| 【発明の名称】 |
大気圧プラズマ発生装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】辻 裕之
【氏名】松森 正史
【氏名】井上 和弘
【氏名】中塚 茂樹
|
| 【要約】 |
【課題】プラズマ発生部とプラズマ展開部を備えた大気圧プラズマ発生装置において、プラズマ発生部の過大な温度上昇を確実に防止するとともに簡単かつコンパクトな構成を実現した大気圧プラズマ発生装置を提供する。
【構成】反応空間2からプラズマ化した第1の不活性ガスから成る一次プラズマ11を吹き出させるプラズマ発生部としての反応容器3と、反応空間2から吹き出した一次プラズマ11が衝突するように第2の不活性ガスに適量の反応性ガスが混合された混合ガス13から成る混合ガス領域15を形成し、プラズマ化した混合ガスから成る二次プラズマ16を発生するプラズマ展開部としての混合ガス空間12と、反応容器3を包囲しかつ混合ガス空間12と混合ガス領域へのガス供給路14を形成する放熱部材7とを備えた構成とした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 反応空間と反応空間に第1の不活性ガスを供給する第1の不活性ガス供給手段と反応空間に高周波電界を印加する高周波電源とを有し、反応空間からプラズマ化した第1の不活性ガスから成る一次プラズマを吹き出させるプラズマ発生部と、反応空間から吹き出した一次プラズマが衝突するように第2の不活性ガスに適量の反応性ガスが混合された混合ガス領域を形成し、プラズマ化した混合ガスから成る二次プラズマを発生するプラズマ展開部と、プラズマ発生部の反応空間を包囲しかつプラズマ展開部の混合ガス領域を形成するとともに混合ガス領域へのガス供給路を有する放熱部材とを備えたことを特徴とする大気圧プラズマ発生装置。 【請求項2】 放熱部材が、アルミナ、サファイヤ、アルミナイトライド、シリコンナイトライド、窒化ホウ素、炭化珪素の中から選ばれた材質から成る非導電性放熱部材から成ることを特徴とする請求項1記載の大気圧プラズマ発生装置。 【請求項3】 混合ガス領域に第2の不活性ガスと反応性ガスを予め混合した混合ガスを供給する混合ガス供給手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の大気圧プラズマ発生装置。 【請求項4】 混合ガス領域に第2の不活性ガスを供給する第2の不活性ガス供給手段と、混合ガス領域に反応性ガスを供給する反応性ガス供給手段とを別に設けたことを特徴とする請求項1記載の大気圧プラズマ発生装置。 【請求項5】 第1の不活性ガスと第2の不活性ガスは、同種の不活性ガスであることを特徴とする請求項1記載の大気圧プラズマ発生装置。 【請求項6】 第1の不活性ガス及び第2の不活性ガスは、アルゴン、ヘリウム、キセノン、ネオン、窒素、又はこれらの1種又は複数種の混合ガスから選ばれたものであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の大気圧プラズマ発生装置。 【請求項7】 放熱部材の温度を検出する温度検出手段と、放熱部材を冷却する強制冷却手段と、強制冷却手段を動作制御する制御部とを備え、制御部は温度検出手段による検出温度が第1の設定値以上になったときに強制冷却手段を動作させ、第1の設定値より低い温度に設定された第2の設定値以下になったときに強制冷却手段の動作を停止させることを特徴とする請求項1記載の大気圧プラズマ発生装置。 【請求項8】 請求項1〜6の何れかに記載の大気圧プラズマ発生装置を、ロボット装置のX、Y、Z方向に移動可能な可動ヘッドに搭載したことを特徴とする大気圧プラズマ処理装置。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、大気圧近傍でプラズマを発生させる大気圧プラズマ発生装置に関し、特に簡単かつコンパクトな構成にて放熱性を確保して安定してかつ効率的にプラズマを発生することができる大気圧プラズマ発生装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 大気圧近傍(圧力では、500〜1500mmHgの範囲)でプラズマを発生させる大気圧プラズマ発生装置として、プラズマトーチの中にガスを流し、プラズマトーチの周囲に配設した高周波誘導コイルに高周波電源より高周波電圧を印加し、発生したプラズマをプラズマトーチから吹き出させる高周波誘導結合プラズマ発生装置が知られている。