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【発明の名称】 多層プリント配線板及びその製造方法
【発明者】 【氏名】加藤 勝宗

【氏名】広川 周二

【氏名】福田 篤

【氏名】石黒 欽也

【氏名】鈴木 龍雄

【要約】 【課題】リジッド部11とフレキ部12の付け根の位置でフレキシブルフィルムにクラックが発生する損傷を少なくし、折り曲げストレスに強い多層プリント配線板を得る。

【構成】カバーレイフィルムが積層されたフレキシブルフィルムに外層基板が積層されたリジッド部を有し、前記外層基板が積層されない前記フレキシブルフィルムから成るフレキ部を有し、前記リジッド部と前記フレキ部の境界線の直下に前記カバーレイフィルムに密着する補強用金属パターンを有し、前記補強用金属パターンが前記リジッド部内に根を持つとともに前記フレキ部側に突出する突出部分を有し、前記補強用金属パターンの前記突出部分が前記リジッド部と前記フレキ部の境界線から0μmから150μmの幅で前記フレキ部側に突出し、前記リジッド部から遠ざかるに従い厚さが薄くなる裾野部分を有する多層プリント配線板を製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線パターンを形成した有機樹脂基板にカバーレイフィルムを積層したフレキシブルフィルムに、後の工程で形成するリジッド部とフレキ部の境界線の直下および前記フレキ部の全領域に保護金属パターンを形成する第1の工程と、次に、前記フレキシブルフィルムに、予め窓部を形成した外層基板を、前記窓部の境界線が前記保護金属パターンの上に重なるように積層することで、前記外層基板の部分を前記リジッド部として形成し、前記外層基板が積層されない前記フレキシブルフィルムの部分を前記フレキ部とする第2の工程と、次に、前記リジッド部に穴を形成する第3の工程と、次に、前記穴をデスミア処理する第4の工程と、次に、無電解金属めっき処理により、前記穴と前記リジッド部および前記フレキ部の全面に下地金属層を形成する第5の工程と、次に、電解金属めっき処理により前記リジッド部と前記穴と前記フレキ部の前記保護金属パターン上に金属めっき層を形成する第6の工程と、次に、エッチングにより、前記リジット部と前記フレキ部の境界線の直下の前記保護金属パターンを、前記リジッド部から前記フレキ部に0μmから150μm突出する部分を残して除去することで補強用金属パターンを形成する第7の工程と、前記第6の工程あるいは前記第7の工程に於いて前記リジッド部に配線パターンを形成する工程とを有することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
【請求項2】
前記有機樹脂基板が厚さが10μm以上で100μm以下の有機樹脂基板であり、前記カバーレイフィルムが弾性率が25℃で0.1GPa以上で2.0GPa以下の低弾性率の樹脂をガラスクロスに含浸させて成るカバーレイフィルムであることを特徴とする請求項1記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項3】
配線パターンを形成した有機樹脂基板の両面にカバーレイフィルムが積層されたフレキシブルフィルムを有し、前記フレキシブルフィルムに外層基板が積層されたリジッド部を有し、前記外層基板が積層されない前記フレキシブルフィルムから成るフレキ部を有し、前記リジッド部の外側に金属めっき処理された穴を有し、前記リジッド部と前記フレキ部の境界線の直下に前記カバーレイフィルムに密着する補強用金属パターンを有し、前記補強用金属パターンが前記リジッド部内に根を持つとともに前記フレキ部側に突出する突出部分を有し、前記補強用金属パターンの前記突出部分が前記リジッド部と前記フレキ部の境界線から0μmから150μmの幅で前記フレキ部側に突出していることを特徴とする多層プリント配線板。
【請求項4】
前記有機樹脂基板が厚さが10μm以上で100μm以下の有機樹脂基板であり、前記有機樹脂基板の両面の前記カバーレイフィルムが、弾性率が25℃で0.1GPa以上で2.0GPa以下の低弾性率の樹脂をガラスクロスに含浸させて成るカバーレイフィルムであることを特徴とする請求項3記載の多層プリント配線板。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、多層プリント配線板と、その製造方法に関し、特に、リジッド部11とフレキ部12とを有する多層プリント配線板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の印刷配線板は、特許文献1では、基材1に配線パターン2を形成し、その上にカバーレイフィルム3を被覆して配線パターン2を保護し、そのカバーレイフィルム3の一部の両面に、絶縁層となるプリプレグ6を重ね、更に金属層10を有する外層基板7を、その金属層10を外側に向けて熱圧着してリジッド部11を形成していた。そして、リジッド部11に貫通孔13を形成し、その貫通孔13のデスミア処理を行った後に貫通孔13に電解金属めっき処理することで金属めっき層17を形成していた。
