| 【発明の名称】 |
プリント配線基板および回路装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】片岡 龍男
【氏名】明石 芳一
【氏名】井口 裕
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| 【要約】 |
【課題】
【構成】本発明のプリント配線基板は、絶縁フィルムと、該絶縁フィルムの少なくとも一方の表面に形成された配線パターンとを有し、該配線パターンは、絶縁フィルム表面に形成された基材金属層と、該基材金属の表面に形成された導電性金属層とからなり、該配線パターンを構成する基材金属層が、該配線パターンを構成する導電性金属層よりも幅方向に突出して形成されていることを特徴とし、本発明の回路装置は、このプリント配線基板に電子部品が実装されてなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁フィルムと、該絶縁フィルムの少なくとも一方の表面に形成された配線パターンとを有し、該配線パターンは、絶縁フィルム表面に形成された基材金属層と、該基材金属の表面に形成された導電性金属層とからなり、該配線パターンを構成する基材金属層が、該配線パターンを構成する導電性金属層よりも幅方向に突出して形成されていることを特徴とするプリント配線基板。 【請求項2】 上記基材金属層が、ニッケルおよび/またはクロムを含有する金属から形成されていることを特徴とする請求項第1項記載のプリント配線基板。 【請求項3】 上記導電性金属層が、銅あるいは銅合金から構成されていることを特徴とする請求項第1項記載のプリント配線基板。 【請求項4】 上記配線パターンの幅方向に突出して形成されている基材金属層からなる配線パターンの表面の少なくとも一部が不働態化されていることを特徴とする請求項第1項記載のプリント配線基板。 【請求項5】 上記導電性金属層は、マスキングパターンと略同一の形態を有しており、配線パターンと絶縁フィルムとは、導電性金属層からなる配線パターンの下端部および該配線パターンの周囲に導電性金属層から幅方向に突出して形成された基材金属層によって接合していることを特徴とする請求項第1項記載のプリント配線基板。 【請求項6】 上記基材金属層と導電性金属層とが、特性の異なる金属あるいは合金から形成されていることを特徴とする請求項第1項記載のプリント配線基板。 【請求項7】 上記請求項第1乃至第6項のいずれかの項記載のプリント配線基板に、電子部品が実装されていることを特徴とする回路装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、絶縁フィルムの表面に配線パターンが接着剤層を介さずに直接形成されているプリント配線基板およびこのプリント配線基板に電子部品が実装された回路基板に関する。さらに詳しくは本発明は、基板となる絶縁フィルムと、この絶縁基板の表面に形成された金属層とからなる2層構成の基板から形成されるプリント配線基板およびこのプリント配線基板に電子部品が実装された回路装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来からポリイミドフィルムなどの絶縁フィルムの表面に接着剤を用いて銅箔を積層した銅張り積層板を用いて配線基板が製造されている。 上記のような銅張り積層板は、表面に接着剤層が形成された絶縁フィルムに、銅箔を加熱圧着することにより製造される。したがって、このような銅張り積層板を製造する際には、銅箔を単独で取り扱わなければならない。しかしながら、銅箔は薄くなるにつれて引っ張り強度が弱くなり、単独で取り扱える銅箔の下限は9〜12μm程度であり、これよりも薄い銅箔を用いる場合には、例えば支持体付の銅箔を用いることが必要になるなど、その取り扱いが非常に煩雑になる。また、絶縁フィルムの表面に接着剤を用いて、上記のような薄い銅箔を貼着した銅張り積層板を使用して配線パターンを形成すると、銅箔を貼着するために使用した接着剤の熱収縮によりプリント配線基板に反り変形が生ずる。特に電子機器の小型軽量化に伴い、プリント配線基板も薄化、軽量化が進んでおり、このようなプリント配線基板には、絶縁フィルム、接着剤および銅箔からなる3層構造の銅張り積層板では対応できなくなりつつある。 【0003】 そこで、こうした3層構造の銅張り積層板に代わって、絶縁フィルム表面に直接金属層を積層した2層構造の積層体が使用されている。このような2層構造の積層体は、ポリイミドフィルムなどのような絶縁フィルムの表面に、無電解メッキ法、蒸着法、スパッタリング法などによりシード層金属を析出させることにより製造される。そして、上記のようにして析出した金属の表面に、例えば銅メッキを付着させた後、フォトレジストを塗布し、露光・現像し、次いでエッチングすることにより所望の配線パターンを形成することができる。特に2層構成の積層体は、金属(例えば、銅)層が薄いために形成される配線パターンピッチ幅が30μmに満たないような非常に微細な配線パターンを製造するのに適している。 【0004】 ところで、特許文献1(特開2003−188495号公報)には、ポリイミド樹脂フィルムに乾式製膜法で形成された第1金属層と第1金属層の上にメッキ法で形成された導電性を有する第2金属層とを有する金属被覆ポリイミドフィルムに、エッチング法によってパターンを形成するプリント配線基板の製造方法において、前記エッチング後にエッチング表面を酸化剤による洗浄処理を行うことを特徴とするプリン等配線基板の製造方法の発明が開示されている。また、この特許文献1の実施例5には、ニッケル・クロム合金を厚さ10nmにプラズマ蒸着し、次いでメッキ法で銅を8μmの厚さで析出させた例が示されている。 【0005】 しかしながら、上記の特許文献1に記載されている方法では、パターンをエッチングにより形成した後、酸化剤によってポリイミド樹脂フィルム表面にある第1金属層を処理することが記載されているが、このような酸化剤を用いた処理では、上記第1金属が相当量残存し、しかもこれの不働態化が完全には行われていないので、過酷な環境においては比較的短期間で短絡などが生ずることがある。