| 【発明の名称】 |
加速器の制御装置および制御方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】前田 一尚
【氏名】桑代 智彰
【氏名】塙 勝詞
【氏名】都築 直久
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| 【要約】 |
【課題】偏向電磁石の磁場計測を不要とし、安価で信頼性が高くしかも運転調整が容易な加速器の制御を行なう。
【構成】制御装置1は、タイマ2、偏向電磁石電流用パターンメモリ3、周波数用パターンメモリ4、周波数基準値補正回路5を備える。タイマ2から偏向電磁石電流用パターンメモリ3と周波数用パターンメモリ4に同時に、タイムクロックが所定の時間間隔でシリアルに伝送される。このタイムクロックに同期し、偏向電磁石電流用パターンメモリ3から偏向電磁石の電流基準値が偏向電磁石電流発生装置6に出力され、偏向電磁石10にコイル電流が流れる。同様に、周波数用パターンメモリ4から出力される周波数基準値が、偏向電磁石電流発生装置6からの電流偏差信号により補正され、高周波発生装置7に出力され、補正された周波数基準値を基に周回ビーム11が加速される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ビームの周回軌道に設けられた偏向電磁石に電流を供給する偏向電磁石電流発生装置と前記ビームを加速する高周波加速空洞に高周波電力を供給する高周波発生装置とを備えた加速器における制御装置であって、 所定の時間間隔でタイムクロックを発生するタイマと、 前記タイムクロックに同期し、前記偏向電磁石に供給する電流基準値を前記偏向電磁石電流発生装置に出力する偏向電磁石電流用パターンメモリと、 前記タイムクロックに同期し、前記高周波電力の周波数基準値を前記高周波発生装置に出力する周波数用パターンメモリと、 前記偏向電磁石に流れる電流の計測値と前記電流基準値の差である電流偏差に基づいて前記周波数基準値を補正する周波数基準値補正手段と、 を有することを特徴とする加速器の制御装置。 【請求項2】 前記周波数基準値補正手段は、前記電流偏差をΔiとし、加速する粒子の静止質量をm0とし、kを正の定数とするとき、Δf=(k/m0)・Δiの式で表される周波数偏差Δfを用いて前記周波数基準値を補正することを特徴とする請求項1に記載の加速器の制御装置。 【請求項3】 ビームの周回軌道に設けられた偏向電磁石に電流を供給する偏向電磁石電流発生装置と前記ビームを加速する高周波加速空洞に高周波電力を供給する高周波発生装置とを備えた加速器における制御装置であって、 所定の時間間隔でタイムクロックを発生するタイマと、 前記タイムクロックに同期し、前記偏向電磁石に供給する電流基準値を前記偏向電磁石電流発生装置に出力する偏向電磁石電流用パターンメモリと、 前記タイムクロックに同期し、前記高周波電力の周波数基準値を前記高周波発生装置に出力する周波数用パターンメモリと、 前記偏向電磁石に流れる電流の計測値と前記電流基準値との差である電流偏差値に基づいて前記周波数用パターンメモリに入力するタイムクロックに補正を加えるタイムクロック補正手段と、 を有することを特徴とする加速器の制御装置。 【請求項4】 ビームの周回軌道に設けられた偏向電磁石に電流を供給する偏向電磁石電流発生装置と前記ビームを加速する高周波加速空洞に高周波電力を供給する高周波発生装置とを備えた加速器の制御方法であって、 所定の時間間隔でタイムクロックを発生させ、 前記タイムクロックに同期して、前記偏向電磁石に供給する電流基準値を前記偏向電磁石電流発生装置に出力し、 前記偏向電磁石に流れる電流の計測値と前記電流基準値の差である電流偏差に基づいて前記高周波電力の周波数基準値を補正し、 前記タイムクロックに同期して、前記補正された高周波電力の周波数基準値を前記高周波発生装置に出力すること、 を特徴とする加速器の制御方法。 