【0003】
特許文献2では、基材1に配線パターン2を形成し、その両面にカバーレイフィルム3を被覆し、その上からフレキ部12の位置に窓部8を開けたボンディングフィルム、窓部8無しの内層リジッド板、プリプレグ6、及び外側に向けた金属層10を有する外層基板7を積層し加熱プレスしたリジッド部11を形成し、リジッド部11に貫通孔13を形成し、それに電解金属めっき処理することで金属めっき層17を形成し、リジッド部11に配線パターン19を形成した。その後に、V溝加工機により、リジッド部11とフレキ部12の境界線にV溝を形成し、基板全体を湾曲させ、V溝に沿ってリジッド部11を割り、フレキ部12の不要部分を取り除いてカバーレイフィルムを露出させた。
【0004】
特許文献3では、内層用の配線パターン2を形成した基材1の上に外層を保護金属パターン5で保護した絶縁層を積層したフレキシブルフィルムを形成し、その外層の保護金属パターン5に被さるリジッド部11に、プリプレグ6と外層基板7を積層し加熱プレスにより一体化し、次に、リジッド部11に貫通孔13を形成した。フレキシブルフィルムのフレキ部12を保護する保護金属パターン5は、貫通孔13のデスミア処理の際にフレキ部の絶縁層を損傷から保護し、その後、エッチングにより除去した。
【0005】
以下に公知文献を記す。
【特許文献1】特開平5−48268号公報
【特許文献2】特開平8−37379号公報
【特許文献3】特開平2002−111212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術では、フレキ部12の折り曲げの際に、リジッド部11の付け根の部分のフレキ部12が急な曲率で湾曲し、その部分のリジッド部11のエッジがフレキ部12のカバーレイフィルム3に食い込み、カバーレイフィルム3を損傷させ、また、強くカバーレイフィルム3を引っ張り、カバーレイフィルム3に亀裂を生じさせるという問題があった。また、リジッド部11に貫通孔13を形成し、その貫通孔13の内壁面のデスミア処理を行う際に、カバーレイフィルム3がデスミア液に腐食され損傷され、機械的に弱くなり、また、カバーレイフィルム3表面の絶縁性を劣化させる問題があった。
【0007】
特許文献2の技術では、基板全体を湾曲させV溝に沿ってリジッド部を割る際に、その割れ目がカバーレイフィルム3まで侵入してカバーレイフィルム3も損傷させてしまう問題があった。また、フレキ部12の折り曲げの際に、リジッド部11のエッジがフレキ部12のカバーレイフィルム3に食い込み、カバーレイフィルム3を損傷させる問題があっ
た。
【0008】
特許文献3の技術では、保護金属パターン5が、エッチングによりフレキ部12の部分が除去された後に、フレキ部12の付け根のリジッド部11の直下にカバーレイフィルム3と密着する保護金属パターン5のエッジがありリジッド部11のエッジを成していた。このため、フレキ部12の折り曲げの際に、保護金属パターン5のエッジがフレキ部12のカバーレイフィルム3に食い込み損傷させる問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、この課題を解決するために、配線パターンを形成した有機樹脂基板にカバーレイフィルムを積層したフレキシブルフィルムに、後の工程で形成するリジッド部とフレキ部の境界線の直下および前記フレキ部の全領域に保護金属パターンを形成する第1の工程と、次に、前記フレキシブルフィルムに、予め窓部を形成した外層基板を、前記窓部の境界線が前記保護金属パターンの上に重なるように積層することで、前記外層基板の部分を前記リジッド部として形成し、前記外層基板が積層されない前記フレキシブルフィルムの部分を前記フレキ部とする第2の工程と、次に、前記リジッド部に穴を形成する第3の工程と、次に、前記穴をデスミア処理する第4の工程と、次に、無電解金属めっき処理により、前記穴と前記リジッド部および前記フレキ部の全面に下地金属層を形成する第5の工程と、次に、電解金属めっき処理により前記リジッド部と前記穴と前記フレキ部の前記保護金属パターン上に金属めっき層を形成する第6の工程と、次に、エッチングにより、前記リジット部と前記フレキ部の境界線の直下の前記保護金属パターンを、前記リジッド部から前記フレキ部に0μmから150μm突出する部分を残して除去することで補強用金属パターンを形成する第7の工程と、前記第6の工程あるいは前記第7の工程に於いて前記リジッド部に配線パターンを形成する工程とを有することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法である。