さらに、上記特許文献1において第1金属層を形成する金属は、全て酸化剤で処理されているが、これらの金属の中には酸化されにくいものもあり、このような場合には、配線パターン間に良好な絶縁性が形成されないこともあり得るのである。また、特許文献1で採用されている処理では、微量の残存する金属が不働態化されにくいので、製造当初の配線パターン間の絶縁抵抗は良好な値を示すが、例えば1000時間以上電圧をかけ続けた後の絶縁抵抗は、電圧を印加する前の値よりも低くなるという傾向が生ずる。 【0006】 また、特許文献2(特開2003−282651号公報)の段落[0004]、[0005]には、可撓性絶縁フィルム2の表面に、可撓性絶縁フィルムと配線パターンとの接着強度を確保するために、銅と銅以外の金属との合金からなる金属層1を設け、この金属層1の表面に銅箔を配置した複合体からフレキシブル回路基板を製造することが記載されている。さらに、こうした複合体を用いて形成された配線パターンのリード部分には、図5に示されているように、周縁下部に金属層1が未除去部として残留すると記載されており、この未除去部を原因としてメッキ金属の異常析出6が形成されると記載されており、このメッキ金属の異常析出6の部分からスズの結晶が成長して「ホイスカ」となり、それにより配線パターンにショートが発生すると記載されている。すなわち、特許文献2においては、配線パターンの接着強度を確保するために設けた金属層1をそのままの状態にしてその表面にスズメッキ層を形成すると、形成されたスズメッキ層からホイスカが発生するので、段落[0023]に示されるように、この金属層1を完全に除去しているのである。 【0007】 しかしながら、こうした金属層1を配線パターンの外周から完全に除去することは極めて困難であり、特許文献2に記載されている方法では、微量ながら配線パターンの外周下部に金属層1がそのままの状態で残存し、こうした残存金属層1に起因して析出したスズメッキ層からのホイスカの発生を完全に防止することはできない。 【特許文献1】特開2003−188495号公報 【特許文献2】特開2003−282651号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 そして、上記のような2層構成の積層体を用いて配線パターンを形成すると、比較的短時間に配線パターン間の絶縁性が損なわれることがあることが判った。 こうした現象について検討してみると、2層構成の積層体を用いて形成された配線パターンは、絶縁フィルムの表面に直接配置された第1金属層(シード層)と、この第1金属層上に形成された銅層とから形成されており、銅層とこの下部にある第1金属層とによって、マイグレーションが生じやすくなり、隣接する配線パターン間でマイグレーションによる短絡が短期間で発生するとの問題の原因となる。 【0009】 本発明は、このようなマイグレーションによる短絡が発生しにくく、長期的に電気的に安定した状態を維持することができるプリント配線基板を提供することを目的としている。 【0010】 また、本発明は、上記のような方法により製造された特異的構造を有すると共に、マイグレーションなどによる短絡が発生しにくいプリント配線基板を提供することを目的としている。 【課題を解決するための手段】 【0011】 本発明のプリント配線基板の製造方法は、絶縁フィルム表面に基材金属を析出させて基材金属層を形成し、該基材金属層の表面に銅などの導電性金属を析出させる工程を経て形成された表面金属層(基材金属層と導電性金属層との積層体)を、エッチング法により選択的に除去して配線パターンを形成する工程を有するプリント配線基板の製造方法において、 該表面金属層をエッチング法により選択的に除去して配線パターンを形成した後、該基材金属層を形成する金属を溶解および/または不働態化可能な処理液で処理することを特徴としている。 【0012】 すなわち、本発明のプリント配線基板の製造方法は、絶縁フィルムの少なくとも一方の表面に基材金属を析出させて基材金属層を形成し、該基材金属層の表面に銅あるいは銅合金を析出させて導電性金属層を形成する工程を経て形成された基材フィルムの金属層を、エッチング法により選択的に除去して配線パターンを形成する工程を有するプリント配線基板の製造方法において、 該基材フィルムの金属層をエッチング法により選択的に除去して配線パターンを形成した後、該基材金属層を形成する金属を溶解および/または不働態化可能な処理液で処理することを特徴としている。 【0013】 本発明のプリント配線基板は、絶縁フィルムと、該絶縁フィルムの表面に形成された配線パターンとからなり、該配線パターンは、析出された基材金属層と、該基材金属の表面に析出した銅層などの導電性金属層とからなり、該配線パターンの幅方向の断面における基材金属層の上端部が、該基材金属層の表面に析出した導電性金属層の下端部から幅方向に突出して形成されていることを特徴としている。 【0014】 すなわち、本発明のプリント配線基板は、絶縁フィルムと、該絶縁フィルムの少なくとも一方の表面に形成された配線パターンとを有し、該配線パターンは、絶縁フィルム表面に形成された基材金属層と、該基材金属の表面に形成された導電性金属層とからなり、該配線パターンを構成する基材金属層が、該配線パターンを構成する導電性金属層よりも幅方向に突出して形成されていることを特徴としている。 【0015】 さらに、本発明のプリント配線基板は、上記導電性金属層が、マスキングパターンと略同一の形態を有しており、配線パターンと絶縁フィルムとは、導電性金属層からなる配線パターンの下端部および該配線パターンの周囲に導電性金属層から幅方向に突出して形成された基材金属層によって接合していることが好ましい。 【0016】 さらに、配線パターンを形成する絶縁フィルム表面側に基材金属が残存している場合には、この基材金属の露出面が不働態化されていることが好ましい。