【請求項5】 ビームの周回軌道に設けられた偏向電磁石に電流を供給する偏向電磁石電流発生装置と前記ビームを加速する高周波加速空洞に高周波電力を供給する高周波発生装置とを備えた加速器の制御方法であって、 所定の時間間隔でタイムクロックを発生させ、 前記タイムクロックに同期して、前記偏向電磁石に供給する電流基準値を前記偏向電磁石電流発生装置に出力し、 前記偏向電磁石に流れる電流の計測値と前記電流基準値との差である電流偏差値に基づいて前記タイムクロックに補正を加え、 前記補正されたタイムクロックに同期して、前記高周波電力の周波数基準値を前記高周波発生装置に出力すること、 を特徴とする加速器の制御方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、電子、イオン等の荷電粒子(ビーム)の加速に用いられる加速器の制御装置および制御方法に関する。 【背景技術】 【0002】 シンクロトロン加速器は、電子、陽電子あるいはイオン等のビームを加速するものであり、ビーム入射器からシンクロトロン内にビームを入射して加速し、所望の運動エネルギーにしたビームをビーム出射器を介して出射させる。このシンクロトロン内では、ビームは、その周回する軌道に設けられた高周波加速空洞(以下、加速空洞と呼称する)で印加される高周波電圧により加速される。また、上記軌道の所定の箇所に偏向電磁石が配置されており、この偏向電磁石の磁場により軌道偏向してほぼ一定の軌道上を周回するようになっている。 【0003】 ここで、ビームの加速過程においては、エネルギーが増加してもビームが上記軌道から外れないようにするために、ビームの加速経過の時間と共に、その運動量増加に比例して偏向電磁石の磁場強度を強めていく必要がある。また、ビームのエネルギー増加と共にその周回の周期が短くなることから、ビームの加速経過時間と共に、ビームの速度増加に比例して高周波電圧の加速周波数をビームの周期に同期するように増加させる必要がある。 【0004】 そこで、シンクロトロン加速器においてビームをほぼ一定の軌道上で効率よく加速するには、上述した偏向電磁石の磁場強度の時間変化と高周波電圧の加速周波数の時間変化を調節する制御装置が必須になる。 【0005】 従来の制御装置では、ビームの周回する軌道の上記偏向電磁石の磁場の強さの変化を検出するために磁場変化検出手段が配置され、この磁場変化検出手段から偏向電磁石における磁場の値の変化に対応した磁場クロックが生成される。そして、磁場強度と加速周波数の対応関係を記録したパターンメモリ装置が備えられ、このパターンメモリ装置が上記磁場クロックに基づいて周波数の基準値パターンを高周波加速装置に出力するようになっている。そして、この高周波加速装置がリアルタイムに偏向電磁石の磁場の値に対応した適切な加速周波数でビームを電界加速する。このような方式はかなり以前から提案されている(たとえば、特許文献1参照)。 【特許文献1】特開平2−142100号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、上記制御装置は、磁場変化検出手段として偏向電磁石の磁場の強度を検出するための磁場検出用電磁石、該磁場検出用電磁石の磁場変化の計測装置、および磁場クロックの発生装置等を必要とする。このために、制御システム全体が複雑化するという問題があった。また、その制御性能は、それを構成している上記各装置の性能に依存するところが多く、ビーム加速の調整運転において各装置の最適パラメータの導出が複雑になるという課題があった。 【0007】 本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、偏向電磁石の磁場計測を不要とし、安価で信頼性が高く、しかも運転調整が容易になる加速器の制御装置および制御方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記目的を達成するために、本発明に係る加速器の制御装置は、ビームの周回軌道に設けられた偏向電磁石に電流を供給する偏向電磁石電流発生装置と前記ビームを加速する高周波加速空洞に高周波電力を供給する高周波発生装置とを備えた加速器における制御装置であって、所定の時間間隔でタイムクロックを発生するタイマと、前記タイムクロックに同期し、前記偏向電磁石に供給する電流基準値を前記偏向電磁石電流発生装置に出力する偏向電磁石電流用パターンメモリと、前記タイムクロックに同期し、前記高周波電力の周波数基準値を前記高周波発生装置に出力する周波数用パターンメモリと、前記偏向電磁石に流れる電流の計測値と前記電流基準値の差である電流偏差に基づいて前記周波数基準値を補正する周波数基準値補正手段と、を有する構成になっている。 