| 【発明の名称】 |
多層プリント配線板の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】守屋 英紀
【氏名】鶴崎 幸司
【氏名】中尾 知
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| 【要約】 |
【課題】製造工程数が少なく生産性に優れるとともに、不良が発生しにくい構造の多層プリント配線板およびその製造方法を提供する。
【構成】フレキシブルプリント配線板10の片面または両面に、表層となるプリント配線板20が1つ以上積層されてなる多層プリント配線板30において、表層のプリント配線板20にレーザ加工により折り曲げ用の溝24を形成することにより、屈曲部の柔軟性を確保する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 フレキシブルプリント配線板の片面または両面に、表層となるプリント配線板が1つ以上積層されてなる多層プリント配線板の製造方法であって、 前記フレキシブルプリント配線板の片面または両面に前記表層のプリント配線板を積層したのち、前記表層のプリント配線板にレーザ加工により折り曲げ用の溝を形成することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。 【請求項2】 前記表層のプリント配線板の回路形成のとき、同時に前記折り曲げ用の溝が形成される部分およびその近傍の導体層を除去し、当該部分に露出された前記表層のプリント配線板の基材の絶縁材料層に対するレーザ加工により折り曲げ用の溝を形成することを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。 【請求項3】 前記レーザ加工において、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ、ヘリウム・ネオンレーザ、X線レーザから選ばれるいずれかのレーザを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の多層プリント配線板の製造方法。 【請求項4】 前記折り曲げ用の溝の断面形状は、表層のプリント配線板の絶縁材料層の表面に近いほど幅が広くなる形状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、フレキシブルプリント配線板(以下、FPCと称する。)を用いた多層プリント配線板の製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 近年の電子機器は小型化・軽量化が進み、これに伴い搭載されるプリント配線板においても小型化・高密度実装化が要求されている。これらの要求に応えるプリント配線板として、図7に示すように、剛性が高く部品実装可能な多層部62と、折り曲げ可能な屈曲部61が一体化した多層プリント配線板60が用いられている。しかし多層プリント配線板は製造工程が多くかつ煩雑であることから、高価となる場合が多い。 【0003】 従来技術としては、図8、図9に示すように、表層基板50の絶縁材料層51について屈曲部61と重なる箇所の端縁にあらかじめ切り込み54を形成しておき(図9(b)参照)、開口55を設けた接着材53(図9(d)参照)と位置合わせしてラミネート(図9(e)参照)した後にFPC40と積層し(図8(b)、(c)参照)、最終工程で前記の屈曲部61と重なる部分56(図8(d)参照)を除去して多層プリント配線板60の屈曲部61を露出させる(図8(e)参照)という製造方法がある(例えば、特許文献1、2参照)。この製造方法では、製造工程の途中で屈曲部が表層基板に覆われ、露出しないため、屈曲部を裂けやキズ等から保護することができ、とりわけ屈曲部先端にコネクタ端子接続用の銅箔が露出しているフライングテール構造の場合、特に有効である。加えて製造工程中、基板表面の凹凸が低減されているため、回路形成時の不具合(レジスト浮きや破れ等)を防止することができる。 