このように配線パターンの周囲にある基材金属層を不働態化することにより、この基材金属層の表面に形成されたメッキ層からはホイスカは発生しない。 【0017】 また、本発明の回路装置は、上記のプリント配線基板に、電子部品が実装されていることを特徴としている。 【発明の効果】 【0018】 本発明は、絶縁フィルムの表面に例えばスパッタリングなどにより、基材金属層(シード層あるいは第1金属層)を形成し、さらにこの基材金属層表面に、例えばメッキ法により銅などの導電性金属を析出させ、この導電性金属の表面にフォトレジストを塗布し、露光・現像して硬化したフォトレジストをマスキング材として銅箔を選択的にエッチングして所望の配線パターンを形成し、さらに絶縁フィルム表面に形成された基材金属層を形成する金属を溶解および/または不働態化可能なエッチング液を使用して処理することにより、線間に存在する基材金属層を形成する金属のほとんどを除去することができる工程と、線間に微量に残留する基材金属層形成金属および導電性金属層の周囲に輪郭状に張り出した基材金属層の表面を酸化し、それらの酸化皮膜で被覆された基材金属表面が高温高湿雰囲気中あるいは酸などの溶液中でもイオン化しないよう不働態化する工程からなり、これら処理によって、マイグレーションなどが著しく発生しにくく、絶縁抵抗値が高く、非常に信頼性の高いプリント配線基板を得ることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0019】 次に本発明のプリント配線基板について、製造方法に沿って具体的に説明する。 図1および図2は、本発明のプリント配線基板を製造する工程における基板の断面を示す図である。 【0020】 図1および図2に示すように、本発明のプリント配線基板の製造方法では、絶縁フィルムの少なくとも一方の面に形成された基材金属層12および導電性金属層20からなる金属層が形成されたフィルムを基材フィルムとして使用してこの表面に形成された金属層を選択的にエッチングして配線パターンを形成する。この金属層は、絶縁フィルムの一方の面に形成されていてもよいし、絶縁フィルムの両面に形成されていてもよい。 【0021】 以下、絶縁フィルムの一方の面に金属層が形成された例を示して本発明のプリント配線基板の製造方法を説明する。 図1(a)、図2(a)に示すように、本発明のプリント配線基板の製造方法では、絶縁フィルム11の少なくとも一方の表面に基材金属を析出させて、基材金属層13を形成する。本発明で使用する絶縁フィルム11としては、ポリイミドフィルム、ポリイミドアミドフィルム、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミドおよび液晶ポリマー等を挙げることできる。すなわち、これらの絶縁フィルム11は、基材金属層13を形成する際の熱によって変形することなく、また、エッチングの際に使用されるエッチング液、あるいは、洗浄の際に使用されるアルカリ溶液などに侵食されることがない程度に耐酸・耐アルカリ性を有し、さらに基材金属層13などを形成する際の加熱によって変形することがない程度の耐熱性を有している。こうした特性を有する絶縁フィルム11としては、ポリイミドフィルムが好ましい。 【0022】 このような絶縁フィルム11は、通常は7〜150μm、好ましくは7〜50μm、特に好ましくは15〜40μmの平均厚さを有している。本発明のプリント配線基板およびその製造方法は、薄い基板を形成するのに適しているので、より薄いポリイミドフィルムを使用することが好ましい。なお、このような絶縁フィルム11の表面は、下記の基材金属層13の密着性を向上させるために、ヒドラジン・KOH液などを用いた粗化処理、プラズマ処理などが施されていてもよい。 【0023】 このような絶縁フィルムの表面には、図1(b)および図2(b)に示すように、基材金属層13を形成する。この基材金属層13は、絶縁フィルム11の少なくとも一方の面に形成され、この基材金属層13の表面に形成される導電性金属層20と絶縁フィルム11との密着性を向上させるものである。 【0024】 このようなこの基材金属層13を形成する金属の例としては、銅、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、シリコン、パラジウム、チタン、バナジウム、鉄、コバルト、マンガン、アルミニウム、亜鉛、スズおよびタンタルなどを挙げることができる。これらの金属は単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらの金属の中でもニッケル、クロムまたはこれらの合金を用いて基材金属層13を形成することが好ましい。このような基材金属層13は、絶縁フィルム11の表面に蒸着法、スパッタリング法などの乾式の製膜法を使用して形成することが好ましい。このような基材金属層の厚さは、通常は、1〜100nm、好ましくは2〜50nmの範囲内にある。この基材金属層13は、この層の上に導電性金属層20を安定に形成するためのものであり、基材金属の一部が絶縁フィルム表面に物理的に食い込む程度の運動エネルギーを持って絶縁フィルムと衝突することにより形成されたものであることが好ましい。 【0025】 したがって、本発明では、基材金属層13は、上記のような基材金属のスパッタリング層であることが特に好ましい。 上記のように基材金属層13を形成した後、図1(c)に示すように、この基材金属層13の表面に直接、銅層などの導電性金属層20を形成する。この導電性金属層は、メッキ法、例えば電解メッキ法あるいは無電解メッキ法などにより形成することができる。 【0026】 なお、本発明では、この基材金属層13を形成し、この基材金属層13の表面に導電性金属層20を形成する前に、図1(c)に示すように、上記の基材金属層13の表面に直接形成される導電性金属層(例えば銅層)と同じ金属を用いて、基材金属層13を形成したのと同じ方法でスパッタリング銅層15を形成することができる。