【0009】 あるいは、本発明に係る加速器の制御装置は、ビームの周回軌道に設けられた偏向電磁石に電流を供給する偏向電磁石電流発生装置と前記ビームを加速する高周波加速空洞に高周波電力を供給する高周波発生装置とを備えた加速器における制御装置であって、所定の時間間隔でタイムクロックを発生するタイマと、前記タイムクロックに同期し、前記偏向電磁石に供給する電流基準値を前記偏向電磁石電流発生装置に出力する偏向電磁石電流用パターンメモリと、前記タイムクロックに同期し、前記高周波電力の周波数基準値を前記高周波発生装置に出力する周波数用パターンメモリと、前記偏向電磁石に流れる電流の計測値と前記電流基準値との差である電流偏差値に基づいて前記周波数用パターンメモリに入力するタイムクロックに補正を加えるタイムクロック補正手段と、を有する構成になっている。 また、本発明に係る加速器の制御方法は、ビームの周回軌道に設けられた偏向電磁石に電流を供給する偏向電磁石電流発生装置と前記ビームを加速する高周波加速空洞に高周波電力を供給する高周波発生装置とを備えた加速器の制御方法であって、所定の時間間隔でタイムクロックを発生させ、前記タイムクロックに同期して、前記偏向電磁石に供給する電流基準値を前記偏向電磁石電流発生装置に出力し、前記偏向電磁石に流れる電流の計測値と前記電流基準値の差である電流偏差に基づいて前記高周波電力の周波数基準値を補正し、前記タイムクロックに同期して、前記補正された高周波電力の周波数基準値を前記高周波発生装置に出力すること、を特徴とする。 あるいは、本発明に係る加速器の制御方法は、ビームの周回軌道に設けられた偏向電磁石に電流を供給する偏向電磁石電流発生装置と前記ビームを加速する高周波加速空洞に高周波電力を供給する高周波発生装置とを備えた加速器の制御方法であって、所定の時間間隔でタイムクロックを発生させ、前記タイムクロックに同期して、前記偏向電磁石に供給する電流基準値を前記偏向電磁石電流発生装置に出力し、前記偏向電磁石に流れる電流の計測値と前記電流基準値との差である電流偏差値に基づいて前記タイムクロックに補正を加え、前記補正されたタイムクロックに同期して、前記高周波電力の周波数基準値を前記高周波発生装置に出力すること、を特徴とする。 【発明の効果】 【0010】 本発明の構成により、偏向電磁石の磁場計測を不要とし、安価で信頼性が高く、しかも運転調整が容易になる加速器の制御装置および制御方法を提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0011】 以下に本発明の好適な実施形態のいくつかについて図面を参照して説明する。なお、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略される。 (第1の実施形態) 本発明の第1の実施形態に係る加速器の制御装置について初めに図1を参照して説明する。図1はシンクロトロン加速器の制御装置を示すブロック構成図である。本実施形態の制御装置1は、その主要構成として、ビーム加速の開始トリガ信号およびタイムクロックを発生するタイマ2、偏向電磁石の電流基準値が記録されている偏向電磁石電流用パターンメモリ3を備えている。更に、加速周波数の基準値(周波数基準値)が記録されている周波数用パターンメモリ4、偏向電磁石の電流の計測値と上記電流基準値との差である電流偏差に基づいて上記周波数基準値を補正する周波数基準値補正回路5を備えている。 【0012】 シンクロトロンによるビームの加速運転において、上記制御装置1のタイマ2から偏向電磁石電流用パターンメモリ3と周波数用パターンメモリ4に対して同時に、タイムクロックが所定の時間間隔でシリアルに伝送される。