【0010】
また、本発明は、上記有機樹脂基板が厚さが10μm以上で100μm以下の有機樹脂基板であり、上記カバーレイフィルムが弾性率が25℃で0.1GPa以上で2.0GPa以下の低弾性率の樹脂をガラスクロスに含浸させて成るカバーレイフィルムであることを特徴とする上記の多層プリント配線板の製造方法である。
【0011】
また、本発明は、配線パターンを形成した有機樹脂基板の両面にカバーレイフィルムが積層されたフレキシブルフィルムを有し、前記フレキシブルフィルムに外層基板が積層されたリジッド部を有し、前記外層基板が積層されない前記フレキシブルフィルムから成るフレキ部を有し、前記リジッド部の外側に金属めっき処理された穴を有し、前記リジッド部と前記フレキ部の境界線の直下に前記カバーレイフィルムに密着する補強用金属パターンを有し、前記補強用金属パターンが前記リジッド部内に根を持つとともに前記フレキ部側に突出する突出部分を有し、前記補強用金属パターンの前記突出部分が前記リジッド部と前記フレキ部の境界線から0μmから150μmの幅で前記フレキ部側に突出していることを特徴とする多層プリント配線板である。
【0012】
また、本発明は、上記有機樹脂基板が厚さが10μm以上で100μm以下の有機樹脂基板であり、上記有機樹脂基板の両面の上記カバーレイフィルムが、弾性率が25℃で0.1GPa以上で2.0GPa以下の低弾性率の樹脂をガラスクロスに含浸させて成るカバーレイフィルムであることを特徴とする上記の多層プリント配線板である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の多層プリント配線板は、フレキ部12のカバーレイフィルム3に密着している補強用金属パターン21が、フレキ部12とリジッド部11の境界位置から突出しているので、フレキ部12が一箇所で急な曲率半径で曲がる事を防ぎ、リジッド部11とフレキ
部12の付け根の位置でフレキシブルフィルムにクラックが発生する損傷を少なくする効果がある。更に、弾性率が0.1GPaから2.0GPaの樹脂をガラスクロスに含浸させたカバーレイフィルムを基板1の両面に用い、フレキ部12の屈曲の際にカバーレイフィルムの樹脂に発生したクラックが成長することをガラス繊維が妨げることで、カバーレイフィルムの表面からクラックが発生してフレキ部12が損傷する問題を予防し、折り曲げストレスに強い多層プリント配線板が得られる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1(a)に、本発明の実施の形態の多層プリント配線板の平面図を示し、図1(b)に、側面の断面図を示す。図1(b)に示すように、本発明の多層プリント配線板は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂などの有機樹脂からなる厚さが10μm以上で100μm以下のフィルム状の基材1を中心に持つ。この基材1の両面には所定のパターンに形成された配線パターン2を形成しておく。この基材1の両面をカバーレイ3で覆う。カバーレイフィルム3は、弾性率が0.1GPaから2.0GPaの低弾性率の熱硬化性樹脂を20μm以下の極薄ガラスクロスに含浸させて成る厚さが50μm程度の材料から成る。このカバーレイフィルム3を基材1の両面に積層してフレキシブルフィルムを形成する。そして、このフレキシブルフィルムの一部に、外層基板7を積層したリジッド部11を形成し、リジッド部11以外のフレキシブルフィルムの部分から成るフレキ部12を有する多層プリント配線板を製造する。フレキ部には、十分な柔軟性を持たせるため、その表面は金属面で覆われないようにする必要がある。図1に、2つのリジッド部11の間をフレキ部12が結んでいる形の多層プリント配線板の構造を示す。本発明の特徴は、フレキ部12とリジッド部11の境界線の直下にカバーレイフィルム3に密着した銅の補強用金属パターン21を有し、それが、リジッド部11から0μmから150μmの幅でフレキ部12へ突出する部分を有する。補強用金属パターン21がフレキシブルフィルムを支える力を分散して受けるようにしている。また、本発明は、必要に応じて、カバーレイフィルムおよび外層基板7を基材1の片面にのみ形成することも可能である。
【0015】