【特許文献1】特開平10−224037号公報 【特許文献2】特開平10−290074号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら上述の従来技術では、(1)表層基板の切り込み加工、(2)接着材の開口加工、(3)表層基板と接着材の位置合わせラミネート、(4)屈曲部と重なる箇所の表層基板の除去の各工程を実施する必要があるため、製造工程数が増えるという欠点がある。さらに、回路形成やメッキ等のウエットプロセスにおいて、表層基板50の切り込み54を通じて薬液が基板間の隙間に浸入し、さらにその後の工程で当該隙間から薬液が垂れ出ること等により、基板の表面が汚染されて不良が発生しやすいという問題点がある。このため、図11に示すように、表層基板50の切り込み54を塞ぐように接着材53を屈曲部上に突き出させて基板間の隙間55に薬液が浸入しにくくするということが行われている。しかし図11に示す接着材突き出し量Tが小さすぎると、切り込み54と基板間の隙間55とがつながる箇所が生じて薬液の浸入を防げないことがある。また、接着材突き出し量Tが大きすぎると、表層基板50の屈曲部61と重なる部分56の剥離除去に支障が生じるおそれがある。このため、表層基板50の切り込み54と接着材53の開口55とを正確に位置合わせし、かつ前記接着材突き出し量Tを適切な範囲に制御することが望まれる。しかし、上記の(3)表層基板と接着材の位置合わせラミネートの工程において表層基板50の切り込み54と接着材53の開口55との位置を正確に合わせることが難しく、かつ、FPC40と積層する際のキュア(加熱・加圧)時に接着材53が流動して前記接着材突き出し量Tを厳密に制御することは困難である。このため、品質のバラツキが大きくなり、不良の増加や歩留まりの低下などの問題点がある。 【0005】 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製造工程数が少なく生産性に優れるとともに、不良が発生しにくい構造の多層プリント配線板の製造方法を提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 前記課題を解決するため、本発明は、フレキシブルプリント配線板の片面または両面に、表層となるプリント配線板が1つ以上積層されてなる多層プリント配線板の製造方法であって、前記フレキシブルプリント配線板の片面または両面に前記表層のプリント配線板を積層したのち、前記表層のプリント配線板にレーザ加工により折り曲げ用の溝を形成することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法を提供する。 前記表層のプリント配線板の回路形成のとき、同時に前記折り曲げ用の溝が形成される部分およびその近傍の導体層を除去し、当該部分に露出された前記表層のプリント配線板の基材の絶縁材料層に対するレーザ加工により折り曲げ用の溝を形成することが好ましい。 前記レーザ加工において、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ、ヘリウム・ネオンレーザ、X線レーザから選ばれるいずれかのレーザを用いることが好ましい。 【発明の効果】 【0007】 本発明によれば、積層工程の前に表層となるプリント配線板の切り込み加工や層間接着材の開口加工が不要であり、表層プリント配線板と接着材とのラミネートの際、位置合わせが容易である。また、従来技術において問題であった、切り込みに対する接着材開口の位置ずれや接着材突き出し量Tの変動に由来する品質のバラツキを解消することができる。その結果、製品の品質のバラツキを低減でき、品質向上(品質の均一化)に寄与することができる。 このように、本発明では、製造工程数が少なく生産性に優れるとともに、不良が発生しにくく、歩留まりを向上することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 本発明では、表層プリント配線板の回路形成やメッキ等のウエットプロセスが完了するまでは、薬液が基板間の隙間に浸入しないようにするため、表層のプリント配線板には切り込み等の加工を行わないことが重要であると考え、積層後の多層プリント配線板にレーザ加工によって折り曲げの溝を形成するようにした。これにより、屈曲部の柔軟性が確保され、多層プリント配線板として優れた機能を発揮することができる。 