この高周波誘導結合プラズマ発生装置においては、高周波誘導コイルが高温になるため、高周波誘導コイルを中空パイプで構成してその内部に冷却水を流すようにし、さらにプラズマが点火する前に冷却水を流した場合高周波誘導コイルに結露が発生するので、電磁開閉弁にてプラズマ点火に合わせて冷却水を流すようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。 【0003】 上記特許文献1に記載された大気圧プラズマ発生装置の構成を、図11を参照して説明する。プラズマトーチ61の周囲にバイプ材からなる高周波誘導コイル62が配設され、高周波誘導コイル62に高周波電源63にて高周波電圧が印加されている。高周波誘導コイル62の両端には冷却水を供給する配管64aと排出する配管64bが接続されるとともに配管64aに電磁開閉弁65が配設され、プラズマ点火時のみ冷却水を流すように構成されている。 【0004】 また、図12に示すように、筒状の反応管71と、その周囲に配設した一対の電極72a、72bを備え、反応管71にガス73を流し、一対の電極72a、72b間に高周波電源74にて1KHz〜200MHzの交流電界(印加する電圧については、サイン波形、矩形波形、パルス波形等の何れであっても良い)を印加してプラズマを発生させるようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。また、この特許文献2には、交流電界の周波数が高くなると電極72a、72bが熱を発生するため、冷媒75を供給管76から電極72a、72b内に供給して排出管77から排出することで冷却することが記載されている。 【0005】 また、本出願人は、先に特願2006−149084号において、第1の不活性ガスで一次プラズマを発生させるプラズマ発生部と、一次プラズマを第2の不活性ガスと反応性ガスの混合ガスに衝突させて二次プラズマを発生させるプラズマ展開部とを備え、効率的にプラズマを発生するようにした大気圧プラズマ発生装置を先に提案している。 【特許文献1】特開平2−135656号公報 【特許文献2】特開2001−6897号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 ところが、上記特許文献1では、高周波誘導コイル62を冷却するため、高周波電圧を使用する環境で冷却水を扱う構成であるため、水漏れ等でショートや発火等の原因になる恐れがあり、安全性を高めるために、装置全体の構成が複雑になるという問題がある。また、特許文献2でも、電極72a、72bを冷媒75で冷却するようにしているので、同様の問題がある。 【0007】 また、上記のように装置構成が複雑かつ大型化するため、この大気圧プラズマ発生装置をロボット等の移動装置に搭載して各種対象物のプラズマ処理を行うような使用形態に適用するのが困難であり、特に冷媒を使った冷却装置の移動が困難であるため、実質的に移動ができないという問題がある。 【0008】 そして、先に提案したプラズマ発生部とプラズマ展開部を有する大気圧プラズマ発生装置においても、プラズマ発生部でコイルやアンテナや電極が高温になるのを防止する必要があり、かつプラズマ展開部を備えた構成でありながら、簡単かつコンパクトな構成を実現でき、さらに二次プラズマを効率的に安定して発生できることが望まれる。 【0009】 本発明は、上記従来の課題を解決するもので、プラズマ発生部とプラズマ展開部を備えた構成において、プラズマ発生部の過大な温度上昇を確実に防止できるとともにプラズマ展開部で効率的に安定して二次プラズマを発生することができかつ簡単かつコンパクトな構成を実現できる大気圧プラズマ発生装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明の大気圧プラズマ発生装置は、反応空間と反応空間に第1の不活性ガスを供給する第1の不活性ガス供給手段と反応空間に高周波電界を印加する高周波電源とを有し、反応空間からプラズマ化した第1の不活性ガスから成る一次プラズマを吹き出させるプラズマ発生部と、反応空間から吹き出した一次プラズマが衝突するように第2の不活性ガスに適量の反応性ガスが混合された混合ガス領域を形成し、プラズマ化した混合ガスから成る二次プラズマを発生するプラズマ展開部と、プラズマ発生部の反応空間を包囲しかつプラズマ展開部の混合ガス領域を形成するとともに混合ガス領域へのガス供給路を有する放熱部材とを備えたものである。 