本実施形態は、リジッド部11とフレキ部12の境界線の直下に補強用金属パターン21を配置し、補強用金属パターン21がリジッド部11内の根を持つとともにフレキ部12側に突出する突出部分を有することで、フレキ部12との境界線のリジッド部11の端からフレキ部12に加わる力を、一旦、補強用金属パターン21に吸収させ、その力が補強用金属パターン21の突出部分に分散されてフレキ部12に加わるようにした。これにより、従来のフレキ部12とリジッド部11との付け根の部分のフレキ部12が損傷し易い問題を解決した。また、本実施形態は、補強用金属パターン21がリジッド部11から突出する裾野部分が、フレキ部12に0μmから150μmの幅を有しフレキ部12に加える圧力を分散するので、フレキ部12がリジッド部11に接続する境界部分で曲がる際に一箇所で急な曲率半径で曲がる事を防ぐ効果がある。また、力の分散のために、補強用金属パターン21がリジッド部11からフレキ部12に突出する裾野部分の幅を20μmから150μmに形成することが更に望ましい。その結果、リジッド部11とフレキ部12の付け根のフレキ部12のフレキシブルフィルムの折れ曲がりによりフレキシブルフィルムにクラックが発生する損傷を少なくし、折り曲げストレスに強い多層プリント配線板を得ることができる効果がある。また、本実施形態は、低弾性率樹脂をガラスクロスに含浸させて成るカバーレイフィルム3を基材1の両面に積層したフレキシブルフィルムを用いるので、フレキシブルフィルムの折り曲げによりクラックが発生し易いカバーレイフルムにおいて、フレキシブルフィルムの折り曲げの際に表面に生じた微小なクラックがガラスクロス部分で成長が止められ、カバーレイフィルムの表面からクラックが成長することによるフレキシブルフィルムの損傷を防止できる効果がある。
【0016】
(第1の実施形態)以下、図2から図5により、本発明の第1の実施形態の多層プリン
ト配線板の製造方法を説明する。
(工程1)図2(a)に示すように、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂などの弾性率が10GPaから20GPa程度で厚さが25μmのフィルム状の基材1の両面に厚さ18μmの銅の配線パターン2を銅層のエッチングあるいは銅の電解金属めっき処理により形成した基材フィルムを形成する。ここで、この基材フィルムの他の実施形態としては、低弾性率(弾性率が0.1GPaから2.0GPa)の熱硬化性樹脂を厚さ20ミクロン以下の極薄ガラスクロスに塗工・含浸させた厚さが50μmのフィルム状の基材1の両面に厚さ12μmの銅の配線パターン2を銅層のエッチングあるいは銅の電解金属めっき処理により形成した基材フィルムを用いることもできる。この基材フィルムは、厚さが10μmから100μmまでの有機樹脂フィルムを用いることができる。
【0017】
(工程2)次に、図2(b)に示すように、その基材フィルムの両面に、以下のようにしてカバーレイフィルム3を積層してフレキシブルフィルムを形成する。カバーレイフィルム3の材料は、厚さ12μmの銅の金属層4に硬化後に低弾性率(弾性率が0.1GPaから2.0GPa)になる熱硬化性樹脂を厚さ20ミクロン以下の極薄ガラスクロスに塗工・含浸させた樹脂を貼り合わせた樹脂付き銅箔を用いる。この低弾性率樹脂の材料としては、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂を含むエポキシ樹脂やシロキサン構造を含有するポリアミック酸を含むエポキシ樹脂を用いることができる。この樹脂付き銅箔を基材フィルムの両面に積層し、150℃で15分加熱し、次に、180℃から250℃で60分加熱しその熱硬化性樹脂を硬化させ基材フィルムの両面に50μmの厚さの弾性率が25℃で0.1GPa以上で2.0GPa以下の熱硬化性樹脂をガラスクロスに含浸したカバーレイフィルム3を積層した厚さ185μmのフレキブルフィルムを形成する。ここで、カバーレイフィルム3の表面には金属層4がある。
【0018】
このフレキシブルフィルムの中心層の基材1(およびその表面の配線パターン2)の両面に積層したカバーレイフィルム3の弾性率が基材1の10分の1以下程度の0.1GPaから2.0GPaであるため、このカバーレイフィルム3の厚さが50μmあり、片側のカバーレイフィルム3だけでも基材1の厚さ25μmの2倍程度あるにもかかわらず、このフレキシブルフィルムには、厚さが25μmの基材1の柔軟性と同程度の良好な柔軟性を持たせることができる効果がある。また、後に形成するフレキ部12が、その屈曲の際に、その表層のカバーレイフィルムが含むガラス繊維がカバーレイフィルムの樹脂を支えるため、カバーレイフィルムの樹脂にクラックが発生する損傷を少なくし、折り曲げストレスに対して強いフレキ部12を形成できる効果がある。