例えば基材金属層13をニッケルおよびクロムを用いたスパッタリング法で製造した場合には、その基材金属層13の表面に導電性金属層として形成される導電性金属層20の一部として、スパッタリングにより銅層15を形成し、こうして形成されたスッパッタリング銅層15の上にさらに導電性金属層20の残りの層17を形成することができる。このときのスパッタリング銅層15の厚さは、通常は10〜2000nm、好ましくは20〜500nmである。また、基材金属層13の平均厚さとスパッタリング銅層15との厚さとの比は、通常は1:20〜1:100、好ましくは1:25〜1:60の範囲内にある。 【0027】 上記のようにしてスパッタリング銅層15を形成した後、図1(d)に示すように、このスパッタリング銅層15の表面にさらに残りの導電性金属層を形成して導電性金属層20とする。ここでさらに積層される残りの導電性金属層(例:銅層あるいは銅合金層)は、図1(d)においては、付番17で示されている。 【0028】 この付番17の導電性金属層は、スパッタリング法、蒸着法などの方法で形成することも可能であるが、電解メッキ法あるいは無電解メッキ法などのメッキ法により形成することが好ましい。すなわち、このメッキ導電性金属層17には、配線パターンを形成するのに必要な厚さを有していることが必要であり、したがって電解メッキ法あるいは無電解メッキ法などのメッキ法により、効率よく導電性金属を析出させることができる。このようにして形成されるメッキ導電性金属層17の平均厚さは、通常は0.5〜40μm、好ましくは0.5〜17.5μm、さらに好ましくは1.5〜11.5μmの範囲内にあり、また、前述のスパッタリング銅層15とこのメッキ導電性金属層17との合計の厚さは通常は1〜40μm、好ましくは1〜18μm、さらに好ましくは2〜12μmの範囲内にある。なお、ここで形成されるスパッタリング銅層15とメッキ導電性金属層17とは、メッキ法により形成される導電性金属層が、メッキ銅層である場合には、メッキ導電性金属層17が形成された後は、その断面の構造から両者の境界を見出すのは極めて困難であり、本発明では、特に両者を区別して記載する必要のない場合には、両者を総合して導電性金属層20と記載する。 【0029】 このように導電性金属層20を形成した後、図1(e)および図2(e)に示すように、導電性金属層20の導電性金属の表面に感光性樹脂を塗布し、この感光性樹脂を露光現像して、感光性樹脂からなる所望のパターン22を形成する。ここで使用することができる感光樹脂としては、光が照射されることにより硬化するタイプの感光性樹脂を使用することもできるし、光の照射によって樹脂が軟化するタイプの感光性樹脂を使用することもできる。 【0030】 上記のようにして感光性樹脂を用いて形成されたパターン22をマスキング材として、図1(f)、図2(f)、図3、図4に示すように、導電性金属層20を選択的にエッチングして、所望の配線パターンを形成する。 【0031】 ここで使用するエッチング剤は、導電性金属、特に銅に対するエッチング剤であり、このような導電性金属エッチング剤の例としては、塩化第2鉄を主成分とするエッチング液、塩化第2銅を主成分とするエッチング液、硫酸+過酸化水素などのエッチング剤であり、このような導電性金属に対するエッチング剤は、導電性金属層20を優れた選択性でエッチングして配線パターンを形成することができるものであると共に、この導電性金属層20と絶縁フィルム11との間にある基材金属13に対してもかなりのエッチング機能を有している。従って、上記のような導電性金属エッチング剤を用いてエッチングを行うと、図1(f)および図2(f)、図3、図4に示されるように、基材金属層13を、数nm程度の極めて薄い層として絶縁フィルム11の表面に残存する程度にまでエッチングすることができる。すなわち、図3、図4に示すように、導電性金属から形成される配線パターン周囲では、基材金属層は、導電性金属の下とほぼ同じ厚さを有し、配線パターン間では、極薄層となっている。 【0032】 なお、配線パターンの形成の際に感光性樹脂を硬化させて形成された所望のパターン22は、上記のようにしてエッチング工程を経た後、次の処理工程においてマイクロエッチング処理を行う前に、例えば、アルカリ洗浄などにより除去される。 【0033】 本発明では、後述のようにして基材金属層13を所定の処理液で処理する前に、配線パターンを形成する導電性金属層20の表面や付番13で示す基材金属をエッチング(例えば酸洗)して、表面にある酸化物膜などを除去するマイクロエッチング(プチエッチング)を行うことが好ましい。 【0034】 このマイクロエッチングとしては、通常使用するエッチング液を使用可能であり、たとえば、過硫酸カリウム(K2S2O8)溶液、HCl溶液や、上述の配線パターンを形成する際に使用したエッチング液を使用することができる。しかしながら、エッチング液との接触時間が長いと配線パターンを形成する導電性金属である銅の溶出量が多くなり、配線パターン自体がやせ細ってしまうので、液温20〜60℃において、このマイクロエッチングにおけるエッチング液と配線パターンとの接触時間は、通常は2〜60秒間、好ましくは10〜45秒間程度である。 【0035】 本発明では、上記のようにして導電性金属20を選択的にエッチングした後、マイクロエッチングを行い、次いで、図1(g)、図2(g)、図5および図6に示すように、基材金属層13を形成する金属を溶解および/または不働態化可能な処理液で処理する。この基材金属層13は、上述のように、銅、ニッケル、クロム、モリブデン、チタン、バナジウム、鉄、コバルト、アルミニウム、亜鉛、スズおよびタンタルを単独であるいは組み合わせて使用することにより形成されている。本発明では、これらの金属を溶解あるいは不働態化可能な処理液で処理する。例えば基材金属層がニッケルおよびクロムを用いて形成されている場合には、ニッケルに対しては、例えば、各濃度5〜15重量%程度の硫酸・塩酸混合液を使用することができ、また、クロムに対しては、例えば、過マンガン酸カリウム+KOH水溶液、重クロム酸カリウム水溶液、過マンガン酸ナトリウム+NaOH水溶液を使用することができる。