そして、このタイムクロックに同期して、偏向電磁石電流用パターンメモリ3から偏向電磁石の電流基準値が偏向電磁石電流発生装置6に出力される。同時に、上記タイムクロックに同期して、周波数用パターンメモリ4から出力される周波数基準値が、上記偏向電磁石電流発生装置6からの後述する電流偏差信号により補正を受けて、高周波発生装置7に転送される。 【0013】 そして、上記偏向電磁石電流発生装置6は、ビームの軌道上の所定の複数の箇所に配置されている偏向電磁石10(図では1箇所を模式的に示している)に上記電流基準値を介して制御された(コイル)電流を流す。ここで、この電流基準値は時系列に生成される上記タイムクロック数の増加と共に時間的に増大する。そして、そのD/A(ディジタル/アナログ)変換が偏向電磁石電流発生装置6内でなされ、偏向電磁石10のコイル電流が一定の変化率で時間的に増加する。このようにして、偏向電磁石10の磁場がビームの加速に合わせて増加し、ほぼ一定の軌道上を周回する周回ビーム11が形成される。 【0014】 また、偏向電磁石電流発生装置6にたとえば内蔵されている電流偏差検出回路により、偏向電磁石電流発生装置6の直流電源から偏向電磁石10に実際に流れているコイル電流と、上記電流基準値との電流偏差が検出される。そして、その詳細は後述するが、この電流偏差により生成した電流偏差信号が上記周波数基準値補正回路5に伝送され、周波数用パターンメモリ4から送達された周波数基準値の補正がなされる。この補正された周波数基準値が高周波発生装置7に転送されてそのD/A変換がなされる。なお、上述した電流偏差検出回路は、従来において用いられている直流電源への電流値フィードバック制御に使用されているものを代用することができる。これについても後述する。 【0015】 そして、高周波発生装置7は、上記補正された周波数基準値を介して制御された高周波電圧を加速空洞12において周回ビーム11に印加し加速させる。ここで、周波数基準値は上記タイムクロック数の増加により時間的に増大する。そして、上記補正を通して、加速により上昇する周回ビーム11の周回周波数に高周波電圧の周波数を一致させる。 【0016】 上記制御装置1は、タイマ2から伝送されるタイムクロックを基準クロックに電流基準値および周波数基準値を読み出し、偏向電磁石電流発生装置6と高周波発生装置7とを制御する構成になっている。そして、偏向電磁石10における偏向磁場と加速空洞12における加速周波数とを調節する。このようにして、これまで一般的となっていた偏向電磁石の磁場検出により生成する磁場クロックを用いないで、偏向電磁石の磁場と同期して加速周波数を変化させるシンクロトロン加速器の制御装置が実現される。 【0017】 ここで、触れなかったが、周回ビーム11の軌道への入射は、たとえばタイマ2からの開始トリガ信号Sに同期させて制御できる。また、周回ビーム11の軌道からの出射は、上記タイマ2からのタイムクロックをそのタイミング信号に用いることにより簡便に制御することができる。その他に、この周回ビーム11の入射および出射は、従来において使用される偏向電磁石10の電流パターンとの同期をとる入出射トリガ信号により行なっても構わない。 【0018】 本実施形態の制御装置1では、偏向電磁石10の磁場の強度変化を検出するための磁場変化検出手段が不要となり、制御システム全体が極めて簡素なものになる。このために、その制御性能は、従来の技術に比べてその構成する装置の性能に依存する要素が少なくなり、ビーム加速の調整運転において各装置の最適パラメータの導出が極めて簡便にできるようになる。そして、制御装置が安価でその信頼性も高く、しかも加速の運転調整が容易になる。 【0019】 次に、上記制御装置1の主要な構成要素の詳細について図面を参照して説明する。ここで、図2は周波数用パターンメモリ4あるいは偏向電磁石電流用パターンメモリ3を示す模式的な構成図である。図3はタイムクロックを用いた上記パターンメモリの周波数基準値あるいは電流基準値の読み出し動作手順の一例を示すフローチャートである。