【0019】
(工程3)次に、図2(c)に示すように、このフレキシブルフィルムの両面の銅の金属層4をパターンエッチングすることで、フレキシブルフィルムの帯の両端部を除く部分の両面に銅の保護金属パターン5を形成する。この保護金属パターン5は、後の工程5で形成するリジッド部11とフレキ部12の境界線の直下とフレキ部12の全領域を金属で保護するパターンに形成する。
【0020】
(工程4)図2(d)に示すように、上記の工程1から工程3までと並行して、フレキシブルフィルムに積層するプリプレグ6と外層基板7に窓部8を、打ち抜き加工あるいはレーザー切断加工などの窓抜き加工により形成する。プリプレグ6と外層基板7にあける窓部8の形は、その窓部8の境界が保護金属パターン5の上に重なる形に形成する。また、この外層基板7には、内側に向ける面に銅の配線パターン9を形成しておき、外側に向ける面の全面に銅の金属層10を形成しておく。
【0021】
(工程5)図2(e)に示すように、工程4で形成したプリプレグ6と外層基板7を、その窓部8の境界を、フレキシブルフィルムの保護金属パターン5の上に重ねて、フレキシブルフィルムの両面に積層し加熱硬化させる。これにより、フレキシブルフィルムの両
面の保護金属パターン5の上に、プリプレグ6と外層基板7の窓部8の境界を重ねリジッド部11を形成し、窓部8の境界をリジッド部11の境界とする。プリプレグ6と外層基板7が積層されないフレキシブルフィルムの部分をフレキ部12にする。このフレキ部12は、先に工程3において、保護金属パターン5で全面が保護されている。ここで、リジッド部11は、フレキシブルフィルムに樹脂付き銅箔から成る外層基板7を積層し加熱硬化させて形成しても良い。この場合はプリプレグ6を単独では用いない。この工程では、プリプレグ6の樹脂をフレキ部12に流れ出させて成る樹脂流れ出し部14を保護金属パターン5の上に形成する。この樹脂流れ出し部14は、リジッド部11からフレキ部12まで0から150μmの幅で突出させる。特に、この樹脂流れ出し部14の幅は、樹脂の流れ出し量を調整する事で、フレキ部12に20μmから150μmの幅で突出させることが望ましい。
【0022】
(工程6)次に、図3(f)に示すように、直径が0.1mmから2mmのドリルで、リジッド部11の上下面を貫通する貫通孔13を形成する。ここで、基材1上のリジッド部11の配線パターン2をランドパターンを形成しておき、リジッド部11の表面から、炭酸ガスレーザーやYAGレーザーを照射することによるレーザー穴あけ加工により、基材1上のリジッド部11の配線パターン2のランドパターンまで達する穴を形成することも可能である。
【0023】
(工程7)次に、その基板を、70℃に保持した以下のデスミア液に15分間浸漬することで、貫通孔13あるいは穴の内壁のデスミア処理を行う。
(デスミア液の調製)デスミア液は、過マンガン酸カリウム65g/リットルと水酸化ナトリウム40g/リットルの混合水溶液を用いる。デスミア液は、これ以外の例として、重クロム酸カリウムを主成分とするデスミア液を用いることもできる。
【0024】
このデスミア処理においては、この基板のフレキ部12の表面が保護金属パターン5で覆われているため、その保護金属パターン5の下のカバーレイフィルム3がデスミア液から保護される効果がある。特に、弾性率が0.1GPaから2.0GPaの低弾性率のカバーレイフィルム3がデスミア液の腐食に弱い場合であっても、デスミア液への溶解による損傷から保護され、安定した品質で多層配線板を製造することができる効果がある。
【0025】
(工程8)次に、銅の無電解金属めっき処理により、この貫通孔13の壁面とリジッド部11とフレキ部12の全面に厚さ0.1μmから1μmの銅層から成る下地金属層を形成する。
(工程9)次に、図3(g)に示すように、この基板のリジッド部11に配線パターン19の逆版のめっきレジストパターン16を形成する。このめっきレジストパターン16は、フレキ部12に隣接するリジッド部11の側壁とフレキ部12とを露出するように形成する。
(工程10)次に、図3(h)に示すように、この基板の下地金属層に電解銅めっき装置の陰極を接続して、この基板を電解銅めっき浴に浸漬し電解銅めっき処理を行い、めっきレジストパターン16の逆版のパターンで厚さが5μmから50μmの銅層から成る金属めっき層17をめっきレジストパターン16の逆版のパターンでリジッド部11とフレキ部12と貫通孔13の壁面に形成する。
【0026】
ここで、電解銅めっき浴としては、以下の組成のように平滑剤を含む電解銅めっき浴を用いることが望ましい。
(電解銅めっき浴組成)
硫酸銅:200〜250g/L
