化状態(Bステージ状態)のプリプレグを得る。このプリプレグを通常1〜20枚重ね,その両面に金属箔を配置した構成で加熱加圧する。成形条件としては通常の積層板の手法が適用でき,例えば多段プレス,多段真空プレス,連続成形,オートクレーブ成形機等を使用し,通常,温度100〜250℃,圧力2〜100kg/cm,加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形したり,真空ラミネート装置などを用いてラミネート条件50〜150℃,0.1〜5MPaの条件で減圧下又は大気圧の条件で行う。絶縁層となるプリプレグ層の厚みは用途によって異なるが,通常0.1〜5.0mmの厚みのものが良い。
【0023】
金属箔は特に限定しないが、銅箔が好ましい。金属箔の厚みは,特に限定されるものではない。一般にプリント配線板に用いられている厚み105μm以下の金属箔で構わない。本発明では,金属箔として、表面の十点平均粗さが2.0μm以下の金属箔を用いている。
【0024】
金属箔の樹脂接着面に行う防錆処理は,ニッケル,錫,亜鉛,クロム,モリブデン,コバルトのいずれか,若しくはそれらの合金を用いて行うことができるが,亜鉛及びクロムから選択される少なくとも一種により行われることが好ましい。これらはスパッタや電気めっき,無電解めっきにより金属箔上に薄膜形成を行うものであるが,コストの面から電気めっきが好ましい。具体的にはめっき層にニッケル,錫,亜鉛,クロム,モリブデン,コバルトの内一種類以上の金属塩を含むめっき層を用いてめっきを行う。後の信頼性等の観点から,亜鉛を含むめっきを行うのが好適である。金属イオンの析出を容易にするためにクエン酸塩,酒石酸塩,スルファミン酸等の錯化剤を必要量添加することも出来る。めっき液は通常酸性領域で用い,室温(25℃)〜80℃の温度で行う。めっきは通常電流密度0.1〜10A/dm,通電時間1〜60秒,好ましくは1〜30秒の範囲から適宜選択する。防錆処理金属の量は,金属の種類によって異なるが,合計で10〜2000μg/dmが好適である。防錆処理が厚すぎるとエッチング阻害と電気特性の低下を引き起こし,薄すぎると樹脂とのピール強度低下の要因となりうる。
【0025】
さらに,防錆処理上にクロメート処理層が形成されていると樹脂とのピール強度低下を抑制できるため有用である。具体的には六価クロムイオンを含む水溶液を用いて行われる。クロメート処理は単純な浸漬処理でも可能であるが,好ましくは陰極処理で行う。重クロム酸ナトリウム0.1〜50g/L,pH1〜13,浴温0〜60℃,電流密度0.1〜5A/dm,電解時間0.1〜100秒の条件で行うのが良い。重クロム酸ナトリウムの代わりにクロム酸或いは重クロム酸カリウムを用いて行うことも出来る。
【0026】
本発明においては,金属箔の最外層にさらにシランカップリング剤が吸着していることが好ましい。シランカップリング剤としては例えば,3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性シラン,3−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ官能性シラン,ビニルトリメトキシシラン,ビニルフェニルトリメトキシシラン,ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等のオレフィン官能性シラン,3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル官能性シラン,3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリル官能性シラン,3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性シランなどが用いられる。後に塗工する接着補助剤との相性を考えると,分子内にエポキシ基あるいはアミノ基を有することが望ましい。これらは単独で用いても良いし,複数を混合して用いても良い。これらのカップリング剤は,水などの溶媒に0.1〜15g/Lの濃度で溶解させて室温(25℃)〜50℃の温度で金属箔に塗布したり,電着させたりして吸着させる。これらのシランカップリング剤は金属箔表面の防錆金属の水酸基と縮合結合することで皮膜を形成する。シランカップリング処理後は加熱,紫外線照射等によって安定的結合を形成する。加熱であれば100〜200℃の温度で2〜60秒乾燥させる。紫外線照射であれば200〜400nm,200〜2500mJ/cmの範囲で行う。
【0027】
本発明のプリント配線板の製造に化学粗化可能な接着補助剤を使用する場合は,上記金属箔上に,有機溶剤に接着補助剤を溶解させたワニスを塗布し加熱乾燥する方法や,ポリエチレンテレフターレート(PET)等のキャリアフィルム上にワニスを塗布し加熱乾燥して得た接着補助剤フィルムを上記金属箔に熱ロール等でラミネートして一体化させて得た接着補助剤付金属箔を用いることができる。同様に,有機溶剤に接着補助剤を溶解させたワニスをプリプレグ上に塗布し加熱乾燥する方法や,ポリエチレンテレフターレート(PET)等のキャリアフィルム上にワニスを塗布し加熱乾燥して得た接着補助剤フィルムを上記プリプレグに熱ロール等でラミネートして一体化させて接着補助剤付プリプレグを用いることができる。塗布する厚みは乾燥後に、0.1〜50μmとなることが好ましく、0.1〜10μmとなることがより好ましく、1〜5μmとなることが特に好ましい。厚みが上記の範囲であると、プリント配線板の熱膨張率の増大や強度の低下がなく、ソルダーレジストとの接着力が十分になるので好ましい。
【0028】
本発明の接着補助剤は,(A)エポキシ樹脂,(B)化学粗化可能な高分子成分,(C)エポキシ樹脂硬化剤,及び(D)硬化促進剤を含むことが好ましい。本発明の接着補助剤の厚さは,0.1〜50μmが好ましく,0.1〜10μmがより好ましく、1〜5μmが特に好ましい。厚さが0.1μm未満では,化学粗化による絶縁樹脂の粗面化が不十分となり,ソルダーレジストとの接着力が低下する。また厚さが50μmを超えると,プリント配線板全体の熱膨張率が大きくなったり,強度が低下することがあるので好ましくない。
【0029】
(A)成分はアラルキルノボラック型エポキシ樹脂からなるか,またはアラルキルノボラック型エポキシ樹脂を含むことが望ましい。本発明におけるアラルキルノボラック型エポキシ樹脂は(A)ビフェニル構造を有するアラルキルノボラック型エポキシ樹脂であることが好ましい。(A)ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂とは,分子中にビフェニル誘導体の芳香族環を含有したアラルキルノボラック型のエポキシ樹脂をいい,例えば,式(1):
【0030】
【化1】