【0011】 この構成によれば、プラズマ発生部の反応空間を放熱部材が包囲しているので、反応空間の周囲のアンテナや電極などの発熱を放熱部材を通して効果的に外部に放熱して熱損傷するのを防止できるとともに、アンテナや電極の抵抗増大により整合回路のバランスが崩れて高周波電力の入力が低下し、プラズマ強度が低下するのを防止でき、それによって一次プラズマを安定して発生することができ、またその一次プラズマが混合ガス領域に衝突して第2の不活性ガスが雪崩れ現象的にプラズマ化し、第2の不活性ガスのラジカルなどにて反応性ガスがプラズマ化されることで、プラズマ展開部で効率的に二次プラズマを発生することができ、さらに冷却手段として冷却水などの冷媒を用いずに放熱部材を用いているのでコンパクトに構成でき、かつその放熱部材にてプラズマ展開部の混合ガス領域とガス供給路を形成しているので、プラズマ展開部を備えた構成でありながら簡単かつコンパクトに構成することができ、さらに放熱のために温度上昇した放熱部材にて混合ガス領域を形成しているので、混合ガス領域が適切な温度に安定的に保持され、混合ガスの供給停止によって二次プラズマの発生停止を行うような場合でも安定して二次プラズマを発生することができる。 【0012】 また、放熱部材が、アルミナ、サファイヤ、アルミナイトライド、シリコンナイトライド、窒化ホウ素、炭化珪素の中から選ばれた材質から成る非導電性放熱部材から成ると、絶縁性及び熱伝導性が高いので、高い放熱性能を得ることができて好適である。 【0013】 また、混合ガス領域に第2の不活性ガスと反応性ガスを予め混合した混合ガスを供給する混合ガス供給手段を設けると、両ガスを別々に供給する場合に比してガス供給構成が簡単になるとともに、第2の不活性ガスと反応性ガスが均等に混合されているので、全体に均一なプラズマ処理を実現することができる。 【0014】 また、混合ガス領域に第2の不活性ガスを供給する第2の不活性ガス供給手段と、混合ガス領域に反応性ガスを供給する反応性ガス供給手段とを別に設けると、反応性ガスを任意の濃度に調整して混合することができ、所望のプラズマ処理を行うことができる。 【0015】 また、第1の不活性ガスと第2の不活性ガスは、異種のものを使用することもできるが、同種の不活性ガスであると、二次プラズマの展開が安定するとともに、ガス供給構成が簡単になるため好適である。 【0016】 また、第1の不活性ガス及び第2の不活性ガスは、アルゴン、ヘリウム、キセノン、ネオン、窒素、又はこれらの1種又は複数種の混合ガスから選ばれたものであるのが好適である。なお、窒素ガスは、字義通りの不活性ガスではないが、大気圧プラズマの発生においては、本来の不活性ガスに準ずる挙動を示し、ほぼ同様に用いることができるので、本明細書においては不活性ガスに窒素ガスを含むものとする。 【0017】 また、放熱部材の温度を検出する温度検出手段と、放熱部材を冷却する強制冷却手段と、強制冷却手段を動作制御する制御部とを備え、制御部は温度検出手段による検出温度が第1の設定値以上になったときに強制冷却手段を動作させ、第1の設定値より低い温度に設定された第2の設定値以下になったときに強制冷却手段の動作を停止させるように構成すると、放熱部材が所定温度以上になると強制冷却されることで高い冷却性能を確実にかつ安定して確保できるとともに、過剰に冷却し過ぎることがなくかつ必要時のみ強制冷却手段を動作させるので、省エネルギーを図ることができる。 【0018】 また、以上の大気圧プラズマ発生装置はコンパクトな構成であるので、ロボット装置のX、Y、Z方向に移動可能な可動ヘッドに搭載することができ、そうすることにより極めて高い汎用性をもってプラズマ処理を行うことができる。 