硫酸 :30〜50g/L
塩素 :30〜60ppm
ポリエチレングリコール(PEG):0.5〜1g/L
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド(SPS):1〜10mg/L
平滑剤:ヤーヌスグリーンB(JGB)を1〜10mg/L。
【0027】
平滑剤としては、JGBなどの4級化アミン化合物、あるいは、β−プロピオラクタムエトキシレート、γ−ブチロラクタム−ヘキサ−エトキシレート、δ−バレロラクタム−オクタ−エトキシレート、δ−バレロラクタム−ペンタ−プロポキシレート、ε−カプロラクタム−ヘキサ−エトキシレート、またはε−カプロラクタム−ドデカ−エトキシレートを用いることができる。また、式:[R2−O(CH2CH2O)m(CH(CH3)−CH2O)p−R3]aのポリアルキレングリコールエーテルが挙げられ、式中、mは14〜90の整数であり、pは20以下の整数であり、R2は(C1〜C4)アルキルであり、R3は脂肪族鎖または芳香族基であり、aは1または2である平滑剤を用いることもできる。また、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジンチオン、4−メルカプトピリジン、2−メルカプトチアゾリン、エチレンチオ尿素、チオ尿素、およびアルキル化ポリアルキレンイミンを用いることもできる。
【0028】
ここで、平滑剤がリジッド部11の両面への電解銅めっき処理による銅の金属めっき層17の成長を抑制し、一方、リジッド部11の側壁とフレキ部12の境界の凹部を埋める電解銅めっき処理の金属めっき層17の成長を抑制しないようにするために、コア基板1の両面における銅めっき浴の流動速度を速くし、めっき浴をよく攪拌する。すなわち、めっき浴中で、リジッド部11の両面に100〜200L/minの噴流ポンプで銅めっき浴を吹き付け良く攪拌しつつ、約2A/dm2の電流密度で電解銅めっき処理を行う。これにより、リジッド部11の両面には平滑剤が十分よく供給されリジッド部11の両面へ吸着され、平滑剤の消耗を十分補い十分な量の平滑剤が吸着される。その結果、表面に吸着した平滑剤によりリジッド部11の両面への電解金属めっき処理による金属めっき層17の成長が抑制され、その厚さを薄くする。
【0029】
(工程11)次に、図3(j)に示すように、めっきレジストパターン16から露出している金属めっき層17の表面に錫や半田から成るメタルエッチングレジスト18を形成する。
(工程12)次に、図4(k)に示すように、めっきレジストパターン16を剥離する。(工程13)次に、図4(l)に示すように、メタルエッチングレジスト層18以外の部分の下地金属層および金属層10をエッチングにより除去し、リジッド部11にめっきレジストパターン16の逆版の配線パターン19を形成し、また、フレキ部12とリジッド部11の境界に金属めっき層17を残す。
(工程14)次に、図4(m)に示すように、メタルエッチングレジスト層18を、硝酸と、硝酸第2鉄、塩化第2鉄等の第2鉄イオンを含有する溶液とから成るメタルエッチングレジスト剥離液により除去する。
【0030】
(工程15)次に、図5(n)に示すように、リジッド部11にエッチングレジストパターン20を形成し、リジッド部11の配線パターン19を保護し、フレキ部12の金属めっき層17を露出させる。
(工程16)次に、図5(p)に示すように、エッチングレジストパターン20で保護されていない部分、すなわち、フレキ部12の金属めっき層17および保護金属パターン5とそれに接続するリジッド部の側壁の金属めっき層17を、エッチングにより除去する。この際に、リジッド部11とフレキ部12の境界部分は、保護金属パターン5の上部に流れ出たプリプレグ6の樹脂流れ出し部14をエッチングレジストとして銅の補強用金属パターン21を形成する。こうして樹脂流れ出し部14の下に残された補強用金属パターン21は、その上側を樹脂流れ出し部14に覆われて保護されているため、その表面が露出せず、補強用金属パターン21が他の電子回路に接触して電子回路をショートさせる危険
が無いという効果がある。
【0031】
(工程17)次に、図5(q)に示すように、エッチングレジストパターン20を剥離する。
(工程18)図1に示すように、必要に応じて、リジッド部11にソルダーレジスト22を印刷する。
(工程19)次に、複数の多層プリント配線板を1枚の基板で形成する場合、その他必要がある場合は、その基板に外形打ち抜きプレス加工、あるいは、外形ルーター加工などの外形加工をすることにより、個々の多層プリント配線板を切り出して分離する。この外形加工により、フレキシブルフィルムの一部を切除してフレキ部12を形成することもできる。この場合は、工程3で形成する保護金属パターン5は、この工程19で形成するフレキ部12を基準とする。すなわち、保護金属パターン5は、このフレキ部12の全領域に金属を設置し保護するパターンに形成し、工程19で切除するレキシブルフィルムの上には形成しなくても良い。