(式中,pは,1〜5を示す)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。これらは単独でも,2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0031】
市販品としては,日本化薬株式会社製のNC−3000S(pが1.7の式(1)のエポキシ樹脂),NC−3000S−H(pが平均2.8の式(1)のエポキシ樹脂)が挙げられる。
【0032】
(B)成分は架橋ゴム粒子を含むことが好ましく,アクリロニトリルブタジエンゴム粒子,カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子,ブタジエンゴム−アクリル樹脂のコアシェル粒子から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0033】
アクリロニトリルブタジエンゴム粒子とは,一般的に、アクリロニトリル及びブタジエンを共重合させ,かつ共重合する段階で,部分的に架橋させ,粒子状にしたものである。またアクリル酸,メタクリル酸等のカルボン酸を併せて共重合することにより,カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子を得ることも可能である。ブタジエンゴム−アクリル樹脂のコアシェル粒子は,乳化重合でブタジエン粒子を重合させ,引き続きアクリル酸エステル,アクリル酸等のモノマーを添加して重合を続ける二段階の重合方法で得ることができる。粒子の大きさは,一次平均粒子径で,50nm〜1μmにすることができる。これらは,単独でも,2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0034】
例えば,カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子の市販品としては日本合成ゴム株式会社製のXER−91が挙げられ,ブタジエンゴム−アクリル樹脂のコアシェル粒子はロームアンドハース株式会社製のEXL−2655や武田薬品工業株式会社のAC−3832が挙げられる。
【0035】
(B)成分としてポリビニルアセタール樹脂及びカルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂から選択される少なくとも一種を含むことも好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の種類,水酸基量,アセチル基量は特に限定されないが,重合度は1000〜2500のものが好ましい。この範囲にあると,はんだ耐熱性が確保でき,また,ワニスの粘度,取り扱い性も良好である。ここでポリビニルアセタール樹脂の数平均重合度は,たとえば,その原料であるポリ酢酸ビニルの数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィによる標準ポリスチレンの検量線を用いて測定する)から決定することができる。また,カルボン酸変性品などを用いることもできる。
【0036】
ポリビニルアセタール樹脂は,たとえば,積水化学工業(株)製の商品名,エスレックBX−1,BX−2,BX−5,BX−55,BX−7,BH−3,BH−S,KS−3Z,KS−5,KS−5Z,KS−8,KS−23Z,電気化学工業(株)製の商品名,電化ブチラール4000−2,5000A,6000C,6000EP等を使用することができる。これらの樹脂は単独で,または2種類以上混合して用いることもできる。
【0037】
(B)成分として架橋ゴム粒子とポリビニルアセタール樹脂を併用すると金属箔の引き剥がし強さや化学粗化後のソルダーレジストとの接着力が向上しさらに好ましい。
【0038】
(A)成分の100重量部に対し,(B)成分が0.5〜25重量部であることが好ましい。(B)成分が0.5重量部より少ないと,ピール強度や化学粗化後の無電解めっきのピール強度が低く,25重量部を超えるとはんだ耐熱性等や絶縁信頼性が低下するため,好ましくない。特に架橋ゴム粒子とポリビニルアセタール樹脂とがそれぞれ1重量部以上含まれると,金属箔の引き剥がし強さや化学粗化後のソルダーレジストとの接着力が向上し,さらに好ましい。
【0039】
(C)成分はノボラック型フェノール樹脂を含むことが好ましく,トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂であると金属箔の引き剥がし強さが向上し,さらに好ましい。本発明における,トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂とは,ノボラック型フェノール樹脂の主鎖にトリアジン環を含むノボラック型フェノール樹脂を示し,トリアジン環を含むクレゾールノボラック型フェノール樹脂でも構わない。窒素含有量は,トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂中,10〜25重量%が好ましく,より好ましくは12〜19重量%である。分子中の窒素含有量がこの範囲であると,誘電損失が大きくなりすぎることもなく,接着補助剤をワニスとする場合に,溶剤への溶解度が適切で,未溶解物の残存量が抑えられる。トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂は,数平均分子量が,500〜600であるものを用いることができる。これらは単独でも,2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0040】
なお,トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂は,フェノールとアデヒドとトリアジン環含有化合物を,pH5〜9の条件下で反応させて得ることができる。フェノールに換えクレゾールを用いるとトリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂となる。クレゾールは,o−,m−,p−クレゾールのいずれも使用することができ,トリアジン環含有化合物としてはメラミン,グアナミン及びその誘導体,シアヌル酸及びその誘導体を使用することができる。
【0041】
市販品としては,大日本インキ化学工業(株)製のトリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂フェノライトEXB−9829(窒素含有量18重量%)、及び日立化成工業株式会社製のフェノールノボラック樹脂、HP−850Nが挙げられる。(C)成分の配合量は、(A)成分100量部に対して20〜100量部が好ましい。この範囲内であれば耐熱性に優れる。
【0042】
(D)成分の硬化促進剤として,どのようなものを用いても構わないが,潜在性の熱硬化剤である各種イミダゾール類やBFアミン錯体を配合することが好ましい。接着補助剤の保存安定性,Bステージにした際の取り扱い性及びはんだ耐熱性の点から,2−フェニルイミダゾール,2−エチル−4−メチルイミダゾール,1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1,8−ジアザビシクロウンデセンのいずれかが好ましい。
【0043】
(D)成分の配合量は,(A)エポキシ樹脂100重量部に対して,0.1〜5重量部の範囲が好ましく,0.3〜1重量部の範囲がより好ましい。これらの範囲にあると,十分なはんだ耐熱性,ソルダーレジストとの接着力,保存安定性及びBステージにした際の良好な取り扱い性が得られる。
【0044】
本発明の接着補助剤には難燃性を向上させるため,(E)フェノール性水酸基含有リン化合物を含有させても良い。
【0045】
(E)フェノール性水酸基含有リン化合物は,式(2):
【0046】
【化2】