また、ウエットプロセスで用いる薬液が基板間の隙間に浸入することがなく、ウエットプロセスの後で隙間に浸入した薬液の垂れ出しによる基板汚染、外観不良を防止できる。また、屈曲部において表層のプリント配線板を剥離除去する工程がないため、屈曲部の裂けによる不良も防止することができる。 【0009】 以下、最良の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。 図1(a)〜(e)は、本発明の多層プリント配線板の製造方法の概略を工程順に示す断面図である。図2(a)〜(c)は、図1に示す製造方法で用いられる表層のプリント配線板の作製工程を工程順に示す断面図である。 【0010】 図1(a)は、フレキシブルプリント配線板(FPC)10である。図に例示したFPC10の場合は、基材となる絶縁材料層11の両面に銅箔等の導体層12、12が積層されている両面銅張積層板13を材料として用いて作製され、かつ、導体層12から形成された回路を保護するため、回路上にカバーレイ(CL)14が加熱・加圧によりラミネートされている。ここで用いたカバーレイ14は、絶縁材料層15の片面に接着剤層16を設けたものである。 【0011】 本発明においてFPC10を構成する材料としては、フレキシブル配線板の材料として使用できるものであれば、特に限定されない。例えばFPCの材料となる銅張積層板(CCL)は、導体層を両面に有するものでもよく、片面に有するものでもよい。CCLおよびCLの絶縁材料層11,15としては、FPC10の基材として適度な屈曲性・柔軟性を有するものであれば良い。絶縁材料層11,15を構成する絶縁材料の例としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アラミド樹脂等が挙げられる。また、接着剤層16を構成する接着剤の例としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。しかし使用可能な材料は、これらの例示の範囲に特に限定されるものではない。CLフィルムに代えて、絶縁材料のコーティングを適用しても良い。 【0012】 本発明における多層プリント配線板は、図1(b)に示すように、FPC10の片面または両面に、表層となるプリント配線板20が1つ以上積層されることにより、多層化される。図に示す例の場合、表層プリント配線板20として、基材となる絶縁材料層21に銅箔等の導体層22が積層されたCCL(図2(a)参照)が用いられ、接着シート等などの接着材23(図2(b)参照)をラミネートしたもの(図2(c)参照)をFPC10と重ね合わせ、貼着することによって図1(c)に示すような多層プリント配線板を得る。 【0013】 表層プリント配線板20の材料となるCCLは、軟質(フレキシブル)なものでも硬質(リジッド)なものでもよい。絶縁材料層21を構成する絶縁材料の例としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アラミド樹脂、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。しかし使用可能な材料は、これらの例示の範囲に特に限定されるものではなく、絶縁性を有し、かつレーザ加工(詳しくは後述)が可能な材料であれば、例示した以外の材料を用いても良い。 【0014】 本発明では、表層のプリント配線板20の導体層22の回路形成は、FPC10との積層後に行うことができる。この回路形成やメッキ等のウエットプロセスを行うとき、表層のプリント配線板20の絶縁材料層21には切り込みなどの加工がなされておらず、FPC10と表層のプリント配線板20とが全面的に密着している。ウエットプロセスで用いられる薬液が浸入しうる隙間がないので、プリント配線板を薬液から取り出した後に所要の洗浄を行うことにより、薬液を完全に除去することができる。従って、薬液が隙間に残留したり、またその後の工程で薬液が垂れ出て配線板等を汚染するという問題が発生しない。 【0015】 図1(d)に示すように、表層のプリント配線板20の導体層22の回路形成のとき同時に、レーザ溝加工をする部分の導体層22もあわせて除去することができる。レーザ溝加工をする部分の絶縁材料層21を露出させるためには、当該部分の導体層22の除去を回路形成とは別工程で行うことも可能ではあるが、同時に行うことで工程数を少なくすることができる。 