本発明において、過マンガン酸カリウム+KOH水溶液を使用する場合、過マンガン酸カリウムの濃度は通常は10〜60g/リットル、好ましくは25〜55g/リットルであり、KOHの濃度は、通常は10〜30g/リットルである。本発明において、上記のような液を用いた処理の処理温度は、通常は40〜70℃、処理時間は、通常は10〜60秒間である。 【0036】 このように本発明では、形成する基材金属層13に含有される金属に対応させて、これらの金属を溶解し得るエッチング液を使用し、このエッチング液は、これらの金属が微量に残存した場合において、これらの金属を不働態化することができる機能を有している。 【0037】 特に本発明では、この基材金属層13が少なくとも2種類の異なる金属で形成された合金層であるか、少なくとも2種類の異なる金属がそれぞれ独立に積層された積層体であるか、異なる金属からなる合金の積層体であることが好ましい。本発明において、基材金属層13を、例えば、ニッケルおよびクロムを用いて形成する場合、この基材金属層13がニッケルとクロムとの合金で形成されている層であるか、あるいは、ニッケル層とクロム層とからなる積層体であることが好ましい。 【0038】 このように基材金属層13を形成する金属に対応した処理液を用いることにより、図1(g)、図2(g)、図5、図6に示すように絶縁フィルム11上の基材金属層13は除去されるかあるいは不働態化される。したがって、この工程を経ることにより、形成された配線パターンがそれぞれ電気的に独立した状態になる。さらにこのように処理することにより配線パターンの絶縁フィルム11上に積層された基材金属層13の側端部23が不働態化するので、この基材金属層13の側端部23からのマイグレーションの発生を防止することができる。 【0039】 なお、ニッケルおよびクロムを含有する基材金属層13を処理するに際しては、ニッケルおよびクロムのいずれも不働態化させ、且つ配線パターン間(線間)に存在するクロム層を溶解しながら、かつ溶解されきれずにわずかに残存するクロムを不働態化することが好ましい。 【0040】 このようにして得られたプリント配線基板の配線パターンは、図7および図8に示すように、配線パターンの幅方向の断面における基材金属層13の上端部26が、導電性金属層20の下端部25からパターンの周囲に輪郭状に形成されている構造を有するようになる。すなわち、導電性金属層20はエッチングされるが、基材金属層13はエッチングされにくいので、形成された配線パターンの幅方向の断面において、導電性金属層20からなる配線パターンの下端部25の幅よりも、基材金属層13の上端部26の幅が大きくなる。このように基材金属層13の上端部26が、導電性金属層20よりも幅方向に張り出して形成されている。すなわち、配線パターンは、図7および図8に示すように、絶縁フィルム11の表面に基材金属層13と導電性金属層20とからなる配線パターンが形成されており、しかもこの配線パターンを形成する導電性金属層20の周囲を取り囲んで輪郭状になるように基材金属層13が導電性金属層20よりも張り出して形成されている。上述のように、導電性金属層は、マスキングパターンと略同一の形態を有しており、配線パターンと絶縁フィルムとは、導電性金属層からなる配線パターンの下端部およびこの配線パターンの周囲に導電性金属層から幅方向に突出して形成された基材金属層によって接合している。このように導電性金属層の下端部の周囲に導電性金属層から幅方向に突出する基材金属層を形成することにより、導電性金属層の導電性金属イオン(例えばCuイオン)が絶縁フィルム層に達するまでの距離が増大するし、また後述するスズメッキ層が導電性金属層と基材金属層との境界をより確実にシールするので、導電性金属イオンの絶縁フィルム表面への拡散が抑制されると考えられる。 【0041】 このような導電性金属層の幅方向に突出して形成され、不働態化された基材金属を形成することにより、このように輪郭状に形成された基材金属層13は不働態化された状態で残存している。このように配線パターンの周囲にある基材金属層を不働態化して残存させることにより、この不働態化された基材金属層の表面にスズメッキ層を形成しても、このメッキ層からのホイスカは発生せず、従って、本発明のプリント配線基板においては、こうした部分からのホイスカの成長による短絡は発生しない。 【0042】 このような断面構造を有する本発明のプリント配線基板において、基材金属層13の上端部の幅26が、導電性金属20の下端部の幅25に対して、通常は1.001倍〜1.5倍、好ましくは1.01倍〜1.25倍の範囲内になるようにすることにより、マイグレーションなどの発生を効果的に防止することができる。 【0043】 本発明のプリント配線基板には、上記のように絶縁フィルムの表面にスパッタリングなどにより形成された基材金属層と、この基材金属層を形成する金属とは特性の異なる金属から形成された導電性金属層(例:メッキ法により形成された銅層、あるいは、スパッタリング銅層とこの上に形成されたメッキ銅層)とが積層されてなり、この積層された導電性金属層を選択的にエッチングすることにより導電性金属層からなる配線パターンを形成し、次いでマイクロエッチング処理により、主として導電性金属層の表面を処理し、さらに、基材金属層を形成する金属を溶解および/または不働態化可能な処理液で処理することにより、配線パターン間に露出した基材金属層を形成する金属の大部分を溶解して除去し、さらにこうした処理によっても溶解されずに残存する極僅かな金属(例;クロム)を不働態化することにより形成されたものである。特に本発明のプリント配線基板では、基材金属層を複数の金属をスパッタリングすることにより形成し、こうして形成された基材金属層をエッチングするために、酸洗した後、酸洗によって除去されずに残存する基材金属層形成金属を例えば酸化性の処理液を用いて不働態化することにより、絶縁抵抗値が高く、また、短絡などが生じにくく、信頼性の高いプリント配線基板を得ることができるのである。 