【0047】
(式中,nが,1の場合,Rは,水素原子,直鎖状若しくは分枝状のアルキル基,シクロアルキル基,アリール基又はアラルキル基であり,nが2の場合,それぞれのRは独立して,水素原子,直鎖状若しくは分枝状のアルキル基,シクロアルキル基,アリール基又はアラルキル基であるか,2つのRは,それぞれが結合している炭素原子と一緒になって,非置換又はアルキル基若しくはシクロアルキル基で置換されているベンゼン環を形成し,xは,2以上の自然数である)で示されるような,フェノール性水酸基を含有するリン化合物である。これらは,単独でも,2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0048】
式(2)において,Rが直鎖状若しくは分枝状のアルキル基の場合,C〜Cアルキル基が好ましく,シクロアルキル基の場合は,C〜Cシクロアルキル基が好ましい。アリール基の場合,フェニル基が好ましく,アラルキルの場合,C〜C10アラルキル基が好ましい。xは,2が好ましい。また,式(2)において,nが2であり,2つのRが,それぞれが結合している炭素原子と一緒になって,非置換又はアルキル基若しくはシクロアルキル基で置換されているベンゼン環を形成する場合は,非置換又はC〜Cアルキル基若しくはC〜Cシクロアルキル基で置換されているベンゼン環が好ましい。
【0049】
具体的には,式(3)又は式(4):
【0050】
【化3】