【0016】 そして本発明では、図1(e)に示すように、レーザを用いて折り曲げ用の溝24を形成する。表層のプリント配線板20の絶縁材料層21に溝24を設けることにより、この溝24の位置で多層プリント配線板30を屈曲しやすくなり、1枚のFPC10に匹敵する柔軟性を確保することができる。 多層プリント配線板30の製造過程においては、導体層22の除去により露出された絶縁材料層21に対してレーザ照射を行うことにより、容易かつ確実な溝加工が可能である。また、多層プリント配線板30の使用時においては、折り曲げ用の溝24の内部および近傍では表層プリント配線板20の導体層22が除去されて絶縁材料層21が露出されていることにより、溝24を中心とした屈曲の際、導体層22に屈曲による応力が生じにくく、回路への負荷を軽減できる。 【0017】 レーザ加工に用いるレーザとしては、例えば炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ、ヘリウム・ネオンレーザ、X線レーザ等が挙げられる。使用される絶縁材料層21の溝加工が可能であれば、例示した以外のレーザを用いても良い。 【0018】 折り曲げ用の溝24は、外形加工後に表層プリント配線板20の絶縁材料層21が溝24で分断されるように、深さ方向では絶縁材料層21を貫通して接着材23に達しており、長さ方向(図1(e)では紙面に垂直な方向)では溝24の両端が外形加工後のプリント配線板30の端縁まで達する範囲で形成することが好ましい。絶縁材料層21がフレキシブルである場合には、溝24は絶縁材料層21の厚さを局所的に薄くしたものでもよく、また溝24の両端がプリント配線板30の端縁まで達していなくてもよい。 【0019】 折り曲げ用の溝24の幅は、折り曲げたときに折り曲げ用の溝24の左右が突き当たる(溝24が閉じる)と屈曲しにくくなるので、適当な幅を確保する。図5に示すように複数の溝24を形成する(各溝24の長さ方向は互いに平行にする)と、溝1本当りの屈曲角度が小さくても、全体で大きな屈曲が得やすくなるので好ましい。 【0020】 折り曲げ用の溝24の断面形状は、特に規定されるものではないが、例えば半円状、半楕円状、V字状、U字状、矩形状、台形状等が挙げられる。図1(e)に示すように、溝24の断面形状は、絶縁材料層21の表面(FPC10の反対側の面)に近いほど幅が広くなる形状であると、レーザ加工がしやすくかつ屈曲性の向上の点で優れるので好ましい。 【0021】 図1に示す例では、表層のプリント配線板20について、導体層22の回路形成の後に絶縁材料層21に対するレーザ溝加工を行うようにしている。しかし折り曲げ用の溝24の形成は、FPC10と表層のプリント配線板20との積層工程の後であれば、任意の時間的順序で行うことができる。例えば、折り曲げ用の溝24の形成後に導体層22の回路形成を行う場合でも、折り曲げ用の溝24は絶縁材料層21の表面に開放されているので、ウエットプロセスで使用する薬液が折り曲げ用の溝24内に入っても当該プロセス後に容易に洗浄・除去することができる。よって薬液の残留がなく、薬液による汚染を防止できる。 【0022】 折り曲げ用の溝24を形成する工程において、絶縁材料層21に対する他の加工、例えば層間導通用の貫通穴や開口穴の形成、外形加工などをあわせて行うこともできる。上述したように、折り曲げ用の溝24には薬液が残留するという問題がないので、折り曲げ用の溝24を形成した後で、層間導通のため貫通穴にメッキを施す工程などが必要な場合であっても、ウエットプロセスを問題なく適用することができる。 【0023】 以上説明したように、本形態例の多層プリント配線板およびその製造方法によれば、積層工程の前に、表層となるプリント配線板の切り込み加工や層間接着材の開口加工が不要であり、表層プリント配線板と接着材とのラミネートの際、位置合わせが容易である。また、従来技術において問題であった、切り込みに対する接着材開口の位置ずれや接着材突き出し量Tの変動に由来する品質のバラツキを解消することができる。その結果、製品の品質のバラツキを低減でき、品質向上(品質の均一化)に寄与することができる。 