図4は偏向電磁石電流発生装置6に内蔵の電流偏差検出回路図である。そして、図5は周波数基準値補正回路5の模式的な構成図である。 【0020】 図1に示したタイマ2は、たとえば水晶振動子を内蔵しており、加速器を稼働し制御する際の経過実時間に従って所定の時間間隔でタイムクロックを発生させると共に、後述する開始トリガ信号を発生する。本実施形態の加速器の制御装置1は、上記タイムクロックを基準クロックとしてシリアルに動作する。 【0021】 周波数用パターンメモリ4は、図2に示すように、周波数基準値のデータをデータメモリ部41に格納している。上記データは、1ワードをアクセス単位とし、タイマ2からのタイムクロックに対応してたとえば0番地〜N番地からなるアドレスに時系列に記録されている。なお、1ワードは所要のビット長を有するようにし、その中にパリティビットを設定することが好ましい。ここで、たとえば、上記0番地に記録されているデータはビーム入射時に対応する周波数基準値に、N番地に記録されているデータはビーム出射時に対応周波数基準値とする。また、上記周波数用パターンメモリ4はバッファ部42を備えている。このバッファ部42は、周波数基準値がデータメモリ部41に書き込まれる際に一時的に読み込まれる領域となっている。 【0022】 更に、周波数用パターンメモリ4は、読み出し回路部43を備えており、タイマ2からシリアルに伝送されるタイムクロックをこの読み出し回路部43で受ける。そして、上記データメモリ部41に格納されている周波数基準値を周波数基準値補正回路5に時系列に転送する。なお、上記データメモリ部41の周波数基準値を書き換える場合には、上記バッファ部42に格納された新しい周波数基準値のデータが、タイマ2からシリアルに伝送されるタイムクロックに従い上記アドレスに順番に書き込まれる。 【0023】 上記読み出し回路部43の読み出し動作の処理例では、図3の動作ループに示すように、ステップS1においてタイマ2からの開始トリガ信号Sの入力があると、ステップS2に進み上記データメモリ部41を先頭アドレス(0番地)に戻す。引き続いて、ステップS3においてタイマ2からのタイムクロックCの入力の有無を判定し、タイムクロックCの入力があるとデータメモリ部41の先頭アドレスの1ワードのデータ(1つの周波数基準値)を読み出すと共にアドレスを1つカウントアップする。そして、ステップS5において読み出した1ワードデータを周波数基準値補正回路5に転送する。 【0024】 更に、再びステップS1に進み、タイマ2からの開始トリガ信号Sの入力がないと、ステップS3に進みタイムクロックCの入力があると、ステップS4およびステップS5を経由する上記ループに沿って繰り返し動作する。このようにしてシリアルに伝送されるタイムクロックに従って、周波数基準値が時系列に周波数基準値補正回路5に転送される。 【0025】 そして、ステップS3においてタイムクロックCの入力がなくなるとステップS1に進み、ここで開始トリガ信号Sの入力がなく、更にステップS3においてタイムクロックCの入力がないと、この動作ループを繰り返す。このループに入ると加速器におけるビーム加速は停止したままになる。 【0026】 図2および図3では、周波数用パターンメモリ4の場合について説明したが、偏向電磁石電流用パターンメモリ3の場合も全く同様な構成と動作を行なう。但し、この場合には、データメモリ部に格納されるデータは周波数基準値でなく偏向電磁石の電流基準値となる。そして、タイマ2からシリアルに伝送されるタイムクロックに従って、偏向電磁石電流用パターンメモリ3から電流基準値が偏向電磁石電流発生装置6に時系列に転送される。 【0027】 図4に示すように、偏向電磁石電流発生装置6にたとえば内蔵の電流偏差検出回路8は、偏向電磁石電流用パターンメモリ3の出力をデジタル信号からアナログ信号に変換するD/A(ディジタル/アナログ)変換器81を備えている。偏向電磁石電流発生装置6の直流電源61に対し偏向電磁石10のコイルと直列接続する電流検出用抵抗82の端子の電圧信号が取り出されて、備えられている絶縁増幅器83に入力される。