【0051】
(式中,Rは,水素原子,メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,sec−ブチル,tert−ブチル基,シクロヘキシル基を表す)で示されるリン化合物が挙げられる。
【0052】
特に,10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド及びそれらの誘導体が好ましい。市販品としては,三光株式会社製のHCA−HQが挙げられる。
【0053】
難燃性を付与する場合,本発明の接着補助剤における,(E)フェノール性水酸基含有リン化合物の配合量は,(A)〜(E)成分の重量の合計中,リン原子換算で,好ましくは1.5〜3.5重量%の範囲であり,より好ましくは1.8〜2.5重量%の範囲である。配合量がこの範囲にあると,難燃性が良好で,絶縁信頼性に優れ,かつ硬化塗膜のTgが低すぎることもない。
【0054】
本発明における接着補助剤には信頼性向上のため,(F)無機フィラーを含有していても良い。本発明における,(F)無機フィラーは,特に限定されないが,シリカ,溶融シリカ,タルク,アルミナ,水酸化アルミニウム,硫酸バリウム,水酸化カルシウム,アエロジル及び炭酸カルシウムが挙げられる。無機フィラーには,分散性を高める等の目的で,これらをシランカップリング剤等の各種カップリング剤で処理したものを含む。これらは,単独でも,2種以上を組み合せて用いてもよい。なお,誘電特性や低熱膨張の点からシリカが好ましい。
【0055】
(F)成分である無機フィラーの配合量は,(A)〜(F)成分の容積の合計中,5〜35容積%の範囲であることが好ましく,より好ましくは,10〜30容積%である。配合量がこの範囲にあると,熱膨張係数と誘電損失が大きくなることもなく,絶縁層を内層回路上に形成するのに,十分なフローが得られる。なお,本発明の接着補助剤に無機フィラーを分散させるには,例えば,ニーダー,ボールミル,ビーズミル,3本ロール等既知の混練方法を用いることができる。
【0056】
本発明の接着補助剤には,必要に応じて,顔料,レベリング剤,消泡剤,イオントラップ剤等の添加剤を配合してもよい。
【0057】
以上のように作製した接着補助剤は、例えば、溶剤に希釈してワニスにして,金属箔,プリプレグまたはキャリアフィルム上に塗工する。溶剤としては,アセトン,メチルエチルケトン,シクロヘキサノン等のケトン類,ベンゼン,キシレン,トルエン等の芳香族炭化水素類,エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類,エチルエトキシプロピオネート等のエステル類,N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類が挙げられる。これらの溶剤は,単独でも,2種以上を混合して用いてもよい。接着補助剤に対する溶剤の使用量は,特に限定されず,従来から使用されている量とすることができる。
【0058】
例えば、本発明の接着補助剤,及びそのワニスを,金属箔の片面に塗工して半硬化させることにより接着補助剤付金属箔が,キャリアフィルム上に塗工して半硬化させることにより接着補助剤が,プリプレグの片面に塗工して半硬化させることにより接着補助剤付プリプレグが完成する。接着補助剤をワニスとして,コンマコータやグラビアコータで金属箔に塗工する場合は,接着補助剤の全固形分量が,10〜30重量%となるように溶剤の使用量を調節することが好ましいが,またフィルム形成用の設備にあわせて量を調整することもできる。接着補助剤付金属箔とプリプレグ,または接着補助剤付プリプレグと金属箔を重ね従来公知の方法により積層一体化され,積層板を得ることができる。
【0059】