屈曲部において表層のプリント配線板を剥離除去する従来技術と異なり、積層工程において、表層のプリント配線板をFPCと完全に密着させて積層することができるので、表層の回路形成やメッキ等のウエットプロセスにおいて薬液が基板間の隙間に浸入することがない。このため、その後の工程で不用意に薬液が基板の表面に垂れ出て基板の汚染や不良の発生の原因となることを根本的に防止することができる。 屈曲部の折り曲げを容易にするための加工がレーザによる溝加工であるため、屈曲部の裂けが起こりにくい。すなわち、屈曲部上の表層プリント配線板の剥離除去を行う従来技術では、剥離除去の際に屈曲部の裂けによる不良が問題であったが、本発明では、このような問題の発生を防止できる。 これらの効果により、製造工程数が少なく生産性に優れるとともに、不良が発生しにくく、歩留まりを向上することができる。 【実施例】 【0024】 以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。 【0025】 <試験例1;3層フレキシブル配線板> 下記のとおり、両面CCLから作製したFPCの片面に、表層となる片面CCLを積層して、3層フレキシブル配線板を製造した。製造は、実施例では、本発明の製造方法により、また、比較例では、表層の絶縁層に加工をしない方法(比較例A)と従来技術の製造方法(比較例B)により行った。 【0026】 ○設計値 ・外形サイズ;120×10mm ・多層部サイズ;40×10mm(左右両端部、表層の配線板は片面のみ) ・屈曲部のライン/スペース;100μm/100μm ・屈曲部のライン本数;10本 【0027】 ○使用材料 ・両面CCL;両面銅箔18μm厚、ポリイミド25μm厚 ・CL;ポリイミド25μm厚、接着剤25μm厚 ・片面CCL;片面銅箔18μm厚、ポリイミド25μm厚 ・接着材;エポキシ系接着シート25μm厚 【0028】 ○実施例に係る3層フレキシブル配線板の作製手順(図1、図2、図3参照) (1)両面CCL13の回路形成後、回路形成面にCL14をラミネートし、所定の条件で加熱・加圧(キュア)してFPC10を作製する。 (2)片面CCL20のポリイミド面に接着材23をラミネートする。 (3)(1)で作製したFPC10の片面に(2)をラミネートした後、所定の条件で加熱・加圧する。 (4)表層の銅箔22にエッチングにより回路形成を行う。このとき、レーザ溝加工をする部分の銅箔22の除去もあわせて行う。 (5)屈曲部31のポリイミド21面にレーザで溝24の加工を行う。 (6)金型打ち抜きにより3層フレキシブル配線板30Aの外形加工を行う。 【0029】 ○レーザ溝加工条件 実施例の工程(5)のレーザ溝加工は、以下の加工条件に従って実施した。 ・装置;LC−2G(炭酸ガスレーザ、日立ビアメカニクス製) ・レーザ照射条件 パルス幅;10μs、エネルギ;9.0mJ、ショット数;5回 折り曲げ用の溝24の形成本数は、1列、3列または10列とする。複数列の溝24を形成する場合、図5(a)に示すように、溝24の間には、隣接する溝が接しない程度の所定の間隔を設ける。 それぞれの溝24は、溝の長さ方向(図3(a)の上下方向)に沿って50μm間隔でレーザを照射し、レーザ照射位置を中心にしてポリイミド21および接着材23の一部を除去した凹部を連続させることにより、形成する。 【0030】 ○比較例Aに係る3層フレキシブル配線板の作製手順 工程(5)のレーザ溝加工を省略した他は、実施例に係る3層フレキシブル配線板の作製手順と同様である。 【0031】 ○比較例Bに係る3層フレキシブル配線板の作製手順(図8、図9、図10参照) (1)両面CCL43の銅箔42の回路形成後、回路形成面に接着剤層46を向けてCL44をラミネートし、所定の条件で加熱・加圧(キュア)してFPC40を作製する。 (2)片面CCL50の屈曲部と多層部の境界部となる箇所に、NCルータ機で切り込み加工を行い、絶縁材料層51を厚さ方向に貫通する2本の切り込み54を形成する。 (3)接着材53の屈曲部と重なり合う箇所に、NCルータ機で開口加工を行い、開口55を形成する。 (4)(2)の片面CCL50のポリイミド面に(3)の接着材をラミネートする。 (5)(1)で作製したFPC40の片面に(4)をラミネートした後、所定の条件で加熱・加圧する。 (6)表層の銅箔52にエッチングにより回路形成を行う。 (7)金型打ち抜きにより3層フレキシブル配線板60Aの外形加工を行う。 (8)片面CCL50の屈曲部61上を覆う部分56を剥離除去する。 【0032】 ○接着材開口加工条件 回路形成やメッキ等のウエットプロセスにおいて表層の片面CCL50の切り込み54を通じて薬液が接着材開口55による基板間の隙間に浸入すると、その後の工程で隙間に溜まった薬液が垂れ出て基板表面が汚染され、外観不良となる。これを防止するため、表層の片面CCL50の切り込み54を塞ぐように、図11(接着材突き出し量T>0の場合を示す。)に示すように接着材53を屈曲部61上に突き出させる。 接着材突き出し量;0.0mm、0.2mm、0.5mm、1.0mm 【0033】 作製したプリント配線板は、以下の方法で評価した。 【0034】 ○折り曲げ強度 図6に示すように、SUS製固定ブロック71にサンプル配線板72を固定し(このとき表層の片面CCLを積層した面を上向きにし、かつ固定ブロック71の角に配線板72の中央が当たるようにする。)、万能引張試験機(STM−20、東洋ボールウィン製)を取り付けたSUS製押し込みブロック73を押し込み速度5mm/分で下方に押し込んだときの最大荷重を測定した。固定ブロック71と押し込みブロック73との隙間Sは1.0mmとした。また、荷重の検出器としては、プッシュプル測定器(愛甲エンジニアリング製)を用いた。 【0035】 ○折り曲げ耐性試験後導通抵抗値 [屈曲部を180°折り曲げ⇒折り曲げた屈曲部をローラ加圧⇒屈曲部を元に戻す⇒屈曲部をローラ加圧]を1サイクルとし、100サイクル後の配線板サンプルにおける屈曲部の回路の両端の導通抵抗値を測定した。 180°折り曲げは、表層の片面CCLが折り曲げ時に外側となるものとした。また、ローラ加圧は、サンプル配線板の表面に0.49N/mm2の荷重が掛かるよう、屈曲部の折り曲げ箇所の上でゴムローラを移動させ加圧した。 【0036】 ○実施結果 結果を表1に示す。 なお、表1に示す折り曲げ強度の評価結果は、サンプル数n=10とした最大荷重測定値の平均値およびバラツキの大きさ(3σ)である。表1に示す折り曲げ耐性試験後導通抵抗値の評価結果は、サンプル数n=10とした導通抵抗値の平均値およびバラツキの大きさ(3σ)である。 【0037】 【表1】
【0038】 折り曲げ強度および折り曲げ耐性試験後導通抵抗値のバラツキ(3σ)は、「切り込みから剥離除去」の従来技術に従って製造したサンプルと比べて本発明の製造方法に従って製造した実施例のサンプルの方が小さく、本発明によれば品質のバラツキを低減できることが確認できた。これは、本発明の製造方法によれば、接着材の開口形成や表層CCLの切り込み加工や剥離除去の工程がないため、従来技術において問題であった、切り込みに対する接着材開口の位置ずれや接着材突き出し量Tの変動に由来する品質のバラツキを解消できたからと考えられる。 【0039】 実施例のサンプルの折曲げ強度は、屈曲部上で表層CCLを除去した比較例Bのサンプルの折曲げ強度と同等であり、本発明によって十分な柔軟性を有する屈曲部を形成することができることが明らかとなった。レーザ溝加工も屈曲部の表層CCLの剥離除去もしない、比較例Aのサンプルでは、屈曲部においても表層CCLが1層分積層されているため、折り曲げ強度が比較例Bの約1.4倍となり、柔軟性が劣る結果となった。このことから、屈曲部で表層CCLを剥離除去することなしに十分な柔軟性を得るためには、屈曲部において少なくとも1列のレーザ溝加工が必要であることを確認した。 また、実施例のサンプルの折り曲げ耐性試験後導通抵抗値は、従来技術である比較例Bのサンプルと同等であり、本発明によって作製した3層FPCの屈曲部は、従来技術と同等の折り曲げ耐性を有することが明らかとなった。 【0040】 <試験例2;4層フレキシブル配線板> 下記のとおり、両面CCLから作製したFPCの両側にそれぞれ片面FPCを積層して4層フレキシブル配線板を製造した。製造は、実施例では、本発明の製造方法により、また、比較例では、表層の絶縁層に加工をしない方法(比較例A)と、従来技術の製造方法(比較例B)により行った。 