【発明の効果】 【0019】 本発明の大気圧プラズマ発生装置によれば、反応空間の周囲の発熱を放熱部材を通して効果的に外部に放熱することができて一次プラズマを安定して発生することができ、またその一次プラズマを混合ガス領域に衝突させることでプラズマ展開部で効率的に二次プラズマを発生することができ、さらに冷却手段として冷却水などの冷媒を用いずに放熱部材を用いているため、またその放熱部材にてプラズマ展開部の混合ガス領域とガス供給路を形成しているので、プラズマ展開部を備えた構成でありながら簡単かつコンパクトに構成でき、さらに放熱部材にて混合ガス領域が適切な温度に安定的に保持されることで安定して二次プラズマを発生することができる等の効果が得られる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0020】 以下、本発明の大気圧プラズマ発生装置の各実施形態について、図1〜図10を参照しながら説明する。 【0021】 (第1の実施形態) まず、本発明の大気圧プラズマ発生装置の第1の実施形態について,図1〜図5を参照して説明する。 【0022】 本実施形態の大気圧プラズマ発生装置としてのプラズマヘッド1は、図1(a)、(b)に示すように、内部が反応空間2を形成する筒状の反応容器3と、反応容器3の外周に沿ってその近傍に配置されたアンテナ4とを備え、反応容器3がプラズマ発生部を構成している。アンテナ4は、反応容器3の外径とほぼ等しい内径のコイル状に線材5を巻回して構成され、線材5の両端部が互いに反対側に延長され、整合回路(図示せず)を介して高周波電源(図示せず)に接続する配線6a、6bを構成している。線材5としては、比抵抗値の低い金属、例えば銅、銀、金、アルミニウム等が好適であり、中でも銅が最も好適である。高周波電源としては、その出力周波数帯が、数KHz〜数100KHz、又は13.56MHzに代表されるRF周波数帯、又は100MHzに代表されるVHF周波数帯、さらに電子レンジに使用される2.45GHzに代表されるマイクロ波周波数帯のものなどを使用することができるが、60MHz〜500MHzが好適である。 【0023】 反応容器3及びアンテナ4には、その全周を取り囲むようにブロック状の非導電性放熱部材7が接触させて配設されている。この非導電性放熱部材7は、反応容器3の外周面が嵌合する断面半円状の凹部と、その凹部にアンテナ4を密接状態で収容する螺旋状の溝を形成された一対の分割放熱部材8、9にて構成されている。これら一対の分割放熱部材8、9を、反応容器3及びその外周に配設されたアンテナ4を取り囲むように配置し、ボルト等の締結具や接着剤等で一体的に接合して大気圧プラズマ発生装置1が構成されている。非導電性放熱部材7としては、アルミナ、サファイヤ、アルミナイトライド、シリコンナイトライド、窒化ホウ素、炭化珪素等が、絶縁性及び熱伝導性が高く、高い放熱性能が得られるので好適である。また、好適には、アンテナ4と非導電性放熱部材7の間、及び非導電性放熱部材7を構成する分割放熱部材8、9間に、熱伝導性の高いグリース、シート、接着剤若しくは充填剤など伝熱充填材(図示せず)が介在される。そうすると、アンテナ4から非導電性放熱部材7に一層効率的に放熱することができる。 【0024】 反応容器3の上端3aから反応空間2内に第1の不活性ガス10を供給するように構成されている。また、反応空間2内で発生したプラズマが反応容器3の下端の吹き出し口3bから一次プラズマ11として吹き出される。非導電性放熱部材7は、反応容器3の下端の吹き出し口3bより下方に長く延出されており、吹き出し口3bの下部に反応空間2より大径で下端が開放された混合ガス空間12と、この混合ガス空間12内の上部に、第2の不活性ガスと適量の反応性ガスから成る混合ガス13を供給するガス供給路14が形成されている。この非導電性放熱部材7に形成された混合ガス空間12がプラズマ展開部を構成している。 【0025】 以上の構成において、反応容器3の上端3aから第1の不活性ガス10を供給しつつアンテナ4に高周波電力を供給することで、アンテナ4に流れる高周波電流により反応空間2内に生じる誘電磁界にて誘導結合方式でイオン及び電子の一部が効率良く捕捉されてプラズマが安定して生成され、そのプラズマが反応容器3の下端の吹き出し口3bから一次プラズマ11として混合ガス空間12内に吹きだす。