例えば、ワニス塗布後は温風ブロー等で乾燥する。乾燥温度は90℃〜210℃の範囲がよく,120℃〜190℃の範囲であることが更に望ましい。乾燥後に残溶剤が1重量%以下となるようにすることが望ましい。残溶剤が1重量%を超すと最終的に作製したプリント配線板の信頼性が低下する。乾燥時間は乾燥温度等によって異なるが,1分〜60分の間がよい。乾燥後の樹脂は完全硬化ではなく半硬化のBステージ状態にしておく。樹脂を完全硬化するとその上に積層する絶縁層との接着力が弱くなる場合がある。
【0060】
ソルダーレジストを塗布または積層する際の前処理としての粗化処理(化学粗化)にはアルカリ過マンガン酸塩水溶液を用いることが好ましい。例えば水酸化ナトリウムを1〜5重量%と過マンガン酸カリウム2〜10重量%を溶解させた水溶液などを使用できるがこの限りではない。化学粗化を50〜90℃に加熱すると粗化が速やかに行われるため好ましい。化学粗化後は,硫酸ヒドロキシルアミン水溶液などで過マンガン酸塩を還元する必要がある。一般に硫酸3〜8重量%,硫酸ヒドロキシルアミン1〜5重量%の水溶液を用いて20〜50℃で2〜10分程度処理し,水洗する方法が望ましい。化学粗化処理前に,アルカリアルコール水溶液で前処理することと,粗化速度が向上するため好ましい。たとえば,水酸化ナトリウム1〜3重量%,ジエチレングリコールモノメチルエーテル10〜30重量%の水溶液を用い,20〜50℃で2〜10分程度処理することが好ましい。
【0061】
ソルダーレジストはワニス状の塗布タイプとフィルム上のラミネートタイプがあるが,どのようなソルダーレジストを用いても構わない。一般に塗布タイプのものは乾燥後15〜30μmになるよう塗布,乾燥後,焼付け露光(UV照射),現像,再露光,加熱の順に形成され,フィルムタイプのものは,50〜100℃でゴムロール等を用いてラミネート後,焼付け露光(UV照射),現像,再露光,加熱の順で形成される。市販品として日立化成工業株式会社製SR−7000シリーズや,太陽インキ製造株式会社製AUSシリーズなどがある。
【実施例】
【0062】
以下、実施例により本発明を説明する。本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
(実施例1)
下記の組成よりなる樹脂組成物Aを作成した。
(樹脂組成物A)
・エポキシ樹脂,NC3000S−H(日本化薬株式会社製) 65重量部
・カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子,XER−91SE−15(JSR株式会社製) 5重量部
・カルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂,KS−23Z(積水化学工業株式会社製) 5重量部
・フェノール樹脂,フェノライトEXB−9829(窒素含有量18重量%,水酸基当量151,大日本インキ化学工業株式会社製) 20重量部
・アミン化合物,1,8−ジアザビシクロウンデセン,DBU(関東化学株式会社製) 0.3重量部
・溶剤,メチルエチルケトン 150重量部
【0063】
下記に示す接着補助剤付金属箔Aを作製した。
(接着補助剤付金属箔A)
電解銅箔(F0−WS−18,古河サーキットフォイル株式会社製,18μm厚、Rz=1.8μm)のシランカップリング剤処理された被接着面に樹脂組成物Aを塗工した。塗工後は残溶剤が5重量%以下になるように160℃で10分程度の乾燥を行った。塗工した樹脂組成物Aの厚みは3.0μmであった。
【0064】
日立化成工業株式会社製 ガラス布基材高Tgエポキシ樹脂プリプレグGEA−679F(厚み0.1mm)4枚とその上下に樹脂組成物Aが塗工された面がプリプレグに接するように上記3μm厚の接着補助剤付金属箔Aを積層し,180℃,2.5MPaの条件で1時間プレス成形し、プリプレグ,接着補助剤層及び金属箔よりなる銅張積層板を製造した。その後,不要な部分の銅箔を塩化鉄系エッチング液により除去し,絶縁樹脂基板を得た。絶縁樹脂基板を下記表1に示す条件で化学粗化した。
【0065】
【表1】