【0041】 ○設計値 ・外形サイズ;120×10mm ・多層部サイズ;40×10mm(左右両端部、外層は両面とも) ・屈曲部のライン/スペース;100μm/100μm ・屈曲部のライン本数;10本 【0042】 ○使用材料 ・両面CCL;両面銅箔18μm厚、ポリイミド25μm厚 ・CL;ポリイミド25μm厚、接着剤25μm厚 ・片面CCL;片面銅箔18μm厚、ポリイミド25μm厚 ・接着材;エポキシ系接着シート25μm厚 【0043】 ○実施例に係る4層フレキシブル配線板の作製手順(図1、図2、図4参照) (1)両面CCL13の回路形成後、回路形成面にCL14をラミネートし、所定の条件で加熱・加圧(キュア)してFPC10を作製する。 (2)片面CCL20のポリイミド面に接着材23をラミネートする。 (3)(1)で作製したFPC10の両面にそれぞれ(2)をラミネートした後、所定の条件で加熱・加圧する。 (4)表層の銅箔22にエッチングにより回路形成を行う。このとき、レーザ溝加工をする部分の銅箔22の除去もあわせて行う。 (5)屈曲部31のポリイミド21面にレーザで溝24の加工を行う。 (6)金型打ち抜きにより4層フレキシブル配線板30Bの外形加工を行う。 【0044】 ○レーザ溝加工条件 試験例2の実施例におけるレーザ溝加工条件は、試験例1と同じである。 折り曲げ用の溝24の形成本数は、1列、3列または10列とする。複数列の溝24を形成する場合、図5(b)に示すように、溝24の間には、隣接する溝が接しない程度の所定の間隔を設ける。 【0045】 ○比較例Aに係る4層フレキシブル配線板の作製手順 工程(5)のレーザ溝加工を省略した他は、実施例に係る4層フレキシブル配線板の作製手順と同様である。 【0046】 ○比較例Bに係る4層フレキシブル配線板の作製手順(図8、図9、図12参照) (1)両面CCL43の銅箔42の回路形成後、回路形成面に接着剤層46を向けてCL44をラミネートし、所定の条件で加熱・加圧(キュア)してFPC40を作製する。 (2)片面CCL50の屈曲部と多層部の境界部となる箇所に、NCルータ機で切り込み加工を行い、それぞれの絶縁材料層51について厚さ方向に貫通する2本の切り込み54を形成する。 (3)接着材53の屈曲部と重なり合う箇所に、NCルータ機で開口加工を行い、開口55を形成する。 (4)(2)の片面CCL50のポリイミド面に(3)の接着材をラミネートする。 (5)(1)で作製したFPC40の両面にそれぞれ(4)をラミネートした後、所定の条件で加熱・加圧する。 (6)表層の銅箔52にエッチングにより回路形成を行う。 (7)金型打ち抜きにより4層フレキシブル配線板60Bの外形加工を行う。 (8)片面CCL50の屈曲部61上を覆う部分56を剥離除去する。 【0047】 ○接着材開口加工条件 試験例2の比較例Bにおける接着材開口加工条件は、試験例1の比較例Bと同じである。 接着材突き出し量;0.0mm、0.2mm、0.5mm、1.0mm 【0048】 作製した4層プリント配線板は、試験例1の3層プリント配線板の評価方法と同様に、折り曲げ強度と折り曲げ耐性試験後導通抵抗値で評価した。ただし、4層プリント配線板の場合、表層CCLはサンプル配線板の両面に積層されているので、折り曲げ強度および折り曲げ耐性試験後導通抵抗値の評価において、配線板の裏表は特に区別せずに評価を行った。 【0049】 ○実施結果 結果を表2に示す。 なお、表2に示す折り曲げ強度の評価結果は、サンプル数n=10とした最大荷重測定値の平均値およびバラツキの大きさ(3σ)である。表2に示す折り曲げ耐性試験後導通抵抗値の評価結果は、サンプル数n=10とした導通抵抗値の平均値およびバラツキの大きさ(3σ)である。 【0050】 【表2】
【0051】 折り曲げ強度および折り曲げ耐性試験後導通抵抗値のバラツキ(3σ)は、「切り込みから剥離除去」の従来技術に従って製造したサンプルと比べて本発明の製造方法に従って製造した実施例のサンプルの方が小さく、本発明によれば品質のバラツキを低減できることが確認できた。これは、本発明の製造方法によれば、接着材の開口形成や表層CCLの切り込み加工や剥離除去の工程がないため、従来技術において問題であった、切り込みに対する接着材開口の位置ずれや接着材突き出し量Tの変動に由来する品質のバラツキを解消できたからと考えられる。 