混合ガス空間12内は、ガス供給路14から混合ガス13が供給されて混合ガス領域15を形成しており、この混合ガス領域15に一次プラズマ11が衝突する。その結果、一次プラズマ11が衝突した第2の不活性ガスが雪崩れ現象的にプラズマ化して混合ガス領域15全体に展開し、プラズマ化した第2の不活性ガスのラジカルなどにて反応性ガスがプラズマ化した状態の二次プラズマ16が形成され、この二次プラズマ16が混合ガス空間12の下端開口から吹き出す。かくして、吹き出した二次プラズマ16を被処理物表面に照射することで効率的にプラズマ処理することができる。 【0026】 上記一次プラズマ11を発生する間、アンテナ4に高周波電流が流れることによってアンテナ4が発熱して高温になるが、非導電性放熱部材7がアンテナ4に接触し、熱的に結合して配設されているので、アンテナ4に発生した熱が非導電性放熱部材7を通して効果的に放熱され、アンテナ4が異常な高温になるのが効果的に防止される。かくして、アンテナ4が異常な高温になって損傷したり、所定以上の高温になることで抵抗が大きくなって整合回路(図示せず)のバランスが崩れ、反射波が強くなって高周波電力の入力が低下し、プラズマ強度が低下するという事態が発生する恐れをなくすことができる。さらに、放熱のために温度上昇する非導電性放熱部材7にて混合ガス空間12を形成しているので、混合ガス領域15が適切な温度に安定的に保持され、混合ガス13の供給停止によって二次プラズマ16の発生停止を行うような場合でも安定して二次プラズマ16を発生することができる。 【0027】 また、非導電性放熱部材7にて放熱機構を構成し、冷却水などの冷媒を用いていないので、プラズマヘッド1を簡単かつ安価に構成することができ、このプラズマヘッド1を移動装置に搭載することで、各種対象物に対して容易にかつ低コストにてプラズマ処理を行うことができる。 【0028】 本実施形態では、以上のプラズマヘッド1を、図2に示すような大気圧プラズマ処理装置21に搭載している。大気圧プラズマ処理装置21は、3軸方向に移動及び位置決め可能な移動手段としてのロボット装置22を備えている。ロボット装置22は、水平面内で直交する2軸方向(X−Y軸方向)に移動及び位置決め可能な移動体23に垂直方向(Z軸方向)に移動及び位置決め可能に可動ヘッド24を取付けて構成され、その可動ヘッド24にプラズマヘッド1が設置されている。一方、被処理物25は、搬入・搬出部27によってプラズマヘッド1の可動範囲の下部位置に搬入・搬出されるとともに、所定位置に位置決めされて固定される。 【0029】 被処理物25には、図3(a)、(b)に示すように、プラズマ処理を行うべき処理箇所26が複数箇所に分散して配されている。このような被処理物25としては、例えば図3(a)に示すように電子部品実装用のランド配設領域が処理箇所26である回路基板28の例や、図3(b)に示すように異方導電膜の貼付領域が処理箇所26である液晶パネルやプラズマディスプレイパネルなどのフラットパネルディスプレイ29の例があり、それぞれプラズマ処理にてランド表面の表面改質や貼付面のクリーニングを行うものである。 【0030】 大気圧プラズマ処理装置21の制御構成は、図4に示すように、制御部31にて記憶部32に予め記憶された動作プログラムや制御データに基づいて、プラズマヘッド1の移動手段としてのロボット装置22、高周波電源17、及びガス供給部33からプラズマヘッド1へのガス供給を制御する流量制御部34を動作制御するように構成されている。また、制御部31による流量制御部34の制御は、被処理物25の処理箇所26にプラズマヘッド1が対向位置するタイミング、即ち処理箇所26に対する処理の開始と終了を認識する処理開始認識手段35と処理終了認識手段36から入力された信号に基づき、処理開始信号によって混合ガス空間12への混合ガス13の供給を行って処理箇所26に対するプラズマ処理を行い、処理終了信号によって混合ガス13の供給を停止することで処理箇所26に対するプラズマ処理を終了するように構成されている。なお、本実施形態においては、処理開始認識手段35及び処理終了認識手段36は、記憶部32に記憶された制御データとロボット装置22からの現在位置データの比較によって認識するように構成されているが、別にプラズマヘッド1が処理箇所26の開始点と終了点に対向位置した時に認識する手段を設けても良い。 