【0044】 特に本発明のプリント配線基板は、マイグレーションなどが発生しにくく、長時間電圧を印加し続けた後の絶縁抵抗と、電圧を印加する前の高い絶縁抵抗との間に実質的な変動が認められず、プリント配線基板として非常に高い信頼性を有する。 【0045】 本発明のプリント配線基板は、配線パターン(あるいはリード)の幅が30μm以下、好適には25〜5μmの幅の配線パターンを有し、またピッチ幅が50μm以下、好適には40〜10μmのピッチ幅を有するプリント配線基板に適している。このようなプリント配線基板には、プリント回路基板(PWB)、TAB(Tape Automated Bonding)テープ、COF(Chip On Film)、CSP(Chip Size Package)、BGA (Ball Grid Array)、μ−BGA(μ− Ball Grid Array)、FPC(Flexible Printed Circuit)などがある。また、上述の説明では、本発明のプリント配線基板は、絶縁フィルムの表面に配線パターンが形成されたものであったが、この配線パターンの一部に電子部品が実装されていてもよい。 【0046】 このようなプリント配線基板に、好適にはさらにソルダーレジスト層を形成し、端子部分をメッキ処理した後、電子部品を実装することにより回路基板が得られる。 なお、上記の配線パターンにはメッキ処理をすることができる。ここで採用されるメッキの例として、スズメッキ、金メッキ、ニッケル−金メッキ、ハンダメッキ、鉛フリーハンダメッキを挙げることができる。また、上記メッキ処理を行う場合、ソルダーレジストを塗布する前に配線パターンに薄いメッキ層を形成し、この薄いメッキ層の上にソルダーレジスト層を形成し、さらソルダーレジスト層から露出している接続端子に再びメッキ処理を施してもよい。こうしたメッキ層の厚さは、メッキの種類によって適宜選択することができるが、メッキ層の合計の厚さは、無電解スズメッキの場合、通常は0.2〜0.8μm、好ましくは0.3〜0.6μmの範囲内の厚さに設定される。 〔実施例〕 次の本発明のプリント配線基板およびその方法について、具体的に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。 【0047】 なお、以下に記載する実施例および比較例における絶縁抵抗値は全て恒温恒湿槽外における室温での測定値である。 【実施例1】 【0048】 平均厚さ75μmのポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、ユーピレックスS)の一方の表面を逆スパッタにより粗化処理した後、以下の条件でニッケル・クロム合金をスパッタリングして平均厚さ40nmのクロム・ニッケル合金層を形成して基材金属層とした。 【0049】 すなわち、スパッタリング条件を、75μm厚ポリイミドフィルムを100℃で3×10-5Paで10分間処理し、脱ガスした後100℃×0.5Paに設定してクロム・ニッケル合金のスパッタリングを行った。 【0050】 上記のようにして形成された基材金属層上に、さらに銅を100℃×0.5Paの条件でスパッタして平均厚さ300nmのスパッタリング銅層を形成した。 上記のようにして形成されたスパッタリング銅層の表面に、電気メッキ法により、銅を析出させて厚さ8μmの電解銅層(電気メッキ銅層)を形成した。 【0051】 こうして形成された導電性金属層である銅層の表面に感光性樹脂を塗布し、露光・現像して、配線ピッチが30μm(ライン幅;15μm、スペース幅;15μm)となるように櫛形電極のパターンを形成し、このパターンをマスキング材として、銅層を、HCl;100g/リットルを含む濃度12%の塩化第2銅エッチング液を用いて30秒間エッチングして配線パターンを製造した。 【0052】 マスキング材として使用した露光・現像された感光性樹脂からなるパターンを剥離した後、マイクロエッチング液としてK2S2O8+H2SO4溶液で30℃×10秒処理し、銅層の表面および基材金属層(Ni−Cr合金)の表面を酸洗した。 【0053】 次に、濃度40g/リットルの過マンガン酸カリウム+20g/リットルのKOHエッチング液を用いて、40℃×1分かけてNi−Cr合金張出部26を不働態化し、さらに線間に僅かに残存するクロムをできるだけ溶出すると共に、除去し切れなかったクロムを酸化クロムとして不働態化した。その後、引き続いて水洗した。 【0054】 さらに、0.5μm厚の無電解Snメッキを行い加熱して所定の純Sn層を形成した。こうして櫛形電極が形成されたプリント配線基板を85℃85%RHの条件で40Vの電圧を印加して1000時間導通試験(HHBT)を行った。この導通試験は促進試験であり、短絡が生ずるまでの時間、例えば絶縁抵抗値が1×108Ω未満になるまでの時間が1000時間に満たないものは、一般的な基板として使用することはできない。また、絶縁信頼試験前の絶縁抵抗は比較例に比較して高く、5×1014Ωであり、絶縁信頼性試験後に測定した絶縁抵抗は2×1014Ωであり、両者の間に電圧を印加したことに伴う絶縁抵抗の実質的な差は認められなかった。 【0055】 結果を表1に示す。 【実施例2】 【0056】 平均厚さ75μmのポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、ユーピレックスS)の一方の表面を逆スパッタにより粗化処理した後、以下の条件でニッケル・クロム合金をスパッタリングして平均厚さ40nmのクロム・ニッケル合金層を形成して基材金属層とした。 【0057】 すなわち、スパッタリング条件を、75μm厚ポリイミドフィルムを100℃で3×10-5Paで10分間処理し、脱ガスした後100℃×0.5Paに設定してクロム・ニッケル合金のスパッタリングを行った。 【0058】 上記のようにして形成された基材金属層の表面に、電気メッキ法により、銅を析出させて厚さ8μmの電解銅層(電気メッキ銅層)を形成した。 