そして、差動増幅器84が、上記D/A変換器81から出力されるアナログの電流基準値と、上記絶縁増幅器83からの電流計測値iとの差異を検出し増幅する。そして、この差を電流偏差Δiとして出力する。 【0028】 ここで、電流計測値iは、ビーム軌道上に直列接続された複数の偏向電磁石10に流れる偏向電磁石電流である。そして、電流偏差Δiは、(電流計測値−電流基準値)の差分である。なお、上記電流偏差Δiは、主に、交流電源(不図示)を直流電源61にする整流装置が原因となるリップル成分である。 【0029】 上記電流計測では、電流検出用抵抗82の電圧の時間変化を検出することから、その計測装置は従来の技術の磁場変化検出手段に使用される装置の場合に比べて格段に簡素になる。そして、上記電流偏差Δiは、各タイムクロック信号Cに同期してリアルタイムに算出されることから、後述する周波数偏差Δfによる補正が正確にしかも高追従性のもとにできるようになる。 【0030】 周波数基準値補正回路5は、図5に示すように、周波数偏差演算部51を備えている。そして、偏向電磁石電流発生装置6にたとえば内蔵の上記電流偏差検出回路8から周波数基準値補正回路5に伝送される電流偏差Δiは、この周波数偏差演算部51において周波数偏差Δfに変換される。この周波数偏差Δfにより、上述した周波数用メモリパターン4の読み出し回路部43から転送された周波数基準値が補正される。このようにして補正された周波数基準値が上述した高周波発生装置7に伝送される。そして、上述したように、高周波発生装置7は、補正された周波数基準値をD/A変換し、上記補正された周波数基準値を基に制御された高周波電圧を加速空洞12において周回ビームに印加し加速させる。 【0031】 ここで、上記周波数偏差Δfと電流偏差Δiの関係の一例について説明する。荷電粒子の速度v、偏向磁場B、電流計測値(偏向電磁石電流)i、および加速周波数fの関係は、それぞれ次式(1)、(2)で表わされる。 【0032】 B=k1・m・v=k2・i (1) f=k3・v (2) 但し、k1、k2、k3は正の定数、mは荷電粒子の質量である。 【0033】 上記(1)、(2)式より、荷電粒子の速度vが光速度に比べて小さく、たとえば陽子の運動エネルギーにして100MeV程度以下であれば、ほぼ非相対論的な扱いができ、次式(3)、(4)が得られる。 【0034】 f=(k/m0)・i (3) Δf=(k/m0)・Δi (4) 但し、k=k2・k3/k1であり、m0は荷電粒子の静止質量である。 【0035】 上記周波数基準値補正回路5は、(4)式に従って、上記周波数偏差演算部51において上記電流偏差Δiから周波数偏差Δfを算出する。そして、上述したように、この算出した周波数偏差Δfにより周波数基準値が補正される。 【0036】 なお、荷電粒子の速度vが光速度に比べて無視できなくなると、特殊相対論から(5)式のように表わされる。 m=m0/√{1−(v/c)2} (5) したがって、例えば、周波数偏差Δfと電流偏差Δiの関係は(6)式でほぼ与えられる。 【0037】 Δf=(k/m0)・{1+α・i2/(m02c2)}−3/2・Δi (6) 但し、αは正の定数、cは光速度、iは電流計測値である。 【0038】 次に、本実施形態の制御装置1の動作について図6に示すタイムチャートを参照してまとめて説明する。図6に示すように、タイマ2からビームの入射に同期し加速を開始するための開始トリガ信号Sが出射し、偏向電磁石電流用パターンメモリ3および周波数用パターンメモリ4に対して伝送される。そして、引き続いてシリアルにタイムクロック信号Cが伝送される。そして、偏向電磁石電流用パターンメモリ3から、格納されている電流基準値が読み出されD/A変換されて、図6に示すような偏向電磁石電流用パターンの電流が偏向電磁石電流発生装置6を通して偏向電磁石10に供給される。 【0039】 同時に、タイマ2からシリアルに伝送されるタイムクロック信号Cに従って、周波数用パターンメモリ4から、格納されている周波数基準値が読み出される。