【0031】 ガス供給部33と流量制御部34は具体的には図5に示すように構成されている。すなわち、ガス供給部33は第1の不活性ガス10を供給する第1の不活性ガス供給源37と、第2の不活性ガスと反応性ガスの混合ガス13を供給する混合ガス源38とを備え、それぞれのガス出口には圧力調整弁37a、38aが設けられている。第1の不活性ガス10は、マスフローコントローラなどから成る第1の流量制御装置39を介して反応容器3に供給され、混合ガス13は、マスフローコントローラなどから成る第2の流量制御装置40と開閉制御弁41を介して混合ガス空間12に供給するように構成されている。これら開閉制御弁41と第1と第2の流量制御装置39、40が流量制御部34を構成し、それぞれ制御部31にて制御されている。 【0032】 なお、第1及び第2の不活性ガスは、アルゴン、ネオン、キセノン、ヘリウム、窒素から選択された単独ガス又は複数の混合ガスが適用される。また、反応性ガスは、プラズマ処理の種類に応じて、酸素、空気、CO2 、N2 Oなどの酸化性ガス、水素、アンモニアなどの還元性ガス、CF4 などのフッ素系ガスなどが適用される。 【0033】 次に、以上の構成の大気圧プラズマ処理装置21による被処理物25の処理箇所26のプラズマ処理過程について説明する。搬入・搬出部27にて被処理物25が搬入されて所定位置に位置決めされると、ロボット装置22が動作を開始し、プラズマヘッド1を被処理物25の最初の処理箇所26の処理開始点に向けて移動させる。また、プラズマヘッド1が動作を開始し、反応容器3の吹き出し口3bから混合ガス空間12に一次プラズマ11を吹き出した状態とされ、以降その状態が連続して維持される。 【0034】 この状態で、プラズマヘッド1が処理開始点に達すると、処理開始認識手段35の検知信号が発せられ、直ちに開閉制御弁41が開弁され、混合ガス空間12に混合ガス13が供給され、二次プラズマ16が発生して処理箇所26のプラズマ処理が開始され、その後プラズマ処理状態を維持しつつプラズマヘッド1が処理箇所26上を移動することで処理箇所26のプラズマ処理が行われる。プラズマヘッド1が処理終了点に達すると、処理終了認識手段36の検知信号が発せられ、直ちに開閉制御弁41が閉弁され、混合ガス空間12への混合ガス13の供給が停止されて二次プラズマ16の発生が停止し、プラズマ処理が直ちに停止し、最初の処理箇所26のプラズマ処理が終了する。以降、後続する処理箇所26を順次同様にプラズマ処理し、全ての処理箇所26のプラズマ処理が終了すると、搬入・搬出部27にて被処理物25が搬出され、次の被処理物25が搬入され、 同様にプラズマ処理が行われる。 【0035】 (第2の実施形態) 次に、本発明の大気圧プラズマ発生装置の第2の実施形態について,図6を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明においては、先行する実施形態と共通の構成要素について同一の参照符号を付して説明を省略し、主として相違点についてのみ説明する。 【0036】 上記第1の実施形態では、非導電性放熱部材7に形成した混合ガス空間12が、反応空間2より径の大きい円柱形状のものを例示したが、本実施形態では、図6に示すように、混合ガス空間12の上端は反応空間2の径に近い径で、下方に向けて径が大きくなる接頭円錐形状に形成し、混合ガス13を供給するガス供給路14を斜め下方に向けて傾斜させて形成している。 【0037】 本実施形態の構成によれば、混合ガス領域15の上端と反応容器3の下端の吹き出し口3bとがほぼ合致するので、吹き出し口3bから吹き出した一次プラズマ11が混合ガスの上部のほぼ全体に衝突するので、混合ガス領域15の全体のプラズマ化がより円滑に展開し、二次プラズマ16をより効率的に発生することができる。 【0038】 (第3の実施形態) 次に、本発明の大気圧プラズマ発生装置の第3の実施形態について,図7、図8を参照して説明する。 【0039】 上記第1、第2の実施形態では、コイル状のアンテナ4を配設した例を示したが、本実施形態においては、図7(b)に示すように、筒状の反応容器3と、その周囲に一対の電極42、43を所定の間隔をあけて配設し、一対の電極42、43から延出した配線44を整合回路(図示せず)を介して高周波電源17に接続した大気圧プラズマ発生装置において、図7(a)に示すように、電極42、43に接触させて非導電性放熱部材7を配設したものである。 