【0052】 実施例のサンプルの折曲げ強度は、屈曲部上で表層CCLを除去した比較例Bのサンプルの折曲げ強度と同等であり、本発明によって十分な柔軟性を有する屈曲部を形成することができることが明らかとなった。レーザ溝加工も屈曲部の表層CCLの剥離除去もしない、比較例Aのサンプルでは、屈曲部においても表層CCLが2層分積層されているため、折り曲げ強度が比較例Bの約1.8倍となり、柔軟性が劣る結果となった。このことから、屈曲部で表層CCLを剥離除去することなしに十分な柔軟性を得るためには、屈曲部において少なくとも1列のレーザ溝加工が必要であることを確認した。 また、実施例のサンプルの折り曲げ耐性試験後導通抵抗値は、従来技術である比較例Bのサンプルと同等であり、本発明によって作製した3層FPCの屈曲部は、従来技術と同等の折り曲げ耐性を有することが明らかとなった。 【産業上の利用可能性】 【0053】 本発明の多層プリント配線板は、例えば種々の電子機器に搭載されるプリント配線板として、好適に利用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0054】 【図1】(a)〜(e)は、本発明の多層プリント配線板の製造方法の概略を工程順に示す断面図である。 【図2】(a)〜(c)は、図1に示す製造方法で用いられる表層のプリント配線板の作製工程を工程順に示す断面図である。 【図3】本発明の実施例に係る3層プリント配線板を示し、(a)は表層の回路を示す図、(b)はFPCの回路を示す図、(c)は断面図である。 【図4】本発明の実施例に係る4層プリント配線板を示し、(a)は表層の回路を示す図、(b)はFPCの回路を示す図、(c)は断面図である。 【図5】折り曲げ用の溝を複数設ける場合を説明する図面であり、(a)は片面の場合、(b)は両面の場合である。 【図6】折り曲げ強度の試験方法を示す説明図である。 【図7】従来の多層プリント配線板の一例を示す概略の斜視図である。 【図8】(a)〜(e)は、従来の多層プリント配線板の製造方法の概略を工程順に示す断面図である。 【図9】(a)〜(e)は、図8に示す製造方法で用いられる表層のプリント配線板の作製工程を工程順に示す断面図である。 【図10】従来の製造方法による3層プリント配線板を示し、(a)は表層の回路を示す図、(b)はFPCの回路を示す図、(c)は断面図である。 【図11】従来の製造方法における接着材の突き出し量を説明する断面図である。 【図12】従来の製造方法による4層プリント配線板を示し、(a)は表層の回路を示す図、(b)はFPCの回路を示す図、(c)は断面図である。 【符号の説明】 【0055】 10…フレキシブルプリント配線板(FPC)、20…表層のプリント配線板、21…絶縁材料層(絶縁樹脂層)、22…導体層(銅箔)、23…層間接着材、24…折り曲げ用の溝、30…多層プリント配線板、30A…3層プリント配線板、30B…4層プリント配線板。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005186 【氏名又は名称】株式会社フジクラ
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| 【出願日】 |
平成18年6月22日(2006.6.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064908 【弁理士】 【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100108578 【弁理士】 【氏名又は名称】高橋 詔男
【識別番号】100089037 【弁理士】 【氏名又は名称】渡邊 隆
【識別番号】100101465 【弁理士】 【氏名又は名称】青山 正和
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| 【公開番号】 |
特開2008−4750(P2008−4750A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月10日(2008.1.10) |
| 【出願番号】 |
特願2006−172616(P2006−172616) |
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