こうして形成された導電性金属層である銅層の表面に感光性樹脂を塗布し、露光・現像して、配線ピッチが30μm(ライン幅;15μm、スペース幅;15μm)になるように櫛形電極のパターンを形成し、このパターンをマスキング材として、銅層を、HCl;100g/リットルを含む濃度12%の塩化第2銅エッチング液を用いて30秒間エッチングして配線パターンを製造した。 【0059】 マスキング材として使用した露光・現像された感光性樹脂からなるパターンを剥離した後、マイクロエッチング液としてK2S2O8+H2SO4溶液で30℃×10秒処理し、銅層の表面および基材金属層(Ni−Cr合金)の表面を酸洗した。 【0060】 次に、濃度40g/リットルの過マンガン酸カリウム+20g/リットルのKOHエッチング液を用いて、40℃×1分かけてNi−Cr合金張出部26を不働態化し、さらに線間に僅かに残存するクロムをできるだけ溶出すると共に、除去し切れなかったクロムを酸化クロムとして不働態化した。 【0061】 上記のようにして形成された配線パターンの電子顕微鏡写真の一例を図7に示す。図8は、この図7に示される電子顕微鏡写真をトレースしたものであり、ポリイミドフィルムである絶縁フィルム11の表面に基材金属層13と導電性金属層20とからなる配線パターンが形成されており、この配線パターンの周囲に、基材金属層13が輪郭状に張り出して形成されており、この基材金属層13の表面は不働態化されている。 【0062】 こうして形成された配線パターンに、さらに、0.5μm厚の無電解Snメッキを行い加熱して所定の純Sn層を形成した。 こうして櫛形電極が形成されたプリント配線基板を85℃85%RHの条件で40Vの電圧を印加して1000時間導通試験(HHBT)を行った。また、絶縁信頼試験前の絶縁抵抗は高い値を示し、5×1014Ωであり、絶縁信頼性試験後に測定した絶縁抵抗は2×1014Ωであり、両者の間に電圧を印加したことに伴う絶縁抵抗の実質的な差は認められなかった。 【0063】 結果を表1に示す。 【実施例3】 【0064】 実施例1において、平均厚さ38μmのポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、ユーピレックスS)を使用し、ポリイミドフィルムの一方の表面を逆スパッタにより粗化処理した後、実施例1と同様にして、ニッケル・クロム合金をスパッタリングして平均厚さ30nmのクロム・ニッケル合金層(基材金属層)を形成して基材金属層とした。 【0065】 上記のようにして形成された基材金属層上に、実施例1と同様にして銅をスパッタリングして平均厚さ200nmのスパッタリング銅層を形成した。 上記のようにして形成されたスパッタリング銅層の表面に、電気メッキ法により、銅を析出させて厚さ8μmの電解銅層(導電性金属層)を形成した。 【0066】 こうして形成された電解銅層の表面に感光性樹脂を塗布し、露光・現像して、配線ピッチが30μmとなるように櫛形電極のパターンを形成し、このパターンをマスキング材として、銅層を、HCl;100g/リットルを含む濃度12%の塩化第2銅エッチング液を用いて30秒間エッチングして配線パターンを製造した。 【0067】 次いでマイクロエッチング液としてHCl溶液を使用して、40℃×15秒処理し、銅層の表面および基材金属層(Ni−Cr合金)の表面を酸洗した。 次に、濃度40g/リットルの過マンガン酸カリウム+20g/リットルのKOHエッチング液を用いて、40℃×1分かけてNi−Cr合金張出部26を不働態化し、さらに線間に僅かに残存するクロムをできるだけ溶出すると共に、除去し切れなかったクロムを酸化クロムとして不働態化した。 【0068】 さらに、0.5μm厚の無電解Snメッキを行い加熱して所定の純Sn層を形成した。こうして櫛形電極が形成されたプリント配線基板を85℃85%RHの条件で40Vの電圧を印加して1000時間導通試験を行った。また、絶縁信頼試験前の絶縁抵抗は比較例に比較して高く、7×1014Ωであり、絶縁信頼性試験後に測定した絶縁抵抗は9×1013Ωであり、両者の間に電圧を印加したことに伴う絶縁抵抗の実質的な差は認められなかった。 【0069】 結果を表1に示す。 【実施例4】 【0070】 実施例2において、平均厚さ38μmのポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、ユーピレックスS)を使用し、ポリイミドフィルムの一方の表面を逆スパッタにより粗化処理した後、実施例1と同様にして、ニッケル・クロム合金をスパッタリングして平均厚さ30nmのクロム・ニッケル合金層を形成して基材金属層とした。 【0071】 上記のようにして形成されたスパッタリング層の表面に、電気メッキ法により、銅を析出させて厚さ8μmの電解銅層(導電性金属層)を形成した。 こうして形成された電解銅層の表面に感光性樹脂を塗布し、露光・現像して、配線ピッチが30μmとなるように櫛形電極のパターンを形成し、このパターンをマスキング材として、銅層を、HCl;100g/リットルを含む濃度12%の塩化第2銅エッチング液を用いて30秒間エッチングして配線パターンを製造した。 【0072】 次いでマイクロエッチング液としてHCl溶液を使用して、40℃×15秒処理し、銅と基材金属層(Ni−Cr合金)を酸洗した。 次に、濃度40g/リットルの過マンガン酸カリウム+20g/リットルのKOHエッチング液を用いて、40℃×1分かけてNi−Cr合金張出部26を不働態化し、さらに線間に僅かに残存するクロムをできるだけ溶出すると共に、除去し切れなかったクロムを酸化クロムとして不働態化した。 【0073】 さらに、0.5μm厚の無電解Snメッキを行い加熱して所定の純Sn層を形成した。 こうして櫛形電極が形成されたプリント配線基板を85℃85%RHの条件で40Vの電圧を印加して1000時間導通試験を行った。また、絶縁信頼試験前の絶縁抵抗は比較例に比較して高く、7×1014Ωであり、絶縁信頼性試験後に測定した絶縁抵抗は7×1013Ωであり、両者の間に電圧を印加したことに伴う絶縁抵抗の実質的な差は認められなかった。 【0074】 結果を表1に示す。 