【0040】 本実施形態の非導電性放熱部材7は、図8(a)、(b)に示すように、反応容器3の外周面が嵌合する凹部45を有する一対の分割放熱部材8、9において、その凹部45に電極42、43を収容する円弧溝46が形成され、かつ一対の分割放熱部材8、9の接合面に配線44を導出する線溝47が形成されている。 【0041】 本実施形態によれば、反応容器3に第1の不活性ガス10を供給しつつ、一対の電極42、43間に高周波電源17にて1KHz〜200MHzの交流電界(印加する電圧については、サイン波形、矩形波形、パルス波形等の何れでも良い)を印加することで、反応容器3内の反応空間2でプラズマが発生して下端の吹き出し口3bから一次プラズマ11として吹き出され、この一次プラズマ11が混合ガス空間12内に混合ガス13を供給して形成されている混合ガス領域15に衝突し、その混合ガス13が雪崩れ現象的にプラズマ化し、二次プラズマ16として混合ガス空間12から吹きだす。その際に、電極42、43に流れる高周波電流で電極42、43に発生した熱は、非導電性放熱部材7を通して外部に効果的に放熱されることで、電極42、43が高温になるのを防止でき、上記実施形態と同様に電極42、43が損傷したり、プラズマ出力が低下するのを防止することができる。また、放熱のために温度上昇する非導電性放熱部材7に混合ガス領域15が適切な温度に安定的に保持され、安定して二次プラズマ16を発生することができる。 【0042】 (第4の実施形態) 次に、本発明の大気圧プラズマ発生装置の第4の実施形態について,図9、図10を参照して説明する。 【0043】 本実施形態においては、上記各実施形態のプラズマヘッド1において、図9に示すように、非導電性放熱部材7を空冷方式で強制冷却する強制冷却手段51と、非導電性放熱部材7の温度を検出する温度検出手段52と、強制冷却手段51の駆動電源53と、電源を開閉する開閉器54と、温度検出手段52による検出温度によって開閉器54を開閉制御する制御部55とを備えている。 【0044】 制御部55は、図10に示すように、温度検出手段52による検出温度が予め設定された上限設定温度Ta以上になったときに開閉器54を閉じて強制冷却手段51を動作させ、予め設定された下限設定温度Tb以下になったときに開閉器54を開いて強制冷却手段51の動作を停止させるように構成されている。 【0045】 以上の構成において、反応容器3の上端3aから第1の不活性ガス10を導入し、反応容器3の外側近傍に配置されたアンテナ4又は電極42、43に高周波電圧を印加することで、反応容器3内で発生したプラズマが吹き出し口3bから一次プラズマ11として吹き出し、この一次プラズマ11が混合ガス空間12内に混合ガス13を供給して形成されている混合ガス領域15に衝突し、その混合ガス13が雪崩れ現象的にプラズマ化し、二次プラズマ16として混合ガス空間12から吹きだす。その際、アンテナ4又は電極42、43は、高周波電流が流れることで発熱するが、アンテナ4又は電極42、43に密接して配設された非導電性放熱部材7を通して放熱されることで、高温になるのが防止され、さらにその非導電性放熱部材7の温度を検出し、検出温度が上限設定温度Ta以上になったときには強制冷却手段51を動作させて強制的に冷却し、下限設定温度Tb以下になったとき強制冷却手段51の動作を停止させて強制冷却を止める。 【0046】 このように本実施形態によれば、非導電性放熱部材7が所定温度以上になると強制冷却することで高い冷却性能を確実にかつ安定して確保できるとともに、過剰に冷却し過ぎることがなくかつ必要時のみ強制冷却するので、省エネルギーを図ることができる。 【0047】 以上の各実施形態の説明では、非導電性放熱部材7による放熱のみで、アンテナ4や電極42、43を冷却する例について説明したが、これらの非導電性放熱部材7を装置ケース(図示せず)に接触させて配置した構成とすると、一層高い放熱性能が得られて好適である。また、非導電性放熱部材7を装置ケース(図示せず)に直接に接触させるのではなく、非導電性放熱部材に別の放熱板(図示せず)を、面接触させて配置し、この放熱板を装置ケース(図示せず)に結合した構成とすることもできる。