【0032】
本発明は、以上の第1の実施形態に限らず、他の実施形態として、外層基板7の金属層10は薄く形成しておき、工程11においてメタルエッチングレジストパターン20を形成せずに、工程13で、クイックエッチングで金属層10を除去するが配線パターン19は残すように製造することもできる。また、更に、めっきレジストパターン16も用いずにリジッド部11とフレキ部12の全面に金属めっき層17を形成し、エッチングレジストパターン20で金属めっき層17を保護してエッチングすることで配線パターン19を形成することもできる。
【実施例1】
【0033】
多層プリント配線板の1個に対応する部分の寸法が縦横20mm×110mmの帯状で、厚さ25μmのポリイミドフィルムの基材1の両面に厚さ18μmの銅の配線パターン2を形成した基材フィルムを形成する。ここで、複数の多層プリント配線板を一括で一枚の基材フィルに形成して、後に個々の多層プリント配線板の部分に切り離す製造方法を用いることができる。
【0034】
次に、その基材フィルムの両面にカバーレイフィルム3を積層する。カバーレイフィルム3は、多層プリント配線板の1個に対応する部分の寸法が基材1と同じ寸法の縦横20mm×110mmの帯状で厚さが50μmのものを用い、その材料には、弾性率が25℃で0.1GPa以上で2.0GPa以下になる熱硬化性樹脂を厚さ20ミクロン以下の極薄ガラスクロスに含浸させたフィルムを用いる。その熱硬化性樹脂は、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂を含むエポキシ樹脂を用いることができる。このカバーレイフィルム3には、外側に厚さ12μmの金属層4を形成しておく。このカバーレイフィルム3を基材フィルムに積層し、加熱・加圧することで、その熱硬化性樹脂を硬化させ、縦横20mm×110mmの帯状の厚さ185μmで、表面に金属層4を有するフレキシブルフィルムを形成する。次に、その金属層4をパターンエッチングして縦横20mm×40mmの長方形の保護金属パターン5を形成する。
【0035】
次に、複数の多層プリント配線板の外層基板7を一括して一枚の外層基板7で形成する。すなわち、その外層基板7は、ガラスエポキシ基板を用い、後にフレキシブルフィルムに積層する際に内層側になる面に銅の配線パターン9を形成しておき、外層側の面に金属層10を形成しておく。この外層基板7において、フレキシブルフィルム上に重ねずにフレキ部12とすべき領域を縦横55mm×30mmの長方形に打ち抜いて窓部8を形成する窓抜き加工を行う。また、プリプレグ6にも、外層基板7と同様に窓部8を形成する窓抜き加工を行う。
【0036】
次に、フレキシブルフィルムの両面に、先に窓部8を形成したプリプレグ6と外層基板7を積層し、加熱硬化させ一体化させる。この積層の際に、プリプレグ6と外層基板7の縦横55mm×30mmの窓部8の左右の境界位置を、フレキシブルフィルム上に形成した縦横20mm×40mmの保護金属パターン5の左右の端部から5mmの位置に重ね合わせて積層する。これにより、プリプレグ6と外層基板7の窓部8の左右の境界部分がフレキシブルフィルムのカバーレイフィルム3に直接当たることを避け、フイルムカバーレイを損傷する危険を回避する。こうして、プリプレグ6と外層基板7の窓部8以外の部分がリジッド部11になり、窓部8のフレキシブルフィルムの部分がフレキ部12になった。また、この工程で、プリプレグ6の樹脂をフレキ部12の保護金属パターン5の上に流れ出させた樹脂流れ出し部14を形成する。この段階では、多数の多層プリント配線板用に一体化されたリジッド部11が形成されたが、後にこのリジッド部11をプレス打ち抜き加工で打ち抜いて個々の多層プリント配線板に分離して形成する。その場合は、縦横20mm×30mmのフレキ部12の左右に縦横50mm×40mmの2つのリジッド部11が接続された多層配線板が形成される。
【0037】