そして、この周波数基準値は電流偏差Δiに基づいて周波数基準値補正回路5で補正されて高周波発生装置7に伝送される。そして、それがD/A変換され図6に示すような周波数用パターンの時間変化する加速周波数の電圧が、加速空洞12で周回ビーム11に印加される。このようにして、周回するビームが加速される。 【0040】 なお、図6に示す電流偏差Δiは実際には小さな変動になるが、図では誇張して示されている。この電流偏差Δiは、各タイムクロック信号Cに同期して読み出された電流基準値を基に偏向電磁石に流れる電流計測値から図4で説明した電流偏差検出回路8を通して算出される。 【0041】 ここで、ビームの軌道への入射はたとえば開始トリガ信号Sに同期してなされ、ビームの軌道からの出射はたとえば最後のタイムクロック信号Cに同期させることで簡便に制御することができる。 【0042】 本実施形態では、タイマ2からのシリアルに生成されるタイムクロックが基準クロックになっている。そして、この基準クロックに同期して、偏向電磁石電流用パターンメモリ3から電流基準値が読み出され、周波数用パターンメモリ4から周波数基準値が読み出される。そして、基本的に、この並行的に読み出された電流基準値および周波数基準値を基に偏向電磁石電流発生装置6と高周波発生装置7が制御される構成になっている。このために、偏向電磁石の磁場とビーム加速の加速周波数が正確にしかも高追従性のもとに調節でき、周回するビームの軌道ブレが少なくなる。そして、ビームの効率的な加速が容易になる。 【0043】 また、上記周波数基準値は、偏向電磁石に流れる実際の電流と上記電流基準値との間の差である電流偏差に基づき補正されるが、偏向電磁石に流れる電流の計測装置は極めて簡素になる。このために、従来の磁場変化検出手段の場合に比べて、上述したように制御装置が安価でその信頼性も高くしかも加速の運転調整が容易になる。 【0044】 (第2の実施形態) 次に、本発明の第2の実施形態に係る加速器の制御装置について図7および図8を参照して説明する。図7はシンクロトロン加速器の別の制御装置を示すブロック構成図である。図8は本実施形態に使用されるタイムクロック補正回路図を示す。この場合の制御装置1aは、その主要構成として、タイマ2、偏向電磁石電流用パターンメモリ3、タイムクロック補正回路9および周波数用パターンメモリ4を備えている。 【0045】 この実施形態では、第1の実施形態において説明した偏向電磁石電流発生装置6にたとえば内蔵されている電流偏差検出回路8から偏差電流Δiが、タイムクロック補正回路9に伝送される。そして、このタイムクロック補正回路9において、タイムクロックの進行あるいは後退による補正が加えられる。そして、この補正されたタイムクロックが周波数用パターンメモリ4に伝送される。そして、図2で説明したデータメモリ部41に格納されている上記補正されたタイムクロックに対応したアドレスの周波数基準値が読み出され高周波発生装置7に伝送される。 【0046】 上記タイムクロック補正回路9は、図8に示すように、偏向電磁石電流発生装置6の正の電流偏差Δiの信号をパルスに変換し、周波数用パターンメモリ4のアドレス進行クロックとして発生する+クロックV/F(電圧/周波数)変換器91を備える。また、負の電流偏差Δiの信号を正極性に反転する極性反転回路92と、その反転した信号を周波数用パターンメモリ4のアドレス後退クロックとして発生する−クロックV/F(電圧/周波数)変換器93を備えている。 【0047】 +クロックV/F変換器91は、電流偏差Δiが電圧変換し入力する電圧信号に比例した周波数信号(パルス列)を出力するので、偏差の大小に応じて出力パルス密度が増減する。従って電流偏差Δiが+方向にあるときは、アドレスを進める方向のタイムクロック信号を、逆に−方向にあるときは、アドレスを後退させる方向のタイムクロック信号を出力する。このようにして、周波数用パターンメモリ4のデータメモリ部41から読み出す周波数基準値に補正が加えられて高周波発生装置7に伝送される。この補正が加えられた周波数基準値に基づいて第1の実施形態で説明したのと同様にして、周回ビーム11が加速される。 