また、装置ケース(図示せず)にフィンをつけて放熱効果を増すこともできる。 【0048】 また、以上の実施形態では、予め第2の不活性ガスと反応性ガスを混合した混合ガスを混合ガス源38から混合ガス空間12に供給するようにした例を説明したが、複数のガス供給路14からそれぞれ第2の不活性ガスと反応性ガスを別々に供給し、混合ガス空間12内で互いに混合されて混合ガス領域15を形成するようにしても良い。また、第2の不活性ガス源と反応性ガス源を別に設け、両者を流量制御弁を介して所望の混合比率で混合した後、図5の第2の流量制御装置40、開閉制御弁41を介して混合ガス空間12に混合ガス13を供給するようにしても良い。このように別々に供給し、又は別々のガス源を設けると、反応性ガスの混合率を任意に変更ないし調整することができる。 【産業上の利用可能性】 【0049】 本発明の大気圧プラズマ発生装置によれば、反応空間の周囲の発熱を放熱部材を通して効果的に外部に放熱することができて一次プラズマを安定して発生することができ、またその一次プラズマを混合ガス領域に衝突させることでプラズマ展開部で効率的に二次プラズマを発生することができ、さらに冷却手段として冷却水などの冷媒を用いずに放熱部材を用いているため、またその放熱部材にてプラズマ展開部の混合ガス領域とガス供給路を形成しているので、プラズマ展開部を備えた構成でありながら簡単かつコンパクトに構成でき、さらに放熱部材にて混合ガス領域が適切な温度に安定的に保持されることで安定して二次プラズマを発生することができるので、各種被処理物のプラズマ処理に好適に利用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0050】 【図1】本発明の大気圧プラズマ発生装置の第1の実施形態の要部構成を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A矢視図。 【図2】同実施形態の大気圧プラズマ発生装置を適用した大気圧プラズマ処理装置の斜視図。 【図3】被処理物の2つの例を示す平面図。 【図4】同大気圧プラズマ処理装置の制御構成を示すブロック図。 【図5】ガス供給部と流量制御部の構成図。 【図6】本発明の大気圧プラズマ発生装置の第2の実施形態の要部構成を示す部分断面図。 【図7】本発明の大気圧プラズマ発生装置の第3の実施形態の要部構成を示し、(a)は斜視図、(b)は反応管と電極を示す斜視図。 【図8】同実施形態の分割放熱部材を示し、(a)は正面図、(b)は斜視図。 【図9】本発明の大気圧プラズマ発生装置の第4の実施形態の要部構成を示す斜視図。 【図10】同実施形態の冷却手段の制御方法の説明図。 【図11】従来例の大気圧プラズマ発生装置の構成図。 【図12】他の従来例の大気圧プラズマ発生装置の構成図。 【符号の説明】 【0051】 1 プラズマヘッド(大気圧プラズマ発生装置) 2 反応空間 3 反応容器(プラズマ発生部) 3b 下端の吹き出し口 4 アンテナ 7 非導電性放熱部材 10 第1の不活性ガス 11 一次プラズマ 12 混合ガス空間(プラズマ展開部) 13 混合ガス 14 ガス供給路 15 混合ガス領域 16 二次プラズマ 21 大気圧プラズマ処理装置 22 ロボット装置 24 可動ヘッド 51 強制冷却手段 52 温度検出手段 55 制御部
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005821 【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成18年8月17日(2006.8.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080827 【弁理士】 【氏名又は名称】石原 勝
|
| 【公開番号】 |
特開2008−47446(P2008−47446A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月28日(2008.2.28) |
| 【出願番号】 |
特願2006−222748(P2006−222748) |
|