〔比較例1〕 厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、商品名「カプトン100EN」の片面を、30%ヒドラジン−KOH水溶液中で60秒間処理した。その後、純水で10分間洗浄し室温で乾燥させた。このポリイミドフィルムを、真空蒸着装置に設置し、プラズマ処理後、スパッタリングにてNi・Cr合金を40nm蒸着し、さらに、メッキ法で銅を8μm成膜して金属被覆ポリイミド基板を得た。 【0075】 得られた基板を塩化第2鉄溶液40°Be(ボーメ)を用いて40μmピッチ(ライン幅20μm、スペース幅20μm)の櫛形パターンを形成し、35℃の過マンガン酸カリウム0.5重量%、水酸化カリウム0.5重量%水溶液で洗浄後、水洗、乾燥し、85℃85%RH雰囲気の恒温恒湿槽内で、サンプルに40Vのバイアスをかけて絶縁信頼性試験(HHBT)を行ったところ、保持時間は1000時間以上であり、絶縁信頼性試験開始時の絶縁抵抗は、5×1012Ωであったが、1000時間経過後の絶縁抵抗は、2×1010Ωに低下しており、長時間電圧を印加することにより経時的に絶縁抵抗の低下が見られた。 〔比較例2〕 実施例1において、平均厚さ38μmのポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、ユーピレックスS)を使用し、ポリイミドフィルムの一方の表面を逆スパッタにより粗化処理した後、実施例1と同様にして、ニッケル・クロム合金をスパッタリングして平均厚さ30nmのクロム・ニッケル合金層を形成して基材金属層とした。 【0076】 上記のようにして形成された基材金属層上に、実施例1と同様にして、銅をスパッタして平均厚さ200nmのスパッタリング銅層を形成した。 上記のようにして形成されたスパッタリング銅層の表面に、電気メッキ法により、銅を析出させて厚さ8μmの電解銅層を形成した。 【0077】 こうして形成された銅層の表面に感光性樹脂を塗布し、露光・現像して、配線ピッチが30μmとなるように櫛形電極のパターンを形成し、このパターンをマスキング材として、銅層を、HCl;100g/リットルを含む濃度12%の塩化第2銅エッチング液を用いて30秒間エッチングして配線パターンを製造した。 【0078】 次いでプチエッチング液としてK2S2O8+H2SO4溶液を用いて30℃×10秒間エッチングして銅パターンと、Ni−Crからなる基材金属層張出部を酸洗した。 さらに、0.5μm厚のSnメッキを行い加熱して所定の純Sn層を形成した。 【0079】 こうして櫛形電極が形成されたプリント配線基板を85℃85%RHの条件で40Vの電圧を印加して導通試験を行った。絶縁信頼試験前の絶縁抵抗は2×108Ωであったが、10時間後に測定した絶縁抵抗は5×106Ωに低下していた。 【0080】 結果を表1に示す。 【0081】 【表1】
【産業上の利用可能性】 【0082】 上記のように本発明のプリント配線基板は、絶縁フィルムの表面に形成された基材金属層が、この基材金属層の上に形成される導電性金属層とは別の処理がなされているので、この部分からマイグレーションなどが発生しにくく、形成された配線パターン間で長期間安定した絶縁状態が維持される。 【0083】 また、長時間電圧を印加し続けることによっても配線パターン間の絶縁抵抗は変動せず、経時的に見て電気的に非常に安定したプリント配線基板が得られる。 【図面の簡単な説明】 【0084】 【図1】図1は、本発明のプリント配線基板を製造する工程における基板の断面を示す図である。 【図2】図2は、本発明のプリント配線基板を製造する工程における基板の断面を示す図である。 【図3】図3は、銅層を選択的にエッチングして、所望の配線パターンを形成した際の図である。 【図4】図4は、銅層を選択的にエッチングして、所望の配線パターンを形成した際の図である。 【図5】図5は、基材金属層を除去した後、マイクロエッチングをした際の配線パターンの断面図である。 【図6】図6は、基材金属層を除去した後、マイクロエッチングをした際の配線パターンの断面図である。 【図7】図7は、本発明のプリント配線基板に形成された配線パターンのSEM写真である。 【図8】図8は、図7に示したSEM写真を説明するための説明図である。 【符号の説明】 【0085】 11・・・絶縁フィルム 13・・・基材金属層(第1金属層、シード層) 15・・・スパッタリング銅層 17・・・メッキ導電性金属層(残りの導電性金属層) 20・・・導電性金属層(銅層) 22・・・感光性樹脂からなる所望のパターン 23・・・基材金属層の側部 25・・・基材金属層の下端部 26・・・基材金属層の上端部(Ni、Cr合金張出し部)
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006183 【氏名又は名称】三井金属鉱業株式会社
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| 【出願日】 |
平成19年9月3日(2007.9.3) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081994 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴木 俊一郎
【識別番号】100103218 【弁理士】 【氏名又は名称】牧村 浩次
【識別番号】100107043 【弁理士】 【氏名又は名称】高畑 ちより
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| 【公開番号】 |
特開2008−4959(P2008−4959A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月10日(2008.1.10) |
| 【出願番号】 |
特願2007−227958(P2007−227958) |
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