【0048】 本実施形態では、第1の実施形態で説明したのと全く同様な効果がある。但し、この第2の実施形態では、電流偏差Δiが大きくなると充分に補正対応ができない場合が生じる。特に、ビーム加速の初期においてΔiが負になる場合に、後退して対応するアドレスが存在しなくなる場合がある。この場合には、図2で説明したアドレスの0番地の周波数基準値で代用させればよい。 【0049】 以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明を限定するものでない。当業者にあっては、具体的な実施態様において本発明の技術思想および技術範囲から逸脱せずに種々の変形・変更を加えることが可能である。 【0050】 電流偏差検出回路8は、偏向電磁石電流発生装置6に内蔵される場合の他に、別の装置に構成されていてもよい。たとえば、周波数基準値補正回路5あるいはタイムクロック補正回路9と一緒に構成されていても構わない。 【0051】 最後に、本実施形態で説明した加速器の制御装置は、ビームが光速度に比し極めて高速度になり相対論的に扱う場合であっても、たとえば式(6)に従って周波数偏差Δfを算出することにより充分に対応できることに言及しておく。この場合には、図5に示した周波数基準値補正回路5は、電流計測値iに係る信号が周波数偏差演算部51に入力する構成にすればよい。 【図面の簡単な説明】 【0052】 【図1】本発明の第1の実施形態に係る加速器の制御装置の一例を示すブロック構成図。 【図2】本発明の実施形態に係る周波数用パターンメモリを示す模式的な構成図。 【図3】上記周波数用パターンメモリの周波数基準値の読み出し動作手順の一例を示すフローチャート。 【図4】本発明の実施形態に係る偏向電磁石電流発生装置に内蔵の電流偏差検出回路の回路図。 【図5】本発明の第1の実施形態に係る周波数基準値補正回路の模式的な構成図。 【図6】本発明の第1の実施形態に係る加速器の制御装置の動作を示すタイムチャート。 【図7】本発明の第2の実施形態に係る加速器の制御装置の一例を示すブロック構成図。 【図8】本発明の第2の実施形態に係るタイムクロック補正回路の模式的な構成図。 【符号の説明】 【0053】 1,1a…制御装置,2…タイマ,3…偏向電磁石電流用パターンメモリ,4…周波数用パターンメモリ,5…周波数基準値補正回路,6…偏向電磁石電流発生装置,7…高周波発生装置,8…電流偏差検出回路,9…タイムクロック補正回路,10…偏向電磁石,11…周回ビーム,12…加速空洞,41…データメモリ部,42…バッファ部,43…読み出し回路部,51…周波数偏差演算部,61…直流電源,81…D/A(ディジタル/アナログ)変換器,82…電流検出用抵抗,83…絶縁増幅器,84…差動増幅器,91…+クロックV/F(電圧/周波数)変換器,92…極性反転回路,93…−クロックV/F(電圧/周波数)変換器
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝
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| 【出願日】 |
平成18年8月18日(2006.8.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100103333 【弁理士】 【氏名又は名称】菊池 治
【識別番号】100081732 【弁理士】 【氏名又は名称】大胡 典夫
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| 【公開番号】 |
特開2008−47454(P2008−47454A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月28日(2008.2.28) |
| 【出願番号】 |
特願2006−222947(P2006−222947) |
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