次に、リジッド部11に直径0.8mmのドリルで貫通孔13を複数形成する。次に、この基板をデスミア液に浸漬し貫通孔13をデスミア処理する。次に、この基板を無電解銅めっき液に浸漬して貫通孔13の壁面とリジッド部11とフレキ部12の全面に厚さ0.1μmから1μmの銅の下地金属層を形成する。次に、この基板のリジッド部11に配線パターン19の逆版で、フレキ部12に隣接するリジッド部11の側面とフレキ部12とを露出するめっきレジストパターン16を形成する。次に、この基板の下地金属層に電解銅めっき装置の陰極を接続し、この基板を電解銅めっき浴に浸漬して、電解金属めっき処理をすることで、厚さが5μmから50μmの銅の金属めっき層17をめっきレジストパターン16の逆版のパターンでリジッド部11とフレキ部12と貫通孔13の壁面に形成する。次に、めっきレジストパターン16を剥離する。次に、この基板の金属層をクイックエッチングすることで、めっきレジストパターン16の下に形成されていた下地金属層を除去し、配線パターン19を形成する。
【0038】
次に、リジッド部11の配線パターン19と貫通孔13の金属めっき層17を保護し、フレキ部12の全面とそれに隣接するリジッド部11の壁面を露出するエッチングレジストパターン20を形成する。次に、フレキ部12の銅の保護金属パターン5の部分の金属層とそれに接続するリジッド部の側壁の銅の金属めっき層17を、保護金属パターン5の上部に流れ出たプリプレグ6の樹脂から成る樹脂流れ出し部14をエッチングレジストとして、エッチングにより除去し、銅の補強用金属パターン21を形成する。それにより、この補強用金属パターン21に、リジッド部11とフレキ部12の境界部分の銅の保護金属パターン5が境界部分から0μmから150μmの幅で突出した裾野部分を形成する。
【0039】
次に、エッチングレジストパターン20を剥離する。次に、リジッド部11の一部にソルダーレジスト22を印刷し、リジッドに10の配線パターン19の一部を保護する。次に、この基板を、多層プリント配線板の1個に対応する縦横50mm×110mmの形に、プレス打ち抜き加工で打ち抜いて、縦横20mm×30mmのフレキ部12と、その両端に縦横50mm×40mmの2つのリジッド部11が接続して成る多層プリント配線板を製造する。
【0040】
以上の製造方法により、以下の構造の多層プリント配線板を得る。すなわち、縦横20mm×30mmのフレキ部12と、その両端に縦横50mm×40mmの外層基板7が積層されて成る2つのリジッド部11が接続して成る多層プリント配線板が得られる。そのフレキ部12は、厚さ25μmのポリイミドフィルムの基材1の両面に配線パターン2を形成した基材フィルムの両面に厚さ50μmのカバーレイフィルム3が積層されたフレキシブルフィルムから成る。カバーレイフィルム3は、弾性率が25℃で0.1GPa以上
で2.0GPa以下の樹脂を厚さ20ミクロン以下の極薄ガラスクロスに含浸させた材料から成る。そして、フレキ部12とリジッド部11の境界線の直下に、カバーレイフィルム3に密着した補強用金属パターン21を有し、その補強用金属パターン21が、フレキ部12とリジッド部11の境界位置からフレキ部12に0μmから150μm突出した裾野部分を有する多層プリント配線板を得る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態の多層プリント配線板の構造を示す図である。
【図2】本発明の実施形態の多層プリント配線板の製造手順を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態の多層プリント配線板の製造手順を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態の多層プリント配線板の製造手順を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態の多層プリント配線板の製造手順を示す断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1・・・基材
2・・・配線パターン
3・・・カバーレイフィルム
4・・・金属層
5・・・保護金属パターン
6・・・プリプレグ
7・・・外層基板
8・・・窓部
9・・・配線パターン
10・・・金属層
11・・・リジッド部
12・・・フレキ部
13・・・貫通孔
14・・・樹脂流れ出し部
16・・・めっきレジストパターン
17・・・金属めっき層
18・・・メタルエッチングレジスト層
19・・・配線パターン
20・・・エッチングレジストパターン
21・・・補強用金属パターン
22・・・ソルダーレジスト
【出願人】 【識別番号】000236931
【氏名又は名称】株式会社トッパンNECサーキットソリューションズ
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−10689(P2008−10689A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−180569(P2006−180569)