(表中、「%」とは、「重量%」を表す。)
【0066】
化学粗化処理した絶縁樹脂基板上に日立化成工業株式会社製 SR−7200G(ソルダーレジスト)を下記表2の条件で積層し、図1に示すようなプリント配線板を得た。
【0067】
【表2】


【0068】
(実施例2)
実施例1において,接着補助剤付金属箔Aを作製する際,樹脂組成物Aを8μmの厚みに塗布したこと以外は実施例1と同様に基板を作製した。
【0069】
(実施例3)
実施例1において,エポキシ樹脂(NC3000S−H)の配合量を80重量部,カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子(XER−91SE−15)の配合量を2重量部,カルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂(KS−23Z)の配合量を5重量部,トリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂(フェノライトEXB−9829)の配合量を13重量部、アミン化合物 DBUの配合量を0.3量部、メチルエチルケトンの配合量を150重量部とした。その他は,実施例1と同様にして行った。
【0070】
(実施例4)
実施例1において,カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子(XER−91SE−15)5重量部の代わりに,ブタジエンゴム−アクリル樹脂のコアシェル粒子,EXL−2655(呉羽化学工業株式会社)5重量部を用いた。その他は,実施例1と同様にして行った。
【0071】
(実施例5)
実施例1において,トリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂20重量部の代わりに,フェノールノボラック樹脂,HP−850N(日立化成工業株式会社)15重量部を用いた。その他は,実施例1と同様にして行った。
【0072】
(実施例6)
実施例1において,ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂(NC3000S−H)の配合量を55重量部,トリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂(フェノライトEXB−9829)の配合量を15重量部とし,さらにフェノール性水酸基含有リン化合物,HCA−HQ(三光株式会社製)15重量部とした。その他は,実施例1と同様にして行った。
【0073】
(実施例7)
実施例1において,ソルダーレジストを太陽インキ製造株式会社製 PFR−800AUS402(30μm)に変更し、下記表3の条件で積層した。その他は,実施例1と同様にして行った。
【0074】
【表3】


【0075】
(比較例1)
実施例1において,化学粗化を行わないでソルダーレジストを積層した。その他は,実施例1と同様にして行った。
【0076】
(比較例2)
接着補助剤付金属箔Aを積層する代わりに電解銅箔(F0−WS−18)を積層し,化学粗化を行わないでソルダーレジストを積層した以外は実施例1と同様に基板を作製した。
【0077】
(比較例3)
接着補助剤付金属箔Aを積層する代わりに電解銅箔(F3−WS−18、Rz=3.3μm)を積層し,化学粗化を行わないでソルダーレジストを積層した以外は実施例1と同様に基板を作製した。
【0078】
(吸湿耐熱試験)
実施例1〜7,比較例1〜3用基板及び評価用サンプルの吸湿耐熱試験を行った。基板の試験は各サンプルを121℃,湿度100%,2気圧の条件で2時間処理し,その後260℃のはんだ浴に20秒浸漬して,ソルダーレジストに膨れ等が発生しないかどうかの確認を行った。試験には平山製作所製飽和型PCT装置PC−242を用いた。
【0079】
(長期吸湿試験)
実施例1〜7,比較例1〜3用基板及び評価用サンプルの長期吸湿試験を行った。基板の試験は各サンプルを121℃,湿度100%,2気圧の条件で196時間処理し,ソルダーレジストに膨れ等が発生しないかどうかの確認を行った。試験には平山製作所製飽和型PCT装置PC−242を用いた。
【0080】
(銅箔引き剥がし強さの測定)
実施例1〜7,比較例1〜3用の評価サンプルの導体引き剥がし強さを測定した。引き剥がしは垂直引き剥がし強さを測定した。測定は常に20℃で行った。測定は,島津製作所(株)製オートグラフAC−100型を用い,引き剥がし速度50mm/min,試験幅5mmで行った。
【0081】
(試験結果)
試験結果を下記表4に示す。実施例1〜7で作製した基板及び評価用サンプルはソルダーレジストの膨れ等は発生せず,導体引き剥がし強さはすべて0.6kN/m以上と高い値であった。一方比較例1で得られた基板は吸湿耐熱試験後ソルダーレジストと絶縁樹脂の間で膨れが発生した。
【0082】
【表4】


【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に関するプリント配線板の断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1:銅箔
2:ソルダーレジスト
3:接着補助剤
4:プリプレグ
【出願人】 【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成工業株式会社
【出願日】 平成18年11月16日(2006.11.16)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和

【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦

【識別番号】100100929
【弁理士】
【氏名又は名称】川又 澄雄

【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和

【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一

【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄


【公開番号】 特開2008−16794(P2008−16794A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−310154(P2006−310154)